JP6259749B2 - 埋設金属体の交流腐食リスク計測評価方法 - Google Patents

埋設金属体の交流腐食リスク計測評価方法 Download PDF

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本発明は、埋設金属体の交流腐食リスク計測評価方法に関するものである。
カソード防食された埋設金属パイプラインなどの埋設金属体のカソード防食状況や腐食リスクを計測評価する方法として、クーポン電流密度の計測値に基づく評価方法が一般に知られている。これは、埋設金属体のコーティング欠陥部を模擬したクーポンと呼ばれる埋設金属体と同材料の金属片を用い、これをコーティングが施された埋設金属体に電気的に接続して埋設金属体の近傍に埋設し、クーポンと埋設金属体とを接続する電線を流れる電流(クーポン電流)を計測することでクーポン直流電流密度Id.c.とクーポン交流電流密度Ia.c.を求め、その計測時間平均値(Id.c. ave,Ia.c. ave)を、クーポン電流密度を指標としたカソード防食基準と照査するものである。
その際、クーポン交流電流密度Ia.c.による交流腐食リスクの評価は、クーポン電流の計測値が商用周波数(例えば、50Hz)の正弦波に該当するか否かの判別がなされており、以下の(i),(ii)が共に成立するときに商用周波数の正弦波に該当するとの判別がなされている(下記特許文献1参照)。(i)単位計測時間(20ms)内で計測された計測値の最大値と最小値の出現時刻の時差が1/2単位計測時間(10ms)である。(ii)単位計測時間(20ms)内で計測された計測値において、(最大値)−(平均値)=(平均値)−(最小値)となる。
特開2010−190658号公報
前述した従来技術のように、クーポン直流電流密度とクーポン交流電流密度の計測時間平均値(Id.c. ave,Ia.c. ave)を、クーポン電流密度を指標としたカソード防食基準と照査する計測評価では、クーポン直流電流密度とクーポン交流電流密度がどの程度計測時間内で変動しているかを把握することができない。
特に、埋設パイプラインのような埋設金属体の交流干渉現象は、高圧交流送電線のように常時影響を受けている場合と、交流電気鉄道システム稼働による交流電気鉄道の通過時に短時間影響を受ける場合があり、後者の場合には、クーポン交流電流密度の時間変動が大きく、かつ迅速に変化するので、クーポン交流電流密度の計測時間平均値をカソード防食基準と照査する場合には、最大値が平均値とどの程度差があるのかを把握する必要がある。特にクーポン交流電流密度の平均値Ia.c. aveがカソード防食基準値に近い場合には、カソード防食基準値を超えて変動する値がどの程度存在するかを把握することが交流腐食リスクを評価する上で不可欠である。
本発明は、このような問題に対処することを課題の一例とするものである。すなわち、クーポン交流電流密度の計測時間内での変動を把握し、交流腐食リスクの様々な原因の影響を考慮に入れた精緻な計測評価を行うこと、などが本発明の目的である。
このような目的を達成するために、本発明による埋設金属体の交流腐食リスクの計測評価方法は、以下の構成を具備するものである。
商用周波数の1周期に当たる単位計測時間で設定サンプリング間隔毎に計測されたクーポン電流の計測値からクーポン交流電流密度を求め、計測時間を複数に等区分した計測区分を設定し、前記計測区分毎に前記クーポン交流電流密度の区分内最大値を抽出し、前記区分内最大値と当該区分内最大値を構成する前記計測値の波形から求められるクーポン直流電流密度との組み合わせを前記計測区分毎に求め、前記組み合わせがクーポン直流電流密度とクーポン交流電流密度を指標とするカソード防食基準に合格するか否かを評価することを特徴とする埋設金属体の交流腐食リスク計測評価方法。
このような特徴を有する埋設金属体の交流腐食リスク計測評価方法によると、クーポン交流電流密度の計測時間内での変動を把握することができ、交流腐食リスクの様々な原因の影響を考慮に入れた精緻な計測評価を行うことできる。
