JP4862855B2 - 半導体素子 - Google Patents

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本発明は、例えば高密度光ディスクの読み取り装置などに用いられる、III−V窒化物を用いた発光ダイオードやレーザーダイオードなどの短波長の発光素子、フォトダイオードなどの受光素子、高温環境でも動作する高温半導体素子、高速動作半導体素子などの半導体素子に関するものである。
ウルツ鉱型結晶構造を持つIII−V族窒化物は広い禁制帯幅を有する直接遷移型の半導体であるため、短波長の発光素子や受光素子、更に高温半導体素子や高速半導体素子の材料として注目されている。このようなウルツ鉱型結晶構造を持つIII−V族窒化物としては、窒化ガリウム(GaN)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化ホウ素(BN)、窒化インジウム(InN)、及びこれらの混晶があり、物質の違いや混晶の組成比を変化させることにより禁制帯幅を変化させることができる。
特に、窒化ガリウム及びその混晶は、発光素子材料として活発に研究されている。そして、最近では窒化ガリウム系化合物半導体を用いた青色及び青緑色LED(発光ダイオード)が実用化され、次の段階として高密度光ディスクの読み取り装置などに使用される短波長LD(レーザーダイオード)の実用化が期待されている。
ところで、LEDやLDなどの半導体素子を形成する場合には、半導体の単結晶膜を同種の単結晶基板上に成長させる必要があるが、前記したIII−V族窒化物は基板となる大型の単結晶を合成することができなかったため、従来から異種基板上にIII−V族窒化物単結晶膜を成長させるヘテロエピタキシャル成長が用いられていた。このヘテロエピタキシャル成長のための基板としては、サファイア単結晶の(0001)面(C面)や(11−20)面(A面)、Si単結晶の(111)面、6H−SiC単結晶の(0001)面、MgAl単結晶の(111)面などが知られている。
これらの中でもサファイア単結晶基板は、低温成長バッファー層を介して結晶性の良好な窒化ガリウム系化合物半導体の単結晶膜を成長させることが可能であり、また比較的安価なため、上記の窒化ガリウム系化合物半導体を用いた青色及び青緑色LEDなどに最も一般的に用いられている。
しかし、特にLDについてはGaAs系化合物半導体やInP系化合物半導体を用いた赤外域のものが実用化されているが、III−V族窒化物を用いた青色発光のLDはまだ研究段階にあり、幾つかの研究報告がなされている。例えば、Jpn. J. Appl. Phys., Vol.35(1996)PP.L74〜L76、Jpn. J. Appl. Phys., Vol.35(1996)PP.L217〜L220、及びAppl. Phys. Lett., Vol.68、 No.15(1996)PP.2105〜2107などがあるが、いずれもパルス発振である。
また、連続発振としては、Appl. Phys. Lett., Vol.69、 No.26(1996)PP.4056〜4058に報告があるが、連続発振中の温度上昇のため寿命が短い。その理由は、使用する単結晶基板がIII−V族窒化物ではないため、基板上のIII−V族窒化物単結晶膜との間で格子定数の差及び熱膨張係数の差が大きく、結晶性の良好なIII−V族窒化物単結晶膜の合成が困難であり、単結晶膜中に転位などの多くの欠陥を含んでしまうためである。
このように発光素子としての応用は一部で実現しているが、高温半導体素子や高速半導体素子はまだ実用化されていない。その理由もまた、III−V族窒化物単結晶膜中に転位などの多くの欠陥が含まれているためである。高温下では転位が増殖して性能を著しく低下させるため寿命が短くなり、またこれらの転位はキャリアの移動度を下げてしまうため高速動作の実現が困難である。
このため低温成長バッファー層の導入による膜質の改善が試みられているが、充分な改善がなされていない現状である。また、使用する単結晶基板の劈開が困難であるため、LDの形成に際して共振面の平坦性を確保できず、共振面の形成工程も複雑であるという問題点がある。
上記問題点を解決する方法として、III−V族窒化物である窒化ガリウム単結晶を単結晶基板に利用する試みが、Jpn. J. Appl. Phys., Vol.35(1996)PP.L77〜L79に報告されている。しかしながら、現在合成できる窒化ガリウム単結晶は最大でも約2mm角と小さく、連続発振可能なLDなどの半導体素子としての実用化は困難である。
更に、発光素子、特にLDは発光時の発熱量が大きく、高速半導体素子は高速動作時の発熱量が大きいため、更に高温半導体素子でも素子の劣化をおさえるため、熱の放散性を良くする必要があることから、熱伝導率の大きな基板を用いることが望ましい。しかしながら、必要な単結晶膜を結晶成長させることが可能なサファイア、Si、MgAl等の基板は、いずれも熱伝導率が小さい。このため、高出力や温度安定性の要求される素子では、これらの基板をヒートシンク材料にボンディングして用いている。尚、Jpn. J. Appl. Phys.,Vol.34(1995)PP.L1517〜L1519には、サファイア単結晶基板上にAlN膜を介してGaN層を形成した素子が提案されているが、サファイア単結晶を基板とするので上記放熱性の問題が解決されていない。
