JP4861131B2 - 電離層電子密度算出装置 - Google Patents

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本発明は、電離層中の任意の位置における電子密度を算出する電離層電子密度算出装置に関する。
電波による通信を行う場合、通信の効率を良好に保つために、通信波の伝搬経路をできるだけ正確に決める必要がある。ところで、電離層の影響を受けるHF帯などの周波数の信号により通信を行う場合、通信波が電離層を通過する際に、空間に分布している電子により通信波の伝搬経路が屈折する。このため、伝搬経路の算出に際しては、電離層の影響を考慮しなければならない。
電離層を通過する通信波の伝搬経路の屈折の仕方は、電離層の電子密度の分布により決まるため、伝搬経路の算出の過程において、電離層中の所望の位置における電子密度を算出する必要がある。電離層中の任意の位置における電子密度は、既存の電離層電子密度分布モデルを用いて求めることができる。この電離層電子密度分布モデルに、電子密度を算出したい日時、位置などのデータを入力することにより、その位置の電子密度を算出することができる。
電離層電子密度分布モデルとしては、非特許文献1に記載されているIRI(International Reference Ionosphere)モデルやBentモデルなどがある。
Dieter Bilitza,et.al.,"International Reference Ionosphere 1990",November,1990
しかし、上記IRIモデルなどは、月平均レベルの電離層電子密度分布モデルであるため、ある時間における電離層の状態を正確に示すことはできない。このため、IRIモデルなどでは、現実の電離層の状態に即した電子密度を算出できないことがあった。
本発明は上記に鑑みてなされたもので、現実の電離層の状態に即して、電離層中の所望の位置における電子密度を算出することができる電離層電子密度算出装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の電離層電子密度算出装置は、送信される位置および送信周波数が既知であり、電離層を通過して到来する電波を受信するアレイアンテナと、このアレイアンテナからの出力信号から前記電波の到来方位角、到来仰角を第1の到来方位角、第1の到来仰角として算出する第1の方向算出手段と、電離層の電子密度分布を示す電離層電子密度分布モデルに入力する複数のパラメータをその初期値から変化させるための変化量を乱数により生成する変化量生成手段と、この変化量生成手段で生成した変化量の分だけ初期値から変化した前記各パラメータ、および前記電離層電子密度分布モデルを用いて、前記アレイアンテナで受信した前記電波の伝搬経路を算出し、この伝搬経路に基づいて前記電波の到来方位角、到来仰角を第2の到来方位角、第2の到来仰角として算出する第2の方向算出手段と、航法衛星から送信される複数周波数の衛星信号を受信する衛星信号受信手段と、この衛星信号受信手段で受信した前記複数周波数の衛星信号の電離層での周波数による伝搬遅延量の差を用いて、前記衛星信号の通過経路における総電子数を第1の総電子数として算出する第1の総電子数算出手段と、前記変化量生成手段で生成した変化量の分だけ初期値から変化した前記各パラメータ、および前記電離層電子密度分布モデルを用いて、前記衛星信号の通過経路おける総電子数を第2の総電子数として算出する第2の総電子数算出手段と、前記第1の到来方位角と前記第2の到来方位角との差である第1の誤差を算出し、前記第1の到来仰角と前記第2の到来仰角との差である第2の誤差を算出し、前記第1の総電子数と前記第2の総電子数との差である第3の誤差を算出するとともに、前記第1〜第3の誤差を合わせた値の大きさの指標である誤差指標を算出する誤差指標算出手段と、この誤差指標算出手段で算出した前記誤差指標が所定の閾値以下であるか否かを判断し、前記誤差指標が前記所定の閾値以下のとき、当該誤差指標の算出に用いた前記第2の到来方位角、前記第2の到来仰角、および前記第2の総電子数の算出に用いた変化量の分だけ所望の位置における初期値から変化した前記各パラメータ、および前記電離層電子密度分布モデルを用いて、前記所望の位置の電子密度を算出し、前記誤差指標が前記所定の閾値より大きいときは、前記変化量生成手段に新たな変化量を生成させる電子密度算出手段とを備えることを特徴とする。
また、本発明の電離層電子密度算出装置は、送信される位置および送信周波数が既知であり、電離層を通過して到来する電波を受信するアレイアンテナと、このアレイアンテナからの出力信号から前記電波の到来方位角、到来仰角を第1の到来方位角、第1の到来仰角として算出する第1の方向算出手段と、電離層の電子密度分布を示す電離層電子密度分布モデルに入力する複数のパラメータをその初期値から変化させるための変化量を、前記複数のパラメータの数より多い所定の個数だけ乱数により生成する第1の変化量生成手段と、この第1の変化量生成手段で生成した変化量の分だけ初期値から変化した前記各パラメータ、および前記電離層電子密度分布モデルを用いて、前記アレイアンテナで受信した前記電波の伝搬経路を算出し、この伝搬経路に基づいて前記電波の到来方位角、到来仰角を第2の到来方位角、第2の到来仰角として算出する処理を、前記所定の個数の変化量のそれぞれについて行う第2の方向算出手段と、航法衛星から送信される複数周波数の衛星信号を受信する衛星信号受信手段と、この衛星信号受信手段で受信した前記複数周波数の衛星信号の電離層での周波数による伝搬遅延量の差を用いて、前記衛星信