本発明の一実施形態に係る埋設金属体のカソード防食状態計測評価方法を示した説明図である。 クーポン交流電流密度の区分内最大値Ia.c. maxが計測された時刻における単位計測時間Ts内の計測値波形の一例を示した説明図である。 本発明の一実施形態に係るカソード防食状態計測評価方法を実施するためシステム構成を示した説明図である。 交流腐食リスク評価手段の評価フローの一例を示した説明図である。 クーポン電流密度を指標としたカソード防食基準と照査した結果を示す線図である。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。図1は本発明の一実施形態に係る埋設金属体の交流腐食リスク計測評価方法を示した説明図である。
ここでは、従来技術と同様に、商用周波数の1周期に当たる単位計測時間Tsで設定サンプリング間隔毎に計測されたクーポン電流の計測値からクーポン交流電流密度Ia.c.を求める。単位計測時間Tsは、商用周波数50Hzでは図示のように20msであるが、商用周波数60Hzでは16.7msであり、商用周波数16-2/3Hzでは60msである。クーポン交流電流密度Ia.c.は、下記(1),(2)式によって求められる。(1)式でクーポン直流電流密度Id.c.を求め、このクーポン直流電流密度Id.c.を用いた(2)式でクーポン交流電流密度Ia.c.を求める。
下記(1),(2)式において、Aはクーポン表面積、I(t)は時刻tにおけるクーポン電流の計測値、Tは単位計測時間Ts内で計測されたクーポン電流の計測値I(t)のサンプル数である。なお、ここでは単位計測時間Tsの計測値I(t)における時系列データを「計測値波形」又は単に「波形」という。前述した設定サンプリング間隔を0.1msとすると、単位計測時間Tsのサンプル数Tは、商用周波数50Hzでは200個(商用周波数60Hzでは167個、商用周波数16-2/3Hzでは600個)になり、計測値波形は、商用周波数50Hzでは200個の時系列データ(商用周波数60Hzでは167個の時系列データ、商用周波数16-2/3Hzでは600個の時系列データ)からなる。
本発明の実施形態では、計測時間Tmを複数(n個)に等区分した計測区分(Tm/n)を設定する。計測区分は、例えば、計測時間Tmが3時間以下の場合は10秒毎、計測時間Tmが3時間を超え24時間以下の場合は60秒毎、計測時間Tmが24時間を超える場合は6分毎というように、適宜設定することができる。
そして、設定された計測区分毎にクーポン交流電流密度Ia.c.の区分内最大値Ia.c. maxを抽出する。図示の例では、計測区分内でn1個のクーポン交流電流密度Ia.c.が求められ、そのうちのm1番目の値が区分内最大値Ia.c. maxとして抽出されている。ここで、区分内最大値Ia.c. maxとこの区分内最大値Ia.c. maxを構成する計測値の波形からクーポン直流電流密度Id.c.を求める。このクーポン直流電流密度Id.c.は、区分内最大値Ia.c. maxと同じ時刻のカソード防食状況を表した値になる。そして、クーポン直流電流密度Id.c.と区分内最大値Ia.c. maxとの組み合わせ(Id.c.,Ia.c. max)を計測区分毎に求め、その組み合わせ(Id.c.,Ia.c. max)がクーポン直流電流密度とクーポン交流電流密度を指標とするカソード防食基準に合格するか否かを評価する。
このように計測時間Tmを複数に分割した計測区分を設定して、その中でのクーポン直流電流密度Id.c.と区分内最大値Ia.c. maxとその最大値Ia.c. maxを得た波形から求められるId.c.の組み合わせ(Id.c.,Ia.c. max)を求めることで、クーポン交流電流密度とクーポン直流電流密度がどの程度計測時間内で変動しているかを把握することができる。そして、(Id.c.,Ia.c. max)がカソード防食基準値に近い場合には、基準値を超える値がどの程度存在しているかを把握することができるので、その分散状況をみてより厳格な評価を行うことができる。
また、一つの計測区分における(Id.c.,Ia.c. max)は、交流腐食リスクへの関与が予測される一つの原因事象の影響を表した値であると言えるので、計測区分毎の値によって、交流腐食リスクの原因を考慮に入れた精緻な計測評価を行うことができ、計測時間全体から求められる複数の区分内最大値Ia.c. maxによって、計測時間全体で関与している様々な原因の影響を適性に計測評価することができる。
ここで、Id.c.の値は、クーポン交流電流密度の区分内最大値Ia.c. maxを構成する計測値波形から求められる値であるから、区分内最大値Ia.c. maxと正相関の関係にある。したがって、(Id.c.,Ia.c. max)の組み合わせによる評価では、埋設金属体の交流腐食リスクのみならず、過防食リスクの評価を行うことができる。
