しかし、上記公知文献に開示のスケジューリング装置は、ロットまとめを行う基準時刻であるシミュレーション時刻において前工程での処理完了時刻が確定している製品のみが待ち行列に格納され、将来を予測したロットまとめを行うことができず、ロットが揃わない場合に、ロットが揃わないことが時間(T)経過後に判明するため、そのロットに含まれる製品に無駄な待ち時間が発生するという課題があった。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、ロットが揃わない場合にも無駄
な待ち時間を発生させない工程別生産スケジュールを生成するスケジューリング装置及びスケジューリングプログラムを提供することを目的とするものである。
本発明にかかるスケジューリング装置は、複数の工程からなり、前記複数の工程の内少なくとも1の工程での製造条件の相異なる複数種類の製品を製造する生産ラインにおいて、各工程における複数の製品の処理順序である工程別生産スケジュールを、製造条件が所定の範囲内にある製品を連続して処理する製品群であるロットとして集約して、ロットの処理順序を定めることによって決定するスケジューリング装置であって、各製品の各工程での製造条件及び各製品をロットに集約するための製造条件の範囲を規定する各工程のロット集約条件を用いて、各製品を対応するロットに分類する製品分類手段と、ロットを処理するか否かを判定するための基準となる仮想的な時刻である基準時刻を設定する基準時刻設定手段と、前記基準時刻において前記工程別生産スケジュールに組み込まれていない製品について、製品毎に通過工程での処理の待ち時間が無いと仮定した場合の各工程への製品の到着予定時刻である最早処理開始可能時刻を求める処理可能時刻算出手段と、前記基準時刻において前記工程別生産スケジュールに組み込まれていないロットについて、ロット毎に、前記最早処理開始可能時刻を用いてロットが揃う最早の時刻である最早ロット完成時刻を求める最早ロット完成時刻算出手段と、前記基準時刻において前記工程別生産スケジュールに組み込まれていないロットについて、ロット毎に、当該ロットに分類された最初の製品が到着した時刻と、当該ロットに分類された最初の製品が到着してからロットが揃うまでに許容される最長の時間であって、予め設定された最長ロット待ち時間とを用いて、ロットが揃うまでに許容される最遅の時刻であるロット待ち限界時刻を求めるロット待ち限界時刻算出手段と、前記基準時刻において前記工程別生産スケジュールに組み込まれていないロットについて、ロット毎に、前記ロット待ち限界時刻、最早ロット完成時刻及び基準時刻を用いて、当該基準時刻にロットの処理を開始するか否かを判定するロット処理判定手段と、前記ロット処理判定手段によって処理を開始すると判定されたロットを前記工程別生産スケジュールに組み込むことによって前記工程別生産スケジュールを生成する生産スケジュール生成手段と、製品毎に、生産ラインを構成する複数の工程の通過順序、最先に通過する工程への到着予定時刻である最先工程到着時刻、各工程での処理に要する時間である処理時間及び製造条件を予め格納する製品情報記憶手段と、生産ラインを構成する工程毎に、前記ロット集約条件、ロットが揃ったか否かを判定するために使用する1のロット内の最小製品個数及び前記最長ロット待ち時間を予め格納するロット条件記憶手段とを備え、前記ロット処理判定手段は、前記最早ロット完成時刻が前記基準時刻以前である場合、または、前記ロット待ち限界時刻が前記基準時刻以降であって且つ前記最早ロット完成時刻より早い場合に、ロットの処理を開始すると判定し、前記製品分類手段は、前記製品情報記憶手段に格納された製造条件及び前記ロット条件記憶手段に格納されたロット集約条件を用いて各製品を対応するロットに分類し、前記処理可能時刻算出手段は、前記製品情報記憶手段に格納された前記工程の通過順序、最先工程到着時刻及び処理時間を用いて前記最早処理開始可能時刻を求め、前記最早ロット完成時刻算出手段は、前記ロット条件記憶手段に格納された前記最小製品個数を用いてロットが揃ったか否かの判定を行い、前記ロット待ち限界時刻算出手段は、前記ロット条件記憶手段に格納された最長ロット待ち時間を用いて前記ロット待ち限界時刻を求め、前記生産スケジュール生成手段は、前記ロット処理判定手段によって処理を開始すると判定されたロットの内、1のロットを前記工程別生産スケジュールに組み込むものであり、最早ロット完成時刻が基準時刻以前であるロットをロット待ち限界時刻が基準時刻以降であって且つ最早ロット完成時刻より早いロットより優先して前記工程別生産スケジュールに組み込むことを特徴としている。
上記の構成によれば、製品分類手段によって、各製品の各工程での製造条件及び各製品をロットに集約するための製造条件の範囲を規定する各工程のロット集約条件を用いて、各製品が対応するロットに分類され、基準時刻設定手段によって、ロットを処理するか否かを判定するための基準となる仮想的な時刻である基準時刻が設定される。
そして、処理可能時刻算出手段によって、前記基準時刻において前記工程別生産スケジュールに組み込まれていない製品について、製品毎に通過工程での処理の待ち時間が無いと仮定した場合の各工程への製品の到着予定時刻である最早処理開始可能時刻が求められ、最早ロット完成時刻算出手段によって、前記基準時刻において前記工程別生産スケジュールに組み込まれていないロットについて、ロット毎に、前記最早処理開始可能時刻を用いてロットが揃う最早の時刻である最早ロット完成時刻が求められ、更に、ロット待ち限界時刻算出手段によって、前記基準時刻において前記工程別生産スケジュールに組み込まれていないロットについて、ロット毎に、当該ロットに分類された最初の製品が到着した時刻と、当該ロットに分類された最初の製品が到着してからロットが揃うまでに許容される最長の時間であって、予め設定された最長ロット待ち時間とを用いて、ロットが揃うまでに許容される最遅の時刻であるロット待ち限界時刻が求められる。
