JP4847318B2 - 荷電開始剤ポリマーおよび使用法 - Google Patents

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Description

本発明は、基板表面上に高分子マトリクスを形成するために有用な化合物に関する。更に詳細には、本発明は、生体基板表面上に高分子マトリクスを形成するために有用な開始剤ポリマーに関する。
細胞および組織のカプセル化用高分子材料の使用は、疾患および他の医学的徴候の治療用に大きな可能性を提供する。特に有用な用途は、療法を提供するために、患者への移植用のカプセル化組織または細胞のための高分子材料を利用することを含む。哺乳類細胞をカプセル化するための種々の技術が数十年間にわたり知られてきたし、研究設定において用いられてきたが、細胞カプセル化技術が疾患の潜在的治療用に適用されてきたのは、ほんのつい最近のことである。
細胞カプセル化法は、一般に、移植されたカプセル化細胞を宿主免疫拒絶反応から防御するために、細胞または細胞群を物質バリアで取り囲むことを目標としている。細胞周りの物質バリアは、理想的には、細胞が生存したままであり宿主に対する治療価値を提供するために適正に機能することを可能とする。この機能を実行するために、一般的に高分子化合物を含む、細胞をカプセル化するために用いられる材料は、生分解に対して耐性があることが好ましく、細胞反応に関与する細胞老廃物、栄養物、および分子の拡散を可能とするために充分な透過性があることが好ましい。好ましくは、物質バリアは、異種細胞の破壊に寄与することができるであろう免疫グロブリンおよび補体因子などのある種の宿主分子に対して透過性はない。
細胞カプセル化技術の進歩は、細胞周りに形成される物質バリアの選択透過性、機械的性質、免疫防御性および生体適合性を改善することに焦点を合せてきた。高分子電解質錯化、熱可逆ゲル化、界面析出、界面重合、およびフラットシートによるマイクロカプセル化、および中空糸系マクロカプセル化を含む、種々のマイクロ−およびマクロカプセル化技術が研究されてきており、Uludagら Adv. Drug Deliv. Rev.42:29〜64(2000)により概観されている。
細胞カプセル化のための一つの通常用いられる方法は、ポリアニオン性アルギン酸塩およびポリカチオン性ポリリシンポリマーを用いるアルギン酸塩架橋法である。アルギン酸塩法によるカプセル化は、一般的に、Ca2+イオンを介するアルギン酸塩の架橋およびポリリシンのアルギン酸塩分子との相互作用により起こる。都合悪いことに、細胞カプセル化へのこのアプローチに関連する多くの問題がある。こうした問題には、内部アルギン酸塩コアにおけるCa2+の存在に基づくアルギン酸塩マイクロカプセルの膨潤、アルギン酸塩/ポリリシンカプセル中のグルロン酸含量に基づく不充分な生体適合性、およびアルギン酸塩膜の不充分な機械強度が挙げられる。更に、アルギン酸塩カプセル化過程は非特定的であり、カプセル化しようと意図された細胞または細胞群を含有しないか、または、他の非目標生体材料を含有するマイクロカプセルの形成をもたらすことができる。これらの問題のために、細胞カプセル化に対する代替法が調査されてきた。
アルギン酸塩架橋に対する一つの有望な代替法は、界面重合と言われる方法である。界面重合は、その可能性を調査するためにほとんど何もなされていないが、細胞カプセル化およびその治療用途のためのアルギン酸塩カプセル化法のすべての利点を与える可能性を有する。界面重合は、一般に、生体基板の表面上に、合成または天然の重合性ポリマーなどの重合化材料層の形成を含む。高分子材料層の形成は、一般に、重合性ポリマーの存在下で、生体基板の表面上に堆積する重合開始剤の活性化により促進される。
界面重合法における使用のための一部の重合開始剤は、米国特許第5,410,016号および米国特許第5,529,914号において実証されてきた。これらの特許には、細胞膜上に重合開始剤、エオシンYを堆積させ、次に、開始剤を活性化させてマクロマー溶液の重合を促進させることが記載されている。しかし、比較的非極性であるエオシンY、低分子量光活性化開始剤染料、またはエオシンに類似の化合物の使用は、界面重合法用の多くの不利を与えると共に、また、移植されるカプセル化細胞を受け取る対象に対する潜在的な問題点を提供する。例えば、これらの染料および他の類似の低分子量化合物は、それらが細胞中に浸透し、正常な生化学経路に干渉することができるので、毒性問題を与える。細胞中に浸透する場合、これらの染料は、外部エネルギー源により活性化される場合にフリーラジカル損傷を引き起こすことができる。染料が形成される高分子層から外に拡散し、それによって宿主生物に対する潜在的な毒性を産生することができる場合、他の欠点が生じてくる。エオシンなどの染料は、また、水溶液中に凝集する傾向があり、それによって、カプセル化法の効率を減少させると共に再現性に伴う問題を持ち込む。最終的に、充分なラジカル連鎖重合を開始することにおけるこれら染料の限定された効率の観点から、1以上の単量体重合「促進剤」を重合混合物に添加することは、多くの場合必要である。これらの促進剤は、また、細胞膜に浸透することができる小分子であり、且つ細胞毒性または発癌性である可能性を有する傾向がある。従って、これら促進剤の使用を最小化することは、また、望ましい。上記問題を克服しようとする試みにおいて、出願者らは、既に、新規な界面重合試薬および技術を紹介してきた(米国特許第6,007,833号および第6,410,044号を参照すること)。
これらの教示にもかかわらず、界面重合法用の改善された開始剤が望まれている。重合開始剤が目標とされる細胞表面は、極めて複雑で、所期のやり方で機能する開始剤の設計に対して難問を投げかけてくる。例えば、細胞表面は、それらの一部が硫酸化プロテオグリカンおよびグリコサミノグリカンなどの荷電部分を含有する炭水化物基を有する多くの表面タンパク質を含有する。生体表面に局部集中するが、しかし、マイナスのやり方では細胞生理機能に影響を与えない開始剤を設計することは望ましい。例えば、改善された開始剤は、好ましくは、細胞死をもたらすシグナル経路などのいかなる有害な細胞過程をも始動させることなく有効なやり方で細胞表面上に高分子層の形成を促進するべきである。
発明の概要
本発明は、基板表面上での本明細書において「高分子マトリクス」とも呼ばれる高分子層の形成に有用な試薬および方法を提供する。更に詳細には、本発明は、負荷電表面上の高分子層の形成に有用である正荷電重合開始剤ポリマーを提供する。正荷電重合開始剤ポリマーは、特に、細胞および組織を生体適合性ポリマーでカプセル化することに対して有用である。
一つの態様において、正荷電重合開始剤ポリマーは、生体表面上での高分子材料の重合を促進するための方法において用いられる。本方法は、一般的に高分子材料により被覆しようと意図される細胞、細胞群、または組織の表面である生体表面を与えることを含む。次に、開始剤ポリマーは、生体表面と接触して置かれる。本発明により、開始剤ポリマーは、(i)重合開始剤基、および(ii)pH8を含み少なくともpH8までのpHを有する状態にあるポリマーに正電荷を与える陽イオン部分を含む。陽イオン部分は、水溶液中における開始剤ポリマーの溶解性を容易にすることができると共に、また、開始剤ポリマーの細胞表面との結合を可能とする。陽イオン部分は、開始剤ポリマーが、一般的に非極性であり開始剤ポリマーに実質的な程度での疎水性を付与する複数の開始剤基を含有する態様において、特に有利であることができる。好ましくは、陽イオン部分は、また、低〜中程度の重量平均分子量(Mw)を有し、複数の開始剤基を含有し、水溶液に可溶である開始剤ポリマーの調製を可能とする。
高分子マトリクスを形成する方法は、また、生体表面に重合性材料を与えることを含む。重合性材料は、一般的に、開始剤ポリマー塗布の前、間または後に塗布することができる重合性ポリマー(例えば、マクロマー)である。適するマクロマーには、好ましくは許容可能程度の生体適合性を有する成形マトリクスを与える天然または合成の重合性ポリマーが挙げられる。生体表面が開始剤ポリマーおよびマクロマーと接触した後、エネルギー源が表面にかけられて開始剤基を活性化させ、それによって、生体表面上または近くのマクロマーの重合を促進する。好ましい態様により、エネルギー源は、長UV波長、更に好ましくは可視光波長により与えられる。重合は直接または間接であることができるが、間接法は、一般的に、フリーラジカル重合を促進するために受容体または還元剤を利用する。
細胞、細胞群、または組織は、本発明の正荷電開始剤ポリマーを用いてカプセル化することができる。本発明は目標表面としていかなる特定タイプの天然または合成材料にも限定されるものではないが、正荷電開始剤ポリマーは、細胞周りのカプセル化マトリクスの形成を促進する試薬として、特に有用である。カプセル化細胞は、治療効果を与えるために対象中に移植することができる。こうした正荷電開始剤ポリマー用の用途には、糖尿病を患い治療の必要性のある対象中に移植するための膵島のカプセル化が挙げられる。