熱伝導率の大きな材料の基板上に半導体材料を成長させた例としては、特開昭64−42813号公報に示されるように、ダイヤモンド単結晶基板上に半導体の単結晶膜を形成したものがある。これは、ダイヤモンド単結晶基板上に、窒化ガリウム、窒化インジウム、窒化アルミニウムなどから選択された少なくとも1種の物質からなる少なくとも1層の単結晶層を形成した薄膜単結晶基板に関するもので、熱伝導率が大きく、熱膨張係数が小さく、耐熱性及び環境性に優れた基板を提供することを目的としている。しかし、このダイヤモンド単結晶基板も、III−V族窒化物単結晶との格子定数及び熱膨張係数の整合が充分でない。
Jpn. J. Appl. Phys., Vol.35(1996)PP.L74〜L76 Jpn. J. Appl. Phys., Vol.35(1996)PP.L217〜L220 Appl. Phys. Lett., Vol.68、 No.15(1996)PP.2105〜2107 Appl. Phys. Lett., Vol.69、 No.26(1996)PP.4056〜4058 Jpn. J. Appl. Phys., Vol.35(1996)PP.L77〜L79 Jpn. J. Appl. Phys.,Vol.34(1995)PP.L1517〜L1519 特開昭64−42813号公報
上記のごとく、III−V族窒化物単結晶膜の成長に従来から使用されてきたサファイア、Si、SiC、MgAlなどの基板材料は、III−V族窒化物との格子定数や熱膨張係数の整合が充分でない。このため、これらの基板上に結晶性の良好なIII−V族窒化物単結晶膜を合成することは困難であり、現状では基板との間に低温成長バッファー層の形成が必要不可欠であった。
また、上記した従来使用のSiC以外の各単結晶基板は、LDの共振面形成のための劈開ができなかった。エッチングにより劈開面を形成する試みがあるが、十分平坦な共振面が得られず、形成工程も複雑になる欠点があった。また、SiCを基板とした場合には、原因は明らかではないが、恐らく熱膨張率の差に伴う応力、あるいはSiC成分のGaN膜中への拡散のため、発光特性が悪いという問題があった。更に、従来最も一般的に使用されているサファイア基板は熱伝導率が極めて小さく、発光素子などに用いるためにはヒートシンクにボンディングする必要があった。しかも、サファイアは導電性がないため、ヒートシンクにボンディングする際の電極の取りまわしが困難であった。
上記Jpn. J. Appl. Phys., Vol.35(1996)PP.L77〜L79に記載されるように、窒化ガリウムの単結晶基板を使用すれば良質のIII−V族窒化物単結晶膜の合成が可能である。しかし、基板に用いる窒化ガリウム単結晶は大型化が困難な現状であり、また熱伝導率も小さく、放熱性に劣っている。また、上記特開昭64−42813号公報に記載の技術は、放熱を目的として熱伝導率が大きいダイヤモンド単結晶基板を用いているが、III−V族窒化物単結晶との格子定数や熱膨張係数の整合が充分でないといった問題があった。
本発明は、このような現状に鑑み、III−V族窒化物と格子定数及び熱膨張係数が整合している基板を用い、特に劈開面をもち、熱伝導率が良く、比較的大きな単結晶が得られる基板を用いて、その基板上に結晶性の良好なIII−V族窒化物単結晶膜を成長させ、III−V族窒化物を用いた連続発振が可能な短波長の発光素子、受光素子、高温半導体素子や高速半導体素子などの半導体素子を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明が提供する半導体素子は、10ppb以上0.1モル%以下の遷移金属を含有し、X線回折におけるロッキングカーブの半値幅が1.5分以下であり、(10−10)面もしくは(11−20)面を劈開面として利用した共振面を(0001)面の基板面に対して垂直に形成するか、(0001)面もしくは(1−210)面を劈開面として利用した共振面を(10−10)面の基板面に対して垂直に形成するか、または(0001)面もしくは(1−100)面を劈開面として利用した共振面を(11−20)面の基板面に対して垂直に形成したIII−V族窒化物単結晶基板と、該窒化物単結晶基板上にMOCVD法によって成膜された窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化インジウム及びこれらの物質からなる混晶の中から選ばれた少なくとも1種のIII−V族窒化物の単結晶膜とを備えることを特徴とする。前記III−V族窒化物単結晶基板は、窒化アルミニウムから構成されていることが好ましい。
また、上記本発明の半導体素子において、前記III−V族窒化物の単結晶膜は、III−V族窒化物単結晶半導体基板上に窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化インジウム及びこれらの物質からなる混晶の中から選ばれた少なくとも1種のIII−V族窒化物の低温バッファー層を介して成膜されていることが好ましい。
本発明における半導体素子とは、発光素子、受光素子、高温半導体素子、高速半導体素子などを含み、特に発光素子は発光ダイオード(LED)及びレーザーダイオード(LD)を含むものである。特にLDの場合には、共振面を窒化アルミニウム単結晶基板とIII−V族窒化物単結晶膜の劈開によって形成することができる。その場合、劈開面としてIII−V族窒化物単結晶膜の(10−10)面か(11−20)面を利用し、そのためには窒化アルミニウム単結晶の(0001)面を基板とするか、若しくは劈開面としてIII−V族窒化物単結晶膜の(0001)面を利用し、そのためには窒化アルミニウム単結晶の(10−10)面か(11−20)面を基板とすることが有利である。
