JP4854297B2 - 運搬車両 - Google Patents
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Description
ところで前記した車両運搬車等は、機能上、荷台部分の姿勢を後方に傾斜させたり、荷台部分を後方から地上に降下させるものであり、後部バンパーは車両の後方に突き出した状態で取り付けられているから、荷台を傾斜させる等の際に後部バンパーが邪魔になる。
そこで積み下ろし等の作業を行う際に、後部バンパーを前方(車両を基準とする)に移動させる構造が提案されている(特許文献2)。
一方、車両の積み下ろしを行う際には、後部バンパー100を車両の前方側に移動させるが、この時のアーム101,102は、下側が車両の前方に位置する姿勢で傾斜している。
ここで路上で故障した自動車を回収する場合は、車両運搬車を運転して故障車両が停止している場所に移動し、その位置で車両運搬車を駐車して回収作業を行うこととなる。そのため作業中は、道路を通行する他の車両に衝突されないように、通行車両に注意を促す必要がある。
一般的には、車両運搬車のハザードランプを点滅させて、周囲の自動車等に注意を促すこととなる。
即ちハザードランプは、車両本体の後端部に取り付けられている場合が多いが、荷台を地上に降下させるべくリフトフレームを傾斜させると、リフトフレームや荷台がハザードランプを覆い隠してしまい、後方からハザードランプが見えなくなってしまう。
特許文献4についても、尾灯が下方向に照射され、後方からの確認が困難となる。
また本発明の運搬車両では、位置変更に際して常時後方警告部材を後方に向けた姿勢を維持しているから、後方警告部材は後方から良く見える。
本発明の車両運搬車では、車両本体の前半側または荷台部に補助警告部材が取り付けられている。本発明者らの実験によると、荷台部等に取り付けられた補助警告部材は、荷台部を高角度に傾斜させた時や、荷台部を地上に下ろした状態の時には後方から良く見える。しかしながら荷台部が車両上にあって且つ水平姿勢である場合は、搭載物や踏み板等が邪魔になって後方からの確認が困難となる。
一方、後方警告部材は、荷台部を傾斜させた際や、荷台部を降下させる際には後方から確認できるものの、荷台部を地上に下ろしてしまった後は、後方からの確認が困難となる。
そこで本発明は、荷台部等と、降下される後部バンパーの双方に警告部材を設け、両者の相乗効果により、常に警告部材が確認できる構成とした。
即ち運搬車両が停止し、荷台部が水平である状態から、荷台部を傾斜する段階、および傾斜が相当に進み、荷台部を降下させる段階までの間は、後方警告部材が後方から確認容易であり、後方の車両に運搬車両の存在を知らしめることができる。
また荷台部の傾斜が相当に進んだ状況の時以降は、荷台部等に取り付けられた補助警告部材が後方から見えやすい状態となり、後方の車両に運搬車両の存在を知らしめることができる。
従って本発明の運搬車両は、一連の作業の何れの段階においても後方の車両に存在を知らせることができる。
本発明は、例えば車両運搬車の様に、荷台部に踏み板が設けられた構成の車両に適用されるものである。車両運搬車の様に、荷台部に踏み板が設けられた車両では、踏み板を立てた状態にすると踏み板が補助警告部材と重なり、後方からの確認が困難となる場合がある。
そこで本発明の運搬車両では、車体を後方から正投影視したとき、踏み板が補助警告部材を覆う状態の場合は、後方警告部材が車体を後方から見える構成とした。そのため踏み板によって補助警告部材が見えにくい時は、後方から接近する車両に対して後方警告部材が運搬車両の存在を知らせる。
本発明の実施形態としては、補助警告部材の高さを仮にHFLとし、踏み板の最高高さを仮にHBとした時、HB≧HFLの場合に補助警告部材が後方から見える位置にある構成が考えられる。より具体的には、HB≧HFLの場合に後方警告部材は荷台部の下端よりもさらに下部にあり、後方から見える位置にある構成が考えられる。
