JP4860287B2 - ドーピング方法及び電界効果型トランジスタの作製方法 - Google Patents

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本明細書に開示する発明は、発生させたイオンの質量分離を行わないイオンドーピング装置によるドーピング方法、及び当該方法を適用した電界効果型トランジスタの作製方法に関するものである。
電界効果型トランジスタなどの半導体素子の作製工程において、絶縁表面を有する基板上に形成された半導体膜、半導体基板などの被処理体にドナー不純物又はアクセプタ不純物を導入する際、イオン注入装置又はイオンドーピング装置が用いられる。イオン注入装置は、質量分離器により不要なイオン種を分離し、所望のイオン種のみを処理室内に配置された被処理体に照射することができる、質量分離型の装置である。そのため、所望のイオン種の正確なドーズ量の制御が可能である。
一方イオンドーピング装置は、質量分離器を備えていないため、イオン源で生成したプラズマから引きだされた、イオンビームに含まれるすべてのイオン(以下、本明細書ではトータルイオンという)が、処理室内に配置された被処理体に照射される、非質量分離型の装置である。そのため、所望のイオン種のみならず不要なイオン種も含むトータルイオンでドーズ量をカウントすることになり、所望のイオン種の正確なドーズ量の制御は困難である。
以下、本明細書では、イオン注入装置とは質量分離器を備えた装置であり、イオンドーピング装置とは質量分離器を備えていない装置であると定義する。
ドナーとしてリンを用いる場合は例えばPH(フォスフィン)を水素で希釈したもの、アクセプタとしてホウ素を用いる場合は例えばB(ジボラン)を水素で希釈したものが、原料ガスとして用いられる。イオン源において、原料ガスは正イオンと電子に分離、即ち電離され、プラズマが生成する。そしてプラズマからイオンビームが引きだされる。上記のように原料ガスは水素を含むため、生成したプラズマ中には多量の水素イオンが含まれている。この水素イオンは不要なイオン種である。
イオンドーピング装置では、水素イオンを含むトータルイオンでドーズ量をカウントするため、たとえトータルイオンのドーズ量が変化しなくても、プラズマの状態に依存してトータルイオン中の所望のイオン種の割合が変化する。この場合、所望のイオン種のみのドーズ量は変化してしまう。
ところで、電界効果型トランジスタのしきい値電圧Vthを制御するために、チャネル領域が形成される部分に不純物としてホウ素を低濃度にドーピングする、いわゆるチャネルドープを行う際、半導体基板又は半導体膜中のホウ素の濃度を精密に制御することが求められる。しかしながら、イオンドーピング装置ではこの精密な制御は困難であるため、チャネルドープ工程のみ、イオン注入装置を用いることがある。
イオンドーピング装置には、マススペクトル測定器を備えているものがあり、それを用いることで所望のイオン種の割合を監視することができる。ただし、チャネルドープのように低濃度にホウ素をドーピングする条件では、ホウ素の化合物のイオン、即ち所望のイオン種は上記マススペクトル測定器によって測定されないという問題がある。
特許文献1に記載の発明は、このような低濃度に不純物をドーピングする条件であっても、イオンドーピング装置に備わっているマススペクトル測定器(E×Bと称する)により、H イオンに基づく強いピークが測定されることに注目したものである。即ち、H イオンに基づくピークの強度と、SIMS(二次イオン質量分析法)によって測定された被処理体中のホウ素の濃度との相関関係を見いだして、ホウ素のドーズ量を制御しようとする発明である。
しかしながら、特許文献1に記載の発明を採用しても、低濃度に不純物をドーピングする条件では、被処理体中のホウ素の濃度が安定せず、そのばらつきが依然として小さくないことがわかった。そのため、ホウ素のドーズ量を正確に制御できたとはいえず、上記発明を改良する必要に迫られていた。
特開2004−39936号公報
本明細書に開示する発明は、特許文献1に記載の発明とは異なる方法により、ドーピング後の被処理体中のドナー不純物又はアクセプタ不純物の濃度を制御し、その濃度のばらつきを小さくすることを目的とする。また、電界効果型トランジスタ、例えば薄膜トランジスタのしきい値電圧について、ばらつきを小さくすると共に、所定の範囲内の値になるように制御することを目的とする。
本明細書に開示する発明は、
マススペクトルから求められたトータルイオン中のドナー不純物又はアクセプタ不純物の化合物のイオンの割合X(0<X<1)とドーピングがおこなわれた第1の被処理体中の前記ドナー不純物又はアクセプタ不純物のピーク濃度Yに関する第1の関係式から、前記イオンの割合Xの変化に対応して、前記ピーク濃度Yを得るために必要なトータルイオンのドーズ量Dを求める過程と、
前記ドーピングの際に使用した原料ガスを用い、トータルイオンのドーズ量を前記過程で求めたDの値、加速電圧を前記ドーピングの際の所定の値として、イオンドーピング装置によって第2の被処理体に対し前記ドナー不純物又はアクセプタ不純物の化合物のイオンをドーピングする過程を有することを特徴とする。
本明細書に開示する他の発明は、
