JP4847304B2 - 光学素子および光学装置 - Google Patents

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Description

使用波長の光の波長よりも短い周期(サブ波長周期)の微細凹凸構造を持つ波長板として「透明基板表面に格子パターンが形成されたもの」が知られている。このような波長板は、格子パターンに基づく光学異方性(構造複屈折)を示し、互いに偏光面の直交する2つの直線偏光に対して位相差を生じさせることができる。
波長板における重要な特性として「透過率と位相差」がある。波長板は、互いに偏光面の直交する2つの直線偏光に対して所望の位相差を生じさせるのみならず「高い透過率」を有することが望ましい。
上記位相差は「透明基板材料の屈折率」やサブ波長周期をもつ「格子パターン(微細凹凸構造)の溝深さ」等の関数であり、透明基板材料の屈折率が大きいほど、また格子パターンの溝が深いほど大きな位相差を生じさせることができる。
しかしながら「大きな溝深さのサブ波長構造を持つ格子パターン」を成形等で製作することは必ずしも容易でない。
そこで「透明基板屈折率に比べて十分大きい屈折率を有する媒質」を透明基板に形成された格子パターンに充填して、透明基板屈折率に比べて十分大きい屈折率を有する媒質により「透明基板に形成された格子パターンと等しい周期の格子パターン」を形成して「より大きな位相差」を生じさせるようにしたものが特許文献1に開示されている。この位相板では「大きい位相差」を実現できるが、透明基板屈折率に比べて十分大きい屈折率を有する媒質を透明基板上に有するため「波長板に光が入射する際に高屈折率媒質の表面で反射される光量」が多くなり透過率の低下を招来する。
このような透過率の低下に対処する方法として、透明基板の格子パターンを充填する高屈折率媒質の上に更に、高屈折率媒質よりも低い屈折率を有する低屈折率膜をさらに形成するものが提案されている(特許文献2)。
この方法では、光は空気側から低屈折率膜に入射するので、空気と低屈折膜との境界面での反射を低く抑えることができ、また低屈折率膜と高屈折率媒質との境界面での反射も低く抑えることができる。しかし、高屈折率媒質と透明基板との屈折率差は依然として大きいので、高屈折媒質と透明基板との境界面での反射は低減されない。
特公平7−99402号公報 特開2005−099099
この発明は上述した事情に鑑みてなされたものであり、高い透過率と所望の位相差を両立させ得る新規な光学素子とこの光学素子を用いる光学装置の実現を課題とする。
この発明の光学素子は、透明基板上にサブ波長構造層を有し、サブ波長構造層に微細凹凸構造が形成された構成である。
「透明基板」は、屈折率:Nを有する。
「サブ波長構造層」は、透明基板の屈折率:Nよりも大きな屈折率:nを有する。
「微細凹凸構造」は、サブ波長構造層に形成されるが、1次元格子状であって格子周期は「使用波長より小さいサブ波長周期」である。「1次元格子状」とは、微細な凹凸が1方向に繰り返され、繰り返し方向を周期方向とするとき、周期方向を含み透明基板表面に直交する仮想的な断面上における凹凸の断面形状が、この断面に直交する方向において均一であるような状態を言う。
請求項1記載の光学素子は以下の点を特徴とする。
即ち、微細凹凸構造における屈折率:nが、微細凹凸構造における凸部の高さ方向の位置:hが小さくなるにつれ(換言すれば、凹部の深さが深くなるにつれ)、連続的もしくは段階的に、屈折率:Nに近づくように変化している。
即ち、「微細凹凸構造を形成されるサブ波長構造層」は、低屈折率材料と高屈折率材料との混合により形成され、厚さ方向における混合比の変化により、屈折率:nが厚さ方向に変化している。
微細凹凸構造において凹部の底から、凸部の高さ方向に向かって位置座標:hを設定すると、位置座標:hは上記底部において0であり、凸部の先端において、凸部の高さ:Hとなり「0≦h≦H」であるが、微細凹凸構造における屈折率:nが、上記位置:hの関数:n(h)であり、n(h)は、hが0に近づくにつれて透明基板の屈折率:Nに近づくのである。その際の「近づき方」は連続的でも段階的でもよく、位置:hの「ある範囲」では連続的、別の範囲では段階的であってもよい。
上記の如く、請求項1記載の」光学素子では、微細凹凸構造における屈折率:n(h)は、位置:hが0に近づくにつれて透明基板の屈折率:Nに近づくのであるが、このことは、必ずしも、n(h)が「h=Hで最大」であること(屈折率:n(h)が凸部の先端位置:h=Hから、hの減少に伴い単調に減少する。)を意味しない。
即ち、屈折率:n(h)の変化は、微細凹凸構造における「凸部の高さ方向の中間部」から高さ方向の両端部(凸部の先端および底部)へ向かって、連続的もしくは段階的に小さくなることができる(請求項2)。
微細凹凸構造における周期方向における断面形状(前述の「周期方向を含み透明基板表面に直交する仮想的な断面上における凹凸の断面形状」)は、周期方向において、矩形波形状、即ち「周期方向における凸部の幅が、高さ:hにより変化しない形状」であることができるが、これに限らず、上記断面形状において「凸部の幅が、凸部の高さ方向に変化する形状」であることができる(請求項3)。即ち、凸部の幅をWとした場合に、幅:Wが高さ方向の位置:hにより変化する形状であることができる。
この請求項3記載の光学素子の「サブ波長構造層に形成された1次元格子状の微細凹凸構造の周期方向における断面形状」は台形形状もしくは三角形形状、もしくは「高さ方向中間部から高さ方向の両端部側へ凸部の幅が漸減する形状」であることができる(請求項4)。
