本願の第1の発明は、第1のネットワークに接続された管理端末と、該管理端末と第2のネットワークを介して接続された複数の通信端末とを有し、管理端末が、各通信端末との間で、第2のネットワークを介したフレームの送受信を管理する通信システムであって、通信端末は、管理端末と他の通信端末との間でフレームを送受信する場合に、そのフレームを受信するフレーム受信部と、フレーム受信部により受信されたフレームに格納された内容を読み出すフレーム内容読み出し部と、フレーム内容読み出し部により読み出されたフレームの内容に基づいて、当該通信端末のパワーをオフするパワーオフ時間を設定するパワーオフ時間設定部と、パワーオフ時間設定部により設定されたパワーオフ時間の間、当該通信端末のパワーをオフにするパワーオフ部と、を有する構成としたものである。
これにより、他の通信端末と管理端末との間で送受信されているフレームの内容に応じて、通信端末のパワーオフ時間を設定するので、管理端末と送受信を行わない間に、通信端末のパワーをオフすることができ、通信端末の消費電力を抑えることができる。
本願の第2の発明は、上記第1の発明において、パワーオフ時間設定部により設定されたパワーオフ時間が所定時間を越えたか否かを判定する時間判定部を有し、パワーオフ部は、時間判定部によりパワーオフ時間が所定時間を越えたと判定された場合に、当該パワーオフ時間の間、当該通信端末のパワーをオフにする、構成としたものである。
これにより、パワーオフ時間がある程度長い場合に、通信端末のパワーをオフにするので、パワーのオン/オフを過剰に繰り返さないようにすることができる。
本願の第3の発明は、上記第1の発明において、フレーム内容読み出し部は、フレーム受信部により受信されたフレームの、ヘッダ、フレームボディ、及びFCSに格納された内容を読み出す、構成としたものである。
これにより、フレームをFCSまで読み出すので、ヘッダとフレームボディとの内容の正当性を確認することができ、パワーオフ時間を確実に演算することができる。
本願の第4の発明は、上記第1の発明において、パワーオフ時間設定部は、フレームの送信時間を演算するパワーオフ時間演算部を有し、フレーム内容読み出し部は、フレーム受信部により受信されたフレームから、複数のフレームが時間的に続くフレームシーケンスを読み出し、パワーオフ時間演算部は、フレーム内容読み出し部により読み出されたフレームシーケンスの送信時間を演算し、パワーオフ部は、パワーオフ時間演算部により演算された送信時間の間、当該通信端末のパワーをオフにする、構成としたものである。
これにより、フレームシーケンスを読み出して、読み出されたフレームシーケンスの送信時間の間、通信端末のパワーをオフにするので、時間的に続く複数のフレームに渡って、パワーをオフにすることができる。よって、パワーオフ時間をできるだけ長くすることができ、通信端末の消費電力を更に抑えることができる。
本願の第5の発明は、上記第4の発明において、フレームは、フレームシーケンスが続くことを示すビーコンを含み、フレーム内容読み出し部は、ビーコンのみから、複数のフレームが時間的に続くフレームシーケンスを読み出す、構成としたものである。
これにより、ビーコンのみからフレームシーケンスが読み出すので、ビーコンの後に続くフレームシーケンスに対応したパワーオフ時間を、早期に演算することできる。よって、パワーオフ時間を更に長くすることができ、通信端末の消費電力を更に抑えることができる。
本願の第6の発明は、上記第1の発明において、フレーム内容読み出し部は、フレーム受信部により受信されたフレームのヘッダに格納された内容を読み出す、構成としたものである。
これにより、フレームのヘッダに格納された内容を読み出して、パワーオフ時間を設定するので、ヘッダの後に続くフレームボディが送信される際に、通信端末のパワーをオフにすることができ、通信端末の消費電力を更に抑えることができる。
本願の第7の発明は、上記第6の発明において、フレームのヘッダは、物理ヘッダである、構成としたものである。
これにより、フレームの物理ヘッダに格納された内容を読み出して、パワーオフ時間を設定するので、ヘッダの後に続くデータリンク層フレームが送信される際に、通信端末のパワーをオフにすることができ、通信端末の消費電力を更に抑えることができる。
本願の第8の発明は、上記第1の発明において、フレームには、各通信端末の処理順番と割り当て時間との情報を含み、フレーム内容読み出し部は、フレーム受信部により受信されたフレームから、何時フレームシーケンスが開始されるのかを読み出し、パワーオフ時間演算部は、フレーム内容読み出し部により読み出されたフレームシーケンスの開始時間を演算し、パワーオフ部は、パワーオフ時間演算部により演算された開始時間まで、当該通信端末のパワーをオフにする、構成としたものである。
これにより、複雑な計算なしに各通信端末はパワーオフを行うことができる。
本願の第11の発明は、通信端末と、当該通信端末を管理する管理端末とを備えた通信システムであって、管理端末は、通信端末宛てのフレームが存在することを示すフレーム保存情報を含む基準フレームを通信端末に送信する通信手段を有し、通信端末は、基準フレームを受信する通信手段と、管理端末から基準フレームを受信するタイミングに合わせてパワーオンした後、通信手段が受信した基準フレームにフレーム保存情報が含まれていない場合にパワーオフするパワー制御手段と、を有する構成としたものである。
これにより、基準フレームからの処理順番が遅い通信端末の無駄に消費する電力を低減することができる。
本願の第12の発明は、上記第11の発明において、通信端末のパワー制御手段は、管理端末から基準フレームを受信するタイミングに合わせてパワーオンし、受信手段が受信した基準フレームにフレーム保存情報が含まれている場合、管理端末とのフレームの送受信が完了した後にパワーオフする構成としたものである。
これにより、基準フレームからの処理順番が遅い通信端末の無駄に消費する電力を低減することができる。
本願の第13の発明は、上記第11の発明において、通信システムは、複数の通信端末を備え、管理端末の通信手段は、複数の通信端末のうち一部の通信端末に対し、フレーム保存情報を含む基準フレームを送信する構成としたものである。
これにより、例えば、n台の通信端末を2つの組に分けて、基準フレーム毎にどちらかの組の通信端末だけに処理を行えば、最大でn−1台の処理順番を小さくすることができ、特に基準フレームからの処理順番が遅い通信端末の無駄に消費する電力を低減することができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
(実施の形態1)
図1は、管理端末の一例の前面を示す外観斜視図、図2は、管理端末の一例の背面を示す外観斜視図である。
本実施の形態における管理端末1は、図1に示すようにルータである。管理端末1は、筐体11を有しており、筐体11の前面には、LED(Light Emitting Diode)などの表示部12が設けられている。筐体11の背面には、図2に示すように、DC(Direct Current)電源コネクタ13、RJ45などLAN(Local Area Network)用モジュラージャック14、及びWAN(Wide Area Network)用モジュラージャック15が設けられている。DC電源コネクタ13には、図2に示すように、平行ケーブルなどの電力線16が接続される。モジュラージャック14、15には、LANケーブル17が接続される。なお、管理端末の一例として、図1及び図2のルータを示したが、特にこれに限る必要はなく、管理端末は、アクセスポイントの機能を備えた機器(例えばテレビ等の家電機器)であってもよい。
図3は、管理端末のハードウェアの一例を示すブロック図である。
管理端末1は、図3に示すように、破線で示す筐体11内に、回路モジュール150を有している。回路モジュール150には、メインIC(Integrated Circuit)151と、無線LANコントローラ159と、無線モジュール160とが実装されている。
メインIC151は、CPU(Central Proccessing Unit)151aと、メインバス151fやローカルバス151gなどのバスと、バス上のデータの流れを制御するBCU(Bus Control Unit)151bと、Ethernet(登録商標)のMAC(Medium Access Control)層を制御するMACブロック(EMAC)151c、151dと、PCI(Periphheral Component Interconnect Unit)バスを制御するPCIU151eとを有している。
メインIC151内のCPU151a及びBCU151bは、メインバス151fを介して、SDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)154と、Flash ROM(Flash Read Only Memory)155とに接続されている。また、CPU151a及びBCU151bは、ローカルバス151gを介して、メインIC151にクロックを供給する発振器152と、LEDなどの表示部12と、メインIC151に初期化信号を出力するリセットIC153とに接続されている。
メインIC151内のMACブロック151c、151dはそれぞれ、Ethernet(登録商標)の物理層を制御するPHY(PHYsical layer)・ICであるEPHY156、157に接続されており、EPHY156、157はそれぞれ、WAN用モジュラージャック15、LAN用モジュラージャック14に接続されている。また、メインIC151は、DC−DC(Direct Current to Direct Current)変換器158を介して、DC電源コネクタ13に接続されている。DC−DC変換器158は、DC電源コネクタ13から供給されるDC電圧をメインIC151で必要なDC電圧に変換する。
無線LANコントローラ159は、MAC層を制御するMACブロック159aと、物理層を制御するPHYブロック159bとを有している。メインIC151内のPCIU151eは、MACブロック159aを介して、PHYブロック159bに接続されている。
無線モジュール160は、メインIC151から送信または受信状態が設定され、送受信切り替えSW(Switch)160aと、受信信号を増幅するLNA(Low Noise Amplifier)160bと、送信信号を増幅するPA(Power Amplifier)160cと、無線信号への変調及び無線信号からの復調を行うRF(Radio Frequency)変復調器160dとを有している。
無線モジュール160は、無線モジュール160にクロックを供給する発振器161に接続され、無線モジュール160内のRF変復調器160dは、無線LANコントローラ159内のPHYブロック159bに接続されている。無線モジュール160内の送受信切り替えSW160aは、メインIC151から使用するアンテナを切り替えるアンテナ切り替えSW162を介して、アンテナ163、164に接続されている。
図4は、通信端末の一例を示す外観斜視図である。
本実施の形態における通信端末2は、図4に示すように、携帯可能な電話器である。通信端末2は筐体21を有しており、筐体21には、電話番号などを表示するLCD(Liquid Crystal Display)22と、電話番号を指定するためのボタンなどで構成されるキーマトリックス23と、マイク24と、電波を送受信する外部アンテナ25aと、話し相手からの音声を出力するスピーカ26とが設けられている。なお、通信端末の一例として、図4の電話器を示したが、特に電話器に限る必要はなく、通信端末は、アクセスポイントと接続可能な機能を備えた機器(例えばパーソナルコンピュータ等の電子機器)であってもよい。
図5は、通信端末のハードウェアの一例を示すブロック図である。
通信端末2は、図5に示すように、破線で示す筐体21内に、回路モジュール30を有している。回路モジュール30には、図4で説明したLCD22やキーマトリックス23の他、ベースバンドIC31と、無線モジュール43とが実装されている。
ベースバンドIC31は、CPU(Central Proccessing Unit)31aと、音声処理を行うVoIP(Voice over Internet Protocol)・ブロック31bと、無線LANのMAC層を制御する無線MAC・ブロック31cと、メインバス31dやローカルバス31eなどのバスとを有している。
ベースバンドIC31内のCPU31a、VoIP・ブロック31b、及び無線MAC・ブロック31cは、メインバス31dを介して、SDRAM32、及びFlash ROM33に接続されている。また、CPU31a、及びVoIP・ブロック31bは、ローカルバス31eを介して、LCD22、LCDの電源を制御するLCD電源制御IC34、必要なDC電圧に変換するDC−DC変換器36、及び、ベースバンドIC31に初期化信号を出力するリセットIC38に接続されている。DC−DC変換器36は、ダイオード39を介して電池35に接続され、リセットIC38、及び、LCD22に必要な電圧に昇圧するLCD電源用昇圧回路37は、電池35に接続されている。
