JP4859113B2 - トライアルレンズセット - Google Patents
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Description
トライアルレンズは少しずつ屈折力の異なる遠視又は近視用の多数のS度数トライアルレンズと同じく少しずつ屈折力の異なる乱視用の多数のC度数トライアルレンズとを基本とするレンズセットであって、被験者に応じた好適なS度数トライアルレンズ及びC度数トライアルレンズを選んでこれらを検眼装置やトライアルフレームに装着し被験者に装用状態をチェックさせるものである。トライアルレンズセットはS度数トライアルレンズとC度数トライアルレンズが必須のレンズとされるがセットにはその他プリズムレンズや累進トライアルレンズを含む場合もある。
このようなトライアルレンズセットの従来技術の一例として特許文献1を挙げる。
1)例えば近視度数の設定されたマイナスレンズでは従来の球面レンズでは度数がきつくなるとレンズの縁厚が厚くなる傾向となるため、特に強度近視の人用に非球面レンズが勧められるようになってきている。非球面レンズを使用することによって同一度数では球面レンズに比べてより薄いレンズを設計できることとなり、また一般に非球面レンズの方が非点収差及び像面湾曲等の点(特にレンズ周辺部での収差)で有利である。ところが、従来のトライアルレンズでは上記のようにレンズ中央付近の見え方以外は考慮しないため球面レンズで作製している。そのため実際の非球面レンズを使用した眼鏡とは見え方は大きく異なるものとなっていた。例えば一般にマイナス度数の非球面レンズでは、同度数の球面レンズよりも周辺部の度数が弱くなっている。そのため球面レンズを用いての擬似装用感が良好であり眼鏡購入に至った場合でも、レンズとして非球面レンズを選択し、出来上がりの眼鏡を装用してみると装用感に不具合がありユーザーの満足を得られないことが生じるケースがあった。
ここにカーブとはレンズ面の面屈折力をいい、屈折率とレンズ面の曲率半径との比で表されるものである。カーブは屈折率によりその値が変化するため、異なる屈折率の素材比較を行う場合、どちらかの屈折率に換算して比較をするか、第3の屈折率に換算する。以下本明細書では屈折率1.523換算で記載してある。
非球面レンズや累進屈折力レンズでは面屈折力は一様ではないため通常レンズ中心位置から所定の半径範囲(例えば20mm)の領域に近似した球面カーブを持ってその面のカーブと定義している。カーブが深いとは要はレンズの凸方向の突出量がより大きくなる傾向のカーブであることを意味する。
見え方について深いカーブを選択するのは次のような理由による。収差において歪曲収差は非球面設計によりある程度改善できるが、歪曲収差はカーブ設定の影響を更に大きく受けることとなる。つまり、浅いレンズを選択した場合にはどうしても歪曲収差が残ってしまうこととなる。ところが、カーブをより深いものとすることで歪曲収差は大幅に改善することが可能であり、その他の光学性能の改善をも図ることが可能となっている。
そのため例えば浅いレンズを選択した場合に例え歪曲収差が大きくてもそれがその人の許容範囲であれば浅いレンズを選択すればよいし、カーブが深くともやはり歪曲収差が小さいほうがよいと判断すれば深いレンズを選択すればよい。このようなことからカーブの違いによる装用感を被験者が体験したいという要望があった。
しかしながら、従来のトライアルレンズではこのような要望があるにも関わらずカーブ差を体験することはできなかった。
本発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的は、実際に作製される非球面レンズによる眼鏡の装用感を実感させることが可能なトライアルレンズを備えたトライアルレンズセットを提供することである。
また請求項2の発明では請求項1に記載の発明の構成に加え、遠用部領域の屈折力をS+0.00ディオプターに設定した加入屈折力の異なる複数の累進トライアルレンズを備え、同累進トライアルレンズの一部又は全部は同じ加入屈折力で異なるベースカーブ設定がされた複数種類のレンズ群から構成されていることをその要旨とする。