マススペクトルから求められたトータルイオン中のドナー不純物又はアクセプタ不純物の化合物のイオンの割合X(0<X<1)とドーピングがおこなわれた第1の被処理体中の前記ドナー不純物又はアクセプタ不純物のピーク濃度Yに関する第1の関係式、及び前記ドーピングがおこなわれた第1の被処理体を用いて作製された電界効果型トランジスタのしきい値電圧と前記ピーク濃度Yに関する第2の関係式から、前記イオンの割合Xの変化に対応して、前記しきい値電圧を得るために必要なトータルイオンのドーズ量Dを求める過程と、
前記ドーピングの際に使用した原料ガスを用い、トータルイオンのドーズ量を前記過程で求めたDの値、加速電圧を前記ドーピングの際の所定の値として、イオンドーピング装置によって第2の被処理体に対し前記ドナー不純物又はアクセプタ不純物の化合物のイオンをドーピングする過程を有することを特徴とする。
ドナー不純物又はアクセプタ不純物の化合物を水素で5%以上40%以下の第1の濃度に希釈した原料ガスを用いるヘビードープの条件の場合、使用するイオンドーピング装置に備わっているマススペクトル測定器によって、水素イオンに基づくピークの他に上記不純物の化合物のイオンに基づくピークが測定される。上記アクセプタ不純物の化合物とは例えばB、上記ドナー不純物の化合物とは例えばPHであり、Bの場合の上記不純物の化合物のイオンとして主にB イオン(yは正の整数)が挙げられる。上記イオンの割合Xが0.1以上になれば、上記第1の濃度は5%以下であってもよい。上記第1の濃度は、原料ガスの流量に対する当該原料ガスに含まれるドナー不純物又はアクセプタ不純物の化合物の流量の比から計算される。後述する第2の濃度についても同様である。流量比は体積比と言い換えられる。
このヘビードープの条件では、上記マススペクトル測定器によって、ドナー不純物又はアクセプタ不純物の化合物のイオンに基づくピーク、及び水素イオンに基づくピークが測定される。各ピークは1本に限らず複数本測定されることがある。これらのピーク強度の和に対する上記不純物の化合物のイオンに基づくピーク強度の比から、トータルイオン中の上記不純物の化合物のイオンの割合X(0<X<1)を求めることができる。例えば、Hイオン、H イオン、H イオン及びB イオン(yは正の整数)に基づくピークが測定され、これらのピークの強度比はそれぞれ10:5:100:50であった場合、B イオンの割合Xは0.30である。これは、50を10、5、100及び50の和である165で割った値である。
上記原料ガスに含まれる希釈用のガスとして、水素の代わりにヘリウム、アルゴンなどの希ガスを用いてもよい。
上記ヘビードープの条件では、トータルイオンのドーズ量が一定であっても、トータルイオン中のドナー不純物又はアクセプタ不純物の化合物のイオンの割合Xは変化する。これは、イオンドーピング装置のイオン源において生成するプラズマの状態は時間の経過によって変化する、即ちプラズマの状態は長期間にわたって安定しているわけではないことに起因する。
上記イオンの割合Xが求められた後、上記化合物を第1の濃度と同じ濃度又は第1の濃度より低い第2の濃度に水素で希釈した原料ガスを用い、所定の加速電圧にて、使用するイオンドーピング装置を変更せずに第1の被処理体に対し上記ドナー不純物又はアクセプタ不純物のドーピングをおこなう。その際に、トータルイオンのドーズ量D(cm−2)を測定しておくことが必要である。第2の濃度は5%以上であってもよく、例えば第1の濃度が15%であれば第2の濃度を7.5%の濃度とすることができる。原料ガスに含まれる希釈用のガスとして、水素の代わりにヘリウム、アルゴンなどの希ガスを用いてもよい。
被処理体とは、絶縁表面を有する基板上に形成された半導体膜、半導体基板など、ドーピングがおこなわれる対象物である。このドーピングは、例えばチャネルドープを目的とし、その場合上記濃度やドーズ量はチャネルドープの条件とする。
その後、SIMS(二次イオン質量分析法)などの分析法によって、第1の被処理体中のドナー不純物又はアクセプタ不純物のピーク濃度Y(cm−3)を分析する。ピーク濃度とは、横軸を被処理体の表面からの深さ、縦軸を上記ドナー不純物又はアクセプタ不純物の濃度として表したプロファイルにおいて、その不純物の濃度の最大値である。ドナー不純物又はアクセプタ不純物の化合物のイオンの割合Xが得られるプラズマ状態での、第1の被処理体中のドナー不純物又はアクセプタ不純物のピーク濃度Yは、Xの値によって変化することから、関係式Y=aX+b(a,bは実数)を求め、これを「式1」とする。
「式1」は、イオンドーピング装置により第1の被処理体にドーピングがおこなわれる際のトータルイオンのドーズ量が特定の値、即ちDにおいてのみ成り立つ。任意のトータルイオンのドーズ量D(cm−2)においては、関係式Y=(D/D)(aX+b)を用い、これを「式1’」とする。なお、D/Dは、Dを分母としDを分子とした分数を示す。
「式1’」から、ドナー不純物又はアクセプタ不純物のピーク濃度Yの所望の値に対応する、トータルイオンのドーズ量Dを求めることができる。このドーズ量Dは、電子計算機によって求められる。そして、トータルイオンのドーズ量を、求められたDの値に補正し、他の条件は変更せずに、第2の被処理体にドーピングをおこなえばよい。