また、CPU31a、及びVoIP・ブロック31bは、ローカルバス31eを介して、マイク24からの信号を増幅するアンプ40、及び、スピーカ26への信号を増幅するアンプ41に接続されている。アンプ40、41はそれぞれ、マイク24及びスピーカ26に接続されている。更に、ベースバンドIC31は、キーマトリックス23、ベースバンドIC31にクロックを供給する発振器45、無線モジュール43、及び使用するアンテナをベースバンドIC31から切り替えるアンテナ切り替えSW42に接続されている。
無線モジュール43は、送受信切り替えSW43aと、受信信号を増幅するLNA(Low Noise Amplifier)43bと、送信信号を増幅するPA(Power Amplifier)43cと、無線信号への変調及び無線信号からの復調を行うRF(Radio Frequency)変復調器43dとを有している。また、無線モジュール43は、無線モジュール43にクロックを供給する発振器44、及びアンテナ切り替えSW42に接続されている。アンテナ切り替えSW42は、図4で説明した外部アンテナ25aと、内部アンテナ25bとに接続されている。
図6は、本発明の実施の形態1における通信システムの構成図である。
図6において、本発明に係る通信システム100は、管理端末1と、通信端末2a、2b、…とを有している。ここでは、本発明の理解を容易にするために、2つの通信端末2a、2bのみがある場合について、説明する。
管理端末1は、例えば、無線LANを介した通信端末2a、2bとのフレームの送受信を管理し、管理端末1としては、例えばルータやアクセスポイントなどがある。通信端末2a、2bとしては、例えば、IP(Internet Protocol)電話、PDA(Personal Digital Assistant)などである。
図7は、IEEE802.11の物理層フレームを示した構成図である。
図7において、102は、空中の無線通信路101を介して送信されるIEEE802.11の物理層フレームである。
103は、物理層で付加されるPHY(Physical Layer)ヘッダである。PHYヘッダ103は、データレートやデータリンク層フレーム長を示している。104は、IEEE802.11のデータリンク層フレームである。105は、MAC(Medium Access Control)ヘッダであり、MACヘッダ105は、どのような種類のフレームか、パワーセーブを行っているか、宛先アドレス、送信元アドレス等を示している。106は、Frame body(フレームボディ)である。Frame body106には、MACヘッダ105との内容によって種々のデータが格納される。107は、FCS(Frame Check Sequence)であり、MACヘッダ105とFrame body106との内容の正当性を確認するために、MACヘッダ105とFrame body106から計算された32ビットのCRC(Cyclic Redundancy Code)を示している。
図8は、本発明の実施の形態1における管理端末の機能構成図である。
図8に示すように、通信端末2a、2bは、主制御部50を有している。主制御部50には、バス線56を介して、フレーム受信部51、フレーム内容読み出し部52、パワーオフ時間設定部53、パワーオフ部54、及び時間判定部55が接続されている。フレーム受信部51は、図6に示す管理端末1に接続されている。
ここで、図8に示した機能構成と図5に示したハードウェア構成の関係について説明しておく。
フレーム受信部51は無線モジュール43により実現される。主制御部50、フレーム内容読み出し部52、パワーオフ部54、時間判定部55は、ベースバンドIC31におけるプロセッサが各種プログラムを実行することによって実現される。
なお、パワーオフ部54におけるパワーオフ処理とは、図5に示す、少なくとも無線モジュール43の一部、または全ての電力をオフする処理を含むことを指すが、その他の回路を含めてもよい。また電力をオフする処理だけでなく、例えばLCD22であれば輝度を落とす処理などであっても省電力は達成される。
さらに、通信端末2が電話機能を含まない一般のデータ通信専用の通信端末である場合には、ベースバンドIC31におけるCPU31aが機能するだけの状態となるような電力オフ制御を行ってもよい。
以上の構成における通信システム100の動作について、以下に説明する。
図9は、本発明の実施の形態1における通信システム100の動作を示したタイムチャートである。
図9において、管理端末1及び通信端末2aの基本的な動作は、既に説明した従来の技術と同様である。また、全てのフレームは802.11bの規格に従っている。具体的には、SIFSは10μs、PHYヘッダ103(図7参照)は192μsである。データレートは、個々のフレームで1Mbps、2Mbps、5.5Mbps、及び11Mbpsのいずれでもよいが、ここでは、11Mbpsであるとする。Data frame5のデータリンク層フレーム104(図7参照)の長さは任意であるが、ここでは、250バイトとする。
まず、時点t30で、管理端末1が、通信端末2aと通信端末2bのそれぞれ宛てにデータが保管されていることも示している、Beacon frame63を送信すると、通信端末2aと通信端末2bとが送信権を得るために競争し、通信端末2bが、通信端末2aとの競争に負けたとする。時点t31で、競争に勝った通信端末2aは、データの送信要求を示すPS−Poll frame64aを、管理端末1に送信し、管理端末1は、PS−Poll frame64aを受信する。
この際、競争に負けた通信端末2bのフレーム受信部51(図8参照)は、通信端末2aが送信したPS−Poll frame64aを受信する。PS−Poll frame64aを受信すると、通信端末2bのフレーム内容読み出し部52(図8参照)は、受信したPS−Poll frame64aのPHYヘッダ103に格納された内容を読み出す。
PS−Poll frame64aのPHYヘッダ103に格納された内容として、データレート(11Mbps)と、データリンク層フレーム104の送信時間(14.5μs)とが示されている。従って、フレーム内容読み出し部52は、データリンク層フレーム104の送信時間を知ることができる。
次に、通信端末2bのパワーオフ時間設定部53(図8参照)は、PS−Poll frame64aの残りの時間、即ち、データリンク層フレーム104の送信時間、14.5μs(=20バイト/11Mbps)を、パワーオフ時間Toffとして設定する。
パワーオフ時間設定部53が、パワーオフ時間Toffを設定すると、通信端末2bの時間判定部55(図8参照)は、演算したパワーオフ時間Toffが所定時間を示す閾値Tthを超えたか否かを判定する。パワーオフ時間Toffが閾値Tthを超えたと判定すると、通信端末2bのパワーオフ部53(図8参照)が、パワーオフ時間Toffの間、パワーをオフにする。一方、パワーオフ時間Toffが閾値Tthを超えていないと判定すると、パワーオフ部53は、パワーをオンに維持する。なお、閾値Tthは任意であるが、ここでは100μsとする。
パワーオフ時間Toffは、上述したように14.5μsなので、閾値Tthとパワーオフ時間Toffの大小関係は、100μs>14.5μsとなり、時間判定部55は、パワーオフ時間Toffが閾値Tthを超えていないと判定する。従って、パワーオフ部53はパワーをオンに維持するので、通信端末2bは起きたままとなる。
こうして、管理端末1がPS−Poll frame64aを受信すると、時点t32で、管理端末1が、Data frame65aを通信端末2aに送信する。この際、通信端末2bのフレーム受信部51は、PS−Poll frame64aを受信したのと同様に、管理端末1が送信したData frame65aを受信する。Data frame65aを受信すると、通信端末2bのフレーム内容読み出し部52は、受信したData frame65aのPHYヘッダ103に格納された内容を読み出す。即ち、フレーム内容読み出し部52は、Data frame65aのPHYヘッダ103に格納された内容である、データレート(11Mbps)と、データリンク層フレーム104の送信時間(181.8μs)とを読み出す。
通信端末2bのパワーオフ時間設定部53は、Data frame65aの残りの時間、即ち、データリンク層フレーム104の送信時間、181.8μs(=250バイト/11Mbps)を、パワーオフ時間Toffとして設定する。
この場合、閾値Tthとパワーオフ時間Toffの大小関係は、100μs<181.8μsとなるので、通信端末2bの時間判定部55は、パワーオフ時間Toffが閾値Tthを超えたと判定する。従って、通信端末2bのパワーオフ部54は、パワーオフ時間Toff(181.8μs)の間、パワーをオフにする。即ち、通信端末2bは、時点t33から時点t34(Data frame65aの送信終了)まで、パワーをオフにすることになる。これにより、図26で説明したパワーオン時間67b(破線)のうち、図9に示すパワーオフ時間Toffだけ、パワーをオンにする時間を短くすることが出来る。
以下同様に、通信端末2bが、通信端末2aとの競争に負けたとすると、図9の右方に示すように、通信端末2bは、時点t36における、次のBeacon frame63以降も同様に、パワーオフ時間Toffの間、パワーをオフにすることになる。また、通信端末2aが、通信端末2bとの競争に負けた場合であっても、同様に、パワーオフ時間Toffの間、パワーをオフにすることになる。
ここで、通信端末2bにとって本来不必要なパワーオン時間Tonを計算し、以下に、消費電力が抑制された割合を示す。
不必要なパワーオン時間Tonは、通信端末2aのPS−Poll frame64a(時点t31)から、通信端末2aのACK frame66aの送信終了(時点t35)までである。なお、ACK frame66aは、固定長であり、そのデータリンク層フレーム104の長さは14バイトなので、データリンク層フレーム104の送信時間は、10.2μs(14/11Mbps)である。
従って、パワーオン時間Tonの具体的な値は、(PS−Poll frame64a)+SIFS+(Data frame65a)+SIFS+(ACK frame66a)=(192+14.5)+10+(192+181.8)+10+(192+10.2)=802.5μsとなる。
一方、パワーオフ時間Toffは、既に述べたように181.8μsである。即ち、消費電力が抑制された割合は、Toff/Ton=181.8/802.5=0.226より、22.6%である。
以上のように、実施の形態1に係る通信システム100では、他の通信端末と管理端末との間で送受信されているフレームの内容に応じて、通信端末のパワーオフ時間Toffを演算するので、管理端末1と送受信を行わない間に、通信端末2a、2bのパワーをオフすることが出来、通信端末2a、2bの消費電力を抑えることが出来る。
これにより、1つのフレームに大きいデータを扱うアプリケーションに対しては、消費電力を更に抑えることが出来る。また、通信端末が音声通話を行う場合には、消費電力が抑制された分、通話時間が長くすることが出来る。特に、本発明は、管理端末と通信端末とがフレームを無線で送受信する際、通信端末がコードレスの(電池を電源とする)場合に、好適である。
また、パワーオフ時間Toffがある程度長い場合に、通信端末2a、2bのパワーをオフにすることが出来るので、パワーのオン/オフを過剰に繰り返さないようにすることが出来る。なお、本実施の形態では、パワーオフ時間Toffが閾値Tthを超えたと判定された場合に、通信端末のパワーをオフにした例を説明したが、必ずしも、これに限る必要はない。例えば、上記判定処理を行うことなく、それぞれのフレーム(PS−Poll frame64a、Data frame65a、…)に対応するパワーオフ時間毎に、通信端末のパワーをオフにすることも可能である。
また、本実施の形態1では、通信端末が2つの場合について説明したが、通信端末の数は2つ以上で任意であることは言うまでもない。
また、本実施の形態1では、本発明をIEEE802.11bに基づく通信方法に適用した場合について説明したが、特にこれに限る必要はなく、本発明をIEEE802.11a、IEEE802.11g、IEEE802.11e(後述)に適用することも可能である。例えば、IEEE802.11aについて説明すると、IEEE802.11aでは、PHYヘッダに、データリンク層フレームの送信時間が格納されていないが、データレート及びデータリンク層フレームの長さ(バイト数)の情報が格納されているので、これらの情報に基づきパワーオフ時間Toffを演算することで、上述と同様に通信端末のパワーをオフすることができる。
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2に係る通信システム100について説明する。
図10は、本発明の実施の形態2における通信端末の機能構成図である。
本通信システム100の通信端末2a、2bは、実施の形態1と異なり、図10に示すように、パワーオフ時間設定部53は、パワーオフ時間演算部53aを有している。なお、他の構成については、実施の形態1と同様なので、その説明は省略する。
