JP2010540696A - 耐久性のある膨潤性ヒドロゲルマトリックス及び方法 - Google Patents

耐久性のある膨潤性ヒドロゲルマトリックス及び方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、優れた耐久性及び膨潤性を有する、生体適合性ポリマーヒドロゲルマトリックスを提供する。上記マトリックスは、直鎖及び分岐鎖の親水性マクロマー化合物の組み合わせから形成される。上記マトリックスを、医療デバイスに関連して、又は単体で用いることができる。いくつかの方法では、上記ポリマーマトリックスは、上記マトリックスを膨潤させ且つ目標領域を閉塞させる目標位置のところに配置されるか、又はそこで形成される。

Description

[関連出願のクロスリファレンス]
本出願は、2007年9月25日に出願された、「耐久性のある膨潤性ヒドロゲルマトリックス及び方法」と題する、仮出願番号60/995,170号の利益を主張する(当該公表を、参照により本明細書に援用する)。
[発明の分野]
本発明は、ヒドロゲル、並びにそれらの調製のための組成物及び方法に向けられている。本発明はまた、移植された又は形成された製品による身体の一部の閉塞のためのシステム及び方法に関する。
ヒドロゲルは、概して、大量の水を吸収する容量を有する、架橋された親水性ポリマーの不溶性マトリックスとして考えられている。生体適合性材料から調製されるそれらの物理的性質及び能力のため、ヒドロゲルは、生物医学的用途に大量に用いられている。例えば、ヒドロゲルは、創傷の治療、並びにドラッグの放出用のビヒクルとして用いられている。ヒドロゲルはまた、医療デバイスの表面の被覆物として用いられ、そしてデバイス表面の親水性又は滑性を改良するために用いられうる。
ヒドロゲルは、概して、脱水された状態から水を吸収する際に膨潤するそれらの容量により特徴付けられる。この膨潤は、ヒドロゲルが配置される条件、例えば、pH、温度、並びに局所的なイオン濃度及び種類により影響を受ける場合がある。何点かのパラメータを用いて、変化した条件における膨潤比、一定の溶質の浸透係数、及びその目的とする用途の条件におけるヒドロゲルの機械的挙動を含む、膨潤状態におけるヒドロゲルを規定する又は特徴付けることができる。
相当な程度の膨潤をうけるヒドロゲルは、ヒドロゲルが配置される、又は形成される身体における複数の医療用途向けに有用であることができる。しかし、高度の膨潤を有するヒドロゲルはまた、身体内で用いるために構造的に不適当である場合がある。例えば、相当の膨潤により、ヒドロゲルがもろくなり、そして生体組織と接触することで破壊又は分断される場合がある。これにより、ヒドロゲル又は当該ヒドロゲルに関連するデバイスが、その機能性を喪失する場合があり、又はヒドロゲルの一部が目標とする位置から移動すると、身体に合併症が生ずる場合がある。
本発明は、ポリマーマトリックス形成配合物、膨潤性ポリマーマトリックス、膨潤性ポリマーマトリックスに関連する医療製品、及び膨潤性ポリマーマトリックスの使用方法を提供する。本発明のポリマーマトリックスは、水性環境において実質的に膨潤性であり、耐久性があり且つ身体内で用いるために非常に好適であるヒドロゲルを形成する。上記膨潤性ポリマーマトリックスは、高い吸水度並びに高密度の架橋を提供するポリマー材料の組み合わせから形成される。それ自体、本発明は、良好な膨潤性を実証するが、不十分な構造特性、例えば、不十分な耐久性を有するヒドロゲルを生じる場合がある膨潤性ポリマーマトリックスに関連する課題を扱う。
本発明の膨潤性ポリマーマトリックスは、身体内の目標とする位置のところに移植又は形成された場合に特に有用である。上記ポリマーマトリックスは、身体の目標とする領域を閉塞する、膨潤されたヒドロゲルを形成し、そして目標とする位置のところで所望の生物系効果を提供する。上記膨潤性ポリマーマトリックスは、乾燥状態、又は部分的乾燥(脱水された)状態において、目標とする領域に供給されることができ、目標とする領域は、水和され、そして膨潤し、上記領域を閉塞するか又はブロックする。上記閉塞又はブロックは、生物系効果を有することができる。例えば、閉塞するヒドロゲルは、閉塞された領域の前後、又はその中で、生体液、組織、又は他の生体物質の運動を防止することができる。
本発明のポリマーマトリックスは、膨潤性を失うことなく、改良された耐久性を有する膨潤されたヒドロゲルを形成する優位性を提供する。従って、本明細書に記載されるように、上記膨潤性ポリマーマトリックスの使用により、in vivoで改良された機能が提供されうる。例えば、上記ポリマーマトリックスは、次の膨潤で破壊される恐れが少ない。これにより、目標とする領域のところでより完全な閉塞又はブロックを提供することができ、そしてまた、次の移植の機能性ライフタイムを長くすることができる。
上記ポリマーマトリックスを、目標とする領域のところで単体で用いることができ、又はデバイスと関連して用いることができる。例えば、いくつかの態様では、上記ポリマーマトリックスは、埋め込むことができる医療デバイス上のオーバーモールド形態又はコーティング形態であることができる。上記デバイスの非ヒドロゲル部分は、搬送、及び目標とする位置におけるヒドロゲルの機能を促進することができる。
態様の1つでは、本発明は、ポリマーマトリックス形成組成物を提供する。上記組成物は、ペンダント反応性基を含む直鎖の親水性ポリマー、並びに2又は3以上の親水性ポリマー部分及びペンダント反応性基を含む非直鎖、すなわち、分岐鎖の化合物を含む。直鎖の親水性ポリマー及び分岐鎖の化合物の反応性基が反応され、耐久性のあるヒドロゲルに実質的に膨潤することができる生体適合性ポリマーマトリックスを形成することができる。これらの2つのマトリックス形成成分の組み合わせは、優れた膨潤性及び耐久性を有する特定の架橋された構造を有するポリマーマトリックスを提供すると考えられる。
直鎖の親水性ポリマーは、オキシアルキレンポリマー、例えば、ポリ(エチレングリコール)であることができる。非直鎖、すなわち、分岐鎖の化合物は、ポリオールから誘導されることができる。例示的なポリオール誘導体は、ペンタエリトリトール、トリメチロールプロパン、及びグリセロールのオキシアルキレン誘導体に由来する。
反応性基は、重合性基であることができ、そして上記ヒドロゲルを、重合開始剤を用いて形成することができる。
別の態様では、本発明は、第1の及び第2のポリマー含有セグメントを含むポリマー材料の架橋された網目を形成する膨潤性ポリマーマトリックスを提供する。上記架橋された網目には、親水性ポリマー部分を含む直鎖構造を有する第1のポリマー含有セグメントと、親水性ポリマー部分(例えば、オキシアルキレンポリマー部分)を含む非直鎖、すなわち分岐鎖構造を有する第2のポリマー含有セグメントとを含む。上記膨潤性ポリマーマトリックスは、実質的に膨潤性であり、そして耐久性のあるヒドロゲルを提供する。いくつかの構造では、上記ポリマーマトリックスは、脱水された状態におけるその質量の1.5〜10倍の範囲における質量まで、水中で膨潤することができる。いくつかの構造では、マトリックスは、脱水された状態から、水和の際、100g/cm2〜2000g/cm2の範囲内で膨潤することができる。いくつかの構造では、上記ポリマーマトリックスは、脱水された状態におけるそのサイズの約150%〜約300%の範囲におけるサイズまで、水中で膨潤することができる。
