図1に、前記したDC駆動方式の光源装置の構成の、簡略化された一例を示す。
給電装置(Ex)において、降圧チョッパ型のバラスト回路(Bx)は、PFC等のDC電源(Mx)より電圧の供給を受けて動作する。前記バラスト回路(Bx)においては、FET等のスイッチ素子(Qx)によってDC電源(Mx)よりの電流をオン・オフし、チョークコイル(Lx)を介して平滑コンデンサ(Cx)に充電が行われ、この電圧が放電ランプ(Ld)に印加され、放電ランプ(Ld)に電流を流すことができるように構成されている。
なお、前記スイッチ素子(Qx)がオン状態の期間は、スイッチ素子(Qx)を通じた電流により、直接的に平滑コンデンサ(Cx)への充電と負荷である放電ランプ(Ld)への電流供給が行われるとともに、チョークコイル(Lx)に電流の形でエネルギーを蓄え、前記スイッチ素子(Qx)がオフ状態の期間は、チョークコイル(Lx)に電流の形で蓄えられたエネルギーによって、フライホイールダイオード(Dx)を介して平滑コンデンサ(Cx)への充電と放電ランプ(Ld)への電流供給が行われる。
スタータ(Ui)においては、抵抗(Ri)を介して、ランプ電圧(VL)によってコンデンサ(Ci)が充電される。ゲート駆動回路(Gi)を活性化すると、サイリスタ等よりなるスイッチ素子(Qi)が導通することにより、前記コンデンサ(Ci)がトランス(Ki)の1次側巻線(Pi)を通じて放電し、2次側巻線(Hi)に高電圧パルスを発生する。
スタータ(Ui)の2次側巻線(Hi)に発生した高電圧は、バラスト回路(Bx)の出力電圧に重畳されて電極(E1,E2)間に印加され、放電ランプ(Ld)の放電を始動することができる。
給電制御回路(Fx)はあるデューティサイクル比を有するゲート駆動信号(Sg)を生成し、前記ゲート駆動信号(Sg)は、ゲート駆動回路(Gx)を介して、前記スイッチ素子(Qx)のゲート端子に加えられることにより、前記したDC電源(Mx)よりの電流のオン・オフが制御される。
前記放電ランプ(Ld)の電極(E1,E2)間を流れるランプ電流(IL)と、電極(E1,E2)間に発生するランプ電圧(VL)とは、電流検出手段(Ix)と、電圧検出手段(Vx)とによって、検出できるように構成される。
なお、前記電流検出手段(Ix)については、シャント抵抗を用いて、また前記電圧検出手段(Vx)については、分圧抵抗を用いて簡単に実現することができる。
前記電流検出手段(Ix)よりのランプ電流信号(Si)、および前記電圧検出手段(Vx)よりのランプ電圧信号(Sv)は、給電制御回路(Fx)に入力され、その時点における放電ランプ(Ld)の放電状態の別、すなわち非放電状態であるか、グロー放電状態であるか(場合によっては、どのようなグロー放電状態であるか)、アーク放電状態であるか(場合によっては、どのようなアーク放電状態であるか)などに基づいて、ランプ電流(IL)やランプ電圧(VL)が、あるいはこれら電流と電圧の積であるランプ電力が、その目標値との差が減少するように、前記ゲート駆動信号(Sg)のデューティサイクル比がフィードバック的に制御される。
記したように、グロー放電における系の振る舞いを適切に制御することは、ランプ寿命にとって非常に重要な要素であるため、グロー放電期間において、前記放電ランプ(Ld)に対して、過剰な電力が投入されることを抑制し、前記放電ランプに投入される電力が前記放電ランプの定格電力の2倍以下となるようにすることにより、グロー放電時に封体ガラス内面に黒化が発生する問題を解決することが可能となる。
以下において、本発明の効果について、発明者らの実験結果を記載した図6を用いて説明する。
図6は、異なる給電装置を用いて同じ種類のランプを25分間点灯し5分間消灯する点滅点灯サイクルを約500回繰り返した場合の、光源装置の出力光量の減衰を示すものである。
供試ランプは、石英ガラスよりなる封体に放電空間の容積1立方ミリメートルあたり0.15mgの水銀と臭素、アルゴンが封入された、定格電力が150Wものを使用した。
実験に際し、放電ランプ(Ld)は、硼珪酸ガラスよりなる放物面鏡に対して、電極(E1,E2)間のアーク領域が、前記放物面鏡の焦点に位置するように装着し、光源装置の出力光量は、前記電極(E1,E2)間のアーク領域から1mの距離において、光束のほぼ中央部に対応する地点の照度を照度計を用いて測定した。図6においては、実験初期の照度を100%と見なした規格化により、縦軸を照度維持率として表してある。
給電装置(Ex)の構成を、後述の第1の実施例において説明する、図8の給電制御回路(Fx1)を用いたものとすることによって、前記給電装置(Ex)の出力であるランプ電流(IL)とランプ電圧(VL)との関係、すなわち出力電流電圧特性を、図2の点(P0a)、点(P0b)、点(P0c)、点(P11)、点(P12)、点(P13)、点(P0e)をつないだ特性線(F1a)として示すような特性を有する給電装置とした場合の、実験終了時点での照度維持率は約79%であった。
図2には、ランプの定格の2倍の一定電力に対応する電流電圧特性線(Fp1)も示されており、全ての電流および電圧領域において、前記特性線(F1a)は、これよりも原点側にあり、したがって、特性線(F1a)を有する前記給電装置(Ex)は、前記放電ランプに投入される電力が前記放電ランプの定格電力の2倍以下となるように構成されているものであることがわかる。
これに対し比較のための実験として、図17に記載の特性線(F0a)のような出力電流電圧特性を有する給電装置とした場合の、実験終了時点での照度維持率は約61%であり、図6には、この実験結果も記載されている。
ただし、特性線(F0a)を有する給電装置は、第1の実施例の給電装置(Ex)の給電制御回路(Fx1)を基本として、そのランプ電流上限信号発生回路(Uc1)のなかの抵抗(R12)を除去することにより、図2の前記特性線(F1a)のうちの、点(P11)、点(P12)、点(P13)からなる部分が、点(P11)、点(P0d)、点(P13)をつないだ、単純な特性線となるようにして構成した。
図17の前記特性線(F0a)の点(P0d)付近の部分においては、出力電流電圧特性がランプの定格の2倍の一定電力に対応する電流電圧特性線(Fp1)を超え過電力の状態にあり、前記したグロー放電時に封体ガラス内面に黒化が発する問題を助長していたが、本発明になる図2の特性線(F1a)の場合には、このような過電力が抑えられているために、前記したグロー放電時に封体ガラス内面に黒化が発生する問題が解決され、照度維持率が改善されたたものと推測される。
さらに、給電装置(Ex)の構成を、後述の第2の実施例において説明する、図9の給電制御回路(Fx2)を用いたものとすることによって、前記給電装置(Ex)の出力であるランプ電流(IL)とランプ電圧(VL)との関係、すなわち出力電流電圧特性を、図3の点(P2a)、点(P21)、点(P22)、点(P2f)をつないだ特性線(F2a)として示すような特性を有する給電装置とした場合の、実験終了時点での照度維持率は約87%であって、同様に前記図17の前記特性線(F0a)の場合より改善が見られる。
図3には、ランプの定格の2倍の一定電力に対応する電流電圧特性線(Fp1)も示されており、全ての電流および電圧領域において、前記特性線(F2a)は、これよりも原点側にあり、したがって、特性線(F2a)を有する前記給電装置(Ex)は、前記放電ランプに投入される電力が前記放電ランプの定格電力の2倍以下となるように構成されているものであることがわかる。
ここまで見てきたように、グロー放電時の過電力がランプの定格電力の2倍以下に抑えられるために、前記したグロー放電時に封体ガラス内面に黒化が発生する問題が解決され、照度維持率を改善する作用を示すことがわかる。
ところで、アーク放電期間においては、ランプへの投入電力は、概ね定格電力が投入されるか、もしくは前記アーク放電の初期の期間(T31)のように、定格電力に満たない電力が投入されるため、定格電力以上の電力が投入される可能性のある期間はグロー放電期間に限られることがわかる。
すなわち、放電ランプの放電状態がグロー放電状態であるか否かによらず、前記ランプへの投入電力が、定格電力の2倍以下になるようにすることにより、前記したグロー放電時に封体ガラス内面に黒化が発生する問題が解決されることになる。