この構成において、実施の形態2における通信システム100の動作について、以下に説明する。
図11は、本発明の実施の形態2における通信システム100の動作を示したタイムチャートである。
図11において、管理端末1及び通信端末2aの基本的な動作は、既に説明した従来の技術と同様である。実施の形態2では、実施の形態1と同様に、全てのフレームは802.11bの規格に従っており、SIFSは10μs、PHYヘッダ103は192μs、データレートは11Mbps、Data frame65のデータリンク層フレーム104の長さは250バイトとする。
まず、時点t40ないし時点t41の動作は、実施の形態1で説明した図9の時点30ないし時点t31の動作と同じなので、説明を省略する。時点41で、競争に負けた通信端末2bのフレーム受信部21は、通信端末2aが送信したPS−Poll frame64aを受信する。
この際、通信端末2bのフレーム内容読み出し部52は、受信したPS−Poll frame64aに格納された内容を読み出す。ここで、PS−Poll frame64aには、管理端末1と通信端末2aとの間で送受信されることで、複数のフレームが時間的に続く、フレームシーケンスが示されている。
具体的には、このフレームシーケンスは、PS−Poll frame64a後の時点t42で、管理端末1が、データリンク層フレーム104の長さが250バイトのData frame65aを送信し、更に、SIFS後の時点t45で、通信端末2aが、それ(65a)を受信したことを示す、データリンク層フレーム104の長さが14バイトのACK frame66aを送信することである。
フレーム内容読み出し部52は、受信したPS−Poll frame64aから、このフレームシーケンスを読み出す。
なお、この場合、受信したPS−Poll frame64aにより演算されたパワーオフ時間Toff(14.5μs)は、閾値Tth(100μs)を越えていないので、通信端末2bのパワーオフ部53はパワーをオフしないので、通信端末2bは起きたままである。
こうして、管理端末1がPS−Poll frame64aを受信すると、時点t42で、管理端末1は、Data frame65aを通信端末2aに送信する。この際、通信端末2bのフレーム受信部51は、実施の形態1と同様に、管理端末1が送信したData frame65aを受信する。
通信端末2bのフレーム内容読み出し部52は、受信したData frame65aのPHYヘッダ103(図7参照)に格納された内容を読み出す。即ち、フレーム内容読み出し部52は、Data frame65aのPHYヘッダ103に格納された内容である、データレート(11Mbps)と、データリンク層フレーム104の送信時間(181.8μs)とを読み出す。
更に、通信端末2bは、フレームシーケンスを読み出したことで、Data frame65aの後に、ACK frame66aが時間的に続くことを知っているので、通信端末2bのパワーオフ時間演算部53aは、パワーオフ時間Toffとして、データリンク層フレーム104の送信時間、181.8μsに、SIFS+ACK frame66aの送信時間を加算する。
ACK frame66aの送信時間は、10.2μs(=14バイト/11Mbps)なので、パワーオフ時間設定部53は、181.8μsに、212.2μs(=192μs+10.2μs)を加算した、394μsを、パワーオフ時間Toffとして設定する。
こうして、パワーオフ時間Toffを設定すると、閾値Tthとパワーオフ時間Toffの大小関係は、100μs<394μsとなるので、通信端末2bの時間判定部55は、パワーオフ時間Toffが閾値Tthを超えたと判定する。
従って、通信端末2bのパワーオフ部54は、パワーオフ時間Toff(394μs)の間、パワーをオフにする。即ち、通信端末2bは、時点t43から時点t46(ACK frame66aの送信終了)まで、パワーをオフにすることになる。これにより、実施の形態1(図9)で説明したパワーオフ時間Toff(181.8μs)を、更に長くすることで、パワーをオンにする時間を、更に短くすることができる。
ここで、通信端末2bにとって本来不必要なパワーオン時間Tonを計算し、以下に、消費電力が抑制された割合を示す。
不必要なパワーオン時間Tonは、実施の形態1で計算した値と同じ、802.5μsである。即ち、消費電力が抑制された割合は、Toff/Ton=394/802.5=0.491より、49.1%となり、消費電力が抑制された割合を実施の形態1より高めることができる。
以上のように、実施の形態2に係る通信システム100では、フレームシーケンスを読み出し、読み出されたフレームシーケンスの送信時間の間、通信端末2a、2bのパワーをオフにするので、時間的に続く複数のフレームに渡って、パワーをオフにすることが出来る。これにより、パワーオフ時間Toffを出来るだけ長くすることができ、パワーのオン/オフを過剰に繰り返さないようにすることができる。ゆえに通信端末2a、2bの消費電力を更に抑えることができる。
なお、本実施の形態2では、通信端末が2つの場合について説明したが、通信端末の数は任意であることは言うまでもない。
また、本実施の形態2では、IEEE802.11bに基づく通信方法に、本発明を適用した場合について説明したが、本実施の形態1と同様に、特にこれに限る必要はなく、本発明をIEEE802.11a、IEEE802.11g、IEEE802.11e(後述)に適用することも可能である。
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3に係る通信システム100について説明する。
本通信システム100の通信端末2a、2bは、図10に示す実施の形態2と同様の構成であり、パワーオフ時間設定部53は、パワーオフ時間演算部53aを有している。なお、他の構成については同様なので、その説明は省略する。
この構成において、実施の形態3における通信システム100の動作について、以下に説明する。
図12は、本発明の実施の形態3における通信システム100の動作を示したタイムチャートである。
図12において、管理端末1及び通信端末2aの基本的な動作は、既に説明した従来の技術と同様である。本実施の形態3では、音声通話を想定している。具体的には、音声データが、QoS Data+CF−Poll frame69aとQoS Data+CF−Ack frame70aとで、それぞれ送信される。この音声データでは、サンプルレートが20msのコーディックのG.711が採用されており、そのデータリンク層フレーム104の長さは、252バイトである。
また、全てのフレームは802.11b及び802.11eの規格に従っている。具体的には、実施の形態1、2と同様に、SIFSは10μs、PHYヘッダ103は192μsである。データレートは、個々のフレームシーケンス内で同じであれば、1Mbps、2Mbps、5.5Mbps、及び11Mbpsのいずれでもよいが、ここでは、実施の形態1、2と同様に、11Mbpsであるとする。
時点t51のBeacon frame63直後から、通信端末2bは、管理端末1からどの通信端末宛にフレームが送信されているのか分からないので、宛先が格納されているMACヘッダ105を確定するために、時点t52で、通信端末2bのフレーム受信部51が、QoS Data+CF−Poll69aを受信する。時点t53で、QoS Data+CF−Poll69aを最後まで(FCSまで)受信すると、通信端末2bは、自分宛でないことが分かる。
通信端末2bのフレーム内容読み出し部52は、このQoS Data+CF−Poll69aから、音声データであること、及び管理端末1と通信端末2aとの間で送受信されるフレームシーケンスを読み出す。
具体的には、SIFS後の時点t54で、通信端末2aが、データレートが11Mbpsで、データリンク層フレーム104の長さが252バイトのQoS Data+CF−Ack70aを送信することと、更に、SIFS後の時点t55で、管理端末1が、それ(70a)を受信したことを示す、データリンク層フレーム104の長さが固定長の30バイトのQoS CF−Ack71を送信することを、読み出す。
通信端末2bのパワーオフ時間演算部53aは、フレームシーケンスを読み出すと、データレート及びフレームシーケンスに基づいて、パワーオフ時間Toffとして演算する。
即ち、QoS Data+CF−Ack frame70aの送信時間は、192+183.3(=252バイト/11Mbps)である。また、QoS CF−Ack frame71の送信時間は、192+21.8(=30バイト/11Mbps)である。従って、パワーオフ時間演算部53aは、(SIFS)+(QoS Data+CF−Ack frame70a)+(SIFS)+(QoS CF−Ack frame71)=10+(192+183.3)+10+(192+21.8)=609.1μsである、残りのフレームシーケンスの送信時間を演算し、パワーオフ時間設定部53は、演算した送信時間を、パワーオフ時間Toffとして設定する。
パワーオフ時間Toffを609.1μsと設定すると、閾値Tthとパワーオフ時間Toffの大小関係は、100μs<609.1μsとなるので、通信端末2bの時間判定部55は、パワーオフ時間Toffが閾値Tthを超えていると判定する。従って、通信端末2bのパワーオフ部54は、パワーオフ時間Toff(609.1μs)の間、パワーをオフにする。即ち、通信端末2bは、時点t53から時点t56(QoS CF−Ack frame71の送信終了)まで、パワーをオフにすることになる。つまり、図27で説明したパワーオン時間67b(破線)のうち、図12に示すパワーオフ時間Toffだけ、パワーをオンにする時間を短くすることが出来る。
ここで、通信端末2bにとって本来不必要なパワーオン時間Tonを計算し、以下に、消費電力が抑制された割合を示す。
不必要なパワーオン時間Tonは、QoS Data+CF−Poll frame69aの開始(時点t52)から、QoS CF−Ack frame71の送信終了(時点t56)までである。なお、なお、QoS Data+CF−Poll frame69aの送信時間は、192+183.3=375.3μsである。
従って、不必要なパワーオン時間Tonの具体的な値は、パワーオフ時間Toff(609.1μs)に375.3μと加算して、984.4μsとなる。一方、パワーオフ時間Toffは、既に述べたように609.1μsである。即ち、消費電力が抑制された割合は、Toff/Ton=609.1/984.4=0.619より、61.9%である。
ここで、音声データを受け渡しする通信端末(以下、「音声端末」という。)が、1度に、10台で通話している場合において、Beacon frameから、1番目及び10番目に処理される音声端末の消費電力の比を計算してみる。従来の技術では、10番目に処理される音声端末は起きたままなので、1番目の音声端末と比べると10倍の電力を消費することになる。本実施の形態では、10番目に処理される音声端末に対して、1番目から9番目までの音声端末に対する処理が行われている時の61.9%の消費電力が削減されるので、9×(1−0.619)+1≒4.43倍の消費電力で足りることになり、通話時間としては、従来の技術と比べて2.26倍になる。
以上のように、実施の形態3に係る通信システム100では、パワーオフ時間Toffを演算するために、フレームからFCSまで読み出すので、ヘッダとフレームボディとの内容の正当性を確認することができ、パワーオフ時間Toffを確実に演算することができる。
また、通信システムが多数の音声端末で構成される場合であっても、Beacon frameから最初に処理される音声端末以外の音声端末に対して、通話時間を長くすることができるという有利な効果が得られる。
なお、本実施の形態3では、通信端末が2つの場合について説明したが、通信端末の数は2つ以上で任意であることは言うまでもない。また、音声データの場合について説明したが、他のフレームシーケンスが分かる場合でもよいことは言うまでもない。
(実施の形態4)
本発明の実施の形態4に係る通信システム100について説明する。
本通信システム100の通信端末2a、2bは、図10に示す実施の形態2と同様の構成であり、パワーオフ時間設定部53は、パワーオフ時間演算部53aを有している。なお、他の構成については同様なので、その説明は省略する。
この構成において、実施の形態4における通信システム100の動作について以下に説明する。
図13は、本発明の実施の形態4における通信システム100の動作を示したタイムチャートである。
図13において、管理端末1及び通信端末2aの基本的な動作は、既に説明した従来の技術と同様である。実施の形態4では、実施の形態3と同様に、サンプルレートが20msのコーディックのG.711が採用されており、QoS Data+CF−Poll frame69aとQoS Data+CF−Ack frame70aとの、データリンク層フレーム104の長さは、252バイトである。また、全てのフレームは802.11b及び802.11eの規格に従っており、SIFSは10μs、PHYヘッダ103は192μs、データレートは11Mbpsとする。