請求項1〜4の任意の1に記載の光学素子は「波長板としての光学機能を有する」ものとして構成することもできるし(請求項5)、「サブ波長構造層の微細凹凸構造による周期構造が、透明基板表面の平坦部分を介して、微細凹凸構造の凹凸配列方向へ周期的に配列し、偏光選択性の回折格子を構成している構成」であることもでき(請求項6)、さらには「偏光ビームスプリッタとしての光学機能を有する」ものとして構成することもできる(請求項7)。
請求項8記載の光学装置は請求項1〜7の任意の1に記載の光学素子を有する光学装置である。
この光学装置は「光源からの光束を液晶表示素子に導光し、この液晶表示素子の表示画像を投射レンズで表示面上に投射するプロジェクタ装置」として構成され、光源と投射レンズとの間の光路上に、請求項1〜7の任意の1に記載の光学素子が配置されたものであることができ(請求項9)、また「光源からの光束を光記録媒体に、対物レンズを介して集光照射して情報の記録及び/又は再生を行う光ピックアップ装置」として構成され、光源と対物レンズとの間の光路上に、請求項1〜7の任意の1に記載の光学素子が配置されたものであることもできる(請求項10)。
ここで、サブ波長周期を持つ1次元格子状の微細凹凸構造による構造複屈折につき簡単に説明する。
図2(a)は「1次元格子状の微細凹凸構造」を模式的に示している。この図では微細凹凸構造の断面形状は矩形波形状、即ち、凸部の断面形状が長方形形状である。
微細凹凸構造のピッチ:Pは、図に示すように、1対をなす「ランドとスペース」のランドの幅(以下、図示の如く「ランド幅」という。):aとスペースの幅(以下、図示の如く「スペース幅」という。):bの和:(a+b)である。また、スペース底部に対するランドの高さを「溝深さ:H」とする。
このとき、「a/P」で定義される量を「フィリングファクタ」、「H/a」で定義される量を「アスペクト比」と呼ぶ。「フィリングファクタが大きい」ことは、ピッチ:Pに占めるランド幅:aが大きい(スペース幅:bが小さい)ことを意味する。また「アスペクト比が大きい」ほど、ランド幅:aに対する溝深さ:Hが大きい。アスペクト比は、微細凹凸構造形成の容易さの観点から小さいほどよく、具体的には「10よりも小さい」こと、より好ましくは「5程度以下」が良い。
微細凹凸構造のピッチ:Pがサブ波長オーダであると、ピッチ:Pよりも大きい波長の光は回折せず「0次光」としてそのまま透過し(このときの透過率を「0次透過率」と呼ぶ。)が、入射光に対して複屈折性を示す。
即ち、図1(b)に示すように、微細凹凸構造へ「空気領域から入射」する入射光において、微細凹凸構造の周期方向(図の左右方向)に平行に振動する偏光成分:TM、ランド長手方向(図面に直交する方向)に平行に振動する偏光成分TEに対し、微細凹凸構造は「屈折率が異なる媒質」のように作用する。
微細凹凸構造の部分における有効屈折率を、偏光成分:TMにつきn(TM)、偏光成分:TEについてn(TE)とすると、これら有効屈折率は、微細凹凸構造が形成された材料の屈折率:n、微細凹凸構造のフィリングファクタ:fを用いて以下のように表される。
n(TE)=√{fn+(1−f)} (1)
n(TM)=√[n/{f+(1−f)n}] (2)
上記式(1)、(2)とも、変数:n、fについて単調増加関数である。
このように、偏光成分:TE、TMに対する屈折率が異なるため、透過光における偏光成分:TMに対し、偏光成分:TEは、図1(b)に示すように位相が「δ」だけ遅れることになる。
即ち、溝深さ:Hを用いると、微細凹凸構造の「光学的厚さ」は、偏光成分:TMに対して「H・n(TM)」、偏光成分:TEに対して「H・n(TE)」であるので、これら光学的厚さの差:H{n(TE)−n(TM)}に応じて「位相遅れ:δ」が生ずる。この「位相遅れ:δ」が「リタデーション」である。
光学的厚さの差:H{n(TE)−n(TM)}をΔとし、波長をλとすると、δ=2πΔ/λであるが、微細凹凸構造においては「波長:λの広い領域にわたって、略一定のリタデーション」が得られる。
n(TE)、n(TM)は、上記屈折率:nと、フィリングファクタ:fにより決定され、リタデーション:δは、屈折率:n、フィリングファクタ:f、溝深さ:Hにより定まるから、結局、リタデーションは材料(nが定まる。)と微細凹凸構造の形態(フィリングファクタ:fと溝深さ:Hが定まる。)を調整することにより所望のものを得ることができる。
リタデーション:δを調整することにより、偏光成分:TM、TEに対する位相差を例えば「πやπ/2」に設定でき、1/2波長板、1/4波長板等の「各種位相板」を実現できる。
上に説明した例では、微細凹凸構造の凸部の断面形状が長方形形状であって、ランド幅:a、スペース幅:bが一義的であり、フィリングファクタ:fも一義的に定まる。また、材質の屈折率も一定である。
ここで、図2(c)のように、微細凹凸構造の凹凸の底部から凸部の高さ方向へ位置座標:hを設定し、この位置座標:hにおける屈折率をn(h)とし、屈折率が位置:hに応じて変化するものとすると、上記式(1)、(2)における屈折率はn(h)で置き換える必要があり、このときの、屈折率:n(TE)、n(TM)は、式(1)、(2)の右辺を、屈折率:n(h)について平均化したものになる。
即ち、平均化された屈折率n(TE)、n(TM)は、
(TE)=∫[√{fn(h)+(1−f)}]dh/H (1A)
(TM)=∫[√[n(h)/{f+(1−f)n(h)}]]dh/H (2A)
となる。
また、図2(d)に示す微細凹凸構造のように、断面形状が「台形形状の周期的配列」である場合、ピッチ:Pは一義的であるが、凸部の幅は溝深さに応じて異なり、溝深さ:h1の部分では幅:a1でフィリングファクタ:f1=a1/Pであるが、溝深さ:h2の部分では幅:a2でフィリングファクタ:f2=a2/Pとなって、フィリングファクタが溝の深さ方向に変化する。