一方、上記被処理体に対するドーピングの工程を経て作製された電界効果型トランジスタのしきい値電圧Vth(V)は、上記SIMSなどの分析法により得られたピーク濃度Y又はピーク濃度Yの平方根によって変化する。したがって、これらの関係式Vth=cY+d又はVth=cY1/2+d(c,dは実数)を求め、これを「式2」とする。
「式1’」を「式2」に代入することによって関係式Vth=c(D/D)(aX+b)+d又はVth=c(D/D1/2(aX+b)1/2+dが得られ、所望のしきい値電圧Vthに対応するトータルイオンのドーズ量Dを求めることができる。このドーズ量Dもまた、電子計算機によって求められる。
「式1」を求める際に使用したイオンドーピング装置において、トータルイオンのドーズ量をDの値になるように補正し、半導体膜又は半導体基板に対しドーピングをおこない、この半導体膜又は半導体基板を用いて電界効果型トランジスタを作製する。上記ドーピングの際、ドーズ量以外の条件は、SIMSなどの分析法により分析される第1の被処理体にドーピングをおこなったときの条件と同じにする。
ところで、ヘビードープの条件とチャネルドープの条件とを比較すると、原料ガス中のドナー不純物又はアクセプタ不純物の化合物、例えばBの濃度はヘビードープの条件よりもチャネルドープの条件の方が低く、更にチャネルドープの条件のトータルイオンのドーズ量を低くする。そのため、同一のイオンドーピング装置を用い、ヘビードープの条件で装置のイオン源に原料ガスを導入しプラズマを生成させ、引き続きチャネルドープの条件でドーピングをおこなう際、導入される原料ガス中の上記不純物の化合物の濃度、トータルイオンのドーズ量などの条件を変更すると共に、変更後の条件に安定させることが重要である。
しかしながら、トータルイオンのドーズ量に比べて、原料ガス中のドナー不純物又はアクセプタ不純物の化合物の濃度は、安定するまでに非常に時間がかかるという問題がある。その問題を解決するために、次に説明する処理工程を採用することができる。
チャネルドープの条件でドーピングをおこなう前に、原料ガスの供給を停止し、イオンドーピング装置のイオン源に導入するガスをその原料ガス中に含まれていた希釈用のガスに切り替える。例えば、Bを水素で希釈したものを原料ガスとして用いていた場合は水素(H濃度100%が好ましい)に切り替え、Bをアルゴンで希釈したものを原料ガスとして用いていた場合はアルゴン(Ar濃度100%が好ましい)に切り替える。そして、イオン源においてプラズマを生成させ、引き出されたイオンビームをダミー基板に照射する第1のプラズマ処理を所定の時間おこなう。ダミー基板に用いる基板は、ガラス基板、シリコン基板などであり、真空排気系が接続された処理室(チャンバー)内のステージ上に配置される。
その後、希釈用のガスの供給を停止し、上記真空排気系で処理室内を排気する。それから、ドナー不純物又はアクセプタ不純物の化合物を上記ヘビードープの条件より低い濃度に希釈した原料ガスを上記イオン源に供給し、この原料ガスを用いたチャネルドープの条件で、ダミー基板にイオンビームを照射する第2のプラズマ処理を所定の時間おこなう。
第1のプラズマ処理をおこなわない場合、原料ガス中の上記不純物の化合物の濃度を安定させるために、第2のプラズマ処理を2時間程度おこなう必要がある。第1のプラズマ処理をおこなうことによって、第1のプラズマ処理に要する時間と第2のプラズマ処理に要する時間の合計を2時間よりも短くすることができる。
第2のプラズマ処理が終了したら、ステージ上のダミー基板を、SIMSなどの分析法による分析がおこなわれる第1の被処理体に交換し、第2のプラズマ処理をおこなったときの条件のまま、その被処理体にドーピングをおこなう。
第1のプラズマ処理をおこなった場合、第1のプラズマ処理をおこなわず第2のプラズマ処理のみをおこなった場合に比べて、ドーピング後の被処理体中のドナー不純物又はアクセプタ不純物の濃度のばらつきを小さくすることができ、その結果被処理体のシート抵抗のばらつきを小さくすることができる。
本明細書に開示する発明により、次の効果が得られる。
1)電界効果型トランジスタを作製する際に、イオンドーピング装置を用いた場合であっても、目的のしきい値電圧が得られる。
2)作製された電界効果型トランジスタのしきい値電圧のばらつきを小さくすることができる。
3)イオンドーピング装置を用いてドーピングした被処理体中におけるドナー不純物又はアクセプタ不純物のピーク濃度のばらつきを小さくすることができる。
4)チャネルドープのような低濃度にドーピングする場合でも、イオン注入装置が不要になるため、電界効果型トランジスタの製造コストを下げることができる。
5)イオンドーピング装置に導入する原料ガス中の上記ドナー不純物又はアクセプタ不純物の化合物の濃度を、第1の濃度からそれよりも低い第2の濃度に変更する際に、変更後の第2の濃度に安定させることが容易になる。
(実施の形態1)
本明細書に開示する発明に使用するイオンドーピング装置について、図1を用いて以下にその一例を説明する。
図1はイオンドーピング装置の概略図を示している。ガス導入口101には、水素又は希ガス(ヘリウム、アルゴンなど)で希釈されたBなどの原料ガス、水素、及び希ガスを供給しうるガス供給系102が接続されている。ガス供給系102からイオン源103のプラズマ生成部104に、原料ガス、水素、又は希ガスが導入され、プラズマ生成部104内でプラズマが生成する。イオン源103は、更に、放電発生手段106と、引き出し電極、加速電極、減速電極、接地電極を有する電極部107とを備えている。電極部107は引き出し電極系とも称され、上記4つの電極それぞれにはイオンビーム108が通過できる複数の穴が開けられている。図1に記載したVEXTは引き出し電圧、VACCは加速電圧、VDECは減速電圧を意味する。
