JP5012171B2 - 反射回折偏光子および光学装置 - Google Patents

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Description

本発明は、自然光など偏光状態がランダムな入射光を、特定の偏光状態に変換する偏光子および、光イメージング、光ストレージ、光通信などの特定の偏光に対して作用する光学部品を有する光学装置に関する。
光学装置に用いる光源には、多くの種類の偏光状態を有するものがある。光イメージング分野では、例えば投影型表示装置の光源として用いられるメタルハライドランプなどの白色光源は一般的にはランダムな偏光状態を有している。一方、光ストレージや光通信で用いられる半導体レーザーは直線偏光の光を出射するが、製造ばらつきや使用環境温度変化により、その偏光方向にばらつきや時間的変動を有する場合がある。光イメージング分野で投影型表示装置の画像情報を変調する液晶素子や光ストレージや光通信分野で光線経路の切り替えに用いる偏光ビームスプリッタなどは、入射する光の偏光状態に依存するので、一方向に揃った直線偏光の光を利用する光学系に適している。光の偏光方向を一定にするために光学系内に、特定の偏光のみを透過させる偏光子が用いられており、この偏光子の消光比が高いほど光学系の特性が良くなることから、偏光子の消光比は重要な性能のひとつとされている。
従来の偏光子は、光が入射されると特定の偏光方向の光に対して高い吸収能を有する吸収型偏光子が用いられていたが、光の吸収により偏光子自体の温度が上昇し、劣化しやすいという問題があった。また、代表的に用いられている色素系フィルムに関しては、高温、高温高湿条件で劣化が発生しやすいという問題点も合わせて有していた。係る問題を解決する手段として、耐熱性を有する構造複屈折型偏光板を用いることが提案されている(たとえば、特許文献1参照)。また、吸収を用いない偏光子として回折型偏光子が提案されている(たとえば、特許文献2参照)。
また、非吸収性コレステリック液晶は、光の偏光状態が液晶分子の螺旋方向と同じ円偏光で螺旋ピッチとほぼ等しい波長の光が螺旋軸に平行して入射されると、一定の帯域の波長において入射する光がほぼ反射する特性を有する。一方、液晶分子の螺旋方向と逆方向の円偏光で入射する光は、ほぼ透過する特性を有する(非特許文献1参照)。
特開2001−281615号公報 特開2005−18813号公報 チャンドラカーセル著「液晶の物理」吉岡書店1995年
しかしながら、特許文献1に記載の構造複屈折型偏光板は、光を光軸に対して斜めから入射させる必要があるため、偏光手段を光軸に対して斜めに配置しなければならず、その分のスペースが必要となり、小型化が難しいという問題があった。とくに、投影型表示装置で、全面黒の表示を行う場合は、用いられる液晶パネルから光が出射される側に置かれる検光子の役割を持つ偏光子にも構造複屈折型偏光板を使用する必要があり、上記検光子を光軸に対して斜めに配置しなければならず、ますます小型化が困難となっていた。
また、特許文献2に記載の回折型偏光子は、小型化には有利ではあるが使用しない偏光成分が後方へ回折することから、投影型表示装置で高いコントラストを得るには光軸上から十分に離れた回折角となるように設定する必要がある。このため、回折格子構造の格子ピッチを狭くしなければならないという制約があるという問題があった。また、回折した光の光学経路に設置された部品による反射迷光の影響も受けやすく、回折光を遮光する絞り手段なしでは、コントラストが低下しやすいという問題点があった。
また、非特許文献1では、非吸収型コレステリック液晶の光物性に関して記載しているが、偏光子としての具体的な態様について提案はない。
本発明はこのような問題を解決するためになされたもので、安定して高い消光比が得られると共に、小型化され耐久性のある偏光子およびそれを用いた光学装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、右回りまたは左回りの円偏光で入射する所定の波長範囲の光のうちいずれか一方の回転方向の光を反射させる反射回折偏光子であって、反射回折偏光子は屈折率異方性を有するコレステリック相液晶からなる複屈折膜を有していて、前記複屈折膜の厚さ方向と前記コレステリック相液晶の液晶分子の螺旋軸とが平行で前記液晶分子の厚さ方向の螺旋ピッチが一様となっており、前記複屈折膜が、一方の表面に実質的に等しい幅と深さを有する複数の溝の凹凸の回折格子構造を有し、隣り合う前記溝の格子ピッチが一定の周期であり、前記コレステリック相液晶からなる複屈折膜が有する回折格子構造は、前記コレステリック相液晶による選択反射波長帯域が前記入射する所定の波長範囲を含むように形成されており、前記回折格子構造が有する選択反射波長帯域の光に対する反射特性および反射0次回折特性を利用して、前記入射する所定の波長範囲の光のうち前記コレステリック相液晶の液晶分子のねじれ方向と同じ回転方向となる円偏向の光を反射させることを特徴とする反射回折偏光子を提供する。
この構成によれば、前記コレステリック相液晶の螺旋の方向と、同じ回転方向を有する円偏光の光を反射回折し、逆の回転方向を有する円偏光の光を直進透過する反射回折偏光子を実現できる。
また、上記目的を達成するため、前記複屈折膜がコレステリック相高分子液晶からなる上記に記載の反射回折偏光子を提供する。
この構成によれば、耐久性が高く信頼性のある複屈折膜による反射回折偏光子を実現できる。
また、上記目的を達成するため、前記凹凸を前記複屈折膜の異常光屈折率と常光屈折率との間の屈折率を有する等方性材料で充填平坦化されている上記に記載の反射回折偏光子を提供する。
この構成によれば、前記コレステリック相液晶の液晶分子の螺旋の方向と、逆の回転方向を有する所定の波長の円偏光の光が入射すると、複屈折膜の表面に形成された凹凸の位相差が小さくなることから高い透過率が実現でき、入射する円偏光の光の回転方向によって高い消光比の反射回折偏光子を実現できる。