このため、式(1)、(2)で与えられる屈折率:n(TE)、n(TM)は「フィリングファクタの変化に応じて変化」する。換言すれば、屈折率:n(TE)、n(TM)は微細凹凸構造の溝深さ方向にグラデーションをなして変化する。
この場合のリタデーションは、上記H{n(TE)−n(TM)}における屈折率:n(TE)、n(TM)を、それぞれの平均値:n(TE)、n(TM)で置き換えて得られる光学的厚さをΔとして「2πΔ/λ」で与えられる。
この場合の屈折率の平均値:n(TE)、n(TM)は、
(TE)=∫[√{f(h)n+(1−f(h))}]dh/H (1B)
(TM)=∫[√[n/{f(h)+(1−f(h))n(h)}]]dh/H (2B)
となる。
また、微細凹凸構造における屈折率:nとフィリングファクタ:fとが共に、位置:hに依存して変化する場合には、屈折率の平均値:n(TE)、n(TM)は、位置:hに関する積分変数をh、hとして、
(TE)=∫∫[√{f(h)n(h)+(1−f(h))}]dhdh/H
(1C)
(TM)=∫∫[√[n(h)/{f(h)+(1−f(h))n(h)}]]dhdh/H
(2C)
となる。
従って、微細凹凸構造の屈折率:nの位置:hに対する変化や、フィリングファクタ:fの位置:hに対する変化を適宜に設定することにより、微細凹凸構造の屈折率が、基板側へ向かって基板の屈折率:Nに近づくようにすることができる。また、このようにして設定される微細凹凸構造の平均的な屈折率により所望のリタデーションを実現することができる。
以上に説明したように、この発明によれば、新規な光学素子および光学装置を実現できる。この発明の光学素子では、サブ波長構造層に形成された微細凹凸構造により所望の位相差を実現できると共に、微細凹凸構造の凸部の屈折率が、透明基板に近づくにつれて透明基板の屈折率:Nに近づくので、微細凹凸構造と透明基板との境界部近傍における屈折率の「不連続で大きな変化」がなく、このため、上記境界部での反射を有効に軽減させることができ光学素子としての高い透過率を実現できる。
図1(a)において、符号10は「屈折率:Nを有する透明基板」を示し、符号12は「サブ波長構造層」を示している。
サブ波長構造層12は、透明基板10の屈折率:Nより大きい屈折率:nを有し、1次元格子状の微細凹凸構造が、使用波長より小さいサブ波長周期で形成されている。
サブ波長構造層12における微細凹凸構造の屈折率:nは、微細凹凸構造における凸部の高さ方向の位置:hが小さくなるにつれ、連続的もしくは段階的に、屈折率:Nに近づくように変化している(請求項1)。
図1(b)は、屈折率変化の具体的な例を示すもので、この例においては、透明基板10として屈折率:N=1.45の石英基板が用いられており、微細凹凸構造をなすサブ波長構造層12の屈折率は、位置:hと共に、1.45と2.25との間で変化している。
また、図1(b)に示す例では、微細凹凸構造の屈折率:nは「微細凹凸構造における凸部の高さ方向の中間部」から、高さ方向の両端部へ向かって連続的に小さくなる(請求項2)。このように、微細凹凸構造の高さの「高くなる方向」へも屈折率が小さくなると、微細凹凸構造と最上部と空気との接する部分での「微細凹凸構造と空気との屈折率差」が小さくなるので、微細凹凸構造と空気との間での反射も有効に低くすることができ、透過率の向上に寄与することができる。
サブ波長構造層12に形成された1次元格子状の微細凹凸構造の「周期方向における断面形状」は、図1(a)では矩形波状であるが、凹凸構造における凸部の幅は「凸部の高さ方向に変化する形状」であることもできる(請求項3)。例えば、図1(d)の例では、微細凹凸構造12Bにおける断面形状は三角形形状であり、図1(e)に示す例では、微細凹凸構造12Cにおける断面形状は樽型であり、図1(f)に示す例では、微細凹凸構造12Dにおける断面形状は6角形形状である。また、図2(d)に示したような「台形形状の断面形状」も可能である。即ち、図2(d)や図1(d)、(e)、(f)に示す断面形状は「台形形状もしくは三角形形状、もしくは高さ方向中間部から高さ方向の両端部側へ凸部の幅が漸減する形状」である(請求項4)。
図2(d)のような断面形状台形とすることにより空気層との屈折率変化が緩やかになり、図1(d)のような三角形状の断面形状であれば、上記屈折率変化はさらに緩やかになる。図1(e)(f)の微細凹凸構造のように「上端と下端の幅が狭い構造」であっても屈折率変化が上下の両端で緩やかになる。
また、図1(c)に示す例のように、サブ波長構造層に形成された微細凹凸構造12Aの下部に、凹凸構造を持たない部分12aが残ってもよい。
図1(a)〜(f)に示す例のように、微細凹凸構造を透明基板10の片面のみに形成する場合、他方の面には、図1(c)に例示するように、反射防止膜ARを形成して上記他方の面による反射を低減させるのがよい。反射防止膜ARは、例えばよく知られる「高屈折率層」と「低反射率層」を交互に積層した4層構成の反射防止膜などを蒸着形成すればよい。
図1に図示されてはいないが、微細凹凸構造は「透明基板の両面」に形成することができる。このようにすると「リタデーションは微細凹凸構造の凹部の深さに比例する」ので、全体としてのリタデーションは、透明基板両面の各微細凹凸構造によるリタデーションの和になる。例えば、光学素子を1/2波長板とする場合には、波長:λに対しリタデーション:0.5λとなればよく、1/4波長板の凹部の深さ:H/λの2倍を選択すればよいが、この場合、透明基板の各面側の微細凹凸構造の凹部の深さH/λを1/4波長板の場合の深さに設定し、このような微細凹凸構造を透明基盤の両面に形成すれば、各微細凹凸構造のアスペクト比を小さくでき、微細凹凸構造の形成が容易になる。
