JP4854924B2 - プレス成形性に優れた高強度冷延鋼板およびその製造方法 - Google Patents

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本発明は主に自動車外板パネル等に適用可能なプレス成形性に優れた、引張強度が340〜590MPaの高強度冷延鋼板およびその製造方法に関する。
現在、自動車業界に対して、安全対策の強化とともに、地球環境保全、温暖化対策として燃費向上の観点から、ハイテン材適用による車体の軽量化が急速に進行している。自動車の外板パネルについても、従来の軟質低炭素鋼、IF鋼から、ハイテン材への要望が高まっている。一般に、高強度化とともに、鋼板の加工性は低下するため、非常に難しいプレス成形を施される自動車外板パネルは、高強度化、およびそれに伴う薄肉化が難しいとされている。
従来より、冷延鋼板の加工性を確保しつつ高強度化を図るために、様々な試みがなされてきた。特にIF鋼をベースに、固溶強化元素であるSi、Pを多量に添加することで、340〜490MPaの引張強度を確保するアプローチがなされてきた。例えば、特許文献1には、Ti添加極低炭素鋼にPを添加した、引張強度490MPa級の高強度鋼板の製造例が開示され、また特許文献2においては、Ti、Nb添加極低炭素鋼に、主にSi、Pを添加することで、引張強度440MPa級までの高強冷延鋼板の製造方法が開示されている。さらに、特許文献3公報には、Ti添加極低炭素鋼板にMn、Crを積極的に添加するとともにSiやP量を制御することにより、引張強度が343〜490MPaで良好なr値と伸びの得られることが開示されている。
しかしながら、上記の特許文献1〜3に記載されていた、主に固溶強化により高強度化された鋼板をサイドパネル等に適用すると、平面歪張出し成形の行われるパンチ肩部で材料が拘束される場合があり、破断が生じる場合がある。こうした張出し成形部における破断に関しては、材料の高強度化とともに、従来の軟質材と同様な単軸引張試験における全伸びやn値では評価できなくなっており、適切な対策が採れていないのが実情である。その上、Si、P等による固溶強化は、引張強度のみならず、降伏強度も同時に上昇させるため、プレス成形時に面形状不良を引き起こす。さらに、Pは耐二次加工脆性を、Siはメッキ密着性を劣化させる等、様々な問題を生じる。
以上のように、高強度冷延鋼板の従来技術では、プレス成形性が十分でないことに加え、表面性状や耐二次加工脆性等についても、十分な特性を有しない。
特公昭57−57945号公報 特開昭59−21827号公報 特開平5−78784号公報
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであって、特に自動車外板パネルに好適な、非常に優れたプレス成形性を有する340〜590MPaの高強度冷延鋼板およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく検討を重ねた結果、以下の知見を得た。
(1)プレス成形性の評価指標として通常の単軸引張試験におけるn値等ではなく、3方向(圧延方向、圧延の45°方向、圧延と垂直方向)のn値、およびその面内異方性に着目して、2軸引張領域における成形限界線図(FLD)に及ぼす影響を検討する必要があること。
(2)単軸引張試験における公称歪6%と12%の2点から算出された3方向の平均n値およびn値の面内異方性Δnが所定の関係式を満たすことにより、上記成形限界線図が改善され、張出し主体の成形が行われる場合でも良好なプレス成形性が得られること。
本発明は、本発明者らのこのような知見に基づいて完成されたものであり、mass%で、C:0.008%以上0.05%未満(ただし、C:0.010%以下の範囲は除く)、Si:2.0%以下、Mn:3.0%以下、P:0.08%以下、S:0.03%以下、Al:0.01〜0.1%、N:0.01%以下であり、さらに、Mo:1%以下、V:1%以下、B:0.01%以下、Ti:0.1%以下、Nb:0.1%以下のうち1種以上を含有し、残部が鉄および不可避的不純物からなり、ミクロ組織がフェライトと体積率1%以上10%未満のマルテンサイト相を主体とする第二相からなる複合組織であり、
平均n値およびΔnをそれぞれ以下の(1)、(2)式で表した場合に、単軸引張試験における公称歪6%と12%の2点から算出された3方向の平均n値およびn値の面内異方性Δnがそれぞれ以下の(3)、(4)式で示される関係式を満足することを特徴とする、プレス成形性に優れた高強度冷延鋼板を提供する。