別の態様では、本発明は、ポリマー材料の架橋された網目から形成された膨潤性ポリマーマトリックスを有する医療デバイスを提供する。上記マトリックスは、種々の方式、例えば、上記デバイス上のオーバーモールド又はコーティングの状態で、デバイスと結合されることができる。上記マトリックスは、親水性ポリマーを含む直鎖構造を有する第1のポリマー含有セグメントと、親水性ポリマー部分(例えば、オキシアルキレンポリマー部分)を含む非直鎖、すなわち分岐鎖の構造体を有する第2のポリマー含有セグメントとを含む。第1の及び第2のポリマー含有セグメントは、上記ポリマー部分からの重合された基ペンダントを経由して架橋される。上記マトリックスは、実質的に膨潤性であり、そして膨潤の際に耐久性のあるヒドロゲルを提供する。上記医療デバイスは、身体の目標とする領域、例えば、動脈瘤、及び生殖器官の一部、例えば、卵管において配置されるように構成されうる。上記マトリックスが脱水された状態で、上記医療デバイスを移植することができ、そして移植の際そして/又は移植に続いて、上記マトリックスが再水和し、そして膨潤することができる。ある場合では、上記マトリックスは、身体に配置した際に膨潤し、脱水された状態におけるデバイスの3倍の直径、又は3倍以上の直径を有する医療デバイスを提供する。
別の態様では、本発明は、身体内の領域を空間充填する又は閉塞するための方法を提供する。上記方法は、膨潤性ポリマーマトリックスを含む製品を移植するためのステップ、又は身体の目標とする位置におけるマトリックスを形成するためのステップを含み、架橋された網目の形状をなすマトリックスは、(i)親水性ポリマーを含む直鎖構造を有する第1のポリマー含有セグメントと、(ii)親水性ポリマー部分を含む直鎖、すなわち分岐鎖の構造体を有する第2のポリマー含有セグメントとを含む。上記方法はまた、上記マトリックスを目標とする位置で膨潤させ、ヒドロゲルを形成し、そして身体の目標とする位置で閉塞させるステップを含む。
以下に記載される本発明の実施形態は、網羅的であること、又は次の詳細な説明に開示される正確な形態に本発明を限定することを意図していない。むしろ、上記実施形態は、他の当業者が、本発明の原理及び実施を正しく評価し、そして理解することができるために選択され、そして記載されている。
本明細書で言及される全ての出版物及び特許を参照し、本明細書に援用する。本明細書に開示される出版物及び特許は、たんに、それらの公表のために提供される。本願発明者達が、本明細書に言及される出版物及び/又は特許を含む任意の出版物及び/又は特許に先行する権利を与えることの承認として、本明細書は解釈されるべきでない。
本発明は、身体内の目標とする領域をブロックするか、又は閉塞する、耐久性のあるヒドロゲルをin situで膨潤させることができる、改良されたポリマーマトリックスを提供する。上記膨潤性ポリマーマトリックスは、ペンダント反応性基を有する2種の異なるポリマー系成分から形成される。上記ペンダント反応性基は、活性化され、又は架橋成分と反応し、膨潤性ポリマーマトリックスを形成することができる。上記マトリックスの形成のための他の成分が、所望により含まれうる。
上記膨潤性ポリマーマトリックスを、種々の形態において用いることができる。例えば、上記膨潤性ポリマーマトリックスは、医療デバイス上のオーバーモールドの形態であることができる。上記マトリックスはまた、医療デバイス上のコーティングの形態であることができる。上記膨潤性ポリマーマトリックスはまた、それ自体、デバイスそのものとして用いることができる(すなわち、上記マトリックス形成組成物により形成される)。上記マトリックスはまた、目標とする位置のところで、in situで形成されうる。
上記膨潤性ポリマーマトリックスを形成するために用いられる成分の1つ(すなわち、第1の成分)は、1又は2以上のペンダント反応性基を含む直鎖の親水性ポリマーである。別の成分(すなわち、第2の成分)は、2又は3以上の親水性ポリマー部分及びペンダント反応性基を含む分岐鎖の化合物である。上記直鎖の親水性ポリマー及び分岐鎖の化合物の反応性基が反応して、耐久性のあるヒドロゲルに膨潤することができるポリマーマトリックスを形成することができる。
「膨潤性ポリマーマトリックス」は、少なくとも第1の成分及び第2の成分から形成された、高分子材料の架橋されたマトリックスを指す。上記ポリマーマトリックスは、脱水されてもよく、又は完全に膨潤されたマトリックス中に存在する水の量よりも少ない量の水を含んでもよい(完全に水和されたマトリックスを、本明細書において「ヒドロゲル」と称する)。概して、上記マトリックスは、閉塞のために身体内の目標とする位置に供給されると、完全に水和しない。本発明は、種々の水和の水準におけるマトリックスを企図する。
本発明の考察を容易にするために、上記膨潤性ポリマーマトリックスを形成する成分からの反応性基ペンダントとして、重合性基を論ずる。直鎖の親水性ポリマー(すなわち、マクロマー)は、フリーラジカルの存在下で、重合性である化学系基を概して指す、1又は2以上の「重合性基」を含む。重合性基は、エチレン系不飽和基又はビニル基であることができる炭素−炭素二重結合を含むのが一般的である。例示的な重合性基には、アクリレート基、メタクリレート基、エタクリレート(ethacylate)基、2−フェニルアクリレート基、アクリルアミド基、メタクリルアミド基、イタコネート基、及びスチレン基が含まれる。
ポリマーは、マクロマーを製造するために、有機、極性若しくは無水溶媒、又は溶媒の組み合わせ内に、有効に誘導される。一般的に、ポリマーを溶解させることができる溶媒系が用いられ、そして重合性基を用いた誘導により制御される。重合性基、例えば、グリシジルアクリレートが、簡単な合成方法においてポリマー(例えば、多糖類及びポリペプチド)に付加されうる。いくつかの態様では、上記重合性基は、マクロマー1mg当たり0.05μmol以上の重合性基のモル比で、上記マクロマー上に存在する。いくつかの態様では、上記マクロマーは、マクロマー1mg当たり、約0.05μmol〜約2μmolの重合性基(例えば、アクリレート基)の範囲における量で重合性基を用いて誘導することができる。
反応性酸素含有基(例えば、オキシド)を有するモノマーから調製された複数のポリマーは、ヒドロキシル反応性基及び重合性基を有する化合物と反応することができるヒドロキシル含有末端部を有し、その末端のところに重合性基を有するマクロマーを供給することができる。
第1の成分は、直鎖の親水性ポリマーに基づくマクロマーを含むことができ、そして親水性である生体適合性ポリマーから形成されうる。第1の成分を形成するために用いられうる例示的なポリマーは、1種又は2種以上の下記ポリマー:ポリ(ビニルピロリドン)(PVP)、ポリ(エチレンオキシド)(PEO)、ポリ(エチルオキサゾリン)、ポリ(プロピレンオキシド)(PPO)、ポリ(メタ)アクリルアミド(PAA)及びポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(エチレングリコール)(PEG)(例えば、米国特許第5,410,016号明細書、同第5,626,863号明細書、同第5,252,714号明細書、同第5,739,208号明細書及び同第5,672,662号明細書)、PEG−PPO(ポリエチレングリコール及びポリプロピレンオキシドのコポリマー)、親水性セグメント化ウレタン(例えば、米国特許第5,100,992号明細書及び同第6,784,273号明細書)、及びポリビニルアルコール(例えば、米国特許第6,676,971号明細書及び同第6,710,126号明細書)に基づくことができる。
いくつかの態様では、第1の成分は、100Da〜5000Da、100Da〜10,000Da、100Da〜20,000Da、又は100Da〜40,000Daの範囲における分子量を有する。
