JP4854125B2 - カーボンナノチューブ及び該カーボンナノチューブを得るための加工法 - Google Patents

カーボンナノチューブ及び該カーボンナノチューブを得るための加工法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、カーボンナノチューブ(CNT)及びこのカーボンナノチューブを得るための加工法に関し、特に、低電圧のフィールドエミッションディスプレーのエミッタ、走査プローブ型顕微鏡(STM)、電池用電極材料等に利用されるカーボンナノチューブ(CNT)の加工法及び該加工法により形成されたカーボンナノチューブに関する。
【0002】
【従来の技術】
陰極線管のように大きな熱エネルギーを与えて熱電子放出を起こすのではなく、強電界を印加することで冷電子を放出する冷陰極に関する研究がデバイス面、材料面の両面において、盛んに研究開発されている。近年、円筒状に巻いたグラファイト層が入れ子状になった形状を有するカーボンナノチューブが発見され(S.Iijima,Nature,354,56,1991参照)、ダイアモンド、ダイアモンドライクカーボン等と同様に、炭素材料の電子デバイスへの応用が期待されている有用な新機能材料として各方面で注目されているところである。
【0003】
カーボンナノチューブの作成方法としては、マイクロ波プラズマCVD法(本明細書では単に「CVD法」という。)、アーク法、レーザーアブレイション法等が知られているところである。CVD法では、Fe、Co、又はNi等を含有する触媒金属を基体上に分散し、エチレン、アセチレン、メタン又は一酸化炭素ガスを原料ガスとして含む雰囲気中で400〜800℃で加熱して原料ガスを熱分解し、基体の表面からカーボンナノチューブを成長させて基板に垂直配向したカーボンナノチューブを得る技術(特開2000−57934号公報参照。)はすでに知られている。
【0004】
又、カーボンナノチューブを垂直配向させる目的で電磁石等で磁界をかけて整列する技術はすでに知られている(特開2000−86216号公報参照。)
【0005】
さらに、CVD法で得られたカーボンナノチューブをそのままの状態で使用せず、その中に含まれた夾雑物を除去して純度を高めて利用する方法が知られている。即ち、プラズマCVD法により成長して得られたカーボンナノチューブ粗生成物には、非晶質炭素、グラファイト、先端に触媒として用いた金属(以下、「触媒金属」という。例.Co材料等)や、その金属不純物が含まれているから、粗生成物を遠心分離等で除去し、さらに酸で溶かしたり、磁場中を通して触媒金属や金属不純物を除去し、純度を高める(特開平8−198611号公報参照。
)等の技術がある。
【0006】
カーボンナノチューブは、従来型の電子源に比べて低電界で電子放出することが可能である。このカーボンナノチューブの特性を活かし、例えば、低電圧のフィールドエミッションディスプレーを実現することが期待される。フィールドエミッションディスプレーのエミッタから低電圧で、十分な電子放出が可能となれば、鮮明な画像が得られ、しかもエミッタに駆動電圧を供給するディスプレーの駆動回路をよりコンパクト化できる。
【0007】
このようなことから、カーボンナノチューブは、その特性を十分活かすためには、その先端部において電界集中をより高められる構造とすることが望ましく、従来いろいろな研究開発が行われている。例えば、針状エミッタをカーボンナノチューブの集合体から構成し、その先端部を先細となるように加工する(特開平11−111158号公報)等の技術がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
このように、従来、カーボンナノチューブの電界集中を高める技術が開発されているが、簡単な工程で、しかもきわめて電界集中の高いカーボンナノチューブを得ることは困難であった。本発明は、このような従来の問題点を解決することを目的とするものであり、簡単な工程によって、しかもきわめて電界集中の高い、電子放出特性にすぐれた、先端構造を有するカーボンナノチューブを実現することを課題とする。
【0009】
CVD法で製造され垂直配向されたカーボンナノチューブは、その先端に触媒金属が残存している。本発明者等は、この触媒金属はカーボンナノチューブの先端からの電子放出を妨害しており、これを除去することにより電子放出を効果的に行うことができるものと想到した。
【0010】