サブ波長構造層に、1次元格子状の微細凹凸構造を、使用波長より小さいサブ波長周期で、屈折率:nが「凸部の高さ方向の位置:hが小さくなるにつれ、連続的もしくは段階的に変化する」ように形成するには例えば、以下のようにすればよい。
即ち、透明基板上に「屈折率が透明基板の側から増加するようなサブ波長構造層」を薄膜として成膜し、得られた薄膜上に、例えば「電子ビームの走査により潜像が形成されるレジスト層」を形成し、このレジスト層に「微細凹凸構造に対応するパターン」を電子ビームにより描画して潜像を形成し、これを現像して「微細凹凸構造に対応するレジストパターン」を得、このレジストパターンをマスクとしてRIE(反応性イオンエッチング)等のエッチングで薄層を所望の溝深さにエッチングすることによって微細凹凸構造として形成することができる。
成膜されるサブ波長構造層において、膜厚方向へ屈折率を変化させるには、真空蒸着やスパッタリング法を利用できる。
例えば、スパッタリング法でサブ波長構造層を成膜する場合であれば、低屈折率材料と高屈折率材料との2種類の材料を混合し、膜厚方向における混合比の変化により、屈折率が厚さ方向に変化した混合膜としてサブ波長構造層を形成できる(請求項1)。
即ち、上記両材料の混合比を制御することにより「2種類の材料の有する屈折率の中間の屈折率」を実現できる。例えば「同時放電している2種類のスパッタリングターゲットへの投入パワー」を変更することにより混合比を変えることで、それぞれの材料で得ることができる屈折率の間に位置する屈折率を実現できる。
或いは「各ターゲットに投入するパワーなどの成膜条件を一定に保持」したまま、各ターゲットと基板との間に設けた遮蔽マスクの開口幅を変えて混合比を制御する方法なども可能である。
ターゲット材料としては、低屈折率材料としてシリコン、高屈折率材料としては、TiO、Nb、Ta、ZrO、ITO(SnO+In)等の「無機材料」などを用いることができる。基板材料としては、石英(屈折率:n=1.45)や、HOYA社製BK7(屈折率:n=1.5)を好適に用いることができる。
以下には、平行平板状の透明基板の材料として石英(屈折率:n=1.45)、サブ波長構造層を形成するための低屈折率材料:SiO(n=1.45)と高屈折率材料:Ta(屈折率:n=2.25)の場合の計算例について説明する。
SiO膜(n=1.45)とTa(屈折率:n=2.25)の混合比により屈折率は図3のように変化する。図中に、SiOと記したのは「SiOのみによる膜の屈折率」であり、横軸に示す波長範囲で1.45の屈折率を示す。
また、図中に、Taと記したのは「Taのみによる膜の屈折率」であり、横軸に示す波長範囲で略:2.25の屈折率を示す。図中の「混合膜」は、「SiOとTiの混合による膜の屈折率」を示し、上部の曲線ほど、Tiの混合率が高い。
SiOとTaの混合比を調整することにより、1.45と2.25の間の屈折率が得られ、サブ波長構造層成膜の際に、上記混合比を制御することにより、膜厚方向へ所望の屈折率変化をもつサブ波長構造層を得ることができる。
図1〜図3に即して説明したことから明らかなように、図1に示す各光学素子は、波長板として使用することができる(請求項5)。勿論、これに限らず、光学素子の有する微細凹凸構造の構造条件を変えることにより、後述する偏光ビームスプリッタや、偏光選択性回折素子や、フィルタなどの機能を選択的に実現できる。
以下に、図1(a)に示した構成の場合を例にとり、サブ波長構造層に形成された微細凹凸構造の「凸部の屈折率」の高さ方向の屈折率変化と、透過率の関係(計算により得られた関係)を例示する。
平行平板状の透明基板10としては、屈折率:n=1.45の石英板を用いている。
また、微細凹凸構造をなすサブ波長構造層12の厚さ方向の屈折率は「n=2.25とn=1.45の間で変化する」ものとする。微細凹凸構造のピッチ:P/λ=0.5、ランドとスペースの比率:7:3(フィリングファクタ:f=0.7)、溝深さ:H/λ=0.74としている。溝の深さを「D」とし、0≦D≦Hの範囲で変化するものとする。
計算のパラメータとしては、
上端部の屈折率値:n1(1.45〜2.25の間)
中間屈折率値が最大になる溝深さの比率:(D/H)
を用いる。
図4、図5におけるグラフ中では、混合膜を用いた場合のTE、TMの各偏光成分の0次透過率:TE−OT、TM−OTと、混合膜を用いない単一材料(Ta)の場合のTE、TMについて示してある。なお、Dは、前述のH、hを用いれば、D=H−hの関係がある。
図4、図5において「inndex:n」は屈折率、「Efficiency」は透過率、「index:n1」は、凸部上端部の屈折率値:n1である。
図4に示す3例、図5に示す2例とも、0次透過率:TE−OT、TM−OTは80%以上であるが、図4に示す、D/H=0.2、0.4、図5に示すD/H=0.6の場合には、これらは何れも85%以上と高透過率であり、混合膜を用いない場合より大きくなっている。図4の最上図と中間図ではTE−OT、TM−OTは90%以上である。
次に、図4、図5に示した場合の個々につき、リタデーションと上記各パラメータ:n1、D/Hとの関係を図6、図7に示す。
図6、図7において、縦軸の「retardationn」がリタデーション(波長単位)を表す。
図6、図7から、D/H=0.2、0.4、0.6、0.8では、リタデーションが略0.15λ程度以上と良好である。図5の最上図のD・H=0の場合、0次光透過率は90%以上で大きいが、これに対応する図7最上図に示すように、リタデーションは0.5λ〜0.15λと小さい。従って、この場合に必要とするリタデーションを得るには、Hを大きく設定すれば良い。