平均n値=(n0+n90+2×n45)/4 ‥‥(1)
Δn=(n0+n90−2×n45)/2 ‥‥(2)
平均n値>−4.396×10−4×TS+0.4085 ‥‥(3)
Δn|≦0.004 ‥‥(4)
ただし、
TS:引張強度(MPa)、
n0:圧延方向のn値、
n45:圧延方向に対して45°方向のn値、
n90:圧延方向と垂直方向のn値
た、前記冷延鋼板は電気亜鉛系めっきを施した電気亜鉛系めっき鋼板であってもよいし、溶融亜鉛系めっきを施した溶融亜鉛系めっき鋼板であってもよい。溶融亜鉛系めっきは、合金化処理が施されていてもよい。さらに、前記冷延鋼板はめっき後に有機被覆処理が施されているものであってもよい。
また、本発明は、これらの成分組成を有する鋼に、熱間圧延、冷間圧延を施した後、(α+γ)二相域にて焼鈍し、最終的に、フェライト相と体積率10%未満のマルテンサイト相を主体とする第二相からなるミクロ組織を形成し、上記(3)、(4)式を満たす冷延鋼板を得ることを特徴とするプレス成形性に優れた高強度冷延鋼板の製造方法を提供する。
上記製造方法において、前記焼鈍後、電気亜鉛系めっきを施してもよいし、溶融亜鉛系めっきを施してもよい。また、前記溶融亜鉛系めっきを施した後に合金化処理を施してもよい。さらに、前記めっき後にさらに有機被膜処理を施してもよい。
本発明によれば、平均n値およびn値の面内異方性を制御することにより、2軸引張領域の成形限界線図を良好にすることができ、プレス成形性に優れた高強度冷延鋼板(亜鉛系めっき鋼板を含む)を製造することが可能である。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明に係る冷延鋼板は、平均n値およびΔnをそれぞれ以下の(1)、(2)式で表した場合に、単軸引張試験における公称歪6%と12%の2点から算出された3方向の平均n値およびn値の面内異方性Δnがそれぞれ以下の(3)、(4)式で示される関係式を満足する。
平均n値=(n0+n90+2×n45)/4 ‥‥(1)
Δn=(n0+n90−2×n45)/2 ‥‥(2)
平均n値>−4.396×10−4×TS+0.4085 ‥‥(3)
|Δn|≦0.004 ‥‥(4)
ただし、
TS:引張強度(MPa)、
n0:圧延方向のn値、
n45:圧延方向に対して45°方向のn値、
n90:圧延方向と垂直方向のn値
本発明においては、プレス成形性の評価指標として通常の単軸引張試験におけるn値等ではなく、2軸引張領域における成形限界線図(FLD)を用いた。これは、昨今、FEM等による実パネル部品のプレス成形性評価に、成形限界線図が使用され、プレス割れ危険部位を精度良くシュミレーションできており、プレス割れ危険部位は、ほとんどの場合、2軸引張領域に発生するためである。そして、本発明者らは、従来用いられてきた1方向の単軸引張試験のn値ではなく、3方向(圧延方向、圧延の45°方向、圧延と垂直方向)のn値、およびその面内異方性に着目して、成形限界線図に及ぼす影響を鋭意検討した。
結果の一例を図1に示す。供試材は、引張強度440MPa級の本発明鋼(A)、上述した固溶強化したIF鋼(C)、細粒化と析出強化を利用したIF鋼(B)の3種である。成形限界線図は、対象鋼板に1/4インチのスクライブドサークルを転写した、等二軸、不等二軸、平面歪用の試験片を準備し、液圧バルジ試験により実施した。
上記(3)、(4)式を同時に満足する開発鋼は、平面歪近傍(ε2=0)から等二軸領域にわたり、圧倒的に高い成形限界を示す。他の強度グレードについても、同様の検討を重ね、平均n値とn値の面内異方性が、上記(3)、(4)式を満足すれば、成形限界線図が改善されることが初めて見出された。つまり、平均n値を高めることとΔnを低減することの組み合わせが、成形限界線図を改善するのである。このようなことが成形限界線図を改善するメカニズムは現在解明中であり、現時点では必ずしも明らかではないが、歪分散能の面内均一化が寄与しているものと推定される。
このように2軸引張領域の成形限界線図が改善された優れたプレス成形性を有するためには、化学組成が、mass%で、C:0.05%未満、Si:2.0%以下、Mn:3.0%以下、P:0.08%以下、S:0.03%以下、Al:0.01〜0.1%、N:0.01%以下で、残部が実質的に鉄からなり、ミクロ組織がフェライトと体積率1%以上10%未満の第二相からなる複合組織であることが好ましい。
