JP4854653B2 - カソード防食状況の計測評価方法及び計測評価システム - Google Patents

カソード防食状況の計測評価方法及び計測評価システム Download PDF

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Description

本発明は、流電陽極方式によってカソード防食されている金属構造物のカソード防食状況を計測評価する方法、及び同状況を計測評価するシステムに関するものである。
土壌等の電解質中に存在する金属構造物の腐食を防止するためには、先ずは金属構造物表面と電解質を隔絶することが必要であるが、金属構造物表面と電解質が接触している場合には、金属構造物表面に電流(防食電流)を流入させてアノード反応を起こさせないようにする(金属構造物表面にカソード反応を起こさせる)カソード防食法が最も有効な方法であることが知られている。
現在、土壌埋設パイプライン等の金属構造物に対して行われているカソード防食法には、大きく分けて流電陽極方式と外部電源方式とその両者が混在したハイブリッド方式がある。外部電源方式は、電解質中に設置した電極(アノード)と金属構造物(カソード)との間に直流電源装置を接続して直流電圧を与え、電極から電解質を介して金属構造物に直流電流を流入させて腐食を防止する方法である。この外部電源方式では、通常、防食対象区間を絶縁区画して、その区画内に対応した出力を有する直流電源装置を設置し、直流電源装置の出力を調整することで所望のカソード防食状況を得るようにしている。
一方、流電陽極方式は、金属構造物よりも腐食電位がマイナスよりの金属を、アノード(流電陽極)として、これを金属構造物と電線で結び、流電陽極と金属構造物間の異種金属電池作用によって流電陽極から発生する防食電流を金属構造物へ流入させ、金属構造物表面の腐食を防止する方法である。一般に、鋼製の土壌埋設パイプラインに対しては流電陽極としてMg陽極が用いられることが多い。
このような流電陽極方式によってカソード防食されている金属構造物のカソード防食状況を把握するには、流電陽極と金属構造物とを接続する電線に流れる電流を定期的に計測して、流電陽極から発生する防食電流をモニタリングすることが行われている。
図1は下記特許文献1に示された従来技術を説明する説明図である。この従来技術では、土壌埋設パイプラインJ10と流電陽極(Mg陽極)J11とを電線J16,J17で接続する間に寿命予測器J12及びアナログ計測器J18を設けた計測システムをターミナルボックスJ19内に構築しており、寿命予測器J12では、電流モニタリング回路J13で流電陽極J11から流出している電流値を定期的にモニタリングし、この計測値を電気量演算回路J14に入力し、同時に、アナログ計測回路J18では流電陽極J11から発生した交流電流を計測し、この値を平滑化して電気容量演算回路J14に入力している。電気容量演算回路J14では、予め入力されている流電陽極J11の電気容量と、モニタリングされた交流電流を含む電流値とから、これまでの流電陽極J11の電気容量の消耗度、更には流電陽極J11があとどれくらい保つかという寿命予測値を演算して、これらを表示回路J15に出力している。
特許第3214778号公報
流電陽極方式によってカソード防食されている埋設金属構造物が、高圧交流送電線や交流電気鉄道車両の走行によって交流誘導を受けると、流電陽極が低接地体のため流電陽極から交流電流が大地に流れることになり、これによって埋設金属構造物の交流電圧が低下し、埋設金属構造物の交流腐食が緩和ないし無視できることになる。この場合、流電陽極は、埋設金属構造物をカソード防食するために所要防食電流を発生する機能と、埋設金属構造物に影響する交流誘導を低減させて埋設金属構造物の交流腐食を防止するアース電極としての機能の両方を担うことになる。