図8に実施の形態を示す光学素子30は「偏光選択性回折素子」である。
偏光選択性回折格子30は、図8(a)の如き構成を持つ。即ち、同図において符号31は透明基板を示している。
図8(b)は、図8(a)に符号33で示す「光学素子表面部分」を拡大して示している。図8(b)に示す如く「凸部321の配列による微細凹凸構造(図1に示すごとき各種のものが可能である。)」による周期構造が、透明基板31表面の平坦部分31Aを介して微細凹凸構造の凹凸配列方向(図の左右方法)へ周期的に配列して「回折格子」をなしている。即ち、図8(a)に符号32で示す個々の微細凹凸構造32が「回折格子の個々の格子」に相当する(請求項6)。
偏光選択性回折素子30は「偏光依存性回折格子」である。微細凹凸構造32を通過する光波と平坦部分31Aを通過する光波との位相差が2πのとき、回折波は0次だけの透過波となる。また、位相差がπのときは0次の透過波はなく、全て「1次以上の回折波」になる。微細凹凸構造32における光学的異方性を利用して偏光成分:TE(振動面が図面に平行である。)に「位相差:2π」、偏光成分:TM(振動面が図面に直交する。)に「位相差:π」を与えるように「微細凹凸構造32を設定」すると、偏光成分:TE波が素通りし、偏光成分:TMが全て回折する偏光選択性回折素子となる。
このような偏光選択性回折素子においても、サブ波長構造層の厚さ方向におけるこの発明のような屈折率分布の存在が「反射率ロスを低減」する効果を生じる。
図9に実施の形態を示す光学素子40は「偏光ビームスプリッタ」である(請求項7)。偏光ビームスプリッタ40は、図1に即して説明した各種のものと同様に、透明基板に形成されたサブ波長構造層に微細凹凸構造が形成されている。微細凹凸構造の凸部の断面形状は、図1に例示したような種々の形状が可能である。
等方性の均一媒質により形成されるスカラー領域(格子ピッチが波長よりも十分に大きい)の回折素子では、その回折効率に偏光依存性は発現しないが、格子構造が微細凹凸構造になってピッチがサブ波長領域になると、格子構造に依存した光学異方性、即ち、構造複屈折が発現するので回折効率に偏光依存性が生じる。従って、微細凹凸構造に「偏光ビームスプリッタ」の機能を持たせることができる。
図9の例では、例えば、偏光成分:TMが0次光として直進的に透過し、偏光成分:TEは1次回折光として回折する。回折角が光学素子40に対して45度となるように設定すれば、図の如く、0次光(偏光成分:TM)と1次回折光(偏光成分:TE)とが互いに直交するように分離することができる。この場合にも、サブ波長構造層の屈折率分布の存在が「反射率ロスを低減」する効果を生む。
以下には、この発明の光学素子を用いる光学装置の実施の形態を説明する。
図10に示す光学装置はプロジェクタ装置(請求項8)である。
3原色に対応する各色の映像を個別に形成する3つの液晶表示素子110、111、112と、これら液晶表示素子から射出した各色の映像光を合成するクロスプリズム113を有し、各液晶表示素子とクロスプリズム113との間の3光路に、波長板116、117、118を有している。波長板116、117、118として上に実施の形態を説明した1/2波長板相当の波長板を用いる。
白色光源101から放射された白色光はリフレクタ102により反射され、ダイクロイックミラー103に入射する。ダイクロイックミラー103は、青色波長以下の光を透過させ、青色波長より長い波長の光を反射する。従って、ダイクロイックミラー103に入射する白色光の内、青色成分はダイクロイックミラー103を透過し、緑色成分と赤色成分はダイクロイックミラー103により反射されてダイクロイックミラー104に入射する。
ダイクロイックミラー104は赤色波長以上の波長の光を透過させ、赤色波長より短い波長の光を反射する。従って、ダイクロイックミラー104に入射した光のうち、緑色成分はダイクロイックミラー104に反射され、赤色成分はダイクロイックミラー104を透過する。このようにして、ダイクロイックミラー103、104により白色光源101からの白色光が、赤、緑、青の3原色の成分光に色分解される。
ダイクロイックミラー103を透過した「青色成分光」は、ミラー105により反射されて液晶表示素子110に入射し、ダイクロイックミラー104に反射された「緑色成分光」は液晶表示素子111に入射する。ダイクロイックミラー104を透過した「赤色成分光」はリレーレンズ108、ミラー106、リレーレンズ109、ミラー107により構成される光路を辿って液晶表示素子112に入射する。リレーレンズ108と109とは「赤色成分光に対する光路長補正」を行う。
液晶表示素子110、111、112は「液晶層を1対の偏光子で挟持」してなり、液晶層を挟持する1対の偏光子は互いに偏光方向を直交させている。
各色成分光は、対応する液晶表示素子の入射側偏光子を透過すると直線偏光となって液晶層に入射する。液晶表示素子110、111、112にはそれぞれ、青色画像、緑色画像、赤色画像を表示するように画像信号が印加され、「投射すべき映像の画素」の位置の液晶層を透過する光は偏光面が90度旋回し、射出側偏光子と同じ偏光方向になって射出側偏光子を透過する。
このようにして、液晶表示素子110からは「青色画像に応じて2次元的に強度変調された青色成分光(以下「青色映像光」という。)」が射出する。同様に、液晶表示素子111からは「緑色画像に応じて2次元的に強度変調された緑色成分光(以下「緑色映像光」という。)」が射出し、液晶表示素子112からは「赤色画像に応じて2次元的に強度変調された赤色成分光(以下「赤色映像光」という。)」が射出する。即ち、液晶表示素子110、111、112は3原色(青、緑、青)に対応する映像を個別に形成する。
