JP4853885B2 - イオンセンサ - Google Patents
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Description
また、内部溶液をなくして直接Ag/AgCl電極にイオン感応膜を形成したイオン選択性電極としてcoated wireが報告されている(非特許文献2参照)。
第一電極板と、
前記第一電極板に対向して配置され、一つあるいは多数個の開口部を有する第二電極板と、
前記第一電極板と前記第二電極板との間に介装されるとともに、前記第二電極板が有する前記開口部の一側を塞いで、さらに当該開口部一側の端部から前記開口部の内壁面を介して前記第二電極板の外側面に亘って連続して形成されるイオン感応膜と、
被測定溶液のイオン濃度を測定する際に、前記開口部内及び前記第二電極板の外側面に形成されたイオン感応膜のみが前記被測定溶液と接触するように第二電極板を支持するセンサ支持体と、を備え、
前記第一電極板と前記第二電極板との間に介装されたイオン感応膜の厚さと、前記第二電極板の外側面に形成されたイオン感応膜の厚さとが異なるように構成して、前記第一電極板と前記第二電極板との間の電位差を測定するイオンセンサである。
1−2 第一電極板
1−3 第一電極板
2−1 イオン感応膜
2−2 イオン感応膜
2−3 イオン感応膜
3−1 第二電極板
3−2 第二電極板
3−3 第二電極板
4−1 センサ支持体
4−2 センサ支持体
5−1 配線
5−2 配線
5−3 配線
5−4 配線
6−1 半田
6−2 半田
6−3 半田
6−4 半田
6−5 半田
7−1 電位差計
7−2 電位差計
7−3 電位差計
8、18、28 開口部
9 被測定溶液
9−1 導電性高分子膜
9−2 導電性高分子膜
10、20、30、40 イオンセンサ
また、同様の用途及び機能を有する部材には同符号を付してその説明を省略する。
図1は、本発明の一実施形態であるイオンセンサの基本構造を示す概略断面図である。図2は、イオンセンサの先端の構造を示す概略断面図である。
イオンセンサ10は、被測定溶液9中に存在する所定のイオンのイオン濃度を測定するセンサであり、図1に示すように、第一電極板1−1、第二電極板3−1、イオン感応膜2−1及びセンサ支持体4−1を主に具備している。
なお、開口部の開口数や開口部の形状は、特に限定するものではなく、例えば多数個の開口部を設けたり、また、円形状以外の形状にしたりして、開口部を適宜構成とすることが可能である。
また、上記第一電極板1−1及び第二電極板3−1の電極材料としては、Ag/AgCl電極に特に限定するものではなく、例えば白金、金、グラシーカーボンなどを用いることができる。
なお、センサ支持体は、本実施例のように円筒状部材に限定するものではなく、例えばシート状のセンサ支持体であってもかまわない。
図1に示すように、第一電極板1−1と第二電極板3−1との間には、所定厚さt1のイオン感応膜2−1(イオン感応膜内層2−1(a))が介装されている。第一電極板1−1の大きさとしては、その直径D1を2.5mmとした。また、第二電極板3−1の大きさとしては、その直径を6mmとして開口部8の直径(穴径)D2を2.5mmとした。
なお、これらの電極板の大きさや形状は、特に限定されるものでなく、本発明に係るイオンセンサの機能を発揮することが可能である構成条件において、自由な形状を適宜選択することができる。
被測定溶液9中のカリウムイオンのイオン濃度を測定する際に、被測定溶液9と接触する第二電極板3−1の外側面11に形成されたイオン感応膜外層2−1(b)により、第二電極板3−1と被測定溶液9の間には、溶液中の測定イオン濃度に応じたイオン感応膜外層2−1(b)の電位差が生じている。
一方、第二電極板3−1には開口部8が設けられているので、イオン濃度測定時において開口部8の内部に形成されたイオン感応膜外層2−1(b)に被測定溶液9が接触し、当該被測定溶液9はイオン感応膜外層2−1(b)及びイオン感応膜内層2−1(a)を介して第一電極板1−1と面することになる。このため、溶液中の測定イオン濃度に応じたイオン感応膜内層2−1(a)の電位差は、第一電極板1−1と溶液間の電位差となる。ここで、第一電極板1−1と第二電極板3−1の間に介装されるイオン感応膜内層2−1(a)の厚さt1と、第二電極板3−1の外側面11上のイオン感応膜外層2−1(b)の厚さt2とは異なる厚さであるとともに、イオン感応膜内層2−1(a)の厚さt1は第二電極板3−1の外側面11上のイオン感応膜外層2−1(b)の厚さt2より厚くなっている。この2つの電極板1−1、3−1上でのイオン感応膜2−1の厚さの違いにより、2つの電極板1−1、3−1間で電位差が生じる。この電位差を測定する(イオンセンサ10の出力変化(mV)を測定する)ことにより、溶液中のイオン濃度を計測することが可能となる。すなわち、従来イオンセンサに必要であった参照電極及び内部溶液を使わずに、溶液中のイオン濃度を計測することが可能となる。