本発明の運搬車両では、作業時位置から走行時位置に移動させる際に、揺動アームが垂下された姿勢から水平姿勢に向かって移動される。そのため本発明の運搬車両では、後方警告部材と後部バンパーの高さは、移動の前後で落差が大きいものとなる。そのため走行時位置と作業時位置の高さを大きく違わせることができる。
即ち前記した特許文献2に開示された構成によるアームの運動を見ると、アームは一方に傾斜した姿勢から垂下した姿勢に至り、さらに逆方向に傾斜した姿勢となる。そのため後部バンパーの高さは、高い位置から一端低下し、再度上昇する。
これに対して、本発明の運搬車両では、作業時位置から走行時位置に移動させる際に、揺動アームが垂下された姿勢から水平姿勢に向かって移動する。そのため後方警告部材と後部バンパーは、最も低い位置から常に上昇傾向となる。もちろん、走行時位置から作業時位置に移動させる場合には、揺動アームは水平姿勢に近い状態から垂下された姿勢に向かって移動することとなる。
一方、後部バンパー側に力が掛かると、この力は伝達機構に伝わる。ここで前記した様に、機素の少なくとも一つは、思案点を越えた位置にあるから、後部バンパー側から力が掛かると、当該機素は、さらに正方向に運動しようとする。そのため後部バンパー側からの力に抗することができ、後部バンパーの移動が阻止される。
図1〜図6は、本発明の車両運搬車を示し(a)はその正面図であり、(b)は右側面図である。
車両運搬車1は、図1〜6に示すような構造であり、トラック(車両運搬車)1の車体4に車両積載装置2が搭載されたものである。車両積載装置2は、大きく分けてリフトフレーム3と、チルト機構5及びスライドボディ(荷台部)6によって構成されている。
リフトフレーム3は、トラック(車両運搬車)1の車体4のサブフレーム7に設置されており、トラック(車両運搬車)後端側に設けられたピン(図示せず)を中心として揺動する。即ち図3、図4の様に傾斜姿勢をとることができる。
即ち踏み板8はスライドボディ(荷台部)6の後端にあって起立姿勢と平置姿勢とに姿勢変更可能である。スライドボディ(荷台部)6は姿勢や位置が変わるので、踏み板8の最高高さも変化する。各図において、踏み板8の最高高さはHBである。またスライドボディ(荷台部)6の後端部分の最低地上高はHRである。
前記した様にスライドボディ(荷台部)6は姿勢や位置が変わるので、補助警告部材33の中心部の高さも変化する。各図において、補助警告部材33の高さはHFである。
車両を積み下ろしする場合には、図2の様に後部バンパー14を降下させた後、図3の様にスライドボディ(荷台部)6を車両後端側に移動させ、リフトフレーム3を傾斜させ、図4の様に最高角度まで上昇させる。
そしてさらにスライドボディ(荷台部)6を車両後方側に移動させ、図5の様にスライドボディ(荷台部)6の後端を地面に着地させてスライドボディ(荷台部)6をずり下ろす。
図6の様にスライドボディ(荷台部)6の底面の全域が着地したならば、図6実線の様に踏み板8を水平姿勢にし、車両を搬入又は搬出する。
バンパー装置10は、後記する様に平行リンクを採用したものであり、後部バンパー14を平行移動させることができる。従って後方警告部材56についても平行移動し、その間、後方警告部材56は常に後方を向いている。
即ち後部バンパー14及び後方警告部材56は、図1の様な走行時位置から図2の様な作業時位置に移動することができる。走行時位置においては後部バンパー14は、車両運搬車1の後方に突出し、その高さは車体4に近い高さである。
これに対して作業時位置は、車両前方側であり、その高さは、地面近傍であって著しく低い。
作業時位置の後方警告部材56の高さは、低いほど好ましく、前記した様に地面近傍であることが理想的である。即ち作業時位置の後方警告部材56の高さが、走行時位置と大差なく、具体的には両者の差が二倍未満である場合は、リフトフレーム3を僅かに傾斜しただけでスライドボディ(荷台部)6の影に後方警告部材56が隠れてしまう。
例えば路上に停止した故障車を回収する場合であれば、図1に示すような状態で車両運搬車1を走行させ、現場に向かう。
即ちリフトフレーム3を水平姿勢にし、スライドボディ(荷台部)6は、リフトフレーム3上に引き上げられている。スライドボディ6に設けられた踏み板8は、立てた状態である。