この知見に基づいて、本発明はこの触媒金属を、きわめて簡単かつ単純な方法で除去することを課題とする。しかも、この触媒金属を除去することで、同時にきわめて電界集中の高いしかも耐久性を有する先端構造を実現しようとするという一挙両得を狙った、画期的かつユニークなカーボンナノチューブ及びその加工法を実現することを課題とする。
【0011】
又、カーボンナノチューブの電界集中を高めるために細くすることが考えられるが、カーボンナノチューブは直径が50〜100nmであり、通常条件では更に直径を細くすることは難しい。本発明は、さらにカーボンナノチューブを細くする加工法を実現することを課題としている。さらに、カーボンナノチューブの直径を細くし、しかも先端から触媒金属を除去することにより、さらに相乗的に電界集中を高めることを課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決するために、CVD法により基板に垂直配向されて製造された、先端に触媒金属が残存するカーボンナノチューブを加工するカーボンナノチューブの加工法であって、上記触媒金属に対向する位置に磁石を配置し、該磁石の磁力により上記触媒金属を吸着して除去し、上記カーボンナノチューブの先端にエッジを有する開端を形成することを特徴とするカーボンナノチューブの加工法を提供する。
【0013】
さらに、本発明は上記課題を解決するために、CVD法により基板に垂直配向されて製造された、先端に触媒金属が残存するカーボンナノチューブを加工するカーボンナノチューブの加工法であって、上記カーボンナノチューブを酸素プラズマでアッシングしてカーボンナノチューブの直径を細くし、上記触媒金属の重量で折れるようにして破断させ、上記カーボンナノチューブの先端にエッジを有する開端を形成することを特徴とするカーボンナノチューブの加工法を提供する。
【0014】
さらに、本発明は上記課題を解決するために、CVD法により基板に垂直配向されて製造された、先端に触媒金属が残存するカーボンナノチューブを加工するカーボンナノチューブの加工法であって、上記カーボンナノチューブを酸素プラズマでアッシングしてカーボンナノチューブの直径を細くし、その後上記触媒金属に対向する位置に磁石を配置し、該磁石の磁力により上記金属を吸着して除去し、上記カーボンナノチューブの先端にエッジを有する開端を形成することを特徴とするカーボンナノチューブの加工法を提供する。
【0015】
さらに、本発明は上記課題を解決するために、CVD法により基板に垂直配向されて製造された、先端に触媒金属が残存されたカーボンナノチューブから、上記触媒金属を除去することにより形成された開端を有するカーボンナノチューブであって、上記開端は、複数のエッジを有することを特徴とするカーボンナノチューブを提供する。
【0016】
上記開端は、上記触媒金属が磁石で軸方向に吸着されて除去されたあとに形成された開端であることを特徴とする。
【0017】
上記開端は、上記カーボンナノチューブが酸素プラズマでアッシングされて直径が細くされ、上記触媒金属の重量で折れて破断されて形成された開端であることを特徴とする。
【0018】
上記開端は、上記カーボンナノチューブが酸素プラズマでアッシングされて直径が細くされ、その後上記触媒金属が磁石で軸方向に吸着されて除去することにより形成された開端であることを特徴とする。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明に係るカーボンナノチューブ及び該カーボンナノチューブを得るための加工法の実施の形態を実施例に基づいて図面を参照して以下説明する。
【0020】
上述したとおり、カーボンナノチューブは、低電界で電子放出が可能であるという特性があり、この特性を十分活かすためには、その先端部において電界集中をより高められる構造とすることが望ましい。電界集中を高めるためには、カーボンナノチューブの先端を鋭角にすることが効果的である。そこで、本発明者等は、この点を解決する技術を鋭意研究開発した結果、次の三つの実施例で示す発明を想到するに至った。
【0021】
(実施例1)
図1(a)は、CVD法により基板に垂直配向して製造されたカーボンナノチューブの先端付近を示す図である。図1(a)に示すように、カーボンナノチューブ1の先端には、Fe、Co、又はNi等を含有する触媒金属2が残存している。本発明者等は、この触媒金属2に注目し、この残存する触媒金属2が電子放出特性に悪影響を及ぼすのではないかと考え、これを除去することを考えた。そして、本発明者等は、このカーボンナノチューブ1の先端に残存した触媒金属2の除去を、磁石(永久磁石又は電磁石)の磁力を利用して行うという着想を得た。