号の通過経路における総電子数を第1の総電子数として算出する第1の総電子数算出手段と、前記第1の変化量生成手段で生成した変化量の分だけ初期値から変化した前記各パラメータ、および前記電離層電子密度分布モデルを用いて、前記衛星信号の通過経路おける総電子数を第2の総電子数として算出する処理を、前記所定の個数の変化量のそれぞれについて行う第2の総電子数算出手段と、前記第1の到来方位角と前記第2の到来方位角との差である第1の誤差を算出し、前記第1の到来仰角と前記第2の到来仰角との差である第2の誤差を算出し、前記第1の総電子数と前記第2の総電子数との差である第3の誤差を算出するとともに、前記第1〜第3の誤差を合わせた値の大きさの指標である誤差指標を算出する処理を、前記所定の個数の変化量のそれぞれについて行う第1の誤差指標算出手段と、この第1の誤差指標算出手段において前記所定の個数の変化量のそれぞれに対応して算出された第1の誤差指標に基づいて、前記複数のパラメータを前記変化量に応じて変化させたときに第1の誤差指標がどのように変化するかを決める変数を、最小二乗法を用いて算出する変数算出手段と、この変数算出手段で算出した前記変数を用いて、前記各パラメータをその初期値から変化させるための変化量を乱数により生成する第2の変化量生成手段と、この第2の変化量生成手段で生成した変化量の分だけ初期値から変化した前記各パラメータ、および前記電離層電子密度分布モデルを用いて、前記アレイアンテナで受信した前記電波の伝搬経路を算出し、この伝搬経路に基づいて前記電波の到来方位角、到来仰角を第3の到来方位角、第3の到来仰角として算出する第3の方向算出手段と、前記第2の変化量生成手段で生成した変化量の分だけ初期値から変化した前記各パラメータ、および前記電離層電子密度分布モデルを用いて、前記衛星信号の通過経路おける総電子数を第3の総電子数として算出する第3の総電子数算出手段と、前記第1の到来方位角と前記第3の到来方位角との差である第4の誤差を算出し、前記第1の到来仰角と前記第3の到来仰角との差である第5の誤差を算出し、前記第1の総電子数と前記第3の総電子数との差である第6の誤差を算出するとともに、前記第4〜第6の誤差を合わせた値の大きさの指標である第2の誤差指標を算出する第2の誤差指標算出手段と、この第2の誤差指標算出手段で算出した前記第2の誤差指標が所定の閾値以下であるか否かを判断し、前記第2の誤差指標が前記所定の閾値以下のとき、当該第2の誤差指標の算出に用いた前記第3の到来方位角、前記第3の到来仰角、および前記第3の総電子数の算出に用いた変化量の分だけ所望の位置における初期値から変化した前記各パラメータ、および前記電離層電子密度分布モデルを用いて、前記所望の位置の電子密度を算出し、前記第2の誤差指標が前記所定の閾値より大きいときは、第2の変化量生成手段に新たな変化量を生成させる電子密度算出手段とを備えることを特徴とする。

本発明の電離層電子密度算出装置によれば、現実の電離層の状態に即して、電離層中の所望の位置における電子密度を算出することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照して説明する。
図1は本発明の実施の形態に係る電離層電子密度算出装置の構成を示すブロック図である。図1に示すように本実施の形態に係る電離層電子密度算出装置は、衛星観測部1と、電離層観測部2と、インターネットデータ処理部3と、信号処理部4と、データサーバ部5とを備える。
衛星観測部1は、衛星信号受信アンテナ11と、衛星信号受信部12と、衛星信号処理部13とを備える。衛星信号受信部12は、衛星信号受信アンテナ11を介して受信したGPS(Global Positioning System)衛星、Galileo衛星、Glonass衛星、準天頂衛星などの航法衛星から送信される複数周波数の衛星信号を衛星信号処理部13へ供給する。
衛星信号処理部13は、衛星信号受信部12からの複数周波数の衛星信号から、航法衛星の位置を算出するとともに、各周波数の伝搬遅延量の違いを用いて、衛星信号の通過経路に存在する総電子数(TEC:Total Electron Content)を算出し、得られた算出結果をネットワーク7を介して信号処理部4およびデータサーバ部5へ送信する。また、衛星信号処理部13は、衛星信号から得られる各種データをネットワーク7を介してデータサーバ部5へ送信する。
なお、電離層を通過する際に生じる周波数による伝搬遅延量の違いにより衛星信号の通過経路の総電子数(TEC)を算出する手法については、例えば、 “GLOBAL POSITIONIG SYSTEM Signals,Measurements,and Performance.”(Pratap Misra,PerEnge,Ganga−Jamuna Press,2001)に記載されている。
電離層観測部2は、イオノゾンデ用アンテナ21と、イオノゾンデ22と、イオノゾンデ収集データ処理部23とを備える。イオノゾンデ22は、イオノゾンデ用アンテナ21を介して複数の周波数の観測信号を電離層に送信し、送信した観測信号が電離層で反射された反射信号を受信して、観測信号の往復時間等のデータを収集する。
イオノゾンデ収集データ処理部23は、イオノゾンデ22で収集したデータから、電離層の高さ方向の電子密度分布情報(E層電子密度、E層ピーク電子密度高度、F1層電子密度、F1層ピーク電子密度高度、F2層電子密度、F2層ピーク電子密度高度、臨海(プラズマ)周波数など)を算出し、得られた算出結果をネットワーク7を介して信号処理部4およびデータサーバ部5へ送信する。また、イオノゾンデ収集データ処理部23は、イオノゾンデ22で収集したデータをネットワーク7を介してデータサーバ部5へ送信する。