この際、クーポン交流電流密度の区分内最大値Ia.c. maxは、その全てが交流腐食に影響を及ぼす値であるとは限らない。そこで、得られた区分内最大値Ia.c. maxの中から交流腐食に影響する値を抽出する。
ここでは、交流腐食はアノード電流とカソード電流がそれぞれ連続した時間帯を有して埋設金属体と電解質の界面を流れるときに発生するという新たな知見に基づいて、区間内最大値Ia.c. maxの中から交流腐食に影響する値を抽出する。アノード電流はコーティング欠陥部において埋設金属体から電解質の向きに流れる電流であり、カソード電流はコーティング欠陥部において電解質から埋設金属体の向きに流れる電流である。
更に、アノード電流とカソード電流で構成される時系列波形の周波数が商用周波数と同じであること、また、アノード電流とカソード電流で構成される時系列波形が正弦波に対してひずみが小さい状態で継続していること、を確認して、交流腐食のリスクの有無を判断する。
埋設金属体と電解質の界面を流れる電流は、クーポン電流の計測値波形によって把握することができ、クーポンから電解質の向きに流れる電流をアノード電流とし、電解質からクーポンの向きに流れる電流をカソード電流として、クーポン電流の極性(正負)をプラスがカソード電流、マイナスがアノード電流と定義する。
図2は、前述した区分内最大値Ia.c. maxが計測された時刻における単位計測時間Ts内の計測値波形の一例を示している。この例では、最大値Ia.c. maxが計測された単位計測時間Ts内の出現時刻tmaxで最大計測値I(tmax)となり、出現時刻tminで最小計測値I(tmin)となっている。この例では、I(tmax)>0,I(tmin)<0であるから、単位計測時間Tsに計測されたクーポン電流にカソード電流とアノード電流がそれぞれ連続した時間帯で存在しており、その単位計測時間Tsを含む計測区分内で求めたクーポン交流電流密度の区分内最大値Ia.c. maxは交流腐食リスクに影響を及ぼす値であると判断することができる。
更に、交流腐食リスクに対して厳格な評価を行うためには、最大計測値I(tmax)の出現時刻tmaxと最小計測値I(tmin)の出現時刻tminの時間差Δtが単位計測時間Tsの約1/2であるという条件を加えて、その条件を満たした場合に、計測区分内で求めたクーポン交流電流密度Ia.c. maxに基づいて交流腐食リスクを評価する。
また更に、交流腐食リスクに対して厳格な評価を行うためには、最大値Ia.c. maxを構成する計測値波形の正弦波に対するひずみを求め、このひずみが小さいという条件を加えて、その条件を満たした場合に、設定計測時間内で求めたクーポン交流電流密度Ia.c. maxに基づいて交流腐食リスクを評価する。ここでのひずみが小さいという条件は、下記(3)式のひずみ率εを求め、このひずみ率εが設定された閾値以下という条件によって定量化することができる。このひずみ率εは、計測値波形が商用周波数の正弦波からどれだけひずんでいるのかを定量的に示す値である。下記(3)式において、Iaveは最大値Ia.c. maxを構成する計測値波形の単位計測時間Ts内での平均値(Tは、単位計測時間のサンプル数)であり、Ipは最大計測値I(tmax)と最小計測値I(tmin)の中点値である。
前述した時間差Δtが単位計測時間Tsの約1/2であるという条件及び、ひずみ率εが設定された閾値以下という条件を加えた場合には、更に厳格に計測値波形を商用周波数の正弦波と同定することができる。前述した条件を満たした場合の交流腐食リスクの評価は、計測区分毎に求めた区分内最大値Ia.c. maxが閾値(例えば、ISO 15589-1であれば30A/m2)よりも大きいか否かで評価し、大きければ交流腐食リスクありと評価する。
図3は、本発明の実施形態に係る埋設金属体のカソード防食状態計測評価方法を実行するためのシステム構成を示した説明図である。以下の説明では、埋設金属体としてプラスチックコーティングを備える埋設金属製パイプライン(以下、単にパイプラインという)を例にして説明するが、本発明の実施形態は特にこれに限定されるものではない。また、ここでの埋設金属体は、外部電源方式或いは流電陽極方式などのカソード防食が施されていることを前提とする。
