ブリッジコンバータの二次側整流回路に、同期整流MOSFETなどの同期整流素子を用いたスイッチング電源装置として、例えば特許文献1には、主トランスの二次巻線端子に発生する電圧を同期整流MOSFETのゲートに印加して、この同期整流MOSFETを主スイッチング素子に同期させて動作する方法が開示されている。
図3は、こうしたハーフブリッジコンバータを備えたスイッチング電源装置の回路図である。同図において、Eは直流入力電源,Tは主トランスであり、主トランスT1の一次側には、入力電源Eの入力電圧Viを分割するコンデンサC1,C2と、何れもNチャネル型のMOSFETで構成される第1と第2の主スイッチング素子Q1,Q2が設けられる。また、ハーフブリッジコンバータの特徴として、コンデンサC1,C2の直列回路と、主スイッチング素子Q1,Q2の直列回路は、何れも入力電源Eの両端間に接続され、コンデンサC1,C2の接続点が、主トランスT1の一次巻線P11の一端即ちドット側端子に接続され、主スイッチング素子Q1,Q2の接続点が、一次巻線P11の他端即ち非ドット側端子に接続される。主スイッチング素子Q1,Q2は、PWM(パルス幅変調)制御回路から与えられるパルス駆動信号によってそれぞれスイッチング動作するようになっているが、ここでは全ての主スイッチング素子Q1,Q2がオフになる期間を持たせつつ、主スイッチング素子Q1,Q2のゲートに、この主スイッチング素子Q1,Q2を交互にオンする駆動信号が与えられるようになっている。
主トランスT1の二次側には、何れもNチャネル型のMOSFETで構成される二次側整流回路としての第1と第2の同期整流素子Q3,Q4と、出力端子3,4間に発生する出力電圧Voのリプル成分を低減する二次側平滑回路としてのチョークコイルL1および平滑コンデンサC3が設けられる。
より具体的には、主トランスT1は前記一次巻線P11と磁気的に結合した第1および第2の二次巻線S11,S12を有し、二次巻線S11の一端即ちドット側端子に同期整流素子Q4のドレインが接続され、二次巻線S12の他端即ち非ドット側端子に同期整流素子Q3のドレインが接続される。これらの同期整流素子Q3,Q4のソースどうしは接続され、この接続点が負極側出力端子4に接続される。一方、二次巻線S11の非ドット側端子は二次巻線S12のドット側端子と接続され、二次巻線S11,S12の直列回路を構成し、この二次巻線S11,S12の接続点がチョークコイルL1の一端に接続する。チョークコイルL1の他端は正極側出力端子3に接続され、出力端子3,4間に平滑コンデンサC3が接続される。
同期整流素子Q3のゲートに駆動信号を供給する第1の駆動回路として、二次巻線S11のドット側端子と同期整流素子Q3のゲートとの間に、コンデンサC51と抵抗R51の直列回路が接続され、さらに同期整流素子Q3のゲートとソース間には、別な抵抗R52が接続される。同様に、同期整流素子Q4のゲートに駆動信号を供給する第2の駆動回路として、二次巻線S11のドット側端子と同期整流素子Q4のゲートとの間に、コンデンサC61と抵抗R61の直列回路が接続され、さらに同期整流素子Q4のゲートとソース間には、別な抵抗R62が接続される。なお、二次巻線S11,S12を一つの巻線で構成し、そのセンタータップをチョークコイルL1の一端に接続してもよい。
さらに、上述した主スイッチング素子Q1,Q2と同期整流素子Q3,Q4は、何れもMOSFETの特性として、駆動信号の有る無しに拘らず、ソースからドレインへの電流の流れを許容するボディダイオードBD1〜BD4をそれぞれ内蔵している。
図4は、図3の回路における各部の動作波形を示したものである。同図において、VGQ2は主スイッチング素子Q2のゲート電圧、VGQ1は主スイッチング素子Q1のゲート電圧、VdsQ1は主スイッチング素子Q1のドレイン・ソース間電圧、Vs1は主トランスT1の二次巻線S11間に発生する電圧(非ドット側端子を基準としたドット側端子電圧)、VGQ3は同期整流素子Q3のゲート電圧、VGQ4は同期整流素子Q4のゲート電圧、IdsQ3は同期整流素子Q3のソースからドレインに流れる電流、IbdQ3はボディダイオードBD3のアノードからカソードに流れる電流、IdsQ4は同期整流素子Q4のソースからドレインに流れる電流、IbdQ4はボディダイオードBD4のアノードからカソードに流れる電流である。