この性質を利用して、バラスト回路(Bx)に対するDC電源(Mx)の電力供給能力を制限することにより、結果として、グロー放電期間における前記放電ランプに投入される電力が前記放電ランプの定格電力の2倍以下となるように制御するため、前記したグロー放電時に封体ガラス内面に黒化が発生する問題が解決され、照度維持率を改善する作用を示すことがわかる。
先ず、第1の実施例について説明する。図7は、給電制御回路(Fx)の簡略化された構成を示すものである。
前記ランプ電圧信号(Sv)は、総合制御部(Xpu)のなかのAD変換器(Adc)に入力されて、適当な桁数を有するディジタルのランプ電圧データ(Sxv)に変換され、マイクロプロセッサユニット(Mpu)に入力される。
ここで、マイクロプロセッサユニット(Mpu)は、CPUやプログラムメモリ、データメモリ、クロックパルス発生回路、タイムカウンタ、ディジタル信号の入出力のためのIO制御器などを含む。
マイクロプロセッサユニット(Mpu)は、前記ランプ電圧データ(Sxv)を参照した計算や、その時点の系の状態に応じた条件判断に基づき、後述するチョッパ能力制御回路(Ud)のための、チョッパ能力制御目標データ(Sxt)を生成する。前記チョッパ能力制御目標データ(Sxt)は、DA変換器(Dac)によって、アナログのチョッパ能力制御目標信号(St)に変換され、端子(Tt)よりチョッパ能力制御回路(Ud)に入力される。
チョッパ能力制御回路(Ud)には、前記ランプ電圧信号(Sv)は端子(Tv)より、また前記ランプ電流信号(Si)は端子(Ti)よりそれぞれ入力される。さらに、ランプ電圧(VL)に応じて決められる、許容されるランプ電流の上限値を規定するためのランプ電流上限信号(Sk)が、ランプ電流上限信号発生回路(Uc)により発生され、端子(Tk)より入力される。
前記チョッパ能力制御回路(Ud)内においては、前記チョッパ能力制御目標信号(St)は、必要に応じて設ける増幅器またはバッファ(Ad1)とダイオード(Dd1)を介して、さらに、前記ランプ電流上限信号(Sk)は、必要に応じて設ける増幅器またはバッファ(Ad2)とダイオード(Dd2)を介して、ともにプルアップ抵抗(Rd1)の一端に接続され、チョッパ駆動目標信号(Sd2)が生成される。なお、前記プルアップ抵抗(Rd1)の他端は適当な電圧を有する基準電圧源(Vd1)に接続される。
したがって前記チョッパ駆動目標信号(Sd2)は、前記チョッパ能力制御目標信号(St)に対応する信号(Sd3)または前記ランプ電流上限信号(Sk)に対応する信号(Sd4)のうちの、何れか大きくない方が選択された信号となる。
すなわち、前記総合制御部(Xpu)が、例えば、定格電力に対応する定数を前記ランプ電圧データ(Sxv)で除算して、定格電力を達成するためのランプ電流(IL)の値を算出し、この値に対応するものとして生成するなど、何らかの方法で前記チョッパ能力制御目標信号(St)を生成したとして、仮にこれが不適当であった場合でも、前記チョッパ能力制御回路(Ud)内において、ハードウェア的に、ランプ電流(IL)が前記ランプ電流上限信号(Sk)を超えないように、前記チョッパ駆動目標信号(Sd2)が制限されることになる。
因みに、前記したAD変換器(Adc)やマイクロプロセッサユニット(Mpu)を介した制御は、動作速度が遅い(もしくは速いものとすると高コストとなる)ため、例えばランプの放電状態が急変するなどの事態が生じた場合には、その動作遅れによって、前記したチョッパ能力制御目標信号(St)の不適当が発生し得るため、このような電流制限機能をハードウェア的に構成することは、ランプや給電装置の保護の観点からも有益なことである。
一方、前記ランプ電流信号(Si)は、必要に応じて設ける増幅器またはバッファ(Ad3)とダイオード(Dd3)を介して、一端がグランド(Gndx)に接続されたプルダウン抵抗(Rd5)の他端に接続され、制御対象信号(Sd5)が生成される。
さらに、前記ランプ電圧信号(Sv)は、比較器(Cmv)によって、前記した無負荷開放電圧に対応する電圧を有する基準電圧源(Vd2)の電圧と比較され、もし、前記ランプ電圧信号(Sv)が、無負荷開放電圧より高い場合は、トランジスタ(Qd1)がオフまたは能動状態になり、適当な電圧源(Vd3)から、抵抗(Rd4)とダイオード(Dd4)を介して、前記プルダウン抵抗(Rd5)に電流を流すことにより、前記制御対象信号(Sd5)の水準を上げるように動作する。
逆に前記ランプ電圧信号(Sv)が、無負荷開放電圧より低い場合は、前記トランジスタ(Qd1)がオン状態になるため、前記電圧源(Vd3)からの電流は短絡され、前記制御対象信号(Sd5)は、前記ランプ電流信号(Si)に対応するものとなる。
何となれば、前記のプルダウン抵抗(Rd5)とダイオード(Dd3)、ダイオード(Dd4)よりなる回路は、各ダイオードのアノード側の信号(Sd6)と信号(Sd7)の何れか小さくない方に対応する電圧が選択されてプルダウン抵抗(Rd5)に発生するからである。
なお、前記比較器(Cmv)については、その出力端子と非反転入力端子に正帰還抵抗を挿入する(図示を省略)などして、比較動作にヒステリシスを持たせることにより、比較出力が変化する際の意図しない発振現象を防止することができる。
このように構成したことにより、たとえ出力電流がほとんど停止して、前記ランプ電流信号(Si)がほとんど入らない状態であっても、前記ランプ電圧信号(Sv)が、前記無負荷開放電圧より高くなろうとすると、前記制御対象信号(Sd5)が急速に上昇することにより、ランプ電圧(VL)は、概略無負荷開放電圧以下に、常にハードウェア的に制限される。
前記チョッパ駆動目標信号(Sd2)は、抵抗(Rd2)と抵抗(Rd3)で分圧されて、演算増幅器(Ade)の反転入力端子に入力される。一方、前記制御対象信号(Sd5)は、前記演算増幅器(Ade)の非反転入力端子に入力される。そして、前記演算増幅器(Ade)の出力信号(Sd1)は、積分コンデンサ(Cd1)とスピードアップ抵抗(Rd6)を介して反転入力端子にフィードバックされているため、前記演算増幅器(Ade)は、前記チョッパ駆動目標信号(Sd2)の抵抗(Rd2)と抵抗(Rd3)による分圧電圧に対する、前記制御対象信号(Sd5)の電圧の差を積分する、誤差積分回路としてはたらく。
時定数を決めるための抵抗(Rd0)とコンデンサ(Cd0)が接続された発振器(Osc)は、図11のaに示すような鋸歯状波信号(Sd0)を発生し、この鋸歯状波信号(Sd0)と、前記誤差積分回路の出力信号(Sd1)とは、比較器(Cmg)で比較される。
ただし比較に際しては、前記誤差積分回路の出力信号(Sd1)に対してオフセット電圧(Vd4)を加えた信号(Sd8)と前記鋸歯状波信号(Sd0)とが比較される。
前記鋸歯状波信号(Sd0)の電圧が前記信号(Sd8)の電圧よりも高い期間においてハイレベルとなる前記ゲート駆動信号(Sg)が生成され、端子(Tg)を通して前記チョッパ能力制御回路(Ud)から出力される。
前記したように、前記信号(Sd8)は誤差積分回路の出力信号(Sd1)にオフセットを加えたものであるため、前記誤差積分回路の出力信号(Sd1)が仮に零であったとしても、前記ゲート駆動信号(Sg)のデューティサイクル比は、100%より小さいある最大値、すなわち最大デューティサイクル比DXmax以下になるように構成されている。
図11のaおよびbには、前記誤差積分回路の出力信号(Sd1)、およびこれに対してオフセットを加えた信号(Sd8)、前記鋸歯状波信号(Sd0)と前記ゲート駆動信号(Sg)の関係が示されている。
前記給電制御回路(Fx)から出力された前記ゲート駆動信号(Sg)が、前記ゲート駆動回路(Gx)に入力されることにより、結果として、前記ランプ電流信号(Si)および前記ランプ電圧信号(Sv)が、スイッチ素子(Qx)の動作にフィードバックされたフィードバック制御系が完成する。
なお、前記図7に記載のチョッパ能力制御回路(Ud)の構成に際しては、前記演算増幅器(Ade)や発振器(Osc)、比較器(Cmg)などが集積された市販の集積回路として、テキサスインスツルメンツ社製TL494などを利用することができる。