別の態様において、本発明は、(i)可視光活性化染料の群から選択される光開始剤基、および(ii)pH8を含み少なくともpH8までのpHを有する状態にある開始剤ポリマーに正電荷を与える陽イオン部分を含む、正荷電開始剤ポリマーを与える。光開始剤基は開始剤ポリマーの高分子主鎖に結合されるが、好ましい態様において、陽イオン部分は、高分子主鎖にまた結合される陽性基により与えられる。適する光開始剤基には、アクリジン・オレンジ、カンファーキノン、エチル・エオシン、エオシンY、エリトロシン、フルオレセイン、メチレングリーン、メチレンブルー、フロキシム、リボフラビン、ローズベンガル、チオニン、およびキサンチン染料などの可視光活性化染料が挙げられる。
特に有用な開始剤ポリマーには、pH8を含み少なくともpH8までのpHを有する状態にあり、更に好ましくはpH10を含み少なくともpH10までのpHを有する状態にあり、最も好ましくはpH12を含み少なくともpH12までのpHを有する状態にある正電荷を有する開始剤ポリマーを与える陽性基が挙げられる。これらの陽イオン特性を与える基は、第4級アンモニウム、第4級ホスホニウム、および3元(ternary)スルホニウム基などの3元および第4級陽性基から選択することができる。特に有用な開始剤ポリマーは、低〜中程度の分子量範囲、すなわち、約3.2×106Da未満の重量平均分子量(Mw)を有する。好ましい開始剤ポリマーは、約250,000Da以下、100,000Da以下、および50,000Da以下のMwを有する。開始剤ポリマーは、1個の好ましくは1個を超える開始剤基を含み、還元剤の存在下でポリマー(例えば、マクロマー)の重合を促進することができる開始剤活性を与える。特に好ましい開始剤ポリマーは、(i)ポリアミン主鎖、(ii)主鎖に結合される複数の可視光活性化染料、(iii)主鎖に結合される複数の第4級アンモニウム基、および(iv)約3.2×106Da未満のMwを含む。
本発明は、また、表面に対する高分子膜を与えるためのキットを提供する。キットは、少なくとも、正荷電重合開始剤ポリマーおよび開始剤ポリマーと併せて用いることができる重合性材料を含む。キットの開始剤ポリマーは、(i)重合開始剤基、および(ii)pH8を含み少なくともpH8までのpHを有する状態にあるポリマーに正電荷を与える陽イオン部分を含む。
本発明は、また、本明細書において記載されるように、正荷電開始剤ポリマーを用いる高分子マトリクスによりカプセル化される細胞、細胞群、および組織を提供する。
本発明の詳細な説明
本発明は、本明細書において「開始剤ポリマー」とも呼ばれる正荷電開始剤ポリマー、開始剤ポリマーを含む組成物、およびこれらの開始剤ポリマーを用いる表面上または近辺での重合性材料の界面重合を行うための方法を提供する。「ポリマー」は1以上の異なる反復単量体単位を有する化合物を指し、線状ポリマーおよびコポリマー、本明細書において「デンドリマー」と呼ばれる高度に分岐したデンドリマーポリマーおよびコポリマーなどの分岐ポリマーおよびコポリマー、ならびにグラフトポリマーおよびコポリマーなどを含む。「表面」は、広く、あらゆる種類の天然または合成表面を指す。天然表面は、広く、例えば、細胞表面、または細胞群表面、または組織表面などのあらゆる種類の生体材料の表面を指す「生体表面」を含む。合成表面は、プラスチック、セラミック、樹脂、多糖類、シリコン、またはシリカ系材料、ガラス、金属、フィルム、ゲル、膜、ナイロン、絹、羊毛および綿などの天然繊維およびポリマーから作製される機能化および非機能化材料などのあらゆる有用な人工材料を含む。一つの態様において、表面は負電荷を有し、正荷電開始剤ポリマーは反対電荷を介してこの表面に結びつくことができる。
開始剤ポリマーは、また、あらゆる種類の生体外または生体内法において生体表面上に重合化材料のマトリクスを形成するために用いることができるが、それらは細胞カプセル化法に対して特に有用である。細胞カプセル化は、細胞、細胞群、または組織の表面の全体または部分にわたる高分子層の形成を含む。この高分子層は、一般的に、厚さ、透過性、強度、および保護性などの一部の物理および機能特性を有する。任意に、開始剤ポリマーは、天然または合成材料のあらゆるタイプの表面上に重合化材料のマトリクスを形成するために用いることができる。
本発明により、表面に膜を与えるために有用な正荷電開始剤ポリマーは、少なくとも一つの重合開始剤基、およびpH8を含み少なくともpH8までのpHを有する状態にある開始剤ポリマーに正電荷を与える陽イオン部分を含む。開始剤基は、特定的にエネルギーを受入れ、直接的または間接的にフリーラジカル種を発生させることができる開始剤ポリマーの一部を指すと共に、重合性材料のフリーラジカル重合を促進するために充分なものである。陽イオン部分は、pH8を含み少なくともpH8までのpHを有する状態にある正電荷を有する開始剤ポリマーを与えると共に、一部の態様において、pH10を含み少なくともpH10まで、更に好ましくはpH12を含みpH12までのpHを有する状態にある正電荷を有する開始剤ポリマーを与えることができる。開始剤ポリマーの陽イオン部分は、正荷電高分子主鎖から、主鎖から垂れ下がる陽イオン基から、または両方から得ることができる。大部分の態様において、開始剤ポリマーの陽イオン特性はポリマー主鎖から垂れ下がる陽イオン部分から得られる。「ペンダント基」はその長さに沿ったあらゆる箇所でポリマー主鎖に結合される1以上の化学基、または主鎖のいずれかの末端で結合される化学基、または両方を指す。
一つの態様において、開始剤ポリマーは、細胞カプセル化法などの生体表面を被覆するための方法におけるステップにおいて用いることができる。これらの方法において、開始剤ポリマーは、被覆しようとする表面およびマクロマーなどの重合性材料と併せて用いられる。一部の態様において、開始剤ポリマーはマクロマー成分とは別に細胞に塗布され、他の態様において、開始剤ポリマーおよびマクロマー成分は細胞に対する重合性組成物として一緒に塗布される。従って、本発明は、また、正荷電開始剤ポリマーおよびマクロマー成分を含む組成物を与える。還元剤/受容体および他の重合促進成分、例えば、安定剤、増粘剤、および共触媒などの細胞カプセル化に有用な化合物は、既存ステップ、追加ステップにおいて重合工程中に導入することができるか、または、重合性組成物中の試薬として存在することができる。従って、本発明は、また、重合性組成物、および開始剤ポリマー、マクロマー成分、還元剤/受容体、および増粘剤を含むことができる、表面上にポリマー膜を形成するためのキットを与える。
さらなる特定態様において、本発明は、可視光活性化光開始剤基、およびpH8を含み少なくともpH8までのpHを有する状態にある開始剤ポリマーに正電荷を与える陽イオン部分を含む開始剤ポリマーを与える。可視光活性化光開始剤基は、エオシンなどの可視光活性化染料の群から選択することができる。別の特定態様において、本発明は、複数のポリマー主鎖に結合される可視光活性化光開始剤基、複数のポリマー主鎖に結合される3元または第4級陽性基、および3.2×106Da未満のMwを有する開始剤ポリマーを与える。
本明細書において用いられる「重量平均分子量」またはMwは、分子量を測定する標準比較方式であり、開始剤ポリマーおよびマクロマーの調製物などの、ポリマー(調製物)の分子量測定のために特に有用である。ポリマー調製物は、一般的に、個々に小さな分子量変動を有するポリマーを含む。ポリマーは比較的高分子量を有する分子であり、ポリマー調製物内のこうした小さな変動は、ポリマー調製物の全体特性(例えば、開始剤ポリマー調製物の特徴)に影響を及ぼさない。重量平均分子量(Mw)は以下の式により定義することができる:
Figure 0004847318
式中、Nは質量Mを有する試料中のポリマーの分子数を表し、Σiは調製物中のすべてのNii(化学種)の総和である。Mwは光散乱または超遠心分離法などの通常の技術を用いて測定することができる。ポリマー調製物の分子量を定義するために用いられるMwおよび他の用語の論議は、例えば、Allcock,H.R.and Lampe,F.W.,Contemporary Polymer Chemistry;pg 271(1990)に見出すことができる。
本発明は、また、界面重合法に用いられる化合物群における1成分としての正荷電開始剤ポリマー、および特定疾患の治療方法を、特定的に与える。これらの化合物および方法は、カプセル化細胞または組織が治療的に有用である細胞または組織のカプセル化を実行することができる。例えば、本発明の開始剤ポリマーを用いてカプセル化される膵島は、機能的膵臓組織を必要とする糖尿病患者に移植することができる。