これら各液晶表示素子から射出した各色映像光は、その偏光方向が図面の面内に平行な方向となっている。
液晶表示素子110から射出した青色映像光は波長板116に入射し、液晶表示素子111、112からそれぞれ射出した緑色映像光、赤色映像光は、それぞれ波長板117、118に入射する。
波長板116、117、118は「1/2波長板相当」であって、透過する光の直交2成分に対して1/2波長分の位相差を与える。これら波長板に入射する各色映像光は、上記の如く図面に平行な面内に偏光しているから、透過光はその偏光面が入射時の方向から90度旋回し、図面に直交する方向に偏光した光束となって、クロスプリズム113に、それぞれ対応する面から入射する。
クロスプリズム113は、図面に直交する方向からみた断面形状が正方形となる光透過性素材による直方体であり、互いに直交する反射面113a、113bを有している。反射面113aは「青色波長以下の波長の光を反射し、青色波長より長い波長の光を透過するダイクロイックミラー」となっており、反射面113bは「赤色波長以上の波長の光を反射し、赤色波長より短い波長の光を透過するダイクロイックミラー」となっている。
クロスプリズム113に入射する各色映像光のうち、青色映像光は反射面113aに反射され、赤色映像光は反射面113bに反射され、緑色映像光は反射面113a、113bを透過し、いずれも同一の方向となり、色合成されてクロスプリズム113から射出する。射出した光束は投射レンズ114に入射し、投射レンズ114により「表示面」であるスクリーン115上に拡大投射されて投射映像を表示する。
反射面113a、113bは、その「反射光、或いは透過光の偏光軸」について方向性を有し、一般に「一方の偏光方向についてより高透過率」を有する。そこでクロスプリズム113への入射光の偏光方向と反射面の偏光軸を最適化するために、クロスプリズム113の前段に1/2波長板相当の波長板116、117、118を挿入している。この実施形態においては、青、緑、赤の各色映像光に対して1/2波長板相当の波長板116、117、118を挿入した場合を示しているが、映像光の何れか1つのみに対して上記波長板を挿入する構成としてもよい。
図11は、図10に示した実施の形態の変形例である。繁雑を避けるため、混同の恐れが無いと思われるものについては図10におけると同一の符号を付し、これらについての説明は図10に関する説明を援用する。
図11のプロジェクタ装置は、図10のプロジェクタ装置の白色光源101とダイクロイックミラー103との間に、均一照明手段201(オプチカルインテグレータ)と偏光変換素子202とを付加したものである。
「オプチカルインテグレータ」である均一照明手段201は、液晶表示素子への照射光の光量を略均一にする手段であり、例えばフライアイレンズ、ロッドレンズ、矩形レンズアレイ等から成る公知のものを適宜利用できる。
偏光変換素子202は、白色光源101からの光を有効に使い、スクリーン上の投射映像を明るくするために液晶表示素子へ入射する光の偏光方向を揃えるのに用いられる。
液晶表示素子110、111、112は、液晶の持つ偏光特性を利用しており、高いコントラストを実現できるが、1対の偏光子で液晶を挟持しているため、図10に示した実施の形態におけるように「各液晶表示素子に入射する照射光が自然偏光状態である」と、各液晶表示素子の「入射側偏光子」を透過する際に、照明光量の1/2が遮断されてしまうことになり、光の利用効率は50%である。
偏光変換素子202は、光源側からの照明光の偏光状態を「照明光の光強度を略保存しつつ、自然偏光状態から直線偏光状態」に変換するものである。このようにして直線偏光化された照明光の偏光方向を、液晶表示素子における入射側偏光子の偏光方向と揃えれば、光源側からの照明光の略100%を投射画像の表示に利用することができる。
図12は、光源からの白色光束が均一照明手段201により均一化され、偏光変換手段202により偏光状態を変換される状態を説明するための図である。
光源側からの白色光束は「1対の集光レンズアレイ(フライアイレンズアレイ)を対向配置して構成」した公知の均一照明手段201を透過して、偏光変換手段202に入射する。偏光変換手段202は、光学基体202Aと、波長板部分202Bとを有している。
図12(a)に示すように、光学基体202Aの部分は、照明光の光軸に対して45度傾いた偏光分離面2021と反射面2022とを有する。
偏光分離面2021は、入射光を偏光面が互いに直交する反射光S(以下「S成分」という。)と透過光P(以下「P成分」という。)に分割する。反射面2022は、S成分を反射してP成分の進行方向と略同じ方向に向ける。
偏光分離面2021と反射面2022の組み合わせを1ユニットとし、このようなユニットの複数ユニットが、照明光の透過領域に渡って設けられて所謂「偏光プリズムレンズアレイ」をなし、アレイを構成する個々の偏光プリズムごとに、透過する照明光をS成分とP成分に分ける。
波長板部分202Bは、光学基体202Aから射出するS成分の偏光面を90度旋回させ、P成分の偏光方向に揃える。このようにして「偏光方向が揃った直線偏光の照明光」が得られる。この照明光の偏光方向は勿論「各液晶表示素子の入射側偏光子の偏光方向」と同じである。