また、基板として窒化アルミニウム単結晶を使用する本発明においては、これまで結晶性及び膜表面の平滑性に優れたIII−V族窒化物単結晶膜を成長させるために必要であったIII−V族窒化物の低温成長バッファー層を無くし、窒化アルミニウム単結晶基板上にIII−V族窒化物単結晶膜を直接形成して半導体素子を構成することも可能である。
本発明によれば、III−V族窒化物と格子定数及び熱膨張係数が整合していて、劈開面をもち、放熱性が良好な大型の窒化アルミニウム単結晶基板を用いることにより、その上に結晶性の良好なIII−V族窒化物単結晶膜を成長させることができ、III−V族窒化物を用いた半導体素子、例えば連続発振可能な短波長の発光素子、受光素子、高温半導体素子、高速半導体素子などを提供することができる。
また、本発明によれば、従来必要であった低温成長バッファー層が不要になるうえ、ヒートシンクを取り付ける必要のない放熱性に優れた半導体素子を提供することができ、特にIII−V族窒化物を用いた発光ダイオードやレーザーダイオードなどの発光素子を実現することが可能となり、レーザーダイオードでは基板の劈開を利用して共振器を作ることができる。
本発明は、III−V族窒化物と格子定数及び熱膨張係数が近く、熱伝導率が良好であって、比較的大きな単結晶が得られる窒化アルミニウム(AlN)を基板として用い、この窒化アルミニウム単結晶基板上にIII−V族窒化物を成長させることにより結晶性の優れた単結晶膜を形成し、短波長の発光に適した発光素子などの半導体素子を実現したものである。
一般に発光素子などの半導体素子を実現化するためには、製造コストを低減できるよう大きな単結晶基板を用いる必要がある。III−V族窒化物の単結晶は自然には産出せず、人工合成する必要があって、従来から窒化ホウ素、窒化ガリウム、窒化アルミニウムの各単結晶の人工合成が行われている。その中でも、窒化アルミニウム単結晶は比較的大きなものを安定的に且つ安価に合成することができるので、半導体素子を形成するための基板として適している。
また、本発明者らは、特願平8−141236号として、更に大型で高品質の窒化物単結晶の製造方法を提案した。この方法は、AlNなどの窒化物の粉末に該窒化物と加熱下に反応してこれを分解気化させる酸化物の粉末を混合し、その混合粉末を窒素雰囲気中か又は水素及び/又は炭素を含む窒素雰囲気中において該窒化物の昇華温度又は溶融温度よりも低い温度で加熱し、窒化物粉末を酸化物粉末との反応により分解気化せしめ、この分解気化成分を気相から基板上に結晶成長させて、AlN等の窒化物を得るものである。
この方法によって、バルク素材として実用に供し得る大きさのもの、具体的には長さ及び幅が共に10mm以上且つ厚みが300μm以上の窒化アルミニウム単結晶を製造することができ、この大型で高品質の窒化アルミニウム単結晶は本発明の半導体素子用の基板として最適である。特に、AlN粉末に混合する酸化物粉末として、IVa族又はVa族元素の酸化物、中でもTiO粉末を使用することが好ましく、この場合に得られる窒素以外の成分の90モル%以上がAlであって、酸素含有量が500ppm以下の高品質の窒化アルミニウム単結晶が、本発明の半導体素子の基板として特に好ましい。
かかる窒化アルミニウム単結晶の結晶性は、X線回折におけるロッキングカーブの半値幅で1.5分以下であることが好ましく、半値幅が1.5分を上回る単結晶基板を用いると半導体素子の寿命などの性能を低下させる傾向がある。また、窒化アルミニウム単結晶の基板としての厚みは、300μm以上であることが好ましく、300μm未満になると結晶性が低下しやすい。
窒化アルミニウム単結晶には、遷移金属を10ppb以上0.1モル%以下含有することが好ましく、特に遷移金属はチタンであることが好ましい。遷移金属は半導体素子の性能を劣化させる酸素と結合しやすく、単結晶中に微量に含まれる酸素不純物を捕獲して、単結晶基板から半導体素子への酸素の拡散を起こりにくくし、半導体素子の性能劣化を抑制する。しかし、遷移金属の含有量が10ppb未満ではこの効果がみられず、0.1モル%を越えると単結晶中に遷移金属及びその窒化物や酸化物などが異物として析出するため、窒化アルミニウム単結晶の結晶性が損なわれる。
III−V族窒化物を用いた発光素子、中でもLEDとLDは、発光素子の特性(発光強度、寿命など)の向上のために結晶性の良さが求められる。単結晶基板上に形成される単結晶膜の結晶性は、単結晶基板と単結晶膜の格子定数及び熱膨張係数が近いほど良くなることが知られている。本発明で基板とする窒化アルミニウムは、それ自体がIII−V族窒化物であることから、従来基板として用いられてきたサファイア、Si、SiC、MgAlに比べて、単結晶膜を構成するIII−V族窒化物と格子定数及び熱膨張係数が近い。
従って、窒化アルミニウム単結晶基板上に形成されるIII−V族窒化物膜は結晶性が良く、これを用いた本発明の発光素子は従来構造のものより特性が向上する。このため、従来技術では異種基板上に結晶性の良いIII−V族窒化物の単結晶膜を得るために低温成長のバッファー層の形成が必要不可欠とされていたが、本発明では必ずしもバッファー層を設ける必要が無い。
また、発光素子のうちLDは、その構造に共振面を形成する必要がある。共振面は高い平坦性が要求されることから、劈開による形成が好ましい。本発明では、窒化アルミニウム単結晶基板上にIII−V族窒化物単結晶膜を形成するので、両者の結晶面方位は揃い、劈開面も一致する。よって、従来のサファイア基板等の場合と異なり、単結晶基板と単結晶膜の劈開によって容易に共振面を形成することができる。