PWM制御回路1は、出力端子3,4間に接続した負荷5に供給する出力電圧Voを監視しつつ、この出力電圧Voが一定となるように、主スイッチング素子Q1,Q2に供給するパルス駆動信号のオン期間T1,T2の時間幅を可変制御する。即ち、出力電圧Voが上昇したら、パルス駆動信号のオン期間T1,T2の時間幅を狭め、逆に出力電圧Voが低下したら、パルス駆動信号のオン期間T1,T2の時間幅を広げて、出力電圧Voの安定化を図る。PWM制御回路1からは、主スイッチング素子Q1,Q2に対して一定の間隔をおいて交互にパルス駆動信号が与えられ、主スイッチング素子Q1,Q2のそれぞれがスイッチング動作する。
そして、期間T2において、PWM制御回路1から主スイッチング素子Q2のゲートにパルス駆動信号が与えられ、この主スイッチング素子Q2がオンすると、主スイッチング素子Q2のドレイン・ソース間電圧VdsQ2は0ボルトとなり、コンデンサC2の両端間に発生する入力電圧Viを分割した電圧が、主トランスT1の一次巻線P11にドット側端子を正極性として印加される。すると、主トランスT1の二次巻線S11,S12のドット側端子に正極性の電圧が誘起され、同期整流素子Q3のゲート電圧VGQ3が高レベルに切替って、この同期整流素子Q3がオン状態になる。そのため、同期整流素子Q3のソースからドレインに電流が流れる状態となり、二次巻線S12からチョークコイルL1を通して負荷5に電力が伝送される。このように、主スイッチング素子Q2のオン期間T2中は、同期整流素子Q3もこれに同期してオンし、主トランスT1の二次巻線S12から出力側の負荷5に電力を供給しつつ、チョークコイルL1にエネルギーを蓄える整流期間となる。
やがて、PWM制御回路1から主スイッチング素子Q2へのパルス駆動信号が途絶えると、主スイッチング素子Q1,Q2のゲート電圧VGQ1,VGQ2は共に0ボルトとなって、主スイッチング素子Q1,Q2はいずれもオフ状態となり、主トランスT1の一次巻線P11への電圧印加は遮断される。そのため、主トランスT1の二次巻線S11,S12には電圧が誘起されず、同期整流素子Q3,Q4のゲート電圧VGQ3,VGQ4は共に0ボルトとなって、同期整流素子Q3,Q4は何れもオフ状態となる。一方、主トランスT1の二次側では、それまでチョークコイルL1に流れていた慣性電流によって、同期整流素子Q3,Q4に内蔵するボディダイオードBD3,BD4を通して電流が流れるようになり、チョークコイルL1に蓄えられていたエネルギーが出力側の負荷5に送り出される。このように、主スイッチング素子Q1,Q2の全てがオフする期間中は、それまでチョークコイルL1に蓄えられていたエネルギーを、ボディダイオードBD3,BD4を通して負荷5に送り出す還流期間となる。なお、それぞれのボディダイオードBD3,BD4のアノードからカソードに流れる電流IdsQ3,IdsQ4は、負荷5に供給される出力電流Ioの半分となる。
その後、今度は期間T1において、PWM制御回路1から主スイッチング素子Q1のゲートにパルス駆動信号が与えられ、この主スイッチング素子Q1がオンすると、主スイッチング素子Q1のドレイン・ソース間電圧VdsQ1は0ボルトとなり、コンデンサC1の両端間に発生する入力電圧Viを分割した電圧が、主トランスT1の一次巻線P11に非ドット側端子を正極性として印加される。すると、主トランスT1の二次巻線S11,S12の非ドット側端子に正極性の電圧が誘起され、同期整流素子Q4のゲート電圧VGQ4が高レベルに切替って、この同期整流素子Q4がオン状態になる。そのため、同期整流素子Q4のソースからドレインに電流が流れる状態となり、二次巻線S11からチョークコイルL1を通して負荷5に電力が伝送される。このように、主スイッチング素子Q1のオン期間T1中は、同期整流素子Q4もこれに同期してオンし、主トランスT1の二次巻線S11から出力側の負荷5に電力を供給しつつ、チョークコイルL1にエネルギーを蓄える整流期間となる。
やがて、PWM制御回路1から主スイッチング素子Q1へのパルス駆動信号が途絶えるが、次に主スイッチング素子Q2がオンするまでの間は、前述した還流期間と全く同じ動作となる。こうして、整流と還流を2回繰り返す一周期の動作が終了すると、再び上述した一連の動作が行なわれる。