【0022】
本発明の大きな特徴は、カーボンナノチューブ1の先端に残存した触媒金属2を磁石で吸着して除去するというきわめて簡単な加工法である。たまたま、前述した特開2000−86216号公報には、カーボンナノチューブを垂直にガイドする目的で磁石を利用した構成が示されているが、これはむしろ、この公報にも記載されているとおり、磁界でガイドするために触媒金属を除去しないものであり、触媒金属を除去する目的の本発明は、この公知例とは全く異なる発想に基づくものである。
【0023】
ところで、磁力により触媒金属2を吸着して除去するプロセスでは、触媒金属2をカーボンナノチューブ1の先端部から強制的吸着して機械的に剥ぎ取るようにして除去することとなるので、図1(b)に示すように、触媒金属2が除去された加工後のカーボンナノチューブ1’の先端部には、カーボンナノチューブ1’の中空部3が開口する開口端(本明細書では「開端」という。)4が形成される。
【0024】
残存する触媒金属の種類により、カーボンナノチューブ1の先端部に残存する形状が異なり、この形状によって、この開端4の形状は異なる。触媒金属がCoの場合、図1(b)に示すように、開端4は、触媒金属2が除去された部分に、全体として先端から根元にかけてが細くなり漏斗状になるように形成される。そして、この開端4には、複数の鋭角的なエッジ(小さな突起)5がバリ状に形成される。
【0025】
このように鋭角的な複数のエッジ5が形成された開端4では、複数のエッジ5の中の一つのエッジの先端が、きわめて電界集中の高い電界放出面を構成することとなる。要するに、本発明では、カーボンナノチューブ1の先端に残存した触媒金属2を磁石で吸着して除去するという、きわめて簡単であるが画期的で、かつ低コストな加工法を提供するものであり、この加工法を採用することにより得られたカーボンナノチューブ1’は、その先端に形成されたエッジ5がすぐれた電界放出特性を発揮するという、相乗的な効果が生じる。
【0026】
さらに本発明に係る加工法で得られた加工後のカーボンナノチューブ1’のすぐれている点は、開端4には鋭角的なエッジ5が複数形成されている構成であるために、その中の一つのエッジ5がきわめて電界集中の高い、電子放出特性にすぐれた電界放出面として機能し、電界が集中的にかけられることで経年劣化が生じ、電子放出特性が低下した場合は、別の鋭角的なエッジ5が電子放出面として新たに機能を開始する。
【0027】
このように本発明は、1本のカーボンナノチューブ1’の開端4には、一つのエッジが経年劣化しても別のエッジが機能するというように、次々と電子放出機能を発揮する複数のエッジ5を有しているので、カーボンナノチューブ1’の電子放出についての寿命はきわめて長い。従って、従来は多数本のカーボンナノチューブから成るフィールドディスプレーにおいて、少数本のカーボンナノチューブが経年劣化するとディスプレー全体の表示性能が低下したが、本発明はこのようなことが改善できる。
【0028】
図2は、実施例1の図1(b)に示すカーボンナノチューブ1’を製造するために、CVD法で得られた図1(a)に示すカーボンナノチューブ1を加工する磁石式加工装置を示す。磁石式加工装置6は、基台7と、基台7上に設けられた載置盤8及び左右一対支持杆9を有する。左右一対の支持杆9によって、基台7と対向し、且つ平行に支持板10が取り付けられている。
【0029】
支持板10の中央部に磁石駆動装置11が取り付けられている。磁石駆動装置11は、支持板10を貫通して取り付けられたガイド筒12と、ガイド筒12内を上下動するロッド13と、ロッド13を駆動する油圧ピストン14と、ロッド13の先端に、且つ載置盤8に対向して取り付けられた円盤状の永久磁石15とから構成される。なお、ロッド13は、モータで駆動されるラック・ピニオンや螺子軸等の駆動機構、あるいは電磁装置によって駆動されるような構成としてもよい。
【0030】
この磁石式加工装置6により、本発明に係るカーボンナノチューブ1’を得るための加工を行う場合には、CVD法により基板16上に垂直配向されて製造されたカーボンナノチューブ1を、載置盤8上に載置する。そして、磁石駆動装置11の油圧ピストン14を制御して永久磁石15を所定の位置まで下降する。ここで、所定の位置とは、永久磁石15が、その磁力により触媒金属2を吸着して除去できる程度に載置盤8から離れた間隔sを形成する予め定められた位置である。なお、間隔sは上記のとおり磁石の磁力等を考慮して設定されるが、場合(例.弱い磁石を利用する場合等)によっては、永久磁石15をカーボンナノチューブの先端に接触させる必要がある。