先述の図7においては、前記給電制御回路(Fx)内の前記ランプ電流上限信号発生回路(Uc)は、内部構成が示されないブロックとして記載したが、図8に、具体的に構成を示したランプ電流上限信号発生回路(Uc1)とした給電制御回路(Fx1)の簡略化された実施例を示す。
始めに、総合制御部(Xpu)よりの抑制信号(Sa)はローレベルであり、そのため、トランジスタ(Q12)はオフ状態であるとする。
ランプ電流上限信号発生回路(Uc1)へは、端子(Tf)よりランプ電圧信号(Sv)が入力され、比較器(Cm11)により、基準電圧源(V12)の電圧と比較され、もし、前記ランプ電圧信号(Sv)が、前記基準電圧源(V12)の電圧より高い場合は、抵抗(R13)を介して、トランジスタ(Q11)がオン状態にされるため、適当な電圧値を有する電圧源(V11)の電圧が抵抗(R11)と抵抗(R12)によって分圧され、端子(Tj)から低い方のレベルのランプ電流上限信号(Sk)として出力される。
逆に前記ランプ電圧信号(Sv)が、前記基準電圧源(V12)の電圧より低い場合は、前記トランジスタ(Q11)がオフまたは能動状態になり、前記電圧源(V11)の電圧が、前記抵抗(R11)を介して、高い方のレベルのランプ電流上限信号(Sk)として出力される。
すなわち、図8に示した前記ランプ電流上限信号発生回路(Uc1)は、前記基準電圧源(V12)の電圧で決まるバラスト回路(Bx)の出力電圧VLt1を境界として、ランプ電圧(VL)がこの境界電圧VLt1より高い場合は、ランプ電流(IL)を概略一定の小さい制限電流値ILhに制限し、ランプ電圧(VL)がこの境界電圧VLt1より低い場合は、ランプ電流(IL)を概略一定の、前記制限電流値ILhよりも大きい値に制限することになる。そして、この大きい方の制限電流値が前記許容ランプ電流上限値ILmaxになるように、電圧源(V11)の電圧が決定される。
なお、前記比較器(Cm11)については、その出力端子と非反転入力端子に正帰還抵抗を挿入する(図示を省略)などして、比較動作にヒステリシスを持たせることにより、比較出力が変化する際の意図しない発振現象を防止することができる。
このようなバラスト回路(Bx)の構成により、グロー放電のために、前記チョッパ駆動目標信号(Sd2)として前記ランプ電流上限信号(Sk)が選択されるよう、前記チョッパ能力制御目標信号(St)が十分に高く設定されているときには、出力電流電圧特性は、図2の点(P0a)、点(P0b)、点(P0c)、点(P11)、点(P12)、点(P13)、点(P0e)をつないだ特性線(F1a)として示すような特性になる。
ここで、点(P12)および点(P13)における電圧は概略同じで、前記境界電圧VLt1で規定される値となる。また、点(P11)および点(P12)における電流は概略同じで、前記制限電流値ILhで規定される値となり、さらに、点(P13)および点(P0e)における電流は概略同じで、前記許容ランプ電流上限値ILmaxで規定される値となる。
図2においては、アーク放電時におけるランプの定格電力が150Wであるとして、この定格電力が一定に維持されるとした場合の定電力特性線(Fp0)も示してある。
以下において、給電制御回路(Fx)として図8に記載の給電制御回路(Fx1)を有する給電装置(Ex)が、図2の特性線(F1a)に示す特性を与える
理由を簡単に説明する。
一般に、降圧チョッパ回路は、入力電圧と出力電圧の電圧差によって出力電流を流すものであるため、出力電圧が高くなるほど、出力電流供給能力は小さくなり、逆に出力電圧が低くなるほど、出力電流供給能力は大きくなる。言い換えれば、出力電流が小さいほど、高い電圧を出力することができるようになり、逆に出力電流が大きいほど、低い電圧しか出力できなくなる。
前記特性線(F1a)の点(P0a)は、前記した無負荷開放電圧を発生している状態に対応し、点(P0a)から点(P0b)に至る平坦な部分は、ランプ電流(IL)が流れていない、もしくは小さいことに起因して、前記したように、ランプ電圧信号(Sv)が無負荷開放電圧より高くなろうとするために、前記トランジスタ(Qd1)がオフまたは能動状態になり、チョッパ能力制御回路(Ud)のフィードバック制御機能によって、前記ゲート駆動信号(Sg)のデューティサイクル比を前記最大デューティサイクル比DXmaxから低下させ、ランプ電圧信号(Sv)が無負荷開放電圧を超えないように制御されることに対応して生ずる。点(P0a)から点(P0b)に至る部分を除いた他の部分では、ランプ電圧信号(Sv)が無負荷開放電圧より低いために前記トランジスタ(Qd1)がオン状態になる。
一方、前記特性線(F1a)の点(P0b)から点(P0d)に至る部分では、前記制御対象信号(Sd5)は、前記ランプ電流信号(Si)に対応するものとなるが、前記したように前記チョッパ能力制御目標信号(St)は、前記チョッパ駆動目標信号(Sd2)として前記チョッパ能力制御目標信号(St)が選択されるように、十分に高く設定されており、また、前記したように前記ゲート駆動信号(Sg)のデューティサイクル比は、前記最大デューティサイクル比DXmaxを超えることができないため、前記ランプ電流信号(Si)は、前記チョッパ駆動目標信号(Sd2)、すなわち前記ランプ電流上限信号(Sk)で規定される水準に達することができず、前記ゲート駆動信号(Sg)のデューティサイクル比が前記最大デューティサイクル比DXmaxに固定された状態が維持される。
前記特性線(F1a)の点(P0b)から点(P11)に至る部分のうち、点(P0b)から点(P0c)に至る双曲線様の部分は、前記スイッチ素子(Qx)と前記チョークコイル(Lx)、前記フライホイールダイオード(Dx)よりなる前記降圧チョッパ回路が断続モード(不連続モード)で動作している状態に対応する。
さらに、点(P0c)から点(P11)に至る右下がりの比較的平坦な部分は、前記降圧チョッパ回路が、連続モードで動作している状態に対応する。
ここで、前記降圧チョッパ回路の断続モードとは、図11のcに示すように、前記ゲート駆動信号(Sg)に従ってスイッチ素子(Qx)のオン・オフが制御されるチョークコイル(Lx)に関して、その電流(Icoil)が概略0である期間(Tn)が存在する状態を意味し、また連続モードとは、図11のdに示すように、チョークコイル(Lx)の電流(Icoil)が概略0である期間(Tn)が存在しない状態を意味する。
一般に、デューティサイクル比が固定され、断続モードで動作する降圧チョッパ回路においては、その出力電圧は、出力電流が増加するにしたがい低下する。
なお、単純な近似理論では、デューティサイクル比が固定され、連続モードで動作する降圧チョッパ回路の出力電圧は、出力電流によらずに、DC電源(Mx)に最大デューティサイクル比DXmaxを乗じた一定値となるが、現実の降圧チョッパ回路においては、出力電流の増加に伴って出力電圧が低下するため、点(P0c)から点(P11)に至る部分は、右下がりの特性となる。
前記したように、降圧チョッパ回路は出力電圧が低くなるほど、出力電流供給能力は大きくなるため、点(P11)から、ランプ電圧(VL)がさらに低下すると、ランプ電流(IL)が増加して、前記制限電流値ILhを超えようとするために、前記ランプ電流信号(Si)に対応する前記制御対象信号(Sd5)は、前記ランプ電流上限信号(Sk)に対応する前記チョッパ駆動目標信号(Sd2)の前記抵抗(Rd2)と抵抗(Rd3)による分圧電圧との差を解消することができるようになるため、前記誤差積分回路の出力信号(Sd1)が上昇し、前記ゲート駆動信号(Sg)のデューテイサイクル比を低下させることにより、ランプ電流(IL)は前記制限電流値ILhに維持されるようになる。前記特性線(F1a)の点(P11)から点(P12)に至る、ランプ電流(IL)が一定の部分は、このようにして生ずる。
点(P12)から、ランプ電圧(VL)がさらに低下して、前記制限電流値ILh以下になると、前記したようにランプ電流(IL)は前記制限電流値ILhよりも大きい前記許容ランプ電流上限値ILmaxに維持されるようになる。前記特性線(F1a)の点(P13)から点(P0e)に至る、ランプ電流(IL)が一定の部分は、このようにして生ずる。