交流腐食リスクの評価対象となるパイプライン1は、プラスチックコーティング1Cを備えており、電解質(土壌)S中に埋設されている。また、電解質S中におけるパイプライン1の近傍には、プラスチックコーティング1Cの欠陥部を模擬したクーポン2が埋設されている。クーポン2は、パイプライン1と同じ材質の金属片であってその表面積Aが既知のものである。パイプライン1とクーポン2とは電線Lで電気的に接続されている。図3では、パイプライン1やクーポン2の周辺電解質に防食電流Icや交流成分を含む迷走電流Isが流れている状況を示している。
このようなパイプライン1における計測評価システムは、計測装置10と外部演算処理装置20によって構成することができる。ここでは、便宜上パイプライン1とクーポン2に対して計測時間中に常時接続する計測装置10と計測時間後に計測装置10から情報を取得して演算処理する外部演算処理装置20を分けて構成しているが、これらを一体の装置とすることもできる。
計測装置10は、電線Lに設けたシャント11が検出するクーポン電流を計測するものであり、計測されたクーポン電流がローパスフィルタ12やA−Dコンバータ13を介して演算処理手段14に入力される。演算処理手段14は、サンプリングしたクーポン電流やこれを演算処理した結果を記憶するデータ記憶手段15を備えると共に、クーポン電流計測手段14A,クーポン直流電流密度算出手段14B,クーポン交流電流密度算出手段14C,最大クーポン交流電流密度抽出手段14Dなどの機能を備えている。
クーポン電流計測手段14Aは、商用周波数の1周期に当たる単位計測時間で設定サンプリング間隔毎にクーポン電流をサンプリングして計測する機能を有する。商用周波数が50Hzの場合には、単位計測時間は20msであり、サンプリング間隔を0.1msに設定すると、単位計測時間に200個のクーポン電流計測値がサンプリングされる。クーポン電流計測手段14Aは、この200個のクーポン電流計測値の時系列データ(時刻tとその時にサンプリングされた計測値を関連付けたデータ)である計測値波形を逐次出力する。クーポン電流計測手段14Aが出力した計測値波形は単位計測時間毎にデータ記憶手段15に記憶される。
クーポン直流電流密度算出手段14Bは、クーポン電流計測手段14Aが計測したクーポン電流の計測値I(t)の波形から上記(1)式によってクーポン直流電流密度Id.c.を算出する機能を有する。クーポン直流電流密度Id.c.は単位計測時間毎に1つ出力される。
クーポン交流電流密度算出手段14Cは、クーポン電流計測手段14Aが計測したクーポン電流の計測値I(t)とクーポン直流電流密度Id.c.から上記式(2)によってクーポン交流電流密度Ia.c.を算出する機能を有する。クーポン交流電流密度Ia.c.は単位計測時間毎に1つ出力され、データ記憶手段15に記憶される。
最大クーポン交流電流密度抽出手段14Dは、計測区分内でクーポン交流電流密度Ia.c.の最大値Ia.c. maxを抽出する。計測区分を例えば8sとすると、その計測区分内に20msの単位計測時間が400回連続することになるので、その間クーポン交流電流密度算出手段14Cは400のクーポン交流電流密度Ia.c.を出力する。最大クーポン交流電流密度抽出手段14Dは、クーポン交流電流密度算出手段14Cが出力するクーポン交流電流密度Ia.c.を順次比較して、最終的に400のクーポン交流電流密度Ia.c.の中から最大値Ia.c. maxを抽出する。抽出されたクーポン交流電流密度の区分内最大値Ia.c. maxとその値Ia.c. maxを構成する計測値波形、更にはその計測値によるクーポン直流電流密度Id.c.がデータ記憶手段15に記憶される。
外部演算処理装置20は、極性判別手段21A,出現時刻差算出手段21B,ひずみ率算出手段21C,交流腐食リスク評価手段21Dなどの機能を有する演算処理手段21を備えている。
極性判別手段21Aは、計測装置10のデータ記憶手段15に記憶された最大値Ia.c. maxを構成する計測値波形を取り込み、その計測値波形における最大計測値I(tmax)と最小計測値I(tmin)の極性が異なる極性であるか否かを判別する。ここでは、I(tmax)×I(tmin)がマイナスの値であるか否かを判別する。I(tmax)×I(tmin)がマイナスの値である場合は、I(tmax)とI(tmin)が異なる極性であり、そのことは即ち、最大計測値I(tmax)がプラス値であり最小計測値I(tmin)がマイナス値であることを指している。
