JP4863355B2 - ネマチック液晶を用いた液晶表示素子 - Google Patents
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Description
本発明は、上記状況に鑑みて、簡便に作製できる、メモリー性と広視野角表示特性を両立した高精細、広視野角かつ低消費電力のネマチック液晶を用いた液晶表示素子を提供することを目的とする。
この液晶配向規制方向がリセット(書き換え)可能な材料を用いた配向層を用いることにより、2回の直線偏光紫外光照射において、1回目は図1(a)に示すように処理対象となる領域全体にフォトマスク等を介さず一様に直線偏光紫外光(LUV1)照射を行い、図1(b)に示すように直線偏光方向を90度回転させた2回目の直線偏光紫外光(LUV2)照射時のみ、フォトマスク(PMASK)を介して処理対象となる領域の一部分のみに選択的に2回目の直線偏光紫外光照射を行い、図1(c)に示すように選択領域の液晶配向規制方向のみをセット(書き換え)することが可能となり、フォトマスクの位置決め・合わせ精度の問題を解決することができる。
つまり、前記二つの液晶配向規制処理の一方が、当該処理対象となる領域全体に一様に施される処理であり、かつもう一方の液晶配向規制処理が、当該処理対象となる領域の一部分のみに選択的に施される処理であることを特徴とすればよい。このようにして作製した配向パターンがメモリー性を発現するには、前記異なる二つの液晶配向規制方向が基板面内で略直交し、かつ、少なくとも一方の液晶配向規制方向における基板面からのプレチルト角がすべて略0度であることを特徴とすればよい。また、前記液晶層が、不斉分子を組成成分として含有する液晶材料からなることを特徴としてもよい。また、前記液晶層が、その誘電異方性の符号が印加される交流電界の周波数に依存して正・負両方とり得る液晶材料からなることを特徴としてもよい。また、前記電極群を構成する電極の少なくとも一部が櫛歯電極であることを特徴としてもよい。さらに、櫛歯電極とは別に、前記一対の基板のそれぞれの基板上に配置された、対となる電極を有することを特徴としてもよい。あるいは、前記一対の基板のどちらかの基板上に、光反射板が配置されたことを特徴としてもよい。
図2は本発明の第1実施例を示す液晶表示素子の構成を示す図である。
この図において、基板SUB1、SUB2として、厚みが1.1mmで表面を研磨した透明なガラス基板を2枚用いた。基板SUB1上に、対となる櫛歯電極EL2AおよびEL2Bを、基板上に形成した同一のITO(インジウムチンオキサイド)からなる透明導電層をパタ−ン化して形成し、更にその上に窒化シリコンからなる膜厚600nmの絶縁保護膜IL1を形成した。同様に、もう一組の櫛歯電極EL1AおよびEL1Bを、上記の櫛歯電極EL2と略直交する方向に、絶縁膜IL1の上に形成した同一のITOからなる透明導電層をパタ−ン化して構成し、更にその上に窒化シリコンからなる膜厚200nmの絶縁保護膜IL2を形成した。また、LCLは液晶層である。上記の櫛歯電極EL1,EL2の電極長手方向は、図中の座標系で表すと、それぞれy軸、x軸方向である。また、これらの櫛歯電極EL1,EL2の電極幅は6μm、電極間隔は4μmで、図中の櫛歯間隙部の数は簡単に説明するため模式的に3分割で図示してあるが、実際の素子は8分割とした。
次に、上記の1回目の光照射に対してその直線偏光方向を90度回転して、図1(b)に示すような区切られたそれぞれの正方形の小領域の大きさが略1μm角とした正方形のチェッカーボードパターン(白の部分が開口部)のフォトマスクを介し、約20mW/cm2 の照射光強度で2回目の照射を行った。
上記の2回の直線偏光紫外光照射により、用いたチェッカーボードパターンの黒(マスク非開口部)の部分は1回目の光照射時の直線偏光方向と直交した液晶配向規制方向となり、チェッカーボードパターンの白(マスク開口部)の部分は1回目の光照射の後、偏光方向を90度回転した2回目の光照射により液晶配向規制方向がリセットされ(書き換えられ)、上記の黒の部分に対して直交した液晶配向規制方向となる。
なお、これらのパターン形状や照射光強度はあくまで一つの例であり、用いる感光性材料や、液晶材料の特性などに合わせて調整する。上記のチェッカーボードパターンのマス目方向や、各マス目内における局所的な配向規制方向LAL1A,LAL1Bは、図2中の座標系で表すとそれぞれx軸、y軸と略45度の角をなす方向に設定されている。