したがって、前記放電ランプに投入される電力が前記放電ランプの定格電力の2倍以下となるようにするために、点(P11)が、ランプの定格の2倍の一定電力に対応する電流電圧特性線(Fp1)を超えないように、前記した低い方のレベルのランプ電流上限信号(Sk)を決定し、また、前記した高い方のレベルのランプ電流上限信号(Sk)すなわち前記許容ランプ電流上限値ILmaxのもとで、点(P13)がランプの定格の2倍の一定電力に対応する電流電圧特性線(Fp1)を超えないように、前記基準電圧源(V12)の電圧を決定すればよい。
このように給電装置を設計することにより、作用の部分において述べたように、図2に記載のグロー放電の出力電流電圧特性を実現する、図1、図7、図8に記載の構成を有する本発明になる給電装置は、グロー放電時の過電力がランプの定格電力の2倍以下に抑えられるために、前記したグロー放電時に封体ガラス内面に黒化が発生する問題が解決され、照度維持率を改善することができる。
以下において、給電制御回路(Fx)として図8に記載の給電制御回路(Fx1)を有する、図1に記載の本発明の光源装置の始動前、始動、グロー放電、アーク放電移行、定常状態のアーク放電への収束の各過程と、実際的な制御の要点について、簡単に説明しておく。
この光源装置を始動する際には、総合制御部(Xpu)は、前記したようにグロー放電のために、前記チョッパ駆動目標信号(Sd2)として前記ランプ電流上限信号(Sk)が選択されるよう、前記チョッパ能力制御目標信号(St)を十分に高く設定して、出力電流電圧特性を図2に記載の特性線(F1a)とした状態にする。
この時点では放電ランプ(Ld)は消灯しており、ランプ電流(IL)は流れないため、無負荷開放電圧を発生する状態、すなわち点(P0a)に対応する状態になる。
ここで、スタータ(Ui)を動作させることにより、前記したように前記電極(E1,E2)の間に高電を印加して絶縁破壊を発生させてグロー放電を開始させる。
グロー放電期間中の系の状態は、図2の特性線(F1a)上の点(P0c)から点(P12)に至る部分の何れかの点において暫く留まり、電極の温度が十分上昇すると、放電形態はアーク放電へと遷移する。
前記したように、ランプがアーク放電に移行するとランプ電圧(VL)が急激に低下するから、AD変換器(Adc)を介してランプ電圧信号(Sv)を検出している総合制御部(Xpu)は、ランプ電圧(VL)の急激な低下を検知することができる。
あるいは、ランプがアーク放電に移行後にグロー放電に戻った後にアーク放電に再移行したり、あるいはこれを何度か繰り返した上でアーク放電に移行する場合に備えて、適当な時間経過を待ってランプ電圧(VL)の急激な低下を検知することにより、ランプがアーク放電に移行したことを検知することができる。
ランプがアーク放電に移行したことを検知したならば、総合制御部(Xpu)は、それまでのグロー放電のために前記チョッパ駆動目標信号(Sd2)として前記ランプ電流上限信号(Sk)が選択されるよう、前記チョッパ能力制御目標信号(St)を十分に高く設定する動作に代えて、略定期的にランプ電圧(VL)を検出し、設定されている目標電力を検出されたランプ電圧(VL)で除して目標電流を算出し、これを前記チョッパ能力制御目標信号(St)として、繰り返し設定する動作を開始する。
前記したようにアーク放電の初期の期間(T31)においては、未だランプの温度が十分に高くなっておらず、算出された目標電流が前記許容ランプ電流上限値ILmaxを超えるために目標電流を達成することができないが、時間の経過とともに、ランプの電圧が上昇して、算出された目標電流が前記許容ランプ電流上限値ILmax以下となり、設定されている目標電力をランプに投入することができるようになる。
そしてそれ以降は、光源装置の状態は、図2に記載の定電力特性線(Fp0)に沿って推移し、そして前記したように、光源装置の状態は定常状態(T33)に落ち着く。
ただし、図2においては、グロー放電の特性線(F1a)が、点(P12)近傍において、アーク放電の定電力特性線(Fp0)より下に位置している。前記したように、前記チョッパ能力制御回路(Ud)の前記チョッパ駆動目標信号(Sd2)は、前記チョッパ能力制御目標信号(St)に対応する信号(Sd3)または前記ランプ電流上限信号(Sk)に対応する信号(Sd4)のうちの、何れか大きくない方が選択されるため、グロー放電の特性線(F1a)が、アーク放電の定電力特性線(Fp0)より下に位置している条件では、放電がアーク放電であるにもかかわらず、アーク放電の定電力特性線(Fp0)より優先されて、グロー放電の特性線(F1a)が発現してしまうことになる。
このような不都合が生ずることを防止するため、前記した、ランプがアーク放電に移行したことを検知した時点で、前記総合制御部(Xpu)は前記抑制信号(Sa)をハイレベルにすることにより、前記トランジスタ(Q12)をオン状態にして、前記トランジスタ(Q11)がオン状態になることを阻止し、結果としてランプ電圧(VL)が前記境界電圧VLt1より高い場合に、ランプ電流(IL)が前記VLt1に制限される機能の発現を禁止することができる。
当然ながら、前記したような、グロー放電の特性線がアーク放電の特性線より下に位置する条件が存在しない場合は、前記したような、前記トランジスタ(Q12)による前記トランジスタ(Q11)の動作阻止機能の実装を省略することができる。
次に、第2の実施例について説明する。図9は、前記図7に記載の前記給電制御回路(Fx)のなかのランプ電流上限信号発生回路(Uc)に対して、これの具体的な構成を示したランプ電流上限信号発生回路(Uc2)とした給電制御回路(Fx2)の簡略化された構成を示すものである。
ランプ電流上限信号発生回路(Uc2)へは端子(Tf)よりランプ電圧信号(Sv)が入力され、比較器(Cm21)により、基準電圧源(V22)の電圧と比較され、もし、前記ランプ電圧信号(Sv)の電圧が、前記基準電圧源(V22)の電圧より高い場合は、トランジスタ(Q21)がオン状態にされるため、抵抗(R25)が短絡され、演算増幅器(A22)の非反転入力端子からグランドに接続される抵抗値は、抵抗(R24)によるもののみの小さい方の値となる。
逆に前記ランプ電圧信号(Sv)の電圧が、前記基準電圧源(V22)の電圧より低い場合は、前記トランジスタ(Q21)がオフまたは能動状態にされるため、抵抗(R25)が短絡されず、演算増幅器(A22)の非反転入力端子からグランドに接続される抵抗値は、抵抗(R24)と抵抗(R25)の和による大きい方の値となる。
なお、前記比較器(Cm21)については、その出力端子と非反転入力端子に正帰還抵抗を挿入する(図示を省略)などして、比較動作にヒステリシスを持たせることにより、比較出力が変化する際の意図しない発振現象を防止することができる。
前記演算増幅器(A22)の前記非反転入力端子には、適当な電圧値を有する基準電圧源(V21)が、抵抗(R23)を介して接続される。
一方、前記ランプ電圧信号(Sv)は、必要に応じて設ける増幅器またはバッファ(A21)を介し、また抵抗(R21)を介して、前記演算増幅器(A22)の反転入力端子に入力される。
そして、前記演算増幅器(A22)の前記反転入力端子には、抵抗(R22)を介して、前記演算増幅器(A22)の出力電圧がフィードバックされ、その結果、前記演算増幅器(A22)は差動増幅回路として機能する。
このとき、前記演算増幅器(A22)の出力電圧Eoは、次の式1で表されるものとなる。
Eo=A+B・F(Ei)−C・Ei …(式1)
ここでEiは前記ランプ電圧信号(Sv)の電圧、A、B、Cは正の定数であり、F(Ei)はEiの関数で、前記トランジスタ(Q21)がオンのときには0、オフのときには1となるものである。
ただし、前記定数A、B、Cの値は、前記抵抗(R21)、前記抵抗(R22)、前記抵抗(R23)、前記抵抗(R24)、前記抵抗(R25)の抵抗値、前記増幅器またはバッファ(A21)のゲイン、前記基準電圧源(V21)の電圧値から計算される。
前記演算増幅器(A22)の出力電圧Eoは、抵抗(R26)を介して端子(Tj)より出力され、前記ランプ電流上限信号(Sk)として、前記チョッパ能力制御回路(Ud)に入力される。