後部バンパー14は走行時位置にある。即ち後部バンパー14は、荷台に近い高さに固定されている。
即ち走行時や作業開始前の停車時においては、
HB(踏み板の最高高さ)≧HFL(補助警告部材の高さ)
の関係にあり、補助警告部材33は、踏み板8が邪魔になって後方からは確認しにくい状態であるが、
HRL(後方警告部材の高さ)<HR(荷台部最低地上高)
であるから後部バンパー14に取り付けられた後方警告部材56は明確に視認することができる。
この様に車両運搬車1を後方から正投影視したとき、踏み板8が補助警告部材33を覆うが、後方警告部材56はスライドボディ(荷台部)6の後端部よりも高さが低い位置にあるから、後方から正投影視可能である。
このとき、本実施形態では、平行リンクを利用して後部バンパー14が移動されるから、移動の最中においても移動後においても後部バンパー14の姿勢は変わらない。そのため後部バンパー14に取り付けられた後方警告部材56の照射面56aは、移動の最中及び移動後においても、走行時位置の姿勢(地面と略垂直)と同一であり、常に後方に向いている。
この時の状態を後方から観察すると図2(b)の通りである。即ちスライドボディ6に設けられた補助警告部材33は、依然として踏み板8が邪魔になって後方からは確認しにくい状態であるが、後部バンパー14に取り付けられた後方警告部材56は明確に視認することができ、後方から接近する車両は、車両運搬車1の存在を知ることができる。
HB(踏み板の最高高さ)≧HFL(補助警告部材の高さ)
の関係にあり、補助警告部材33は、踏み板8が邪魔になって後方からは確認しにくい状態であるが、HRL(後方警告部材の高さ)<HR(荷台部最低地上高)であるから後部バンパー14に取り付けられた後方警告部材56は明確に視認することができる。
言い換えると、車両運搬車1を後方から正投影視したとき、踏み板8が補助警告部材33を覆うが、後方警告部材56は後方から正投影視可能である。
この時の状態を後方から観察すると図3(b)の通りであり、リフトフレーム3が傾斜してスライドボディ(荷台部)6の前方側が持ち上がる。その結果スライドボディ(荷台部)6に取り付けられた補助警告部材33の高さが踏み板8の高さを越え、後方から補助警告部材33を確認することができる状態となる。
また図3の状態の時には、リフトフレーム3の角度は最高角度には至っておらず、スライドボディ6と地面との間には隙間がある。そのため後部バンパー14に取り付けられた後方警告部材56も後方から視認することができる。
踏み板8を水平姿勢にすると、スライドボディ6に取り付けられた補助警告部材33を遮るものが無くなるので、補助警告部材33を後ろから確認することができる。
バンパー装置10は、上記した車両運搬車1の後端部に取り付けられるものである。
バンパー装置10は、実際の設計では、後記する様な立体的なリンク機構を備えたものであるが、理解を容易にするために平面的なスケルトン図をもってバンパー装置10の構造を説明する。
図7、図8は、本発明の運搬車両で採用する第一実施形態のバンパー装置の正面図であり、図7は後部バンパーが作業時位置にあるときの状態を示し、図8は、後部バンパーが走行時位置にあるときの状態を示す。
図9〜11は、本発明の運搬車両で採用する第一実施形態のバンパー装置のスケルトン図であり、図9は後部バンパーが作業時位置にあるときの状態を示し、図10は後部バンパーが作業時位置から走行時位置に至る途中の状態を示し、図11は後部バンパーが走行時位置にあるときの状態を示す。
後部バンパー14は、公知のそれと同様に鋼をプレス加工して作られたものであり、反射板や後方警告部材56たるハザードランプ等が取り付けられている。コロ19は、自由回転するゴム車輪である。
ここで固定部材18は、トラック(車両運搬車)1のサブフレーム7の後部に溶接される部材であり、トラック(車両運搬車)1のサブフレーム7と一体であって相対移動はしない。
バンパーアーム16は、その先端に後部バンパー14が取り付けられたものである。