出現時刻差算出手段21Bは、計測装置10のデータ記憶手段15に記憶された最大値Ia.c. maxを構成する計測値波形を取り込み、最大計測値I(tmax)の出現時刻tmaxと最小計測値I(tmin)の出現時刻tminの時間差Δtを算出する機能を有している。また、ひずみ率算出手段21Cは、計測装置10のデータ記憶手段15に記憶された最大値Ia.c. maxを構成する計測値波形を取り込み、上記(3)式によってひずみ率εを算出する機能を有している。
交流腐食リスク評価手段21Dは、極性判別手段21Aの出力に基づいて、或いは、極性判別手段21Aと出現時刻差算出手段21B,ひずみ率算出手段21Cの各出力に基づいて、交流腐食リスクを評価する機能を有する。交流腐食リスク評価手段21Dとしては、計測区分毎に抽出した区分内最大値Ia.c. maxを構成する計測値波形に基づいて、極性判別手段21A、出現時刻差算出手段21B、ひずみ率算出手段21Cの処理を行い、この計測値波形が交流腐食を発生し得る商用周波数の正弦波であるか否かを判断し、交流腐食を発生し得る商用周波数の正弦波である場合には、計測区分毎に求めたクーポン交流電流密度の区間内最大値Ia.c. maxが閾値(例えば、ISO 15589-1であれば30A/m2)以下か否かで交流腐食のリスクの有無を判断する。
図4は、この場合の交流腐食リスク評価手段21Dの評価フローの一例を示している。ステップS1は計測区分の区分数nの初期値を1としている。ステップS2は、複数に区分された計測区分に対して処理対象の計測区分(n)を特定するものであり、計測区分(1)から順次処理が行われる。
ステップS3では、計測装置10において各計測区分(n)で計測したクーポン交流電流密度の区分内最大値Ia.c. max(n)を取り込む。ステップS4は、極性判別手段21Aの出力に対する判断処理であり、I(tmax)×I(tmin)がマイナスの値である場合(「YES」)、即ち、最大計測値I(tmax)がプラス値であり最小計測値I(tmin)がマイナス値である場合は、ステップS5に移行し、I(tmax)×I(tmin)がマイナスの値でない場合(「NO」)はステップS7に移行する。
ステップS5は、出現時刻差算出手段21Bの出力に対する判断処理であり、最大計測値I(tmax)の出現時刻tmaxと最小計測値I(tmin)の出現時刻tminの時間差Δtが単位計測時間Tsの約1/2であるか否かが判断され、時間差Δtが単位計測時間Tsの約1/2である場合(「YES」)はステップS6に移行し、時間差Δtが単位計測時間Tsの1/2でない場合(「NO」)はステップS7に移行する。
ステップS6は、ひずみ率算出手段21Cの出力に対する判断処理であり、ひずみ率εが閾値Etより小さい場合(「YES」)はステップS8に移行し、ひずみ率εが閾値Et以上の場合(「NO」)はステップS7に移行する。ここでの閾値Etは例えば0.01などに設定することができる。
ステップS4,S5,S6を経て、各回の計測区分において計測されたクーポン電流の計測値波形が商用周波数の正弦波と同定されない場合がステップS7に移行することになり、このステップS7では、その回の計測区分において求められたクーポン交流電流密度の区分内最大値Ia.c. maxには交流腐食リスクがないと判断してステップS9に移行する。
ステップS4,S5,S6を経て、各回の計測区分において計測されたクーポン電流の計測値波形が商用周波数の正弦波と同定される場合は、ステップS8にて、その波形におけるクーポン直流電流密度Id.c.と区分内最大値Ia.c. maxとの組み合わせ(Id.c.,Ia.c. max)をデータ記憶手段15に記憶する。
そして、ステップS9では、計測時間の当回nが最終であるか否かが判断され、最終で無い場合(「NO」)は次回(n+1回)に進み(ステップS10)、その計測区分に対して、ステップS2〜ステップS8の処理を行う。当回nが最終である場合(「YES」)は、データ記憶手段15に記憶した計測区分毎の(Id.c.,Ia.c. max)をクーポン電流密度を指標とするカソード防食基準と照査する評価が行われる(S11)。
図5は、計測区分毎の(Id.c.,Ia.c. max)をクーポン電流密度を指標とするカソード防食基準と照査した結果の一例を示している。ここでのクーポン電流密度を指標とするカソード防食基準は、横軸をクーポン流入直流電流密度Id.c.(A/m2)の対数表示、縦軸をクーポン交流電流密度Ia.c.の対数表示の線図にすると、図示の太線がカソード防食基準値になる(数値範囲で示すと、第1領域が0.1(A/m2)≦Id.c.≦1.0(A/m2)且つIa.c.<25・Id.c.、第2領域が1.0(A/m2)≦Id.c.≦40(A/m2)且つIa.c.<70(A/m2))。