図1に示す放電発生手段106は、タングステンに代表される2000℃以上の高温に耐えられる高融点材料でなるフィラメントであり、プラズマ生成部104内に露出するように設けられている。フィラメントの数は、図1に示す1本に限定されず複数本とすることができる。このフィラメントに直流電源105から電圧を印加し、直流放電を発生させることにより、プラズマ生成部104内に導入されたガスを電離させてプラズマを生成させる。上記のようなフィラメントに代えて、高周波(RF)電源に接続された、平板電極又は特定形状のアンテナを用い、高周波放電を発生させることによりプラズマを生成させる方式でもよい。
プラズマ生成部104内で生成したプラズマから、イオンビーム108が引き出されそして加速されて、処理室109内に設けられたステージ110上の基板111に照射される。ステージ110は、基板111と共に所定の方向に動かせる構造のものであり、大型基板に対応できるようになっている。
処理室109には、マススペクトル測定器113及びドーズ量測定手段114が、ステージ110の後方(下方)に設けられている。ステージ110は上述のように可動であるため、ステージ110にさえぎられずに、イオンビーム108をマススペクトル測定器113及びドーズ量測定手段114に入射させることは可能である。また、処理室109には、ターボ分子ポンプなどの公知の真空ポンプを用いた真空排気系112が接続されている。処理室109にロードロック室を直接又は間接に接続させ、そのロードロック室と処理室109との間で、基板111を自動的に搬送できる手段を設けてもよい。
次に、図1に示すイオンドーピング装置を用いて、前述した「式1」「式1’」「式2」を導出する過程の具体例を、以下に示す。
プラズマ生成部104に導入する原料ガスとしてBを水素で5%の濃度に希釈したものを用い、トータルイオンのドーズ量を2.0×1016cm−2、加速電圧を80kVに調整する。これらの値は、ヘビードープの条件に該当する。この条件において、トータルイオン中のホウ素の化合物のイオンの割合Xを、マススペクトル測定器113による測定結果から求める。
図2は、マススペクトル測定器113による測定結果、即ちマススペクトルを表すグラフであり、横軸はイオンの質量、縦軸は強度を表している。質量の小さい方から順に、Hイオン、H イオン、H イオン、及びB イオン(yは正の整数)に基づくピークがそれぞれ測定される。これらのピークの他に、BH イオン(xは正の整数)に基づくピークが測定される場合がある。しかし、BH イオンの量はB イオンの量に比べて極めて少ないため、BH イオンに基づくピークは、B イオンに基づくピークに比べて非常に小さく、定量に適さない。図2に示す結果から、B イオンの割合Xを計算すると0.174となる。
図3は比較例として示す、マススペクトル測定器113による測定結果(マススペクトル)を表すグラフである。原料ガスとしてBを水素で1%の濃度に希釈したものを用い、トータルイオンのドーズ量は1.3×1014cm−2、加速電圧は25kVである。これらの値はチャネルドープの条件に該当する。この条件では、図3から明らかなように、H イオンに基づくピーク及びH イオンに基づくピークが測定されるのみで、図2では顕著に見られたB イオンに基づくピークはほとんど判別できない。そのため、図3に示す結果から、B イオンの割合Xを正確に求めることはできない。
トータルイオン中のB イオンの量は、原料ガス中のBの濃度への依存性が大きいため、B イオンの割合Xを高い精度で求めることは、原料ガス中のBの濃度が1%では不可能であり、5%以上の濃度であれば充分可能である。但し、Bは危険なガスなので、通常はBの濃度が40%を超えるものを原料ガスとして使用することはない。また、原料ガス中のBの濃度は必ず5%以上でなければならないわけではなく、マススペクトルから求められるB イオンの割合Xが0.1以上例えば0.174以上になれば、5%以下であってもよい。
図4及び図5は、図2と同じ条件で測定した結果(マススペクトル)を表すグラフであり、図4に示す結果からB イオンの割合Xを計算すると0.292となり、図5に示す結果からB イオンの割合Xを計算すると0.374となる。更に、マススペクトル測定器による測定を複数回おこなうことで、様々なB イオンの割合Xを求めたところ、Xの値は0.1〜0.4の範囲で変化する結果となった。
図2、図4及び図5は、互いに1週間以上異なる日に測定した結果である。一方、同日に複数回マススペクトル測定器113により測定しても、B イオンの割合Xは変化しない結果となった。この結果は、同日ではイオンドーピング装置のプラズマ生成部104内で生成するプラズマの状態は変化しないが、1週間以上経過するとプラズマの状態は変化することを示している。