式1より明らかなように、前記ランプ電流上限信号(Sk)は、前記トランジスタ(Q21)がオンである領域、およびオフである領域で、ランプ電圧(VL)が高いほど直線的に小さくなる。
前記バラスト回路(Bx)の出力電圧、すなわちランプ電圧(VL)は、前記比較器(Cmv)のはたらきによって、最終的に前記無負荷開放電圧を超えないようにされるから、前記トランジスタ(Q21)がオンである条件において、ランプ電圧(VL)が前記無負荷開放電圧以上の適当な電圧になるときに、前記ランプ電流上限信号(Sk)が、ランプ電流(IL)を0Aに制限するようにすればよいことがわかる。
ここで、もし前記トランジスタ(Q21)がオンである条件において、ランプ電圧(VL)が前記無負荷開放電圧になるときに、前記ランプ電流上限信号(Sk)が、ランプ電流(IL)を0Aに制限するようにする場合は、前記した、図7に記載の、前記比較器(Cmv)や前記トランジスタ(Qd1)などの、ランプ電圧(VL)が前記無負荷開放電圧を超えないようにするための回路部分を省略することができる。
また、前記バラスト回路(Bx)の出力電流、すなわちランプ電流(IL)は、前記許容ランプ電流上限値ILmaxを超えないようにする必要があるから、前記トランジスタ(Q21)がオフである条件において、ランプ電圧(VL)が概ね0V(すなわち、前記したアーク放電の初期の期間(T31)の低い放電電圧に対応する電圧で、出力電流電圧特性を考えるに際して、これを0Vと見なしても大差はない)になるときに、前記ランプ電流上限信号(Sk)が、ランプ電流(IL)を許容ランプ電流上限値ILmaxに制限するようにすればよいことがわかる。
すなわち、図9に示した前記ランプ電流上限信号発生回路(Uc2)は、前記基準電圧源(V22)の電圧で決まるバラスト回路(Bx)の出力電圧における境界電圧VLt2をスレショルドとして、ランプ電圧(VL)がこの境界電圧VLt2より高い場合は、ランプ電圧(VL)が前記無負荷開放電圧を超えないようにランプ電流(IL)を、ランプ電圧(VL)の低下とともに、直線的に増加するように制限し、ランプ電圧(VL)がこの境界電圧VLt2より低い場合は、ランプ電流(IL)が前記許容ランプ電流上限値ILmaxを超えないようにランプ電流(IL)を、ランプ電圧(VL)の低下とともに、直線的に増加するように制限することになる。
ただし、前記演算増幅器(A22)の出力電圧Eoが、前記ランプ電流上限信号(Sk)として出力されるためには、総合制御部(Xpu)よりの抑制信号(Sa)をローレベルとして、トランジスタ(Q22)をオフ状態として、抵抗(R27)によってトランジスタ(Q23)をオフ状態にしておく必要がある。
総合制御部(Xpu)よりの抑制信号(Sa)がハイレベルのときは、トランジスタ(Q22)はオン状態になり、また抵抗(R28)を介して前記トランジスタ(Q23)もオン状態になるため、前記ランプ電流上限信号(Sk)は、前記演算増幅器(A22)の出力電圧Eoによらず、概ね基準電圧源(V23)に等しい電圧に固定される。そして、この電圧値が前記許容ランプ電流上限値ILmaxに対応するように、基準電圧源(V23)の電圧が決定される。
このようなバラスト回路(Bx)の構成により、グロー放電のために、前記チョッパ駆動目標信号(Sd2)として前記ランプ電流上限信号(Sk)が選択されるよう、前記チョッパ能力制御目標信号(St)が十分に高く設定されているときには、出力電流電圧特性は、図3の点(P2a)、点(P21)、点(P22)、点(P2f)をつないだ特性線(F2a)として示すような特性になる。
ここで、点(P21)および点(P22)における電圧は概略同じで、前記境界電圧VLt1で規定される値となる。
したがって、前記放電ランプに投入される電力が前記放電ランプの定格電力の2倍以下となるようにするために、特性線(F2a)がランプの定格の2倍の一定電力に対応する電流電圧特性線(Fp1)を超えないように、前記式1の定数A,B,Cを決定すればよい。
ただし前記した、図2の点(P0b)から点(P11)に至る部分について説明したように、前記ゲート駆動信号(Sg)のデューティサイクル比が前記最大デューティサイクル比DXmaxである降圧チョッパ回路における、断続モードで動作している状態に関する特徴、および連続モードで動作している状態に関する特徴に起因して生ずる、ランプ電圧(VL)の上限特性(Fdw)によって、特性線(F2a)などの図3の出力電流電圧特性は、電力供給能力の制約を受けるが、これは問題にはならない。
このように給電装置を設計することにより、作用の部分において述べたように、図3に記載のグロー放電の出力電流電圧特性を実現する、図1、図7、図9に記載の構成を有する本発明になる給電装置は、グロー放電時の過電力がランプの定格電力の2倍以下に抑えられるために、前記したグロー放電時に封体ガラス内面に黒化が発生する問題が解決され、照度維持率を改善することができる。
この光源装置を始動する際にも、総合制御部(Xpu)は、前記した第1の実施例に記載の光源装置の場合と同様に、グロー放電のために、前記チョッパ駆動目標信号(Sd2)として前記ランプ電流上限信号(Sk)が選択されるよう、前記チョッパ能力制御目標信号(St)を十分に高く設定して、出力電流電圧特性を図3に記載の特性線(F2a)とした状態にする。あるいは、前記ランプ電流上限信号(Sk)が前記許容ランプ電流上限値ILmaxに対応するものになるように前記チョッパ能力制御目標信号(St)を設定してもよい。
そして、ランプがアーク放電に移行したことを検知した時点で、前記総合制御部(Xpu)は、前記した第1の実施例に記載の光源装置の場合と同様に、前記抑制信号(Sa)をハイレベルにすることにより、前記トランジスタ(Q22)を、そして前記トランジスタ(Q23)をオン状態にして、前記ランプ電流上限信号(Sk)が前記許容ランプ電流上限値ILmaxに対応するものになるようにする。
このようにすることにより、アーク放電に移行後は、特性線(F2a)の出力電流電圧特性から離れて、図3に記載の点(P2e)と点(P2f)を結ぶ定電流特性線に沿って、定電力特性線(Fp0)に移ることができる。この方が、特性線(F2a)に沿って移動するよりも速やかに定電力特性線(Fp0)に達することができる。
このようなグロー放電の出力電流電圧特性の無効化は、定電力特性線(Fp0)への到達に速やかさを要しない場合は不要であるが、アーク放電の定電力特性線(Fp0)の常用領域(すなわち始動時や始動直後の発光が暗い領域を除いた、光源として利用される場合のアーク放電の領域)において、グロー放電の出力電流電圧特性の方が下に位置する条件が存在する場合は必要である。
図3の、前記特性線(F2a)は、常用領域において前記定電力特性線(Fp0)より上にあるため、前記したグロー放電の出力電流電圧特性の無効化機能を省略することが可能であるが、もし、点(P21)がさらに下もしくは左にあって、前記定電力特性線(Fp0)を横切る場合は、前記したグロー放電の出力電流電圧特性の無効化機能が必要となる。
前記図9の回路ブロック(Ui1)については、これを図10に記載の回路ブロック(Ui2)にすることにより、さらに改良することができる。
前記ランプ電圧信号(Sv)は、必要に応じて設ける増幅器またはバッファ(A2i1)を介して、演算増幅器(A2i2)と基準電圧源(V2i1)、抵抗(R2i1)、抵抗(R2i2)、抵抗(R2i3)、抵抗(R2i4)よりなる差動増幅回路、および演算増幅器(A2i3)と基準電圧源(V2i2)、抵抗(R2i5)、抵抗(R2i6)、抵抗(R2i7)、抵抗(R2i8)よりなる差動増幅回路に入力される。
これらの差動増幅回路の構造は、先に説明した、前記図9の演算増幅器(A22)と基準電圧源(V21)、抵抗(R21)、抵抗(R22)、抵抗(R23)、抵抗(R24)、抵抗(R25)、トランジスタ(Q21)よりなる差動増幅回路から抵抗(R25)とトランジスタ(Q21)を除いたものに相当するから、これらの差動増幅回路の出力である信号(S2i1)および信号(S2i2)の電圧Eo1、Eo2は、それぞれ次の式2、式3で表されるものとなる。