なお、ここでは、管理端末1は、通信端末2a、2bに対して、Beacon frame63直後から音声データのフレームシーケンス(QoS Data+CF−Poll frame69a+SIFS+QoS Data+CF−Ack frame70a+SIFS+QoS CF−Ack frame71)を処理すること、それぞれのバイト数を、予め通知している。但し、QoS CF−Ack frame71のデータリンク層フレーム104の長さは管理端末1が通知する必要はなく、規格で決まっている固定長で30バイトである。
時点t60で、管理端末1は、管理端末1と送受信する通信の順番が通信端末2a→通信端末2bの順であることも示している、Beacon frame63を送信し、通信端末2bは、Beacon frame63を受信すると、自分宛のフレームシーケンスは開始されないことを知る。
通信端末2bは、自分宛でないフレームシーケンス内で使用されるコーディックとデータレートが分からないので、通信端末2bのフレーム受信部51は、フレームシーケンスの最初のフレームである、QoS Data+CF−Poll frame69aを受信する。通信端末2bのフレーム内容読み出し部52は、受信したQoS Data+CF−Poll frame69aのPHYヘッダ103に格納された内容である、データレート(11Mbps)とデータリンク層フレーム104の送信時間(183.3μs)を読み出す。QoS Data+CF−Poll frame69aとQoS Data+CF−Ack frame70aとは同じコーディックを用いるので、通信端末2bは、QoS Data+CF−Ack frame70aのデータリンク層フレーム104のバイト数が252バイトであることが分かる。
通信端末2bのパワーオフ時間演算部53aは、データレートを読み出すと、時点t62ないし時点t65のフレームシーケンスの送信時間、即ち、(QoS Data+CF−Poll frame69aのデータリンク層フレーム104の送信時間)+(SIFS)+(QoS Data+CF−Ack frame70a)+(SIFS)+(QoS CF−Ack frame71)の送信時間を演算する。
QoS Data+CF−Poll frame69aのデータリンク層フレーム104の送信時間は、上述したように183.3μs(=252バイト/11Mbps)である。また、(SIFS)+(QoS Data+CF−Ack frame70a)+(SIFS)+(QoS CF−Ack frame71)は、実施の形態3で演算したToff(609.1μs)である。従って、パワーオフ時間演算部53aは、183.3μsと609.1μsとを加算して、フレームシーケンスの送信時間を792.4μsと演算し、パワーオフ時間設定部53は、演算した送信時間を、パワーオフ時間Toffとして設定する。
パワーオフ時間Toffを792.4μsと設定すると、閾値Tthとパワーオフ時間Toffの大小関係は、100μs<792.4μsとなるので、通信端末2bの時間判定部55は、パワーオフ時間Toffが閾値Tthを超えていると判定する。従って、通信端末2bのパワーオフ部54は、パワーオフ時間Toff(792.4μs)の間、パワーをオフにする。即ち、通信端末2bは、時点t62から時点t65まで、パワーをオフにすることになる。これにより、実施の形態3(図12)で説明したパワーオフ時間Toff(609.1μs)を、更に長くすることで、パワーをオンにする時間を、更に短くすることが出来る。
ここで、通信端末2bにとって本来不必要なパワーオン時間Tonを計算し、以下に、消費電力が抑制された割合を示す。
不必要なパワーオン時間Tonは、実施の形態3で計算した値と同じ、984.4μsである。即ち、消費電力が抑制された割合は、Toff/Ton=792.4/984.4=0.805より、80.5%となり、消費電力が抑制された割合を実施の形態3より高めることが出来る。
ここで、音声端末が1度に10台で通話している場合において、Beacon frameから、1番目及び10番目に処理される音声端末の消費電力の比を計算してみる。従来の技術では、10番目に処理される音声端末は起きたままなので、1番目の音声端末と比べると10倍の電力を消費することになる。本実施の形態では、1番目から9番目までの音声端末に対する処理が行われている時の80.5%が削減されるので、9×(1−0.805)+1≒2.76倍の消費電力で足りることになり、通話時間としては、従来の技術と比べて3.62倍になる。
以上のように、実施の形態4に係る通信システム100では、Beacon(ビーコン)frameのみでフレームシーケンスが読み出されるので、ビーコンの後に続くフレームシーケンスに対応したパワーオフ時間Toffを、早期に演算すること出来る。これにより、パワーオフ時間Toffを更に長くすることが出来るので、通信端末2a、2bの消費電力を更に抑えることができる。
なお、本実施の形態4では、他のフレームシーケンスが分かる場合でもよいことは言うまでもない。また、QoS Data+CF−Poll frame69aの物理ヘッダから、音声データのバイト数とデータレートとを読み出す場合について説明したが、通信システム内の全端末で同じコーディックを使用するように決めておくことで同じバイト数になるようにしておけば、データレートのみを読み出すだけで、パワーオフ時間Toffを演算することができることは、言うまでもない。
なお、実施の形態4では、通信端末が2つの場合について説明したが、通信端末の数は任意である。
(実施の形態5)
本発明の実施の形態5に係る通信システム100について説明する。
本通信システム100の通信端末2a、2bは、図10に示す実施の形態2と同様、パワーオフ時間設定部53は、パワーオフ時間演算部53aを有している。なお、他の構成については同様なので、その説明は省略する。
この構成において、実施の形態5における通信システム100の動作について、以下に説明する。
図14は、本発明の実施の形態5における通信システム100の動作を示したタイムチャートである。
図14において、管理端末1及び通信端末2aの基本的な動作は、既に説明した従来の技術と同様である。実施の形態5では、実施の形態3と同様に、サンプルレートが20msのコーディックのG.711が採用されており、QoS Data+CF−Poll frame69aとQoS Data+CF−Ack frame70aとの、データリンク層フレーム104の長さは、252バイトである。また、全てのフレームは802.11b及び802.11eの規格に従っており、SIFSは10μs、PHYヘッダ103は192μs、データレートは11Mbpsとする。通信端末2a、2bには、このデータレートの情報が格納されているものとする(つまり、通信端末2a、2bはデータレートを知っている)。
なお、ここでは、管理端末1が、通信端末2a、2bに対して、Beacon frame63直後から音声データのフレームシーケンス(QoS Data+CF−Poll frame69a+SIFS+QoS Data+CF−Ack frame70a+SIFS+QoS CF−Ack frame71)を処理することを、予め通知している。
この管理端末1が処理順番を通知する場合を詳細に説明する。
図15は、通信端末2a、2bの処理順番を通知する情報を示しており、TURN Indication element108は3以上の奇数バイトであり、Element ID109、Lengh110、複数のAID111から構成されている。
Element ID109はこれに続く情報が何を表すか特定する1バイトであり、例えば255の値である。Lengh110は、これ以降に何バイトの情報があるかを特定する1バイトであり、2以上の偶数の値である。AID111は通信端末2a、2bが管理端末1に管理開始される時に割り振られる1から2007の値であり、2バイトである。Length110は1バイトなので最大で128台の通信端末の処理順番を決定することができる。
管理端末1はTURN Indication element108をBeacon frame63のframe body106の中に追加して、または、MACヘッダ105をある規定した固有な値にし、frame body106そのものがTURN Indication element108であるTURN Indication frameをbroadcastすることにより各通信端末に処理順番を通知することもできる。
本実施の形態ではBeacon frame63にTURN Indication element108を追加する場合を説明する。
なお、ここで説明したTURN Indication element108は、これに限定するものではなく、同じような構造の情報を決めてやれば、バイト数も内容も何でもいいことは言うまでもない。例えば、各通信端末に割り当てる時間の情報も通知すれば、通信端末はパワーオフ時間を演算することなく、パワーオフ時間を知ることができる。また、通信端末の処理順番は必ずしも全通信端末分を通知する必要はなく、処理順番が通知された通信端末の処理が終了した後に、残りの通信端末の処理が任意の順番で実施されてもよい。
なお、本実施の形態では、管理端末1が通信端末2a、2bを管理する集中管理期間に通信端末2a、2bの処理順番等を通知する場合について示すものであるが、競争期間中に管理端末1から通信端末2a、2bの処理順番等を通知する場合であっても、同様の効果を実現できる。
図14に戻り、時点t70で、管理端末1は、管理端末1と送受信する通信の順番が通信端末2a→通信端末2bの順であることも示している、Beacon frame63を送信し、通信端末2bのフレーム受信部51は、送信されたBeacon frame63を受信する。通信端末2bのフレーム内容読み出し部52は、Beacon frame63を受信すると、Beacon frame63の内容を読み出す。Beacon frame63には、時点t71で通信端末2b宛のフレームシーケンスは開始されないことと、通信端末2b宛のフレームシーケンスがいつ開始されるかが示されている。
従って、通信端末2bは、フレーム内容読み出し部52がBeacon frame63の内容を読み出すことで、自分宛のフレームシーケンスは開始されないことと、自分宛のフレームシーケンスがいつ開始されるかを知る。また、通信端末2bは、既に述べたように、データレート(11Mbps)を知っているので、通信端末2bのパワーオフ時間演算部53aは、既に知っているデータレートと、通知済みのフレームシーケンスとに基づいて、フレームシーケンスの送信時間を演算する。
フレームシーケンスは、上述したように、時点t71ないし時点t76の、(QoS Data+CF−Poll frame69a+SIFS+QoS Data+CF−Ack frame70a+SIFS+QoS CF−Ack frame71)である。
従って、パワーオフ時間演算部53aは、フレームシーケンスの送信時間、即ち、(QoS Data+CF−Poll frame69a+SIFS+QoS Data+CF−Ack frame70a+SIFS+QoS CF−Ack frame71)の送信時間を演算する。
上記送信時間は、QoS Data+CF−Poll frame69aのPHYヘッダ103の送信時間(192μs)と、実施の形態4(図13)で説明したパワーオフ時間Toff(792.4μs)との和なので、パワーオフ時間演算部53aは、フレームシーケンスの送信時間を、984.4μs(=192+792.4)と演算し、パワーオフ時間設定部53は、演算した送信時間を、パワーオフ時間Toffとして設定する。
パワーオフ時間Toffを984.4μsと設定すると、閾値Tthとパワーオフ時間Toffの大小関係は、100μs<984.4μsとなるので、通信端末2bの時間判定部55は、パワーオフ時間Toffが閾値Tthを超えていると判定する。従って、通信端末2bのパワーオフ部54は、パワーオフ時間Toff(984.4μs)の間、パワーをオフにする。即ち、通信端末2bは、時点t71から時点t76まで、パワーをオフにすることになる。これにより、実施の形態4(図13)で説明したパワーオフ時間Toff(792.4μs)を、更に長くすることで、パワーをオンにする時間を、更に短くすることが出来る。
このパワーオフ時間Toffは、通信端末2bにとって不必要なパワーオン時間Tonである、QoS Data+CF−Poll frame69aの開始から、QoS CF−Ack frame71の送信終了までと同じである。よって、Toff/Ton=984.4/984.4=1.000で、100%の消費電力を削減できることになる。
ここで、音声端末が1度に10台通話している場合において、Beacon frameから1番目及び10番目に処理される音声端末の消費電力を考える。本実施の形態では、10番目に処理される音声端末に対して、1番目から9番目までの音声端末に対する処理が行われている時の全ての消費電力が削減されるので、1番目と10番目の音声端末の消費電力は同じである。