次に、原料ガスを、Bを水素で1%の濃度に希釈したものに変更すると共に、トータルイオンのドーズ量を1.3×1014cm−2、加速電圧を25kVに変更し、ステージ110上に基板111としてシリコンを主成分とする半導体膜が形成されたガラス基板を配置し、その半導体膜に対しドーピングをおこなう。このドーピング工程では、B イオンの割合Xを与えたプラズマの状態が維持されている。ドーピングをおこなった後、本実施の形態ではSIMSによってその半導体膜中のホウ素のピーク濃度Y(cm−3)を分析する。
図6は、SIMSにより分析したホウ素の濃度の深さ方向分布であり、横軸は深さ(nm)、縦軸はホウ素の濃度(cm−3)を表す。図6において、表面から深さ20nm付近までの範囲は、測定上の問題により実際のホウ素の濃度分布を反映していない。そのため、20nmよりも深い領域におけるホウ素の濃度の最大値をピーク濃度Yとする。
図7は、横軸をトータルイオン中のB イオンの割合X、縦軸をホウ素のピーク濃度Yとし、Xの値に対応するYの値をプロットした結果である。また、この結果から、XとYの関係を直線近似したところ、関係式Y=3.1×1018X−2.5×1017が導出される。これは「式1」に該当する。また、「式1」より関係式Y=(D/(1.3×1014))(3.1×1018X−2.5×1017)が得られ、これが「式1’」に該当する。Dは、任意のトータルイオンのドーズ量である。
次に、原料ガス中のBの濃度、トータルイオンのドーズ量、及び加速電圧を、変更後と同じ条件にしてチャネルドープをおこなったシリコンを主成分とする半導体膜を活性層(チャネル形成領域)として用い、チャネル長L、チャネル幅W、LDD長を所定の大きさとし、ゲート絶縁膜を所定の厚さとするNチャネル型薄膜トランジスタを作製し、そのしきい値電圧Vth(V)を測定する。LDD長とは、LDD領域におけるチャネル長と同じ方向の長さのことである。なお、必ずしもLDD領域を設ける必要はない。本実施の形態では、チャネル長を1μm、チャネル幅を20μm、LDD長を0.2μm、ゲート絶縁膜の厚さを40nmとする。また、ゲート絶縁膜として、SiO膜(x>y>0)を用いる。酸化珪素膜をゲート絶縁膜として用いてもよい。
図8は、縦軸をNチャネル型薄膜トランジスタのしきい値電圧Vthとし、横軸をそのNチャネル型薄膜トランジスタの活性層であるシリコンを主成分とする半導体膜中のホウ素のピーク濃度Yとし、Yに対応するVthの値をプロットした結果である。この結果から、VthとYの関係を直線近似したところ、関係式Vth=2.1×10−18Y−0.11が導出される。これは「式2」に該当する。
図9は、縦軸をNチャネル型薄膜トランジスタのしきい値電圧Vthとし、横軸をそのNチャネル型薄膜トランジスタの活性層であるシリコンを主成分とする半導体膜中のホウ素のピーク濃度Yの平方根とし、Yの平方根に対応するVthの値をプロットした結果である。この結果から、VthとYの平方根との関係を直線近似したところ、関係式Vth=3.7×10−91/2−1.7が導出される。これも「式2」に該当する。図9に示す関係式の相関係数は、図8に示す関係式の相関係数とそれほど変わらない結果となった。
ところで、メタルと酸化物と半導体が積層されたMOS構造において、当該半導体表面の導電型が反転するしきい値電圧は、当該半導体がP型である場合は当該半導体中のアクセプタ不純物の濃度(cm−3)の平方根に比例することが知られている。N型である場合は、当該半導体中のドナー不純物の濃度(cm−3)の平方根に比例する。このことを考慮すると、図9から導出される関係式を「式2」として選択するのが望ましい。しかし、図8から導出された関係式と図9から導出された関係式とを比較すると、ホウ素のピーク濃度Yが高い範囲、例えば5×1017cm−3以上では、両者に大きな違いはない。
以上により、「式1」「式1’」「式2」それぞれに該当する関係式が得られる。
(実施の形態2)
チャネルドープ工程にイオンドーピング装置を用いて、Nチャネル型薄膜トランジスタを作製する場合、そのNチャネル型薄膜トランジスタのしきい値電圧Vthを、所望の値(本実施の形態では+1.0Vとする)に近づけるために必要な、チャネルドープをおこなう際のトータルイオンのドーズ量を求める過程を、以下に示す。
本明細書の実施の形態1で得られた「式2」より、+1.0Vのしきい値電圧を得るために必要な、シリコンを主成分とする半導体膜(活性層として用いられる)中のホウ素のピーク濃度Yは、5.3×1017cm−3である。
イオンの割合Xが0.30のとき、実施の形態1で得られた「式1’」に、X=0.30及びY=5.3×1017cm−3を適用して計算すると、D=1.0×1014cm−2が導出される。この結果から、Nチャネル型薄膜トランジスタのしきい値電圧Vthを+1.0Vにするために必要な、チャネルドープをおこなう際のトータルイオンのドーズ量Dは、1.0×1014cm−2であることがわかる。なお、チャネルドープ工程において使用する原料ガスは、実施の形態1において、「式1」「式1’」「式2」を導出する際に使用した、Bを水素で1%の濃度に希釈したものとする。
X=0.30を例として計算したが、所望のしきい値電圧を得るために必要なトータルイオンのドーズ量Dは、B イオンの割合Xによって変化する。そのため、B イオンの割合Xが変化するにしたがって、トータルイオンのドーズ量を補正することによって、しきい値電圧を目標とする値に近づけることができる。