図12(b)は波長板部分202Bの部分を説明する図である。波長板部分202Bは、ガラス平板202B1の片面に形成された「屈折率:1.6以上の材料」による薄層202B2の表面に、断面矩形波状の微細凹凸構造2021B、2022B、2023B等がサブ波長構造として形成され、各微細凹凸構造2021B等は「1/2波長板相当の波長板」としての機能を付与されている。ガラス平板202B1は光学基体202Aにおける「方向の揃った照明光が射出する側の面」に一体化され、微細凹凸構造2021B等は「S成分が射出する部分」に形成されている。なお、波長板部分202Bと光学基体202Aとの接合は、薄層202B2を光学基体202Aの側としてもよく、このようにすると、微細凹凸構造をガラス平板202B1により良好に保護することができる。
またガラス平板202B1を用いず、薄層202B2を光学基体202Aに直接形成してもよい。本実施例に用いられている波長板部202Bとして、図1等に即して説明した波長板を用いればよい。勿論、ガラス平板202B1の片面に形成された薄層202B2の表面に形成される断面矩形波状の微細凹凸構造2021B、2022B、2023B等を、その凹部がガラス平板202B1に達するように形成してもよい。
図13は、プロジェクタ装置の実施の別形態の変形例である。
このプロジェクタ装置は「単板式」であり、白色光を照射する照明装置300と、照射された白色光を変調してカラー画像を形成する「液晶表示装置」と、表示されたカラー画像を投射する投射レンズ309を有する。
照明装置300は、基板302と、基板302に搭載されて白色光を放射するLEDチップ301と、LEDチップ301から放射される光の照度分布を均一化するための照度分布均一化手段として「ロッドレンズ303、充填材304a及び反射層305、波長板306」を有する。充填材304aは「ロッドレンズ303よりも屈折率の高い材質」で形成され、ロッドレンズ303のLEDチップ301側の面に凹面として形成された境界面304とLEDチップ301との間の空間に充填されている。ロッドレンズ303の光射出側端面303bに設けられた波長板306は1/4波長板相当である。
「液晶表示装置」は、液晶表示素子380Aとその入射側に配設された偏光子308a、カラーフィルタ308cと、射出側に配設された偏光子308bを有している。偏光子308a、308bは透過させる光の偏光面の方向(偏光方向という)が互いに直交している。カラーフィルタ308cは「白色光を赤・緑・青の3原色に色分解」する。
LEDチップ301は電力を供給されると白色光を放射する。放射された白色光は充填材304a内を伝搬してロッドレンズ303との境界面304に入射し、ロッドレンズ303内に入射する。充填材304aはロッドレンズ303よりも屈折率が高いので、白色光は境界面304においてロッドレンズ303の光軸方向(図の左右方向)に近づくように屈折する。
ロッドレンズ303内を伝搬する白色光は、ロッドレンズ303の壁面で全反射を繰り返しつつ伝搬し、全反射が繰り返されることにより光射出側端面303bにおける照度分布が均一化されていく。
ロッドレンズ303の光射出側端面303bから射出する白色光は1/4波長板306に入射する。LEDチップ301から射出した白色光は「ランダム偏光」であるため1/4波長306をランダム偏光のまま透過する。この白色光は偏光子308aに入射し、偏光子308aの偏光方向に平行なp偏光成分はそのまま透過し、カラーフィルタ308cを介して液晶表示素子308Aに入射する。
偏光子308aの偏光方向に直交するs偏光成分は偏光子308aにより反射され、1/4波長板306に再入射し、例えば「右回りの円偏光」に変換されてロッドレンズ303内を伝搬し、ロッドレンズ303のLEDチップ側の面303aに形成された反射層305で反射され、再度ロッドレンズ303を介して偏光子308aに入射する。反射層305に反射される際、右回りの円偏光は「左回りの円偏光」に変換され、1/4波長板306に入射してp偏光成分に変換され、偏光子308aを透過してカラーフィルタ308cを介して液晶表示素子308Aに入射する。
このようにして、LEDチップ301から放射された白色光はその大部分が効率よく、且つ、均一な照度分布をもってカラーフィルタ308cに入射し、カラーフィルタ308cにより赤・緑・青の3原色に色分解され、液晶表示素子308Aにより画像情報に応じて偏光面を旋回され、偏光子308bを透過するとカラー画像光となり、投射レンズ309によってスクリーン310に投射されてカラー投射画像を形成する。
このプロジェクタ装置は、白色光を放射するLEDチップ301を備えた単一の照明装置300と、カラーフィルタ308cと単一の液晶表示装置を有する「単板式プロジェクタ装置」であり小型軽量かつ低価格に実施することができる。
なお、この実施の形態では白色光を出射するLEDチップ301を有するが、これに代えて、赤・緑・青の光を放射する3種のLEDチップを用いても良い。このようにLEDチップ301の代わりに赤・緑・青の色光を放射する3個のLEDチップを配置した場合「カラーフィルタ308cを用い、3個のLEDチップを同時に連続発光」させてもよいが、「カラーフィルタ308cを用いず、上記3個のLEDチップをサイクリックに発光させてもよい。このようにすると、カラーフィルタ308cが不要になり、プロジェクタ装置のさらなる低価格化を図ることができる。
このプロジェクタ装置においては、1/4波長板相当の波長板306と偏光子307a、307bが用いられているが、これら波長板・偏光子として上に説明したリタデーション:0.25λの波長板や偏光ビームスプリッタを用いることができる。
図14は、プロジェクタ装置の実施の別形態の変形例である。
このプロジェクタ装置は反射型液晶表示素子を用いたものである。
光源装置は図13のものと同様であり、白色光を放射するLED410、ロッドレンズ411等を有する。ロッドレンズ411により照度分布を均一化された白色光は1/4波長板相当の波長板412を介して偏光子413を透過し、偏光ビームスプリッタ414の接合面で反射されて反射型液晶表示素子415に入射される。