以上のように、本実施の形態5に係る通信システム100では、通信端末が音声端末である場合に、音声端末の通話台数が増えた場合であっても、どの音声端末も全く無駄な消費電力が増えないので、通話時間が更に長くすることができる。
なお、本実施の形態5では、通信端末が2つの場合について説明したが、通信端末の数は任意である。また、音声データの場合について説明したが、他のフレームシーケンスが分かる場合でもよいことは言うまでもない。また、音声データのフレームシーケンスを11Mbps固定として説明したが、管理端末がBeacon frame等で、各通信端末にフレームシーケンスで使用するデータレートを知らせておけば、データレートはいずれの値でもよいことは言うまでもない。
また、本実施の形態1〜5において、本発明を、IEEE802.11の規格に基づくフレームの通信方法に適用した場合について説明したが、管理端末と複数の通信端末とが無線LANなどの第2のネットワークを介してフレームを送受信する通信方法に、本発明を適用するものであれば、このような規格に基づく通信方法に限る必要はない。
また、本実施の形態1〜5において、第2のネットワークの一例として、無線LANについて説明したが、管理端末が無線通信路を介して通信端末とフレームを送受信するネットワークであれば、第2のネットワークは、必ずしも無線LANである必要はない。
(実施の形態6)
実施の形態6にかかる通信システムについて説明する。
図16は、実施の形態6にかかる通信システムを示した構成図であり、本実施の形態における通信システム100aは、管理端末1に対し、通信端末が3台(2a、2b、2c)の場合について説明する。
ここで、本実施の形態では、通信端末が3台の場合について説明するので、そのような場合の従来動作を、先に示した従来の技術を補足する形で説明しておく。
図28は、従来の通信システムにおけるタイムチャートであり、管理端末201と3つの通信端末202a、202b、202cからなる通信システムの例を示している。
図28のタイムチャートには、集中管理期間と競争期間とがある。IEEE802.11規格に基づきパワーオンとパワーオフの制御を行う通信端末202a、202b、202cが、音声通話のように管理端末201からデータを受信し、その後管理端末201にデータを送信する場合を示している。図28において、IEEE802.11eを用いることで、QoSを確保して、音声データを受け渡している。
管理端末201が通信端末202a、202b、202cに対してデータを送信したいとき、通信端末202a、202b、202cがパワーオンとパワーオフの制御を行ってはいるが、集中管理期間では通信端末202a、202b、202cがパワーオンしていることが分かっている。したがって、管理端末201から任意のタイミングでフレームを送信することができる。逆に、集中管理期間で通信端末202a、202b、202cが管理端末201宛にデータを送りたいときは、管理端末201が許可しないとデータを送信することはできない。
また、管理端末201は、Beacon frame80内で通知した期間より早く集中管理期間を終了する場合は、集中管理期間の終了を通信端末202a、202b、202cに通知しなければならない。
まず、管理端末201は、通信端末202a、202b、202cに対して送信したいデータがあることを示して、Beacon frame80を送信する。通信端末202a、202b、202cは全てのBeacon frame80を受信するようにしている。したがって、それぞれ自分宛のデータが管理端末201に存在し、集中管理期間に入ることを知る。
集中管理期間では、上述したように、通信端末202a、202b、202cはパワーオンの状態を継続する。そして、管理端末201は、通信端末202a宛のデータの送信と、通信端末202aからのデータを許可することとを同時に行う、QoS Data+CF−Poll frame81aを、通信端末202a宛てに送信する。
通信端末202aは、管理端末201宛のデータを持っている場合、QoS Data+CF−Poll frame81aを受信すると、QoS Data+CF−Poll frame81aを集中管理期間で受け取ったことを示すことと、管理端末201宛のデータ送信とを同時に行う、QoS Data+CF−Ack frame82aを、管理端末201に送信する。
このQoS Data+CF−Ack frame82aのMACヘッダ207(図25参照)では通信端末2bから管理端末1に他にデータがあるかないかを通知することができ、本従来例では他にデータがないことを通知している。
管理端末201は、QoS Data+CF−Ack frame82aを受信すると、通信端末202aからのデータを集中管理期間で受け取ったことを示す、QoS CF−Ack frame83を、通信端末202aに送信する。
通信端末202aは、既に受け取ったQoS Data+CF−Poll frame81aのMACヘッダ207の内容で、管理端末201に他のデータがなく、QoS Data+CF−Ack frame82aで、自分自身にも他のデータがないことを管理端末201に通知している。したがって、通信端末202aは、QoS CF−Ack frame83を受信すると、次のBeacon frame80を受信可能なようにパワーオンする時点までパワーオフにする。従って、この場合における通信端末202aのパワーオン期間は、85a’’(破線)のようになる。
通信端末202bは、パワーオン期間85aの間、管理端末201からの指示がない。したがって、パワーオンの状態を継続する。パワーオン期間85aに続いて管理端末201は、QoS Data+CF−Poll frame81bを、通信端末202b宛てに送信する。受信したQoS Data+CF−Poll frame81bから、既に説明した処理が行われていく。
通信端末202bは、通信端末202aと同様に、次のBeacon frame80を受信可能なようにパワーオンするまでパワーオフにする。この場合における通信端末202bのパワーオン期間は、85b’’(破線)のようになる。ここで、パワーオフした
場合の通話端末202aの状態は、すべての回路への電力供給が完全に停止されているのではなく、例えば、予め決定された時間に通信端末202a全体を起動するために必要な回路のみに電力が供給されている状態である。
通信端末202cは、パワーオン期間85a,85bの間は管理端末201からの指示がない。したがって、パワーオンの状態を継続する。パワーオン期間85bに続いて管理端末201は、QoS Data+CF−Poll frame81cを、通信端末2c宛てに送信する。受信したQoS Data+CF−Poll frame81cから、既に説明した処理が行われていく。
なお、管理端末201は、QoS CF−Ack frame83の代わりに、CF−End+CF−Ack frame84を送信する。これは、管理端末201に通信端末202a、202b、202cにもデータがないので、集中管理期間を終わらせることを通知するためである。
通信端末202cは、通信端末202a及び202bと同様に、次のBeacon frame80を受信可能なようにパワーオンするまでパワーオフにする。この場合における通信端末202cのパワーオン期間は、85c’’(破線)のようになる。
また、管理端末201が集中管理期間で通信端末202a、202b、202cを処理する順番は、管理端末201がそれぞれの通信端末202a、202b、202cを管理開始する時に決定されそれ以後固定された順番である。これらの仕様はIEEE802.11規格で示されている。
そして、このような従来の通信システムでは、データの送受信が早く終了した通信端末は早くパワーオフできる。しかしながら、データの送受信が済んでいない通信端末は他の通信端末が送受信している間でもパワーオンしている必要がある。このため、基準フレームからの処理順番が遅い通信端末ほど電力を無駄に消費してしまう。特に、電池で動作している通信端末では、処理順番を決定する際に、ある期間の消費電力や電池残量等の通信時間に関係した条件は加味されていない。また、処理順番は固定されて常に同じである。このため、特定の通信端末に対して消費電力に関して不利な遅い処理順番が常に割り当てられることがある。そして、その特定の通信端末の通信時間が短くなるという問題があった。
上記課題を解決する、実施の形態6の通信システムについて、以下に説明する。
実施の形態6にかかる通信システム100aを構成する管理端末1、通信端末2のハードウェア構成は、実施の形態1で示したものと同様である(図1〜5参照)。
図17は、本発明の実施の形態6における管理端末と通信端末の機能構成図である。
図17において、管理端末1は、各通信端末2a、2b、2cと通信を行う通信部90と、通信の順番を決定する処理順番決定部91と、各種情報処理を行う処理部92とを備えている。
また、通信端末2aは、管理端末1と通信を行う通信部93と、通信端末2aのパワーを制御するパワー制御部94とを備えている。なお、通信端末2b、2cの構成および処理は、通信端末2aの構成および処理と同様である。
なお、通信端末間において無線通信路101を介して送信されるIEEE802.11の物理層フレームも、実施の形態1で説明した図7の構成と同様である。
図18は、あるタイミングにおける実施の形態6による通信システムにおけるタイムチャートであり、従来例で説明した番号と同じ番号は同じ意味を持つ。
図18において、管理端末1は管理している3台の通信端末2a、2b、2cを2つの組(通信端末2a、2bと通信端末2c)に分けて管理する。最初と3番目のBeacon frame80で通信端末2a、2b宛てのデータのみが保存されていること通知する。2番目のBeaco frame80で通信端末2c宛てのデータのみが保存されていることを通知する。
なお、2つの組分け方法として、それぞれの組の使用時間が同じになるように分けたり、それぞれの通信端末の電池残量にバラツキがある場合に、電池残量が少ない通信端末の消費電力を抑えるために、少数の電池残量がより少ない組と多数の電池残量がより大きい組に分けたりと、状況や目的によって最適な分け方が存在する。
通信端末2a、2b、2cは全てのBeaco frame80を受信可能なタイミングでパワーオンする。自分宛てのデータが保存されていない場合には、直ぐにパワーオフ(パワーオン期間85a’、パワーオン期間85b’及びパワーオン期間85c’)する。自分宛てのデータが保存されている場合には、自分宛ての全てのデータを受信し管理端末1宛ての全てのデータを送信し終わるまでパワーオン(パワーオン期間85a、パワーオン期間85b及びパワーオン期間85c)する。
最初のBeaco frame80を受信するために通信端末2a、2b、2cはパワーオンする。通信端末2a、2bは自分宛てのデータがあるのでパワーオンの状態を継続する。通信端末2cは自分宛のデータがないのでパワーオフする。
管理端末1は通信端末2a宛のデータの送信と通信端末2aからのデータを許可することとを同時に行うQoS Data+CF−Poll frame81aを通信端末2a宛てに送信する。
通信端末2aは管理端末1宛のデータを持っているので、QoS Data+CF−Poll frame81aを集中管理期間で受け取ったことを示すことと管理端末1宛のデータ送信とを同時に行うQoS Data+CF−Ack frame82aを管理端末1に送信する。このQoS Data+CF−Ack frame82aのMACヘッダ105(図7参照)において、通信端末2aから管理端末1に他にデータがあるかないかを通知する。本実施の形態では他にもデータがあることを通知している。
続いて、管理端末1はQoS Data+CF−Poll frame81aを通信端末2a宛てに送信する。通信端末2aは管理端末1宛のデータを持っているので、QoS Data+CF−Ack frame82aを管理端末1に送信する。このQoS Data+CF−Ack frame82aのMACヘッダ105では通信端末2aから管理端末1に他にデータがないことを通知している。
図28で示した従来例では、各Beaco frame80の間隔で管理端末201と通信端末202a、202b、202cから1つずつしかデータを送信していなかった。これに対し、本実施の形態では管理端末1と各通信端末2a、2b、2c間でBeaco frame80の間隔の2回に1回でしかデータを送信することができない。
そこで、本実施の形態においては、各Beaco frame80の間隔で管理端末1と通信端末2a、2b、2cから2つずつデータを送信する。したがって、1つめのQoS Data+CF−Ack frame82aのMACヘッダ105においては、他にもデータがあることを通知し、2つめのQoS Data+CF−Ack frame82aのMACヘッダ105においては、2つめのデータであるので、他のデータがないことを通知している。
管理端末1は、QoS Data+CF−Ack frame82aを受信すると、通信端末2aからのデータを集中管理期間で受け取ったことを示す、QoS CF−Ack frame83を、通信端末2aに送信する。