また、「式1’」を「式2」に代入して、関係式Vth=2.1×10−18(D/(1.3×1014))(3.1×1018X−2.5×1017)−0.11又はVth=3.7×10−9(D/(1.3×1014))1/2(3.1×1018X−2.5×10171/2−1.7が求められる。この関係式を用い、X及びVthの値を特定することで、Dを導出することができる。
イオンドーピング装置には、装置の制御をおこなえる電子計算機が付属していることがある。この電子計算機に、「式1’」及び「式2」、又は「式1’」を「式2」に代入して求めた上記関係式を記憶させ、目的のしきい値電圧Vthを入力すると、そのしきい値電圧を得るのに必要なトータルイオンのドーズ量Dを計算できるようにしてもよい。また、この電子計算機からの出力信号によって、トータルイオンのドーズ量が計算値になるように自動的に補正できるようにしてもよい。
上記電子計算機は、マススペクトル測定器に接続され、このマススペクトル測定器による測定結果に基づきトータルイオン中の所望のイオン種(本実施の形態の場合はB )の割合Xを計算することができる。そして、計算されたXの値に応じて、必要なトータルイオンのドーズ量Dの計算結果は変化するようになっている。
所望のしきい値電圧とは+1.0Vに限らない。Nチャネル型薄膜トランジスタの場合、所望のしきい値電圧を+0.3V〜+1.5V、好ましくは+0.5V〜+1.0Vの範囲の値とすることによって、電気特性が優れ、高い歩留まりを達成することができる。
(実施の形態3)
イオンドーピング装置を用いて、シリコンを主成分とする半導体膜に対してチャネルドープをおこなった後、SIMSによる分析結果から得られるその半導体膜中のホウ素のピーク濃度を、所望の値(本実施の形態では4.4×1017cm−3とする)に近づけるために必要な、ドーピングの際のトータルイオンのドーズ量を求める過程を、以下に示す。
イオンの割合Xが0.30のとき、実施の形態1で得られた「式1’」に、Y=4.4×1017cm−3を適用して計算すると、D=8.4×1013cm−2が導出される。この結果から、シリコンを主成分とする半導体膜中のホウ素のピーク濃度を4.4×1017cm−3とするために必要なトータルイオンのドーズ量Dは、8.4×1013cm−2であることがわかる。なお、チャネルドープ工程において使用する原料ガスは、実施の形態1において、「式1」「式1’」を導出する際に使用した、Bを水素で1%の濃度に希釈したものとする。
X=0.30を例として計算したが、所望のホウ素のピーク濃度を得るために必要なトータルイオンのドーズ量Dは、B イオンの割合Xによって変化する。そのため、B イオンの割合Xが変化するにしたがって、トータルイオンのドーズ量Dを補正することによって、シリコンを主成分とする半導体膜中のホウ素のピーク濃度を所望の値に近づけることができる。
イオンドーピング装置に付属する電子計算機に、「式1’」を記憶させ、所望のホウ素のピーク濃度Yを入力すると、その濃度を得るのに必要なトータルイオンのドーズ量Dを計算できるようにしてもよい。また、この電子計算機からの出力信号によって、トータルイオンのドーズ量が計算値になるように自動的に補正できるようにしてもよい。
本実施の形態にて説明した過程に基づいて、ホウ素のピーク濃度を4.4×1017cm−3とするために必要なトータルイオンのドーズ量を補正しながらチャネルドープをおこなうことによって、試料を10個作製した。そして、その作製した試料について、SIMSによってホウ素のピーク濃度を分析した。チャネルドープ工程の際、使用する原料ガスはBを水素で1%の濃度に希釈したものとし、加速電圧を25kVとする。その結果、ホウ素のピーク濃度が3×1017cm−3以上4×1017cm−3未満の範囲にある試料は3つ、4×1017cm−3以上5×1017cm−3未満の範囲にある試料は6つ、5×1017cm−3以上6×1017cm−3未満の範囲にある試料は1つであった。
一方、従来の方法により、イオンドーピング装置を用いてシリコンを主成分とする半導体膜に対してチャネルドープをおこなうことによって、試料を10個作製し、SIMSによってホウ素のピーク濃度を分析した。チャネルドープ工程の際、使用する原料ガスはBを水素で1%の濃度に希釈したものとし、加速電圧を25kVとする。また、トータルイオンのドーズ量を1×1014cm−2に固定する。その結果、ホウ素のピーク濃度が2×1017cm−3以上3×1017cm−3未満の範囲にある試料は3つ、3×1017cm−3以上4×1017cm−3未満の範囲にある試料は3つ、5×1017cm−3以上6×1017cm−3未満の範囲にある試料は2つ、6×1017cm−3以上7×1017cm−3未満の範囲にある試料は1つ、8×1017cm−3以上9×1017cm−3未満の範囲にある試料は1つであった。
両者の結果を比較すると、従来の方法よりも本実施の形態に従う方が、ホウ素のピーク濃度のばらつきを小さくでき、所望のホウ素のピーク濃度に近い値が得られることが明らかである。
(実施の形態4)
本明細書の実施の形態1において、使用する原料ガスをBの濃度が5%のものから1%のものに変更する際におこなう工程について、以下に説明する。