インターネットデータ処理部3は、GEONET収集データ処理部31と、中継部32とを備える。GEONET収集データ処理部31は、電離層に関連する情報(太陽黒点数、太陽フラックス強度F10.7等)をインターネット6を介して取得する。
また、GEONET収集データ処理部31は、一般に公開されているGPS観測データを、国土地理院が管理するGPS受信観測網(GEONET)や、国際的なGPS観測データを公開しているIGS(International GPS Service for Geodynamics)からインターネット6経由で取得する。
中継部32は、スイッチングハブあるいはルータにより構成され、GEONET収集データ処理部31で取得した各種データをネットワーク7を介してデータサーバ部5へ送信する。インターネットデータ処理部3は外部とのつながりあるため、GEONET収集データ処理部31および中継部32は、ファイアオール機能を有するものとする。
信号処理部4は、複数のアンテナ41a,41b,…,41nからなるアレイアンテナ41と、アンプ42a,42b,…,42nと、周波数変換部43a,43b,…,43nと、A/D変換部44a,44b,…,44nと、演算部45と、表示操作部46とを備える。
アンテナ41a,41b,…,41nは、既存の放送局から送信され、電離層を通過して到来する放送信号(電波)を受信して受信信号を出力する。アンプ42a,42b,…,42nは、それぞれアンテナ41a,41b,…,41nからの信号を増幅し、周波数変換部43a,43b,…,43nは、アンプ42a,42b,…,42nで増幅された信号をベースバンドの信号に変換する。A/D変換部44a,44b,…,44nは、周波数変換部43a,43b,…,43nからの信号をA/D変換してデジタル受信信号を出力する。
演算部45は、各A/D変換部44a,44b,…,44nからのデジタル受信信号から、MUSIC(Multiple Signal Classification)法や独立成分分析(ICA:Independent Component Analysis)の手法などを用いて、既存の放送局からの電波の到来方位角および到来仰角を算出する。
また、演算部45は、電離層電子密度分布モデルを用いて、既存の放送局からの電波の伝搬経路をレイトレーシング手法により算出し、算出した伝搬経路に基づいて、電波の到来方位角および到来仰角を算出する。なお、レイトレーシング手法の詳細については、例えば、“The Propagation of radio waves”(K.G.Buden,Cambridge University Press,1988)に記載されている。
また、演算部45は、衛星信号処理部13で算出した各航法衛星の位置、および電離層電子密度分布モデルを用いて、各航法衛星から衛星信号受信アンテナ11の設置位置までの衛星信号の通過経路上の電子密度を積算することにより、各通過経路の総電子数(TEC)を算出する。
また、演算部45は、A/D変換部44a〜44nからのデジタル受信信号から算出した電波の到来方位角および到来仰角、レイトレーシング手法を用いて求めた電波の到来方位角および到来仰角、衛星信号処理部13で算出した衛星信号の通過経路の総電子数、電離層電子密度分布モデルを用いて算出した衛星信号の通過経路の総電子数を用いて、電離層電子密度分布モデルに入力する各パラメータを初期値から変化させるための修正パラメータ変化量を算出し、算出した修正パラメータ変化量を用いて所望の位置の電子密度を算出する。
表示操作部46は、ユーザによる入力信号の受付、また、演算部45で得られた演算結果の表示を行う。
データサーバ部5は、記録処理部51と、記録部52とを備える。記録処理部51は、衛星観測部1、電離層観測部2、インターネットデータ処理部3、信号処理部4で得られた各種演算結果や各種データをネットワーク7を介して受け取り、記録部52に記録する処理を行う。
次に、本実施の形態に係る電離層電子密度算出装置の動作を説明する。
アンテナ41a〜41nは、図2に示すように既存の放送局から送信され、電離層を通過して到来する放送信号(電波)を受信して受信信号を出力する。アンプ42a〜42nは、それぞれアンテナ41a〜41nからの信号を増幅し、周波数変換部43a〜43nは、アンプ42a〜42nで増幅された信号をベースバンドの信号に変換する。そして、A/D変換部44a〜44nは、周波数変換部43a〜43nからの信号をA/D変換してデジタル受信信号を演算部45に出力する。
そして、演算部45は、A/D変換部44a〜44nからのデジタル受信信号から、MUSIC法や独立成分分析の手法などを用いて、既存の放送局からの電波の到来方位角および到来仰角を算出する。以下、このようにアレイアンテナ41で受信して得られた信号を用いて算出した到来方位角、到来仰角を適宜それぞれ観測方位角、観測仰角と呼ぶ。
また、演算部45は、電離層電子密度分布モデルを使用し、放送局の位置から適当な送信方位角と送信仰角とを設定して、放送局からの電波の伝搬経路をレイトレーシング手法により算出する。なお、放送局の位置と、放送局からの送信周波数は既知であるとする。このとき算出した伝搬経路から得られる受信位置が、実際に受信を行ったアンテナ41a〜41nの設置位置になるよう、送信側の送信方位角と送信仰角とを調整する。調整後、レイトレーシング手法により求めた伝搬経路から、受信位置で受信される信号の到来方位角と到来仰角が求められる。