また、上記目的を達成するため、前記複屈折膜を2枚以上含む上記に記載の反射回折偏光子を提供する。
この構成によれば、複屈折膜の層が単層となる反射回折偏光子と比較してより高い消光比が実現できる。
また、上記目的を達成するため、2枚以上の前記複屈折膜の螺旋ピッチが互いに異なる上記に記載の反射回折偏光子を提供する。
この構成によれば、反射波長帯域特性が異なるコレステリック相液晶を積層することで、高い消光比が得られる光の波長範囲を拡大したり、複数の波長に対して反射回折させるなどの機能を実現できる。
また、上記目的を達成するため、入射する光の波長λに対して位相差が(0.25+m)λとなる1/4波長板を含む上記に記載の反射回折偏光子を提供する(mは整数を示す)。
この構成によれば、反射回折偏光子を直進透過する直線偏光が、1/4波長板によっていずれかの回転方向を有する円偏光の光に変換され、複屈折層の液晶分子の回転方向と同じ円偏光の光が選択的に反射させることができる。
また、上記目的を達成するために、前記複屈折膜が、進相軸または遅相軸が直交されて配置された2枚の前記1/4波長板に挟まれている上記に記載の反射回折偏光子を提供する。
この構成によれば部品を追加することなく、入射するA方向の振動方向を有する直線偏光の光を、液晶分子の螺旋の方向と同じでもっとも高い反射回折効率が得られる回転方向の円偏光の光に変換することができる。一方、A方向と直行する振動方向を有するB方向の直線偏光の光を、液晶分子の螺旋の方向と逆方向でもっとも高い透過率が得られる回転方向の円偏光の光に変換することができる。このことから、入射する直線偏光の光に対しても反射回折偏光子として作用させることができる。
また、上記目的を達成するために、光源と、前記光源からの可視光を複数の色の光に分離する色分離手段と、表示する画像に応じて前記複数の色の光を変調する複数の液晶パネルと、前記色分離手段が分離した前記複数の色の光を対応する前記複数の液晶パネルに導く複数の反射ミラーと、前記光源から前記複数の液晶パネルまでの光路上に配置され光の偏光状態を変える複数の第1の偏光手段と、前記複数の液晶パネルの光を透過する側に配置され光の偏光状態を変える複数の第2の偏光手段と、前記複数の第2の偏光手段を透過する光を合成する光合成手段と、前記光合成手段によって合成された光を拡大投影する投影手段とを備えた投射型表示装置において、前記複数の第1の偏光手段および前記複数の第2の偏光手段のうちの少なくとも一方の偏光手段が、上記に記載の反射回折偏光子によって構成されていることを特徴とする投射型表示装置を提供する。
この構成によれば、使用しない偏光成分の光は、反射回折偏光子の後方に反射回折することから、反射回折偏光子の前方方向には迷光成分の光が少なく、入射光軸方向の正反射(0次回折)する光も少ない、コンパクトでコントラストが高い光学装置を反射回折偏光子表面の回折格子構造の格子ピッチの制約なく高い生産性で実現できる。後方とは、光が入射する膜面に対して面より光の入射側へ向かう方向であり、対して、前方とは、光が入射する膜面に対して反対側の面より光の入射側と反対方向(出射側)へ向かう方向と定義する。
また、上記目的を達成するため、光源と、前記光源からの出射光を光記録媒体上に集光させる対物レンズと、集光されて前記光記録媒体によって反射された反射光を前記出射光の光路とは異なる光路へ偏向分離する偏光ビームスプリッタと、前記偏光ビームスプリッタに入射する前記光源からの出射光から前記光記録媒体と異なる光路へ分離されるモニタ光を受光するモニタ光検出器と、偏向分離された前記反射光を検出する光検出器と、を備える光ヘッド装置において、前記光源と前記光検出器との間の光路中または、前記偏光ビームスプリッタと前記モニタ光検出器との間の光路中に、上記に記載の反射回折偏光子が設置されていることを特徴とする光ヘッド装置を提供する。
この構成によれば、光源である半導体レーザーの製品ばらつきや環境温度変化により生じる不要な偏光成分は、後方に反射回折する。したがって、迷光となる光が前方に進む成分が少なく、入射光軸方向に正反射(0次回折)する光も少ないため精度よく情報の読み出し、書き込みができる。また、反射回折偏光子表面の回折格子構造の格子ピッチの制約なく、コンパクトで安定性の高い光学装置を高い生産性で実現できる。
本発明は、コレステリック相液晶の液晶分子の螺旋軸方向が厚さ方向に平行で一様である複屈折膜を有し、前記複屈折膜の一方の表面に実質的に等しい幅と深さを有する複数の溝の凹凸の回折格子構造を有し、隣り合う前記溝の格子ピッチが一定の周期であることを特徴とする反射回折偏光子および反射回折偏光子を用いた光学装置を提供することができるものである。
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
(第1の実施の態様)
図1は、本実施の形態に係る反射回折偏光子10の概念的な構成を示す図である。図1(a)において、反射回折偏光子10は複屈折材料として、重合部位を有する液晶とカイラル材からなるコレステリック相液晶を重合・高分子化した高分子液晶膜を用いている。図1(a)に示されるように、透明基板11上に形成された図示しないポリイミド膜を塗布・焼成し、ラビング処理を施して配向膜とする。重合部位を有するコレステリック相液晶モノマーを、配向膜上に塗布した後、紫外線照射により重合固定化しコレステリック相高分子液晶膜12とする。コレステリック相液晶は重合固定化しなくても液晶分子の螺旋軸が厚さ方向に平行で一定のピッチで螺旋していれば同じ効果が得られるが、重合固定化すると信頼性が向上し好ましい。
コレステリック相高分子液晶膜12の表面には、深さと幅が等しい複数の溝を有する凹凸13が形成されている。格子ピッチは隣り合う溝の凹部の中心点間の最短距離である。凹凸13は、たとえばフォトリソグラフィープロセスで形成することが可能である。凹凸13は、コレステリック相高分子液晶12の螺旋の方向と逆の回転方向となる円偏光の光が螺旋軸と平行に入射するときの屈折率と略等しい等方性材料14で充填されており、対向面が透明基板15と接着されている。