開始剤ポリマーの陽イオン部分により与えられる正電荷は、開始剤ポリマーが特に細胞カプセル化法に対して驚くほどに効果的な重合開始剤として設定されることを可能とすることができる。一つの態様において、開始剤ポリマーの正電荷は、ポリマーに水溶液への高度な溶解性を与えることができる。この水溶液への高度な溶解性は、開始剤ポリマーが、一般的に非極性であり、本来開始剤ポリマーに対して実質的な疎水性程度を与える複数の開始剤基を有する態様において保持することができる。従って、陽イオン部分の存在は、相当な数の開始剤基を含み、開始剤基が活性化される場合に重合開始剤として機能することができる開始剤ポリマーの調製を可能とすることができる。この配置は、低〜中程度のMwを有する開始剤ポリマーが高水準の細胞生存性を維持しながら細胞カプセル化法において調製され用いることができることが見出されてきたので、特に、有利である。従って、本発明により、開始剤ポリマーの陽イオン部分は、水溶液中に可溶であり、重合性材料の重合を開始するための特定化合物の能力に言及する高度な「開始剤潜在力」を有する開始剤ポリマーの調製を可能とする。この関連で、水溶液中への溶解度を改善するために開始剤ポリマーのサイズを増大させることは必要でない。
別の態様において、開始剤ポリマーの正電荷は、また、負荷電表面、例えば、生体材料の負荷電表面とのその相互作用を可能とすることができる。陰性荷電基を担持する細胞表面タンパク質は、一般的に、細胞表面上に負電荷を付与する。グリコサミノグリカンおよび硫酸化プロテオグリカンなどの表面分子は、細胞の荷電表面に寄与する。しかし、負荷電表面を有する他の生体材料は、また、本発明の開始剤ポリマーと結合することができる表面として適するものであることができる。従って、開始剤ポリマーの陽イオン部分は、細胞カプセル化過程の間、開始剤ポリマーを目標陰イオン表面、特に細胞表面に対して局限化する便利な方法を与える。
本発明により、開始剤ポリマーは、開始剤ポリマーの主鎖に結合される1以上の開始剤基を含む。開始剤ポリマーの開始剤基は、開始剤基が外部エネルギー源により活性化される場合に、マクロマーなどの重合性材料のフリーラジカル重合を促進することができる。活性化開始剤基は、直接的または間接的いずれかで重合性材料のフリーラジカル重合を引き起こすことができる。間接的方法は、一般的に、活性化開始剤基からのエネルギーの、フリーラジカルを形成することができると共に、受容体または還元剤、重合性材料の重合を引き起こすように作用することができる化学種への転位を含む。直接的方法においては、開始剤基はフリーラジカルそれ自体を与える。
本発明により、開始剤ポリマーは生体材料の表面などの負荷電表面に局限化することができる。開始剤基を活性化させると、開始剤ポリマーに近接している重合性材料は重合し、表面上に高分子材料層、すなわちマトリクスの形成をもたらす。このタイプの重合は、一般的に、界面重合と呼ばれる。
開始剤ポリマーは、光活性化光開始剤基、熱活性化開始剤基、化学的活性化開始剤基、またはそれらの組合せを含むことができる。適する熱活性化開始剤基は、4,4’アゾビス(4−シアノペンタン)酸および2,2−アゾビス[2−(2−イミダゾリニ−2−イル)プロパン]ジヒドロクロライドを含むか、またはこれらの開始剤を付与される他の熱活性化開始剤は、開始剤ポリマー中に組み込むことができる。化学的活性化開始は、多くの場合、酸化還元開始、酸化還元触媒作用、または酸化還元活性化を指す。一般に、有機および無機酸化剤、ならびに有機および無機還元剤の組合せは、重合用のラジカルを発生するために用いられる。酸化還元開始の説明は、Principles of Polymerization,2nd Edition,Odian G.,John Wiley and Sons,201〜204頁(1981)に見出すことができる。好ましくは、生体系に有害でない酸化還元開始剤が用いられる。好ましくは、生体系に有害でないエネルギーを用いる光開始剤基および熱活性化開始剤基が用いられる。一つの態様において、長波長UVおよび可視光活性化周波数を有する光開始剤基は、開始剤ポリマーの主鎖に結合される。好ましい態様において、可視光活性化光開始剤はポリマー主鎖に結合される。
光開始は、ノリッシュ(Norrish)タイプI反応、分子内または分子間水素抽出反応、および光還元性または光酸化性染料を用いる光感作反応を含む種々の機構により生じることができる。後者の二つのタイプの反応は、一般的に、例えば、第3アミンであることができるエネルギー転位受容体または還元剤と共に用いられる。こうした第3アミンは、マクロマーの高分子主鎖中に組み込むことができる。好ましい態様において、開始剤ポリマーは、分子内または分子間水素抽出反応、または活性化される場合に光還元性または光酸化性染料を用いる光感作反応を可能とする1以上の開始剤基を含む。これらのタイプの開始剤と共に使用するための有用なエネルギー転位受容体または還元剤には、トリエタノールアミン、トリエチルアミン、N−メチル・ジエタノールアミン、N,N−ジメチル・ベンジルアミン、テトラメチル・エチレンジアミンなどの第3アミン;ジベンジルアミン、N−ベンジル・エタノールアミン、N−イソプロピル・ベンジルアミンなどの第2級アミン;およびエタノールアミン、リジン、およびオルニチンなどの第1級アミンが挙げられるがそれらに限定されない。
一つの態様において、350nm以上の吸収帯を有する光開始剤基が用いられる。更に好ましくは、500nm以上の吸収帯を有する光開始剤基が用いられる。適する光開始剤基には、長波紫外(LWUV)光活性化性分子および可視光活性化性分子などの光活性化開始剤基が挙げられる。適する長波紫外(LWUV)光活性化性分子には、((9−オキソ−2−チオキサンタニル)−オキシ)酢酸、2−ヒドロキシ・チオキサントン、およびビニルオキシメチルベンゾイン・メチル・エーテルが挙げられるがそれらに限定されない。適する可視光活性化性光開始剤基には、アクリジン・オレンジ、カンファーキノン、エチル・エオシン、エオシンY、エリトロシン、フルオレセイン、メチレングリーン、メチレンブルー、フロキシム、リボフラビン、ローズベンガル、チオニン、およびキサンチン染料が挙げられるがそれらに限定されない。
これらの可視光活性化性光開始剤基および光開始剤基一般に関する一つの共通の特性は、非極性部分を有することのそれである。この非極性部分の存在のために、これらの光開始剤基は、一般に、水溶液中への低い溶解度を有する。これらの光開始剤基が開始剤ポリマーなどの別の分子に結合される場合に、光開始剤基は、ポリマーに非極性特性を付与することができると共に、一般に、その水溶液中への溶解度を低下させることができる。
開始剤ポリマーは、生体材料の表面などの基板表面上での重合性材料のフリーラジカル重合を促進するために充分な量において多くの開始剤基を含有する。開始剤ポリマーは、少なくとも一つの、更に一般的には複数の開始剤基を含有する。一部のケースにおいて、開始剤ポリマーは開始剤基を高度に詰め込んでおり、高水準の重合開始剤活性を与えることができる。この配置は、容易には重合して高分子層を形成しないマクロマーを含む方法または組成物において望ましくあることが可能である。それゆえに、本発明は開始剤基が高度に詰め込まれる正荷電開始剤ポリマーを与える。
従って、一つの態様において、開始剤ポリマーは少なくとも一つの開始剤基を含む。更に好ましい態様において、開始剤ポリマーは5個以上の開始剤基を含み、なお更に好ましい態様において、開始剤ポリマーは約10個以上の開始剤基を含む。なお更に好ましい態様において、開始剤ポリマーは3.2×106Da以下、最も好ましくは250,000Da以下のMwを有し、5個以上の開始剤基、更に好ましくは約10個以上の開始剤基を含む。開始剤基は、あらゆる位置でポリマー主鎖に沿って垂れ下がることができると共に、不規則または規則的なやり方で間隔をとることができる。
開始剤基はあらゆる適する方法を用いて開始剤ポリマーに結合することができる。一つの方法において、例えば、開始剤基を有する重合性モノマーは、合成され、次に重合反応に用いられてペンダント開始剤基を有する開始剤ポリマーを造りだすことができる。開始剤誘導体化モノマーの合成は、標準化学反応を用いて容易に達成することができる。例えば、光活性化染料などの光開始剤基の酸塩化物類似物は、エチレン性不飽和アミン含有モノマーと反応して開始剤誘導体化モノマーを形成することができる。開始剤ポリマーを調製する別の方法において、反応基を有する予備形成ポリマーは開始剤基と反応して開始剤基を予備形成ポリマーに結合させる。例えば、イソチオシアン酸塩または光開始剤の酸塩化物類似物は、ペンダントアミン基を含有するポリマーと反応することができ、それによって、ペンダント開始剤基を担持する開始剤ポリマーを形成する。当業者に公知の他の合成体系は、開始剤ポリマーを調製するために用いることができる。これらの体系は考慮されるが、しかし、更に詳細には検討されない。
好ましい態様において、開始剤ポリマーは非極性である複数の開始剤基を含む。複数の非極性開始剤基の存在は、開始剤ポリマーに実質的な疎水性特質を付与することができる。それゆえに、この実質的な疎水性特質は、以下により詳細に検討される陽イオン部分を開始剤ポリマーに与えることにより、相殺することができる。