この場合、特に、窒化アルミニウム単結晶基板として(0001)面、(10−10)面、(11−20)面の基板を用いることが好ましい。(0001)面基板の場合には、劈開面として(10−10)面か(11−20)面を利用した共振面を基板面と垂直に形成することにより、素子形成が容易になる。(10−10)面基板の場合には(0001)面か(1−210)面を、また(11−20)面基板の場合は(0001)面か(1−100)面を、それぞれ劈開面として利用した共振面を基板面と垂直に形成することによって、素子形成が容易になる。それ以外の面方位の基板を用いた場合は、基板に対して劈開面が斜めに傾くため、素子形成の際の取り扱いが難しくなる。
中でも(10−10)面基板又は(11−20)面基板を用いることが好ましい。これは、(0001)面基板の場合は30°回転ごとに劈開面が存在するため、劈開面がきれいにならず、平坦な共振面を形成しにくくなるのに対して、(10−10)面基板と(11−20)面基板では劈開面が90°回転になり、きれいな共振面を比較的容易に形成できるからである。
更に、III−V族窒化物を用いた発光素子、中でもLEDとLD、及び高速動作半導体素子では、駆動電力が大きくなることが予測され、また高温半導体素子でも温度によるダメージを減らすため、特に放熱性の良い構造が必要となる。窒化アルミニウムは、従来基板として用いられてきたサファイア、MgAl等に比べ極めて大きな熱伝導率を有するため、上記の半導体素子を形成した場合に放熱性が良く、基板とは別にヒートシンクを用いる必要がない。従って、これら従来の基板材料を用いる場合よりも、コスト低減が可能である。特にIII−V族化合物を用いたLDは発振しきい値電流や駆動電圧が大きく、発熱量が極めて大きくなることが予想されるため、本発明の構造が極めて有効となる。
尚、本発明で用いる窒化アルミニウム基板では、その上に結晶性及び膜表面の平滑性に優れたIII−V族窒化物単結晶膜を成長させるために、III−V族窒化物単結晶膜を形成させる面の表面粗さを0.1μm以下とすることが好ましい。
窒化アルミニウム単結晶基板上に成長させるIII−V族窒化物単結晶膜は、ウルツ鉱型結晶構造を有するIII−V族窒化物、例えばGaN、AlN、BN及びInN、並びにAlGa(1−x)N、InGa(1−x)N、BGa(1−x)N、BAl(1−x)N、InAl(1−x)N、BIn(1−x)Nなどの混晶である。混晶の場合には、例に挙げた3元混晶の他に、4元や更に多元の混晶を用いても良い。
これらのIII−V族窒化物の単結晶膜を窒化アルミニウム単結晶基板上に成長させる方法としては、MBE法(Molecular Beam Epitaxy method;分子線エピタキシー法)、MOCVD法(Metal Organic Chemical Vapor Deposition method;有機金属化学蒸着法)、スパッタ法、真空蒸着法など、基板上に単結晶膜を形成するのに用いられている公知の方法を用いることができる。これらの方法で単結晶膜を成長させるためには、基板を高温に加熱する必要があり、単結晶膜の成長可能な基板温度は成長させる膜の種類や成膜方法により異なるが、III−V族窒化物単結晶膜では500℃から1300℃の間が好ましい。
窒化アルミニウム基板上には、上記のごとくIII−V族窒化物単結晶膜を低温成長バッファー層の介在なしに成長させることができる。しかしながら、結晶性及び膜表面の平滑性に優れたIII−V族窒化物単結晶膜を成長させるためには、基板上にIII−V族窒化物の低温成長バッファー層を形成し、この上に単結晶膜を形成することが望ましい。低温成長バッファー層を利用する場合、バッファー層としてはウルツ鉱型結晶構造を有するIII−V族窒化物を使用でき、特に格子整合するものが好ましいが、必ずしもその上に成長させる単結晶膜と同一の材料に制限されるものではない。
低温成長バッファー層の形成方法としては、先に述べたIII−V族窒化物単結晶膜の形成方法と同一の方法を用いれば良いが、基板温度を単結晶膜を成長させる場合よりも低くし、アモルファス又は多結晶の膜を成長させる必要がある。低温成長バッファー層を形成するための基板温度は、成長させる膜の種類や成膜方法により異なるが、一般に20℃から900℃の間である。尚、低温成長バッファー層は、形成時はアモルファス又は多結晶であるが、その上に単結晶膜を形成するために基板温度を高くした際に単結晶に変化することが多い。
半導体素子におけるIII−V族窒化物単結晶膜は、通常は不純物の添加により導電率を制御して用いられる。即ち、本発明のIII−V族窒化物単結晶膜では、不純物として、ケイ素、スズ、酸素、硫黄、セレン、テルルなどから選ばれた少なくとも1種類を添加することによりn型伝導性を、あるいは亜鉛、ベリリウム、マグネシウム、カリウムなどから選ばれた少なくとも1種類を添加することによりp型伝導性を持たせることが可能である。低温成長バッファー層も、III−V族窒化物単結晶膜と同様に、不純物添加により導電率を制御して用いることができる。
以上のようにして、図1に示すように窒化アルミニウム単結晶基板1上にIII−V族窒化物単結晶膜2を形成し、更にその上に材料や混晶の組成比の変化によりバンドギャップを変化させたIII−V族窒化物の単結晶膜を積層した構造を形成して、所定の電極を設けることにより、発光ダイオードやレーザーダイオードなどの本発明の半導体素子を形成することができる。
[実施例1]