一方、衛星観測部1の衛星信号受信アンテナ11は、図2に示すように、航法衛星9a,9b,…から送信される複数周波数の衛星信号を観測できる場所に設置されており、衛星信号受信部12は、各航法衛星9a,9b,…から送信される複数周波数の衛星信号を、衛星信号受信アンテナ11を介して受信する。
そして、衛星信号処理部13は、衛星信号受信部12で受信した複数周波数の衛星信号から、航法衛星の位置を算出するとともに、衛星信号の周波数による伝搬遅延量の違いを用いて、衛星信号の通過経路10a,10b,…に存在する総電子数(TEC)を求める。この際、インターネットで公開されている衛星信号の観測データがあれば、インターネットデータ処理部3でその観測データを取得し、取得した観測データも同様に使用して衛星信号の通過経路における総電子数を求める。以下、このように衛星信号受信アンテナ11で受信した衛星信号またはインターネットデータ処理部3で取得した観測データを用いて算出した衛星信号の通過経路の総電子数を適宜観測総電子数と呼ぶ。
また、演算部45は、衛星信号処理部13で算出した各航法衛星の位置、および電離層電子密度分布モデルを用いて、各航法衛星9a,9b,…から衛星信号受信アンテナ11の設置位置(衛星観測位置)までの衛星信号の通過経路10a,10b,…上の電子密度を積算することにより、各通過経路10a,10b,…の総電子数(TEC)を算出する。
電離層電子密度分布モデルでは、電離層のいくつかの特徴を示すパラメータを用いて電子密度の分布を算出している。その中で代表的なものを表1に示す。上述したような、電離層電子密度分布モデルを用いたレイトレーシング手法による到来方位角、到来仰角の算出や、電離層電子密度分布モデルを用いた衛星信号の通過経路の総電子数算出の際に、各計算箇所で、表1に示す各パラメータが電離層電子密度分布モデルから求められる。
表1において、Pは一般的な位置を示し、SLT(Sun Local Time)は、位置Pにおけるローカル時刻を示している。このSLTは、太陽が南中した時を昼間の12時とする時刻であり、経度15°毎に1時間の時差が生じる。
Figure 0004861131
ここで、表1に示した各パラメータを使用して、電離層電子密度分布モデルを用いたレイトレーシング手法による到来方位角、到来仰角、および衛星信号の通過経路における総電子数を求める関数をF(x,x,…,x)とする。ここで、x,x,…,xは、放送局位置、送信周波数、受信時間、送信仰角、送信方位角、電離層パラメータ(E層高度、F層高度、太陽黒点数、太陽フラックスF10.7)など、既存の放送局から放送信号受信位置までの伝搬経路を計算するのに必要なパラメータと、電離層電子密度分布モデルを用いて衛星信号の通過経路における総電子数を計算するのに必要となる航法衛星位置と衛星観測位置などである。
この関数F(x,x,…,x)の出力は、観測した放送局ごとに電離層電子密度分布モデルを使用してレイトレーシング手法により算出した到来方位角、到来仰角、および航法衛星ごとに電離層電子密度分布モデルを用いて算出した衛星信号の通過経路における総電子数である。
次いで、演算部45は、放送局ごとに観測方位角とレイトレーシング手法により算出した到来方位角との差である第1の誤差、および観測仰角とレイトレーシング手法により算出した到来仰角との差である第2の誤差を算出する。また、演算部45は、航法衛星ごとに、観測総電子数と電離層電子密度分布モデルを用いて算出した衛星信号の通過経路における総電子数との差である第3の誤差を算出する。
ここで、本実施の形態の電離層電子密度算出装置では、複数の放送局からの放送信号や、複数の航法衛星からの衛星信号を観測できるため、全体の誤差を表す指標としての誤差指標が必要になる。演算部45は、算出した第1〜第3の誤差から、以下の(1)〜(4)のいずれかを誤差指標として算出する。(1)第1〜第3の誤差の絶対値の和(2)第1〜第3の誤差の絶対値の平方和(3)第1〜第3の誤差の絶対値の平方和の平方根(4)第1〜第3の誤差の分散の和
そして、演算部45は、電離層電子密度分布モデルにより所望の位置の電子密度を算出するために用いる修正パラメータ変化量を算出する。以下、修正パラメータ変化量を算出する処理について説明する。
上述したように、電離層電子密度分布モデルを用いたレイトレーシング手法による到来方位角、到来仰角の算出や、電離層電子密度分布モデルを用いた衛星信号の通過経路における総電子数算出の際に、位置P、ローカル時刻SLTで表1の各パラメータが求められる。ここで算出された各パラメータの値を初期値とする。
まず、演算部45は、各パラメータの初期値Xからの変化量ΔXを、それぞれ乱数で決める。
Figure 0004861131
上記(数式1)において、ΔX=(Δx,Δx,…,Δxが乱数により決められた値(変化量)である。このとき、この変化量ΔXは、位置Pとローカル時刻SLTに依存していない。
そして、演算部45は、この変化量ΔXの分だけ初期値から変化させたパラメータX´を用いて、電離層電子密度分布モデルを用いたレイトレーシング手法により電波の到来方位角、到来仰角を算出するとともに、電離層電子密度分布モデルを用いて衛星信号の通過経路における総電子数を算出する。
そして、演算部45は、ここで算出した到来方位角、到来仰角、および衛星信号の通過経路における総電子数と、観測方位角、観測仰角、および観測総電子数を用いて、以下の(数式2)〜(数式5)により、誤差指標ΔFを算出する。ここでは、誤差指標として第1〜第3の誤差の分散の和を用いている。
Figure 0004861131