また請求項3の発明では請求項1に記載の発明の構成に加え、非球面設計によって構成した前記S度数トライアルレンズには遠用部領域から近用部領域にかけて連続的に屈折力の変化する所定の累進帯域を設定したことをその要旨とする。
また請求項5の発明では請求項1〜4のいずれかに記載の発明の構成に加え、非球面設計によって構成した前記S度数トライアルレンズの裏面と前記C度数トライアルレンズの表面は密着あるいはごく近接していることをその要旨とする。
また請求項6の発明では請求項1〜5のいずれかに記載の発明の構成に加え、屈折力が一段階異なる2つの前記S度数トライアルレンズの間に配置され同S度数トライアルレンズと組み合わせて所定の屈折力を与えるようにした調整用トライアルレンズを備えることをその要旨とする。
また請求項7の発明では請求項1〜6のいずれかに記載の発明の構成に加え、前記S度数トライアルレンズは同じ屈折力で異なるベースカーブ設定がされた複数種類のレンズ群から構成されるようにしたことをその要旨とする。
また請求項8の発明では、遠視度数又は近視度数を所定の屈折力差をもって順に設定した複数のS度数トライアルレンズと、乱視度数を所定の屈折力差をもって順に設定した複数のC度数トライアルレンズを備えてなるトライアルレンズセットにおいて、前記S度数トライアルレンズの一部又は全部を非球面設計によって構成するとともに、非球面設計によって構成した前記S度数トライアルレンズの裏面と非球面設計によって構成した前記C度数トライアルレンズの表面を密着あるいはごく近接して設計したことをその要旨とする。
また請求項9の発明では請求項8に記載の発明の構成に加え、屈折力が一段階異なる2つの前記S度数トライアルレンズの間に配置され同S度数トライアルレンズと組み合わせて所定の屈折力を与えるようにした調整用トライアルレンズを備えることをその要旨とする。
また請求項10の発明では請求項8又は9に記載の発明の構成に加え、前記S度数トライアルレンズは同じ屈折力で異なるベースカーブ設定がされた複数種類のレンズ群から構成されていることをその要旨とする。
このような非球面設計はS度数トライアルレンズの表面、裏面あるいは両面に設定することが可能である。また、一部又は全部のS度数トライアルレンズを非球面設計とするため、セット全体としては一部に従来の球面設計のS度数トライアルレンズを含んでも構わない。
また、S度数トライアルレンズは同じ屈折力で異なるベースカーブ設定がされた複数種類のレンズ群から構成することが好ましい。つまり、屈折力が同じで所定のベースカーブを基準としてそれよりも浅いカーブのものや深いカーブのものを用意するということである。例えば球面設計で深いカーブのS度数トライアルレンズを構成すれば屈折力が同じ浅いカーブのS度数トライアルレンズは非球面設計で構成されていることとなる。これによって特に非球面設計したものと非球面設計していないものとの見え方の違いを比較することが可能となる。また、異なる非球面設計の複数種類のS度数トライアルレンズの見え方の違いを比較させることも可能となる。
このようにベースカーブの異なる累進トライアルレンズを備えればS度数トライアルレンズの前後に累進トライアルレンズを配置して使用する際に最もS度数トライアルレンズとの間隔の狭い累進トライアルレンズを選択することが可能となる。つまり、あまりに両者間のカーブの深さが異なると両レンズの間隔が離れ、空間が大きくなってしまう。そのため光線の通り道がずれてくる(特に斜めから瞳孔に達する光線)ため実際の見え方との乖離がはなはだしくなってしまうが、このようなカーブを選択できるのであればより両レンズの間隔を狭めることができ、実際の累進屈折力レンズの見え方に近くなる。