特開2003−189622号公報
以下、本発明におけるスイッチング電源装置の好ましい一実施形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。なお、従来例と共通する素子や部品には共通の符号を付し、重複する箇所の説明は、重複を避けるため極力省略する。
図1は、本発明の一実施例を示すスイッチング電源装置の回路図である。同図において、直流電源E1と負荷5との間に接続されるハーフブリッジコンバータの構成は、従来例のものと共通しており、主トランスT1の一次側では、コンデンサC1,C2の直列回路と、主スイッチング素子Q1,Q2の直列回路が、何れも入力電源Eの両端間に接続され、コンデンサC1,C2の接続点が、主トランスT1の一次巻線P11のドット側端子に接続され、主スイッチング素子Q1,Q2の接続点が、一次巻線P11の非ドット側端子に接続される。また、主トランスT1の二次側では、二次巻線S11のドット側端子に同期整流素子Q4のドレインが接続され、二次巻線S12の非ドット側端子に同期整流素子Q3のドレインが接続される。これらの同期整流素子Q3,Q4のソースどうしは接続され、この接続点が負極側出力端子4に接続される。また、直列接続された二次巻線S11,S12の接続点がチョークコイルL1の一端に接続され、チョークコイルL1の他端が正極側出力端子3に接続され、負荷5を接続する出力端子3,4間に平滑コンデンサC3が接続される。
出力電圧Voを安定化させる帰還回路として、この出力電圧Voを検出し、この検出電圧と基準電圧との誤差増幅信号を生成する誤差増幅制御回路11と、誤差増幅制御回路11からカプラ12を通して電気的に絶縁して伝送される誤差増幅信号に基づき、主スイッチング素子Q1,Q2へのパルス駆動信号の導通幅を可変制御するPWM制御回路13と、を備えている。PWM制御回路13は、装置の小型化を図るのにワンチップのICで構成してもよい。
本実施例では、PWM制御回路13からのパルス駆動信号によって、主スイッチング素子Q1,Q2と、同期整流素子Q3,Q4をスイッチング動作させる駆動回路21,22が設けられている。第1の駆動回路21は、主スイッチング素子Q1と、この主スイッチング素子Q1と互い違いにオンさせる必要のある同期整流素子Q3とをスイッチング動作させるものであり、また第2の駆動回路22は、主スイッチング素子Q2と、この主スイッチング素子Q2と互い違いにオンさせる必要のある同期整流素子Q4とをスイッチング動作させるもので、何れも同じ回路構成を有している。
駆動回路21について、その回路構成を説明すると、ここには、PWM制御回路13からのパルス駆動信号が、電流制限用の抵抗5を介してその制御端子であるベースに印加されるスイッチ素子Q5と、スイッチング素子Q5のスイッチング動作により、その一次巻線P21に直流電源E2からの直流電圧が断続的に印加されるトランスT2とを備えており、スイッチ素子Q5のオン期間中は、トランスT2の一方の二次巻線S21に誘起した電圧によって主スイッチング素子Q1をオン状態にし、スイッチ素子Q5のオフ期間中は、トランスT2の別な二次巻線S22に発生するリセット電圧によって、同期整流素子Q3をオン状態にするいわゆるオン/オンコンバータを内蔵している。
駆動回路21をより詳細に説明すると、一次巻線P21とスイッチ素子Q5の直列回路は、直流電源E2の両端間に接続されており、一次巻線P21のドット側端子に正極性の直流電圧が断続的に印加されるように構成される。また、この一次巻線P21と直列に接続する補助巻線P22とダイオードD3とを直列接続してなるクランプ回路が、直流電源E2の両端間に接続される。このクランプ回路は、スイッチ素子Q5のオフ時にトランスT2の二次巻線S21,22に発生するリセット電圧を、一定値以下にクランプするためのものである。同様の機能を達成するものならば、別の回路構成のクランプ回路を採用してもよい。