このような場合には、埋設金属構造物に最も大きな影響を与えるのは商用周波数の正弦波であり、この周期的な変化によって、流電陽極の電位はプラスよりにもマイナスよりにも変化することになる。そうすると、大きな交流誘導の影響を埋設金属構造物が受けている場合には、それに接続されている流電陽極の電位が周期的に大きくプラスよりにシフトすることになり、流電陽極の対地電位と埋設金属構造物の対地電位との差が小さくなって、流電陽極が防食電流を発生する機能を発揮できなくなる。
このような場合において、流電陽極方式によってカソード防食されている埋設金属構造物のカソード防食状況を適正に把握するには、従来技術のように、計測した交流電流の平滑値を加えて流電陽極の寿命予測を求めるだけでは不十分であり、交流誘導の影響を受けている場合にも、流電陽極が所要防食電流を流出する能力をもっているかの確認が必要になる。
また、流電陽極が交流腐食すると、その際のカソード反応によって流電陽極の表面に電気抵抗の高いエレクトロコーティングが生成されることがある。これによると、流電陽極の接地抵抗が高くなり、流電陽極から発生する防食電流が減少することになると同時に、アース電極としての交流誘導低減効果が低下することにもなる。
本発明は、このような事情に対処することを課題とするものであって、流電陽極方式によってカソード防食されている構造物のカソード防食状況を把握する上で、交流誘導の影響下で流電陽極が所要防食電流を満足する機能を有しているか否か、及び流電陽極が十分な交流誘導低減効果を有するか否かを確認することができること、更には、流電陽極が、所要防食電流を満足し、防食対象のパイプラインに交流腐食の懸念が無く、流電陽極を設計寿命まで使用することができるという大前提のものに、防食対象のパイプラインがカソード防食基準を満足していることを確認することができること、等が本発明の目的である。
本発明は、このような目的を達成するために、以下の特徴を少なくとも備えるものである。
流電陽極方式によってカソード防食されている金属構造物のカソード防食状況を計測評価する方法であって、商用周波数の周期に当たる単位計測時間を設定して、流電陽極と金属構造物間に接続された電線に流れる電流を計測する工程と、前記電流の計測値から、前記単位計測時間毎に前記流電陽極から発生する電流の直流電流密度を求める工程と、前記電流の計測値と前記直流電流密度とから、前記単位計測時間毎に前記流電陽極から発生する電流の交流電流密度を求める工程と、前記計測値の時間的な変化が前記単位計測時間を周期とする正弦波であることを確認する工程と、前記工程で前記単位計測時間を周期とする正弦波であることが確認された場合に、前記交流電流密度の計測期間内最大値が、交流誘導によって前記流電陽極に機能低下が生じることを基準に設定された基準値を超えているか否かを判定する工程とを有し、前記工程で前記基準値を超えている場合に、前記金属構造物のカソード防食状況が不良であると評価することを特徴とする。
また、流電陽極方式によってカソード防食されている金属構造物のカソード防食状況を計測評価するシステムであって、流電陽極と金属構造物間に接続された電線に流れる電流を計測する電流計測手段と、該電流計測手段で計測された計測値を演算処理する演算処理手段とを備え、前記演算処理手段が、設定されたサンプリング間隔で商用周波数の周期に当たる単位計測時間毎に前記計測値を抽出する計測値抽出手段と、抽出された前記計測値から、前記単位計測時間毎に前記流電陽極から発生する電流の直流電流密度を求める直流電流密度算出手段と、抽出された前記計測値と前記直流電流密度とから、前記単位計測時間毎に前記流電陽極から発生する電流の交流電流密度を求める交流電流密度算出手段と、前記計測値の時間的な変化が前記単位計測時間を周期とする正弦波であることを確認する商用周波数同定手段と、前記商用周波数同定手段で、前記単位計測時間を周期とする正弦波であることが確認された場合に、前記交流電流密度の計測期間内最大値が、交流誘導によって前記流電陽極に機能低下が生じることを基準に設定された基準値を超えているか否かを判定するカソード防食状況評価手段とを備えることを特徴とする。