図1に示すイオンドーピング装置のプラズマ生成部104への原料ガス(Bを水素で5%に希釈したもの)の供給を止め、供給するガスを水素に切り替える。そして、水素プラズマを生成させ、電極部107を通して引き出されたイオンビーム108を処理室109内のステージ110上に配置されたダミー基板に照射するダミー処理を1時間おこなう。ダミー基板は、ガラス基板、シリコン基板のいずれでもよい。その際、ドーズ量を3×1015cm−2、加速電圧を50kVに設定する。
その後、プラズマ生成部104への水素の供給を止め、真空排気系112により、処理室109内を1時間にわたって排気する。引き続き、Bを水素で1%に希釈した原料ガスをプラズマ生成部104へ供給し、プラズマを生成させ、電極部107を通して引き出されたイオンビーム108を上記ダミー基板に照射するダミー処理を30分間おこなう。その際、トータルイオンのドーズ量を1.3×1014cm−2、加速電圧を25kVに設定する。
その後、ステージ110上のダミー基板を、シリコンを主成分とする半導体膜が形成されたガラス基板に交換する。原料ガス、トータルイオンのドーズ量及び加速電圧などの条件を変更することなく、その半導体膜にドーピングをおこなう。
本実施の形態においては、実際に半導体膜にドーピングをおこなう前の、ダミー処理に要する時間は1時間30分で済む。
本明細書に開示する発明を適用して、薄膜トランジスタを作製する工程について、以下に説明する。
図10(A)に示すように、絶縁表面を有する基板901上に下地層902を形成する。下地層902は、複数の膜からなり、酸素を含む窒化珪素膜、窒素を含む酸化珪素膜、酸化珪素膜、窒化珪素膜のいずれか2つ以上を有する構造とすることができる。基板901と下地層902の間に、又は下地層902を構成するいずれか2つの膜の間に、融点が2000℃以上の高融点金属(例えばタングステン)を主成分とする膜、その高融点金属の化合物を主成分とする膜の一方又は両方を更に設けることができる。
下地層902上にシリコンを主成分とする半導体膜、例えば結晶性又は非晶質シリコン膜を形成し、フォトリソグラフィー工程により、この半導体膜から所定形状のパターン903を形成する。
パターン903に対して、図1に示すようなイオンドーピング装置を用い、チャネルドープをおこなう。チャネルドープをおこなう際、使用する原料ガスはBを水素で1%の濃度に希釈したものであり、加速電圧は25kVとする。そして、トータルイオンのドーズ量は、本明細書の実施の形態2又は実施の形態3にしたがって求められた値に設定される。トータルイオンのドーズ量を設定する際に、本明細書に開示する発明を適用することで、所望のホウ素のピーク濃度、及び所望のしきい値電圧を容易に得ることができる。
上記チャネルドープをパターン903を形成する前の半導体膜に対しておこなった後、フォトリソグラフィー工程によりパターン903を形成してもよい。
その後、図10(B)に示すように、パターン903を覆うようにゲート絶縁膜904を形成する。更に、ゲート絶縁膜904上に導電層を形成する。この導電層は、複数の膜からなり、チタン、ニオブ、タンタル、タングステン、モリブデン、クロム、アルミニウム、銅などの金属膜を有する構造とすることができ、その金属膜に加えて導電性の金属窒化物膜を有する構造とすることができる。更に、フォトリソグラフィー工程により、この導電層から所定形状のゲート電極905を形成する。
次に、イオンドーピング装置を用い、ゲート電極905をマスクとして、パターン903の斜線で示す部分にリンをドーピングする。このとき、使用する原料ガスはPHを水素で5%の濃度に希釈したものであり、トータルイオンのドーズ量は2.5×1013cm−2、加速電圧は80kVとする。このドーピングの際に、本明細書に開示する発明を適用して、トータルイオンのドーズ量を、パターン903中のリンのピーク濃度が所望の値になるように設定することができる。
ゲート電極905の少なくとも側面を覆うように且つゲート絶縁膜904上に、サイドウォールを形成するための絶縁層を形成する。この絶縁層は、酸化珪素膜、窒素を含む酸化珪素膜の一方又は両方を有する構造とすることができる。そして、この絶縁層に対し、異方性エッチングをおこなうことによって、図10(C)に示すサイドウォール906を選択的に形成する。
ゲート電極905及びサイドウォール906をマスクとして、再びリンをドーピングする。このとき、使用する原料ガスはPHを水素で5%の濃度に希釈したものであり、トータルイオンのドーズ量は3.0×1015cm−2、加速電圧は20kVとする。その結果、パターン903における、サイドウォール906と重なる領域にはリンのドーピングが妨げられるため、ソース領域(ドレイン領域)907及びドレイン領域(ソース領域)908、並びにLDD領域(低濃度不純物領域)909及びLDD領域(低濃度不純物領域)910がパターン903に形成される。パターン903におけるゲート電極905の下部でLDD領域(低濃度不純物領域)909とLDD領域(低濃度不純物領域)910に挟まれた領域は、チャネル形成領域である。
次に、図10(D)に示すように、層間絶縁層911を形成する。層間絶縁層911は複数の膜からなり、酸素を含む窒化珪素膜、窒素を含む酸化珪素膜、酸化珪素膜、窒化珪素膜のいずれか2つ以上を有する構造とすることができる。