図3は本発明に係る実施例1におけるイオンセンサ10を用いてカリウムイオン濃度によるセンサ出力変化(mV)を示した図である。被測定溶液9としては、トリス−ホウ酸緩衝液中に異なるKCl濃度を溶解してカリウムイオン濃度が10−5mol/lから10−1mol/lまでのものを用いた。図3からわかるように10−5mol/lでは少し感度が落ちているが、10−4mol/l以上のカリウムイオン濃度に対しては、直線性が良く、センサ感度として36mV/decadeが得られた。このように本発明に係るイオンセンサ10が、参照電極や内部溶液を使わずにイオンセンサとして適用可能であることが分かった。
なお、本実施例にて説明するイオンセンサ20を構成する第一電極板1−1、イオン感応膜2−1、センサ支持体4−1のそれぞれについては実施例1と同様のものであるためそれらの説明を省略し、実施例1にて説明したイオンセンサ10の第二電極板3−1の別形態である第二電極板3−2についてのみ説明する。
このように、実施例1の第二電極板3−1の替わりに複数個の開口部18を有する第二電極板3−2を適用することにより、例えば柔軟性を有するイオン感応膜などを電極板間に介装する場合においても、イオン感応膜の下側部分の保持が容易になり、イオンセンサとしての機械的強度が増すことができる。
なお、開口部18の形状としては複数個の円でも、格子状のものでもよく、任意の形状をとることができる。
第一電極板1−1と、
前記第一電極板1−1に対向して配置され、一つの開口部8を有する第二電極板3−1あるいは多数個の開口部18を有する第二電極板3−2と、
前記第一電極板1−1と前記第二電極板3−1あるいは前記第二電極板3−2との間に介装されるとともに、前記第二電極板3−1(3−2)が有する前記開口部8(18)の一側を塞いで、さらに当該開口部8(18)一側の端部から前記開口部8(18)の内壁面を介して第二電極板3−1あるいは第二電極板3−2の外側面11に亘って連続して形成されるイオン感応膜2−1と、
被測定溶液9のイオン濃度を測定する際に、前記開口部8(18)内及び前記第二電極板3−1(3−2)の外側面11に形成されたイオン感応膜2−1のみが前記被測定溶液9と接触するように第二電極板3−1(3−2)を支持するセンサ支持体4−1と、を備え、
前記第一電極板1−1と前記第二電極板3−1(3−2)との間に介装されたイオン感応膜2−1の厚さt1と、前記第二電極板3−1(3−2)の外側面11に形成されたイオン感応膜2−1の厚さt2とを異なるように構成して、前記第一電極板1−1と前記第二電極板3−1(3−2)との間の電位差を測定するイオンセンサ10(20)を構成したことにより、2つの電極板1−1、3−1(あるいは、1−1、3−2)上に形成されたイオン感応膜2−1を被測定溶液9に接触させた際に、2つの電極板1−1、3−1(あるいは、1−1、3−2)上でのイオン感応膜2−1の厚さの違いにより、2つの電極板1−1、3−1(あるいは、1−1、3−2)間で電位差が生じるので、この電位差を測定することにより、従来イオンセンサに必要であった参照電極及び内部溶液を使わずに、溶液中のイオン濃度を計測することが可能となる。また、参照電極及び内部溶液を必要としないため、イオンセンサの小型化が可能であるとともに、測定溶液としては少量で良いため、微小検体の測定も容易になる。
図4は第一電極板1−1の面積(第二電極板3−1に対向する面の面積)に対する第二電極板3−1の開口部8の面積比を変えた時のイオンセンサ10の感度変化を示したものであり、第一電極板1−1の直径D1が2.5mmである場合において、図4中の4本の感度曲線のそれぞれが、図4中に示す開口部8の各直径(D2:1.0mm、1.5mm、2.0mm、2.5mm)に対応していることを示している。すなわち、開口部8の開口径である直径D2としては最も大きいものが2.5mmで、最も小さいものが1.0mmとして第二電極板3−1を作製してそれぞれをイオンセンサ10の第二電極板として適用して、前述した所定のカリウムイオン濃度の被測定溶液9の測定を行い、それぞれを比較した。測定結果としては、直径D2が2.5mmのものは感度が36mV/decadeであるが、径が小さくなるほど感度が小さくなり、直径D2が1.0mmのものでは感度が3mV/decadeしかなかった。このような結果から面積比が大きいほど感度を大きくすることができることが分かる。すなわち、第二電極板3−1の開口部8の直径はできるだけ大きいことが好適である。さらに、図4において、D2が1.5mm(面積比:0.36)の場合では、イオンセンサの感度として十分でなく、D2が2.0mm(面積比:0.64)の場合では、イオンセンサの感度として十分であり、これらの結果より、第二電極板3−1の開口部8の面積は第一電極板1−1の面積(第一電極板1−1における第二電極板3−1との対向面の面積)の半分より大きいことがより好ましい。