開始剤ポリマーの陽イオン部分の正電荷は、開始剤ポリマーの主鎖、主鎖から垂れ下がる正荷電基、または両方により負うことができる。一つの態様において、開始剤ポリマーは、開始剤ポリマーの主鎖から垂れ下がる複数の陽性基を有する;好ましくは、陽性基は3元または第4級アミン基などの第4級イオン部分により与えられる。別の態様において、高分子主鎖は窒素を含有し、例えば、高分子イミンであることができる。本発明の好ましい態様により、陽イオン部分は、水溶液中への溶解性を可能とする正電荷、および/または負荷電表面と相互作用する能力を有する開始剤ポリマーを与えることができる。
pH8を含み少なくともpH8までのpHを有する状態にある開始剤ポリマーに対して正電荷を与える陽イオン部分は、開始剤ポリマーが複数の非極性開始剤基を含む態様において、特に有利である。非極性開始剤基により付与される疎水性特質は、水溶液中への開始剤ポリマーの溶解性を改善することができる開始剤ポリマー上に存在する陽イオン部分の存在により中和することができる。本発明により、陽イオン部分は開始剤ポリマーが水溶液中に可溶となることを可能とするように配置されると共に、また、開始剤ポリマーが細胞表面などの負荷電表面と相互作用することを可能とするように配置される。陽イオン部分は、pH8を含み少なくともpH8までのpHを有する環境下での開始剤ポリマーに正電荷を与えるように配置されると共に、一部の態様において、陽イオン部分は、pH10を含み少なくともpH10までのpHを有する環境下、更に好ましくはpH12を含み少なくともpH12までのpHを有する環境下での開始剤ポリマーに正電荷を与えるように配置される。
開始剤ポリマーがpH8を含み少なくともpH8までのpHを有する状態に正電荷を保持するかどうかを測定するために、多くの試験のうちのいずれか一つを行うことができる。正荷電開始剤ポリマー用の適する試験は、一般に、8以上のpHを有する緩衝液を調製し、緩衝液に開始剤ポリマーを添加し、負電荷を与える材料と接触させてポリマー溶液を置き、次に、開始剤ポリマーが負荷電材料と相互作用するかどうかを測定することを含むことができる。例えば、開始剤ポリマーは、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、重炭酸アンモニウム、または3−(シクロヘキシルアミノ)−1−プロパンスルホン酸塩などの適する高pH緩衝液により8以上のpHに調整した溶液に添加することができ;ポリマー混合物は、次に、陰イオン交換マトリクス(例えば、Q−セファローズ(Sepharose);ニュージャージー州、ピスキャタウエイのアマーシャム・バイオサイエンシズ(Amersham Biosciences Corp.,))に塗布することができ;カラムは、次に、高pH緩衝液により洗浄することができ;最終的に、カラムは、結合されている場合開始剤ポリマーを解離するために塩含有緩衝液(0.5M・NaClなど)により溶出させることができる。開始剤ポリマーが選択される緩衝液状態に正電荷を保持する場合、それは溶出液中に存在し、分光法により検出可能である。8以上のpHを有する溶液中の開始剤ポリマーの電荷を測定するために有用な他の一般的に用いられる分析法は、考慮されるが、更には検討されない。
一部の態様において、開始剤ポリマーは、少なくとも1以上の一般的には複数の陽性基に結合される高分子主鎖を有する。一般にいかなる開始剤基または陽性基の添加なしでのポリマー鎖を指すポリマー主鎖は、一般的に、炭素および好ましくは窒素、酸素、および硫黄から選択される1以上の原子を含む。主鎖は炭素−炭素連鎖を含むことができると共に、一部の好ましい態様において、また、1以上のアミド、アミン、エステル、エーテル、ケトン、ペプチド、または硫化物連鎖、またはそれらの組合せを含むことができる。適するポリマー主鎖の例には、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリエーテル(ポリオキシエチレンなど)、ポリスルホン、ポリウレタン、または代表的なモノマー基のあらゆる組合せを含有するコポリマーが挙げられる。
高分子主鎖は、陽性基を結合して開始剤ポリマーを形成するために有用な反応基を含むことができる。適する反応基には、酸(またはアシル)ハロゲン化物基、アルコール基、アルデヒド基、アルキルおよびアリールハロゲン化物基、アミン基、およびカルボキシル基などが挙げられる。これらのペンダント反応基は、開始剤基を結合するため、および一部の態様において、陽性基の高分子主鎖への結合のために用いることができる。これらの化学基は、予備形成ポリマー上または正荷電開始剤ポリマーを造りだすために用いられるモノマー上のいずれかに存在することができる。適する反応基または荷電側基を有するポリマーの例には、ポリリシン、ポリオルニチン、ポリエチレンイミン、およびポリアミドアミンなどの反応アミン基を有するポリマー、特にデンドリマーが挙げられる。
本発明の一つの態様において、開始剤ポリマーの主鎖は、全体の正電荷を与え、陽イオン部分に寄与する。このタイプの高分子主鎖の例には、また第1級、第2級、または第3アミン基を含むポリイミンなどのイミン結合を有するポリマーが挙げられる。開始剤ポリマーの合成におけるこれらのタイプのポリマーの使用は、複数の陽性基および開始剤基が結合することができる高度誘導体化予備形成ポリマー主鎖をそれらが与えることができるので好ましい。開始剤ポリマーの合成のための出発ポリマーとして特に適するポリアミンには、ポリエチレンイミン、およびポリプロピレンイミンなど、ならびにポリアミンポリマーまたはコポリマー、および特に以下のアミン官能性モノマー:2−アミノメチルメタクリレート、3−(アミノプロピル)−メタクリルアミド、およびジアリルアミンなどのモノマーから形成されるデンドリマーが挙げられる。適するポリアミンは市販されており、例えば、ルパソル(Lupasol)(登録商標)PS(ポリエチレンイミン;ニュージャージー州、BASF)がある。
本発明の好ましい態様において、開始剤ポリマーの主鎖は、1以上の陽性基に結合される。好ましい陽性基は安定な正電荷を有し、3元および第4級陽性基を含む。好ましい陽性基には、第4級アンモニウム、第4級ホスホニウム、および3元スルホニウムが挙げられる。これらのタイプの陽性基は、他の陽性基が脱プロトン化され、それらの正電荷を失うことができる広い範囲のpH状態において、特に、より高いpH状態において、開始剤ポリマーに正電荷を与えることができる。これらの開始剤ポリマー上の正電荷は、少なくともpH8を含みpH8までのpHを有する状態;および一部の態様においてpH10を含みpH10までのpHを有する状態、および一部の態様においてpH12を含みpH12までのpHを有する状態に保持される。
示されるように、好ましい陽性基には、第4級アンモニウム、3元スルホニウム、および第4級ホスホニウム基が挙げられる。これらの基は、例えば、各鎖上に1〜6個範囲の炭素を有する、例えば、アルキル化またはアルコキシル化形態において与えることができる。例には、テトラアルキルアンモニウム、テトラアルコキシアンモニウム、トリアルキルスルホニウム、トリアルコキシスルホニウム、テトラアルキルホスホニウム、およびテトラアルコキシホスホニウム陽イオンが挙げられるがそれらに限定されない。特定例には、テトラメチルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウム、およびテトラベンジルアンモニウムなどが挙げられる。
陽性基は、ポリマー主鎖の長さに沿って不規則または規則的パターンで間隔をとることができるか、または、必要に応じてポリマー主鎖の一つの末端上に主として存在することができる。開始剤ポリマーは、また、必要に応じて陽性基の各種組合せを含むことができる。
ポリマー主鎖上に垂れ下がる陽性基の数は、機能性開始剤ポリマーを与えるために整えることができる。開始剤ポリマーの機能には、水溶液中へのその溶解性、表面と結合するその能力、および重合開始剤としてのその有効性を挙げることができる。一つの態様において、陽性基は、水溶液中に開始剤ポリマーを溶解するために充分な量で存在する。別の態様において、陽性基は、開始剤ポリマーの生体表面との相互作用を可能とするために充分な量で存在する。本発明により、開始剤ポリマーは、陽性基に結合される少なくとも一つの単量体単位を有する;更に好ましくは、開始剤ポリマーは陽性基に結合されるその単量体単位の約20%以上を有し、最も好ましくは、開始剤ポリマーは陽性基に結合されるその単量体単位の約50%以上を有する。複数の非極性開始剤基が存在する場合に、開始剤ポリマーは、充分な溶解性を与えると共に、また細胞表面に局限化することができる陽イオン部分により整えることができる。これは、開始剤基対陽性基の確定した比率を有する開始剤ポリマーを調製することにより達成することができる。従って、本発明の一つの態様において、開始剤ポリマー上の陽性基:開始剤基の比率は、少なくとも1:1である。更に好ましい態様において、この陽性基:開始剤基比率は少なくとも2.5:1であり、最も好ましい態様比率は少なくとも5:1である。