ところが、上記のように同じ遠視度数又は近視度数であってベースカーブの深さの異なる複数種類のS度数トライアルレンズを用意することによってS度数トライアルレンズのベースカーブに応じたカーブの深さの累進トライアルレンズを選択することで累進トライアルレンズのカーブが深い場合と浅い場合の見え方の違いを比較することが可能となる。つまり、作製される眼鏡レンズが非球面化された浅いカーブの累進屈折力レンズであればその浅いカーブ面に応じた見え方を疑似体験でき、深いカーブの累進屈折力レンズも疑似体験できることとなって見え方の比較ができることとなる。
また、累進トライアルレンズの選択手法、つまり浅いカーブを選択するか深いカーブを選択するかについてはベースカーブが表面側とされるマイナスレンズであって外面累進レンズであれば使用される累進トライアルレンズはそのベースカーブに応じて通常浅いベースカーブのものが選択されることとなる。一方ベースカーブが表面側とされるプラスレンズであって外面累進レンズであれば使用される累進トライアルレンズはそのベースカーブに応じて通常深いベースカーブのものが選択される。これに対して内面累進レンズであればこれら累進トライアルレンズのマイナスレンズ及びプラスレンズに対する浅い・深いは逆傾向となる。
尚、従来の累進トライアルレンズではベースカーブは3〜4.5カーブ程度に設定されている。2カーブ以上の差があれば見え方の違いは容易に認識できるので例えば基本となる累進トライアルレンズのカーブをこの3〜4.5カーブ程度に作製した場合にはこれよりも2カーブ以上浅いカーブの累進トライアルレンズと2カーブ以上深いカーブの累進トライアルレンズの3枚の累進トライアルレンズを用意することが最も効率的である。
従来の累進トライアルレンズではマイナスレンズ及びプラスレンズのどちらにも使用できるように中間的な収差分布特性を与えていたが、しかしこのようにマイナスレンズ及びプラスレンズによって収差分布特性を変えることでより一層実際に作製される眼鏡レンズ(累進屈折力レンズ)の見え方に近いものとなる。
以上は、S度数トライアルレンズとは別個に単独の累進トライアルレンズを備えている場合であったが、単独の累進トライアルレンズを用意する代わりにこれらのような累進トライアルレンズの特性をS度数トライアルレンズに与えるようにしてもよい。
このような非球面設計はC度数トライアルレンズの表面、裏面あるいは両面に設定することが可能である。また、一部又は全部のC度数トライアルレンズを非球面設計とするため、セット全体としては一部に従来の球面設計のC度数トライアルレンズを含んでも構わない。
また非球面設計のS度数トライアルレンズの裏面と非球面設計のC度数トライアルレンズの表面は密着あるいはごく近接していることがより好ましい。つまり、非球面設計のS度数トライアルレンズの裏面と非球面設計のC度数トライアルレンズの表面のカーブが一致するかごく近いカーブ同士であることが好ましい。これによって両レンズ間の空間の隙間を極めて小さくすることができ、実際の眼鏡レンズにより近い装用感を与えることに貢献する。
C度数トライアルレンズはS度数トライアルレンズとは別個に単独のトライアルレンズとして構成される場合のみならず上記のようなC度数トライアルレンズの特性をS度数トライアルレンズに与えるようにしてもよい。
このような調整用トライアルレンズをセット中に備えることによってS度数トライアルレンズの屈折力の間隔を大きく設定することができ、結果としてS度数トライアルレンズの数を減らすことに貢献する。特に、上記のようにS度数トライアルレンズについてカーブの深さの異なる同屈折力の複数のS度数トライアルレンズを備える場合にはS度数トライアルレンズの数が増えることとなるためこのような調整用トライアルレンズを備えることはS度数トライアルレンズの枚数削減に大きく寄与する。
これは実際に作製される眼鏡レンズとS度数トライアルレンズとではレンズの眼球からの配置位置が異なることに基づく。掘りの浅い一般な日本人の眼鏡レンズでは眼球の頂点からレンズ裏面までの距離(頂点距離)は12mm程度に設定されることが多いが、S度数トライアルレンズは眼球側にC度数トライアルレンズや累進トライアルレンズを配置することが多いため12mmよりも数mm長くなってしまっている。もちろん、被験者によってはC度数トライアルレンズや累進トライアルレンズが不要な場合もあるが、実際にトライアルレンズフレームを使う場合には操作の便宜上いつも同じ装着位置にS度数トライアルレンズをセットすることになるためS度数トライアルレンズ単独であってもやはり頂点距離は実際の眼鏡レンズよりも長くなってしまう。