トランスT2の二次巻線S21の両端間には抵抗R7が接続され、二次巻線S21のドット側端子に繋がる抵抗R7の一端にダイオードD1のアノードが接続される。ダイオードD1のカソードは、主スイッチング素子Q1の充電抵抗R3の一端に接続され、この充電抵抗R3の他端が、主スイッチング素子Q1のゲートに接続されると共に、二次巻線S21の非ドット側端子は、直流電源E2の負極に接続される。さらに、主スイッチング素子Q1のゲートとソースとの間には、抵抗R4が接続される。
また、トランスT2の二次巻線S22の両端間には抵抗R13が接続され、二次巻線S22の非ドット側端子に繋がる抵抗R13の一端にダイオードD5のアノードが接続される。ダイオードD5のカソードは、同期整流素子Q3の充電抵抗R11の一端に接続され、この充電抵抗R11の他端が、同期整流素子Q3のゲートに接続されると共に、二次巻線S22のドット側端子は、同期整流素子Q3のソースに接続される。さらに、同期整流素子Q3のゲートとソースとの間には、抵抗R9が接続される。
次に、駆動回路22について、その回路構成を説明すると、これもPWM制御回路13からのパルス駆動信号が、電流制限用の抵抗6を介してその制御端子であるベースに印加されるスイッチ素子Q6と、スイッチング素子Q6のスイッチング動作により、その一次巻線P31に直流電源E2からの直流電圧が断続的に印加されるトランスT3とを備えており、スイッチ素子Q6のオン期間中は、トランスT2の一方の二次巻線S31に誘起した電圧によって主スイッチング素子Q2をオン状態にし、スイッチ素子Q6のオフ期間中は、トランスT2の別な二次巻線S32に発生するリセット電圧によって、同期整流素子Q4をオン状態にするいわゆるオン/オンコンバータを内蔵している。
駆動回路22をより詳細に説明すると、一次巻線P31とスイッチ素子Q6の直列回路は、直流電源E2の両端間に接続されており、一次巻線P31のドット側端子に正極性の直流電圧が断続的に印加されるように構成される。また、この一次巻線P31と直列に接続する補助巻線P32とダイオードD4とを直列接続してなるクランプ回路が、直流電源E2の両端間に接続される。このクランプ回路は、スイッチ素子Q6のオフ時にトランスT3の二次巻線S31,32に発生するリセット電圧を、一定値以下にクランプするためのものである。同様の機能を達成するものならば、別の回路構成のクランプ回路を採用してもよい。
トランスT3の二次巻線S31の両端間には抵抗R8が接続され、二次巻線S31のドット側端子に繋がる抵抗R8の一端にダイオードD2のアノードが接続される。ダイオードD2のカソードは、主スイッチング素子Q2の充電抵抗R1の一端に接続され、この充電抵抗R8の他端が、主スイッチング素子Q2のゲートに接続されると共に、二次巻線S31の非ドット側端子は、直流電源E2の負極に接続される。さらに、主スイッチング素子Q2のゲートとソースとの間には、抵抗R2が接続される。
また、トランスT3の二次巻線S32の両端間には抵抗R14が接続され、二次巻線S32の非ドット側端子に繋がる抵抗R14の一端にダイオードD6のアノードが接続される。ダイオードD6のカソードは、同期整流素子Q4の充電抵抗R12の一端に接続され、この充電抵抗R12の他端が、同期整流素子Q4のゲートに接続されると共に、二次巻線S32のドット側端子は、同期整流素子Q4のソースに接続される。さらに、同期整流素子Q4のゲートとソースとの間には、抵抗R10が接続される。
なお、図1に示す回路では、駆動回路21,22の各コンバータに共通の直流電源E2を接続しているが、駆動回路21,22毎に直流電源を接続してもよく、また主コンバータに接続する直流電源E1の直流電圧を利用してもよい。また、ここでのスイッチ素子Q5,Q6はNチャネル型のMOSFETで構成されるが、例えばトランジスタやIGBT素子など、他の半導体スイッチ素子を用いてもよい。