いくつかの態様では、上記マクロマーは、オキシアルキレンポリマー、例えば、構造HO−(CH2−CH2−O)n−Hを有するエチレングリコールポリマー又はオリゴマーから形成される。一例として、nの値は、約3〜約150の範囲にわたり、そしてポリ(エチレングリコール)の数平均分子量(Mn)は、約100Da〜約5000Daの範囲にわたり、さらに典型的には、約200Da〜約3500Daの範囲にわたる。
オキシアルキレンポリマーを、有効に誘導し、重合性基を付加し、オキシアルキレン系マクロマーを生成することができる。重合性基、例えば、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アクリル又はメタクリル酸を、これらのポリマーの末端ヒドロキシル基と反応させ、末端重合性基を供給することができる。
アルキレンオキシドポリマー系マクロマーのいくつかの具体例には、ポリ(プロピレングリコール)540−ジアクリレート、ポリ(プロピレングリコール)475−ジメタクリレート、ポリ(プロピレングリコール)900−ジアクリレート、ポリ(エチレングリコール)250−ジアクリレート、ポリ(エチレングリコール)575−ジアクリレート、ポリ(エチレングリコール)550−ジメタクリレート、ポリ(エチレングリコール)750−ジメタクリレート、ポリ(エチレングリコール)700−ジアクリレート、及びポリ(エチレングリコール)1000−ジアクリレート、ポリ(エチレングリコール)2000ジアクリレート、ポリ(エチレングリコール)1000−モノメチルエーテルモノメタクリレート、及びポリ(エチレングリコール)500−モノメチルエーテルモノメタクリレートが含まれる。これらの種類のアルキレンオキシドポリマー系マクロマーは、Sigma−Aldrich(St.Louis,MO)又はPolysciences(Warrington,PA)から入手可能である。
第2の成分は、2又は3以上の親水性ポリマー部分及びペンダント反応性基を含む非直鎖、すなわち、分岐鎖の化合物を含む。いくつかのケースでは、第2の成分は、上記化合物のポリマー部分からのペンダント重合性基ペンダントを含む。これらのケースでは、上記化合物はまた、マクロマー化合物とみなすことができ、そして第1の成分と同一の様式において、上記膨潤性ポリマーマトリックスを形成するために用いられうる。
ポリマー部分を有する、「非直鎖」、すなわち「分岐鎖」の化合物は、直鎖のポリマー(分子が、分岐又は架橋された構造体なしで長分子鎖を形成するポリマーである)と異なる構造を有するものを指す。上記化合物は、上記化合物の共通の連結部分に結合された、複数のポリマーの「アーム」を有することができる。
非直鎖、すなわち分岐鎖の化合物は、次の一般式を有するものにより例証される。
Figure 2010540696
(式中、Xは、連結する原子、例えば、C若しくはSから選択されるもの、又は連結する構造体、例えば、単素環若しくは複素環であり;Y1〜Y3は、架橋基であり、独立して、例えば、−Cn−O−(nは、0又は1以上の整数である)であることができ;R1〜R3は、同一又は異なることができ且つ1又は2以上のペンダント重合性基を有する、独立した、親水性ポリマー部分であり;そしてZは、非高分子量基、例えば、短分子鎖アルキル基である).
Figure 2010540696
(式中、Xは、連結する原子、例えば、C若しくはSから選択されるもの、又は連結する構造体、例えば、単素環若しくは複素環であり;Y1〜Y4は、架橋基であり、独立して、例えば、−Cn−O−(nは、0又は1以上の整数である)であることができ;そしてR1〜R4は、同一又は異なることができ且つ1又は2以上のペンダント重合性基を有する、独立した、親水性ポリマー部分である).
Figure 2010540696
(式中、Xは、連結する原子又は基、例えば、N、C−H、又はS−Hから選択されるもの、又は連結する構造体、例えば、単素環若しくは複素環であり;Y1及びY2は、架橋基であり、独立して、例えば、−Cn−O−(nは、0又は1以上の整数である)であることができ;そしてR1〜R3は、同一又は異なることができ且つ1又は2以上のペンダント重合性基を有する、独立した、親水性ポリマー部分である).
多くの態様では、上記分岐鎖の化合物は、上記化合物のポリマーの分岐された部分(R)当たり1つの重合性基を有する。多くの態様では、上記重合性基は、ポリマー部分Rの末端のところに配置されている。
第2の化合物は、ポリオール、例えば、低分子量ポリオール(例えば、200Da以下の分子量を有するポリオール)から調製されうる。いくつかの態様では、第2の化合物を、トリオール、テトラオール、又は他の多官能価のアルコールから誘導することができる。例示的なポリオール誘導体には、ペンタエリトリトール、トリメチロールプロパン、及びグリセロールの誘導体が含まれる。
第2の化合物のポリマー部分は、PVP、PEO、ポリ(エチルオキサゾリン)、PPO、PAA及びポリ(メタ)アクリル酸、PEG、及びPEG−PPO、親水性セグメント化ウレタン、及びポリビニルアルコール、例えば、本明細書に記載されるものから選択されうる。
いくつかの態様では、第2の成分は、オキシアルキレンポリマー、例えば、エチレングリコールポリマーである1又は2以上のポリマー部分を含む。
例えば、第2の成分として用いることができる、PEG−トリアクリレートマクロマー(トリメチロールプロパンエトキシレート(20/3EO/OH)トリアクリレートマクロマー)の調製は、同一出願人の特許出願公開第2004/0202774号明細書(Chudzikら)の例5に記載されている。
非直鎖、すなわち、分岐鎖の化合物は、ポリオール、例えば、200Da未満の分子量を有するものに由来することができる。
いくつかの態様では、第2の成分は、約300Da〜約20kDaの範囲における分子量、又はさらに具体的には、約500Da〜約2500Daの範囲における分子量を有する。
第1の化合物(直鎖の親水性ポリマーに基づくマクロマー)及び第2の化合物(2又は3以上の親水性ポリマー部分及びペンダント反応性基を含む、非直鎖、すなわち、分岐鎖の化合物)を、耐久性のあるヒドロゲルに膨潤することができるポリマーマトリックスを形成するために十分な濃度において含む組成物を調製することができる。
第1の成分及び第2の成分を含む組成物は、実施されるマトリックス形成方法の種類に好適な粘度を有することができる。組成物を調製するために、第1の成分及び第2の成分(並びに任意の他の成分)を、好適な極性液体に溶解するか、又は懸濁することができる。例示的な極性液体には、アルコール又は水が含まれる。極性溶媒の組み合わせをまた用いることができる。いくつかの態様では、上記組成物の粘度は、約5〜200cP(約25℃)の範囲にある。
いくつかの態様では、上記マトリックス形成組成物は、第1の成分を、約5固形分質量%以上の濃度で含み、そして第2の成分を、約5固形分質量%以上の濃度で含む。第1の成分に関する例示的な範囲は、約2固形分質量%〜約40固形分質量%、そしてさらに具体的には約5固形分質量%〜約30固形分質量%である。第2の成分に関する例示的な範囲は、約2固形分質量%〜約40固形分質量%であり、そしてさらに具体的には約5固形分質量%〜約30固形分質量%である。
上記マトリックス形成組成物を記述する別の方式は、上記組成物中の第1の成分及び第2の成分の総固形分量を参照することによるか、又は上記組成物中の重合性材料の総量による。例えば、いくつかの態様では、上記マトリックス形成組成物は、第1の成分及び第2の成分、並びに任意の他の所望による重合性成分を、約10固形分質量%以上の濃度で含むか、又は第1の成分及び第2の成分、並びに任意の他の所望による重合性成分を、約10固形分質量%〜約60固形分質量%の範囲における濃度で含む。
