JP4854924B2 - プレス成形性に優れた高強度冷延鋼板およびその製造方法 - Google Patents
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(1)プレス成形性の評価指標として通常の単軸引張試験におけるn値等ではなく、3方向(圧延方向、圧延の45°方向、圧延と垂直方向)のn値、およびその面内異方性に着目して、2軸引張領域における成形限界線図(FLD)に及ぼす影響を検討する必要があること。
(2)単軸引張試験における公称歪6%と12%の2点から算出された3方向の平均n値およびn値の面内異方性Δnが所定の関係式を満たすことにより、上記成形限界線図が改善され、張出し主体の成形が行われる場合でも良好なプレス成形性が得られること。
平均n値およびΔnをそれぞれ以下の(1)、(2)式で表した場合に、単軸引張試験における公称歪6%と12%の2点から算出された3方向の平均n値およびn値の面内異方性Δnがそれぞれ以下の(3)、(4)式で示される関係式を満足することを特徴とする、プレス成形性に優れた高強度冷延鋼板を提供する。
平均n値=(n0+n90+2×n45)/4 ‥‥(1)
Δn=(n0+n90−2×n45)/2 ‥‥(2)
平均n値>−4.396×10−4×TS+0.4085 ‥‥(3)
|Δn|≦0.004 ‥‥(4)
ただし、
TS:引張強度(MPa)、
n0:圧延方向のn値、
n45:圧延方向に対して45°方向のn値、
n90:圧延方向と垂直方向のn値
上記製造方法において、前記焼鈍後、電気亜鉛系めっきを施してもよいし、溶融亜鉛系めっきを施してもよい。また、前記溶融亜鉛系めっきを施した後に合金化処理を施してもよい。さらに、前記めっき後にさらに有機被膜処理を施してもよい。
本発明に係る冷延鋼板は、平均n値およびΔnをそれぞれ以下の(1)、(2)式で表した場合に、単軸引張試験における公称歪6%と12%の2点から算出された3方向の平均n値およびn値の面内異方性Δnがそれぞれ以下の(3)、(4)式で示される関係式を満足する。
平均n値=(n0+n90+2×n45)/4 ‥‥(1)
Δn=(n0+n90−2×n45)/2 ‥‥(2)
平均n値>−4.396×10−4×TS+0.4085 ‥‥(3)
|Δn|≦0.004 ‥‥(4)
ただし、
TS:引張強度(MPa)、
n0:圧延方向のn値、
n45:圧延方向に対して45°方向のn値、
n90:圧延方向と垂直方向のn値
C:0.05%未満
Cは、鋼の引張強度を確保するために必須な元素であるが、0.05%以上添加すると加工性の低下が著しく、本発明が主対象とする自動車用鋼板としての成形性を有しない。さらには溶接性の観点からも好ましくない。したがって、C量は0.05%未満とする。なお、Cは自動車外板等の成形性の観点からは出来るだけ低減することが望ましいが、一定体積率の低温変態相を形成させるためには、一定量含有することが必要である。そのため、他の元素の含有量にもよるが、C量を0.008%以上とすることが望ましい。
Siは、強度確保および低温変態相を安定して得るために有効な元素であるが、2.0%を超えると、表面性状が劣化し、めっき鋼板とした場合にめっき密着性が著しく劣化する。したがって、Si量を2.0%以下とする。
Mnは、一般に鋼中のSをMnSとして析出させてスラブの熱間割れを防止するのに有効である。本発明では、マルテンサイト相を形成させるために、焼入れ性を向上させるMnを一定量、好ましくは1.0%以上添加することが必須である。しかし、Mn量が3.0%を超えると、スラブコストの著しい上昇を招くことだけでなく、加工性の劣化を招く。したがって、Mn量は3.0%以下とする。
Pは、強度確保および低温変態相を安定して得るために有効な元素であるが、0.08%を超えて添加するとプレス成形後の耐二次加工脆性を劣化させ、亜鉛めっき鋼板とした場合に合金化処理性の低下を引き起こす。したがって、P量を0.08%以下とする。
Sは、熱間加工性を低下させ、スラブの熱間割れ感受性を高め、0.03%を超えると微細なMnSの析出により加工性を劣化させる。したがって、S量を0.03%以下とする。
Alは鋼の脱酸に寄与するとともに、鋼中の不用な固溶Nを窒化物として固定する役割がある。この効果は、0.01%未満では十分ではなく、0.1%を超えても添加量に見合う効果が得られない。したがって、Al量を0.01〜0.1%の範囲内とする。
Nは、時効性の観点から固溶状態で残存させることはできず、その含有量は少ない方がよい。N量が0.01%を超えると、過剰な窒化物の存在により延性、靱性が劣化する。したがって、N量を0.01%以下とする。
Mo,Vは、オーステナイト相の焼入性を向上させるため、低温変態相を安定して得るのに大変有効である。また、溶接の際の熱影響部(HAZ)の軟化抑制にも効果がある。そのため、これらは必要に応じて添加する。しかし、添加量がそれぞれ1%を超えると、HAZの硬度上昇が大きくなりすぎる。したがって、Mo,Vを添加する場合は、それぞれ1%以下とする。