次に、上記図1における回路の動作を、図2における各部の動作波形の図を参照しながら説明する。なお、図2において、VGQ5はスイッチ素子Q5のゲート電圧、VGQ6はスイッチ素子Q6のゲート電圧、VdsQ5はスイッチ素子Q5のドレイン・ソース間電圧、VdsQ6はスイッチ素子Q6のドレイン・ソース間電圧、VGQ1は主スイッチング素子Q1のゲート電圧、VGQ2は主スイッチング素子Q2のゲート電圧、VdsQ2は主スイッチング素子Q2のドレイン・ソース間電圧、Vs32はトランスT3の二次巻線S32間に発生する電圧(ドット側端子を基準とした非ドット側端子電圧)、Vs22はトランスT2の二次巻線S22間に発生する電圧(ドット側端子を基準とした非ドット側端子電圧、VGQ4は同期整流素子Q4のゲート電圧、VGQ3は同期整流素子Q3のゲート電圧、IdsQ4は同期整流素子Q4のソースからドレインに流れる電流、IbdQ4はボディダイオードBD4のアノードからカソードに流れる電流、IdsQ3は同期整流素子Q3のソースからドレインに流れる電流、IbdQ3はボディダイオードBD3のアノードからカソードに流れる電流である。
この図2に示すように、PWM制御回路13は、スイッチ素子Q5,Q6のゲートに対して一定の間隔をおいて交互にパルス駆動信号を供給し、これらのスイッチ素子Q5,Q6をスイッチング動作させる。つまり本実施例では、主スイッチング素子Q1,Q2に直接パルス駆動信号を供給するのではなく、駆動回路21,22のスイッチ素子Q5,Q6に所定のオン期間T1,T2を有するパルス駆動信号を供給する。
そして先ず、期間T1において、PWM制御回路13から駆動回路21を構成するスイッチ素子Q5のゲートにパルス駆動信号が与えられ、このスイッチ素子Q5がオンすると、スイッチ素子Q5のドレイン・ソース間電圧VdsQ5は0ボルトとなり、直流電源E2からの直流電圧がトランスT2の二次巻線P21にドット側端子を正極性として印加される。すると、トランスT2の二次巻線S21,22のドット側端子に正極性の電圧が誘起され、二次巻線S21に接続したダイオードD1はオンする一方で、二次巻線S22に接続したダイオードD5はオフし、ダイオードD1から抵抗R3を通して主スイッチング素子Q1のゲート電圧VGQ1が高レベルに切替って、この主スイッチング素子Q1がオン状態になると共に、ダイオードD5に繋がる同期整流素子Q3は、そのゲート電圧VGQ3がソースと同電位即ち0ボルトとなって、オフ状態になる。
また、この期間T1では、駆動回路22を構成するスイッチ素子Q6のゲートにはパルス駆動信号が与えられておらず、トランスT3の二次巻線S31,32には非ドット側端子を正極性としてリセット電圧が引き続き発生している。そのため、二次巻線S31に接続したダイオードD2はオフする一方で、二次巻線S32に接続したダイオードD6はオンし、ダイオードD2に繋がる主スイッチング素子Q2は、そのゲート電圧VGQ2がソースと同電位即ち0ボルトとなって、オフ状態を継続一方で、ダイオードD6に繋がる同期整流素子Q4は、当該同期整流素子Q4がオンするに十分な電圧がそのゲートに引き続き与えられていて、同期整流素子Q4のソースからドレインに電流が流れる状態を維持している。
そのため、期間T1では、主スイッチング素子Q1と同期整流素子Q4が共にオン状態となり、直流電源E1からの直流電圧Viを分割したコンデンサC1の両端間に発生する電圧が、主トランスT1の一次巻線P11に非ドット側端子を正極性として印加される。これにより、主トランスT1の二次巻線S11,S12の非ドット側端子に正極性の電圧が誘起されるが、同期整流素子Q4はオン状態にあるため、この同期整流素子Q4のソースからドレインに電流が流れて、二次巻線S11からチョークコイルL1を通して負荷5に低損失で電力が伝送される。このように、主スイッチング素子Q1のオン期間T1中は、同期整流素子Q4もこれに同期してオンし、主トランスT1の二次巻線S11から出力側の負荷5に電力を供給しつつ、チョークコイルL1にエネルギーを蓄える整流期間となる。
やがて、PWM制御回路1からスイッチ素子Q5へのパルス駆動信号が途絶えると、スイッチ素子Q5,Q6のゲート電圧VGQ5,VGQ6は共に0ボルトとなって、各スイッチ素子Q5,Q6はオフし、駆動回路21内では、トランスT2の一次巻線P21への電圧印加が遮断される。すると今度は、トランスT2の二次巻線S21,22に非ドット側端子を正極性としてリセット電圧が発生し、二次巻線S21に接続したダイオードD1はオフする一方で、二次巻線S22に接続したダイオードD5はオンする。そのため、ダイオードD1に繋がる主スイッチング素子Q1は、そのゲート電圧VGQ1がソースと同電位即ち0ボルトとなって、オフ状態になる一方で、ダイオードD5に繋がる同期整流素子Q3は、当該同期整流素子Q3がオンするに十分な電圧がそのゲートに与えられて、同期整流素子Q3のソースからドレインに電流が流れる状態となる。