まず、基板とする窒化アルミニウム単結晶を以下のごとく製造した。純度99%のAlN粉末と純度99%のTiO粉末をAlNに対するTiOのモル比が0.75となるように配合し、エタノール中で超音波混合を行い、その後乾燥することによりエタノールを除去して混合粉末とした。一方、結晶成長用の基板として、10mm角のc面カットされたβ型SiC単結晶板を準備した。
この混合粉末とSiC単結晶基板を、図2に示すように加熱炉内に配置した。即ち、加熱炉3は、誘導加熱コイル4と断熱材マッフル5とを備え、断熱材マッフル5の内側には蓋を備えた容器状の黒鉛坩堝6を配置し、その内側に蓋のないBN坩堝7が備え付けてある。また、加熱炉3の上部には、雰囲気ガスの入口8aと出口8bを設けてある。この加熱炉3のBN坩堝7内に、圧縮成形した上記混合粉末9を配置し、その上方に対向させて上記SiC単結晶板の基板10をセットした。
この加熱炉3内を一旦真空にした後、入口8aから窒素ガスを導入して炉内を1気圧(760Torr)とし、誘導加熱により混合粉末9の周囲をAlNの分解温度(2200℃)より低い1800℃に加熱する一方、加熱部制御により基板10の周囲を1700℃に昇温して24時間保持した。この時の加熱炉3内の気相成分を分光分析した結果、酸素分圧は0.05Torr、炭素分圧(Pr)と酸素分圧(Po)の比Pr/Poは2.0であった。
その結果、SiC単結晶板からなる基板10の下側表面に、10mm角で厚み8200μmの透明琥珀色の窒化アルミニウムが成長し、X線回折による結晶性評価により窒化アルミニウムの単結晶であることが確認できた。また、その組成分析の結果、Alの含有率は92モル%であり、酸素量は350ppm、炭素は8モル%、Tiが0.02モル%であった。
上記のごとく得られた窒化アルミニウム単結晶の表面を平坦に研磨して、有機溶媒により洗浄し、その(0001)面を基板として用いて、図3に示す構造を有するIn0.10.9Nを活性層とした発光ダイオード(LED)を形成した。即ち、上記の窒化アルミニウム基板11を用い、この窒化アルミニウム基板11の表面にn型GaN低温成長バッファー層13を介してn型GaN単結晶膜12を形成し、更にn型In0.10.9N単結晶膜14及びp型GaN単結晶膜15を順に成膜し、電極16、17を形成することにより、In0.10.9Nを活性層とする発光ダイオード(LED)を形成した。
上記各III−V族窒化物単結晶膜の成長は、MOCVD法を用いて、大気圧下で以下の通り行った。最初のn型GaN低温成長バッファー層13は、キャリアガスとしてHを10l/minの流量で、原料ガスとしてNH、トリメチルガリウム、SiH(H希釈、濃度10ppm)をそれぞれ4.0l/min、30μmol/min、4nmol/minの流量で反応室内に導入し、基板温度500℃にて1分間保持して、窒化アルミニウム単結晶基板11上にn型GaN低温成長バッファー層13を膜厚25nmだけ成長させた。次に、導入ガスはそのままで基板温度を1000℃に上昇させ、低温成長バッファー層13上にn型GaN単結晶膜12を60分間で4μmの膜厚に成長させた。
引き続いて基板温度を800℃にし、キャリアガスとしてNガスを10l/minの流量で、原料ガスとしてNH、トリメチルインジウム、トリメチルガリウム、SiH(H希釈、濃度10ppm)をそれぞれ4.0l/min、24μmol/min、2μmol/min、1nmol/minの流量で反応室内に導入し、n型GaN単結晶膜12上にn型In0.10.9N単結晶膜14を7分間で20nmの膜厚に成長させた。更に、基板温度を再び1000℃とし、n型In0.10.9N単結晶膜14上にp型GaN単結晶膜15を15分間で膜厚0.8μmに成長させた。その際、成長に用いたガスは、SiHに代えてビスシクロペンタジエチルマグネシウムを3.6μmol/minの流量で用いた以外、n型GaN単結晶膜12の成長時と同じとした。
以上の各単結晶膜の成長を行った後、膜成長後の基板全体をN雰囲気中にて700℃でアニール処理した。その後、反応性ドライエッチングにより各窒化物単結晶膜を部分的に加工することにより、n型GaN単結晶層12の一部を表面に露出させた。最後に、最上層のp型GaN単結晶膜15上及び露出させたn型GaN単結晶膜12上に、スパッタ法によりアルミニウムの電極16、17をそれぞれ形成して、LEDを構成した。
尚、各工程途中のサンプルをそれぞれ用意し、RHEED(高速反射電子線回析)を用いてその結晶構造を評価したところ、n型GaN単結晶膜12、n型In0.10.9N単結晶膜14、p型GaN単結晶膜15とも全てウルツ鉱型結晶構造を有する単結晶膜となっており、それぞれの(0001)面が窒化アルミニウム単結晶基板11の(0001)面に平行に成長していることが判明した。
かくして得られたLEDの特性を室温にて評価したところ、440nmにピーク波長を持つ青色発光が確認された。また、このLEDを1時間連続して発光させたところ、素子性能に影響を与えるほどの素子の温度上昇はなく、輝度の低下等の性能劣化は生じなかった。
[実施例2]
上記実施例1と同じ窒化アルミニウム単結晶の(0001)面を基板として用い、図4に示す構造を有するIn0.2Ga0.8N/In0.05Ga0.95N量子井戸構造27を活性層としたレーザーダイオード(LD)を形成した。
即ち、図4に示すように、上記の窒化アルミニウム基板21の表面に、n型GaN低温成長バッファー層23を形成し、引き続き順次n型GaN単結晶膜22、n型In0.1Ga0.9N単結晶膜24、n型Al0.15Ga0.85N単結晶膜25、n型GaN単結晶膜26、In0.2Ga0.8N/In0.05Ga0.95N量子井戸構造27、p型Al0.2Ga0.8N単結晶膜28、p型GaN単結晶膜29、p型Al0.15Ga0.85N単結晶膜30、p型GaN単結晶膜31を形成し、電極32、33を形成してLDを構成した。