コレステリック相液晶は、螺旋ピッチPが入射光の波長λとコレステリック相液晶の屈折率nとの積と同程度の場合、螺旋軸方向と平行に入射する光のうち、液晶分子のねじれ方向と同じ回転方向となる円偏光がほぼ反射され、逆向きの回転方向となる円偏光はほぼ透過する円偏光依存性を有する。この反射特性を示す波長帯域の中心波長λは、螺旋ピッチをP、液晶の常光屈折率をn、異常光屈折率をnとすると(1)式の関係で示される。また、反射帯域幅Δλは、(2)式の関係で示される。また、以下(λ±Δλ)を反射波長帯域と定義する。
Figure 0005012171
このことから、反射波長帯域の光が、液晶分子の螺旋軸方向と平行で液晶分子のねじれ方向と同じ回転方向となる円偏光である場合、コレステリック相高分子液晶膜12は反射膜として作用する。反射波長帯域の反射率は、コレステリック相高分子液晶膜12内部の螺旋ピッチ数に依存する。螺旋ピッチ数は液晶分子の回転数で表す。略10回転以上の螺旋ピッチ数では膜厚に依存せず反射波長帯域でほぼ一様に高い反射率を示す。図2(a)に、例えば中心波長λが約455nmで反射波長帯域幅Δλが約70nmである厚さ4.5μmのコレステリック相高分子液晶膜に、液晶分子のねじれ方向と同じ回転方向となる円偏光の光が螺旋軸と平行に入射するときの反射スペクトル計算値を示す。これより、反射波長帯域では、高い反射率が得られることが確認できる。
前記コレステリック相高分子液晶膜の表面に形成された周期的な凹凸13の深さをdとし、凹凸を充填する等方性材料14の屈折率をnとして、波長λの光が入射するとする。このとき(3)式の関係を満たす場合、凹凸が作用して全回折の特性を示し、直進反射光量が略ゼロとなる。
Figure 0005012171
これに対して、液晶のねじれ方向と逆の回転方向となる円偏光の光が入射される場合、反射波長帯域が存在しないためコレステリック相高分子膜12を全透過する。さらに、凹凸13と凹凸を充填する等方性材料14の屈折率が略等しいため、回折も発生しない。図2(b)に、等方性材料14屈折率nが約1.7、コレステリック相液晶膜表面の凹凸の深さdが約67nmとする反射回折偏光子の反射0次回折効率を示す。455nmの波長を中心に0次以外に回折され、0次反射光量が抑制されることが確認できる。
図2(a)および図2(b)で示すように、液晶分子のねじれ方向と同じ回転方向となる円偏光の光が液晶分子の螺旋軸と平行に入射されると高い反射率および低い反射0次回折効率が得られる。一方、液晶分子のねじれ方向と逆の回転方向となる円偏光の光が液晶分子の螺旋軸と平行に入射されると高い透過率および無回折特性を示すことから、本発明の反射型偏光子はコレステリック相高分子液晶の反射波長帯域の波長の光において、偏光子として機能する。例えば、図1(b)に示すように、液晶分子のねじれ方向と同じ回転方向をとなる第1の円偏光21の光は、ほぼ0次以外で反射回折し、液晶分子のねじれ方向と逆の回転方向となる第2の円偏光22の光はほぼ透過する。したがって、入射する光の偏光状態によって高い消光比を持つ反射回折型偏光子として機能する。
選択反射波長帯域の中心波長λと反射波長帯域幅Δλは、本計算例に限定されるのものでなく、使用する液晶材料やカイラル材およびその混合比により任意に設定が可能である。また、コレステリック相高分子液晶膜の設計上、凹凸の凹みの深さを最適化することで、偏光子として作用させる任意の中心波長および反射波長帯域幅を設定することが可能である。
また、本発明の機能は、図2(a)に示す反射率特性と図2(b)に示す反射0次回折特性の複合効果によるものであり、反射波長帯域に含まれない波長では、偏光状態に関わらず高い透過率を示し、偏光子としては機能しない。したがって、液晶分子のねじれ方向と同じ回転方向となる円偏光の光に対して、透過または反射の波長選択性も有する反射回折型偏光子として機能させることも可能である。
反射回折偏光子機能となるコレステリック相高分子液晶膜と等方性媒体との境界部が実効的に周期的な凹凸を有していればよく、あらかじめ作製した周期的な凹凸を有する基板の上にコレステリック相高分子液晶膜を成膜しても同様の効果が得られる。この場合、透明基板そのものに周期的な凹凸に加工してもよいし、透明基板上に成膜された等方性材料に周期的な凹凸に加工してもよい。等方性材料としては、たとえばアクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリイミド樹脂などの有機材料や、SiO、SiON、TiO、Ta、などの無機材料膜、そしてこれらから形成される多層膜などで構成してもよい。
また、コレステリック相高分子液晶膜と接する等方性材料の屈折率は、液晶分子の螺旋方向と逆の回転方向の円偏光に対する屈折率と略等しいと高い消光比を得られ好ましい。具体的には、屈折率が1.5〜1.7の範囲の等方性材料が好ましく、1.55〜1.65の範囲であれば、さらに高いコントラストが得られるのでより好ましい。
(第2の実施の態様)
図3は、本実施の形態に係る反射回折偏光子30の概念的な構成を示す図である。第1の実施の態様と比較して複層のコレステリック相高分子液晶層が配置されている点が異なる。図3(a)に示されるように、反射回折偏光子30は、第1の実施の態様と同様に透明基板31上に成膜された第1のコレステリック相高分子液晶膜32の表面に周期的な凹凸33を形成し、周期的な凹凸33は、コレステリック相高分子液晶の螺旋の方向と逆の回転方向となる円偏光の光が螺旋軸と平行に入射するときの屈折率と略等しい等方性材料34で充填されており、対向面が透明基板35と接着されている。