このような特徴によると、流電陽極方式によってカソード防食されている金属構造物が交流誘導の影響を受けている場合のカソード防食状況を、交流誘導によって生じる流電陽極の機能低下を基準にして計測評価することが可能になる。これによると、周辺状況の変化に対応した流電陽極の管理を定量的に行うことが可能になる。
金属構造物として埋設パイプラインを防食対象とする場合には、流電陽極が、所要防食電流を満足し、防食対象のパイプラインに交流腐食の懸念が無く、流電陽極を設計寿命まで使用することができるという大前提のものに、防食対象のパイプラインがカソード防食基準を満足していることを確認することができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。以下の説明では、金属構造物として地中に埋設されたパイプラインを例に挙げて説明するが、本発明の実施形態としては、特にこれに限定されるものではなく、水中に設置されたパイプライン等の金属構造物等、周囲を電解質で覆われて迷走電流腐食リスクのある金属構造物が対象になる。
図2に示すように、パイプライン1を流電陽極方式によってカソード防食するには、パイプライン1に近接した周辺に流電陽極(例えば、Mg陽極)2を埋設する。流電陽極2に一端が接続された電線L1の他端は、例えばパイプライン1に沿って所定の間隔(例えば、250m間隔)で設けられるターミナルボックスTB内で地上に引き上げられ、また、パイプライン1に一端が接続された電線L2の他端が同じく地上に引き上げられており、この電線L1,L2を介してパイプライン1と流電陽極2とが電気的に接続されている。
また、ターミナルボックスTB内には、パイプライン1のカソード防食状況を把握するための設備として、照合電極3(例えば、飽和硫酸銅電極)やプローブ4が配備されている。プローブ4は必要に応じて配備される。照合電極3は一般に点検時にターミナルボックスTB内に配備される。照合電極3は、ターミナルボックスTB内の地表面に設置されて一定の電位となる基準電極であって、パイプライン1に一端が接続されて他端がターミナルボックスTB内の地上に引き上げられた電線L3と電線L4,L5を介してパイプライン1と電気的に接続されており、電線L4,L5間に接続された直流電圧計5によって管対地電位(照合電極3とパイプライン1との電位差)を計測するものである。また、プローブ4は、パイプライン1と同一金属材料の所定面積を有する試験片であって、先端がパイプライン1の塗覆装欠陥部を模擬するようにパイプライン1に近接して設けられ、電線L6,l4,L3を介してパイプライン1と電気的に接続されており、電線L3,L4間に接続された直流電流計6によってプローブ直流電流(プローブ4からパイプライン1に流入する直流電流)を計測するものである。
パイプラインに対して流電陽極を設置する場合としては、通常では、パイプラインの所要防食電流が小さく、電気抵抗率が低い環境にパイプラインが埋設される場合、主に外部電源方式でカソード防食されているが、このカソード電流が到達しない絶縁された短い区間をカソード防食する場合、裸又は塗覆装がかなり劣化したパイプラインの減肉部分を局所的に防食する場合、カソード防食されているパイプラインに供給すべき防食電流が他のパイプラインに流入する直流干渉を受けているパイプラインが、カソード防食されているパイプラインとメタルタッチ(金属部分同士が接触)しており、メタルタッチ部分の双方の腐食を防止する場合、前述のメタルタッチ部分が明らかになっても、パイプラインの複雑な埋設状況によってパイプライン相互の絶縁措置を直ちに講じることができない場合、パイプラインが交流誘導の影響を受けており、交流誘導低減のための低接地体(アース電極)として流電陽極を設置する場合、等がある。
特に、本発明の実施形態は、パイプライン1が交流誘導の影響を受けており、設置された流電陽極2が交流誘導低減のための低接地体として機能すると共に、パイプライン1に防食電流を供給している状況下で、パイプライン1のカソード防食状況を適正に把握することを目的としている。