なお、スイッチ素子Q5がオフになった直後は、トランスT2の別な一次巻線P22に接続したダイオードD3がオン状態になり、二次巻線S21,22に発生するリセット電圧を一定値以下にクランプする。これにより、トランスT2に蓄えられたエネルギーの一部を直流電源E2側に戻して、スイッチング電源装置としての効率の向上を図ると共に、大きなリセット電圧が同期整流素子Q3のゲートに印加されるのを防ぐことができる。
また、この期間中は、駆動回路22のトランスT3に蓄えられていたエネルギーが途中で完全に放出して、ダイオードD2はもとよりダイオードD6もオフ状態となり、同期整流素子Q4のゲート電圧VGQ4は0ボルトになって、同期整流素子Q4がオフ状態に転じる。つまり、主スイッチング素子Q1がオフになった直後は、同期整流素子Q3,Q4は共にオンしているが、やがてトランスT3のリセットエネルギーがゼロになると、同期整流素子Q4がターンオフして、同期整流素子Q3だけがオン状態を継続する。
そのため、主トランスT1の二次側では、それまでチョークコイルL1に流れていた慣性電流によって、主スイッチング素子Q1がオフになった直後は、同期整流素子Q3,Q4のソースからドレインを通して電流が流れ、その後同期整流素子Q4がターンオフすると、この同期整流素子Q4に内蔵するボディダイオードBD4と、同期整流素子Q3のソースからドレインを通して電流が流れ、チョークコイルL1に蓄えられていたエネルギーが出力側の負荷5に送り出される。このように、主スイッチング素子Q1,Q2の全てがオフする期間中は、それまでチョークコイルL1に蓄えられていたエネルギーを負荷5に送り出す還流期間となるが、従来の回路とは異なり、還流期間中も同期整流素子Q3,Q4がオンしていることにより、同期整流素子Q3,Q4としての損失を低減することができる。
その後、今度は期間T2において、PWM制御回路13から駆動回路22を構成するスイッチ素子Q6のゲートにパルス駆動信号が与えられ、このスイッチ素子Q6がオンすると、スイッチ素子Q6のドレイン・ソース間電圧VdsQ6は0ボルトとなり、直流電源E2からの直流電圧がトランスT3の二次巻線P31にドット側端子を正極性として印加される。すると、トランスT3の二次巻線S31,32のドット側端子に正極性の電圧が誘起され、二次巻線S31に接続したダイオードD2はオンする一方で、二次巻線S32に接続したダイオードD6はオフし、ダイオードD2から抵抗R1を通して主スイッチング素子Q2のゲート電圧VGQ2が高レベルに切替って、この主スイッチング素子Q2がオン状態になると共に、ダイオードD6に繋がる同期整流素子Q4は、そのゲート電圧VGQ4が0ボルトとなって、オフ状態になる。
また、この期間T2では、駆動回路21を構成するスイッチ素子Q5のゲートにはパルス駆動信号が与えられておらず、トランスT2の二次巻線S21,22には非ドット側端子を正極性としてリセット電圧が引き続き発生している。そのため、二次巻線S21に接続したダイオードD1はオフする一方で、二次巻線S22に接続したダイオードD5はオンし、主スイッチング素子Q1は、そのゲート電圧VGQ2が0ボルトとなってオフ状態を継続する一方で、同期整流素子Q3のゲートには、当該同期整流素子Q3がオンするに十分な電圧が引き続き与えられていて、同期整流素子Q3のソースからドレインに電流が流れる状態を維持している。
そのため、期間T2では、主スイッチング素子Q2と同期整流素子Q3が共にオン状態となり、直流電源E1からの直流電圧Viを分割したコンデンサC2の両端間に発生する電圧が、主トランスT1の一次巻線P11にドット側端子を正極性として印加される。これにより、主トランスT1の二次巻線S11,S12のドット側端子に正極性の電圧が誘起されるが、同期整流素子Q3はオン状態にあるため、この同期整流素子Q3のソースからドレインに電流が流れて、二次巻線S11からチョークコイルL1を通して負荷5に低損失で電力が伝送される。このように、主スイッチング素子Q2のオン期間T2中は、同期整流素子Q3もこれに同期してオンし、主トランスT1の二次巻線S11から出力側の負荷5に電力を供給しつつ、チョークコイルL1にエネルギーを蓄える整流期間となる。