同様に第1のコレステリック相液晶と同じ螺旋の方向を有し、螺旋ピッチの異なる第2のコレステリック相高分子液晶膜36の表面に周期的な凹凸37を形成し、周期的な凹凸37が液晶分子の、螺旋軸の回転方向と逆の回転方向となる円偏光の光の屈折率と略等しい等方性材料38で充填されており、対向面が透明基板39と接着されている。これら2層のコレステリック相高分子液晶膜を積層して反射回折偏光子30としている。
図4(a)に、中心波長λが約420nmで反射波長帯域幅Δλが約65nmである厚さ4.5μmのコレステリック相高分子液晶膜に、液晶分子のねじれ方向と同じ回転方向となる円偏光の光の反射スペクトル計算値を実線で示す。このときの反射波長帯域を第1反射波長帯域とする。同様に中心波長λが約490nmで反射波長帯域幅Δλが約75nmである厚さ4.5μmのコレステリック相高分子液晶膜に、液晶分子のねじれ方向と同じ回転方向となる円偏光の光の反射スペクトル計算値を破線で示す。このときの反射波長帯域を第2反射波長帯域とする。図3のように2層のコレステリック高分子液晶を積層することにより約390nm〜525nmの波長の光に対して連続する反射波長帯域が得られることが確認できる。
図4(b)に、等方性材料の屈折率nが約1.7、第1反射波長帯域に対応する周期的な凹凸の深さdが約61nmの反射回折偏光子とする反射0次回折効率をのスペクトル計算値を実線で示す。また。第2反射波長帯域に対応する周期的な凹凸の深さdが約72nmの反射回折偏光子とする反射0次回折効率のスペクトル計算値を破線で示す。これらの計算値より、第1反射波長帯域では420nmの波長、第2反射波長帯域では490nmの波長を中心に0次以外に回折され、0次反射光量が抑制されることが確認できる。
図4(a)および図4(b)で示すように、液晶分子のねじれ方向と同じ回転方向となる円偏光の光が液晶分子の螺旋軸と平行に入射されると第1反射波長帯域と第2反射波長帯域の広い範囲の波長で、高い反射率および低い0次回折効率が得られる。一方、液晶のねじれ方向と逆の回転方向となる円偏光の光が液晶分子の螺旋軸と平行に入射されると高い透過率および無回折特性を示すことから、本発明の反射型偏光子は第1反射波長帯域と第2の反射波長帯域からなる広い範囲の波長において、偏光子として機能する。
例えば、図3(b)に示すようにコレステリック相高分子液晶膜36、32を、それぞれ図4(a)、図4(b)に示す第1反射波長帯域および第2反射波長帯域が反射波長帯域となるコレステリック相高分子液晶膜を積層する。この場合、液晶分子のねじれ方向と同じ回転方向となる円偏光の光が入射すると、第1反射波長帯域の円偏光41の光は、コレステリック相高分子液晶膜36表面に形成された周期的な凹凸、第2反射波長帯域の円偏光42の光は、コレステリック相高分子液晶膜32表面に形成された周期的な凹凸で、それぞれの光がほぼ反射回折される。一方、液晶分子のねじれ方向と逆の回転方向となる円偏光の光が入射すると、光はほぼ透過する。したがって、入射する光の偏光状態によって高い消光比を持つ反射回折偏光子として機能する。
(第3の実施の態様)
図5は、本実施の形態に係る反射回折偏光子50の概念的な構成を示す図である。第1の実施の態様と比較してコレステリック相高分子液晶層が2枚の位相差板に挟まれた構成となっている点が異なる。図5(a)に示すように、反射回折偏光子50は、透明基板51上に成膜されたコレステリック相高分子液晶膜52の表面に周期的な凹凸53を形成する。周期的な凹凸53は、コレステリック相高分子液晶の螺旋の方向と逆の回転方向となる円偏光の光が螺旋軸と平行に入射するときの屈折率と略等しい等方性材料54で充填されており、対向面が透明基板55と接着されている。さらに図示しない接着層を第1の位相差板56および第2の位相差板57の上下面に設け、透明基板58および59に接着積層した構成である。
コレステリック相高分子液晶膜54が図2(a)および図2(b)に示す特性である場合、第1の位相差板56のリタデーションRは、中心波長λの光に対して、R=(0.25+m)λ(mは正の整数を示す)である1/4波長板が用いられる。このときに反射回折偏光子50に入射する光が波長λの直線偏光である場合、第1の位相差板56で直線偏光から円偏光に変換される。円偏光に変換された光は、実施の形態1と同様にコレステリック相高分子液晶膜の螺旋する液晶分子の回転方向により、透過または反射回折する。第2の位相差板57のリタデーションRは、同様に中心波長λの光に対して、R=(0.25+n)λ(nは正の整数を示す)である1/4波長板が用いられる。第1の位相差板を透過した円偏光は、第2の位相差板で再び直線偏光に変換され、反射回折偏光子50を通過する。
ここで、第1の位相差板のリタデーションと第2の位相差板のリタデーションとを実質的に等しくし、2枚の位相差板の光学軸を直交させて配置とすることで、透過する光の偏光状態を入射前の光の偏光状態に戻すことが可能となる。また、反射波長帯域以外の波長の直線偏光の光が入射すると、第1の位相差板のリタデーションの波長分散に応じて楕円偏光の光に変換されるが、同様に第2の位相差板で再び入射前の直線偏光に変換されて透過する。例えば、図5(b)に示すように紙面に平行な振動方向の第1直線偏光61の光は第1の位相差板で液晶分子の回転方向と同じ円偏光に変換されて反射回折する。一方、紙面に垂直な振動方向の第2直線偏光62の光は、液晶分子の回転方向と逆となる円偏光に変換されて透過する。また、反射波長帯域に含まれない波長に関しては入射する光の偏光状態を維持して透過させるので、波長選択機能も有する。
位相差板の材料には、配向処理によって屈折率異方性を発現する高分子液晶や、延伸によって屈折率異方性を発現するポリマーフィルムなどが好適に用いられる。また、反射波長帯域全体にわたり広く直線偏光から円偏光への変換特性を改善させるために、複数の複屈折材料の層を積層してなる位相差板を用いて、反射波長帯域全体で消光比を向上させてもよい。この場合も、単一層の位相差板を使用する場合と同様に、互いに逆の偏光変換特性を有する2枚の位相差板を使用することで入射前の光の偏光状態に再変換して光を透過させることが可能である。