ここで、σAZ は第1の誤差の分散、σEL は第2の誤差の分散、σTEC は第3の誤差の分散、AZk,modelは電離層電子密度分布モデルを用いたレイトレーシング手法により算出した到来方位角、ELk,modelは電離層電子密度分布モデルを用いたレイトレーシング手法により算出した到来仰角、TECk,modelは電離層電子密度分布モデルを用いて算出した衛星信号の通過経路における総電子数、AZk,obsは観測方位角、ELk,obsは観測仰角、TECk,obsは観測総電子数、Mbradは1回の誤差指標作成の際に電離層電子密度分布モデルを用いたレイトレーシング手法による到来方位角、到来仰角の算出に使える放送局の数、Msatは1回の誤差指標作成の際に電離層電子密度分布モデルを用いた総電子数の算出に使える航法衛星の数、F0は観測した放送信号および衛星信号から得られる算出結果(観測方位角、観測仰角、観測総電子数)を示す。
演算部45は、算出した誤差指標ΔFと予め設定した所定の閾値εthreshとを比較し、誤差指標ΔFが0以上で閾値εthresh以下のとき、つまり、以下の(数式6)の条件を満たすとき、そのときのパラメータX´を初期値からの修正パラメータとする。
Figure 0004861131
そして、このときの変化量ΔXを修正パラメータ変化量として採用し、衛星信号や放送信号の通過していない任意の位置の電離層電子密度を算出する際にも、この修正パラメータ変化量を各パラメータの初期値に加算して用いる。なお、この際、電離層観測部2のイオノゾンデ収集データ処理部23で算出した電離層の高さ方向の電子密度分布情報や、インターネットデータ処理部3で取得した電離層に関連する情報(太陽黒点数、太陽フラックス強度F10.7等)を各パラメータの初期値として用いてもよい。
誤差指標ΔFが閾値εthreshより大きいとき、演算部45は、新たな変化量ΔXを乱数で発生して、変化量ΔXの分だけ初期値から変化させた各パラメータを用いて、電離層電子密度分布モデルを用いたレイトレーシング手法により到来方位角、到来仰角を算出し、電離層電子密度分布モデルを用いて衛星信号の通過経路における総電子数を算出する。そして、演算部45は、算出した到来方位角、到来仰角、および衛星信号の通過経路における総電子数を用いて誤差指標ΔFを算出し、この誤差指標ΔFを所定の閾値εthreshと比較する。演算部45は、この処理を誤差指標ΔFが所定の閾値εthresh以下になるまで繰り返し行う。
このように本実施の形態によれば、電離層電子密度分布モデルに入力するパラメータを変化させるための変化量を乱数で発生し、逐次誤差指標を算出するというモンテカルロ法的な手法により、誤差指標が所定の閾値以下になるときの変化量を求め、このときの変化量を修正パラメータ変化量として採用し、この修正パラメータ変化量を用いて任意の位置の電子密度を算出するので、現実の電離層の状態に即した電子密度を算出することができる。
(変形例1)
変形例1では、(数式1)の変化量ΔXを位置Pとローカル時刻SLTに依存して変化させる。
変形例1における演算部45の処理について説明する。まず、上記実施の形態と同様に、演算部45は、表1の各パラメータの初期値からの変化量を、それぞれ乱数で決める。このとき、この変化量の適用できる位置を決める。例えば、放送信号を受信した位置Poとその時のローカル時刻SLToとする。レイトレーシング手法による到来方位角、到来仰角の算出や、電離層電子密度分布モデルを用いた衛星信号の通過経路における総電子数算出の際に、各算出位置に適用できるよう、変化量を算出した位置の違い、ローカル時刻を考慮し、算出する位置における変化量を補正する。補正の方法としては、以下の(数式7)に示す日変化を計算する関数HPOLを使用する。
Figure 0004861131
ここで、Yuは一日の中で変化する量の最大値、Ybは一日の中で変化する量の最小値、SRはローカル時刻の日の出時刻[時]、SSはローカル時刻の日没時刻[時]、SLTは計算を行う位置のローカル時刻である。
なお、上記(数式7)の日変化を計算する関数HPOLの詳細については、例えば、非特許文献1に記載されている。
次いで、演算部45は、乱数で発生した変化量ΔXが適用される位置Poにおける日の出時刻SRと日没時刻SSとから、以下の(数式8)により、真昼のローカル時刻Tdayと深夜時刻Tnightとを求める。
Figure 0004861131
次に、(数式7)のYu,Ybの近似値として、Yuを日中Tdayのパラメータの値とし、Ybを深夜Tnightのパラメータの値とする。そして、演算部45は、表1に示す7つのパラメータそれぞれを、電離層電子密度分布モデルを使用し、位置Poにおいて求める。このときに生成される各パラメータの値をそれぞれの、YuとYbに相当する値とする。
同様に、演算部45は、所望の位置Pkにおける日の出時刻、日没時刻から、位置Pkにおける(数式7)のYu,Ybの近似値を、電離層電子密度分布モデルにより求める。そして、演算部45は、位置Poと位置PkのYu,Ybの値と、位置Poにおける変化量とを用いて、所望の位置Pkにおける変化量を次の(数式9)により求める。演算部45は、この処理を表1に示す各パラメータに対して行う。
Figure 0004861131
ここで、Δx Pkは位置Pkにおける各パラメータの変化量、Δx Poは位置Poにおける各パラメータの変化量、(Yu−Yb) Pkは位置PkにおけるYuとYbとの差、(Yu−Yb) Poは位置PoにおけるYuとYbとの差、jは表1に示す各パラメータの識別子である。