反射型液晶表示素子415は、映像信号に応じて「入射光の偏光面を旋回させる空間変調」を行うもので、この形態においては「高速スイッチングが可能なLCOS(Liquid Crystal On Silicon)素子が用いられている。映像信号に基づいてp偏光に変換された反射光は、偏光ビームスプリッタ414を透過して画像光として投射レンズ416に入射し、スクリーン417上に拡大投射される。
この形態例に用いられている偏光子413や偏光ビームスプリッタ414として、先に説明した偏光ビームスプリッタ(図9)を、また1/4波長板相当の波長板412として上述のリタデーション:0.25λの波長板を用いることができる。
図15は、光学装置の実施の1形態である光ピックアップ装置を説明するための図である。光ピックアップ装置500は、半導体レーザ等の光源502から出射した光を、回折格子503、偏光ビームスプリッタ504、1/4波長板505、コリメータレンズ506および対物レンズ507を順次透過させて光記録媒体509に照射し、その反射光(戻り光)を、対物レンズ507、1/4波長板505を介して偏光ビームスプリッタ504に入射させ、シリンドカルレンズ510に向けて反射させる。シリンドリカルレンズ510により非点収差を与えられた戻り光は、フォトディテクタ511によって読み出しデータ等として検出される。
回折格子503として上述の偏光選択性回折素子(図8)を、偏光ビームスプリッタ504として上述の偏光ビームスプリッタ(図9)を、1/4波長板5として前述のリタデーション:0.25λの波長板を用いることができる。
光学素子の実施の形態例を説明するための図である。 光学素子を説明するための図である。 混合膜の混合比による屈折率変化を説明するための図である。 光学素子の光学機能を説明するための図である。 光学素子の光学機能を説明するための図である。 光学素子の光学機能を説明するための図である。 光学素子の光学機能を説明するための図である。 偏光選択性回折格子の実施の1形態を説明するための図である。 偏光ビームスプリッタの実施の1形態を説明するための図である。 光学装置としてのプロジェクタ装置の実施の1形態を説明する図である。 光学装置としてのプロジェクタ装置の実施の別形態を説明する図である。 図11のプロジェクタ装置の均一照明手段と偏光変換手段を説明するための図である。 光学装置としてのプロジェクタ装置の実施の他の形態を説明する図である。 光学装置としてのプロジェクタ装置の実施の他の形態を説明する図である。 光学装置としての光ピックアップ装置の実施の1形態を説明する図である。
符号の説明
10 透明基板
20 サブ波長構造層

Claims (10)

  1. 屈折率:Nを有する透明基板上に、上記透明基板よりも大きな屈折率:nを有するサブ波長構造層を有し、
    上記サブ波長構造層に、1次元格子状の微細凹凸構造が、使用波長より小さいサブ波長周期で形成され、
    上記微細凹凸構造を形成されるサブ波長構造層が、低屈折率材料と高屈折率材料との混合により形成され、その厚さ方向における混合比の変化により、上記微細凹凸構造における屈折率:nが、上記微細凹凸構造における凸部の高さ方向の位置:hが小さくなるにつれ、屈折率:Nに近づくように、上記厚さ方向に連続的もしくは段階的に変化していることを特徴とする光学素子。
  2. 請求項1記載の光学素子において、
    微細凹凸構造における屈折率:nが、上記微細凹凸構造における凸部の高さ方向の中間部から上記高さ方向の両端部へ向かって、連続的もしくは段階的に小さくなることを特徴とする光学素子。
  3. 請求項1または2記載の光学素子において、
    サブ波長構造層に形成された1次元格子状の微細凹凸構造の周期方向における断面形状が、凸部の幅が上記凸部の高さ方向に変化する形状であることを特徴とする光学素子。
  4. 請求項3記載の光学素子において、
    サブ波長構造層に形成された1次元格子状の微細凹凸構造の周期方向における断面形状が、台形形状もしくは三角形形状、もしくは高さ方向中間部から高さ方向の両端部側へ凸部の幅が漸減する形状であることを特徴とする光学素子。
  5. 請求項1〜4の任意の1に記載の光学素子であって、
    波長板としての光学機能を有することを特徴とする光学素子。
  6. 請求項1〜4の任意の1に記載の光学素子であって、
    サブ波長構造層の微細凹凸構造による周期構造が、透明基板表面の平坦部分を介して、上記微細凹凸構造の凹凸配列方向へ周期的に配列し、偏光選択性の回折格子を構成していることを特徴とする光学素子。
  7. 請求項1〜4の任意の1に記載の光学素子であって、
    偏光ビームスプリッタとしての光学機能を有することを特徴とする光学素子。
  8. 請求項1〜7の任意の1に記載の光学素子を有する光学装置
  9. 請求項8記載の光学装置において、
    光源からの光束を液晶表示素子に導光し、この液晶表示素子の表示画像を投射レンズで表示面上に投射するプロジェクタ装置として構成され、
    上記光源と上記投射レンズとの間の光路上に、請求項1〜7の任意の1に記載の光学素子が配置されたことを特徴とする光学装置
  10. 請求項8記載の光学装置において、
    光源からの光束を光記録媒体に、対物レンズを介して集光照射して情報の記録及び/又は再生を行う光ピックアップ装置として構成され、
    上記光源と上記対物レンズとの間の光路上に、請求項1〜7の任意の1に記載の光学素子が配置されたことを特徴とする光学装置
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