好ましい態様において、本発明は、正荷電主鎖および正荷電主鎖から垂れ下がる複数の第4級アミン基を有する開始剤ポリマーを与える。親水性主鎖は高分子イミン主鎖であることができると共に、アミン含有主鎖から垂れ下がる複数の第4級アミン基を有することができる。この態様において、第4級アミン基の存在は、開始剤ポリマーが溶液のpHにおけるいかなる変動にも拘わらず正電荷を保持し、溶液中への開始剤ポリマーの溶解性を維持することを可能とする。
開始剤基および陽性基を有する開始剤ポリマーは、種々の方法で調製することができる。例えば、開始剤基および陽性基は、開始剤および陽性基と反応する「予備形成」ポリマーまたはコポリマーに結合することができる。予備形成ポリマーまたはコポリマーは、市販元から入手するか、または、望ましいモノマーまたは各種モノマーの組合せの重合から合成することができる。開始剤ポリマーを調製する一つの例において、開始剤基および陽性基は、例えば、共有結合により、ポリマーまたはコポリマーの主鎖から垂れ下がる化学基と反応し、それらに結合される。開始剤基および陽性基のこうした結合は、例えば、置換または付加反応により達成することができる。
本発明の一つの好ましい態様において、開始剤ポリマーはポリマー主鎖としての高度誘導体化予備形成ポリマーを用いて調製される。好ましいポリマーは、ポリマーの分子量に対して、第1級アミン基などの大きい数の反応(誘導体化)基を含有する。適するポリマーおよびコポリマーは、ポリイミン、例えば、ポリエチレンイミンなどのアミン含有高分子単位を含む。開始剤ポリマー用の主鎖としてのこれらのタイプのポリマーまたはコポリマーの使用は、開始剤基および陽性基で高度に詰めることができる低〜中程度分子量の開始剤ポリマーの調製を可能とする。
開始剤ポリマーを調製する別の方法において、第1級、第2級、第3アミン、またはそれらの組合せを有するポリマーは4級化することができ、ポリマー上に荷電第4級アミン基の形成をもたらす。例えば、アミンは、引き続いて、例えば、アルキルハロゲン化物によりアルキル化されて、メンシュツキン(Menshutkin)反応を介して第4級アミンを与えることができる。開始剤ポリマーを合成する別の有用な方法において、第3アミンを有するポリマーは、例えば、ベンジルハロゲン化物により誘導体化される光開始剤基と反応することができる。この反応は、光開始剤のポリマーへの結合、および同時に第3アミン基を荷電第4級アミン基に変換することを可能とする。
開始剤ポリマーを調製するなお別の方法において、開始剤基を有するモノマーおよび陽性基を有するモノマーが最初に調製される。これらの開始剤および陽性基含有モノマーは、次に共重合されて、開始剤および陽性基両方に結合される開始剤ポリマーを造りだす。一部の態様において、開始剤基および陽性基両方を有する個々のモノマーは、開始剤ポリマーを調製するために用いることができる。任意に、開始剤または陽性基のいずれにも結合されない他のモノマーは、陽イオンおよび開始剤結合モノマーと重合して開始剤ポリマーを造りだすことができる。開始剤ポリマーを調製する方法は以下に例示される。開始剤ポリマーを調製するための当業者に公知の他の標準方法は考慮されるが、更には検討されない。
一つの態様において、本発明の開始剤ポリマーは、一般に、生体表面とのその結合を可能とすると共に、その活性化の際に生体表面上でのマクロマーの重合を促進するために充分なサイズのものである。本発明の一つの好ましい態様において、低〜中分子量開始剤ポリマーが細胞カプセル化法に用いられる。低〜中分子量開始剤ポリマーは3.2×106Da未満のMwを有すると言われるが、一方、高分子量ポリマーは3.2×106Da以上のMwを有すると言われる。
従って、一つの好ましい態様において、本発明は、(i)重合開始剤基、(ii)少なくともpH8までの状態にあるポリマーに正電荷を与える陽イオン部分、および(iii)3.2×106Da未満のMwを有する開始剤ポリマーを与える。更に好ましい態様において、開始剤ポリマーは、約250,000Da以下、100,000Da以下、および50,000Da以下のMwを有する。別の好ましい態様において、開始剤ポリマーは、3400〜約250,000Daの範囲、更に好ましくは8500〜約250,000Daの範囲、なお更に好ましくは8500〜約100,000Daの範囲、最も好ましくは8500〜約50,000Daの範囲にあるMwを有する。別の態様において、開始剤ポリマーは、約1000単量体単位以下、一般的には約25〜約500単量体単位の範囲にある。
開始剤ポリマーは、一般的に、表面上でのマクロマーなどの重合性材料の重合を促進し、それによって、生体表面上に高分子材料のマトリクスを形成する。重合性材料は、1以上の重合性基を有するモノマーおよびポリマーを含むあらゆる種類の化合物であることができる。重合性基は、炭素−炭素二重結合などのフリーラジカル重合を伝播することができる重合性化合物の部分である。好ましい重合性基は、ビニルまたはアクリレート基を有する重合性化合物中に見出される。更に特定的な重合性部分には、アクリレート基、メタクリレート基、エタクリレート基、2−フェニル・アクリレート基、アクリルアミド基、メタクリルアミド基、イタコネート基、およびスチレン基が挙げられる。細胞材料のカプセル化用に好ましい材料は、生体適合性重合可能ポリマー(マクロマーとも呼ばれる)である。こうしたマクロマーは、直鎖または分岐鎖ポリマーまたはコポリマー、またはグラフトコポリマーであることができる。本発明の開始剤ポリマーと共に使用するために適する合成高分子マクロマー、多糖類マクロマー、およびタンパク質マクロマーは、米国特許第5,573,934号(ハッベル(Hubbell)ら)に記載されており、その教示内容はその全体を本明細書において参考のため包含する。
好ましいマクロマーには、重合性ポリ(ビニルピロリドン)(PVP)、ポリ(エチレングリコール)(PEG)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(エチルオキサゾリン)、ポリ(プロピレンオキシド)、ポリアクリルアミド(PAA)、ポリ(ビニルアルコール)(PVA)、およびそれらのコポリマーが挙げられるがそれらに限定されない。特に、PEGおよびPAAは、更に好ましいマクロマーである。これらのタイプのマクロマーは、一般的に、水中に可溶であり、生分解性ポリマーに比べて、生体内でより安定である。
一部のケースにおいて、重合性材料として天然産または合成マクロマーを用いることは望ましくあることが可能である。適するマクロマーには、それらの例にヒアルロン酸(HA)、でんぷん、デキストラン、ヘパリン、およびキトサンに限定されないがそれらが挙げられる多糖類などの天然産ポリマー;およびそれらの例にゼラチン、コラーゲン、フィブロネクチン、ラミニン、アルブミンおよびそれらの活性ペプチドに限定されないがそれらが挙げられるタンパク質(および他のポリアミノ酸)が含まれる。これらの天然産または合成マクロマーを重合性とするために、重合性基は標準熱化学反応を用いてポリマー中に組み込むことができる。例えば、重合性基はリジン残基を含有するアミンのアクリロイル・クロライドとの反応を介してコラーゲンに添加することができる。これらの反応は重合性部分を含有するコラーゲンをもたらす。同様に、マクロマーを合成する場合に、反応基を含有するモノマーは合成体系中に組み込むことができる。例えば、ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)またはアミノプロピルメタクリルアミド(APMA)は、N−ビニルピロリドンまたはアクリルアミドと共重合することができ、ペンダントヒドロキシルまたはアミン基を有する水溶性ポリマーを生成する。これらのペンダント基は、次に、アクリロイル・クロライドまたはグリシジル・アクリレートと反応してペンダント重合性基を有する水溶性ポリマーを形成することができる。適する合成ポリマーには、その教示内容の全体が本明細書において参考のため包含される、上の米国特許第5,410,016号に記載されているような分解性セグメントを含有する親水性モノマーが含まれる。
別の態様において、本発明は、正荷電開始剤ポリマーおよびマクロマーを含む重合性組成物を与える。重合性組成物は、また、還元剤/受容体および増粘剤などの細胞カプセル化法に有用な他の化合物を含むことができる。適する増粘剤には、例えば、ポリエチレングリコール(PEGs)、およびグリセロールが挙げられる。従って、一つの態様において、本発明は、(i)少なくとも一つの重合開始剤基、およびpH8を含み少なくともpH8までのpHを有する状態でのポリマーに正電荷を与える陽イオン部分を有する開始剤ポリマーおよび(ii)マクロマーを含む重合性組成物を与える。更に特定的な態様において、本発明は、(i)可視光活性化染料の群から選択される光開始剤基、および(ii)pH8を含み少なくともpH8までのpHを有する状態でのポリマーに正電荷を与える陽イオン部分を含む重合性組成物を与える。