いくつかの態様では、上記組成物又はマトリックスは、第1のポリマー含有セグメント(直鎖成分)及び第2のポリマー含有セグメント(分岐鎖成分)を、それぞれ、100:1〜1:100の範囲における質量比の量で有する。いくつかの態様では、上記組成物又はマトリックスは、第1のポリマー含有セグメント(直鎖成分)及び第2のポリマー含有セグメント(分岐鎖成分)を、それぞれ、50:1〜1:10の範囲における質量比の量で含む。
いくつかの態様では、上記組成物は、重合性基から反応種の形成を促進することができる開始剤を含む。例えば、上記開始剤は、ペンダント重合性基を有する親水性ポリマーのラジカル反応を促進することができる。実施形態の1つでは、上記開始剤は、光反応性基を含む化合物(光開始剤)である。例えば、上記光反応性基は、アセトフェノン、ベンゾフェノン、アントラキノン、アントロン、アントロン様複素環、及びそれらの誘導体から選択されるアリールケトン光基を含むことができる。
いくつかの態様では、上記光開始剤は、1又は2以上の荷電された基を含む。荷電された基の存在により、水性系内で、上記光開始剤(光反応性基、例えば、アリールケトンを含むことができる)の溶解性を増すことができる。好適な荷電された基には、例えば、有機酸の塩、例えば、スルホン酸塩、ホスホン酸塩、カルボン酸塩等、及びオニウム基、例えば、第4級アンモニウム、スルホニウム、ホスホニウム、プロトン化アミン等が含まれる。この実施形態によると、好適な光開始剤は、例えば、アセトフェノン、ベンゾフェノン、アントラキノン、アントロン、アントロン様複素環、及びそれらの誘導体から選択される1又は2以上のアリールケトン光基;並びに1又は2以上の荷電された基を含む。これらの種類の水溶性光開始剤の例は、米国特許第6,278,018号明細書に記載されている。
水溶性重合開始剤は、第1の成分及び第2の成分の重合を開始し、そして上記マトリックスの形成を開始するために十分な濃度で用いられうる。例えば、本明細書に記載される水溶性光開始剤を、約0.5mg/mL以上の濃度で用いることができる。いくつかの実施の様式では、上記光開始剤は、上記マトリックス形成成分に加えて、約1.0mg/mLの濃度で用いられる。
熱反応性の開始剤をまた、ペンダントカップリング基を有する親水性ポリマーの重合を促進するために用いることができる。熱反応性開始剤の例には、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)、2,2−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩、及び過酸化ベンゾイルの類似体が含まれる。レドックス開始剤をまた、ペンダントカップリング基を有する親水性ポリマーの重合を促進するために用いることができる。一般に、有機酸化剤及び無機酸化剤、並びに有機還元剤及び無機還元剤の組み合わせが、重合性ラジカルを発生させるために用いられる。レドックス開始反応の記述が、Principles of Polymerization,2nd Edition,Odian G.,John Wiley and Sons,pgs 201−204,(1981)に見出されうる。
あるいは、上記膨潤性ポリマーマトリックスが、上記マトリックス形成材料の存在下で、酸化剤/還元剤ペアー、「レドックスペアー」の組み合わせにより形成しうる。
上記酸化剤を、酵素を含む有機酸化剤又は無機酸化剤から選択することができ;上記還元剤を、酵素を含む有機還元剤又は無機還元剤から選択することができる。例示的な酸化剤には、過酸化水素、金属酸化物、及びオキシターゼ、例えば、グルコースオキシダーゼを含む過酸化物が含まれる。例示的な還元剤には、陽性の元素金属、例えば、Li、Na、Mg、Fe、Zn、Alの塩及び誘導体、並びに還元酵素が含まれる。態様の1つでは、上記還元剤は、上記酸化剤と混合される場合、2.5mM以上の濃度で、上記組成物中に存在する。他の試薬、例えば、パースルフェートの金属又はアンモニウム塩が、上記組成物中に存在し、上記マトリックス形成組成物の重合を促進することができる。
上記レドックスペアーを、任意の好適な様式において、上記マトリックス形成材料の存在下で混合することができる。例えば、第1の成分及び上記酸化剤を含む第1の組成物と、上記還元剤及び第2の成分を含む第2の組成物を調製することができる。第1の組成物及び第2の組成物を混合する際に、重合が開始し、そして上記膨潤性ポリマーマトリックスが形成し始める。
上記マトリックス形成組成物はまた、上記マトリックスの形成の促進を手助けする1種又は2種以上の他の補助試薬を含むことができる。これらの試薬には、当業界に公知の、重合共開始剤、還元剤及び/又は重合反応促進剤が含まれうる。これらの補助薬剤は、任意の有用な濃度で、上記組成物に含まれうる。
例示的な共開始剤には、有機過酸化物、例えば、過酸化水素(H22)の誘導体であるもの(1つ又は両方の水素原子が、有機基で置換されている)が含まれる。有機過酸化物には、上記分子構造内の−O−O−結合が含まれ、そして過酸化物の化学特性が、この結合から生ずる。過酸化物重合共開始剤は、安定な有機過酸化物、例えば、アルキルヒドロ過酸化物であることができる。例示的なアルキルヒドロ過酸化物には、t−ブチルヒドロ過酸化物、p−ジイソプロピルベンゼン過酸化物、クメンヒドロ過酸化物、アセチル過酸化物、t−アミル過酸化水素、及びクミル過酸化水素が含まれる。
他の重合共開始剤には、アゾ化合物、例えば、2−アゾビス(イソブチロニトリル)、過硫酸アンモニウム及び過硫酸カリウムが含まれる。
上記マトリックス形成組成物は、還元剤、例えば、第3級アミンを含むことができる。複数のケースでは、上記還元剤、例えば、第3級アミンは、フリーラジカル生成を向上させることができる。上記アミン化合物の例には、第1級アミン、例えば、n−ブチルアミン;第2級アミン、例えば、ジフェニルアミン;脂肪族第3級アミン、例えば、トリエチルアミン;及び芳香族第3級アミン、例えば、p−ジメチルアミノ安息香酸が含まれる。
本発明の他の態様では、これらの成分に加えて、上記膨潤性ポリマーマトリックスを形成するために用いられる上記組成物は、1種又は2種以上の重合促進剤を含むことができる。重合促進剤、例えば、n−ビニルピロリドンを用いることができる。いくつかの態様では、生体適合性官能基を有する重合促進剤(例えば、生体適合性重合促進剤)が、本発明の組成物に含まれる。上記生体適合性重合促進剤はまた、N−ビニル基、例えば、N−ビニルアミド基を含むことができる。生体適合性重合促進剤は、同一出願人による米国特許出願公開第2005/0112086号明細書に記載されている。
本発明のいくつかの態様では、上記膨潤性ポリマーマトリックスが、医療デバイスに関連して形成される。例えば、上記マトリックスは、一部の又は全体のデバイスに関連して、オーバーモールド又はコーティングとして形成されうる。
「コーティング」は、一般的なコーティング技法により、上記マトリックス形成材料を、製品の全部又は一部の表面に適用することにより形成される、1層又は2層以上のマトリックス材料を指す。
「オーバーモールド」は、製品の全部又は一部の表面と関連して形成されたマトリックス材料を指す。マトリックス材料のオーバーモールドは、コーティングよりも厚く、そしてコーティング工程ではなくモールド工程を用いて形成されるのが一般的である。
「医療デバイス」は、医療処置で用いられる製品を指す。典型的には、上記マトリックスは、埋め込むことができる医療デバイスの表面に形成される。構造の観点から、上記埋め込むことができる医療デバイスは、膨潤性マトリックスが形成しうる簡素な製品、例えば、ロッド、ペレット、スフェア又はワイヤーであることができる。上記埋め込むことができる医療デバイスはまた、腔内(intralumenal)プロテーゼ、例えば、ステント内に見出されるような、より複雑な構造又は形状を有することができる。