前述した電線L1,L2間にカソード防食状況計測評価装置10が接続され、これによって、電線L1,L2を流れる電流、すなわち流電陽極2から発生する防食電流をモニタしながら、パイプライン1のカソード防食状況が計測評価される。
カソード防食状況計測評価装置10は、電線L1,L2を流れる電流を計測する電流計測手段(電流計)11と、電流計測手段11で計測された計測値を演算処理する演算処理手段12とを備えている。また、演算処理手段12は、必要に応じて、直流電流計6,直流電圧計5によって計測されるプローブ直流電流,管対地電位の計測値を演算処理することもできるようになっている。
演算処理手段12は、少なくとも、計測値抽出手段12Aと、直流電流密度算出手段12Bと、交流電流密度算出手段12Cと、商用周波数同定手段12Dと、カソード防食状況評価手段12Eとを備えている。これらの各手段は、演算処理手段12を動作制御するソフトウエアによって形成することができる。
計測値抽出手段12Aは、設定されたサンプリング間隔で商用周波数の周期に当たる単位計測時間毎に、電流計測手段11で計測された計測値を抽出するものである。商用周波数を50Hzとすると、単位計測時間は20msecとなり、その単位計測時間内で設定されるサンプリング間隔は例えば0.1msecに設定することができる。ここでは、流電陽極2の交流腐食が流電陽極2の発生電流にどのように影響するかを計測評価の技術思想にしており、流電陽極2の交流腐食には、高圧交流送電線や交流電気鉄道車両の走行に起因する交流誘導が最も影響することが知られているので、周波数としては商用周波数に着目している。
直流電流密度算出手段12Bは、抽出された電流計測手段11による計測値から、単位計測時間毎に流電陽極2から発生する電流の直流電流密度を求めるものである。交流電流密度算出手段12Cは、抽出された電流計測手段11による計測値と直流電流密度算出手段12Bで求めた直流電流密度とから、単位計測時間毎に流電陽極2から発生する電流の交流電流密度を求めるものである。
商用周波数が50Hzで単位計測時間が20msecであって、データサンプリング間隔0.1msecで計測値の抽出を行った場合に、直流電流密度(IDC)を下記式(1)で求めることができ、また、交流電流密度(IAC)を下記式(2)で求めることができる。
Figure 0004854653
商用周波数同定手段12Dは、電流計測手段11で計測された計測値の時間的な変化が単位計測時間を周期とする正弦波であることを確認するものである。より詳しくは、単位計測時間内での計測値の最大値と最小値の出現時刻差が単位計測時間の1/2(単位計測時間20msecの場合は10msec)であり、且つ単位計測時間内での最大値と平均値との差と当該単位計測時間内での平均値と最小値との差が等しいことを確認する。
具体的には、計測期間全体から、交流電流密度(IAC)が最大となる値(IAC max)を特定する。そして、その最大値(IAC max)を示した単位計測時間の計測値I(t)を抽出する。図3は、単位計測時間t:20msecでサンプリング間隔t:0.1msecでの200個の計測値I(t)の時間変化を示す説明図である。そして、図示の時差Δt=10msecであり、ΔI1((最大値)−(平均値))=ΔI2((平均値)−(最小値))であることを確認する(図示のImax(t)は単位計測時間内の最大計測値、Imin(t)は単位計測時間内の最小計測値、Iave(t)は単位計測時間内の平均値、T1はImax(t)の出現時刻、T2はImin(t)の出現時刻)。ここでは、計測期間全体から交流電流密度(IAC)の最大値を示した計測値について確認処理を行ったが、最大値に加えて大きい順にいくつかの計測値を選択して前述したと同様の確認処理を行うようにしても良い。