【0031】
このようにして、永久磁石15で、触媒金属2をその先端に有するカーボンナノチューブ1から触媒金属2を吸着し除去すると、カーボンナノチューブ1’の先端は上述したように、触媒金属2が除去された部分が全体として漏斗状の開端4が形成され、開端4には鋭角的なエッジが複数形成される。
【0032】
次に、実施例1の具体的な実験例を説明する。この実験例では、基板として多結晶Coを利用して得られたカーボンナノチューブを図2に示す磁石式加工装置で触媒金属の除去した。このように触媒金属を除去して得られたカーボンナノチューブ、及び触媒金属を除去しないカーボンナノチューブについて、夫々電界を加えてその先端に生じる電流密度を測定した。
【0033】
図3は、この実験結果を示す。図3中、黒四角(従来条件のCNT)は触媒金属の除去を行わないカーボンナノチューブの電界強度−電流密度の状態を示し、白四角(magnet treatment)は本発明による触媒金属の除去を行ったカーボンナノチューブの電界強度−電流密度の実験結果を示す。この図3に示す実験結果によると、本発明による触媒金属の除去を行ったカーボンナノチューブは、行わない場合のカーボンナノチューブに比較すると明らかに電流密度が増大し、本発明の触媒金属の除去処理により顕著な効果が生じることが確認できた。
【0034】
(実施例2)
次に、本発明に係るカーボンナノチューブ及びこのカーボンナノチューブを得るための加工法の実施例2を説明する。この実施例2では、CVD法により製造されたカーボンナノチューブの先端に残存する触媒金属を除去するために、アッシングによりカーボンナノチューブを細く加工し、触媒金属の自重によって触媒金属のすぐ下の部分から破断して触媒金属を除去する。
【0035】
これを図4で説明する。図4(a)は、CVD法により基板上に垂直配向されて製造されたカーボンナノチューブ1の先端部を示しており、先端の黒い部分は触媒金属2である。このカーボンナノチューブ1をアッシングすると図4(b)に示すように、触媒金属2は変わらないが、カーボンナノチューブ1は酸化されて細くなっていく。17は細くなったカーボンナノチューブを示し、アッシングする前のカーボンナノチューブ1に比較して直径が50%程度減少している。
【0036】
そして、カーボンナノチューブ17は、触媒金属2の重量で触媒金属2のすぐ下の部分18から破断し触媒金属を除去することができる。その結果、図4(c)に触媒金属2を除去した後のカーボンナノチューブ17’の先端拡大図を示すように、カーボンナノチューブ17’の先端には、実施例1同様に、複数の鋭角状のエッジ19を有する開端20が形成される。
【0037】
このようにカーボンナノチューブ17’が細くなり、しかもその先端が破断して鋭角状のエッジ19を有する開端が形成されると、カーボンナノチューブ17’の開端を細くでき、しかもエッジ19によって電界集中を高めることができる。従って、実施例2によれば、先端の触媒金属2を除去するだけでなく、電界集中をより高めることのできるカーボンナノチューブ17’を得ることができ、すぐれた相乗的な効果が生じる。
【0038】
図5は、実施例2のカーボンナノチューブ17’を得るためのアッシングを行う加工装置を示す。このアッシング式加工装置21で実施例2のカーボンナノチューブ17’を得る具体的な加工法を説明する。
【0039】
このアッシング式加工装置21は、真空ポンプ22で真空状態にされる真空室23を有している。このアッシング式加工装置21は、カーボンナノチューブを作成する装置を兼ねており、カーボンナノチューブを作成する際には真空室23に導管24で、水素及びメタンが導入可能なように構成されている。そして、真空室23内で、陽極25と陰極26間に電圧印加され、しかもマイクロ波発生装置27でマイクロ波(2.45Ghz)がかけられるように構成されている。
【0040】
このアッシング式加工装置21により、実施例2のカーボンナノチューブ17’を得るための加工を行う場合には、CVD法により基板16上に垂直配向されて製造されたカーボンナノチューブ1を、陰極26近くに置き、導管24で酸素を導入する。
【0041】
そして、真空室23内にマイクロ波を作用すると、酸素が励起されてプラズマ状態(酸素プラズマ)となり、活性酸素が真空室23内に充満する。この活性酸素が、カーボンナノチューブのカーボンと反応し、カーボンを酸化、即ち燃焼させる。これにより、カーボンナノチューブ1の表面は燃焼灰として徐々に除去され、図4(b)に示すカーボンナノチューブ17の如く細く加工される。