膨潤性ポリマーマトリックス(本発明のヒドロゲル形成材料を用いて形成された)を有する埋め込むことができる装置、又はその一部は、脈管構造(埋め込むことができる血管のデバイス)、例えば、動脈、静脈、フィステル、又は動脈瘤内に配置されるべく構成されうる。ある場合では、上記埋め込むことができる装置は、血管閉塞コイル、ワイヤー、又は紐(動脈瘤内に挿入されうる)から選択される閉塞デバイスである。いくつかの特定の血管閉塞デバイスは、取り外し可能な塞栓コイルを含む。ある場合には、上記埋め込むことができる装置は、ステントである。
あるいは、上記埋め込むことができる装置、又はその一部は、他の身体の内腔、例えば、卵管、胆管等内に配置されるように構成されうる。例えば、上記埋め込むことができる装置は、泌尿生殖器系の1又は2以上の部分のところに配置されうる。いくつかの例示的な埋め込むことができる尿生殖器のデバイスは、受胎調節用に用いられる、例えば、子宮鏡検査法により卵管内に挿入される布帛含有閉塞性コイルである(Conceptus,Mountain View,CA)。
上記膨潤性ポリマーマトリックスが形成されうる他の医療製品には、小径移植片、腹部大動脈瘤用移植片;創傷被覆材及び創傷管理デバイス;止血用バリア;メッシュ及びヘルニアプラグ;パッチ、例えば、子宮出血用パッチ、心房中隔欠損症(ASD,atrial septal defect)用パッチ、卵円孔開存症(PFO)用パッチ、心室中隔欠損症(VSD)用パッチ、及び他の一般的な心臓用パッチ;ASD、PFO及びVSDクロ−ジャー;経皮のクロ−ジャーデバイス;受胎調節デバイス;胸部インプラント;整形外科用デバイス、例えば、整形外科用関節インプラント、骨修復/増大用デバイス、軟骨修復用デバイス;泌尿器用デバイス及び尿道用デバイス、例えば、泌尿器用インプラント、並びに膀胱用デバイスが含まれるが、これらに限定されるものではない。
埋め込むことができる医療デバイスは、金属、例えば、白金、金又はタングステンから調製されうるが、他の金属、例えば、レニウム、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、チタン、ニッケル、及びこれらの金属の合金、例えば、ステンレス鋼、チタン/ニッケル、及びニチノール合金を用いることができる。
金属含有医療デバイスの表面を、所望の場合には、生体材料の表面特性を変えるために、(例えば、パリレン(商標)含有コーティング組成物を用いて)前処理することができる。金属表面をまた、シラン試薬、例えば、ヒドロキシ−又はクロロ−シランで処理することができる。
埋め込むことができる医療デバイスはまた、プラスチックポリマーから、部分的又は全体的に製造することができる。この点では、上記膨潤性ポリマーマトリックスは、プラスチック表面に形成されうる。プラスチックポリマーは、付加又は縮合重合から生じた合成ポリマー(オリゴマー、ホモポリマー及びコポリマーを含む)から形成されたものを含む。好適な付加ポリマーの例には、アクリル樹脂、例えば、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、グリセリルアクリレート、グリセリルメタクリレート、メタクリルアミド、及びアクリルアミドから重合されたもの;ビニル、例えば、エチレン、プロピレン、塩化ビニル、ビニルアセテート、ビニルピロリドン、ビニリデンジフルオリド及びスチレンが含まれるが、これらに限定されるものではない。縮合ポリマーの例には、ナイロン、例えば、ポリカプロラクタム、ポリラウリルラクタム、ポリヘキサメチレンアジポアミド、及びポリヘキサメチレンドデカンジアミド、及びポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリスルホン、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリジメチルシロキサン、並びにポリエーテルケトンが含まれるが、これらに限定されるものではない。
膨潤性ポリマーマトリックス「オーバーモールド」を有する医療デバイスは、モールド、上記マトリックス形成材料を含む組成物、及び医療デバイスを用いた方法において形成されうる。上記医療デバイスを、モールドの一部内に置くことができるので、上記組成物は、上記デバイスの表面の全部又は一部と接して配置されうる。例えば、ロッド又はコイルの形状をしたデバイスは、組成物が当該デバイスの表面全体と接することができるようにモールド内で固定される。次いで、上記組成物を、モールド内に追加し、そしてマトリックス形成を促進するように処理することができる。ある場合では、上記モールドは、紫外線を透過させることができる材料から製造され、そして上記組成物は、UVにより活性化される光開始剤を含むことができ、そしてマトリックス構造が生じる。
別の例示的な調製の様式では、マトリックスオーバーモールドは、上記組成物をモールドに追加し、次いで上記組成物の粘度が増加するように上記マトリックスを部分的に重合することにより形成されうる。次いで、上記医療デバイスを、部分的に重合された組成物内に配置し、そしてその高粘度のため、所望により上記組成物内に上記デバイスを吊るすことができる。次いで、上記組成物を完全に重合し、デバイス上のオーバーモールドとして上記膨潤性ポリマーマトリックスを形成する組成物の材料を凝固させることができる。上記膨潤性ポリマーマトリックスがオーバーモールドとして形成された後、上記デバイスを、上記モールドから取り出すことができる。
上記ポリマーマトリックスの質量は、デバイス全体の質量の相当なパーセンテージであることができる。上記マトリックスが、完全に水和した状態を目指して部分的に水和した場合に、上記マトリックスは、オーバーモールドされたデバイスよりも相当高い質量を有することができる。
上記オーバーモールドを、所望の医療デバイス上に形成することができ、そして身体内の目標とする位置を閉塞するために好適な大きさに形成することができる。オーバーモールド内の上記膨潤性ポリマーマトリックスは、コーティングのマトリックスよりも概して厚く、目標とする位置の閉塞のための優位性を提供することができる。
いくつかの態様では、上記マトリックスは、約50μm〜約500μmの範囲、そしてさらに具体的には約100μm〜約300μmの範囲の厚さを有する。次いで、上記マトリックスを、それぞれ、約25μm〜約400μmの範囲、そしてさらに具体的には、それぞれ、約75μm〜約250μmの範囲の厚さを有するように乾燥することができる。上記マトリックスを、(例えば、in vivoで)水和することができ、それぞれ、約100μm〜約2500μmの範囲、そしてさらに具体的には、それぞれ、約750μm〜約1500μmの範囲における厚さまで上記マトリックスを膨潤させることができる。
具体例として、約0.5mmの直径を有する卵管閉塞コイルの場合には、オーバーモールド形態の膨潤性ポリマーマトリックスが、コイル上に形成される。上記オーバーモールドは、乾燥状態において、約100μm〜約450μm、又は約100μm〜約300μmの範囲における厚さを有する。卵管に製品を搬送する際、そして/又はその後、上記コーティングは、約750μm〜約1500μmの範囲における厚さを有するように膨潤し、卵管を閉塞させ、そして受精を防ぐ。
オーバーモールドを有するデバイスを、身体内の目標とする位置に供給することができ、そこでは、それが、目標とする位置内でヒドロゲルに水和する。上記デバイスの搬送は、カテーテル及び/又は他のガイド機器、例えば、ガイドワイヤーを用いて実施することができる。