通信端末2aは、既に受け取ったQoS Data+CF−Poll frame81aのMACヘッダ105の内容で、管理端末1に他のデータがなく、QoS Data+CF−Ack frame82aで、自分自身にも他のデータがないことを管理端末1に通知している。
したがって、QoS CF−Ack fram83を受信すると、次のBeacon frame80を受信可能とすべく、パワーオンする時点までパワーオフにする。以上より、通信端末2aのパワーオン期間は、85a(破線)のようになる。
通信端末2bは、パワーオン期間85aの間は管理端末1からの指示がないのでパワーオンの状態を継続する。パワーオン期間85a経過後、管理端末1は、QoS Data+CF−Poll frame81bを、通信端末2b宛てに送信する。通信端末2aと管理端末1との間の処理において上述したのと同様に、QoS Data+CF−Poll frame81bを受信すると、通信端末2bと管理端末1との間でデータを2つずつ受け渡す処理が行われる。なお、管理端末1は、2個目のQoS Data+CF−Ack frame82bに対する2個目のQoS CF−Ack frame83の代わりに、CF−End+CF−Ack frame84を送信する。
通信端末2bは、通信端末2aと同様に、次のBeacon frame80を受信可能とすべく、パワーオンするまでパワーオフにする。以上より、通信端末2bのパワーオン期間は、85b(破線)のようになる。
通信端末2cは、最初のBeaco frame80において自分宛てのデータが保存されていない。したがって、最初のBeaco frame80直後にパワーオフする。これより、通信端末2cのパワーオン期間は、85c’(破線)のようになる。
次に、2番目のBeaco frame80からのタイムチャートについて説明する。ここでは、通信端末2a、2bは2番目のBeaco frame80で自分宛てのデータが保存されていない。したがって、2番目のBeaco frame80直後にパワーオフする。通信端末2aのパワーオン期間は、85a’(破線)のようになる。通信端末
2bのパワーオン期間は、85b’(破線)のようになる。
通信端末2cは、2番目のBeaco frame80において自分宛てのデータが保存されている。したがって、パワーオンの状態を継続する。2番目のBeaco frame80に続いて管理端末1は、QoS Data+CF−Poll frame81cを、通信端末2c宛てに送信する。受信したQoS Data+CF−Poll frame81cから、既に説明した処理が行われていく。
なお、管理端末1は、2個目のQoS Data+CF−Ack frame82cに対する2個目のQoS CF−Ack frame83の代わりに、CF−End+CF−Ack frame84を送信する。
その後、通信端末2cは、3番目のBeacon frame80を受信可能なようにパワーオンするまでパワーオフにする。この場合における通信端末2cのパワーオン期間は、85c(破線)のようになる。
ここで、それぞれのパワーオン期間を計算してみる。本実施の形態のデータリンク層フレーム104(図7参照)の長さは、Beacon frame80で130バイト、QoS CF−Ack frame83で30バイト、CF−End+Cf−Ack frame84で20バイトである。
また、本実施の形態では、音声通話を想定しており、サンプルレートが20msのコーディックのG.711を採用したデータリンク層フレーム6の長さが252バイトの音声データがQoS Data+CF−Poll frame81aとQoS Data+CF−Ack frame82aでそれぞれ送信される。
また、全てのフレームは802.11bと802.11eの規格に沿っていてSIFSは10μsでPHYヘッダ103は192μsである。また、データレートはBeacon frame80では1Mbpsで、Beacon frame80以外の全てのフレームシーケンスは、全て11Mbpsで送信されているとする。
更に、Beacon frame80の間隔は20msであり、通信端末2a、2b、2cはBeacon frame80を受信するためにBeacon frame80が開始するよりも10μs早くパワーオン(パワーアップ時間と呼ぶ)するものとする。通信端末2a、2b、2cがパワーオフ(パワーダウン時間と呼ぶ)する場合も10μs程度かかるものとする。
それぞれの物理層フレーム102(図7参照)に必要とされる時間を計算する。Beacon frame80の時間等は、以下のように算出される。
Beacon frame80
=PHYヘッダ103+データリンク層フレーム104の長さ
=192+(130×8/1)
=1232(μs)
QoS Data+CF−Poll frame81a、81b、81c+QoS Data+CF−Ack frame82a、82b、82c
=192+(252×8/11)
≒375.3(μs)
QoS CF−Ack frame83
=192+(30×8/11)
≒213.8(μs)
CF−End+Cf−Ack frame84
=192+(20×8/11)
≒206.5(μs)
図28を参照しつつ説明した従来例における通信端末202a、202b、202cそれぞれのパワーオン時間を計算する。通信端末202aのパワーオン期間85a’’は、
以下のように算出される。
(パワーアップ時間)+(Beacon frame80)+(SIFS)+(QoS Data+CF−Poll frame81a)+(SIFS)+(QoS Data+CF−Ack frame82a)+(SIFS)+(QoS CF−Ack frame83)+(パワーダウン時間)
=10+1232+10+375.3+10+375.3+10+213.8+10
=2246.4(μs)
通信端末202bのパワーオン期間85b’’は、以下のように算出される。
(パワーアップ時間)+(Beacon frame80)+(SIFS)+(QoS Data+CF−Poll frame81a)+(SIFS)+(QoS Data+CF−Ack frame82a)+(SIFS)+(QoS CF−Ack frame83)+(SIFS)+(QoS Data+CF−Poll frame81b)+(SIFS)+(QoS Data+CF−Ack frame82b)+(SIFS)+(QoS CF−Ack frame83)+(パワーダウン時間)
=10+1232+10+375.3+10+375.3+10+213.8+10+375.3+10+375.3+10+213.8+10
=3240.8(μs)
通信端末202cのパワーオン期間85c’’は、以下のように算出される。
(パワーアップ時間)+(Beacon frame80)+(SIFS)+(QoS Data+CF−Poll frame81a)+(SIFS)+(QoS Data+CF−Ack frame82a)+(SIFS)+(QoS CF−Ack frame83)+(SIFS)+(QoS Data+CF−Poll frame81b)+(SIFS)+(QoS Data+CF−Ack frame82b)+(SIFS)+(QoS CF−Ack frame83)+(SIFS)+(QoS Data+CF−Poll frame81c)+(SIFS)+(QoS Data+CF−Ack frame82c)+(SIFS)+(CF−End+Cf−Ack frame84)+(パワーダウン時間)
=10+1232+10+375.3+10+375.3+10+213.8+10+375.3+10+375.3+10+213.8+10+375.3+10+375.3+10+206.5+10
=4227.9(μs)
本実施の形態では、Beacon frame80間隔の2つ分を1つの単位としている。したがって、従来例の各通信端末のパワーオン時間の2倍を、本実施の形態にかかる各通信端末装置のパワーオン時間と比較すべき時間、すなわち従来例の比較パワーオン時間とする。
通信端末2aの従来例の比較パワーオン時間は、4492.8μsである。通信端末2bの従来例の比較パワーオン時間は、6481.6μsである。通信端末2cの従来例の比較パワーオン時間は、8455.8μsである。
次に、本実施の形態での場合の通信端末2a、2b、2cそれぞれのパワーオン時間を計算する。
通信端末2aのパワーオン期間85aは、以下のように算出される。
(パワーアップ時間)+(Beacon frame80)+(SIFS)+(QoS Data+CF−Poll frame81a)+(SIFS)+(QoS Data+CF−Ack frame82a)+(SIFS)+(QoS CF−Ack frame83)+(SIFS)+(QoS Data+CF−Poll frame81a)+(SIFS)+(QoS Data+CF−Ack frame82a)+(SIFS)+(QoS CF−Ack frame83)+(パワーダウン時間)
=10+1232+10+375.3+10+375.3+10+213.8+10+375.3+10+375.3+10+213.8+10
=3240.8(μs)
通信端末2bのパワーオン期間85bは、以下のように算出される。
(パワーアップ時間)+(Beacon frame80)+(SIFS)+(QoS Data+CF−Poll frame81a)+(SIFS)+(QoS Data+CF−Ack frame82a)+(SIFS)+(QoS CF−Ack frame83)+(SIFS)+(QoS Data+CF−Poll frame81a)+(SIFS)+(QoS Data+CF−Ack frame82a)+(SIFS)+(QoS CF−Ack frame83)+(SIFS)+(QoS Data+CF−Poll frame81b)+(SIFS)+(QoS Data+CF−Ack frame82b)+(SIFS)+(QoS CF−Ack frame83)+(SIFS)+(QoS Data+CF−Poll frame81b)+(SIFS)+(QoS Data+CF−Ack frame82b)+(SIFS)+(CF−End+CF−Ack frame84)+(パワーダウン時間)
=10+1232+10+375.3+10+375.3+10+213.8+10+375.3+10+375.3+10+213.8+10+375.3+10+375.3+10+213.8+10+375.3+10+375.3+10+206.5+10
=5222.3(μs)
通信端末2cのパワーオン期間85cは、以下のように算出される。
(パワーアップ時間)+(Beacon frame80)+(SIFS)+(QoS Data+CF−Poll frame81c)+(SIFS)+(QoS Data+CF−Ack frame82c)+(SIFS)+(QoS CF−Ack frame83)+(SIFS)+(QoS Data+CF−Poll frame81c)+(SIFS)+(QoS Data+CF−Ack frame82c)+(SIFS)+(CF−End+Cf−Ack frame84)+(パワーダウン時間)
=10+1232+10+375.3+10+375.3+10+213.8+10+375.3+10+375.3+10+206.5+10
=3233.5(μs)
通信端末2aのパワーオン期間85a’、通信端末2bのパワーオン期間85b’および通信端末2cのパワーオン期間85c’は全て同じ時間で、以下のように算出される。
(パワーアップ時間)+(Beacon frame80)+(パワーダウン時間)
=10+1232+10
=1252(μs)
従来例にかかる各通信端末のパワーオン時間と比較すべき時間、すなわち比較パワーオン時間は、上記2つのパワーオン時間の和である。通信端末2aの比較パワーオン時間は、以下のように算出される。
パワーオン期間85a+パワーオン期間85a’
=3240.8+1252
=4492.8(μs)
通信端末2bの比較パワーオン時間は、以下のように算出される。
パワーオン期間85b+パワーオン期間85b’
=5222.3+1252
=6474.3(μs)
通信端末2cの比較パワーオン時間は、以下のように算出される。
パワーオン期間85c+パワーオン期間85c’
=3233.5+1252
=4485.5(μs)
以上より、従来例にかかるパワーオン時間と本実施の形態にかかるパワーオン時間とを比較する。通信端末2aにおいては、従来例と本実施の形態において、4492.8:4492.8と等しい。通信端末2bにおいても、6481.6:6474.3とほぼ等しい。通信端末2cにおいては、8455.8:4485.5である。すなわち、パワーオン時間を47%削減ができたことになる。
このように、図18を参照しつつ説明した本実施の形態においては、通信端末2cに対してのみパワーオン時間の削減の効果を得ることができる。管理する組を変更することにより、他の通信端末についても同様のパワーオン時間の削減の効果を得ることができる。
例えば、通信端末2a,2cを同じ組にした場合には、通信端末2bの比較パワーオン時間は、先に説明した実施の形態にかかる通信端末2cの比較パワーオン時間、すなわち4485.5μsとなる。また、通信端末2cの比較パワーオン時間は、先に説明した実施の形態にかかる通信端末2bの比較パワーオン時間、すなわち6474.3μsとなる。