本発明の反射回折偏光子は円偏光の光に対して作用することから、直線偏光の入射光に対応して1/4波長板を組み合わせて用いる場合があり、位相差板と一体化した反射回折偏光子とすると、部品点数の削減や小型化が可能となり好ましい。また、その他の偏光子および偏光を用いたデバイスと組み合わせが容易となり、好ましい。
(第4の実施の態様)
図6は、本発明の第1の実施の形態に係る反射回折型偏光子を用いた投影型表示装置の構成を示す図である。図6において、投影型表示装置100は、可視光を発するメタルハライドランプ等の白色の光源101と、入射する光をR(赤)、G(緑)、B(青)の3つの色成分の光に分離する色分離手段であるダイクロイックミラー131、132と、表示する画像に応じて入射光を変調する複数の液晶パネル141、142、143と、ダイクロイックミラー131、132が分離した各色の光をそれぞれ対応する液晶パネル141、142、143に導く反射ミラー131a、133a、133bと、光源101から各液晶パネル141、142、143までの光路上に配置された第1の偏光手段となる反射回折偏光子121、122、123と、各液晶パネル141、142、143の光の出射側に配置された第2の偏光手段となる検光子151、152、153と、各検光子151、152、153を透過する光を合成する光合成手段としてのダイクロイックプリズム160と、ダイクロイックプリズム160によって合成された光を拡大投影する投影手段としての投射レンズ系170とを備える。ここで、投射レンズ系170から出射された光は、スクリーン180上に投影される。
この投影型表示装置100では、反射回折偏光子121がダイクロイックミラー131と反射ミラー131aとの間に、反射回折偏光子122がダイクロイックミラー132と液晶パネル142との間に、反射回折偏光子123が反射ミラー133aと反射ミラー133bとの間に、それぞれ配置されている。すなわち、反射回折偏光子121、122、123が、色分離手段としてのダイクロイックミラー131、132と液晶パネル141、142、143との間にそれぞれ配置された構成となる。
光源101から出射するランダムな偏光状態の白色の可視光は、ダイクロイックミラー131によってR(赤)成分の光が透過(分離)し、R(赤)成分の光は反射回折偏光子121を透過し、反射ミラー131aで反射されて液晶パネル141に入射する。また、ダイクロイックミラー131によってR(赤)成分が分離され反射された光は、ダイクロイックミラー132でG(緑)成分の光が反射して分離され、G(緑)成分の光は反射回折偏光子122を透過して液晶パネル142に入射する。さらに、ダイクロイックミラー132によってG(緑)成分が分離されて透過されたB(青)成分の光は、反射ミラー133aで反射され、反射回折偏光子123を透過し、反射ミラー133bで反射されて液晶パネル143に入射する。
液晶パネル141、142、143に入射した各色成分の光は、それぞれ表示する画像に応じて変調され、検光子151、152、153をそれぞれ透過して特定方向に直線偏光となる光が取り出される。検光子151、152、153を透過した光は、ダイクロイックプリズム160によって再度合成された後、投射レンズ系170を介してスクリーン180に投射され、カラー画像が表示される。
反射回折偏光子121、122、123は、第3の実施の態様で図3を用いて説明した反射回折偏光子50と同じ構成である。ここで、反射回折偏光子121、122、123は、それぞれ、R(赤)用、G(緑)用、B(青)用の波長帯域に反射波長帯域が実質的に一致するように最適設定されている。具体的な設計例としてコレステリック相高分子液晶膜の、反射波長帯域の中心波長λ、反射波長帯域幅Δλ、および周期的な凹凸の深さdの条件を表1に示す。また、図7(a)および図7(b)にそれぞれ、反射回折偏光子121、122、123に用いるコレステリック相高分子液晶膜の反射スペクトルおよび反射0次回折効率を示す。
Figure 0005012171
それぞれの反射回折偏光子を用いることで、R、G、Bいずれの波長帯域においても透過する直線偏光の偏光度が上がり、加えて不要偏光成分が反射回折して透過されないため高い消光比が得られる。
本実施の態様では、R、G、Bの波長帯域がそれぞれ反射波長帯域と略一致する反射回折偏光子を個別に配置しているが、3つの反射回折偏光子の機能を一体化することも可能であり、調整の簡略化、部品点数削減、小型化等の点で好ましい。R、G、Bの波長帯域全てに対応し一体化された反射回折偏光子とするには、本実施の態様に用いた3つの偏光子を積層してもよいし、R、G、Bの波長帯域にそれぞれ対応する3層のコレステリック相高分子液晶膜を、これらの波長帯域に対応する広帯域波長板で挟んだ構成としてもよい。この場合、2層以上の複屈折材料からなる層を積層して構成される波長帯域の広い位相差板が好適に用いられ、積層される層数や透明基板数が削減され好ましい。
同一の機能を有する反射回折偏光子を複数用いることでさらにコントラストを向上させることが可能となり好ましく、同様に積層一体化した反射回折偏光子とすると部品点数が削減され好ましい。また、第2の実施の形態で記載した反射波長帯域および周期的な凹凸を波長シフトさせた反射回折偏光子を用いて回折反射させる波長帯域を広くすることも可能となり好ましい。
(第5の実施の態様)
図8は、本発明の第1の実施の形態に係る反射回折偏光子を用いた光ヘッド装置200の構成を示す。