また、さらに、mass%で、Mo:1%以下、V:1%以下、B:0.01%以下、Ti:0.1%以下、Nb:0.1%以下のうち1種以上を含有することもできる。
まず、これら化学成分組成について説明する。
C:0.05%未満
Cは、鋼の引張強度を確保するために必須な元素であるが、0.05%以上添加すると加工性の低下が著しく、本発明が主対象とする自動車用鋼板としての成形性を有しない。さらには溶接性の観点からも好ましくない。したがって、C量は0.05%未満とする。なお、Cは自動車外板等の成形性の観点からは出来るだけ低減することが望ましいが、一定体積率の低温変態相を形成させるためには、一定量含有することが必要である。そのため、他の元素の含有量にもよるが、C量を0.008%以上とすることが望ましい。
Si:2.0%以下
Siは、強度確保および低温変態相を安定して得るために有効な元素であるが、2.0%を超えると、表面性状が劣化し、めっき鋼板とした場合にめっき密着性が著しく劣化する。したがって、Si量を2.0%以下とする。
Mn:3.0%以下
Mnは、一般に鋼中のSをMnSとして析出させてスラブの熱間割れを防止するのに有効である。本発明では、マルテンサイト相を形成させるために、焼入れ性を向上させるMnを一定量、好ましくは1.0%以上添加することが必須である。しかし、Mn量が3.0%を超えると、スラブコストの著しい上昇を招くことだけでなく、加工性の劣化を招く。したがって、Mn量は3.0%以下とする。
P:0.08%以下
Pは、強度確保および低温変態相を安定して得るために有効な元素であるが、0.08%を超えて添加するとプレス成形後の耐二次加工脆性を劣化させ、亜鉛めっき鋼板とした場合に合金化処理性の低下を引き起こす。したがって、P量を0.08%以下とする。
S:0.03%以下
Sは、熱間加工性を低下させ、スラブの熱間割れ感受性を高め、0.03%を超えると微細なMnSの析出により加工性を劣化させる。したがって、S量を0.03%以下とする。
Al:0.01〜0.1%
Alは鋼の脱酸に寄与するとともに、鋼中の不用な固溶Nを窒化物として固定する役割がある。この効果は、0.01%未満では十分ではなく、0.1%を超えても添加量に見合う効果が得られない。したがって、Al量を0.01〜0.1%の範囲内とする。
N:0.01%以下
Nは、時効性の観点から固溶状態で残存させることはできず、その含有量は少ない方がよい。N量が0.01%を超えると、過剰な窒化物の存在により延性、靱性が劣化する。したがって、N量を0.01%以下とする。
Mo,V:それぞれ1%以下
Mo,Vは、オーステナイト相の焼入性を向上させるため、低温変態相を安定して得るのに大変有効である。また、溶接の際の熱影響部(HAZ)の軟化抑制にも効果がある。そのため、これらは必要に応じて添加する。しかし、添加量がそれぞれ1%を超えると、HAZの硬度上昇が大きくなりすぎる。したがって、Mo,Vを添加する場合は、それぞれ1%以下とする。
B:0.01%以下
Bは、焼き入れ性向上に有効な元素であり、低温変態相を安定して生成するために必要に応じて添加する。ただし、0.01%を超えて添加しても、効果が飽和するので、添加する場合は、0.01%以下とする。さらに、コスト面とのバランスを考慮すると、0.005%以下とすることが望ましい。
Ti,Nb:0.1%以下
Ti,Nbは、窒化物を形成し、Nを固定化する働きがある。Alに代わり、Ti、NbによりNを固定化することにより、成形性の向上が期待できるので、必要に応じて添加する。但し、0.1%を超えて添加しても、コストに見合う効果が得られないので、0.1%以下とする。但し、N固定化に必要な量より過剰にTi、Nb添加することは好ましくない。これは過剰Ti、Nbが炭化物を形成し、低温変態相を安定して生成するのが困難になるためである。
本発明は上記成分の他、残部は実質的に鉄であればよく、不可避的不純物や、発明の作用・効果を損なわない範囲内の他の微量元素は許容される。
次に、ミクロ組織について説明する。