揺動アーム15は、固定部材18に対してピン20によって取り付けられ、揺動アーム15の基端側は、固定部材18に対して揺動可能である。
また揺動アーム15の先端側には、ピン21を介してバンパーアーム16の基端部が接続されている。
揺動アーム15には、接地部材24が設けられている。接地部材24は、揺動アーム15に一体的に取り付けられており、バンパー装置10が図6(a)、図9の様な作業時姿勢にあるとき、接地部材24の柱部24aは略垂直姿勢となる。
また固定部材18のピン20,23間の長さは、対向する機素たるバンパーアーム16のピン21,22間の長さと等しい。なお固定部材18のピン20,23間は、トラック(車両運搬車)1の車体に対して平行であり、トラック(車両運搬車)1が水平面に停止している場合、固定部材18のピン20,23間は、水平である。
揺動アーム15の傾斜姿勢を変化させると、バンパーアーム16の位置は、次第に上昇し、且つトラック(車両運搬車)1の前後方向においては、後方に移動する。
逆転防止機構部12は、回動部材25と連接リンク26によって構成されている。回動部材25は、ピン28によってトラック(車両運搬車)1のサブフレーム7に取り付けられておりピン28を中心として回動する。回動部材25の形状は、略三角形であり、一辺側に扇形の凹部37がある。また長辺の部位に小さな凹部36がある。凹部36は、係合部として機能し、後記する様に、走行時においてはスライドボディ(荷台部)6の一部と係合し得る位置にある。
動力部13は、油圧シリンダー27(駆動源)を主たる部材とするものである。
即ち回動部材25の一部に連接リンク26の基端部がピン29を介して回動可能に接続され、連接リンク26の先端部は、ピン31を介してバンパー駆動部11の揺動アーム15の中間部に接続されている。
また油圧シリンダー27は、シリンダーエンド側がピン32を介してトラック(車両運搬車)1のサブフレーム7に取り付けられており、ロッド30の先端部がピン35を介して回動部材25に取り付けられている。
即ち本実施形態のバンパー装置10では、油圧シリンダー27のロッド30を伸縮させることによって回動部材25を回転し、さらに回動部材25の回転に応じて連接リンク26が運動し、揺動アーム15の傾斜角度を変化させてバンパー駆動部11を運動させ、後部バンパー14を移動させるものであるが、後部バンパー14が一連の移動動作を行う間に、回動部材25が思案点を越えて回動する。
図12〜14は、図9〜11に示すバンパー装置のスケルトン図の中で、回動部材25の部位を拡大したスケルトン図であり、図12は後部バンパーが作業時位置にあるときの状態を示し、図13は後部バンパーが作業時位置から走行時位置に至る途中の状態を示し、図14は後部バンパーが走行時位置にあるときの状態を示す。
そのため油圧シリンダー27が収縮する際には回動部材25に矢印E方向(矢印E方向は説明の中で正方向と称する場合もある)のトルクを与える。また後部バンパー14側(連接リンク26)からの反力は、回動部材25に矢印E方向とは逆方向のトルクを与える。
思案点は、図13に示すように揺動アーム15側のピン29の位置が回転中心28の高さ近傍に至る位置である。より厳密には、連接リンク26の延長線が、回転中心28を通過する位置である。即ち実際上、連接リンク26は、位置と傾斜角度の双方が変化するので、単にピン29の位置だけでは正確な思案点は特定できず、ピン29の位置が上下動し、さらに揺動アーム15の傾斜姿勢が不連続的に変化する中で、連接リンク26の延長線が、回転中心28を通過する位置が思案点である。
図7、図9は、前記した様に後部バンパーが作業時位置にあるときの状態を示す。この状態の時、後部バンパー14は、上下方向においては最も下部に位置し、トラック(車両運搬車)1の前後方向においては、前方側にある。即ち後部バンパー14は、トラック(車両運搬車)1の車体の正投影面内であって、地面近傍の位置にある。そのため車両を積み込んだり、下ろしたりする際に後部バンパー14が邪魔になることはない。