上記各III−V族窒化物単結晶膜の成長は、MOCVD法を用い、大気圧下で下記のごとく行った。最初に、窒化アルミニウム単結晶基板21上に、基板温度500℃にてn型GaN低温成長バッファー層23を成長させた。その際、キャリアガスとしてHを10l/minの流量で、原料ガスとしてNH、トリメチルガリウム、SiH(H希釈、濃度10ppm)をそれぞれ4.0l/min、30μmol/min、4nmol/minの流量で反応室内に導入し、25nmの膜厚に成長させた。
次に、導入ガスはそのままで基板温度を1000℃に上昇させ、n型GaN低温成長バッファー層23上に、n型GaN単結晶膜22を60分間で膜厚4μmまで成長させた。その後、キャリアガスとしてHガスを10l/minの流量で、原料ガスとしてNH、トリメチルインジウム、トリメチルガリウム、SiH(H希釈、濃度10ppm)をそれぞれ4.0l/min、24μmol/min、2μmol/min、1nmol/minの流量で反応室内に導入し、n型GaN単結晶膜22上にn型In0.1Ga0.9N単結晶膜24を35分間で100nmの膜厚に成長させた。
次に、基板温度を再び1000℃とし、n型Al0.15Ga0.85N単結晶膜を成長させた。即ち、原料ガスとしてNH、トリメチルアルミニウム、トリメチルガリウム、SiH(H希釈、濃度10ppm)をそれぞれ4.0l/min、6μmol/min、24μmol/min、4nmol/minの流量で用い、5分間で400nmの膜厚に成長させた。続いて、このn型Al0.15Ga0.85N単結晶膜25上に、n型GaN単結晶膜26を成長させた。原料ガスなど成長条件は前のn型GaN単結晶膜22と同様であり、2分間で100nmの膜厚に成長させた。
更に、このn型GaN単結晶膜26の上に、In0.2Ga0.8N/In0.05Ga0.95Nをそれぞれ2.5nm/5.0nmの膜厚で積層して、26周期の量子井戸構造27を形成した。その際、In0.2Ga0.8N層の形成には、キャリアガスとしてHガスを10l/minの流量で、原料ガスとしてNH、トリメチルガリウム、トリメチルインジウムをそれぞれ4.0l/min、1μmol/min、24μmol/minの流量で用いた。また、In0.05Ga0.95N層は、キャリアガスとしてHガスを10l/minの流量で、原料ガスとしてNH、トリメチルガリウム、トリメチルインジウムをそれぞれ4.0l/min、1μmol/min、1.2μmol/minの流量で用いて成長を行った。
引き続いて、p型Al0.2Ga0.8N単結晶膜28を成長させた。原料ガスはNH、トリメチルアルミニウム、トリメチルガリウム、ビスシクロペンタジエチルマグネシウムをそれぞれ4.0l/min、10μmol/min、24μmol/min、3.6μmol/minの流量で用い、4分間で200nmの膜厚まで成長させた。このp型Al0.2Ga0.8N単結晶膜28の上に、p型GaN単結晶膜29を成長させた。成長に用いた原料ガスは先のn型GaN単結晶膜22と同様であるが、SiH(H希釈、濃度10ppm)に代えて、ビスシクロペンタジエチルマグネシウムを3.6μmol/minの流量で用い、100nmの膜厚に成長させた。
更に、このp型GaN単結晶膜29上に、p型Al0.15Ga0.85N単結晶膜30を成長させた。成長に用いた原料ガスは、SiH(H希釈、濃度10ppm)に代えてビスシクロペンタジエチルマグネシウムを3.6μmol/min流した以外、先のn型Al0.15Ga0.85N単結晶膜25の成長時と同様であり、8分間で400nmの膜厚に成長させた。次に、前のp型GaN単結晶膜29の場合と同様にして、p型GaN単結晶膜31を500nmの膜厚に成長させた。
以上の各単結晶膜の成長を行った後、N雰囲気中にて全体を700℃でアニール処理した。次に、反応性ドライエッチングにより各窒化物単結晶膜を部分的に加工することにより、下層のn型GaN単結晶層22の一部を表面に露出させた。その後、窒化アルミニウム単結晶基板21の(10−10)面を劈開して、共振器を形成した後、最上層のp型GaN単結晶膜31上及び露出したn型GaN単結晶膜22上にスパッタ法によりアルミニウムの電極32、33を形成して、LDを構成した。
尚、各工程途中のサンプルをそれぞれ用意し、RHEEDを用いて評価したところ、各層とも全てウルツ鉱型結晶構造を有する単結晶膜となっており、各単結晶膜の(0001)面が窒化アルミニウム単結晶基板21の(0001)面に平行に成長していることが判明した。
得られたLEDの特性を室温にて評価したところ、420nmにピーク波長を持ち、半価幅が0.9nmのレーザ光の発光が確認された。また、1時間連続して発光させたところ、素子性能に影響を与えるほどの素子の温度上昇はなく、輝度の低下等の性能劣化は生じなかった。
[実施例3]
図4に示す低温成長バッファー層23を形成しないこと以外は上記実施例2と同様にして、図5に示す構造のLDを製造した。尚、図5に示すLDは、低温成長バッファー層23が存在しない点を除いて実施例2における図4のLDと同一構造である。
この図5の構造を有するLDの特性を室温で評価したところ、420nmにピーク波長を持ち、半価幅が1.0nmのレーザ光の発光が確認された。また、1時間連続して発光させたが、素子性能に影響を与えるほどの素子の温度上昇はなく、輝度の低下等の性能劣化は生じなかった。この結果から、低温成長バッファー層を形成しなくとも、これを形成した実施例2のLDと比べて、実用性能の点で大きな違いは認められないことが分かった。