そのため、処方に対応した非球面のS度数トライアルレンズを使用して装用感を実感すると実際に作製した眼鏡とは異なる装用感となってしまうこととなっていた。つまり、レンズ中央付近では大きな変化はないものの、レンズの周辺に行くにつれて設計した度数よりも弱くなってしまうこととなっていた。
しかし、図13に示すように、このような光学特性を示すS度数トライアルレンズを頂点距離14mmの位置に配置するシミュレーションを行うと周辺部付近の度数が設計よりも弱くなってしまうこととなる。これはこのS度数トライアルレンズが頂点距離12mmで設計されているため頂点距離を長くすると非球面の量が多すぎることとなって被験者に実際の眼鏡と異なる装用感を与えることを意味している。
図14はS度数トライアルレンズを頂点距離14mmの位置に配置して上記頂点距離12mmの場合の光学性能を実現させた一例である(表カーブ1.0、中心厚1.0mm、屈折率1.70、縁厚2.44mm)。
尚、上記では像面歪曲の例を示したが、像面歪曲と非点収差は相関する収差であり、一定の物体距離における像面湾曲と非点収差は同時に0に出来ない。そのため設計目標として非点収差を0にすることを目標にしても良いし、像面湾曲と非点収差をある割合で配分するようにしても構わない。
ここに、S度数トライアルレンズの眼球側にはC度数トライアルレンズや累進トライアルレンズが配置されることが多いため、本来これらC度数トライアルレンズや累進トライアルレンズを通した状態で像面湾曲の補正を行うことが望ましいのであるが、C度数トライアルレンズや累進トライアルレンズの選択は被験者によって区々であるためS度数トライアルレンズと組み合わせた際の像面湾曲の補正は実際には困難である。そのため、少なくともS度数トライアルレンズについてこのような補正をすることでトライアルレンズという特殊なレンズで実際の眼鏡レンズの見え方に近づけようとするものである。
実施例1は非球面の単焦点レンズのマイナス眼鏡レンズを作製する場合にその眼鏡の装用感を疑似体験させるために使用される近視用トライアルレンズである。
図1及び図2に示すように、実施例1ではトライアルレンズフレームF(以下、単にフレームFとする)に対して眼球E側から順にC度数トライアルレンズ1、S度数トライアルレンズ2、調整用トライアルレンズとしての調整レンズ3及びプリズムレンズ4が装着されようになっている(以下、このように各トライアルレンズが重複状に配置された状態をレンズ列とする)。本実施例1における各レンズの直径は46mm、レンズ素材は屈折率1.70素材を用いている。これらフレームFに装着されるレンズ1〜4は処方に基づいて近視用トライアルレンズセットから選択されるものである。本実施例1のS度数トライアルレンズ2は眼球Eの頂点Pから同S度数トライアルレンズ2の裏面の光学中心までの距離(頂点距離)が14mmにセッティングされている。S度数トライアルレンズは頂点距離14mmで実際の眼鏡レンズの頂点距離(例えば12mm)における非球面化による見え方と同等になるように非球面設計されている。
調整レンズ3は隣接する度数のS度数トライアルレンズ2の中間の度数を得るために使用されるトライアルレンズである。本実施例1では調整レンズ3としてS:−0.50D、S:−0.25D、S:+0.25D、S:+0.50Dの4種類を備えている。これら調整レンズ3はいずれも内面側が非球面加工されている。この4種類の調整レンズ3とS度数トライアルレンズ2との組み合わせによって0.25D刻みの度数を得ることが可能となる。
プリズムレンズ4は斜位や斜視がある場合の矯正に使用され、本実施例1でも斜位や斜視がなければ使用されることはない。