やがて、PWM制御回路1からスイッチ素子Q6へのパルス駆動信号が途絶えると、スイッチ素子Q5,Q6のゲート電圧VGQ5,VGQ6は再び共に0ボルトとなって、各スイッチ素子Q5,Q6はオフし、駆動回路22内では、トランスT3の一次巻線P31への電圧印加が遮断される。すると今度は、トランスT3の二次巻線S31,32に非ドット側端子を正極性としてリセット電圧が発生し、二次巻線S31に接続したダイオードD2はオフする一方で、二次巻線S32に接続したダイオードD6はオンする。そのため、主スイッチング素子Q2はそのゲート電圧VGQ2が0ボルトとなって、オフ状態になる一方で、同期整流素子Q4のゲートには、当該同期整流素子Q4がオンするに十分な電圧が与えられて、同期整流素子Q4のソースからドレインに電流が流れる状態となる。
なお、スイッチ素子Q6がオフになった直後も、トランスT3の別な一次巻線P32に接続したダイオードD4がオン状態になり、二次巻線S31,22に発生するリセット電圧を一定値以下にクランプする。これにより、トランスT3に蓄えられたエネルギーの一部を直流電源E2側に戻して、スイッチング電源装置としての効率の向上を図ると共に、大きなリセット電圧が同期整流素子Q4のゲートに印加されるのを防ぐことができる。
また、この期間中は、駆動回路21のトランスT2に蓄えられていたエネルギーが途中で完全に放出して、ダイオードD1はもとよりダイオードD5もオフ状態となり、同期整流素子Q3のゲート電圧VGQ4は0ボルトになって、同期整流素子Q3がオフ状態に転じる。つまり、主スイッチング素子Q2がオフになった直後は、同期整流素子Q3,Q4は共にオンしているが、やがてトランスT2のリセットエネルギーがゼロになると、同期整流素子Q3がターンオフして、同期整流素子Q4だけがオン状態を継続する。
そのため、主トランスT1の二次側では、それまでチョークコイルL1に流れていた慣性電流によって、主スイッチング素子Q2がオフになった直後は、同期整流素子Q3,Q4のソースからドレインを通して電流が流れ、その後同期整流素子Q3がターンオフすると、この同期整流素子Q3に内蔵するボディダイオードBD3と、同期整流素子Q4のソースからドレインを通して電流が流れ、チョークコイルL1に蓄えられていたエネルギーが出力側の負荷5に送り出される。このように、主スイッチング素子Q1,Q2の全てがオフする期間中は、それまでチョークコイルL1に蓄えられていたエネルギーを負荷5に送り出す還流期間となるが、従来の回路とは異なり、還流期間中も同期整流素子Q3,Q4がオンしていることにより、同期整流素子Q3,Q4としての損失を低減することができる。
こうして、出力端子3,4間に発生する出力電圧Voは、誤差増幅制御回路11により分圧されて検出電圧となり、これが内蔵する基準電源(図示せず)の基準電圧と比較増幅されて、誤差増幅信号としてカプラ12を介して主トランスT1の一次側にあるPWM制御回路13に伝送される。PWM制御回路13は、この誤差増幅信号に基づいて出力電圧Voの変動を監視しつつ、当該出力電圧Voが一定となるように、パルス駆動信号のオン期間T1,T2の時間幅を可変制御する。即ち、出力電圧Voが上昇したら、パルス駆動信号のオン期間T1,T2ひいては主スイッチング素子Q1,Q2のオン期間の時間幅を狭め、逆に出力電圧Voが低下したら、パルス駆動信号のオン期間T1,T2ひいては主スイッチング素子Q1,Q2のオン期間の時間幅を広げて、出力電圧Voの安定化を図る。