このようにして算出した位置Pkにおける変化量を用いて、各パラメータを補正し、この補正した各パラメータを電離層電子密度分布モデルへ代入して、位置Pkにおける電子密度を求める。この操作を、レイトレーシング手法による到来方位角、到来仰角の算出や、電離層電子密度分布モデルを用いた衛星信号の通過経路における総電子数算出の際に、電子密度を求めたい位置ごとに行う。
そして、上記実施の形態と同様に、演算部45は、算出した到来方位角、到来仰角、および総電子数と、観測方位角、観測仰角、および観測総電子数を用いて、上述の(数式2)〜(数式5)により、誤差指標ΔFを算出し、この誤差指標ΔFを所定の閾値εthreshと比較する。
演算部45は、この誤差指標ΔFが閾値εthresh以下になるまで、変化量ΔXを乱数で発生させ、以下同様の処理を行う。そして、演算部45は、誤差指標ΔFが閾値εthresh以下になった際の変化量ΔXを(数式9)に従う日変化を考慮して修正し、この修正した変化量を、任意の位置における表1に示す各パラメータに適用し、電子密度を算出する。
このように変形例1では、各パラメータの変化量ΔXを、各パラメータの日変化を考慮して修正するので、より正確に現実の電離層の状態に即した電子密度を算出することができる。
(変形例2)
上記実施の形態では、単純に乱数を発生させてパラメータの変化量を決め、何度か繰り返し試行することにより適切な変化量の値を見つけ出す。しかしながら、この方法は非常に強力ではあるが、繰り返し試行の回数が多くなり、処理に長時間を要するおそれがある。
変形例2では、以下に述べる最小二乗法を用いて誤差指標が小さくなる方向にパラメータの変化量を調整することにより、試行回数を少なくする。
変形例2における演算部45の処理について説明する。まず、演算部45は、各パラメータの初期値Xからの変化量ΔXを、数回から数十回程度(パラメータ数以上の回数M)、乱数により決める。このとき、まったく初期値を指定せずに乱数により変化量ΔXを発生させてもよいし、パラメータごとに決めた範囲を、ステップごとに変化させて変化量ΔXを発生させてもよい。なお、このとき、変化量ΔXは、位置Pとローカル時刻SLTに依存していない。
そして、演算部45は、変化量ΔXを変化させるごとに、変化量ΔXの分だけ初期値から変化させたパラメータを用いて、電離層電子密度分布モデルを用いたレイトレーシング手法により電波の到来方位角、到来仰角を算出するとともに、電離層電子密度分布モデルを用いて衛星信号の通過経路における総電子数を算出する。
そして、演算部45は、算出した到来方位角、到来仰角、および衛星信号の通過経路における総電子数と、観測方位角、観測仰角、および観測総電子数とを用いて、上述の(数式2)〜(数式5)により、誤差指標ΔFを算出する。これを発生した変化量ΔXの個数分(M回)だけ行う。
誤差指標ΔFはパラメータ(x,x,…,x)の関数であり、変化量ΔXを加算する前のパラメータの初期値(x10,x20,…,x70)近傍でテーラー展開すると、以下の(数式10)のようになる。
Figure 0004861131
ここで、ΔF0は、変化量ΔXを加算する前の各パラメータの初期値に基づいて算出した到来方位角、到来仰角、衛星信号の通過経路における総電子数と、観測方位角、観測仰角、および観測総電子数とを用いて算出した誤差指標である。変化量ΔXを加算する前の各パラメータが適切であれば、ΔF0はゼロに近い値になっているはずである。
レイトレーシング手法により電波の到来方位角、到来仰角を算出し、電離層電子密度分布モデルを用いて衛星信号の通過経路における総電子数を算出し、算出した到来方位角、到来仰角、および衛星信号の通過経路における総電子数を用いて誤差指標ΔFを算出する処理をM回試行することにより、(数式10)は複数できる。
Figure 0004861131
そして、演算部45は、変化量ΔXを加算する前の各パラメータの初期値近傍で、各パラメータを変化させたとき、誤差指標ΔFがどのように変化するかを決める変数Gを、以下の(数式12)のように、最小二乗法により求める。
Figure 0004861131
これにより、各パラメータの初期値を使った際に、各パラメータを変化させた場合、どれだけ誤差指標ΔFが変化するかという変化率を得たことになる。また、この変数Gは、(x,x,…,x)が張る空間の誤差局面のグラジエントになっている。
ここで、求められた変数Gを用いて、誤差指標ΔFを表すと、次の(数式13)を得る。
Figure 0004861131
ここで、閾値εthreshはあらかじめ設定した値である。上記(数式13)の条件を満たすには、誤差指標ΔFが最小になるような変化量ΔX=(Δx,Δx,…,Δxを決定すればよい。
変数gは、誤差指標ΔFのグラジエントであり、変数gの符号により、Δxが増加または減少した際にΔFが減少するようにすればよいので、次の(数式14)のような関係が成り立つ。
Figure 0004861131
そして、演算部45は、上記(数式14)の条件を満足する変化量ΔX=(Δx,Δx,…,Δxを乱数により決める。このとき、まったく初期値を指定せずに乱数により変化量ΔXを発生させてもよいし、パラメータごとに決めた範囲を、ステップごとに変化させて変化量ΔXを発生させてもよい。
そして、上記実施の形態と同様に、演算部45は、変化量ΔXの分だけ初期値から変化させたパラメータを用いて、電離層電子密度分布モデルを用いたレイトレーシング手法により電波の到来方位角、到来仰角を算出するとともに、電離層電子密度分布モデルを用いて衛星信号の通過経路における総電子数を算出する。
そして、演算部45は、算出した到来方位角、到来仰角、および衛星信号の通過経路における総電子数と、観測方位角、観測仰角、および観測総電子数とを用いて、上述の(数式2)〜(数式5)により、誤差指標ΔFを算出し、この誤差指標ΔFを所定の閾値εthreshと比較する。