なお、上述した実施例2における第二電極板3−2の開口部18のように多数個開口部が設けられている場合においても、第一電極板1−1の面積に対する第二電極板3−2の開口部18の面積比を大きくするほど感度を大きくすることができる。すなわち、第二電極板3−2の複数個の開口部18の各直径はできるだけ大きいことが好適であり、第二電極板3−2の開口部18の総面積は第一電極板1−1の面積(第一電極板1−1における第二電極板3−2との対向面の面積)の半分より大きいことがより好ましい。
図5はイオンセンサ10における第一電極板1−1と前記第二電極板3−1の間に介装されたイオン感応膜2−1(イオン感応膜内層2−1(a))の厚さをt1として、被測定溶液9と接触する側の第二電極板3−1の外側面11上に形成したイオン感応膜2−1(イオン感応膜外層2−1(b))の厚さをt2とした場合において、t1を固定してt2を変化させた時の感度の変化を示している。ここでt1は200μmで一定にした。t2としては13μm、40μm、120μmの厚さを有するイオンセンサを作製して、前述した所定のカリウムイオン濃度の被測定溶液9の測定を行い、それぞれを比較した。ここで、前記第一電極板1−1の直径D1としては2.5mm、前記第二電極板3−1の直径としては6mmで開口部8の直径D2(開口径)が2.5mmのものを用いた。図5に示すように、t2が13μmである場合では感度は36mV/decadeであるが、t2が厚くなるほど感度が小さくなり、t2が120μmでは19mV/decadeであった。このようにt1に対してt2の膜厚を薄くするほど感度が大きくなることが分かる。このような結果より、上記実施例に係るイオンセンサにおいて、感度を向上させるには、第一電極板1−1と前記第二電極板3−1の間に介装されたイオン感応膜内層2−1(a)の厚さt1に対して、前記被測定溶液9と接触する側の第二電極板3−1の外側面11に形成したイオン感応膜外層2−1(b)の厚さt2を小さくすることがあげられる。さらに、図5において、t2が120μmm(t1/t2=1.7)の場合では、イオンセンサの感度として十分でなく、t2が40μmm(t1/t2=5.0)の場合では、イオンセンサの感度として十分である。これらの結果より、前記第一電極板1−1と前記第二電極板3−1の間に介装されたイオン感応膜内層2−1(a)の厚さt1を、前記第二電極板3−1の外側面11に形成されたイオン感応膜外層2−1(b)の厚さt2の少なくても倍以上とすること、すなわち、t1/t2>2とすることがより好ましい。
イオンセンサ30は、被測定溶液9中に存在する所定のイオンのイオン濃度を測定するセンサであり、図8に示すように、第一電極板1−2、1−3、第二電極板3−3、イオン感応膜2−2、2−3及びセンサ支持体4−2を主に具備している。
なお、開口部の開口数や開口部の形状は、特に上記に限定するものではなく、例えばさらに多数個の開口部を設けたり、また、円形状以外の形状にしたりして、開口部を適宜構成とすることが可能である。
なお、センサ支持体は、本実施例のように円筒状部材に限定するものではなく、例えばシート状のセンサ支持体であってもかまわない。
図8に示すように、イオンセンサ30は、ひとつのセンサ支持体4−2に2つのイオンセンサ素子を集積化したもの(マルチイオンセンサ。ここでいうイオンセンサ素子とは、第一電極板と第二電極板とイオン感応膜との一組のユニットのことをいう。)である。図8に示す左側のイオンセンサ素子には実施例1と同じカリウムイオンに応答するイオン感応膜2−2を形成している。また図8に示す右側のイオンセンサ素子にはナトリウムイオンに応答するイオン感応膜2−3を形成している。このイオン感応膜2−3における膜の組成としては、カリウムイオン用のイオン感応膜2−2と同じPVCと可塑剤DOAを用いており、イオン感応物質としてビス(12−クラウン−4)を用いている。その重量比としてはビス(12−クラウン−4)を7%、PVCを27%、DOAを66%とした。ここで、第二電極板3−3は両方(図8で示す左右)のイオンセンサ素子に共通して用いられている。