フェライト単相組織(またはフェライト+パーライト組織)の場合、面内異方性を低減するには極めて高い冷圧率を付与して集合組織を制御する必要があったが、フェライトと体積率10%未満の第二相からなる複合組織を形成し、第二相を利用することにより、従来技術のフェライト(+パーライト)組織の鋼では困難であった面内異方性の低減が可能となる。これは、フェライト単相組織の場合には、集合組織に依存した塑性変形が起こるのに対し、本発明鋼では、硬質の第二相が塑性変形に影響を及ぼすためと推定される。そして、これにより、2軸引張領域の成形限界線図が改善される。ここで、第二相とは、マルテンサイト相を主体とする低温変態相であるが、ベイナイト相、残留γ相、不可避的な炭化物が含まれても良い。ただし、パーライトは含まない。また、本発明において、第二相体積率を10%未満と規定したのは、本発明は優れたプレス成形性が要求される自動車外板パネル等を適用対象としており、成形性の低下を防ぐためである。また、第二相分率が1%未満の場合は、所望の効果が得られない。よって第二相分率を1%以上10%未満とする。さらに成形性の厳しい部位を対象とする場合、第二相体積率を8%未満とすることが望ましい。
次に、本発明の製造方法について説明する。
上述の2軸引張領域の成形限界線図に優れた高強度冷延鋼板を得ることが可能な製造方法は、上述の化学成分組成を有する鋼に、熱間圧延、冷間圧延を施した後、(α+γ)二相域にて焼鈍し、最終的に、フェライト相と体積率10%未満のマルテンサイト相を主体とする第二相からなるミクロ組織を得る。
ここで焼鈍を(α+γ)二相域の温度で行うのは、本発明が目的とする、2軸引張領域の成形限界線図を改善するために、非常に重要である。このように(α+γ)二相域で焼鈍を行って、最終ミクロ組織制御を施すことにより、上述したようなフェライト+体積率10%未満のマルテンサイト相を主体とする第二相からなる複合組織が形成され、2軸引張領域の成形限界線図を向上させることが可能となる。マルテンサイト相を主体とする第二相をより安定的に得るには、Ac〜Ac+50℃の温度域で均熱することが望ましい。
本発明の冷延鋼板は、電気亜鉛系めっき鋼板あるいは溶融亜鉛系めっき鋼板としても、目的の効果が得られることは言うまでもない。溶融亜鉛系めっき鋼板の場合、合金化処理を施してもよい。また、これらの本発明の亜鉛系めっき鋼板においては、めっき後にさらに有機被膜処理を施してもよい。
本発明においては、スラブを熱間圧延するにあたって、加熱炉で再加熱後に圧延するか、または加熱することなく直接圧延することができる。また、焼鈍後の冷却速度については、最終的なミクロ組織をフェライト+第二相、典型的にはフェライト相+マルテンサイト相とするために、成分系に適応した冷却速度が必要なのはいうまでもない。要は、最終的なミクロ組織をフェライト相+マルテンサイト相等の所望の複合組織とすればよい。
なお、本発明者らの検討の結果、本発明の冷延鋼板の製造過程において、熱延鋼板の組織を低温変態相主体の組織とすることが最終製品の面内異方性の低減のためにさらに望ましいという知見が得られた。ここで低温変態相とは、アシキュラーフェライト、ベイニティックフェライト、ベイナイト、マルテンサイトおよびそれらの混合組織である。この熱延鋼板の組織制御による面内異方性の低減については、現在メカニズムを解明中であるが、通常冷却で製造されたフェライト+パーライト組織の熱延鋼板と比較して、集合組織が大きく変化していることが確認された。したがって、この熱延鋼板の集合組織変化が、最終的な冷延鋼板の再結晶集合組織の形成において、面内異方性の低減に有利に作用しているものと考えられる。
表1に示す鋼番No.1〜No.12の鋼を溶製後、連続鋳造によりスラブとした。表1に示すNo.6、8は、本発明で規定した成分範囲内にある発明鋼であり、No.1〜5、7、9、10は参考鋼であり、No.11、12は、規定した成分範囲外の比較鋼である。すなわち、鋼番No.11、12は、いずれもC量が上限値を上回るため、規定の成分範囲を外れる例である。
これらのスラブを1200℃に加熱後、通常操業の仕上温度(Ar点以上)、巻取温度の範囲内で熱間圧延を行い、熱延鋼板を製造した。この熱延鋼板を酸洗後、60〜90%の範囲の冷圧率で冷間圧延を行った。その後、連続焼鈍ライン、連続溶融亜鉛めっきライン、もしくはバッチ焼鈍ラインに通板した。一部は、連続焼鈍後に、電気亜鉛めっきラインに通板した。最後に、圧下率0.5〜1.5%の調質圧延を施した。
これらの鋼板の3方向のn値を測定した。試験結果を製造条件、最終ミクロ組織、第二相体積率、引張強度とともに表2に示す。