例えば被験者に処方された度数がS:−3.75D、C:−1.00D、AX:180度である場合にはまず図1に示すように、S:−4.00Dの第1のS度数レンズ2aとS:+0.25Dの調整レンズ3を選択してフレームFに装着することとなる。
また、C:−1.00Dが選択され、垂直方向が最大度数−1.00Dとなるように配置し、必要な場合にはプリズムレンズ4が配置されている。
このような組み合わせのレンズ列が装着されたフレームFを被験者に装用させる。
次いで、図2のようにS:−4.00Dの第2のS度数レンズ2bを上記S:−4.00Dの第1のS度数レンズ2aと入れ替えて被験者に装用させる。これを交互に繰り返して1カーブの場合と3カーブの場合の見え方を比較させる。尚、実施例1は近視用トライアルレンズとしたがセット中に遠視用のトライアルレンズを含めても構わない。
(1)C度数トライアルレンズ1、S度数トライアルレンズ2及び調整用トライアルレンズ3とも非球面レンズで構成されているため実際の非球面レンズでの装用感に近い装用感を与えることができる。
(2)調整用トライアルレンズ3をセット内容に含めているためS度数トライアルレンズ2の枚数を減らすことが可能となる。特に、実施例1ではカーブの深さの異なる2種類のレンズ群があるのでS度数トライアルレンズ2の枚数を減らすことは全体のレンズ枚数削減に大きく寄与することとなる。
(3)同じ度数で異なるカーブのS度数レンズ2を比較することができるので、非球面レンズのカーブの差による像面歪曲や歪曲収差の違いを実感でき、より自分にあったレンズを選択する余地ができることとなる。
(4)S度数トライアルレンズは頂点距離14mmで実際の眼鏡レンズの頂点距離における非球面化による見え方と同等になるように非球面設計がされているため、より実際の眼鏡レンズに近い見え方を実現できる。
実施例2はフレームFに取り付けた際のS度数トライアルレンズ12と累進トライアルレンズ13との間の隙間の改善に関する説明に特化するものである。
図3〜図5に示すように、実施例2ではフレームFに対して眼球E側から順にC度数トライアルレンズ11、S度数トライアルレンズ12、累進トライアルレンズ13が装着されようになっている。本実施例2における各レンズの直径は46mmとされている。これらフレームFに装着されるレンズ11〜13は処方に基づいて累進用トライアルレンズセットから選択されるものである。
本実施例2の累進用トライアルレンズセットにはS度数トライアルレンズ12として、内面側が非球面加工された0.25D毎に度数の異なる複数のマイナスレンズ及びプラスレンズとが用意されており、処方に応じた度数のものが選択されてフレームFに装着されることとなる。本実施例1のS度数トライアルレンズ2は眼球Eの頂点Pから同S度数トライアルレンズ2の裏面の光学中心までの距離(頂点距離)が14mmにセッティングされている。S度数トライアルレンズは頂点距離14mmで実際の眼鏡レンズの頂点距離(例えば12mm)における非球面化による見え方と同等になるように非球面設計がされている。
具体的に実施例2では、図3においてS:0.5カーブの第1のS度数レンズ12a(近視度数S:−6.00D)が、図4においてS:6.5カーブの第4のS度数レンズ12b(遠視度数S:+6.00D)が、図5においてS:4.0カーブの第2のS度数レンズ12c(近視度数S:−2.00D)が選択されている。
また、本実施例2ではカーブの深さによって3種類の累進トライアルレンズ13a〜13cが用意されている。第1の累進トライアルレンズ13aは1.0カーブ、第2の累進トライアルレンズ13bは6.5カーブ、第3の累進トライアルレンズ13cは4.0カーブに設計されている。いずれもいわゆる上平(遠用部領域の屈折力がS+0.00D)で加入度2.00に設定されている。図3では第1の累進トライアルレンズ13aが、図4では第2の累進トライアルレンズ13bが、図5では第3の累進トライアルレンズ13cがそれぞれ選択されている。これら累進トライアルレンズ13a〜13cのベースカーブ(累進トライアルレンズでは表裏ともほぼ同じカーブ)の曲率はいずれもそれぞれ隣接する第1〜第3のS度数レンズ12a〜12cのベースカーブの曲率と同じあるいは近い曲率のものが選択されている。