カソード防食状況評価手段12Eは、商用周波数同定手段12Dで単位計測時間を周期とする正弦波であることが確認された場合に、交流電流密度(IAC)の計測期間内最大値(IAC max)が基準値を超えているか否かを判定する。交流電流密度(IAC)の計測期間内最大値(IAC max)は前述の商用周波数同定手段12Dで求めた値を用いることができ、これを予め設定した基準値と比較して計測期間内最大値が基準値を超えている場合にカソード防食状況が不良であると判定する。
ここでの基準値は、交流誘導によって流電陽極2に機能低下が生じることを基準にして設定される基準値である。交流誘導による流電陽極の機能低下現象をMg陽極の例で説明すると、Mg陽極が交流腐食すると、カソード反応として、1/2O+HO+2e→2OHの反応が生じる。一方のMg陽極からはパイプラインへの防食電流の供給としてMg2+が流出している。Mg陽極から流出したMg2+と前述のカソード反応で生じた2OHが結合すると、Mg(OH)が生成され、これがMg陽極の表面に沈殿することになる。Mg(OH)は、エレクトロコーティングと称される高抵抗体であり、Mg陽極の表面にこのエレクトロコーティングが生成されると、Mg陽極の接地抵抗は高くなる。これによって、Mg陽極から発生する防食電流は低下することになり、同時に、アース電極としての交流誘導低減効果も低下することになる。これが、流電陽極の交流誘導による機能低下のメカニズムの一例である。
このような流電陽極の機能低下を引き起こさないようにするためには、流電陽極に作用する交流誘導の影響を監視する必要があり、本発明の実施形態では、流電陽極の発生電流の交流成分をモニタリングして、この交流成分が基準値以上にならないように監視している。Mg陽極を採用する場合で、交流誘導が50Hzの商用周波数によって起きている場合には、前述した交流電流密度IACを1A/m未満にしておくことで、経験的にMg陽極の機能保持が確認される。
図4は、本発明の実施形態に係るカソード防食状況の計測評価方法を示すフロー図である。以下の方法は、前述したシステム構成によって実現することが可能である。
計測が開始されると、電流計測手段11によって電線L1,L2を流れる電流(I(t):流電陽極発生電流)が計測され、更に、必要に応じて、直流電圧計5によって管対地電位が、直流電流計6によってプローブ直流電流が計測される(S1)。計測は所定の計測期間まで実行され、計測期間が終了すると(S2)、次の演算処理ステップに移行する。
電線L1,L2を流れる電流I(t)が計測されると、計測値抽出手段12Aが、その計測値を所定のサンプリング間隔(例えば、0.1msec)で前述した単位計測時間(例えば、20msec)毎に順次抽出する(S3)。そして、直流電流密度算出手段12Bが、前述した式(1)によって、単位計測時間毎に直流電流密度IDCを算出し(S4)、交流電流密度算出手段12Cが、前述した式(2)によって、単位計測時間毎に交流電流密度IACを算出する(S5)。
計測期間が終了した段階で、演算処理手段12は、商用周波数同定手段12D,カソード防食状況評価手段12E及びそれに付随する処理手段によって、以下の処理を実行する。
先ず、計測期間内での直流電流密度IDCの最大値IDC maxと交流電流密度IACの最大値IAC maxを抽出する(S6)。ここでの、最大値IDC max,IAC maxの抽出は、算出したIDC,IAC及び計測値I(t)を全て記憶手段に記憶しておき、全てのIDC,IACの中からそれぞれ最大値IDC max,IAC maxとそれに対応した計測値I(t)を抽出することで実行することができる。
また、別の抽出方法としては、先ず、最初の単位計測時間で抽出された200個の計測値I(t)を記憶手段に記憶して、その計測値からIDC,IACを算出し、これらを記憶手段に記憶する。次に、次の単位計測時間で抽出された200個の計測値I(t)を別の記憶手段に記憶し、その計測値からIDC,IACを算出して、前回算出したIDC,IACと今回算出したIDC,IACをそれぞれ比較し、大きい方のIDC,IACを記憶して、それに対応する計測値I(t)は記憶を保持し、小さい方のIDC,IACとそれに対応する計測値I(t)はデータを消去する。更に、次の単位計測時間で抽出された200個の計測値I(t)は前回データが消去された記憶手段に記憶し、その計測値からIDC,IACを算出して、前回算出したIDC,IACと今回算出したIDC,IACをそれぞれ比較し、大きい方のIDC,IACを記憶して、それに対応する計測値I(t)は記憶を保持し、小さい方のIDC,IACとそれに対応する計測値I(t)はデータを消去する。この処理を繰り返すことで、計測期間終了時点では記憶手段に最大値IDC max,IAC max及びそれに対応した計測値I(t)が記憶手段に記憶されていることになる。