表2に示す通り、規定成分範囲内にあり、かつミクロ組織、第二相体積率、平均n値、Δnの全てが規定条件を満足するNo.8、12は、2軸引張領域で優れた成形限界線図を示す本発明例である。一方このうち1つでも、規定範囲を外れると、本発明の対象外となる。例えば、No.4、9、13、14、15は焼鈍条件が規定範囲を外れており、平均n値、Δnの両方、もしくは一方が規定した条件を満足しないため、本発明範囲外となる。またNo.5は焼鈍温度が規定範囲を外れているため、必要な平均n値、Δnの条件を満足していない。No.16は、いかなる熱延条件、冷延条件で製造しても、必要なΔnの条件を満足しない例である。No,17、18は、第二相体積率が、規定範囲外のため、平均n値もしくはΔnが必要条件を満たさない例である。なお、No.1〜3、6、7、10、11は参考例である。
Figure 0004854924
Figure 0004854924
以上説明したように、本発明によれば、平均n値およびn値の面内異方性を制御することにより、2軸引張領域の成形限界線図を良好にすることができ、プレス成形性に優れた高強度冷延鋼板(亜鉛系めっき鋼板を含む)を製造することが可能である。このため、本発明の鋼板は、自動車用鋼板をはじめ、家庭用電化製品等に広く活用することができる。
本発明鋼および従来鋼の2軸引張領域の成形限界線図を比較して示す図。

Claims (10)

  1. mass%で、C:0.008%以上0.05%未満(ただし、C:0.010%以下の範囲は除く)、Si:2.0%以下、Mn:3.0%以下、P:0.08%以下、S:0.03%以下、Al:0.01〜0.1%、N:0.01%以下であり、さらに、Mo:1%以下、V:1%以下、B:0.01%以下、Ti:0.1%以下、Nb:0.1%以下のうち1種以上を含有し、残部が鉄および不可避的不純物からなり、ミクロ組織がフェライトと体積率1%以上10%未満のマルテンサイト相を主体とする第二相からなる複合組織であり、
    平均n値およびΔnをそれぞれ以下の(1)、(2)式で表した場合に、単軸引張試験における公称歪6%と12%の2点から算出された3方向の平均n値およびn値の面内異方性Δnがそれぞれ以下の(3)、(4)式で示される関係式を満足することを特徴とする、プレス成形性に優れた高強度冷延鋼板。
    平均n値=(n0+n90+2×n45)/4 ‥‥(1)
    Δn=(n0+n90−2×n45)/2 ‥‥(2)
    平均n値>−4.396×10−4×TS+0.4085 ‥‥(3)
    |Δn|≦0.004 ‥‥(4)
    ただし、
    TS:引張強度(MPa)、
    n0:圧延方向のn値、
    n45:圧延方向に対して45°方向のn値、
    n90:圧延方向と垂直方向のn値
  2. 前記冷延鋼板は電気亜鉛系めっきを施した電気亜鉛系めっき鋼板であることを特徴とする請求項に記載のプレス成形性に優れた高強度冷延鋼板。
  3. 前記冷延鋼板は溶融亜鉛系めっきを施した溶融亜鉛系めっき鋼板であることを特徴とする請求項に記載のプレス成形性に優れた高強度冷延鋼板。
  4. 前記溶融亜鉛系めっきは、合金化処理が施されていることを特徴とする請求項に記載のプレス成形性に優れた高強度冷延鋼板。
  5. 前記冷延鋼板はめっき後に有機被覆処理が施されていることを特徴とする請求項から請求項のいずれか1項に記載のプレス成形性に優れた高強度冷延鋼板。
  6. 請求項に記載の成分組成を有する鋼に、熱間圧延、冷間圧延を施した後、(α+γ)二相域にて焼鈍し、最終的に、フェライト相と体積率10%未満のマルテンサイト相を主体とする第二相からなるミクロ組織を形成し、請求項に記載の鋼板を得ることを特徴とするプレス成形性に優れた高強度冷延鋼板の製造方法。
  7. 前記焼鈍後、電気亜鉛系めっきを施すことを特徴とする請求項に記載のプレス成形性に優れた高強度冷延鋼板の製造方法。
  8. 前記焼鈍後、溶融亜鉛系めっきを施すことを特徴とする請求項に記載のプレス成形性に優れた高強度冷延鋼板の製造方法。
  9. 前記溶融亜鉛系めっきを施した後に合金化処理を施すことを特徴とする請求項に記載のプレス成形性に優れた高強度冷延鋼板の製造方法。
  10. 前記めっき後にさらに有機被膜処理を施すことを特徴とする請求項から請求項のいずれか1項に記載のプレス成形性に優れた高強度冷延鋼板の製造方法。
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