ところが、実施例2では図3〜図5に示すように、選択されたカーブのS度数トライアルレンズ12の表面カーブの曲率と同じあるいは近い曲率のカーブで設計された累進トライアルレンズ13を選択することができるため、両レンズ12,13間の空間が大きくならず空間の広さも均一となり一枚のレンズで構成される実際の眼鏡レンズとの乖離がなくなる。特に累進トライアルレンズ16は屈折力が途中で変化する累進帯を有することからなるべく屈折力の変化に影響のある要素を排除する意味からもS度数トライアルレンズ15と累進トライアルレンズ16の間隔を狭く一定とすることが好ましい。
(1)C度数トライアルレンズ11、S度数トライアルレンズ12及び累進トライアルレンズ13とも非球面レンズで構成されているため実際の非球面レンズでの装用感に近い装用感を与えることができる。
(2)S度数トライアルレンズ12と累進トライアルレンズ13の間隔を狭く一定とする組み合わせが可能となるため、複数のレンズであるにも関わらず極力実際の1枚の累進屈折力レンズに近い装用感を得られることとなる。
実施例3は実施例2のバリエーションである。実施例3は同一の近視度数又は遠視度数を有するレンズでのベースカーブの違いによる見え方の違いに関する説明に特化するものである。
図8に示すように、表面が3.0カーブに設定されたS度数レンズ21a(近視度数S:−6.00D)と4.0カーブ、上平、加入度2.00に設定された累進トライアルレンズ22aを組み合わせたレンズ列がある(C度数トライアルレンズ11は実施例2と同じである)。
一方、図9に示すように、表面が0.5カーブに設定されたS度数レンズ21b(近視度数S:−6.00D)と1.0カーブ、上平、加入度2.00に設定された累進トライアルレンズ22bを組み合わせたレンズ列がある(C度数トライアルレンズ11は実施例2と同じである)。
これら2つのレンズ列の近視度数S:−6.00Dは同一であるため、被験者に両者を比較させてカーブが深い場合と浅い場合の歪曲の度合いを比較させることが可能となる。
・上記実施例2においてマイナスレンズのS度数トライアルレンズ12に使用される累進トライアルレンズ13とプラスレンズのS度数トライアルレンズ12に使用される累進トライアルレンズ13とをそれぞれ収差分布特性の異なった別個の累進トライアルレンズ13を用意するようにしても構わない。
具体的にはマイナスレンズ用の累進トライアルレンズでは図10(a)に示すように遠用部領域の広くしたものを、逆にプラスレンズ用の累進トライアルレンズでは図10(b)に示すように近用部領域を広くしたものを用意する。このようにマイナスレンズ及びプラスレンズによって収差分布特性を変えることでより一層実際に作製される眼鏡レンズ(累進屈折力レンズ)の見え方に近いものとすることができる。
・図11(a)〜(c)に示すように、非球面設計によって構成したS度数トライアルレンズ31の裏面と同じく非球面設計によって構成したC度数トライアルレンズ32の表面は密着あるいはごく近接させるようにしてもよい。図11(a)〜(c)ではいずれもS度数トライアルレンズ31の裏面は6.00カーブに構成され、C度数トライアルレンズ32の表面も6.00カーブに構成されている。
つまり、S度数トライアルレンズ31の裏面をC度数トライアルレンズ32の表面と同じ所定カーブに構成し、この所定カーブを基準として処方の度数を得られるようにS度数トライアルレンズ31の表面のカーブが決定される。このようなS度数トライアルレンズ31群では裏面カーブは統一され表面カーブのみがそれぞれ異なることとなる。一方、C度数トライアルレンズ32は表面カーブが統一され裏面カーブのみがそれぞれ異なることとなる。
このような構成によって、両レンズ間の空間の隙間を極めて小さくすることができ、実際の眼鏡レンズにより近い装用感を与えることに貢献する。