【0042】
このように、カーボンナノチューブ17は細められると、上述したように最終的には、カーボンナノチューブ17は触媒金属2の重量で触媒金属2のすぐ下の部分18から破断して、その結果、触媒金属2を除去することができ、先端破断部はエッジ19を有する開端20が形成される。これにより、先端の触媒金属2が除去され、しかも開端20のエッジで電界集中をより高めることのできるカーボンナノチューブ17’が得られる。
【0043】
次に、実施例2の具体的な実験例を説明する。この実験例では、基板として多結晶Coを利用して得られたカーボンナノチューブを図5に示すアッシング加工装置で酸素プラズマアッシングを行った。真空室のO圧は0.1Torrとし、アッシング時間を40、60、80秒の夫々の条件で加工した。このようにして加工したカーボンナノチューブ、及びアッシング加工をしない状態のカーボンナノチューブについて、その印加電圧を変えて電流密度を測定した。
【0044】
図6は、その実験結果である電圧−電流密度を示す。黒印はアッシング加工をしない状態のカーボンナノチューブ(従来条件のCNT)である。三角、灰色丸、白丸は、夫々40、60、80秒のアッシング時間をした場合の実験値を示している。この図6に示す実験結果によると、本発明によるアッシングを行ったカーボンナノチューブは、行わない場合に比較すると明らかに電流密度が増大し、本発明の触媒金属の除去処理により顕著な効果が生じることが確認できた。なお、アッシング時間の条件の相違によって、電流密度の大小がみられるので、アッシング時間を適宜設定することにより効果的な加工を行うことができる。
【0045】
(実施例3)
次に、本発明に係るカーボンナノチューブ及びこのカーボンナノチューブを得るための加工法の実施例3を説明する。この実施例3は、CVD法により基板に垂直配向されて製造されたカーボンナノチューブから、その先端に残存する触媒金属を除去するために、まずアッシングでカーボンナノチューブをある程度まで細く加工し、その後、磁石を利用して触媒金属を磁力で吸着することにより除去する。
【0046】
上述の実施例2では、触媒金属2の重量でカーボンナノチューブが折れて破断する程度まで細くなるようにアッシングする。しかしながら、実施例3ではカーボンナノチューブのアッシングでは、カーボンナノチューブを細くはするが、実施例2のように、触媒金属の自重によりカーボンナノチューブが折れて破断する程度まで細くは加工しない。
【0047】
実施例3では、アッシングでカーボンナノチューブを細くして、触媒金属の根元近くのカーボンナノチューブの部分を細くして磁石による触媒金属の吸着除去を促進するとともに、触媒金属が除去されて形成される開端を細くすることで、より電界集中をより高めることのできるカーボンナノチューブを得ることができる。
【0048】
従って、実施例3で得られた加工後のカーボンナノチューブは、加工前のカーボンナノチューブ1より若干細く、その先端には実施例1同様の複数のエッジを有する開端が形成されている。これにより、実施例1同様に複数のギザの中の一つのエッジの先端に電界の集中が生じる。特に実施例3のカーボンナノチューブは、カーボンナノチューブの先端がアッシングで細められているから電界集中効果がより大きくなる。
【0049】
又、実施例3は、実施例2と異なり触媒金属除去のための加工においてカーボンナノチューブを余り細くする必要がないので、カーボンナノチューブの機械的な強度を十分維持することができる。そして、実施例2同様にアッシングする前のカーボンナノチューブに比較して直径を50%程度に減少させると触媒金属除去をより効果的に行える。
【0050】
次に、実施例3の具体的な実験例を説明する。この実験例では、基板として多結晶Coを利用して得られたカーボンナノチューブを図5に示すアッシング加工装置で酸素プラズマアッシングを行った。この加工条件は、真空室のO圧は0.1 Torrとし、アッシング時間は20秒である。このようにして得られたカーボンナノチューブを図2に示す磁石式加工装置で触媒金属の除去を行った。そして、触媒金属を除去しないカーボンナノチューブ、アッシングのみ行ったカーボンナノチューブ、アッシングに加えて触媒金属を除去して得られたカーボンナノチューブについて、夫々その印加電圧を変えて電流密度を測定した。
【0051】