そして、最大値IDC maxが基準値未満であることを確認する(S7)。ここでの基準値は、流電陽極が設計された寿命まで所要防食電流を流し続けることができるか否かを確認する基準値であり、これが満たされていることを前提にして、以下の処理を行う。
そして、次の処理では、前述した商用周波数同定手段12DによってIAC maxに対応する計測値I(t)が商用周波数の正弦波であるか否かの判断が行われる。これが商用周波数の正弦波でないと判断された場合には、対策不要であると判断し(S8A)、商用周波数の正弦波であると判断された場合には、前述したカソード防食状況評価手段12Eによる処理を実行する(S9)。
カソード防食状況評価手段12Eは、前述したように最大値IAC maxが基準値未満であるか否かでカソード防食状況の評価を行う。ここでの基準値は、前述したように、流電陽極の機能低下に基づく基準値であり、基準値を超えている場合には、流電陽極の機能低下の虞があるので、カソード防食状況は不良であると判断して、流電陽極(例えば、Mg陽極)の増設による低接地措置の対策指示を行う(S10)。また、基準値未満である場合は、交流誘導による流電陽極の機能低下は無視できると判断して、通常のパイプライン1に対するカソード防食状況の確認を行う。すなわち、管対地電位又はプローブ電流密度の計測値が管対地電位又はプローブ電流密度を指標としたカソード防食基準に合格しているか否かの確認を行う(S9A)。
このような本発明の実施形態によると、流電陽極方式によってカソード防食されているパイプライン1が交流誘導の影響を受けている場合のカソード防食状況を、交流誘導によって生じる流電陽極2の機能低下を基準にして計測評価することが可能になる。これによると、従来技術のような流電陽極2の寿命予測とは全く異なる観点で、周辺状況の変化に対応した流電陽極2の管理を行うことが可能になる。すなわち、流電陽極2が設置されている箇所の周辺に新たに高圧交流送電線が敷設又は増設された場合や、新たに交流電気鉄道が敷設又は増設された場合等に、周辺状況の変化が流電陽極2に与える悪影響を定量的に把握することができ、これに基づいて適切な措置対策を講じることが可能になる。
従来技術の説明図である。 本発明の実施形態に係るシステム構成を示す説明図である。 単位計測時間t:20msecでサンプリング間隔t:0.1msecでの200個の計測値I(t)の時間変化を示す説明図である。 本発明の実施形態に係るカソード防食状況の計測評価方法を示すフロー図である。
符号の説明
1:パイプライン(金属構造物),2:流電陽極(Mg陽極),3:照合電極(飽和硫酸銅電極),4:プローブ,5:直流電圧計,6:直流電流計,
10:カソード防食状況計測評価装置,11:電流計測手段,
12:演算処理手段,
12A:計測値抽出手段,
12B:直流電流密度算出手段,
12C:交流電流密度抽出手段,
12D:商用周波数同定手段,
12E:カソード防食状況評価手段,
L1〜L6:電線,TB:ターミナルボックス

Claims (6)

  1. 流電陽極方式によってカソード防食されている金属構造物のカソード防食状況を計測評価する方法であって、
    商用周波数の周期に当たる単位計測時間を設定して、流電陽極と金属構造物間に接続された電線に流れる電流を計測する工程と、
    前記電流の計測値から、前記単位計測時間毎に前記流電陽極から発生する電流の直流電流密度を求める工程と、