したがって、従来例にかかるパワーオン時間と本実施の形態にかかるパワーオン時間の比較を行うと、通信端末2bでは、6481.6:4485.5となる。すなわち、パワーオン時間を31%削減することができる。通信端末2cでは、8455.8:6474.3となる。すなわち、パワーオン時間を23%削減することができる。
このように従来例と処理順番は同じで、組み分けをある通信端末までとある通信端末後の通信端末からの2つに分けて処理を行うことにより、後者の組に属する通信端末に対するパワーオン時間を小さくすることができる。したがって、通信端末個々の削減量を大きくすることができる。
一方、処理順番で交互に組み分けを行ってその順番で処理を行うことにより、通信端末個々の削減量は小さくなるが、従来例の最初の通信端末以外の全ての通信端末に対するパワーオン時間を小さくすることができる。
本実施の形態では、通信端末が3つで2つの組に通信端末を分けた場合について説明したが、通信端末の数はいくつでもよく、組み分けも2つ以上に分ければいくつでもよいことは言うまでもない。また、音声データの場合について説明したが、各通信端末のデータが同じような大きさでほぼ周期的であればよいことは言うまでもない。また、計算のためにある仮定した値の場合について説明したが、仮定した値でなくてもよいことは言うまでもない。
以上のように本実施の形態によれば、媒体を管理する管理端末と管理端末に管理されるパワーオンとパワーオフとを任意のタイミングで変更可能な通信端末から構成される通信システムであって、通信端末は管理端末の各基準フレームの開始に合わせてパワーオンし、管理端末は通信端末宛てのフレームの存在を表すフレーム保存情報を基準フレーム内で通信端末に通知し、通信端末は自端末宛のフレームが保存されていない場合にはパワーオフして、自端末宛のフレームが保存されている場合には管理端末とのフレームの送受信を行って全てのフレームの送受信が終了したらパワーオフすることができる。
すなわち、通信端末と、当該通信端末を管理する管理端末とを備えた通信システムであって、管理端末は、通信端末宛てのフレームが存在することを示すフレーム保存情報を含む基準フレームを通信端末に送信する通信手段を有し、通信端末は、基準フレームを受信する通信手段と、管理端末から基準フレームを受信するタイミングに合わせてパワーオンした後、通信手段が受信した基準フレームにフレーム保存情報が含まれていない場合にパワーオフするパワー制御手段とを有する。
さらに、通信端末のパワー制御手段は、管理端末から基準フレームを受信するタイミングに合わせてパワーオンし、受信手段が受信した基準フレームにフレーム保存情報が含まれている場合、管理端末とのフレームの送受信が完了した後にパワーオフする。
さらに、通信システムは、複数の通信端末を備え、管理端末の通信手段は、複数の通信端末のうち一部の通信端末に対し、フレーム保存情報を含む基準フレームを送信する。すなわち、n台の通信端末を2つの組に分け、いずれかの組の通信端末に対してのみフレーム保存情報を含む基準フレームを送信する。
したがって、例えば、n台の通信端末を2つの組に分けて、基準フレーム毎にどちらかの組の通信端末だけに処理を行えば、最大でn−1台の処理順番を小さくすることができ、特に基準フレームからの処理順番が遅い通信端末の無駄に消費する電力を低減することができるという有利な効果が得られる。
(実施の形態7)
実施の形態7にかかる通信システムについて、図19(a)、(b)、(c)を用いて説明する。なお、実施の形態7にかかる通信システムの通信に関する条件は実施の形態6にかかる通信システム100aと同様である。
図19(a)〜図19(c)は、実施の形態7における管理端末1が各通信端末2a〜2cを管理する際に利用する処理順管理表を示す図である。図19(a)は、所定のBeacon frame送信時における処理順番管理表である。図19(b)は、図19(a)に対応するBeacon frame送信の次のBeacon frame送信時における処理順番管理表である。図19(c)は、図19(b)に対応するBeacon frame送信の次のBeacon frame送信時における処理順番管理表である。
このように、実施の形態7にかかる管理端末1は、管理対象となる複数の通信端末2a、2b、2cとの通信順序を任意のタイミングで変更する。
次に、実施の形態7にかかる通信システムのタイムチャートについて説明する。
管理端末1及び通信端末2a、2b、2cの基本動作は、図28に示した動作と同様であり、そのタイムチャートを用いて説明する。ただし、図28における管理端末201は本実施の形態における管理端末1に、通信端末201a、201b、201cはそれぞれ通信端末2a、2b、2cに置き換えて説明する。また、通信等にかかる個々の条件は、実施の形態6の場合と同様である。すなわち、それぞれの物理層フレーム102(図7参照)に必要とされる時間も実施の形態6の場合と同様である。
また、図28における通信端末2a、2b、2cそれぞれのBeacon frame80間隔内のパワーオン時間も実施の形態6と同様である。すなわち、通信端末2aのパワーオン時間は、2246.4μsで、通信端末2bのパワーオン時間は、3240.8μsで、通信端末2cのパワーオン時間は、4227.9μsである。
従来例にかかる通信システムにおける3周期分(60ms期間)での累計のパワーオン時間は、通信端末2aで以下の時間となる。
2246.4μs×3≒6.74(ms)
また、通信端末2bで以下の時間となる。
3240.8μs×3≒9.72(ms)
また、通信端末2cで以下の時間となる。
4227.9μs×3≒12.68(ms)
したがって、各通信端末の単位時間当たりの消費電力は、最大と最小で以下の差が生じることになる。
12.68/6.74=1.88
このように、従来の通信システムにおいては、通信端末が通信する順番は管理端末が通信端末を管理開始する時に決定され、それ以後固定されていたので、以上のように、通信端末ごとの消費電力に差が生じていた。
これに対し、実施の形態7にかかる通信システムにおいては、Beacon frame80毎に処理順番を図19(a)→(b)→(c)→(a)→(b)→(c)・・・の順に変化させていく。したがって、3周期分(60ms期間)での累計のパワーオン時間は、各通信端末2a,2b,2cにおいて、いずれも以下に示す値となる。すなわち、いずれの通信端末においても等しい値となる。
2246.4+3240.8+4227.9≒9.72(ms)
このように、実施の形態7にかかる通信システムにおいては、複数の通信端末との通信の順番を可変とすることにより、通信端末ごとの消費電力の平均化を図ることができる。
従来例では通信端末が通信する順番は管理端末が通信端末を管理開始する時に決定されそれ以後固定されていたのに対して、本実施の形態では順番を任意のタイミングで変更可能としたものである。
なお、本実施の形態では、通信端末が3つの場合について説明したが、通信端末の数はいくつでもでもよいことは言うまでもない。また、音声データの場合について説明したが、各通信端末のデータが同じような大きさでほぼ周期的であればよいことは言うまでもない。
また、計算のためにある仮定した値の場合について説明したが、仮定した値でなくてもよいことは言うまでもない。また、処理順番を最初の音声通信端末を最後に、残り音声通信端末の順番をそれぞれ1つずつ早くするようにした場合について説明したが、消費電力が平均になるようにすればどのように処理順番を変えていってもよいことは言うまでもない。
以上のように本実施の形態によれば、媒体を管理する管理端末と管理端末に管理されるパワーオンとパワーオフとを任意のタイミングで変更可能な通信端末から構成される通信システムであって、通信端末は管理端末の各基準フレームの開始に合わせてパワーオンして管理端末との全てのフレームの送受信を終了したらパワーオフし、管理端末は複数の通信端末に対する基準フレームからの処理順番を変更することができる。
すなわち、複数の通信端末と、当該通信端末を管理する管理端末とを備えた通信システムであって、管理端末は、基準フレームからの処理順番を決定する処理順番決定手段と、処理順番決定手段が決定した処理順番にしたがって、各通信端末との通信を行う通信手段とを有し、通信端末は、基準フレームを受信する通信手段と、管理端末から基準フレームを受信するタミングに合わせてパワーオンした後、管理端末とのフレームの送受信が完了した後にパワーオフするパワー制御手段とを有する。
したがって、パワーオン状態の時間を平均化するように処理順番を変更していけば、各通信端末の消費電力を平均化することができ、通話中の各通信端末の消費電力を平均化することができるという有利な効果が得られる。
(実施の形態8)
実施の形態8にかかる通信システムについて、図20(a)、(b)、(c)を用いて説明する。なお、実施の形態8にかかる通信システムの通信に関する条件は、実施の形態6にかかる通信システムと同様である。
図20(a)〜(c)は、実施の形態7における管理端末1が各通信端末2a〜2cを管理する際に利用する処理順管理表である。図20(a)は、通信端末が1台のみ通話している、すなわち通信端末2aのみの通信時における処理順番管理表である。図20(b)は、通信端末が2台通話している、すなわち通信端末2a,2bの通信時における処理順番管理表である。図20(c)は、通信端末が3台通話している時の処理順番管理表である。
従来の通信システムにおいては、通信端末が通信する順番は管理端末が通信端末を管理開始する時に決定されそれ以後固定されていたのに対して、実施の形態8にかかる通信システムにおいては、通話を開始した順番で通信することとしている。
次に、実施の形態8にかかる通信システムの動作を説明する。通信端末2a、2b、2cのいずれも通話していない状態から通信端末2aだけが通話を開始した状態の場合、図20(a)に示す処理順番管理表に従う。図20(a)においては、処理順番の1に通信端末2aが設定されている。処理順番の2と3の「−」は何も設定されていないことを示す。したがって、通信端末2aのみと通信を行う。
次に、通信端末2aとの通話継続中に通信端末2bの通話が開始された状態においては、図20(b)に示す処理順番管理表に従う。図20(b)においては、処理順番の1に通信端末2aが設定されている。処理順番の2に通信端末2bが設定されている。処理順番3には、何も設定されていない。したがって、通信端末2a,2bの順に通信を行う。
最後に、通信端末2a,2bとの通話継続中に通信端末2cの通話が開始された状態においては、図20(c)に示す処理順番管理表に従う。図20(c)においては、処理順番の1に通信端末2aが設定されている。処理順番の2に通信端末2bが設定されている。処理順番の3に通信端末2cが設定されている。したがって、通信端末2a,2b,2cの順に通信処理を行う。
ここで、通話状態での通信端末2a,2b,2cのそれぞれの平均消費電流を計算する。実施の形態7と同じように、Beacon frame80間隔の時間を20ms、パワーオン時間を、通信端末2aで2246.4μs、通信端末2bで3240.8μs、通信端末2cで4227.9μsとする。実際には送信状態と受信状態で消費電流は異なるが本実施の形態では同じとしパワーオン状態の消費電流は1200mAと仮定する。通話状態の平均消費電流は以下により算出される。
(パワーオン状態の消費電流)×(パワーオン時間)/(Beacon frame80間隔)
よって、平均消費電流は、通信端末2aでは以下の値となる。
1200×2246.4/20000≒134.8(mA)
通信端末2bでは以下の値となる。
1200×3240.8/20000≒194.4(mA)
通信端末2cでは以下の値となる。
1200×4227.9/20000≒253.7(mA)
通信端末2aが通話を開始し、開始10分後に通信端末2bが通話を開始し、通信端末2bの通話開始5分後に通信端末2cが通話を開始し、通信端末2cの通話開始15分後に通信端末2a,2b,2cが全て同時に通話を終了した場合、すなわち通信端末2aが30分、通信端末2bが20分、通信端末2cが15分通話した場合のそれぞれの消費電流量を計算する。
消費電流量のmAhは「消費電流×時間」で計算される。したがって、通信端末2aの消費電流量は、以下の値となる。
134.8×(30/60)=67.4(mAh)
通信端末2bの消費電流量は、以下の値となる。
194.4×(20/60)=64.8(mAh)
通信端末2cの消費電流量は、以下の値となる。
253.7×(15/60)≒63.4(mAh)
このように、各通信端末2a〜2cの通話時間は異なっているが、消費電流量としては全ての通信端末でほぼ同じ結果となっている。すなわち、消費電力量の平均化が図れていることがわかる。
本実施の形態では、通信端末が3つの場合について説明したが、通信端末の数はいくつでもよいことは言うまでもない。また、音声データの場合について説明したが、各通信端末のデータが同じような大きさでほぼ周期的であればよいことは言うまでもない。また、計算のためにある仮定した値の場合について説明したが、仮定した値でなくてもよいことは言うまでもない。