[比較例1]
図6に示すように、サファイア単結晶の(0001)面からなるサファイア単結晶基板41を用い、且つ共振器をドライエッチングで形成した以外は、上記実施例2と同様にして、LDの形成を行った。即ち、図6に示すLDは、基板の材質と共振面の形成方法が異なる以外、実施例2における図4のLDと同一構造である。
このLDの特性を室温にて評価したところ、420nmにピーク波長を持ち、半価幅が1.8nmのレーザ光の発光が確認されたが、10分間の連続発光で明らかな輝度の低下が生じた。
[実施例4]
基板とする窒化アルミニウム単結晶を合成する際に、使用するSiC単結晶基板を6H−SiCの(10−10)面とした以外は前記実施例1と同様にして、窒化アルミニウム単結晶の(10−10)面を合成した。この窒化アルミニウム(10−10)面を基板として用い、(0001)面で劈開した以外は前記実施例2と同様にして、図4に示す構造のLDを製造した。
このLDの特性を室温で評価したところ、420nmにピーク波長を持ち、半値幅が0.6nmのレーザ光の発光が得られた。この結果から、窒化アルミニウム単結晶基板に(10−10)面を用いて、(0001)面の劈開で共振器を構成することによって、発光スペクトルの半値幅がより一層狭いLDを形成でき、共振面の形成に(0001)面を用いることが好ましいことが分かった。
[実施例5]
基板とする窒化アルミニウム単結晶を合成する際に、使用するSiC単結晶基板を6H−SiCの(0001)面とし、窒化アルミニウム単結晶の成長時間を50分及び1時間とした以外は前記実施例1と同様にして、窒化アルミニウム単結晶の(0001)面をそれぞれ合成した。得られた各窒化アルミニウム単結晶は、厚みがそれぞれ290μm及び340μmであり、(0002)面のロッキングカーブをCu−Kα線によるガリウム(110)面を用いた4結晶法で測定した半値幅はそれぞれ1.7分及び1.2分であった。
これらの厚みの異なる各窒化アルミニウム単結晶の(0001)面を基板として用い、前記実施例2と同様にして図4に示す構造のLDをそれぞれ製造した。得られた各LDの特性を室温で評価したところ、共に420nmにピーク波長を持ち、半値幅がそれぞれ1.6nm及び1.5nmのレーザ光の発光が得られた。更に、24時間発光させた後、再び半値幅を測定すると、それぞれ1.8nm及び1.5nmとなった。
これらの結果から、窒化アルミニウム単結晶基板のロッキングカーブの半値幅が1.5分を越える基板(厚み290μm)を用いたLDでは、発光スペクトルの半値幅が広く、しかも発光特性に経時変化が見られる傾向があるため、単結晶基板のロッキングカーブ半値幅は1.5分以下が好ましいことが分かった。また、窒化アルミニウム単結晶基板の厚みを300μm以上にすることで、結晶性の良い単結晶が得られることが分かった。
[実施例6]
基板とする窒化アルミニウム単結晶を合成する際に、AlNに対するTiOのモル比を0.001、0.2、及び10となるように変化させた混合粉末を用い、使用するSiC単結晶基板を6H−SiCの(0001)面とし、混合粉末の周囲の温度を1900℃とした以外は前記実施例1と同様にして、窒化アルミニウム単結晶の(0001)面を合成した。得られた各単結晶中に含まれるTiの含有量は、それぞれ窒素以外の成分の8ppb、0.06モル%、及び0.15モル%であった。
これらのTi含有量の異なる各窒化アルミニウム単結晶の(0001)面を基板として用い、前記実施例2と同様にして図4に示す構造のLDをそれぞれ製造した。得られた各LDの特性を室温で評価したところ、共に420nmにピーク波長を持ち、半値幅がそれぞれ0.8nm、1.0nm及び1.9nmのレーザ光の発光が確認された。更に、24時間発光させた後、再び半値幅を測定すると、それぞれ1.5nm、1.0nm及び1.9nmとなった。
これらの結果から、遷移金属であるTiの含有量が10ppb未満の窒化アルミニウム単結晶基板に形成したLDは発光特性に経時変化が認められ、また同含有量が0.1モル%を越える基板に形成したLDは発光の半値幅が広くなる傾向があることが分かった。このことから、窒化アルミニウム単結晶基板中の遷移金属であるチタンの含有量は、10ppb以上0.1モル%以下が好ましいことが分かった。
[実施例7]
前記実施例1と同じ窒化アルミニウム単結晶の(0001)面を基板として用い、図7に示す構造を有するAl0.5Ga0.5Nのp−n接合ダイオードを形成した。即ち、図7に示すように、前記の窒化アルミニウム単結晶基板21の表面に、n型Al0.5Ga0.5N単結晶膜34を形成し、引き続きその上にp型Al0.5Ga0.5N単結晶膜35を形成した後、電極36、37を設けてダイオードを構成した。
上記各III−V族窒化物単結晶膜の成長は、MOCVD法を用い、大気圧下で下記のごとく行った。最初に、窒化アルミニウム単結晶基板21上に、基板温度1000℃にてn型Al0.5Ga0.5N単結晶膜34を成長させた。その際、キャリアガスとしてHを10l/minの流量で、原料ガスとしてNH、トリメチルアルミニウム、トリメチルガリウム、SiH(H希釈、濃度10ppm)をそれぞれ4.0l/min、10μmol/min、16μmol/min、4nmol/minの流量で反応室内に導入し、3分間で300nmの膜厚に成長させた。
次に、基板温度を1000℃に保ったまま、p型Al0.5Ga0.5N単結晶膜35を成長させた。その際、原料ガスとしてNH、トリメチルアルミニウム、トリメチルガリウム、ビスシクロペンタジエチルマグネシウムを、それぞれ4.0l/min、10μmol/min、15μmol/min、3.6nmol/minの流量で用い、4分間で320nmの膜厚に成長させた。