図5(a)は従来技術であり、計測時間内で求めたクーポン直流電流密度の平均値とクーポン交流電流密度の平均値の組み合わせ(Id.c. ave,Ia.c. ave)をクーポン電流密度を指標とするカソード防食基準と照査している。この例では、計測及び演算処理の結果、(Id.c. ave,Ia.c. ave)として点Aが得られており、基準値の近くではあるがクーポン電流密度を指標とするカソード防食基準に合格している。
これに対して、図5(b)は本発明の実施例である。計測区分毎に求めた(Id.c.,Ia.c. max)の組み合わせをそれぞれクーポン電流密度を指標とするカソード防食基準と照査している。ここでは比較のために図5(a)と同じ計測データを用いているが、計測区分毎の(Id.c.,Ia.c. max)を求めることで、図示αで示した(Id.c.,Ia.c. max)の変動状態を把握することができる。この例ではかなりの割合で計測区分毎の(Id.c.,Ia.c. max)はクーポン電流密度を指標とするカソード防食基準に不合格であることが把握でき、従来技術と比較してカソード防食状態について厳格な評価が可能になる。また、図示の例で明らかなように、多くの計測区分でId.c.がクーポン直流電流密度の基準値を超えている状態が把握できる。このように、本発明の実施例では過防食の評価を精緻に行うことができる。
以上、本発明の実施の形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。また、上述の各実施の形態は、その目的及び構成等に特に矛盾や問題がない限り、互いの技術を流用して組み合わせることが可能である。
10:計測装置,11:シャント,
12:ローパスフィルタ,13:A−Dコンバータ,14:演算処理手段,
14A:クーポン電流計測手段,14B:クーポン直流電流密度算出手段,
14C:クーポン交流電流密度算出手段,
14D:最大クーポン交流電流密度抽出手段,15:データ記憶手段,
20:外部演算処理装置,21:演算処理手段,
21A:極性判別手段,21B:出現時刻差算出手段,
21C:ひずみ率算出手段,21D:交流腐食リスク評価手段,
L:電線

Claims (4)

  1. 商用周波数の1周期に当たる単位計測時間で設定サンプリング間隔毎に計測されたクーポン電流の計測値からクーポン交流電流密度を求め、
    計測時間を複数に等区分した計測区分を設定し、
    前記計測区分毎に前記クーポン交流電流密度の区分内最大値を抽出し、
    前記区分内最大値と当該区分内最大値を構成する前記計測値の波形から求められるクーポン直流電流密度との組み合わせを前記計測区分毎に求め、
    前記組み合わせがクーポン直流電流密度とクーポン交流電流密度を指標とするカソード防食基準に合格するか否かを評価することを特徴とする埋設金属体の交流腐食リスク計測評価方法。
  2. 前記区分内最大値を構成する前記計測値の波形における最大計測値がプラス値であり最小計測値がマイナス値である場合に、前記区分内最大値に基づいて交流腐食リスクを評価することを特徴とする請求項1に記載された埋設金属体の交流腐食リスク計測評価方法。
  3. 前記最大計測値の出現時刻と前記最小計測値の出現時刻の時間差が前記単位計測時間の約1/2である場合に、前記区分内最大値に基づいて交流腐食リスクを評価することを特徴とする請求項2に記載された埋設金属体の交流腐食リスク計測評価方法。
  4. 前記区分内最大値を構成する前記計測値の波形から下記式で求められるひずみ率εが閾値以下の場合に、前記区分内最大値に基づいて交流腐食リスクを評価することを特徴とする請求項3に記載された埋設金属体の交流腐食リスク計測評価方法。
    ε= |Iave ― |Ip|| / |Ip|
    但し、Iave:クーポン交流電流密度の前記区分内最大値を構成するクーポン電流計測値の平均値、Ip:クーポン交流電流密度の前記区分内最大値を構成するクーポン電流計測値の最大値と最小値の中間値
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