半導体レーザ201からDVDの情報を記録・再生する約660nmの波長の直線偏光の光(紙面に平行)を出射する。光は、回折素子203によりトラッキング用の3ビームに回折され、偏光ビームスプリッタ204によってほぼ光ディスク方向に反射され、コリメートレンズ205により平行光化される。直線偏光の光は1/4波長板206で円偏光の光に変換され、対物レンズ207によりDVD用光ディスク208の情報記録層に集光される。なお、対物レンズ207はフォーカスサーボおよびトラッキングサーボ用のアクチュエータ(図示せず)により可動する。光ディスクの反射面で反射され、光ディスクに向かうときの光に対して逆回りの円偏光に変換された光は、再び対物レンズ207、1/4波長板206を透過して、入射光と直交する(紙面に直交)偏光面を有する直線偏光に変換される。コリメートレンズ205で集光された光は、ほぼ偏光ビームスプリッタ204を透過し、非点収差法によるフォーカスサーボ用に設けられたシリンドリカルレンズ209を透過して光検出器210に集光される。
この光ヘッド装置200によってDVDなどの光ディスクの記録・再生を安定に実現するために、半導体レーザーからの光が偏光ビームスプリッタ204を僅かに透過する微弱な光を集光レンズ211でモニタ光検出器212に集光して半導体レーザーからの出射光の制御を行っている。この光学系に設置された後述する反射回折偏光子202により、半導体レーザーの個体差や取り付け精度ばらつきおよび環境温度により出射光の偏光面が所定の方向から回転しても、反射回折偏光子を透過することによって、偏光ビームスプリッタ204へ入射される光は、所定の方向の直線偏光となる。これにより、光ディスクへ入射される光の光量とモニタ光検出器にモニタされる光の光量との比率は、偏光ビームスプリッタの偏光分離比特性にきわめて安定して一致する。したがって、モニタ光検出器212での微弱な光量により、半導体レーザーの出射光量を制御することで光ディスク208へ入射する光量を制御することができる。反射回折偏光子により不要な成分の光または不要な周波数の光は回折され、光軸からははずれて折り返されることから半導体レーザ201に対しての影響も少ない。また、前方への迷光成分もないため安定した光ヘッドの特性が得られる。
反射回折偏光子202としては、第3の実施の態様で図5を用いて説明した反射回折偏光子50と等しい構成のものを用いる。反射波長帯域の中心波長λが約660nm、反射波長帯域幅Δλが約100nmとなるコレステリック相高分子液晶膜の表面に、深さdが約98nmの周期的な凹凸を有し、リタデーションが約165nmとなる2枚の位相差板で挟まれ積層された反射回折偏光子が好適に用いられる。また、反射回折偏光子202と回折素子203を一体化することによって、部品点数の削減が可能となり好ましい。回折素子203は、反射回折偏光子の光の出射側の面に一体化して形成することで不要となる迷光の発生が抑制されるため好ましい。反射回折偏光子との積層一体化は前述の回折素子に限定されるものではなく、光学系が成立する範囲においてさまざまな光学機能を有する素子との積層一体化が可能であり、調整簡略化、部品点数削減、小型化などの点から好ましい。
反射回折偏光子はこれまで述べてきたように使用する光の波長に対して最適化することができるので、本実施の形態に示した波長が約660nmのDVD用に限定されるものではなく、波長が約785nmであるCD用、波長が約405nmの高密度記録再生用青色光ディスクに対しても適応できるので好ましい。また、これらの複数の波長の光を出射する半導体レーザーに対して選択的に偏光子として作用させることも可能であり、光学系の設計自由度が高く好ましい。
また、不要光となる迷光は反射回折偏光子の前方へ透過せずに後方へ反射されるので、反射回折偏光子の前方にある光学部品への影響を抑えることができる。したがって、回折方向を決める格子ピッチの自由度は大きいが、反射回折偏光子の後方への反射光の影響を低減するため、格子ピッチは10μm以下が好ましく、さらには5μm以下が好ましい。格子パターンは、直線でもよいし、曲線状でも、同心円状でもよい。曲線状や同心円状とすることで、反射回折偏光子の後方の特定の位置に配置された光学部品に対して反射光の入射を回避でき、光学設計の自由度がさらに向上し好ましい。
以下に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
(実施例1)
本実施例では、図1および図2を参照しながら第1の実施態様に係る反射回折偏光子の具体的な作製方法を説明する。図示しない低反射コートを施した透明基板11上に形成された図示しないポリイミド膜を塗布・焼成し、ポリイミド膜表面にラビングを施して配向膜とする。重合部位を有する液晶とカイラル材の混合物からなるコレステリック相液晶を配向膜上に塗布し、波長365nmの紫外線を照射して重合・高分子化し、厚さが約5μmのコレステリック相高分子液晶膜12とする。コレステリック相高分子液晶膜12の入射する円偏光の光の波長に対する反射率スペクトルは、図2(a)に等しく、中心波長が約455nmで反射波長帯域幅は約65nmである。
このコレステリック相高分子液晶層12の上面にフォトレジストを塗布し、フォトマスクを用いて、格子ピッチが5μmのレジストマスクを形成する。Oガスを主成分としたドライエッチングプロセスにより、コレステリック相高分子液晶膜12の表面に、格子ピッチが5μmで深さが約68nmの周期的な凹凸13を形成し、モノマー状態の等方性ポリマーで充填し、表面を平行化する。このとき重合後の等方性ポリマーが約455nmの波長の光に対する屈折率が約1.7となるように調整する。その後、図示しない低反射コートを施した透明基板15と接着させ、波長365nmの紫外線を照射し接着硬化する。最後に、ダイシングソーを用いて、外形が約10mm×約10mm角の反射回折偏光子とする。
光源から出射する光は、1/4波長板、反射回折偏光子の順の光路となるように配置する。457nmの波長のArレーザーの直線偏光の光をリタデーションが約114nmの1/4波長板面に垂直に入射して楕円率約0.98の円偏光の光とし、反射回折偏光子10の透明基板15面に垂直に入射すると光はほぼ透過する。一方、上記に対して直線偏光の光の振動方向を90°回転して入射すると、反射回折偏光子には上記と回転方向となる逆回りの円偏光の光が入射すると光はほぼ反射する。これらの透過率の比は約100以上であり、高い消光比が得られることが確認できる。