前述のように、本発明の開始剤ポリマーは、一般的に、生体表面に膜を与えるための方法において、マクロマー、および一部のケースにおける還元剤/受容体と共に用いられる。試薬は細胞カプセル化法に特に適する。
カプセル化しようとする細胞または組織は、哺乳類などの生物から直接得ることができる。あるいは、細胞は細胞培養から得ることができる。カプセル化を意図する細胞は、形質変換またはさもなければ部分修正をすることができる。カプセル化し疾患治療に用いることができる細胞および組織の特定タイプは、以下に検討される。「細胞」は、組織または器官の一部として存在することができるか、または微生物として独立に機能することができる個々の膜結合生物単位を指す。「組織」は類似細胞群を含み、また、一般的に、細胞と結合する細胞外物質を含む生物質量を指す。細胞または特に組織は、カプセル化過程の前に処理を受けることができる。例えば、組織は、トリプシン、ヒアルロニダーゼ、またはコラゲナーゼなどの酵素または他の適する試薬により処理して、カプセル化法に適するサイズの個々の細胞または細胞群を得ることができる。あるいは、組織は、適する細胞出発材料を調製するために機械加工を受けることができる。カプセル化法の前に、細胞は、また、薬物、プロドラッグ、またはホルモンなどで処理することができるか、または、望ましい発現パターンを示すか、またはある種の形態素性を有する細胞を与えるために培養することができる。細胞または組織の調製および調製された細胞または組織の治療用の詳細な指示書を与える技術文献は利用可能であり、例えば、Pollard, J. W. and Walker, J. M.Ed.,Basic Cell Culture Protocols(1997)に見出すことができる。あるいは、カプセル化に適すると共に、本発明の正荷電開始剤と共に用いるように意図される細胞または組織は、商業的に入手することができる。例えば、ミクロソームおよび肝細胞などの生物ヒト肝臓製剤および膵島などの生物ヒト膵臓製剤は、セルツダイレクト(CellzDirect,Inc.)(アリゾナ州、トウーソン)などの市販元から入手することができる。
技術文献において利用可能な情報により、一般に、表面を被覆するための方法において、および特に、細胞および組織をカプセル化するための本明細書において与えられる新規で革新的な方法において正荷電開始剤ポリマーを利用することができる。例えば、Cruiseら,Cell Transplantation 8:293(1999)の教示は、本発明の正荷電重合開始剤を用いる細胞カプセル化法のための基礎を与えることができる。上に示されるように調製される、または市販元から得られるカプセル化法に適する細胞または組織は、例えば、ロズウェルパークがん研究所(RPMI)媒体などの生体適合性緩衝水媒体などの適する媒体中に懸濁することができる。動物血清、アルブミンなどのタンパク質、酸化剤、還元剤、ビタミン、ミネラル、成長因子、または要望どおりに細胞または組織の生存性および機能に影響を与えることができる他の成分などの他の試薬は、この溶液に添加することができる。
正荷電開始剤ポリマーは、細胞または組織を溶液と接触させる前または後に、この溶液に添加することができる。開始剤ポリマーは、細胞または組織周りのマトリクスの形成を容易にするために充分である量で細胞と接触することができる。一つの態様において、開始剤ポリマーの濃度は、0.001〜0.5重量%である。なお別の態様において、開始剤ポリマーの濃度は、0.1〜0.25重量%である。一つの態様において、開始剤ポリマーは、開始剤ポリマーが細胞表面と結合するために充分である時間帯にわたり細胞と接触する。任意に、洗浄ステップは行うことができる。この洗浄ステップは、例えば、過剰な非結合開始剤または細胞と接触する他の物質を除去するために用いることができる。開始剤ポリマーが細胞または組織と接触した後、マクロマーなどの重合性材料は細胞と接触することができる。別の態様において、開始剤ポリマーは、重合性材料と共に細胞または組織と接触する。なお別の態様において、重合性材料は、開始剤ポリマーを細胞と接触させる前に、細胞と接触する。
重合性材料(例えば、マクロマー)は、所期の厚さのマトリクスの形成を可能とする量で細胞または組織と接触することができる。細胞カプセル化に有用な溶液中のマクロマー濃度は、5〜50重量%の範囲、更に好ましくは10〜30重量%の範囲にあることができる。一部の態様において、重合性材料は、正荷電開始剤ポリマーを活性化する前に一時期細胞と接触して置くことができる。
他の試薬は、カプセル化過程の間細胞または組織と接触して持ち込むことができる。前述のように、こうした試薬には、フリーラジカルを形成し、重合性材料のフリーラジカル重合を引き起こすことができる第3アミン(例えば、トリエタノールアミン)などの受容体または還元剤が挙げられる。適する受容体または還元剤は技術上公知であり、市販されている。これらの受容体または還元剤は、一般的に、開始剤基がエネルギーを受容体または還元剤に与えて重合性材料のフリーラジカル重合を促進する間接重合法において用いられる。増粘性試薬などの試薬は、また、本発明の方法において用いることができる。増粘性試薬は重合工程を改善することができる。適する受容体または還元剤は技術上公知であり、市販されている。技術熟練者は、カプセル化法を行うためのあらゆるこれらの添加試薬の適する量を決定することができる。
マトリクスの形成を促進するために必要な試薬が被覆しようとする表面に接触して持ち込まれた後、開始剤基を活性化するために充分な熱または電磁エネルギーなどのエネルギー源が、重合性材料の重合を開始するために加えられる。長波紫外線(LWUV)および350nm〜900nm範囲にある可視波長は好ましく、ランプおよびレーザー光源により供給することができる。これら波長の光を与えることができるランプまたはレーザー光源は市販されており、例えば、EFOS,Inc.(カナダ、オンタリオ州ミシサーガ)から入手することができる。本発明の好ましい開始剤ポリマーと共に使用するために特に適する波長は、約520nmである。反応の時間および温度は、望ましい膜を与えるために保持される。例えば、開始剤ポリマーおよびマクロマーに接触する細胞および組織は、秒〜分の範囲にある時間帯にわたり光により処理することができる。重合反応は光源を除去することにより停止させることができる。カプセル化細胞または組織は、次に、必要ならばさらなる処理を受けることができる。例えば、カプセル化材料を対象中に導入する前に、例えば、遠心分離によりカプセル化材料を濃縮することは、望ましくあることが可能である。
示されるように、細胞をカプセル化するための詳細手順を与える多くの技術文献が利用可能であり、正荷電開始剤ポリマーを用いることができる枠組みを与えることができる。従って、利用可能な情報を用いて、材料の表面被覆、更に詳細には、本明細書においてまたは他の文献に記載される正荷電開始剤ポリマーおよび試薬を用いる細胞材料および組織のカプセル化を行うことができる。
本発明により、重合開始剤は、生体表面上での重合化材料のマトリクス形成を促進するために用いることができる。重合開始剤を用いる重合は、侵襲性または非侵襲性いずれかの手順において、対象に、一緒かまたは個別いずれかで、重合開始剤および重合性材料を適用することにより、生体内で行うことができる。他の特に有用な用途には、細胞または組織の生体外カプセル化が含まれる。この用途において、細胞または組織は適する供給源から取得し、本明細書において記載される開始剤ポリマーを含む組成物を用いる高分子材料マトリクスによりカプセル化し、次に、カプセル化細胞または組織を必要とする対象中に導入することができる。このタイプの生体外カプセル化および移植手順は、それが、宿主免疫拒絶反応からの防御効果を移植細胞に付与すると共に、なおカプセル化細胞が宿主に治療価値を与えることを可能とするマトリクス膜を与えることができるので有利である。一部のケースにおいて、移植カプセル化細胞を受入れ後、対象は、細胞をカプセル化する高分子層を貫通することができると共に、対象にとって治療価値のある細胞反応を引き起こすことができる薬剤を投薬することができる。
本発明の一つの態様において、開始剤ポリマーは、下垂体からの細胞、副腎からの細胞、甲状腺/副甲状腺からの細胞、ベータ細胞、アルファ細胞、デルタ細胞、および膵臓ポリペプチド(PP)細胞などの膵島からの細胞、肝臓からの細胞、および精巣および卵巣などの生殖腺からの細胞を含む、内分泌腺系の腺および器官からの細胞または組織をカプセル化するために用いられる。内分泌腺細胞は、提供者個体から除去し、本明細書において記載される開始剤ポリマーを用いる高分子材料によりカプセル化することができる。