上記膨潤性ポリマーマトリックスは、比較的短期間、例えば、約30分〜約2時間、又は約1時間の範囲における時間内で水和することができる。上記ポリマーマトリックスの膨潤をモニターし、上記ヒドロゲルが、目標とする位置を、所望のように閉塞したか確認することができる。
別の態様では、上記膨潤性ポリマーマトリックスは、医療デバイス上のコーティングの形態である。第1の化合物及び第2の化合物を含むマトリックスコーティングを、種々の方式において形成することができる。
実施の様式の1つでは、第1の化合物及び第2の化合物を含む組成物を、コーティングを形成するための基材の表面にディップコーティングする。次いで、上記表面の組成物を、マトリックス構造を生ずるように処理することができる。例えば、第1の化合物及び第2の化合物、並びに光活性化可能な重合開始剤を含む組成物が、デバイスの表面にディップコーティングされる。ディップコーティングステップの際、そして/又はその後、適用された材料を照射し、第1の成分及び第2の成分の重合、並びにマトリックス形成を促進することができる。
他の技法、例えば、上記組成物のはけ塗り又はスプレーを用いて、上記コーティングを形成することができる。スプレーコーティングの方法は、上記組成物を、上記デバイスの表面にスプレーし、次いでコーティングを形成するように上記組成物を処理することにより実施されうる。
本発明の別の態様では、(第1の)直鎖の親水性ポリマーと、2又は3以上の親水性ポリマー部分を含む(第2の)非直鎖、すなわち分岐鎖の化合物(それぞれが、ペンダント反応性基を有する)とを用いて、ヒドロゲルに膨潤することができるポリマーマトリックス製品を形成する。デバイス、例えば、オーバーモールド工程内で用いられるものが、上記製品の一部として用いられず、そして膨潤性マトリックスそれ自体が、埋め込むことができる製品を形成する。
上記埋め込むことができるマトリックス製品は、簡素な又は複雑な形状を有することができる。簡素な形状は、フィラメント(例えば、スレッド、紐、ロッド等)の形状であるデバイスにより例証される。簡素な形状を有するマトリックス製品を、種々の方法により調製することができる。上記マトリックス製品を形成するための方法の1つは、オーバーモールドされたデバイスを形成するために用いられるのと同一の方法を用いるが、モールド内のデバイスを含まない。さらに、上記モールドは、例えば、身体部位の主要な形態に相当する内側領域を有する管材料のピースであることができる。次いで、上記組成物を、管材料内に注入して、管材料を満たすことができる。次いで、管材料内の組成物を処理して、重合開始剤を活性化することができる(例えば、光開始された重合)。重合により、第1の成分及び第2の成分(並びに他の所望による重合性材料)の架橋が促進され、そして上記モールドの形態にポリマーマトリックスを固定する。
複数のケースにおいて、上記マトリックス製品が、オーバーモールドされたデバイスが用いられるのと同一の方式において用いられうる。
本発明の重合性材料がまた、身体内の目標とする位置のところで、in situで重合された塊を形成するために用いられうる。一般的に、第1の成分及び第2の成分を含む組成物が、目標とする位置に供給されるか又は適用され、次いで上記組成物が、重合が促進され、そして上記膨潤性ポリマーマトリックスが形成されるように処理されうる。いくつかのケースでは、2つの別個の溶液(例えば、それぞれが、レドックス対の要素を有する)が、目標とする位置のところで、in situで供給され、そして混合される。上記溶液の混合により、重合及び上記膨潤性ポリマーマトリックスの形成が、目標とする位置のところで生ずる。目標とする位置のところで形成されたマトリックスを水和し、目標とする位置を閉塞する。
実施のいくつかの様式では、上記重合性材料を含む組成物を、小径搬送導管に通し、上記組成物を、目標とする位置に配置することができる。重合及びマトリックス形成が、in situで生じうる。重合性組成物を、目標とする位置(例えば、神経動脈瘤(neuroaneurysm))に供給することが、マイクロカテーテル、例えば、2.3フレンチ未満の径を有するものを用いて実施されうる。
本発明の膨潤性ポリマーマトリックスはまた、上記ヒドロゲルから放出することができ且つ/又はその中で安定な生物活性薬剤を含むことができる。上記ヒドロゲル内に含まれうる生物活性薬剤の例には、下記が含まれうる:ACEインヒビター、アクチンインヒビター、鎮痛薬、麻酔薬、抗高血圧症薬、抗ポリメラーゼ、抗分泌薬、抗AIDS薬物、抗生物質、抗ガン薬物、抗コリン作動薬、抗凝固剤、抗けいれん薬、抗うつ薬、制吐薬、抗真菌剤、抗緑内障液剤、抗ヒスタミン、抗高血圧症薬、抗炎症性物質(例えば、NSAID)、代謝拮抗物質、抗有糸分裂薬、抗酸化剤、抗寄生虫及び/又は抗パーキンソン薬物、抗増殖剤(例えば、抗血管形成薬剤)、抗原虫薬液剤、抗精神病薬物、解熱剤、防腐剤、鎮痙薬、抗ウイルス薬、カルシウムチャンネル遮断薬、細胞応答調整剤、キレート化剤、化学療法薬、ドーパミン作動薬、細胞外マトリックス成分、線維素溶解薬、フリーラジカル捕捉剤、成長ホルモンアンタゴニスト、睡眠薬、免疫抑制薬、抗毒素、表面糖たんぱく質受容体のインヒビター、微小管インヒビター、縮瞳薬、筋肉収縮剤、筋弛緩剤、神経毒、神経伝達物質、ポリヌクレオチド及びそれらの誘導体、オピオイド、光線力学療法薬剤、プロスタグランジン、リモデリングインヒビター、スタチン、ステロイド、血栓溶解剤、精神安定薬、血管拡張剤、及び血管痙攣インヒビター。1種又は2種以上の生物活性薬剤が、生物学的反応を提供するために十分な量において、上記ポリマーマトリックス内に存在することができる。
いくつかの態様では、上記膨潤性ポリマーマトリックスがまた、プロフィブロティックエージェント(pro−fibrotic agent)を含むことができる。プロフィブロティックエージェントは、上記ヒドロゲルの周辺において、迅速な、そして局在化した繊維性応答を促進することができる。これにより、凝固因子の蓄積に至り、上記ヒドロゲルに関連してフィブリン塊を形成することができる。いくつかの態様では、上記プロフィブロティックエージェントは、ポリマーである。上記ポリマーは、天然ポリマー、例えば、コラーゲン、又は合成ポリマーに基づくことができる。
上記膨潤性の耐久性のあるポリマーマトリックスはまた、投影材料を含むことができる。投影材料は、身体内に移植された又は形成されたポリマーマトリックスの視覚化を促進することができる。医療用投影材料が、周知である。例示的な投影材料は、常磁性材料、例えば、ナノ粒子酸化鉄、Gd又はMn、放射性同位元素、及び無毒の放射線不透過性マーカー(例えば、ケージ硫酸バリウム及び三酸化ビスマス)を含む。放射線不透明化剤(例えば、放射線不透明材料)が、上記マトリックスを製造するために用いられる組成物内に含まれうる。放射線不透明化コントラストの度合いは、上記マトリックス内の、放射線不透明化剤の濃度を制御することにより変えることができる。一般の放射線不透明材料には、硫酸バリウム、次炭酸ビスマス、及び二酸化ジルコニウムが含まれる。他の放射線不透明材料には、カドミウム、タングステン、金、タンタル、ビスマス、白金、イリジウム、及びロジウムが含まれる。
常磁性共鳴映像法、超音波イメージング、X線手法、X線透視検査、又は他の好適な検出技法により、これらの材料を含む膨潤性マトリックス又は膨潤されたマトリックスを検出することができる。別の例として、気相化学物質を含む微粒子が、上記マトリックスに含まれ、そして超音波イメージング用に用いられうる。有用な気相化学物質には、米国特許第5,558,854号明細書(1996年9月24日に発行される)に記載される、パーフルオロ炭化水素、例えば、パーフルオロペンタン及びパーフルオロヘキサンが含まれることができ;超音波イメージング用に有用な他の気相化学物質を、米国特許第6,261,537号明細書(2001年7月17日に発行される)に見出すことができる。