以上のように本実施の形態によれば、媒体を管理する管理端末と管理端末に管理されるパワーオンとパワーオフとを任意のタイミングで変更可能な通信端末から構成される通信システムであって、通信端末は管理端末の各基準フレームの開始に合わせてパワーオンして管理端末との全てのフレームの送受信を終了したらパワーオフし、フレームの送受信を開始した通信端末の順番で管理端末がフレームを処理することができる。
すなわち、管理端末は、通信手段が通信を開始すると、通信を開始した順番にしたがって、各通信端末に対するフレームの処理を行う処理手段をさらに有する。
したがって、管理端末が複雑な処理を行うことなく、ある期間の各通信端末の消費電力量の差を小さくすることができるという有利な効果が得られる。
(実施の形態9)
実施の形態9にかかる通信システムについて、図21(a)、図21(b)、図22(a)、図22(b)および図22(c)を用いて説明する。なお、実施の形態9にかかる通信システムの全体構成は、図18を参照しつつ説明した実施の形態6にかかる通信システムの全体構成とほぼ同様である。ただし、実施の形態9にかかる管理端末1は、さらにパワーオン累積時間を管理するパワーオン累積時間管理表保持部(図示せず)をさらに備えているものとする。
図21は本発明の実施の形態9における処理順管理表を示す図である。
図21(a)は、基準時間から所定時間経過した後のパワーオン累計時間管理表の状態を示している。なお、ここで、基準時間は、本実施の形態においては、朝8時とする。図21(a)においては、通信端末2aの累計パワーオン時間は30分で、通信端末2bの累計パワーオン時間は20分で、通信端末2cの累計パワーオン時間は10分である。また図21(b)は、図21(a)より更に20分経過した後の累積時間管理表の状態を示している。
図22は本発明の実施の形態9における処理順管理表を示す図である。
図22(a)は、通信端末が1台のみ通話している、即ち通信端末2cのみの通信時における処理順番管理表である。図22(b)は、通信端末が2台通話している、すなわち通信端末2a,2cの通信時における処理順番管理表である。図22(c)は、通信端末が3台通話している時の処理順番管理表である。
従来例では通信端末が通信する順番は管理端末が通信端末を管理開始する時に決定されそれ以後固定されていたのに対して、実施の形態9にかかる通信システムにおいては、通話の開始時にパワーオンの累計時間に基づいて、通信する順番を決定するようにしたものである。これにより、例えばパワーオンの累計時間が長い通信端末から通信を行わせることができる。
次に、実施の形態9にかかる通信システムの動作を説明する。
通信端末2a、2b、2cのいずれも通話していない状態から通信端末2cだけが通話を開始した状態の場合、図22(a)に示す処理順番管理表に従う。図22(a)においては、処理順番の1に通信端末2cが設定されている。処理順番の2と3には、は何も設定されていない。したがって、通信端末2cのみと通信を行う。
次に、通信端末2cとの通話継続中に、通信端末2aの通話が開始された状態においては、図22(b)に示す処理順番管理表に従う。図22(b)においては、処理順番の1に通信端末2aが設定されている。処理順番の2に通信端末2cが設定されている。このように、実施の形態9にかかる通信システムにおいては、基準時間からのパワーオンの累計時間が多い通信端末により早い処理順番が割り振られている。
最後に、通信端末2a,2cとの通話継続中に通信端末2bの通話が開始された状態においては、図22(c)に示す処理順番管理表に従う。図22(c)においては、処理順番の1に通信端末2aが、処理順番の2に通信端末2bが、処理順番の3に通信端末2cが設定されている。このように、図22(c)においても、基準時間からのパワーオンの累計時間が多い順番で処理順番が割り振られている。
ここで、図22(b)の時点における通信端末2a,2b,2cのそれぞれの基準時間からのパワーオンの累計時間を算出する。実施の形態7の場合と同じように、Beacon frame80間隔の時間を20msであるとする。パワーオン時間を、処理順番が1の通信端末で2246.4μs、処理順番が2の通信端末で3240.8μs、処理順番が3の通信端末で4227.9μsであるとする。
計算が簡単なように、図22(a)から図22(b)を経由して図22(c)の状態になる時間は十分小さく、通信端末2a,2b,2cが20分通話して同時に通話を終了したと仮定する。この場合、図21(b)の基準時間からのパワーオンの累計時間は、以下のように算出される。
(図21(a)の基準時間からのパワーオンの累計時間)+(各通信端末毎のパワーオン時間)/(Beacon frame80間隔)×(通話時間)
通信端末2aの累積時間は、以下の値となる。
30+2246.4/20000×20≒32.2(分)
通信端末2bの累積時間は、以下の値となる。
20+3240.8/20000×20≒23.2(分)
通信端末2cの累積時間は、以下の値となる。
10+4227.9/20000×20≒14.2(分)
この場合では通話時間はほぼ同じであるのに、基準時間からのパワーオン累計時間の最大差は20分から18分に小さくなり、基準時間からの消費電力量の平均化が図れたことになる。
本実施の形態では、通信端末が3つの場合について説明したが、通信端末の数はいくつでもでもよいことは言うまでもない。また、音声データの場合について説明したが、各通信端末のデータが同じような大きさでほぼ周期的であればよいことは言うまでもない。また、計算のためにある仮定した値の場合について説明したが、仮定した値でなくてもよいことは言うまでもない。また、通話の開始時にパワーオンの累計時間に基づき通信する順番を決定する場合について説明したが、通話の途中でパワーオンの累計時間を更新し、それに基づき通話の途中でも通信する順番を変更してもよいことは言うまでもない。
以上のように本実施の形態によれば、媒体を管理する管理端末と管理端末に管理されるパワーオンとパワーオフとを任意のタイミングで変更可能な通信端末から構成される通信システムであって、通信端末は管理端末の各基準フレームの開始に合わせてパワーオンして管理端末との全てのフレームの送受信を終了したらパワーオフし、管理端末は全ての通信端末に対する基準時間からのパワーオンの累計時間を保存し、パワーオンの累計時間に基づいて通信端末の処理順番を決定して管理端末がフレームを処理することができる。
すなわち、管理端末は、複数の通信端末それぞれにおける、基準時間を基準としたパワーオン累積時間を保持する保持手段をさらに有し、処理順番決定手段は、保持手段が保持するパワーオン累積時間に基づいて、処理順番を決定する。
したがって、基準時間からのパワーオンの累計時間が長かった通信端末の順番で管理端末がフレームを処理することを決定すれば、パワーオンの累計時間が長かった通信端末ほどパワーオンの時間を短くできるので、基準時間からの消費電力量の平均化を行うことができるという有利な効果が得られる。
(実施の形態10)
実施の形態10にかかる通信システムについて、図22(a)、図22(b)、図22(c)、図23(a)及び図23(b)を用いて説明する。図22(a)、図22(b)、図22(c)は実施の形態9で説明したものと同じものである。図23(a)は、所定の時点における、管理端末1における各通信端末の電池残量管理表を示している。図23(b)は、図23(a)の時点から20分経過した後の各通信端末の電池残量管理表を示している。
より具体的には、図23(a)は、その時点までに、通信端末2aから電池残量が300mAhであることが通知され、通信端末2bから電池残量が500mAhであることが通知され、通信端末2cから電池残量が700mAhであることが通知された場合の電池残量管理表を示している。
また、図23(b)は、その時点までに、通信端末2aから電池残量が255.1mAhであることが通知され、通信端末2bから電池残量が435.2mAhであることが通知され、通信端末2cから電池残量が615.4mAhであることが通知された場合の電池残量管理表を示している。
従来例では通信端末が通信する順番は管理端末が通信端末を管理開始する時に決定されそれ以後固定されていたのに対して、実施の形態5にかかる通信システムにおいては、通話の開始時に通信端末から通知された電池残量に基づいて、通信する順番を決定するようにしたものである。これにより、例えば電池残量の少ない通信端末から通信を行わせることができる。
次に、実施の形態10にかかる通信システムの動作を説明する。
通信端末2a、2b、2cのいずれも通話していない状態から通信端末2cだけが通話を開始した状態の場合、図22(a)に示す処理順番管理表に従う。図22(a)においては、処理順番の1に通信端末2cが設定されている。処理順番の2と3には、は何も設定されていない。したがって、通信端末2cのみと通信を行う。
次に、通信端末2cとの通話継続中に、通信端末2aの通話が開始された状態においては、図22(b)に示す処理順番管理表に従う。図22(b)においては、処理順番の1に通信端末2aが設定されている。処理順番の2に通信端末2cが設定されている。このように、実施の形態10にかかる通信システムにおいては、電池残量が少ない通信端末により早い処理順番が割り振られている。
最後に、通信端末2a,2cとの通話継続中に通信端末2bの通話が開始された状態においては、図22(c)に示す処理順番管理表に従う。図22(c)においては、処理順番の1に通信端末2aが、処理順番の2に通信端末2bが、処理順番の3に通信端末2cが設定されている。このように、図22(c)においても、電池残量が少ない通信端末2aにより早い処理順番が割り振られている。
図23(b)の電池残量の値はその時点までに通信端末2a,2b,2cから通知されたものであるが、ここでは、図23(b)の時点における電池残量を図23(a)の電池残量に基づいて算出する。
実施の形態8と同じように、Beacon frame80間隔の時間を20msであるとする。通話状態の平均消費電流を、処理順番が1の通信端末で134.8mA、処理順番が2の通信端末で194.4mA、処理順番が3の通信端末で253.7mAであるとする。
計算が簡単なように、図22(a)から図22(b)を経由して図22(c)の状態になる時間は十分小さく、通信端末2a,2b,2cが20分通話して同時に通話を終了したと仮定する。この場合、図23(b)の電池残量は、以下のように算出される。
(図23(a)の各通信端末の電池残量)−(各通信端末の通話状態の平均消費電流)×(通話時間)
通信端末2aの電池残量は、以下の値となる。
300−134.8×20/60≒255.1(mAh)
通信端末2bの電池残量は、以下の値となる。
500−194.4×20/60=435.2(mAh)
通信端末2cの電池残量は、以下の値となる。
700−253.7×20/60≒615.4(mAh)
この場合では通話時間はほぼ同じであるのに、電池残量の最大差は400mAhから360.3mAhに小さくなり、電池残量の平均化が図れたことになる。
本実施の形態では、通信端末が3つの場合について説明したが、通信端末の数はいくつでもでもよいことは言うまでもない。また、音声データの場合について説明したが、各通信端末のデータが同じような大きさでほぼ周期的であればよいことは言うまでもない。また、計算のためにある仮定した値の場合について説明したが、仮定した値でなくてもよいことは言うまでもない。
また、各通信端末が能動的に電池残量を管理端末に通知する場合について説明したが、管理端末が各通信端末に電池残量の通知を要求し、各通信端末がその要求に従って電池残量を通知してもよいことは言うまでもない。また、各通信端末が電池残量を通知するとだけ説明したが、各通信端末が専用フレームで電池残量を通知してもいいし、通常のフレームに電池残量を示す情報を付加して通知してもよいことは言うまでもない。また、通話の開始時に通信端末から通知された電池残量に基づき通信する順番を決定する場合について説明したが、通話の途中で更新された電池残量に基づき通話の途中でも通信する順番を変更してもよいことは言うまでもない。
以上のように本実施の形態によれば、媒体を管理する管理端末と管理端末に管理されるパワーオンとパワーオフとを任意のタイミングで変更可能な通信端末から構成される通信システムであって、通信端末は管理端末の各基準フレームの開始に合わせてパワーオンして管理端末との全てのフレームの送受信を終了したらパワーオフし、通信端末は管理端末に電池残量を通知し、電池残量に基づいて通信端末の処理順番を決定して管理端末がフレームを処理することができる。
すなわち、管理端末は、複数の通信端末それぞれから電池残量を取得する電池残量取得手段をさらに有し、処理順番決定手段は、電池残量取得手段が取得した電池残量に基づいて、処理順番を決定する。
したがって、電池残量が少ない通信端末の順番で管理端末がフレームを処理することを決定すれば、電池残量が少ない通信端末ほどパワーオンの時間を短くできるので、電池残量の平均化を行うことができるという有利な効果が得られる。