この時の揺動アーム15の姿勢は、垂下状態である。即ち先端側のピン21が下側の位置にある。前記した様に揺動アーム15は、ピン20を中心として回動するものであるから、揺動アーム15が垂直姿勢の時、先端側のピン21は最も下部に位置する。また回動部材25は、三角形の突出部分が荷台の中に沈んだ姿勢となっている。
この状態から後部バンパー14を走行時位置に移動させる場合は、前記した油圧シリンダー27のロッド30を収縮させる。その結果、回動部材25はピン28を中心として矢印E方向に回転する。
そのため連接リンク26が揺動アーム15の中間部を後部バンパー14側(車両後方側)に押し、揺動アーム15を傾斜させる。
ここで前記した様に揺動アーム15は、バンパーアーム16、補助連結部材17及び固定部材18と共に平行リンクを形成しているから、揺動アーム15の傾斜に伴って補助連結部材17が傾斜し、バンパーアーム16は、トラック(車両運搬車)1の後方に押し出される。またバンパーアーム16は高さ方向にも上昇する。
またこれらの一連の動作の間に、回動部材25は思案点を越えて回転する。
油圧シリンダー27のロッド30が縮みきったとき、後部バンパー14は、走行時に適した位置に達している。
ここで走行時における後部バンパー14に掛かる荷重は、重力等による垂直荷重と、走行時またはブレーキング時の慣性による水平荷重である。
いずれにしても、これらの荷重は、後部バンパー14を走行時位置から作業時位置に向かわせる様に作用する。より具体的には、走行時の力は、揺動アーム15が垂下姿勢となる方向に作用し、連接リンク26を油圧シリンダー27側に押し戻す方向に作用する。
従って後部バンパー14は、移動することはない。
その結果、先の動作とは逆に回動部材25が矢印Eと逆方向に回転し、回動部材25の回転によって連接リンク26が運動する。そして揺動アーム15が水平姿勢から垂直姿勢に変化し、後部バンパー14が作業時位置に至る。
また揺動アーム15は、水平姿勢から垂直姿勢に変化するので、バンパーアーム16に大きな落差を持たせることができる。
スライドボディ(荷台部)6の底面の全域が着地したならば、図6鎖線の様に起立位置にある踏み板8を図6実線のように水平姿勢にし、車両の搬入又は搬出を行う。
本実施形態のバンパー装置10では、前記した様に揺動アーム15に、接地部材24が設けられている。接地部材24は、柱状の部材であり、揺動アーム15の一部に取り付けられている。接地部材24は、揺動アーム15と一体的に運動するものであり、揺動アーム15が垂下状態にあるとき、接地部材24は、天地方向を向く姿勢となる。
接地部材24の下端は、揺動アーム15が垂下状態にあるとき、揺動アーム15の先端よりも下に位置する。
即ちトラック(車両運搬車)1は、相当に重量のある車両を積載するものであり、且つスライドボディ(荷台部)6が軸方向に移動する。そのためトラック(車両運搬車)1の車体4に局所的な集中荷重が掛かることがある。ここで集中荷重の掛かる位置が、前後の車輪列の間であるならば、大きな問題はないが、後列の車輪よりもさらに後方に荷重が掛かると、トラック(車両運搬車)全体があたかもシーソーの様に後列の車輪を支点として揺動し、前列の車輪が浮き上がってしまう場合がある。
そこで本発明では、バンパー装置10の揺動アーム15に接地部材24を設け、荷重が掛かって後輪側が沈んだ時、接地部材24を地面に着地させ、荷重を支持させることとした。
特に本実施形態では、接地部材24が揺動アーム15に取り付けられており、揺動アーム15は、積み卸し作業時には垂下姿勢となるから、接地部材24についても略垂直姿勢となり、荷台の荷重を直接的に圧縮加重として負担することができる。即ち接地部材24が受ける荷重は、軸方向に真っ直ぐであり、偏心的な成分が少ない。そのため接地部材24は座屈しにくく、高荷重に耐える。また揺動アーム15の取付部位は、剛性の高い構造とすることが容易であるから、大きな荷重を支持させることができる。
即ち回動部材25の本質的機能は、油圧シリンダー27の力をバンパー駆動部11側に伝え、逆方向の力に制限を加えることにあるから、本質的な目的を達成するためには形状はどのようなものであっても構わない。例えば円板状であっても四角形であってもよく、星形の様な多角形であってもよい。