    前記電流の計測値と前記直流電流密度とから、前記単位計測時間毎に前記流電陽極から発生する電流の交流電流密度を求める工程と、
    前記計測値の時間的な変化が前記単位計測時間を周期とする正弦波であることを確認する工程と、
    前記工程で前記単位計測時間を周期とする正弦波であることが確認された場合に、前記交流電流密度の計測期間内最大値が、交流誘導によって前記流電陽極に機能低下が生じることを基準に設定された基準値を超えているか否かを判定する工程とを有し、
    前記工程で前記基準値を超えている場合に、前記金属構造物のカソード防食状況が不良であると評価することを特徴とするカソード防食状況の計測評価方法。
  2. 商用周波数が50Hzで前記単位計測時間が20msecであって、データサンプリング間隔0.1msecで前記計測値の抽出を行った場合に、前記直流電流密度(IDC)を下記式(1)で求めると共に、前記交流電流密度(IAC)を下記式(2)で求めることを特徴とする請求項1に記載されたカソード防食状況の計測評価方法。
    Figure 0004854653
  3. 前記計測値の時間的な変化が前記単位計測時間を周期とする正弦波であることを確認する工程は、前記単位計測時間内での前記計測値の最大値と最小値の出現時刻差が前記単位計測時間の1/2であり、且つ当該単位計測時間内での前記計測値の最大値と平均値との差と当該単位計測時間内での前記計測値の平均値と最小値との差が等しいことを確認することを特徴とする請求項1又は2に記載されたカソード防食状況の計測評価方法。
  4. 流電陽極方式によってカソード防食されている金属構造物のカソード防食状況を計測評価するシステムであって、
    流電陽極と金属構造物間に接続された電線に流れる電流を計測する電流計測手段と、
    該電流計測手段で計測された計測値を演算処理する演算処理手段とを備え、
    前記演算処理手段が、
    設定されたサンプリング間隔で商用周波数の周期に当たる単位計測時間毎に前記計測値を抽出する計測値抽出手段と、
    抽出された前記計測値から、前記単位計測時間毎に前記流電陽極から発生する電流の直流電流密度を求める直流電流密度算出手段と、
    抽出された前記計測値と前記直流電流密度とから、前記単位計測時間毎に前記流電陽極から発生する電流の交流電流密度を求める交流電流密度算出手段と、
    前記計測値の時間的な変化が前記単位計測時間を周期とする正弦波であることを確認する商用周波数同定手段と、
    前記商用周波数同定手段で、前記単位計測時間を周期とする正弦波であることが確認された場合に、前記交流電流密度の計測期間内最大値が、交流誘導によって前記流電陽極に機能低下が生じることを基準に設定された基準値を超えているか否かを判定するカソード防食状況評価手段と、
    を備えることを特徴とするカソード防食状況の計測評価システム。
  5. 商用周波数が50Hzで前記単位計測時間が20msecであって、データサンプリング間隔0.1msecで前記計測値の抽出を行った場合に、前記直流電流密度(IDC)を下記式(1)で求めると共に、前記交流電流密度(IAC)を下記式(2)で求め、
    前記カソード防食状況評価手段は、当該交流電流密度(IAC)が前記基準値を超えた場合に、金属構造物のカソード防食状況が不良であると評価することを特徴とする請求項4に記載されたカソード防食状況の計測評価システム。
    Figure 0004854653
  6. 前記商用周波数同定手段は、
    前記単位計測時間内での前記計測値の最大値と最小値の出現時刻差が前記単位計測時間の1/2であり、且つ当該単位計測時間内での前記計測値の最大値と平均値との差と当該単位計測時間内での前記計測値の平均値と最小値との差が等しいことを確認することを特徴とする請求項4又は5に記載されたカソード防食状況の計測評価システム。
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