Eo1=A1−C1・Ei …(式2)
Eo2=A2−C2・Ei …(式3)
ここで、Eiは前記ランプ電圧信号(Sv)の電圧で、正の定数A1、C1は、前記増幅器またはバッファ(A2i1)のゲイン、前記抵抗(R2i1)、前記抵抗(R2i2)、前記抵抗(R2i3)、前記抵抗(R2i4)、の抵抗値、前記基準電圧源(V2i1)の電圧値から計算され、また正の定数A2、C2は、前記増幅器またはバッファ(A2i1)のゲイン、前記抵抗(R2i5)、前記抵抗(R2i6)、前記抵抗(R2i7)、前記抵抗(R2i8)、の抵抗値、前記基準電圧源(V2i2)の電圧値から計算される。
信号(S2i1)および信号(S2i2)の電圧うちの小さくない方が、ダイオード(D2i1)およびダイオード(D2i2)により選択されて、抵抗(R2i9)に現れるから、これが必要に応じて設ける増幅器またはバッファ(A2i4)を介して、図9の演算増幅器(A22)よりの信号(Sk2)の代わりに抵抗(R26)に接続される。
式2および式3より明らかなように、信号(S2i1)および信号(S2i2)の電圧Eo1、Eo2は、ランプ電圧(VL)が高いほど直線的に小さくなるものであり、これらのうちの小さくない方が選択され、ランプ電流上限信号(Sk)として機能するから、グロー放電のために、前記チョッパ駆動目標信号(Sd2)として前記ランプ電流上限信号(Sk)が選択されるよう、前記チョッパ能力制御目標信号(St)が前記許容ランプ電流上限値ILmaxに対応するものに設定されているときには、出力電流電圧特性は、図4の点(P2a)、点(P26)、点(P27)、点(P2e)をつないだ特性線(F2e)として示すような特性になる。
ここで、点(P27)から点(P2e)に至る定電流的部分は、前記した、前記チョッパ能力制御目標信号(St)が前記許容ランプ電流上限値ILmaxに対応するものに設定されていることにより生じたものである。
したがって、前記放電ランプに投入される電力が前記放電ランプの定格電力の2倍以下となるようにするために、特性線(F2e)がランプの定格の2倍の一定電力に対応する電流電圧特性線(Fp1)を超えないように、前記式2,3の定数A1,A2,C1,C2を決定すればよい。
このように給電装置を設計することにより、作用の部分において述べたように、図4に記載のグロー放電の出力電流電圧特性を実現する、回路ブロック(Ui2)が図10に記載の構成を有する本発明になる給電装置は、グロー放電時の過電力がランプの定格電力の2倍以下に抑えられるために、前記したグロー放電時に封体ガラス内面に黒化が発生する問題が解決され、照度維持率を改善することができる。
ところで、前記図3の特性線(F2a)においては、前記点(P21)から点(P22)に至る部分は、前記図9の比較器(Cm21)のはたらきによる不連続な跳躍として生じるものである。
通常、グロー放電からアーク放電に遷移する際は、ランプ電圧(VL)は急峻に下降して、前記境界電圧VLt2を超えるために問題は無いが、前記境界電圧VLt2より高い側から低い側へ、比較的ゆっくり低下して超えるようなランプの場合は、超えた直後に急激にランプ電流(IL)を増加しようとするために、電流による電圧降下によってランプ電圧(VL)が上昇して、再度、電圧の高い側へ戻ってしまい、これを繰り返すことになる。図4の特性線(F2e)においては、このような不連続な跳躍が無いため、ランプ電圧(VL)の上昇と下降を繰り返す動作が生じにくい特徴がある。
次に、第3の実施例について説明する。図12は、図1に記載のDC電源(Mx)の、昇圧チョッパ型力率改善アクティブフィルタ構成による、簡略化された一例を示すものである。
商用電源(Ax)はダイオードブリッジ(Hb)に接続され、その電流が全波整流されることにより、正弦波の絶対値波形を有する全波整流電圧が生成される。
この電圧は、チョークコイル(Lb)、FET等のスイッチ素子(Qb)、ダイオード(Db)、平滑コンデンサ(Cb)を骨格とする、昇圧チョッパ回路に印加される。
前記スイッチ素子(Qb)は、ゲート駆動信号(Sbg)に従うゲート駆動回路(Gb)に駆動されて、略周期的にオンオフを繰り返すことにより、前記全波整流電圧に対する、前記チョークコイル(Lb)の接続と接続解除を繰り返す。
前記スイッチ素子(Qb)がオン状態になって前記チョークコイル(Lb)が前記全波整流電圧に接続されている期間において、前記チョークコイル(Lb)の電流を増加させながら、前記チョークコイル(Lb)にエネルギーが磁気的に蓄積され、前記スイッチ素子(Qb)がオフ状態になって前記チョークコイル(Lb)が前記全波整流電圧に接続解除されている期間において、前記チョークコイル(Lb)に蓄積されたエネルギーが、前記ダイオード(Db)を介して電流として解放され、前記平滑コンデンサ(Cb)に充電され、また端子(T01)および端子(T02)を介して、負荷である前記バラスト回路(Bx)に供給される。
DC電源制御回路(Fb)は、前記ゲート駆動信号(Sbg)の生成のために、整流電圧検出手段(Vbe)により生成された整流電圧信号(Sbe)と、出力電圧検出手段(Vbf)により生成された出力電圧信号(Sbf)、出力電流検出手段(Ib)により生成された出力電流信号(Sbi)が入力される。
なお、前記整流電圧検出手段(Vbe)と出力電圧検出手段(Vbf)については、分圧抵抗を用いて、また前記出力電流検出手段(Ib)については、シャント抵抗を用いて簡単に実現することができる。
図13は、前記DC電源制御回路(Fb)の構成の、簡略化された一例を示すものである。
必要に応じて設ける増幅器またはバッファ(A31)を介して入力された、前記出力電圧信号(Sbf)に対応する信号(Sb1)は、ダイオード(D31)を通じて抵抗(R31)と抵抗(R32)により分圧され、演算増幅器(A34)の反転入力端子に接続される。また、前記DC電源(Mx)の出力電圧の目標値を決めるための、適当な電圧を有する基準電圧源(V31)が前記演算増幅器(A34)の非反転入力端子に接続される。
そして、前記演算増幅器(A34)の出力は、積分コンデンサ(C31)を介して反転入力端子にフィードバックされているため、前記演算増幅器(A34)は、前記基準電圧源(V31)により定められる出力電圧の目標値に対する、前記出力電圧信号(Sbf)に対応する前記信号(Sb1)の電圧の差を積分する、誤差積分回路としてはたらき、出力電圧誤差積分信号(Sb4)を生成する。
必要に応じて設ける増幅器またはバッファ(A32)を介して入力された、前記整流電圧信号(Sbe)に対応する信号(Sb2)は、前記出力電圧誤差積分信号(Sb4)とともに、乗算器(M31)に入力され、これら2信号の乗算された、電流目標信号(Sb5)が生成される。
なお、乗算に際しては、信号レベルの整合をとりやすくするために、前記信号(Sb2)および前記出力電圧誤差積分信号(Sb4)は、前記信号(Sb2)の平均値によって規格化される。
一方、極性整合など、必要に応じて設ける増幅器またはバッファ(A33)を介して入力された、前記出力電流信号(Sbi)に対応する信号(Sb3)は、抵抗(R33)と抵抗(R34)により分圧され、演算増幅器(A35)の反転入力端子に接続される。また、前記電流目標信号(Sb5)が演算増幅器(A35)の非反転入力端子に接続される。
そして、前記演算増幅器(A35)の出力は、積分コンデンサ(C32)を介して反転入力端子にフィードバックされているため、前記演算増幅器(A35)は、前記電流目標信号(Sb5)により定められる出力電流の目標値に対する、前記出力電流信号(Sbi)に対応する前記信号(Sb3)の電圧の差を積分する、誤差積分回路としてはたらき、出力電流誤差積分信号(Sb6)を生成する。
発振器(Oscb)は、先に発振器(Osc)に関して、図11を用いて説明した場合と同様に、鋸歯状波信号(Sb0)を発生し、この鋸歯状波信号(Sb0)と、前記出力電流誤差積分信号(Sb6)とは、比較器(Cmbg)で比較される。
また先に比較器(Cmg)における比較について説明した場合と同様に、比較に際しては、前記出力電流誤差積分信号(Sb6)に対してオフセット電圧(V30)を加えた信号(Sb7)と前記鋸歯状波信号(Sb0)とが比較される。