演算部45は、この誤差指標ΔFが閾値εthresh以下になるまで、ΔXを乱数で発生させ、以下同様の処理を行う。そして、演算部45は、誤差指標ΔFが閾値εthresh以下になった際の変化量ΔXを修正パラメータ変化量として採用し、衛星信号や放送信号の通過していない任意の位置の電離層電子密度を算出する際にも、この修正パラメータ変化量を各パラメータの初期値に加算して用いる。
このように変形例2では、最小二乗法を用いて誤差指標が小さくなる方向にパラメータの変化量を調整することで、修正パラメータ変化量を決定するまでの試行回数を低減し、処理時間の短縮を図ることができる。
また、変形例2においても、変形例1と同様に、レイトレーシング手法による到来方位角、到来仰角の算出や、電離層電子密度分布モデルを用いた衛星信号の通過経路における総電子数算出の際に、変化量ΔXを(数式9)に従う日変化を考慮して修正するようにしてもよい。このようにすることで、より正確に現実の電離層の状態に即した電子密度を算出することができる。
なお、上記実施の形態は、あくまでも本発明の説明のためのものであり、本発明の範囲を制限するものではない。したがって、当業者であれば、これらの各要素または全要素を含んだ各種の実施形態を採用することが可能であるが、これらの実施形態も本発明の範囲に含まれる。
本発明の実施の形態に係る電離層電子密度算出装置の構成を示すブロック図である。 衛星信号の通過経路における総電子数の算出について説明するための図である。
符号の説明
1 衛星観測部
2 電離層観測部
3 インターネットデータ処理部
4 信号処理部
5 データサーバ部
11 衛星信号受信アンテナ
12 衛星信号受信部
13 衛星信号処理部
21 イオノゾンデ用アンテナ
22 イオノゾンデ
23 イオノゾンデ収集データ処理部
31 GEONET収集データ処理部
32 中継部
41 アレイアンテナ
41a,41b,…,41n アンテナ
42a,42b,…,42n アンプ
43a,43b,…,43n 周波数変換部
44a,44b,…,44n A/D変換部
45 演算部
46 表示操作部
51 記録処理部
52 記録部

Claims (8)

  1. 送信される位置および送信周波数が既知であり、電離層を通過して到来する電波を受信するアレイアンテナと、
    このアレイアンテナからの出力信号から前記電波の到来方位角、到来仰角を第1の到来方位角、第1の到来仰角として算出する第1の方向算出手段と、
    電離層の電子密度分布を示す電離層電子密度分布モデルに入力する複数のパラメータをその初期値から変化させるための変化量を乱数により生成する変化量生成手段と、
    この変化量生成手段で生成した変化量の分だけ初期値から変化した前記各パラメータ、および前記電離層電子密度分布モデルを用いて、前記アレイアンテナで受信した前記電波の伝搬経路を算出し、この伝搬経路に基づいて前記電波の到来方位角、到来仰角を第2の到来方位角、第2の到来仰角として算出する第2の方向算出手段と、
    航法衛星から送信される複数周波数の衛星信号を受信する衛星信号受信手段と、
    この衛星信号受信手段で受信した前記複数周波数の衛星信号の電離層での周波数による伝搬遅延量の差を用いて、前記衛星信号の通過経路における総電子数を第1の総電子数として算出する第1の総電子数算出手段と、
    前記変化量生成手段で生成した変化量の分だけ初期値から変化した前記各パラメータ、および前記電離層電子密度分布モデルを用いて、前記衛星信号の通過経路おける総電子数を第2の総電子数として算出する第2の総電子数算出手段と、
    前記第1の到来方位角と前記第2の到来方位角との差である第1の誤差を算出し、前記第1の到来仰角と前記第2の到来仰角との差である第2の誤差を算出し、前記第1の総電子数と前記第2の総電子数との差である第3の誤差を算出するとともに、前記第1〜第3の誤差を合わせた値の大きさの指標である誤差指標を算出する誤差指標算出手段と、
    この誤差指標算出手段で算出した前記誤差指標が所定の閾値以下であるか否かを判断し、前記誤差指標が前記所定の閾値以下のとき、当該誤差指標の算出に用いた前記第2の到来方位角、前記第2の到来仰角、および前記第2の総電子数の算出に用いた変化量の分だけ所望の位置における初期値から変化した前記各パラメータ、および前記電離層電子密度分布モデルを用いて、前記所望の位置の電子密度を算出し、前記誤差指標が前記所定の閾値より大きいときは、前記変化量生成手段に新たな変化量を生成させる電子密度算出手段と
    を備えることを特徴とする電離層電子密度算出装置。
  2. 前記変化量生成手段は、前記各パラメータの時刻による変化に応じて前記変化量を変化させることを特徴とする請求項1に記載の電離層電子密度算出装置。
  3. 前記誤差指標は、前記第1〜第3の誤差の絶対値の和、前記第1〜第3の誤差の絶対値の平方和、前記第1〜第3の誤差の絶対値の平方和の平方根、および前記第1〜第3の誤差の分散の和のうちのいずれかであることを特徴とする請求項1または2に記載の電離層電子密度算出装置。
  4. 送信される位置および送信周波数が既知であり、電離層を通過して到来する電波を受信するアレイアンテナと、
    このアレイアンテナからの出力信号から前記電波の到来方位角、到来仰角を第1の到来方位角、第1の到来仰角として算出する第1の方向算出手段と、
    電離層の電子密度分布を示す電離層電子密度分布モデルに入力する複数のパラメータをその初期値から変化させるための変化量を、前記複数のパラメータの数より多い所定の個数だけ乱数により生成する第1の変化量生成手段と、