上記ヒドロゲルの機械的性質を決定するための試験を実施することができる。動的機械的熱試験により、応力下で変形される際の機械的応答を測定することにより、上記ヒドロゲルの粘弾性及びレオロジー特性に関する情報が提供されうる。測定には、圧縮弾性率、及びせん断弾性率の決定が含まれうる。キーとなる粘弾性パラメータ(例えば、圧縮弾性率、及びシア係数(sheer modulu))を、応力、ひずみ、振動数、温度又は時間の関数として、オシレーションにおいて測定することができる。市販のレオメータ(例えば、TA Instruments,New Castle,Delawareから市販される)を用いて、これらの測定を実施することができる。機械的性質に関するヒドロゲルの試験がまた、Ansethら.(1996)Mechanical properties of hydrogels and their experimental determination,Biomaterials,17:1647に記載されている。
上記ヒドロゲルを測定し、その複素動的弾性率(G*):
*=G’+iG’’=σ*/γ*
を決定することができ、
そこでは、G’は、実数(弾性又は貯蔵)弾性率であり、そしてG’’は、虚数(粘性又は損失)弾性率であり、これらの規定は、せん断モードにおける試験に適用することができ、そこでは、Gは、せん断弾性率を指し、σはせん断応力を指し、そしてγはせん断ひずみを指す。
本発明のヒドロゲルは、例えば、500kPa超、2000kPa超の圧縮弾性率を有することができる。
上記ヒドロゲルはまた、その膨潤(又は浸透)圧力に関して評価されうる。市販のテクスチャアナライザー(例えば、Stable Micro Systemsから購入できる;Texture Technologies Corp;Scarsdale,NYから供給される)を用いて、これらの測定を行うことができる。テクスチャアナライザーは、伸長又は圧縮において、力及び距離を測定することができる。
いくつかの実施の様式では、約10kPa(約100g/cm2)〜約750kPa(約7600g/cm2)、又は約10kPa(100g/cm2)〜196kPa(2000g/cm2)の範囲における膨潤圧力を有するヒドロゲルを用いることができる。言い換えれば、上記マトリックスは、脱水された又は部分的に脱水された形態から、水和の際にこれらの範囲における膨潤力を及ぼすことができる。
いくつかの構成では、上記ポリマーマトリックスは、脱水された状態におけるその質量の1.5〜10倍の範囲における質量まで、水に膨潤することができる。いくつかの構成では、上記ポリマーマトリックスは、脱水された状態におけるそのサイズの約150%〜約300%、約150%〜約250%の範囲におけるサイズまで、水に膨潤することができる。
[例1]
[ポリ(エチレングリコール)ジアクリレート化合物の紫外線架橋]
琥珀色のガラス瓶に、米国特許第6,278,018号明細書(例1)に記載されるように調製され、そしてSurModics,Inc(Eden Prairie,MN)から市販される4,5−ビス(4−ベンゾイルフェニルメチレンオキシ)ベンゼン−1,3−ジスルホン酸(5mg)(DBDS)を計量し、そして1mg/mLの濃度で、脱イオン水に溶解させた。当該溶液を、ボルテックス(vortex)し、そして音波処理し、均一の混合物を確保した。ポリ(エチレングリコール)ジアクリレート(Sigma−Aldrich,St.Louis,MO;Avg.MW=700,cat.#455008)又はポリ(エチレングリコール)ジメタクリレート(Monomer−Polymer and Dajac Laboratories,Inc.,Feasterville,PA;9362 Polyethylene Glycol 1000 Diacrylate)を計量し、そして300mg/mLにおいて、DBDS溶液に溶解させた。トリメチロールプロパンエトキシレート(20/3EO/OH)トリアクリレートマクロマー「PEG−トリアクリレートマクロマー」(PEG−TA;調製は、同一出願人による米国特許出願公開第2004/0202774号明細書(Chudzikら)の例5に記載されている)を計量し、そして300mg/mLの濃度において、DBDS溶液に溶解した。これらの試薬の水への溶解性が非常に高いので、広範囲の濃度を調製することができる。
9mm幅×4mm深さの径を有するテフロン(登録商標)製ウェルに、100μLのPEG−トリアクリレートマクロマー及び130μLのポリ(エチレングリコール)ジアクリレートをピペットで移し、そして穏やかに混合した。400ワットのハロゲン化金属バルブを有するDymax 2000−ECシリーズUVフラッドランプを用いて、上記ポリマーの架橋を開始した。試料を、2分間、光源から20cmのチャンバー内に置き、完全な光化学反応を確保した。
ゲルの物理的性質を、圧縮力試験及び膨潤性試験により決定した。直径5mmのボールプローブを有するTAXT2テクスチャアナライザーを用いて、圧縮強度を測定した。0.5mm/secの試験速度及び4gのトリガーフォースの手順を用いた。上記プローブは、較正深さと比較して、材料の深さの25%まで加圧した。得られたゲルの力は、509.7gであった。上記ポリマーを十分に乾燥し、そして初期質量を得た。次いで、上記ポリマーを、400μLの脱イオン水を有するガラス瓶内に置き、そして24時間膨潤させた。最終質量を測定し、そしてゲルは、367%の膨潤を示した。
[例2]
[ポリ(エチレングリコール)ジアクリレート及びトリメチロールプロパンエトキシレートトリアクリレートを含む、放射線不透過性の膨潤性マトリックス]
琥珀色のガラス瓶に、上記DBDS(例1を参照せよ)を計量し、そして1mg/mLの濃度で脱イオン水に溶解させた。当該溶液を、ボルテックスし、そして音波処理し、均一の混合物を確保した。ポリ(エチレングリコール)ジアクリレート(Sigma−Aldrich,St.Louis,MO)を計量し、そして300mg/mLの濃度において、上記開始剤溶液に溶解した。フォト−ポリアクリルアミド(米国特許第6,007,833、例1及び2を参照せよ;また、SurModics,Inc.,Eden Prairie,MN(PA05))を計量し、そして80mg/mLの濃度で上記光開始剤溶液内に溶解した。トリメチロールプロパンエトキシレートトリアクリレート(例1)を計量し、100mg/mLの濃度で、上記光開始剤溶液に溶解した。上記3種の溶液の55:40:5比(v/v)を調製した。この溶液に、放射線不透過性薬剤、硫酸バリウムを、当該溶液の総質量の7.5%で添加した。完了した溶液をボルテックスし、試薬の混合を確保した。事前架橋させた溶液を、内径1.98mmのシリコンチューブ(HelixMark,Carpinteria,CA)内にピペットで移動した。材料を架橋するために、上記チューブを、90秒間、Blue Wave UVランプ内に置いた。
[膨潤]
フィラメントを、5mm部分にカットし、そして放射線不透過性ポリマーとして上記チューブから取り出した。上記フィラメントを、18時間、乾燥チャンバー内で十分に乾燥した。上記ポリマーフィラメントの直径を、Techniquip(商標) lighting and ImagePro(TM)−Plusソフトウェアバージョン6.1を有するLeica MZ125立体顕微鏡を用いて測定した。次いで、上記フィラメントを、脱イオン水を有するガラス瓶に入れ、そして25℃で水和させた。さらに、立体顕微鏡を用いて、上記フィラメントの直径を測定し、膨潤を測定した。最終測定により、膨潤が190%であることを測定した。