前記鋸歯状波信号(Sb0)の電圧が前記信号(Sb7)の電圧よりも高い期間においてハイレベルとなる前記ゲート駆動信号(Sbg)が生成され、前記DC電源制御回路(Fb)から出力される。
前記したように、前記信号(Sb7)は出力電流誤差積分信号(Sb6)にオフセットを加えたものであるため、前記出力電流誤差積分信号(Sb6)が仮に零であったとしても、前記ゲート駆動信号(Sbg)のデューティサイクル比は、100%より小さいある最大値、すなわち最大デューティサイクル比以下になるように構成されている。
いま、後述する出力電力制限回路(Wb)の信号(Sb9)が0Vであって、したがってダイオード(D32)により前記信号(Sb9)が前記抵抗(R31)と前記抵抗(R32)とによる分圧回路から切り離されている場合を考えると、以上のようなDC電源制御回路(Fb)の構成により、DC電源(Mx)は、力率改善アクティブフィルタ型電源として機能する。
すなわち、前記したように、前記基準電圧源(V31)により定められる出力電圧の目標値に対する、前記出力電圧信号(Sbf)(に対応する信号)の差が、前記演算増幅器(A34)などにより構成される誤差積分回路により積分された、前記出力電圧誤差積分信号(Sb4)により回路が駆動されるため、DC電源(Mx)の出力電圧は、常に目標値との差が小さくなるようにフィードバック制御され、安定化電源としてはたらく。
また、前記出力電圧誤差積分信号(Sb4)は、前記乗算器(M31)を用いて、前記整流電圧信号(Sbe)(に対応する信号)によって変調された、全波整流電圧波形を有する前記電流目標信号(Sb5)が生成され、そして、この前記電流目標信号(Sb5)に対する、前記出力電流信号(Sbi)(に対応する信号)の差が、前記演算増幅器(A35)などにより構成される誤差積分回路により積分された、前記出力電流誤差積分信号(Sb6)により回路が駆動されるため、前記出力電流信号(Sbi)は、常に前記目標値との差が小さくなるようにフィードバック制御され、結果として、DC電源(Mx)への商用電源(Ax)からの入力電流波形が、商用電源(Ax)の電圧と相似になって、高調波成分が抑制され、力率が改善される。
なお、前記図13に記載のDC電源制御回路(Fb)の構成に際しては、前記演算増幅器(A34)や乗算器(M31)、演算増幅器(A35)、発振器(Oscb)、比較器(Cmbg)などが集積された市販の集積回路として、テキサスインスツルメンツ社製UC3854などを利用することができる。
次に、前記出力電力制限回路(Wb)のはたらきについて説明する。前記出力電力制限回路(Wb)おいては、DC電源(Mx)の出力電圧に相当する信号(Sb1)と出力電流に相当する信号(Sb3)とが乗算器(M32)に入力され、DC電源(Mx)の出力電力に相当する信号(Sb8)が生成される。
この信号は、演算増幅器(A36)の非反転入力端子に接続される。また、適当な電圧を有する基準電圧源(V32)の電圧は、抵抗(R35)と抵抗(R36)により分圧され、前記演算増幅器(A36)の反転入力端子に接続される。
そして、前記演算増幅器(A36)の出力は、積分コンデンサ(C33)を介して反転入力端子にフィードバックされているため、前記演算増幅器(A36)は、前記基準電圧源(V32)により定められる出力電力の上限値に対する、出力電力に対応する前記信号(Sb8)の電圧の差を積分する、誤差積分回路としてはたらき、電力誤差積分信号(Sb9)を生成する。
ただし、前記演算増幅器(A36)の出力電圧は負にはならないものとして、ランプが消灯状態、あるいはアーク放電状態など、DC電源(Mx)の負荷である前記バラスト回路(Bx)の消費電力が定格電力程度、もしくはそれ以下の場合には、前記信号(Sb9)が0Vに飽和するよう、前記基準電圧源(V32)の電圧を設定する。
このとき、もし出力電力が増加して、前記基準電圧源(V32)の電圧で決められる出力電力の上限値を超えようとする場合は、前記信号(Sb9)が増加するため、抵抗(R37)および前記ダイオード(D32)を介して、前記抵抗(R32)に余分の電流が注入される。
このため、前記演算増幅器(A34)によるDC電源(Mx)の出力電圧の誤差積分回路は、DC電源(Mx)の出力電圧が目標電圧に対して過大になったように応答して、通常の場合よりもDC電源(Mx)の出力電圧が低下する。
その結果、DC電源(Mx)の出力電力に相当する前記信号(Sb8)が低下し、前記基準電圧源(V32)の電圧で決められる出力電力の上限値の近傍の値が維持されるようにフィードバック制御される。
このようにDC電源(Mx)を構成し、前記出力電力の上限値がランプの定格の概ね2倍以下になるように、前記基準電圧源(V32)の電圧を定めることにより、グロー放電の出力電流電圧特性が特性線(F0a)であるようなバラスト回路(Bx)を用いた場合でも、DC電源(Mx)とバラスト回路(Bx)とを合わせた給電装置(Ex)の出力電流電圧特性は、図5の点(P0a)、点(P0b)、点(P0c)、点(P31)、点(P32)、点(P0e)をつないだ特性線(F3a)として示すような特性になる。
なお、前記バラスト回路(Bx)にはそれ自体の電力損失があるため、ランプに供給される電力は、前記DC電源(Mx)に設定した前記出力電力の上限値よりも小さくなるし、また、ランプ電流(IL)が大きいほど、前記バラスト回路(Bx)の各部における電力損失が増加するため、ランプに供給される電力は小さくなる。したがって、この点に考慮して、前記基準電圧源(V32)の電圧を定めるべきである。
このように給電装置を設計することにより、作用の部分において述べたように、図5に記載のグロー放電の出力電流電圧特性を実現する、図1、図12、図13に記載の構成を有する本発明になる給電装置は、グロー放電時の過電力がランプの定格電力の2倍以下に抑えられるために、前記したグロー放電時に封体ガラス内面に黒化が発生する問題が解決され、照度維持率を改善することができる。
なお、前記図13の前記DC電源制御回路(Fb)においては、前記したように前記出力電力制限回路(Wb)の出力信号により、前記抵抗(R32)に対して余分の電流を注入することにより、前記DC電源(Mx)の出力電圧を低下させたが、前記演算増幅器(A36)からの前記信号(Sb9)により、前記基準電圧源(V31)の電圧を制御して、出力電圧の目標値を低下させるようにしてもよい。
また、前記演算増幅器(A36)を用いて、出力電力の上限値からの誤差積分回路を構成したが、前記特性線(F3a)の正確性を求めない場合は、前記出力電力制限回路(Wb)は、前記乗算器(M32)よりの前記信号(Sb8)から出力電力の上限値を差し引いた信号を生成するものとしてもよい。
ただし当然ながら、それが負の場合は、DC電源(Mx)の出力電圧を低下させないように、必要に応じてクランプダイオードを挿入するなどするが、前記出力電力制限回路(Wb)が単電源で動作させるものの場合は不要である。
さらに、高価な前記乗算器(M32)の代わりに、前記出力電圧信号(Sbf)(またはこれに相当する前記信号(Sb1))と前記出力電流信号(Sbi)(またはこれに相当する前記信号(Sb3))とに、それぞれ適当な係数を付けて加算する、安価な加算器を用いることもできる。この場合、前記図5の前記特性線(F3a)の前記点(P31)から点(P32)に至る部分は、記載のような、概ね双曲線状のものに代わって、概ね直線状のものとなるが、実用上全く問題は無い。
先に、課題を解決するための手段の部分で述べたように、グロー放電時に封体ガラス内面に黒化が発生する問題を解決するためには、前記放電ランプに投入される電力が前記放電ランプの定格電力の2倍以下となるように給電装置を構成すればよい。
したがって、例えば前記図3に記載した、点(P2a)、点(P23)、点(P24)、点(P2e)をつないだ特性線(F2b)として示すような特性や、点(P2a)、点(P2e)をつないだ特性線(F2c)として示すような特性とすることもできる。
しかし、実験結果を記載した前記図6を詳細に見ると、前記特性線(F1a)によるものの照度維持率より前記特性線(F2a)によるものの照度維持率の方が若干高いという差が生じていることがわかる。