・上記各実施例ではS度数トライアルレンズとは別個に単独のC度数トライアルレンズを備えている場合であったが、単独のC度数トライアルレンズを用意する代わりにこれらのようなC度数トライアルレンズの特性をS度数トライアルレンズに与えるようにしてもよい。
・上記各実施例ではS度数トライアルレンズとは別個に単独の累進トライアルレンズを備えている場合であったが、単独の累進トライアルレンズを用意する代わりにこれらのような累進トライアルレンズの特性をS度数トライアルレンズに与えるようにしてもよい。
その他本発明の趣旨を逸脱しない態様で実施することは自由である。
Claims (10)
- 遠視度数又は近視度数を所定の屈折力差をもって順に設定した複数のS度数トライアルレンズと、乱視度数を所定の屈折力差をもって順に設定した複数のC度数トライアルレンズを備えてなるトライアルレンズセットにおいて、
前記S度数トライアルレンズの一部又は全部を非球面設計によって構成するとともに、非球面設計によって構成した前記S度数トライアルレンズは実際に作製される眼鏡レンズよりも眼球の頂点からレンズ裏面までの距離を長く設定して設計したことを特徴とするトライアルレンズセット。 - 遠用部領域の屈折力をS+0.00ディオプターに設定した加入屈折力の異なる複数の累進トライアルレンズを備え、同累進トライアルレンズの一部又は全部は同じ加入屈折力で異なるベースカーブ設定がされた複数種類のレンズ群から構成されていることを特徴とする請求項1に記載のトライアルレンズセット。
- 非球面設計によって構成した前記S度数トライアルレンズには遠用部領域から近用部領域にかけて連続的に屈折力の変化する所定の累進帯域を設定したことを特徴とする請求項1に記載のトライアルレンズセット。
- 前記C度数トライアルレンズの一部又は全部を非球面設計によって構成したことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のトライアルレンズセット。
- 非球面設計によって構成した前記S度数トライアルレンズの裏面と非球面設計によって構成した前記C度数トライアルレンズの表面は密着あるいはごく近接していることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のトライアルレンズセット。
- 屈折力が一段階異なる2つの前記S度数トライアルレンズの間に配置され同S度数トライアルレンズと組み合わせて所定の屈折力を与えるようにした調整用トライアルレンズを備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のトライアルレンズセット。
- 前記S度数トライアルレンズは同じ屈折力で異なるベースカーブ設定がされた複数種類のレンズ群から構成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のトライアルレンズセット。
- 遠視度数又は近視度数を所定の屈折力差をもって順に設定した複数のS度数トライアルレンズと、乱視度数を所定の屈折力差をもって順に設定した複数のC度数トライアルレンズを備えてなるトライアルレンズセットにおいて、
前記S度数トライアルレンズの一部又は全部を非球面設計によって構成するとともに、
非球面設計によって構成した前記S度数トライアルレンズの裏面と非球面設計によって構成した前記C度数トライアルレンズの表面を密着あるいはごく近接して設計したことを特徴とするトライアルレンズセット。 - 屈折力が一段階異なる2つの前記S度数トライアルレンズの間に配置され同S度数トライアルレンズと組み合わせて所定の屈折力を与えるようにした調整用トライアルレンズを備えることを特徴とする請求項8に記載のトライアルレンズセット。
- 前記S度数トライアルレンズは同じ屈折力で異なるベースカーブ設定がされた複数種類のレンズ群から構成されていることを特徴とする請求項8又は9に記載のトライアルレンズセット。
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