カプセル化内分泌腺細胞は、以下の状態または必要性にあるどれかを有する個体に移植することができる:下垂体障害、および成長ホルモン(GH)、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)、卵巣刺激ホルモン(FSH)、性腺刺激ホルモン(LH)、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、オキシトシン、または抗利尿ホルモン(ADH)を必要とする;副腎障害、および鉱質コルチコイド(例えば、アルドステロン)、グルココルチコイド(例えば、コルチゾール)、男性ホルモンステロイド、またはエピネフリンまたはノルエピネフリンなどのカテコールアミンを必要とする;甲状腺または副甲状腺障害、および甲状腺ホルモン、カルシトニン、または副甲状腺ホルモン(PTH)を必要とする;糖尿病などの膵臓障害、およびインシュリン、グルカゴン、ソマトスタチン、または膵臓ポリペプチドを必要とする;肝臓障害、および胆汁または凝固因子を含む血漿タンパク質を必要とする;生殖腺障害、およびテストステロンなどの男性ホルモンまたはエストロゲンなどの女性ホルモンを必要とする。
カプセル化することができる他のタイプの細胞には、心臓血管、呼吸器、腎臓、神経、筋肉、および骨格系からの未成熟および成熟細胞が挙げられる。一部の態様において、形質変換されるかまたは遺伝子組み換えされた細胞は、カプセル化し、宿主中に移植することができる。例えば、ペプチドホルモンまたは酵素などの治療的に有用な化合物を産生するために形質変換されるかまたは遺伝子組み換えされた細胞は、カプセル化し、個体中に導入することができる。
開始剤ポリマーおよび重合性材料は、また、人工バリア、例えば、手術後の組織癒着を防止するためのバリアを与えるために、生体内用途に用いることができる。この用途に対して、重合性材料と共に開始剤ポリマーが組織表面に塗布される。次に、組成物は光を当てられて重合を開始しバリア・マトリクスの形成を始める。高分子マトリクスは、他の組織が被覆化組織に癒着するのを防ぐ。一部の手順において、高分子マトリクスは血管表面上に形成して、血小板などの血液因子または細胞が血管壁と相互作用するかまたはそれに癒着することを防ぐことができる。分解性および非分解性マクロマー系は両方ともこの目的のために用いることができる。
上述のように、一部の例において、薬剤はカプセル化細胞を受け入れた後に対象に投与することができる。薬剤は、必要とされる場合、カプセル化細胞から治療的に有用な細胞反応を引き起こすことができる。カプセル化細胞を有する対象に投与することができる他の有用な薬物には、坑血栓性、坑炎症性、抗菌、坑増殖性、および抗癌化合物、ならびに成長因子、および骨形成タンパク質などが挙げられる。
本発明は、今、以下の非限定実施例を参照して実証される。
表1
Figure 0004847318
Figure 0004847318
実施例1
APTAC−ポリエチレンイミン(APTAC−PEI)ポリマーの合成
光開始剤ポリマー調製用の出発材料として、陽性第4級アンモニウム基に結合されるポリエチレンイミン主鎖を有する正荷電ポリマーを調製した。
(アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウム・クロライド分子の形態にある第4級アンモニウム基を、以下の手順を用いてポリエチレンイミン・ポリマーに結合させた:ポリエチレンイミン(10,000Mw;ペンシルベニア州、ウオリントンのポリサイエンシズ(Polysciences))5グラムを、脱イオン水10ml中に溶解させて50%PEI溶液とした。50%PEI溶液に、75%(3−アクリルアミドプロピル)−トリメチルアンモニウム・クロライド溶液(APTAC;ミズーリー州、セントルイスのシグマ・アルドリッチ(Sigma-Aldrich Corp.,))16gを添加した。PEIおよびAPTACの混合物を55℃で一夜にわたり振動させた。得られる生成物は粘性の琥珀色溶液であり、これを室温で密閉ガラスビン中に保存した。
APTAC−PEIの調製に用いられる等価濃度の小スケール反応を用いてNMR(核磁気共鳴)によりAPTAC分子のビニルプロトンを監視することによって、反応が室温で16時間において99%完了することが示された。
上述のようにAPTAC対PEIの2.4:1重量比(APTAC12g対PEI(10,000Da)5g)を用いて、APTAC−PEIの最終Mwが、出発PEIポリマーのMw(10,000Da)よりも約3.4倍大きい(34,000Da)ことが推定された。
実施例2
APTAC−EITC−ポリエチレンイミン(APTAC−EITC−PEI)開始剤ポリマーの合成
実施例1において合成される正荷電APTAC−PEIポリマーを、ペンダント光開始剤基を有する光開始剤ポリマー調製用の出発材料として用いた。
実施例1において合成されるAPTAC−PEIポリマー(200μl)を、DMSO5ml中に溶解した。エオシン−イソチオシアネート(100mg)(EITC;オレゴン州、スプリングフィールドのヘリックス・リサーチ(Helix Research))をDMSO45ml中に溶解して2.2mMのEITC溶液を作成した。EITC溶液を含有する溶解または反応を、引き続き、暗所かまたは明るい密閉容器中で行った。APTAC−PEI/DMSO溶液5mlを2.2mM・EITC/DMSO溶液45mlと混合し、室温で24時間にわたり混ぜた。
24時間後、洗浄液として20%DMSO、80%水溶液2,000mlsを用いて、二つのバイオマックス(Biomax)フィルタ(5,000Mwカットオフ(MWCO);マサチューセッツ州、ビルリカのミリポア(Millipore Co.))を用いる限外濾過を介して、未反応EITCを除去した。次の洗浄を、また二つの5,000Mwカットオフ・バイオマックスフィルタを用いて、DMSO/水溶液の代わりに50mM・炭酸アンモニウム2,000mlで行った。APTAC−EITC−PEIポリマー生成物231mgを凍結乾燥により回収し、室温で光をよけて保存した。APTAC−EITC−PEI開始剤ポリマー生成物の最終重量は、約42.5kDaであった。
APTAC−EITC−PEI開始剤ポリマー生成物は、表I中の化合物Iにより表すことができる。
実施例3
種々の分子量のAPTAC−EITC−PEI開始剤ポリマーの調製
実施例1および2に記載されるそれに類似の手順を用いて、(a)分子量および(b)EITC含量両方の変動を有するAPTAC−EITC−PEI開始剤ポリマーを調製した。
750,000(750K)Da、10,000(10K)Da、2,000(2K)Da、および800DaのMwsを有するPEIポリマーを、ペンシルベニア州、ウオリントンのポリサイエンシズから入手した。50%APTAC結合を有するPEIを調製するために、それぞれ各種サイズのPEIポリマーに対してAPTAC対PEI、2.4:1重量比を用いた。20%APTAC結合を有するPEIを調製するために、それぞれ各種サイズのPEIポリマーに対してAPTAC対PEI、0.96:1重量比を用いた。実施例1に詳細に記載される試薬および反応時間をそれぞれの調製物に対して用いた。続いて、列挙されるサイズのAPTAC−PEIポリマーの調製物を、次に、実施例2に詳細に記載される試薬および反応時間を用いるEITC分子に結合した。詳細には、各APTAC−PEIポリマー調製物(200μl)をDMSO5ml中に溶解し、2.2mM・EITC/DMSO溶液45mlと混合し、次に、室温で24時間にわたり混合した。実施例2に詳細に記載される精製ステップをそれぞれの試料に対して実施し、各調製物の収率は、実施例1および2の10,000MwPEIポリマーを用いる回収のそれに比較し得るものであった。
結果により、50%APTAC目標負荷での開始剤の最終Mwsは以下の通りであると計算される:
出発MwPEI(Da) 近似最終MwAPTAC−EITC−PEI(Da)
(a)800 3400
(b)2000 8500
(c)10,000 42,500
(d)750,000 3.2×106
実施例4
APTAC−EITC−デンドリマー開始剤ポリマーの調製
実施例1および2に記載されるそれに類似の手順を用いて、PEI−APTAC−デンドリマー開始剤ポリマーを調製した。14,215Daの分子量を有するアミン官能性デンドリマーを、実施例1および2で用いた10,000Da・PEIの代わりにポリマー主鎖として用いた。
デンドリマー開始剤ポリマーの合成における第1ステップとして、中間APTAC−デンドリマーを作成した。エチレンジアミン−コア・ポリ(アミドアミン)デンドリマー(PAMAMデンドリマー、第4世代、FW14,215Da、メタノール中10重量%;ミズーリー州、セントルイスのシグマ・アルドリッチ)1グラムを、75%APTAC溶液(シグマ・アルドリッチ)44.7mgと共にフラスコ中に入れた。メタノールをロータリー・エバポレータで除去して残留物176mgを得、残留物を3.5日間にわたり37℃でオーブン中において加熱した。重水素を含むメタノール(CD3OD)中の残留物のNMR分析により、反応がAPTACのビニルプロトンに対して99%を超えて完了していることが示された。