(実施例2)
本実施例では、図3および図4を参照しながら第2の実施態様に係る反射回折偏光子の具体的な作製方法を説明する。実施例1と同様に図示しない低反射コートを施した透明基板31と透明基板35上に、コレステリック相高分子液晶膜32および36を重合・高分子化により形成する。コレステリック相高分子液晶膜36の入射する円偏光の光の波長に対する反射スペクトルは、図4(a)に実線で示した第1波長帯域で高反射特性を示すスペクトルと等しく、中心波長が約420nmで反射波長帯域幅は約60nmである。また、コレステリック相高分子液晶膜32の入射する円偏光の光の波長に対する反射スペクトルは、図4(a)に破線で示した第2の波長帯域で高反射特性を示すスペクトルと等しく、中心波長が約490nmで反射波長帯域幅は約70nmである。
これらのコレステリック相高分子液晶層32、36の上に、実施例1と同様に、格子ピッチが5μmで、深さがそれぞれ約61nmと72nmの周期的な凹凸33および37を形成し、等方性ポリマーで充填し表面を平行化する。実施例1と同様に、約455nmの波長の光に対する屈折率が約1.7となるように調整する。その後、図示しない低反射コートを施した透明基板39とこれらの層を積層し、波長365nmの紫外線を照射し接着硬化する。その後ダイシングソーを用いて、外形が約20mm×約20mm角の反射回折偏光子とする。
光源から出射する光は、後述する吸収型偏光子、後述する広帯域1/4波長板、反射回折偏光子の順の光路となるように配置する。吸収型偏光子は、偏光方向が略ランダムな白色光源からの光を直線偏光の光に変換させる光学素子である。広帯域1/4波長板は、リタデーションが約228nmとなる位相差板と、リタデーションが約114nmとなる位相差板を積層させて、直線偏光の光が400nm〜510nmの波長の範囲で楕円率が0.9以上となる光学素子である。吸収型偏光子を通過する直線偏光の光は、広帯域1/4波長板に入射して円偏光の光に変換され、反射回折偏光子の透明基板39側から入射する。このとき、広帯域1/4波長板の光学軸を90°回転して右回りまたは左回りの円偏光の光が反射回転偏光子に入射するように調整するとき、光の透過率の比は400nm〜510nmの波長の範囲で約50以上であり、広帯域にわたり高い消光比が得られることが確認できる。
(実施例3)
本実施例では、図5を参照しながら第3の実施態様に係る反射回折偏光子の具体的な作製方法を説明する。図示しない低反射コートを施した透明基板58および59上に図示しない接着剤で、455nmの波長におけるリタデーションが114nmのポリカーボネートを延伸し作製したリタデーションが1/4波長となる第1の位相差板56、第2の位相差板57をそれぞれ積層し、図示しない低反射コートを施した透明基板51、54で挟み接着層にて積層接着する。それ以外のコレステリック相高分子液晶膜および等方性材料の充填に関する製造方法は実施例1と同様である。
実施例1と同様に、457nmの波長のArレーザーの直線偏光の光を第1の1/4位相差板で円偏光になる互いに直交する2方向から入射させる。透過する回転方向となる直線偏光の光の透過率と、反射回折する回転方向となる直線偏光の光の透過率の比は約100以上であり、高い消光比が得られることが確認できる。
(実施例4)
本実施例では、図6および図7を参照しながら第4の実施態様に係る反射回折偏光子を用いた投影型表示装置を具体的に説明する。本実施例で使用する反射回折偏光子121、122、123は、実施例3の反射回折偏光子と等しい構成である。配置する反射回折偏光子のコレステリック相高分子液晶膜の材料および周期的凹凸の深さを、反射波長帯域がそれぞれ、反射回折偏光子121が赤用(R)、反射回折偏光子122が緑用(G)、反射回折偏光子123が青用(B)となるように設計する。これは、図7に示したそれぞれの特性と等しい。
これらの反射回折偏光子121、122、123を、第4の実施の態様で説明した投影型表示装置100に、吸収型偏光子用の放熱基板なしで配置する。ランダムな偏光の光を発する白色光源を使用して画像を表示すると、十分にコントラストが高い実用レベルの表示特性が得られることが確認できる。投影型表示装置として組み立てられた筐体の内部温度は室温と比較して高温であるが、温度上昇による反射回折偏光子の特性変化は確認されず、良好な画像表示を継続することができる。
(実施例5)
本実施例では、図8を参照しながら第5の実施態様に係る反射回折偏光子を用いた光ヘッド装置を具体的に説明する。本実施例で使用する反射回折偏光子202は、実施例3と等しい構成である。反射波長帯域の中心波長λが約660nm、反射波長帯域幅Δλが約100nmとなるコレステリック相高分子液晶膜の表面に、周期的で格子ピッチが3μmで深さdが98nmの凹凸を有し、リタデーションが約165nmの2枚の位相差板で挟まれ積層された反射回折偏光子202とし、外形を2mm×2mm角になるように切断する。
反射回折偏光子202は、半導体レーザー201と2mmの離れた位置で光が垂直に入射するように配置する。反射回折偏光子202と回折素子203を透過して偏光ビームスプリッタ204に入射する光は、半導体レーザーから出射される直線偏光の方向を基準として光軸が−15°〜+15°の範囲で回転しても、一定の直線偏光状態を維持する。したがって、偏光ビームスプリッタ204により光ディスク208に向かう光とモニタ光検出器に212に入射する光の比率は、半導体レーザーからの直線偏光の光の一定の範囲の回転に対して変化せず安定する。モニタ光検出器の光量が一定になるように半導体レーザーの注入電流にフィードバックして調整することで、光ディスク208上の光量を安定して制御することができる。
本発明によれば、反射回折偏光子は特定の偏光状態および波長帯域を有する入射光を透過させ、それ以外の光を反射回折させる機能があり、投射型表示装置や光ヘッド装置などに搭載することができる。