[例3〜12]
[ポリ(エチレングリコール)ジアクリレート及びトリメチロールプロパンエトキシレートトリアクリレートポリマーを含む膨潤性マトリックス]
膨潤性ポリマーマトリックスを、表1に従って、試薬における以下の変更を伴い、例1の方法に従って調製した。ポリ(エチレングリコール)1000ジアクリレート(PEG−DA1000)、ポリ(エチレングリコール)2000ジアクリレート(PEG−DA2000)、ポリ(エチレングリコール)700ジメタクリレート(PEGDMA700)、ポリ(エチレングリコール)1000モノメチルエーテルモノメタクリレート(PEG−MEMA1000)、及びポリ(エチレングリコール)500モノメチルエーテルモノメタクリレート(PEG−MEMA500)が、Sigma−Aldrich(St.Louis,MO)又はPolysciences(Warrington,PA)から購入できる。
Figure 2010540696

Claims (25)

  1. 重合された基を経由して架橋されている、第1及び第2のポリマー含有セグメントを含む、生体適合性の、膨潤性又は膨潤されたポリマーマトリックスであって、
    第1のポリマー含有セグメントが、親水性ポリマー部分を含む直鎖構造を有し、そして第2のポリマー含有セグメントが、親水性ポリマー部分を含む分岐鎖構造を有する、
    前記ポリマーマトリックス。
  2. 分岐鎖構造を有する第2のポリマー含有セグメントが、オキシアルキレンポリマー部分を含む、請求項1に記載のポリマーマトリックス。
  3. 第2のポリマー含有セグメントが、300Da〜20kDaの範囲における分子量を有する、請求項1に記載のポリマーマトリックス。
  4. 第2のポリマー含有セグメントのアルキレンオキシドポリマー部分が、独立して、500Da〜2500Daの範囲における分子量を有する、請求項1に記載のポリマーマトリックス。
  5. 第2のポリマー含有セグメントが、3つのアルキレンオキシドポリマー部分を有する分岐鎖構造を有する、請求項1に記載のポリマーマトリックス。
  6. 分岐鎖構造を有する第2のポリマー含有セグメントが、ポリ(エチレングリコール)部分を含む、請求項1に記載のポリマーマトリックス。
  7. 第2のポリマー含有セグメントが、下記:
    Figure 2010540696
    (式中、XはC若しくはSであるか、又は単素環若しくは複素環であり;Y1、Y2及びY3は、独立して、−Cn−O−(nは、0又は1以上の整数である)であり;R1、R2及びR3は、独立して、同一若しくは異なることができる親水性ポリマー部分であり、そしてR1、R2及びR3は、独立して、1又は2以上のペンダント重合基を有し;そしてZは、非高分子量基である);
    Figure 2010540696
    (式中、XはC若しくはSであるか、又は単素環若しくは複素環であり;Y1、Y2、Y3及びY4は、独立して、−Cn−O−(nは、0又は1以上の整数である)であり;R1、R2、R3及びR4は、独立して、同一又は異なることができる親水性ポリマー部分であり、そしてR1、R2、R3及びR4は、独立して、1又は2以上のペンダント重合基を有する);及び
    Figure 2010540696
    (式中、Xは、N、C−H若しくはS−H、又は単素環又は複素環から選択され;Y1及びY2は、−Cn−O−(nは、0又は1以上の整数である)であり;そしてR1、R2及びR3は、独立して、同一又は異なることができる親水性ポリマー部分であり、そしてR1、R2及びR3は、独立して、1又は2以上のペンダント重合基を有する)
    から成る群から選択される構造を有する、請求項1に記載のポリマーマトリックス。
  8. 直鎖構造を有する第1のポリマー含有セグメントが、ポリ(ビニルピロリドン)(PVP)、ポリ(エチレンオキシド)(PEO)、ポリ(エチルオキサゾリン)、ポリ(プロピレンオキシド)(PPO)、ポリ(メタ)アクリルアミド(PAA)及びポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(エチレングリコール)(PEG)、ポリエチレングリコール及びポリプロピレンオキシドのコポリマー(PEG−PPO)、親水性セグメント化ウレタン、及びポリビニルアルコールから成る群から選択されるポリマーを含む、請求項1に記載のポリマーマトリックス。
  9. 直鎖構造を有する第1のポリマー含有セグメントが、オキシアルキレンポリマーを含む、請求項1に記載のポリマーマトリックス。
  10. 直鎖構造を有する第1のポリマー含有セグメントが、100Da〜5000Daの範囲における分子量を有する親水性ポリマー部分を含む、請求項1に記載のポリマーマトリックス。
  11. 第1のポリマー含有セグメント及び第2のポリマー含有セグメントが、それぞれ、100:1〜1:100の範囲における質量比において、前記マトリックス中に存在する、請求項1に記載のポリマーマトリックス。
  12. 第1のポリマー含有セグメント及び第2のポリマー含有セグメントが、それぞれ、50:1〜1:10の範囲における質量比で、前記マトリックス中に存在する、請求項11に記載のポリマーマトリックス。
  13. 脱水された状態における前記マトリックスの1.5〜10倍の質量の範囲における質量まで、水中で膨潤することができる、請求項1に記載のポリマーマトリックス。
  14. 脱水された状態から、水和の際に、100g/cm2〜2000g/cm2の範囲における膨潤力を及ぼす、請求項1に記載のポリマーマトリックス。
  15. 脱水された状態における前記マトリックスのサイズの約150%〜約300%の範囲におけるサイズまで水に膨潤することができる、請求項1に記載のポリマーマトリックス。
  16. 埋め込むことができる医療デバイスに関連する、請求項1に記載のポリマーマトリックス。
  17. 埋め込むことができる医療デバイス上のオーバーコートの形態にある、請求項1に記載のポリマーマトリックス。
  18. 放射線不透明化薬剤を含む、請求項1に記載のポリマーマトリックス。
  19. ペンダント反応されたフォト基を含む親水性ポリマーを含む第3のセグメントをさらに含む、請求項1に記載のポリマーマトリックス。
  20. 生体適合性の、膨潤性又は膨潤されたポリマーマトリックスの形成方法であって、次の各工程:
    (a)下記を含む組成物を準備する工程;
    (i)親水性ポリマー及びペンダント重合性基を含む、直鎖構造を有する第1の化合物;及び
    (ii)オキシアルキレンポリマー部分及びペンダント重合性基を含む、分岐鎖構造を有する第2の化合物:そして
    (b)前記重合性基を活性化し、第1の化合物及び第2の化合物を架橋し且つマトリックスを形成する工程;
    を含む方法。
  21. 前記組成物が、第2の化合物を、5固形分質量%以上の量で含む、請求項20に記載の方法。
  22. 前記組成物が、第1の化合物を、2固形分質量%〜40固形分質量%の範囲における量で含む、請求項20に記載の方法。
  23. 工程(a)において、前記組成物が、患者の目標とする位置に準備され、そして工程(b)において、前記重合性基が活性化され、第1の化合物及び第2の化合物を架橋させ且つin situでマトリックスを形成する、請求項20に記載の方法。
  24. 請求項1に記載のポリマーマトリックスを、患者の目標とする位置に置く工程を含む、患者を治療するための方法。
  25. 前記目標とする位置を閉塞させる、膨潤されたポリマーマトリックスを生じる、請求項24に記載の方法。
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