APTAC−デンドリマー/DMSO溶液を、APTAC−デンドリマー中間物30mgをDMSO5ml中に溶解することにより調製した。EITC/DMSO溶液を、エオシン−イソチオシアネート(EITC;オレゴン州、スプリングフィールドのヘリックス・リサーチ)25mgをDMSO300マイクロリットル中に溶解することにより調製した。デンドリマー−APTAC/DMSO溶液をEITC/DMSO溶液と混ぜ合わせ、室温で24時間にわたり混合した。EITCを含む溶解または反応を、光防御容器(琥珀色ガラスビン)中で行った。
24時間後、未反応EITCを、洗浄液として20%DMSO、80%水溶液2リットルを用いて、二つのバイオマックス・フィルタ(5,000Mwカットオフ(MWCO);マサチューセッツ州、ビルリカのミリポア)を用いる限外濾過を介して除去した。次の洗浄を、また二つの5,000Mwカットオフ・バイオマックスフィルタを用いてDMSO/水溶液の代わりに50mM炭酸アンモニウム2リットルにより実施した。APTAC−EITC−デンドリマー生成物47mgを凍結乾燥により回収し、室温で光から防御して保存した。
実施例5
トリメチロールプロパン・エトキシレート(20/3EO/OH)・トリアクリレート・マクロマーの調製
PEG系マクロマーを開始剤ポリマーと共に使用するため以下に詳細に記載されるように合成した。
PEG系マクロマーの合成を図1に示す。トリメチロールプロパン・エトキシレート(PEGトリオール;100.0g、98.6mモル;平均Mwca.1,104;Cat.No.41,617−7;ウィスコンシン州、ミルウオーキーのアルドリッチ・ケミカル・カンパニー(Aldrich Chemical Company, Inc.,))を、攪拌しながらトルエン200mls中に溶解し、1時間にわたり還流した。PEG−トリオール溶液を放置して約80℃に冷却した。この時に、4−メトキシフェノール(MEHQ;ニュージャージー州、フィリップスバーグのJ.T.ベーカー(Baker))50mg(0.403mモル)、アクリル酸(ニュージャージー州、フィリップスバーグのJ.T.ベーカー)42.7g(0.592モル)、および硫酸(ウィスコンシン州、ミルウオーキーのアルドリッチ・ケミカル・カンパニー)10mls(0.188モル)を、攪拌しながら反応溶液に添加した。反応溶液を加熱して還流した。約6.0mlsの水が生成しディーン&スターク(Dean & Stark)容器を介して収集されるまで(約1時間)、反応を進めさせた。反応混合物を放置して50℃に冷却し、攪拌しながら重炭酸ナトリウム溶液(脱イオン水2.5リットル中270g)中に注いだ。有機層を分離し、脱イオン水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させた。PEG−トリアクリレートを拭き取りフィルム蒸留器(ウィスコンシン州、ソークビルのポープ・サイエンティフィック(Pope Scientific, Inc.,))を用いて単離した。
PEG−トリアクリレート・マクロマー生成物は表I中の化合物IIにより表される。
実施例6
APTAC−EITC−PEI開始剤ポリマーを用いる細胞カプセル化
実施例1、2、および3において調製される正荷電開始剤ポリマーを重合開始剤として用いて、細胞表面上にカプセル化性高分子膜を与える。細胞カプセル化手順は以下のステップを含む:(i)細胞を実施例1〜3において調製されるAPTAC−EITC−PEIポリマーを含有する溶液と接触させ、(ii)細胞を実施例4のPEG−トリアクリレート・マクロマーを含有する溶液と接触させ、(iii)マクロマーおよび開始剤と接触する細胞をアルゴン・レーザー光源で処理し、および(iv)リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で洗浄すること。これらのステップの後、細胞を検査して、細胞周りの膜の品質(顕微鏡検査を介して)、および細胞生死判定(トリパンブルー排除法またはヨウ化プロピジウム染色法)を決定する。
PEG系マクロマー、PEG−トリアクリレート(化合物II)調製のための合成体系を示す。

Claims (24)

  1. (a)下記(i),(ii)及び(iii):
    (i)ポリエチレンイミン又はエチレンジアミンコア・ポリ−(アミドアミノ)デンドリマーを含むポリマー主鎖、
    (ii)エオシン基を有し、前記ポリマー主鎖に結合している開始剤基、及び
    (iii)(アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウム基を含み、前記ポリマー主鎖に結合している陽イオン部分
    を含む、開始剤ポリマーであって、
    前記陽イオン部分が、pH8を含む少なくともpH8までのpH値を有する状態において、前記開始剤ポリマーに正電荷を持たせる正荷電開始剤ポリマー、及び
    (b)重合性材料
    を含み、
    前記正荷電開始剤ポリマーが、基体表面の少なくとも一部分において、前記重合性材料の重合を引き起すように活性化され得る
    ことを特徴とする重合システム。
  2. 前記陽イオン部分が、pH10を含む少なくともpH10までのpHを有する状態にある前記正荷電開始剤ポリマーに正荷電を持たせる、請求項1に記載の重合システム。
  3. 前記開始剤基が、350nm以上の励起波長を有する光開始剤基である、請求項1に記載の重合システム。
  4. 前記光開始剤基の励起波長が500nm以上である、請求項3に記載の重合システム。
  5. 正荷電開始剤ポリマーが少なくとも5個の開始剤基を含む、請求項1に記載の重合システム
  6. 正荷電開始剤ポリマーが3.2×10 6 Da未満のM w を有する、請求項1に記載の重合システム
  7. 正荷電開始剤ポリマーが250,000Da以下のM w を有する、請求項6に記載の重合システム
  8. 正荷電開始剤ポリマーが8,500〜250,000Daの範囲にあるM w を有する、請求項7に記載の重合システム
  9. 正荷電開始剤ポリマーが8,500〜100,000Daの範囲にあるM w を有する、請求項8に記載の重合システム。
  10. 正荷電開始剤ポリマーが1000以下のモノマー単位を含む、請求項1に記載の重合システム。
  11. 基体表面が負荷電表面を含む、請求項1に記載の重合システム。
  12. 基体表面が生物学的表面を含む、請求項1に記載の重合システム。
  13. 基体表面が細胞を含む、請求項12に記載の重合システム。
  14. (a)下記(i),(ii)及び(iii):
    (i)ポリエチレンイミン又はエチレンジアミンコア・ポリ−(アミドアミノ)デンドリマーを含むポリマー主鎖、
    (ii)エオシン基を有し、前記ポリマー主鎖に結合している開始剤基、及び
    (iii)(アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウム基を含み、前記ポリマー主鎖に結合している陽イオン部分
    を含む、開始剤ポリマーであって、
    前記陽イオン部分が、pH8を含む少なくともpH8までのpH値を有する状態において前記開始剤ポリマーに、正電荷を持たせる正荷電開始剤ポリマー。
  15. (a)請求項14に記載の正荷電開始剤ポリマー、
    及び
    (b)重合性材料
    を含む
    基体の表面に高分子被膜を形成するためのキット。
  16. 請求項13に記載の重合システムにより形成された高分子被膜によりカプセル化された1以上の細胞。
  17. 前記ポリマー主鎖から、少なくとも5個の前記開始剤基が垂れ下ってており、前記陽イオン部分の個数の、前記開始剤基の個数に対する比が、少なくとも1:1である請求項14に記載の正荷電開始剤ポリマー。
  18. 前記陽イオン基対前記開始剤基のモル比が少なくとも2.5:1である、請求項17に記載の開始剤ポリマー。
  19. 前記陽イオン基対開始剤基のモル比が少なくとも5:1である、請求項18に記載の開始剤ポリマー。
  20. 前記ポリマー主鎖のモノマー単位の20%以上が前記陽イオン基に結合している、請求項17に記載の開始剤ポリマー。
  21. 前記ポリマー主鎖中のモノマー単位の50%以上が前記陽イオン基に結合している、請求項20に記載の開始剤ポリマー。
  22. 細胞質材料をカプセル化する方法であって、
    下記工程(a),(b),(c)、及び(d):
    (a)細胞を含む細胞質材料を提供し、
    (b)生体外において、前記細胞質材料を、請求項17に記載の正荷電開始剤ポリマーと接触させ、
    (c)前記細胞質材料を重合性材料と接触させ、そして、
    (d)前記正荷電開始剤ポリマーの開始剤基を活性化して、前記重合性材料を重合させて、前記細胞質材料を取り囲むポリマー層を形成させる、
    ことを含む細胞質材料をカプセル化する方法。
  23. 前記細胞質材料が、膵臓島細胞を含む請求項22に記載の方法。
  24. 前記重合性材料がマクロマーを含む、請求項22に記載の方法。
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