本発明の第1の実施態様における反射回折偏光子の構成例と効果を示す模式図。 本発明の第1の実施態様における反射回折偏光子の光学特性を示す図。 本発明の第2の実施態様における反射回折偏光子の構成例と効果を示す模式図。 本発明の第2の実施態様における反射回折偏光子の光学特性を示す図。 本発明の第3の実施態様における反射回折偏光子の構成例と効果を示す模式図。 本発明の第4の実施態様における反射回折偏光子を使用した投射型表示装置の模式図。 本発明の第4の実施態様における反射回折偏光子の光学特性を示す図。 本発明の第5の実施態様における反射回折偏光子を使用した光ヘッド装置の模式図。
符号の説明
10、30、50、121、122、123、202:反射回折偏光子
11、15、31、35、39、51、55、58、59:透明基板
12、32、36、52:コレステリック相高分子液晶膜
13、33、37、53:周期的凹凸
14、34、38、54:等方性材料
21:第1の円偏光
22:第2の円偏光
41:第1反射波長帯域の円偏光
42:第2反射波長帯域の円偏光
56:第1の位相差板
57:第2の位相差板
61:第1直線偏光
62:第2直線偏光
100:投影型表示装置
101:光源
131、132:ダイクロイックミラー
131a、133a、133b:ミラー
141、142、143:液晶パネル
151、152、153:検光子
160:ダイクロイックプリズム
170:投影レンズ系
180:スクリーン
200:光ヘッド装置
201:半導体レーザ
203:回折素子
204:偏光ビームスプリッタ
205:コリメートレンズ
206:1/4位相差板
207:対物レンズ
208:光ディスク
209:シリンドリカルレンズ
210:光検出器
211:集光レンズ
212:モニタ光検出器

Claims (9)

  1. 右回りまたは左回りの円偏光で入射する所定の波長範囲の光のうちいずれか一方の回転方向の光を反射させる反射回折偏光子であって、
    反射回折偏光子は屈折率異方性を有するコレステリック相液晶からなる複屈折膜を有していて、
    前記複屈折膜の厚さ方向と前記コレステリック相液晶の液晶分子の螺旋軸とが平行で前記液晶分子の厚さ方向の螺旋ピッチが一様となっており、
    前記複屈折膜が、一方の表面に実質的に等しい幅と深さを有する複数の溝の凹凸の回折格子構造を有し、
    隣り合う前記溝の格子ピッチが一定の周期であり、
    前記コレステリック相液晶からなる複屈折膜が有する回折格子構造は、前記コレステリック相液晶による選択反射波長帯域が前記入射する所定の波長範囲を含むように形成されており、
    前記回折格子構造が有する選択反射波長帯域の光に対する反射特性および反射0次回折特性を利用して、前記入射する所定の波長範囲の光のうち前記コレステリック相液晶の液晶分子のねじれ方向と同じ回転方向となる円偏向の光を反射させる
    ことを特徴とする反射回折偏光子。
  2. 前記複屈折膜がコレステリック相高分子液晶からなる請求項1に記載の反射回折偏光子。
  3. 前記凹凸を前記複屈折膜の異常光屈折率と常光屈折率との間の屈折率を有する等方性材料で充填平坦化されている請求項1または請求項2に記載の反射回折偏光子。
  4. 前記複屈折膜を2枚以上含む請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の反射回折偏光子。
  5. 2枚以上の前記複屈折膜の螺旋ピッチが互いに異なる請求項4に記載の反射回折偏光子。
  6. 入射する光の波長λに対して位相差が(0.25+m)λとなる1/4波長板を含む請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の反射回折偏光子(mは整数を示す)。
  7. 前記複屈折膜が、進相軸または遅相軸が直交されて配置された2枚の前記1/4波長板に挟まれている請求項6に記載の反射回折偏光子。
  8. 光源と、前記光源からの可視光を複数の色の光に分離する色分離手段と、表示する画像に応じて前記複数の色の光を変調する複数の液晶パネルと、前記色分離手段が分離した前記複数の色の光を対応する前記複数の液晶パネルに導く複数の反射ミラーと、前記光源から前記複数の液晶パネルまでの光路上に配置され光の偏光状態を変える複数の第1の偏光手段と、前記複数の液晶パネルの光を透過する側に配置され光の偏光状態を変える複数の第2の偏光手段と、前記複数の第2の偏光手段を透過する光を合成する光合成手段と、前記光合成手段によって合成された光を拡大投影する投影手段と、を備えた投射型表示装置において、
    前記複数の第1の偏光手段および前記複数の第2の偏光手段のうちの少なくとも一方の偏光手段が、請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載の反射回折偏光子によって構成されていることを特徴とする投射型表示装置。
  9. 光源と、前記光源からの出射光を光記録媒体上に集光させる対物レンズと、集光されて前記光記録媒体によって反射された反射光を前記出射光の光路とは異なる光路へ偏向分離する偏光ビームスプリッタと、前記偏光ビームスプリッタに入射する前記光源からの出射光から前記光記録媒体と異なる光路へ分離されるモニタ光を受光するモニタ光検出器と、偏向分離された前記反射光を検出する光検出器と、を備える光ヘッド装置において、前記光源と前記光検出器との間の光路中または、前記偏光ビームスプリッタと前記モニタ光検出器との間の光路中に、請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載の反射回折偏光子が設置されていることを特徴とする光ヘッド装置。
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