もう一方の基板SUB2には、溶剤可溶型のポリイミド前駆体であるSE7210(日産化学社製)の溶液を塗布した後、200°Cまで加熱し、30分放置し溶剤を除去して緻密なポリイミド膜を得た後、ラビングローラに取付けたバフ布で配向膜表面をラビング処理し、図2中の座標軸のx軸方向のALD2で表せられる単一の配向容易軸をもつ液晶配向能を付与した。
次いで、この液晶セルの基板間に、ネマチック液晶組成物ZLI−4535(メルク社製)(誘電異方性Δεが正でその値が14.8であり、屈折率異方性Δnが0.0865)を真空で注入し、紫外線硬化型樹脂からなる封止材で封止して液晶パネルを得た。このとき液晶層の厚みは上記のスペ−サにより、液晶封入状態で6.4μmとなるように調整した。従って、本実施例の液晶表示素子のリタデーション(Δnd)は、0.5μmとなる。
この第1実施例の液晶表示素子のスイッチング特性を図3を用いて説明する。図中において、V1,V2は、第1の櫛歯電極EL1A,EL1Bおよび第2の櫛歯電極EL2A,EL2B間に加えられる電圧波形、Trはそれに伴う液晶素子の透過率の変化を表す。
図4にそれぞれ、暗状態〔図4(a)参照〕、明状態〔図4(b)参照〕に対応する液晶層内の液晶配向状態の模式図を示す。
次に、液晶視野角測定装置CV−1000(ミノルタ社製)を用いて、本実施例の液晶表示素子の、視野角特性を測定したところ、上下140度、左右140度の全域でコントラスト比が10:1以上で、かつ階調反転のない広視野角特性が得られた。
次に、本発明の第2実施例について説明する。
液晶材料にカイラルドーパントとしてCB−15(メルク社製)を、組成物の螺旋ピッチ長が約15μmとなるように組成したものを用いた以外は、上記第1実施例と同様にして液晶表示素子を作製し、第2実施例とした。
この実施例の場合のスイッチング交流電圧は、V1として5Vpp、V2として4.8Vppであり、カイラルドーパント添加によるツイステッドプラーナー状態のエネルギー安定化効果により、V1,V2の駆動電圧非対称性をほぼ解消することができた。
第1実施例と同様の視野角測定においても、第1実施例とほぼ同じ広視野角特性を持った均一性の高い表示が得られた。
液晶材料としてTX2A(メルク社製)を用い、図6に示すように、櫛歯電極を1 組のみ持つ構成として、2周波駆動回路を用いた以外は、上記第1実施例と同様にして液晶表示素子を作製し、第3実施例とした。
上記の液晶組成物TX2Aは、その誘電異方性(Δε)が低周波では正で、高周波では負となる2周波駆動用のネマチック組成物であり、そのクロスオーバー周波数は6kHzである。
また、第1実施例と同様にして、クリスタルローテーション法により、同一配向層と同一液晶材料TX2Aを用いた液晶セルの二つの方向の配向容易軸を有する配向層と液晶界面でのプレチルト角を測定したところ2度以下で、測定精度の範囲内でプレチルト角が略0度であることを確認した。
図8に示すように、基板SUB1、基板SUB2それぞれに対となる平行平板電極を加えた構成とした以外は、上記第3実施例と同様にして液晶表示素子を作製し、第4実施例とした。
上記の対となる平行平板電極はITO透明電極からなり、交流電圧V2が加えられる駆動回路に接続されている。
次に、本発明の第5実施例について説明する。
図9に示すように、基板SUB1上に光反射板REFとその上にλ/4板QPを加えた構成とし、セルギャップを半分の3.2μmとし、配向層AL1の各チェッカーボードパターン内の局所的な二つの配向規制方向LAL1A,LAL1B形成時の紫外偏光光強度を調整して、AL1にお互いに45度の角度をなす二つの液晶配向容易軸ALD1A,ALD2Aを付与した配向層を用いた以外は、上記第3実施例と同様にして反射型の液晶表示素子を作製し、第5実施例とした。
上記の配向層AL1の構成により、本実施例における二つの安定な液晶層の配向状態は、図4(b)に示すものを45度捩れの構造としたものとなり、図4の透過型の構成と同じく一様配向状態で暗、(45度)ツイステッドプラーナー状態で明状態となる。
本実施例についても、第1実施例と同様にしてクリスタルローテーション法により、同一配向層と同一液晶材料を用いた液晶セルの二つの方向の配向容易軸を有する配向層と液晶界面でのプレチルト角を測定したところ2度以下で、測定精度の範囲内でプレチルト角が略0度であることを確認した.