以上の各単結晶膜34、35の成長を行った後、反応性ドライエッチングにより各単結晶膜34、35を部分的に加工することにより、下層のn型Al0.5Ga0.5N単結晶膜34の一部を表面に露出させた。その後、この露出させたn型Al0.5Ga0.5N単結晶膜34上及び最上層のp型Al0.5Ga0.5N単結晶膜35上に、スパッタリング法によりチタンの電極36、37をそれぞれ形成して、ダイオードを構成した。
得られたダイオードの電気的特性を評価したところ、室温で良好な整流特性が得られ、ダイオードとして動作していることが確認された。更に、温度を200℃まで上昇させて同様の動作テストを行った結果、整流特性が確認され、高温下でもダイオードとして動作することが分かった。このことから、窒化アルミニウム単結晶基板は、ダイオードを構成するのにも適していることが分かった。
[比較例2]
図8に示すようにサファイア単結晶の(0001)面からなるサファイア単結晶基板41を用いた以外は、上記実施例7と同様にしてダイオードを作成した。即ち、図8に示すダイオードは、基板の材質が異なる以外、実施例7における図7のダイオードと同一の構造である。
このダイオードの電気的特性を評価したところ、室温では整流特性が得られダイオードとして同一することが確認できたが、温度を200℃に上昇させて同様の動作テストを行った結果、整流特性は確認できなかった。
本発明の半導体素子の要部を示す概略の断面図である。 実施例1における窒化アルミニウム単結晶基板の製造に用いた加熱炉を示す概略の断面図である。 実施例1の発光ダイオードの構造を示す概略の断面図である。 実施例2のレーザーダイオードの構造を示す概略の断面図である。 実施例3のレーザーダイオードの構造を示す概略の断面図である。 比較例1のレーザーダイオードの構造を示す概略の断面図である。 実施例7のダイオードの構造を示す概略の断面図である。 比較例2のダイオードの構造を示す概略の断面図である。
符号の説明
1 窒化アルミニウム単結晶基板
2 III−V族窒化物単結晶膜
3 加熱炉
4 誘導加熱コイル
5 断熱材マッフル
6 黒鉛坩堝
7 BN坩堝
9 混合粉末
10 基板
11 窒化アルミニウム単結晶基板
12 n型GaN単結晶膜
13 n型GaN低温成長バッファー層
14 n型In0.1Ga0.9N単結晶膜
15 p型GaN単結晶膜
16、17 電極
21 窒化アルミニウム単結晶基板
22 n型GaN単結晶膜
23 n型GaN低温成長バッファー層
24 n型In0.1Ga0.9N単結晶膜
25 n型Al0.15Ga0.85N単結晶膜
26 n型GaN単結晶膜
27 In0.2Ga0.8N/In0.05Ga0.95N量子井戸構造
28 p型Al0.2Ga0.8N単結晶膜
29 p型GaN単結晶膜
30 p型Al0.15Ga0.85N単結晶膜
31 p型GaN単結晶膜
32、33 電極
34 n型Al0.5Ga0.5N単結晶膜
35 p型Al0.5Ga0.5N単結晶膜
36、36 電極
41 サファイア単結晶基板

Claims (6)

  1. 10ppb以上0.1モル%以下の遷移金属を含有し、X線回折におけるロッキングカーブの半値幅が1.5分以下であり、(10−10)面もしくは(11−20)面を劈開面として利用した共振面を(0001)面の基板面に対して垂直に形成するか、(0001)面もしくは(1−210)面を劈開面として利用した共振面を(10−10)面の基板面に対して垂直に形成するか、または(0001)面もしくは(1−100)面を劈開面として利用した共振面を(11−20)面の基板面に対して垂直に形成したIII−V族窒化物単結晶基板と、該窒化物単結晶基板上にMOCVD法によって成膜された窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化インジウム及びこれらの物質からなる混晶の中から選ばれた少なくとも1種のIII−V族窒化物の単結晶膜とを備えることを特徴とする半導体素子。
  2. 前記III−V族窒化物の単結晶膜は、III−V族窒化物単結晶半導体基板上に窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化インジウム及びこれらの物質からなる混晶の中から選ばれた少なくとも1種のIII−V族窒化物の低温バッファー層を介して成膜されていることを特徴とする、請求項1に記載の半導体素子。
  3. 前記III−V族窒化物単結晶基板の表面荒さが0.1μm以下であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の半導体素子。
  4. 前記III−V族窒化物単結晶基板が窒化アルミニウムから構成されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の半導体発光素子。
  5. 1時間連続して発光させて輝度の低下が生じないことを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の半導体発光素子。
  6. 200℃においても整流特性を有することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の半導体発光素子。
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