以上のように、本実施例では、複数個の対をなす主スイッチング素子Q1,Q2と、この主スイッチング素子Q1,Q2を交互にスイッチング動作させることにより、その一次巻線P11に入力電圧が断続的に印加される主トランスT1と、主トランスT1の二次巻線S11,12の一端と他端にそれぞれ接続され、主スイッチング素子Q1,Q2と同期してスイッチング動作する同期整流素子Q3,Q4と、主スイッチング素子Q1,Q2の何れかがオンしている整流期間にエネルギーを蓄え、主スイッチング素子Q1,Q2の全てがオフしている還流期間に、このエネルギーが出力側に送り出されるチョークコイルL1と、主スイッチング素子Q1およびこの主スイッチング素子Q1と互い違いにオンさせる必要のある同期整流素子Q3をスイッチング動作させる第1の駆動回路21と、主スイッチング素子Q2およびこの主スイッチング素子Q2と互い違いにオンさせる必要のある同期整流素子Q4をスイッチング動作させる第2の駆動回路22と、第1および第2の駆動回路21,22にそれぞれパルス駆動信号を交互に供給する制御手段としてのPWM制御回路13と、を備え、第1の駆動回路21は、PWM制御回路13からのパルス駆動信号を受けてオン・オフするスイッチ素子Q5と、スイッチ素子Q5のスイッチング動作により、その一次巻線P21に直流電源E2からの直流電圧が断続的に印加されるトランスT2とを備えており、スイッチ素子Q5のオン期間中は、トランスT2の一方の二次巻線S21に誘起した電圧によって主スイッチング素子Q1をオン状態にし、スイッチ素子Q5のオフ期間中は、トランスT2の二次巻線S22に発生するリセット電圧によって、第2の駆動回路22が主スイッチング素子Q2をオンにする期間T2を過ぎた後も、同期整流素子Q3をオン状態にするように構成される。
この場合、同期整流素子Q3,Q4は、トランスT2,T3の二次巻線S21,S31に発生するリセット電圧を利用してオンさせてもよい。この場合、主スイッチング素子Q1,Q2と同期整流素子Q3,Q4の各制御端子(ゲート)は、同じ二次巻線S21,S31に接続することができる。また、主スイッチング素子が4個のフルブルッジコンバータでは、同一のスイッチング動作を行なう2つずつの主スイッチング素子を、前記対をなす主スイッチング素子として考えればよい。
そしてこの場合は、共通の例えば駆動回路21に繋がる主スイッチング素子Q1と同期整流素子Q3は、この駆動回路21を構成するスイッチ素子Q5のオン期間中即ち整流期間中に、主スイッチング素子Q1がオンし、同期整流素子Q3がオフする一方で、スイッチ素子Q5のオフ期間中即ち還流期間に移行すると、今度は主スイッチング素子Q6がオフするのに対して、同じ駆動回路21を構成するトランスT2のリセット電圧によって、同期整流素子Q3がオンするようになる。また、これは別な駆動回路22についても同じことがいえる。このように、同期整流素子Q3,Q4は還流期間からオンし続けているので、同期整流素子Q3,Q4を組み込んだことによる損失低減の効果を充分得ることができる。
また、同期整流素子Q3,Q4は主トランスT1の二次巻線S11,S12の端子からではなく、主スイッチング素子Q1,Q2と同じく駆動回路21,22からの信号供給を受けてスイッチング動作するので、並列運転時に出力端子3,4を介して外部からの電圧印加があった場合でも、同期整流素子Q3,Q4のゲートにはそれによるノイズが侵入せず、同期整流素子Q3,Q4の誤動作を防止できる。
なお、同期整流素子Q3,Q4のオン期間は、例えば駆動回路21に繋がる同期整流素子Q3の場合、次に別な駆動回路22に繋がる主スイッチング素子Q2がオンする整流期間の少なくとも終了時まで継続するように構成するのが好ましい。こうすれば、還流期間はもとより、次の大きな電流が流れる整流期間にまで、同期整流素子Q3をオンさせ続けることができるので、同期整流素子Q3,Q4を組み込んだことによる損失低減の効果を最大限得ることができる。
さらに、第1の駆動回路21におけるスイッチ素子Q5のオフ期間において、第2の駆動回路22が主スイッチング素子Q2をオンにする期間を過ぎた後も、スイッチング素子Q2がオフになった直後は、同期整流素子Q3,Q4を通して電流が流れ、チョークコイルL1に蓄えられていたエネルギーが出力側に送り出されるので、同期整流素子Q3,Q4としての損失を低減することができる。
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲において種々の変形実施が可能である。実施例では、ハーフブリッジコンバータを内蔵したスイッチング電源装置について説明したが、主スイッチング素子が4個のフルブリッジコンバータや、コンデンサC1,C2を必要としないプッシュプルコンバータを内蔵したスイッチング電源装置にも、本発明を適用できる。