供試ランプのグロー放電電圧は概ね150V以上であるが、この電圧領域に限って見れば、前記特性線(F1a)の方は、ランプ定格電力の2倍近くの電力投入があるのに対し、前記特性線(F2a)の方は、ランプ定格電力の1.33倍以下の電力投入しかないことが、前記差が生じた理由として考えられる。
なお、前記図3には、ランプの定格の1.33倍の一定電力に対応する電流電圧特性線(Fp2)も記載してある。
したがって、放電ランプにおいて、実際に生じ得るグロー放電電圧の最低電圧以上のランプ領域において、前記放電ランプに投入される電力が前記放電ランプの定格電力の1.5倍以下とすることが望ましく、さらに、これを1.33倍以下に抑えることができれば理想的であることがわかる。
前記図2および図4、図5には、ランプの定格の1.33倍の一定電力に対応する電流電圧特性線(Fp2)も記載してあり、例えば、前記図2に記載の前記特性線(F1a)の特性よりも、点(P0a)、点(P0b)、点(P0c)、点(P14)、点(P15)、点(P16)、点(P0e)をつないだ特性線(F1b)として示すような特性が、あるいは、前記図5に記載の前記特性線(F3a)の特性よりも、点(P0a)、点(P0b)、点(P0c)、点(P33)、点(P34)、点(P0e)をつないだ特性線(F3b)として示すような特性が望ましい。
本発明の光源装置の給電装置における、前記した特性線(F1a)、特性線(F1b)、特性線(F2a)、特性線(F2b)、特性線(F2c)、特性線(F2e)、特性線(F3a)、特性線(F3b)などのグロー放電の出力電流電圧特性を生成するときの回路の応答速度について、高速性はあまり必要ない。
何となれば、グロー放電が生じている期間のうち、電圧の変化が小さい、前記した安定グロー放電期間(T11)およびグロー電流が増加する期間(T12)の割合が大きく、グロー電圧が下降する期間(T21)は短いため、過渡的応答の詳細が、前記封体ガラス内面に黒化が発生することへの影響度合いは小さいと考えられるからである。
したがって、グロー放電の出力電流電圧特性を設計する場合は、図7や図8、図9、図10、図13などに含まれる演算増幅器や比較器、トランジスタなどの回路素子の周波数帯域や応答遅れに関する配慮はあまり必要ではなく、DC的設計にて十分である。
具体的には、放電ランプの代わりに、可変負荷を給電装置に接続し、グロー放電の出力電流電圧特性が発現される状態において、負荷をステップ的に変化させたときの、出力電流(IL)の変化を測定した場合、変化前の定常値を0%とし、変化後の定常値を100%とするときの、10%から90%への所要時間が5ms以下であれば十分である。
なお、接続する可変負荷としては、抵抗値がステップ的に変化するようなもの、具体的には、2個の抵抗を直列接続したものを負荷とし、一方をFET等のスイッチ素子で短絡するものでもよいが、言わばツェナー電圧がステップ的に変化するツェナーダイオードのようなもの、具体的には、FETのソース端子に抵抗の一端を接続した、いわゆるソースフォロワ回路を構成し、前記FETのドレイン端子と前記抵抗の他端とを負荷の両端として給電装置に接続し、前記FETのゲート端子と前記抵抗の前記他端との間に制御電圧を印加しておき、前記制御電圧をステップ的に変化させるようなものの方が、実際のグロー放電状態のランプの特性に近いため適当である。
その結果として、例えば、放電ランプが負荷として接続された実際の光源装置において、ランプ電流(IL)とランプ電圧(VL)をオシロスコープで測定し、XYモードと呼ばれる表示モードによって、図2や図3、図4、図5などの表現に相当する出力電流電圧特性を表示した場合に、仮に、表示された特性線が、設計した特性線に対して、過渡的に逸脱する部分を有するものであっても実用上の問題はない。
これまで、主として前記図1に記載のDC駆動方式で内部トリガスタータ方式の光源装置に基づいて説明を行ってきたが、前記したように、この種の放電ランプの始動に際して、給電装置の働きと放電ランプの挙動は、AC駆動方式のものにおいても同様であるため、図14に記載のような、バラスト回路の後段に、FET等のスイッチ素子(Q1,Q2、Q3,Q4)を追加してフルブリッジインバータを構成することにより、放電ランプ(Ld’)に交流的な放電電圧を印加するようにした、AC駆動方式の光源装置においても、本発明の効果は良好に発揮される。
また、スタータの方式には明らかに無関係であるため、図1や図14に記載の内部トリガ方式のみならず、図15に記載のような、放電ランプ(Ld)に補助電極(Et)を設け、電極(E1,E2)の何れか一方と前記補助電極(Et)との間に、スタータ(Ue)よりの高電圧を印加する、(DC駆動またはAC駆動方式の)外部トリガ方式の光源装置においても、本発明の効果は良好に発揮される。
本明細書に記載の回路構成は、本発明の光源装置の動作や機能、作用を説明するために、必要最少限のものを記載したものである。したがって、実施例で説明した回路動作の詳細事項、例えば、信号の極性であるとか、具体的な回路素子の選択や追加、省略、或いは素子の入手の便や経済的理由に基づく変更などの創意工夫は、実際の装置の設計業務において、精力的に遂行されることを前提としている。
とりわけ過電圧や過電流、過熱などの破損要因から給電装置のFET等のスイッチ素子などの回路素子を保護するための機構、または、給電装置の回路素子の動作に伴って発生する放射ノイズや伝導ノイズの発生を低減したり、発生したノイズを外部に出さないための機構、例えば、スナバ回路やバリスタ、クランプダイオード、(パルスバイパルス方式を含む)電流制限回路、コモンモードまたはノーマルモードのノイズフィルタチョークコイル、ノイズフィルタコンデンサなどは、必要に応じて、実施例に記載の回路構成の各部に追加されることを前提としている。
本発明になる光源装置の構成は、本明細書の実施例に記載の回路方式のものに限定されるものではなく、また、実施例に記載の出力電流電圧特性の特性線の形状に限定されるものではない。
さらに、例えば、前記図7における前記給電制御回路(Fx)の前記総合制御部(Xpu)は、ランプ電圧(VL)に対応する前記ランプ電圧信号(Sv)をAD変換し、これに基づいて前記チョッパ能力制御目標信号(St)を設定するものとしたが、ランプ電流(IL)に対応する前記ランプ電流信号(Si)についてもこれをAD変換し、得られた電流値が目標電流値に一致するように前記チョッパ能力制御目標信号(St)を補正して設定することにより、各回路素子パラメータのバラツキの影響を補正するような高精度化や高機能化、あるいは逆に、例えば、前記マイクロプロセッサユニット(Mpu)を廃して、より単純な制御回路に代えるような簡素化などの光源装置の構成の多様化のもとでも、本発明の効果は良好に発揮される。
本発明の請求項1の給電装置は、段落[0113][0114][0115]に記載するように、ランプがアーク放電に移行したことを検知して、抑制信号によってグロー放電の出力電流電圧特性を無効化することができるため、アーク放電に移行後は、出力電流電圧特性がグロー放電の特性線から離れて許容ランプ電流上限値のもとで定電力特性線に移ることができるようになるため、グロー放電の特性線に沿って移動するよりも速やかに定電力特性線に達することができる。また、アーク放電の定電力特性線の常用領域(すなわち始動時や始動直後の発光が暗い領域を除いた、光源として利用される場合のアーク放電の領域)においても、グロー放電の出力電流電圧特性の方が下に位置する条件を存在させることが可能となり、設計の自由度が増す。
本発明の請求項2の給電装置は、段落[0034]に参照されるように、定電力特性線よりもグロー放電の特性線が原点側に位置するため、グロー放電時の電力を強く抑えることができる。
本発明の請求項3の給電装置は、段落[0159]に記載するように、点でつないだ特性線で実現できるため、安価な加算器を用いて構成することができ、低コストの給電装置とすることができる。
本発明の請求項4の給電装置は、段落[0174]に記載するように、グロー放電の出力電流電圧特性は、放電ランプに投入される電力が定格電力の2倍以下に抑えられるため、前記したグロー放電時に封体ガラス内面に黒化が発生する問題が解決され、照度維持率を改善することができる。