図7は、その実験結果である電圧−電流密度を示す。黒印はアッシング加工をしない状態のカーボンナノチューブ(従来条件のCNT)、白丸はアッシングのみのカーボンナノチューブ、灰色丸はアッシングと磁石による除去を行った実施例3のカーボンナノチューブについての夫々の実験データである。これによると、アッシング加工と磁石による除去処理を行った実施例3のカーボンナノチューブの場合が最も電流密度が増大し、顕著な効果が生じることが確認できた。
【0052】
以上、本発明の実施の形態を実施例に基づいて説明したが、本発明は以上の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲記載の技術的事項の範囲内でいろいろな実施例があることは言うまでもない。
【0053】
【発明の効果】
本発明は、以上のような構成であるから、次のような効果が生じる。
(1)簡単な工程、低コストで、きわめて電界集中の高い、電子放出特性にすぐれた開端を有するカーボンナノチューブを得ることができる。特に、本発明に係るカーボンナノチューブは、先端の電子放出を阻害する触媒金属を除去し、しかもその開端にはエッジが形成されているから、電界集中をより高めることができ、電子放出特性の優れたカーボンナノチューブを実現できる。そして、開端に複数のエッジが形成されているから、電子放出をしているエッジが劣化しても次々と別のエッジが機能するから、電子放出の点で長寿命化が図れる。
【0054】
(2)さらに、本発明に係る加工法によれば、カーボンナノチューブを簡単に細くすることができるので、電界集中の高い加工法を実現することができ、しかも先端から触媒金属を除去することにより、さらに相乗的に電界集中を高めることができるとともに耐久性が向上する。
【0055】
(3)本発明に係るカーボンナノチューブは、その中空部が開端で開口しているから、リチウム電池等の陰極材料として使用する場合は、開端から中空部内面にかけて電極表面積の増大が図れ、高密度、高性能電池用の電極素材を提供することができる。又、同様の理由でガス吸着材料(H、CH等)としても有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るカーボンナノチューブの実施例1構成を説明する図である。
【図2】本発明に係るカーボンナノチューブの加工法の実施例1を実施する装置を示す図である。
【図3】本発明に係るカーボンナノチューブの実施例1の実験例の結果を示すグラフである。
【図4】本発明に係るカーボンナノチューブの実施例2構成を説明する図である。
【図5】本発明に係るカーボンナノチューブの加工法の実施例2を実施する装置を示す図である。
【図6】本発明に係るカーボンナノチューブの実施例2の実験例の結果を示すグラフである。
【図7】本発明に係るカーボンナノチューブの実施例3の実験例の結果を示すグラフである。
【符号の説明】
1 加工前の触媒金属付きカーボンナノチューブ
1’ 加工後の触媒金属の除去されたカーボンナノチューブ
2 触媒金属
3 カーボンナノチューブの中空部
4、20 カーボンナノチューブの開端
5、19 開端のエッジ
6 磁石式加工装置
7 基台
11 磁石駆動装置
12 ガイド筒
13 ロッド
14 油圧ピストン
15 永久磁石
16 基板
17 細く加工された触媒金属付きカーボンナノチューブ
17’ 触媒金属の除去された加工後のカーボンナノチューブ
21 アッシング加工装置
22 真空ポンプ
23 真空室
25 陽極
26 陰極
27 マイクロ波発生装置

Claims (2)

  1. CVD法により基板に垂直配向されて製造された、先端に触媒金属が残存するカーボンナノチューブを加工するカーボンナノチューブの加工法であって、
    上記触媒金属に対向する位置に磁石を配置し、該磁石の磁力により上記触媒金属を吸着して除去し、上記カーボンナノチューブの先端にエッジを有する開端を形成することを特徴とするカーボンナノチューブの加工法。
  2. CVD法により基板に垂直配向されて製造された、先端に触媒金属が残存するカーボンナノチューブを加工するカーボンナノチューブ加工法であって、
    上記カーボンナノチューブを酸素プラズマでアッシングしてカーボンナノチューブの直径を細くし、その後上記触媒金属に対向する位置に磁石を配置し、該磁石の磁力により上記金属を吸着して除去し、上記カーボンナノチューブの先端にエッジを有する開端を形成することを特徴とするカーボンナノチューブの加工法。
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