    この第1の変化量生成手段で生成した変化量の分だけ初期値から変化した前記各パラメータ、および前記電離層電子密度分布モデルを用いて、前記アレイアンテナで受信した前記電波の伝搬経路を算出し、この伝搬経路に基づいて前記電波の到来方位角、到来仰角を第2の到来方位角、第2の到来仰角として算出する処理を、前記所定の個数の変化量のそれぞれについて行う第2の方向算出手段と、
    航法衛星から送信される複数周波数の衛星信号を受信する衛星信号受信手段と、
    この衛星信号受信手段で受信した前記複数周波数の衛星信号の電離層での周波数による伝搬遅延量の差を用いて、前記衛星信号の通過経路における総電子数を第1の総電子数として算出する第1の総電子数算出手段と、
    前記第1の変化量生成手段で生成した変化量の分だけ初期値から変化した前記各パラメータ、および前記電離層電子密度分布モデルを用いて、前記衛星信号の通過経路おける総電子数を第2の総電子数として算出する処理を、前記所定の個数の変化量のそれぞれについて行う第2の総電子数算出手段と、
    前記第1の到来方位角と前記第2の到来方位角との差である第1の誤差を算出し、前記第1の到来仰角と前記第2の到来仰角との差である第2の誤差を算出し、前記第1の総電子数と前記第2の総電子数との差である第3の誤差を算出するとともに、前記第1〜第3の誤差を合わせた値の大きさの指標である誤差指標を算出する処理を、前記所定の個数の変化量のそれぞれについて行う第1の誤差指標算出手段と、
    この第1の誤差指標算出手段において前記所定の個数の変化量のそれぞれに対応して算出された第1の誤差指標に基づいて、前記複数のパラメータを前記変化量に応じて変化させたときに第1の誤差指標がどのように変化するかを決める変数を、最小二乗法を用いて算出する変数算出手段と、
    この変数算出手段で算出した前記変数を用いて、前記各パラメータをその初期値から変化させるための変化量を乱数により生成する第2の変化量生成手段と、
    この第2の変化量生成手段で生成した変化量の分だけ初期値から変化した前記各パラメータ、および前記電離層電子密度分布モデルを用いて、前記アレイアンテナで受信した前記電波の伝搬経路を算出し、この伝搬経路に基づいて前記電波の到来方位角、到来仰角を第3の到来方位角、第3の到来仰角として算出する第3の方向算出手段と、
    前記第2の変化量生成手段で生成した変化量の分だけ初期値から変化した前記各パラメータ、および前記電離層電子密度分布モデルを用いて、前記衛星信号の通過経路おける総電子数を第3の総電子数として算出する第3の総電子数算出手段と、
    前記第1の到来方位角と前記第3の到来方位角との差である第4の誤差を算出し、前記第1の到来仰角と前記第3の到来仰角との差である第5の誤差を算出し、前記第1の総電子数と前記第3の総電子数との差である第6の誤差を算出するとともに、前記第4〜第6の誤差を合わせた値の大きさの指標である第2の誤差指標を算出する第2の誤差指標算出手段と、
    この第2の誤差指標算出手段で算出した前記第2の誤差指標が所定の閾値以下であるか否かを判断し、前記第2の誤差指標が前記所定の閾値以下のとき、当該第2の誤差指標の算出に用いた前記第3の到来方位角、前記第3の到来仰角、および前記第3の総電子数の算出に用いた変化量の分だけ所望の位置における初期値から変化した前記各パラメータ、および前記電離層電子密度分布モデルを用いて、前記所望の位置の電子密度を算出し、前記第2の誤差指標が前記所定の閾値より大きいときは、第2の変化量生成手段に新たな変化量を生成させる電子密度算出手段と
    を備えることを特徴とする電離層電子密度算出装置。
  5. 前記第1および第2の変化量生成手段は、前記各パラメータの時刻による変化に応じて前記変化量を変化させることを特徴とする請求項4に記載の電離層電子密度算出装置。
  6. 前記第1の誤差指標は、前記第1〜第3の誤差の絶対値の和、前記第1〜第3の誤差の絶対値の平方和、前記第1〜第3の誤差の絶対値の平方和の平方根、および前記第1〜第3の誤差の分散の和のうちのいずれかであり、前記第2の誤差指標は、前記第4〜第6の誤差の絶対値の和、前記第4〜第6の誤差の絶対値の平方和、前記第4〜第6の誤差の絶対値の平方和の平方根、および前記第4〜第6の誤差の分散の和のうちのいずれかであることを特徴とする請求項4または5に記載の電離層電子密度算出装置。
  7. 複数周波数の観測信号を電離層に送信し、前記観測信号が電離層で反射された反射信号を受信して、電離層の高さ方向の電子密度分布情報を取得する電離層観測手段を備え、
    前記電子密度算出手段は、前記電離層観測手段で取得した前記電子密度分布情報を前記各パラメータの所望の位置における初期値の一部として用いることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の電離層電子密度算出装置。
  8. 複数の観測地点で複数の航法衛星を観測して得られる観測データを外部から取得するデータ取得手段を備え、
    前記第1の総電子数算出手段は、前記データ取得手段で取得した前記観測データを用いて前記各航法衛星から送信される衛星信号の通過経路における総電子数を前記第1の総電子数として算出することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の電離層電子密度算出装置。
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