また、第一電極板1−2、1−3の他側と第二電極板3−3の一端には、それぞれ半田6−3、半田6−4及び半田6−5によって配線5−3、配線5−4及び配線5−1とが接続されており、第二電極板3−3と、第一電極板1−2、電極板1−3との間にそれぞれ電位差計7−2と電位差計7−3とが接続されている。これにより、第一電極板1−2と第二電極板3−3の間の電位差、及び、第一電極板1−3と第二電極板3−3の間の電位差は、電位差計7−2、7−3により測定可能となる。この電位差計7−2、7−3により測定した電位差(センサ出力変化)によって、イオンセンサ30は被測定溶液9中に含まれるカリウムイオン及びナトリウムイオンの各イオン濃度を計測することができる。このように2つのイオンセンサ素子において第二電極板3−3を共通化することにより配線数を減らすことができる。すなわち、複数個のイオンセンサを集積化しても配線数は、イオンセンサ一個では2本必要であったものが、そのままイオンセンサ数でかけた数ではなく、イオンセンサ数を足した数になる。これにより、イオンセンサ30ではイオンセンサ素子個々に独立して配線する場合に比べて大幅に配線数を減らすことができる。また、イオンセンサ30は、イオンセンサを個々に独立して形成しないですむため、製造上容易な構造とすることができる。
なお、本実施例においては、連続した1つの第二電極板3−3により第二電極板を一体的に形成したが、例えば、複数の第一電極板に対応して、第二電極板を個々配設して、この第二電極板間をそれぞれ配線して、第二電極板における電位が共通となるように構成してもかまわない。この場合においても、イオンセンサ全体の構成として大幅に配線数を減らすことができる。
図9は、本発明の第四の実施形態であるイオンセンサの基本構造を示す概略断面図である。本実施例に係るイオンセンサ40は、図9に示すように、基本的には図1で示すイオンセンサ10と同じ構造をしており、イオンセンサ10と共通する部分については、説明を省略し、イオンセンサ10と異なる部分である導電性高分子膜について説明する。
このように、本発明は、前記センサ支持体の形状が、シート状であるイオンセンサであることにより、換言すれば、前記イオンセンサを配置するセンサ支持体の形状をシート状にすることで、センサ設置箇所の省スペース化が図れる。
Claims (8)
- 第一電極板と、
前記第一電極板に対向して配置され、一つあるいは多数個の開口部を有する第二電極板と、
前記第一電極板と前記第二電極板との間に介装されるとともに、前記第二電極板が有する前記開口部の一側を塞いで、さらに当該開口部一側の端部から前記開口部の内壁面を介して前記第二電極板の外側面に亘って連続して形成されるイオン感応膜と、
被測定溶液のイオン濃度を測定する際に、前記開口部内及び前記第二電極板の外側面に形成されたイオン感応膜のみが前記被測定溶液と接触するように第二電極板を支持するセンサ支持体と、を備え、
前記第一電極板と前記第二電極板との間に介装されたイオン感応膜の厚さと、前記第二電極板の外側面に形成されたイオン感応膜の厚さとが異なるように構成して、前記第一電極板と前記第二電極板との間の電位差を測定することを特徴とするイオンセンサ。 - 前記第二電極板が有する一つあるいは多数個の開口部の総面積を、前記第一電極板における前記第二電極板との対向面の面積の半分以上としたことを特徴とする請求項1に記載のイオンセンサ。
- 前記第一電極板と前記第二電極板の間に介装された前記イオン感応膜の厚さを、前記第二電極板の外側面に形成された前記イオン感応膜の厚さの少なくても倍以上としたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のイオンセンサ。
- 請求項1または請求項2に記載のイオンセンサを、共通の前記センサ支持体に複数個配設するとともに、当該複数個のイオンセンサがそれぞれ有する各第二電極板間を配線することにより電位が共通となるようにしたこと、あるいは前記各第二電極板を連続した電極板により一体的に形成したことを特徴とするイオンセンサ。
- 請求項3に記載のイオンセンサを、共通の前記センサ支持体に複数個配設するとともに、当該複数個のイオンセンサがそれぞれ有する各第二電極板間を配線することにより電位が共通となるようにしたこと、あるいは前記各第二電極板を連続した電極板により一体的に形成したことを特徴とするイオンセンサ。
- 前記第一電極板及び前記第二電極板のそれぞれと前記イオン感応膜との間に導電性高分子膜を設けたことを特徴とする請求項1、請求項2、請求項5の何れか一項に記載のイオンセンサ。
- 前記第一電極板及び前記第二電極板のそれぞれと前記イオン感応膜との間に導電性高分子膜を設けたことを特徴とする請求項3に記載のイオンセンサ。
- 前記第一電極板及び前記第二電極板のそれぞれと前記イオン感応膜との間に導電性高分子膜を設けたことを特徴とする請求項4に記載のイオンセンサ。
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