本実施例のバンパー装置10において、敢えて三角形の回動部材25を採用したのは、トラック(車両運搬車)1の走行時における車両積載装置2の移動を防ぐためである。
即ち前記した様に車両積載装置2はリフトフレーム3にスライドボディ(荷台部)6が取り付けられており、作業時においては、スライドボディ6が移動する。
一方、走行時にはスライドボディ(荷台部)6は図示しないロック手段によって動かない様に固定されている。
そこで本実施形態では、走行時においては、回動部材25の突端を荷台側に突出させることとした。
スライドボディ(荷台部)6は、エクスパンドメタルやパンチングメタル等で床面が形成されているが、裏面側には床を支持する骨材が設けられている。本実施形態のバンパー装置10では、走行時に回動部材25の姿勢が突起側(係合部36側)を上にした姿勢であって係合部36が前方に向かう姿勢となる。そのため、万一スライドボディ(荷台部)6のロックが外れてスライドボディ(荷台部)6が移動したとしても、裏面側に設けられた骨材が突起側(係合部36)と衝突し、スライドボディ(荷台部)6を停止させる。そのため万一スライドボディ(荷台部)6のロック手段が故障しても、スライドボディ(荷台部)6が脱落する危険はない。
図15は、本発明の運搬車両で採用する実施例のバンパー装置の斜視図である。図16は、図15に示したバンパー装置の要部を抜き書きした分解斜視図である。
揺動アーム15は、角パイプで作られた主部材66を2本有し、2本の主部材66の間を二本の桟67、68によって結合したものである。また二本の桟67、68同士は、補強部材69によって結合されている。
接地部材24は、下側の桟68に取り付けられている。接地部材24についても本実施例では2セット設けられている。接地部材24は、バンパー装置40が作業時位置にある時、図15,16の様に垂直姿勢となる。接地部材24についても角パイプで作られており、先端に接地用の板71が取り付けられている。
また上部側の桟67には、連設部材取付部75が2か所に設けられている。
揺動アーム15の先端側には、ヒンジ部材70を介してバンパーアーム16の基端部が接続されている。
そして二つの平行リングは、揺動アーム15の主部材66同士を繋ぐ二本の桟67、68及びバンパーアーム16の二本の角パイプ65同士を繋ぐ後部バンパー14によって結合され、結果的に立体構造を呈している。
逆転防止機構部12は、前記した様に回動部材25と連接リンク26によって構成されているが、これらについても立体構造となっている。即ち回動部材25は、同一形状の板体72を間隔を開けて配したものである。板体72は、いずれも略三角形である。連接リンク26は2本の帯鉄によって構成されている。
従って回動部材25は、軸(ピン)28を中心として回動する。
また逆転防止機構部12の板体72同士の間には、さらに2本の軸(ピン)29,35が挿通されている。
そして連接リンク26の基端部がピン29を介して回動可能に接続され、連接リンク26を構成する2本の帯鉄の先端部は、ピン31を介して揺動アーム15の連設部材取付部75に接続されている。
また油圧シリンダー27は、図7に示す如くシリンダーエンド側がピン32を介してトラック(車両運搬車)1のサブフレーム7に取り付けられており、ロッドの先端部がピン35を介して回動部材25に取り付けられている。
また移動する際における後部バンパー14の姿勢は、常に一定であり、ハザードランプユニット(後方警告部材)61は常に後方に向く。
本実例のバンパー装置40は、剛性が高く、実用的である。
また逆に、荷台部その他の駆動に連動して後方警告部材56,61が移動するものであってもよい。
上記した実施形態では、車両運搬車1に後方警告部材56,61を搭載した例を示したが、もちろん他の運搬車両に上記した実施形態の後方警告部材56,61を搭載してもよい。例えばコンテナ運搬車、ダンプカー等に上記した実施形態の後方警告部材56,61を搭載することもできる。また上記した車両運搬車1は、荷台部6の全体が接地されるものであるが、荷台部6が傾斜姿勢となって後端部だけが接地するものや、単に荷台部が傾斜するだけでいずれの部位も接地しない様な運搬車両にも本発明を適用することができる。