次に、本発明の第6実施例について説明する。
本実施例の電気光学特性および視野角特性は第1実施例とほぼ同じであるが、前述の様に複屈折モードによる透過率として光学特性が得られる点が異なる。
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨にもとづいて種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
EL1,EL1A,EL1B,EL2,EL2A,EL2B 櫛歯電極
IL1,IL2 絶縁保護膜
LAL1A,LAL1B 各配向パターン内の液晶配向規制方向
AL1,AL2 配向層
POL1,POL2 偏光板
ALD2 ラビング方向
REF 光反射板
QP λ/4板
ALD1A,ALD1B 液晶配向容易軸
LCL 液晶層
LUV1,LUV2 照射紫外光の直線偏光方向
PMASK フォトマスク
Claims (9)
- 少なくとも一方が透明な一対の基板と、前記一対の基板の少なくとも一方の基板に形成された、前記基板面に略平行な成分を持つ電界を液晶層に印加するための電極群と、前記一対の基板間に配置された液晶層と、該液晶層と前記一対の基板の少なくともどちらか一方の基板の間に配置された、二つの異なる液晶配向規制方向が形成されるように処理された配向層とを有する液晶表示素子において、
前記配向層の二つの異なる液晶配向規制方向が略1μm角の小領域毎に異なるものであり、前記配向層の液晶配向規制処理が、前記基板表面上の配向層に化学反応を与え得る光を直線偏光光として複数回照射する処理であり、
前記配向層が、前記直線偏光光の複数回の照射に対して、その液晶配向規制方向が、最後に照射された直線偏光光の偏光方向に対応した液晶配向規制方向となる光反応性材料からなることを特徴とするネマチック液晶を用いた液晶表示素子。 - 前記配向層に対して複数回照射を行う前記液晶配向規制処理のうち少なくとも一回が、前記基板表面上の配向層に化学反応を与え得る光を直線偏光光として照射する代わりに、無偏光光を基板法線に対して斜め方向から入射する光として照射する処理であり、
前記配向層が、前記斜め入射光の複数回の照射に対して、その液晶配向規制方向が、最後に照射された斜め入射光の斜め入射方向に対応した液晶配向規制方向となる光反応性材料からなることを特徴とする請求項1記載のネマチック液晶を用いた液晶表示素子。 - 前記二つの異なる液晶配向規制方向を形成する前記処理の一方が、当該処理対象となる領域全体に一様に施される処理であり、他方が、当該処理対象となる領域の一部分のみに選択的に施される処理であることを特徴とする請求項1又は2記載のネマチック液晶を用いた液晶表示素子。
- 前記二つの異なる液晶配向規制方向が前記基板面内で略直交し、かつ、すくなくとも一方の液晶配向規制方向における前記基板面からのプレチルト角が略0度であることを特徴とする請求項1、2又は3記載のネマチック液晶を用いた液晶表示素子。
- 前記液晶層が、不斉分子を組成成分として含有する液晶材料からなることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載のネマチック液晶を用いた液晶表示素子。
- 前記液晶層が、その誘電異方性の符号が印加される交流電界の周波数に依存して正・負両方とり得る液晶材料からなることを特徴とする、請求項1、2、3、4又は5記載のネマチック液晶を用いた液晶表示素子。
- 前記電極群を構成する電極の少なくとも一部が櫛歯電極であることを特徴とする、請求項1、2、3、4、5又は6記載のネマチック液晶を用いた液晶表示素子。
- 前記櫛歯電極とは別に、前記一対の基板のそれぞれの基板上に配置された、対となる電極を有することを特徴とする、請求項7記載のネマチック液晶を用いた液晶表示素子。
- 前記一対の基板のどちらかの基板上に、光反射板が配置されたことを特徴とする、請求項1、2、3、4、5、6、7又は8記載のネマチック液晶を用いた液晶表示素子。
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