層間絶縁層911及びゲート絶縁膜904に異方性エッチングをおこない、ソース領域(ドレイン領域)907及びドレイン領域(ソース領域)908の一部を露呈させるコンタクトホールを開孔する。その後、層間絶縁層911上に配線912及び配線913を形成する。配線912及び配線913は、金属を主成分とする膜又は導電性を示す金属化合物膜を有する複数の膜からなる構成とすることができる。配線912及び配線913それぞれは、コンタクトホールを介して、ソース領域(ドレイン領域)907及びドレイン領域(ソース領域)908のいずれか一方と電気的に接続している。
以上説明した工程により、チャネル長、チャネル幅、LDD長を所定の大きさとし、ゲート絶縁膜を所定の厚さとするNチャネル型薄膜トランジスタを作製することができる。
イオンドーピング装置の概略図。 マススペクトル測定器による測定結果を表す図。 比較例として示すマススペクトル測定器による測定結果を表す図。 マススペクトル測定器による測定結果を表す図。 マススペクトル測定器による測定結果を表す図。 SIMSにより分析したホウ素の濃度の深さ方向分布を表す図。 ヘビードープの条件でのトータルイオン中のB イオンの割合とチャネルドープの条件でのホウ素のピーク濃度との関係を表す図。 Nチャネル型薄膜トランジスタのしきい値電圧と活性層中のホウ素のピーク濃度との関係を表す図。 Nチャネル型薄膜トランジスタのしきい値電圧と活性層中のホウ素のピーク濃度の平方根との関係を表す図。 薄膜トランジスタの作製工程を示す図。
符号の説明
101 ガス導入口
102 ガス供給系
103 イオン源
104 プラズマ生成部
105 電源
106 放電発生手段
107 電極部
108 イオンビーム
109 処理室
110 ステージ
111 基板
112 真空排気系
113 マススペクトル測定器
114 ドーズ量測定手段
901 基板
902 下地層
903 パターン
904 ゲート絶縁膜
905 ゲート電極
906 サイドウォール
907 ソース領域(ドレイン領域)
908 ドレイン領域(ソース領域)
909 LDD領域(低濃度不純物領域)
910 LDD領域(低濃度不純物領域)
911 層間絶縁層
912 配線
913 配線

Claims (2)

  1. マススペクトルから求められたトータルイオン中のドナー不純物又はアクセプタ不純物の化合物のイオンの割合X(0<X<1)とドーピングがおこなわれた第1の被処理体中の前記ドナー不純物又はアクセプタ不純物のピーク濃度Yに関する第1の関係式から、前記イオンの割合Xの変化に対応して、前記ピーク濃度Yを得るために必要なトータルイオンのドーズ量Dを求める過程と、第1の原料ガスを用い、トータルイオンのドーズ量を前記過程で求めたDの値、加速電圧を所定の値として、イオンドーピング装置によって第2の被処理体に対し前記ドナー不純物又はアクセプタ不純物の化合物のイオンをドーピングする過程を有し、前記第1の関係式は、前記イオンドーピング装置において、前記ドナー不純物又はアクセプタ不純物の化合物が水素又は希ガスでなる希釈用のガスで5%以上40%以下の第1の濃度に希釈された第2の原料ガスを用いてプラズマを生成させ、前記マススペクトルから前記イオンの割合Xを求め、前記化合物が前記第1の濃度と同じ濃度又はそれより低い第2の濃度に前記希釈用のガスで希釈された前記第1の原料ガスを用い、トータルイオンのドーズ量をD、加速電圧を前記所定の値として、前記イオンドーピング装置によって前記第1の被処理体に対し前記ドナー不純物又はアクセプタ不純物の化合物のイオンをドーピングし、前記第1の被処理体中の前記ピーク濃度Yを分析することによって、a及びbを実数としたとき、Y=(D/D)(aX+b)として得られることを特徴とすることを特徴とするドーピング方法。
  2. マススペクトルから求められたトータルイオン中のドナー不純物又はアクセプタ不純物の化合物のイオンの割合X(0<X<1)とドーピングがおこなわれた被処理体中の前記ドナー不純物又はアクセプタ不純物のピーク濃度Yに関する第1の関係式から、前記イオンの割合Xの変化に対応して、前記ピーク濃度Yを得るために必要なトータルイオンのドーズ量Dを求める過程と、第1の原料ガスを用い、トータルイオンのドーズ量を前記過程で求めたDの値、加速電圧を所定の値として、イオンドーピング装置によって絶縁表面を有する基板上に形成された半導体膜又は半導体基板に対し前記ドナー不純物又はアクセプタ不純物の化合物のイオンをドーピングする過程を有し、前記第1の関係式は、前記イオンドーピング装置において、前記ドナー不純物又はアクセプタ不純物の化合物が水素又は希ガスでなる希釈用のガスで5%以上40%以下の第1の濃度に希釈された第2の原料ガスを用いてプラズマを生成させ、前記マススペクトルから前記イオンの割合Xを求め、前記化合物が前記第1の濃度と同じ濃度又はそれより低い第2の濃度に前記希釈用のガスで希釈された前記第1の原料ガスを用い、トータルイオンのドーズ量をD、加速電圧を前記所定の値として、前記イオンドーピング装置によって前記被処理体に対し前記ドナー不純物又はアクセプタ不純物の化合物のイオンをドーピングし、前記被処理体中の前記ピーク濃度Yを分析することによって、a及びbを実数としたとき、Y=(D/D)(aX+b)として得られることを特徴とする電界効果型トランジスタの作製方法。
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