Bは、焼き入れ性向上に有効な元素であり、低温変態相を安定して生成するために必要に応じて添加する。ただし、0.01%を超えて添加しても、効果が飽和するので、添加する場合は、0.01%以下とする。さらに、コスト面とのバランスを考慮すると、0.005%以下とすることが望ましい。
Ti,Nbは、窒化物を形成し、Nを固定化する働きがある。Alに代わり、Ti、NbによりNを固定化することにより、成形性の向上が期待できるので、必要に応じて添加する。但し、0.1%を超えて添加しても、コストに見合う効果が得られないので、0.1%以下とする。但し、N固定化に必要な量より過剰にTi、Nb添加することは好ましくない。これは過剰Ti、Nbが炭化物を形成し、低温変態相を安定して生成するのが困難になるためである。
フェライト単相組織(またはフェライト+パーライト組織)の場合、面内異方性を低減するには極めて高い冷圧率を付与して集合組織を制御する必要があったが、フェライトと体積率10%未満の第二相からなる複合組織を形成し、第二相を利用することにより、従来技術のフェライト(+パーライト)組織の鋼では困難であった面内異方性の低減が可能となる。これは、フェライト単相組織の場合には、集合組織に依存した塑性変形が起こるのに対し、本発明鋼では、硬質の第二相が塑性変形に影響を及ぼすためと推定される。そして、これにより、2軸引張領域の成形限界線図が改善される。ここで、第二相とは、マルテンサイト相を主体とする低温変態相であるが、ベイナイト相、残留γ相、不可避的な炭化物が含まれても良い。ただし、パーライトは含まない。また、本発明において、第二相体積率を10%未満と規定したのは、本発明は優れたプレス成形性が要求される自動車外板パネル等を適用対象としており、成形性の低下を防ぐためである。また、第二相分率が1%未満の場合は、所望の効果が得られない。よって第二相分率を1%以上10%未満とする。さらに成形性の厳しい部位を対象とする場合、第二相体積率を8%未満とすることが望ましい。
上述の2軸引張領域の成形限界線図に優れた高強度冷延鋼板を得ることが可能な製造方法は、上述の化学成分組成を有する鋼に、熱間圧延、冷間圧延を施した後、(α+γ)二相域にて焼鈍し、最終的に、フェライト相と体積率10%未満のマルテンサイト相を主体とする第二相からなるミクロ組織を得る。
Claims (10)
- mass%で、C:0.008%以上0.05%未満(ただし、C:0.010%以下の範囲は除く)、Si:2.0%以下、Mn:3.0%以下、P:0.08%以下、S:0.03%以下、Al:0.01〜0.1%、N:0.01%以下であり、さらに、Mo:1%以下、V:1%以下、B:0.01%以下、Ti:0.1%以下、Nb:0.1%以下のうち1種以上を含有し、残部が鉄および不可避的不純物からなり、ミクロ組織がフェライトと体積率1%以上10%未満のマルテンサイト相を主体とする第二相からなる複合組織であり、
平均n値およびΔnをそれぞれ以下の(1)、(2)式で表した場合に、単軸引張試験における公称歪6%と12%の2点から算出された3方向の平均n値およびn値の面内異方性Δnがそれぞれ以下の(3)、(4)式で示される関係式を満足することを特徴とする、プレス成形性に優れた高強度冷延鋼板。
平均n値=(n0+n90+2×n45)/4 ‥‥(1)
Δn=(n0+n90−2×n45)/2 ‥‥(2)
平均n値>−4.396×10−4×TS+0.4085 ‥‥(3)
|Δn|≦0.004 ‥‥(4)
ただし、
TS:引張強度(MPa)、
n0:圧延方向のn値、
n45:圧延方向に対して45°方向のn値、
n90:圧延方向と垂直方向のn値 - 前記冷延鋼板は電気亜鉛系めっきを施した電気亜鉛系めっき鋼板であることを特徴とする請求項1に記載のプレス成形性に優れた高強度冷延鋼板。
- 前記冷延鋼板は溶融亜鉛系めっきを施した溶融亜鉛系めっき鋼板であることを特徴とする請求項1に記載のプレス成形性に優れた高強度冷延鋼板。
- 前記溶融亜鉛系めっきは、合金化処理が施されていることを特徴とする請求項3に記載のプレス成形性に優れた高強度冷延鋼板。
- 前記冷延鋼板はめっき後に有機被覆処理が施されていることを特徴とする請求項2から請求項4のいずれか1項に記載のプレス成形性に優れた高強度冷延鋼板。
- 請求項1に記載の成分組成を有する鋼に、熱間圧延、冷間圧延を施した後、(α+γ)二相域にて焼鈍し、最終的に、フェライト相と体積率10%未満のマルテンサイト相を主体とする第二相からなるミクロ組織を形成し、請求項1に記載の鋼板を得ることを特徴とするプレス成形性に優れた高強度冷延鋼板の製造方法。
- 前記焼鈍後、電気亜鉛系めっきを施すことを特徴とする請求項6に記載のプレス成形性に優れた高強度冷延鋼板の製造方法。
- 前記焼鈍後、溶融亜鉛系めっきを施すことを特徴とする請求項6に記載のプレス成形性に優れた高強度冷延鋼板の製造方法。
- 前記溶融亜鉛系めっきを施した後に合金化処理を施すことを特徴とする請求項8に記載のプレス成形性に優れた高強度冷延鋼板の製造方法。
- 前記めっき後にさらに有機被膜処理を施すことを特徴とする請求項7から請求項9のいずれか1項に記載のプレス成形性に優れた高強度冷延鋼板の製造方法。
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