2 車両積載装置
3 リフトフレーム
5 チルト機構
6 スライドボディ(荷台部)
7 サブフレーム
8 踏み板
10 バンパー装置
11 バンパー駆動部
12 逆転防止機構部
13 動力部
14 後部バンパー
15 揺動アーム
16 バンパーアーム
17 補助連結部材
18 固定部材
25 回動部材
33 補助警告部材
40,40'バンパー装置
41 補助連結部材
56 後方警告部材
61 ハザードランプユニット(後方警告部材)
Claims (9)
- 車体に対して移動可能な荷台部を備えた運搬車両において、後方から近接する車両に対して前記運搬車両の存在を電光によって知らせる後方警告部材を備え、前記後方警告部材は走行に適した走行時位置と荷台部を移動させて所定の作業を行う際に適した作業時位置とに位置変更することが可能であり、前記位置変更に際して常時後方警告部材を後方に向けた姿勢を維持し、車両本体の前半側または前記荷台部に、後方から近接する車両に対して前記運搬車両の存在を電光によって知らせる補助警告部材が取り付けられていることを特徴とする運搬車両。
- 荷台部は車体に積載されて運搬される状態の位置と、所定の作業を行う際の位置に移動可能であり、後方警告部材は、荷台部が所定の作業を行う位置に至る前に作業時位置に移動することを特徴とする請求項1に記載の運搬車両。
- 後方警告部材の作業時位置の高さは、地面近傍であることを特徴とする請求項1又は2に記載の運搬車両。
- 後方警告部材を移動させる移動機構を備え、前記移動機構は平行リンク機構であり、後方警告部材は後方に向けた姿勢で移動機構に取り付けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の運搬車両。
- 荷台部に踏み板が設けられ、前記踏み板は荷台部の後端にあって起立姿勢と平置姿勢とに姿勢変更可能であり、且つ前記荷台部は傾斜可能であって前記踏み板は荷台部の傾斜に伴って地上高が変化するものであり、車体を後方から正投影視したとき、前記踏み板が補助警告部材を覆う状態の場合は、後方警告部材が車体を後方から正投影視可能であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の運搬車両。
- 後方警告部材を移動させる移動機構を備え、前記移動機構に後部バンパーが取り付けられていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の運搬車両。
- 後方警告部材及び後部バンパーを移動させる移動機構を備え、前記移動機構は、揺動アームと、後部バンパーを保持するバンパーアームと、補助連結部材と固定部材とによって構成される連鎖機構を有し、後方警告部材を作業時位置から走行時位置に移動させる際には揺動アームが垂下された姿勢から水平姿勢に向かって移動され、補助連結部材は揺動アームの移動に伴って並列的に移動し、バンパーアームは略水平姿勢を維持したままの状態で上昇することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の運搬車両。
- 移動機構は、駆動源と駆動源の動きを後部バンパーに伝えて後部バンパーを運動させる伝達機構を備え、伝達機構を構成する機素の少なくとも一つは後部バンパー側から受ける力に対して二通りの運動が生じ得る思案点があり、後部バンパーを作業時位置から走行時位置に移動させる時に前記機素は前記思案点を越えて運動することを特徴とする請求項5又は6に記載の運搬車両。
- 運搬車両は車両運搬車であり、荷台部を地上に下ろすことができることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の運搬車両。
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