また、ロット処理判定手段によって、前記基準時刻において前記工程別生産スケジュールに組み込まれていないロットについて、ロット毎に、前記ロット待ち限界時刻、最早ロット完成時刻及び基準時刻を用いて、当該基準時刻にロットの処理を開始するか否かが判定され、生産スケジュール生成手段によって、前記ロット処理判定手段によって処理すると判定されたロットを前記工程別生産スケジュールに組み込むことによって前記工程別生産スケジュールが生成される。ここで、前記ロット処理判定手段は、前記最早ロット完成時刻が前記基準時刻以前である場合、または、前記ロット待ち限界時刻が前記基準時刻以降であって且つ前記最早ロット完成時刻より早い場合に、ロットの処理を開始すると判定するものである。
このようにして、前記ロット処理判定手段によって、前記ロット待ち限界時刻が前記基準時刻以降であって且つ前記最早ロット完成時刻より早い場合にロットを処理すると判定されるため、ロットが所定時間待っても揃わないと予測される場合には、そのロットの処理が開始され、ロットが揃わない場合にも無駄な待ち時間が発生しない工程別生産スケジュールが生成される。
上記の構成によれば、製品情報記憶手段に、製品毎に、生産ラインを構成する複数の工程の通過順序、最先に通過する工程への到着予定時刻である最先工程到着時刻、各工程での処理に要する時間である処理時間及び製造条件が予め格納されており、ロット条件記憶手段に、生産ラインを構成する工程毎に、前記ロット集約条件、ロットが揃ったか否かを判定するために使用する1のロット内の最小製品個数及び前記最長ロット待ち時間が予め格納されている。そして、前記製品分類手段によって、前記製品情報記憶手段に格納された製造条件及び前記ロット条件記憶手段に格納されたロット集約条件を用いて各製品が対応するロットに分類され、前記処理可能時刻算出手段によって、前記製品情報記憶手段に格納された前記工程の通過順序、最先工程到着時刻及び処理時間を用いて前記最早処理開始可能時刻が求められる。そして、前記最早ロット完成時刻算出手段によって、前記ロット条件記憶手段に格納された前記最小製品個数を用いてロットが揃ったか否かの判定が行われ、前記ロット待ち限界時刻算出手段によって、前記ロット条件記憶手段に格納された最長ロット待ち時間を用いて前記ロット待ち限界時刻が求められる。
このようにして、製品情報記憶手段またはロット条件記憶手段に格納された情報を用いて製品分類手段、処理可能時刻算出手段、最早ロット完成時刻算出手段及びロット待ち限界時刻算出手段の処理が実行されるため、効率的に工程別生産スケジュールが生成される。
上記の構成によれば、前記生産スケジュール生成手段によって、前記ロット処理判定手段により処理すると判定されたロットの内、1のロットが前記工程別生産スケジュールに組み込まれ、最早ロット完成時刻が基準時刻以前であるロットをロット待ち限界時刻が基準時刻以降であって且つ最早ロット完成時刻より早いロットより優先して前記工程別生産スケジュールに組み込まれる。
このようにして、最早ロット完成時刻が基準時刻以前であるロットをロット待ち限界時刻が基準時刻以降であって且つ最早ロット完成時刻より早いロットより優先して前記工程別生産スケジュールに組み込まれるため、ロットの揃っているロットが優先して工程別生産スケジュールに組み込まれ、より適正な工程別生産スケジュールが生成される。
上記に記載のスケジューリング装置は、前記処理可能時刻算出手段が、前記生産スケジュール生成手段によって既に生成された工程別生産スケジュールを用いて前記最早処理開始可能時刻を求めるものである。
上記の構成によれば、前記処理可能時刻算出手段によって、前記生産スケジュール生成手段により既に生成された工程別生産スケジュールを用いて前記最早処理開始可能時刻が求められる。
このようにして、工程別生産スケジュールを用いて最早処理開始可能時刻が求められるため、適正な最早処理開始可能時刻が求められ、その結果より適正な工程別生産スケジュールが生成される。
上記に記載のスケジューリング装置は、前記基準時刻設定手段が、工程毎に前記基準時刻において前記工程別生産スケジュールに組み込まれたロットの処理終了時刻である次処理開始可能時刻を求め、前記基準時刻において前記工程別生産スケジュールに組み込まれていないロットについて、ロット(k)毎に、次の(1)及び(2)式で規定される時刻(Pk)を求め、時刻(Pk)の最早時刻を次の基準時刻として設定するものである。
1)最早ロット完成時刻がロット待ち限界時刻以前である場合
Pk=[(次処理開始可能時刻)及び(最早ロット完成時刻)の内遅い方の時刻]・・・(1)
2)最早ロット完成時刻がロット待ち限界時刻より遅い時刻である場合
Pk=(次処理開始可能時刻)・・・(2)
上記の構成によれば、前記基準時刻設定手段によって、工程毎に前記基準時刻において前記工程別生産スケジュールに組み込まれたロットの処理終了時刻である次処理開始可能時刻が求められ、前記基準時刻において前記工程別生産スケジュールに組み込まれていないロットについて、ロット(k)毎に、上記(1)及び(2)式で規定される時刻(Pk)が求められ、時刻(Pk)の最早時刻が次の基準時刻として設定される。
このようにして、次の基準時刻が工程別生産スケジュールに組み込まれていないロットの工程別生産スケジュールに組み込まれ得る時刻に設定されるため、工程別生産スケジュールがより効率的に生成される。
上記に記載のスケジューリング装置は、前記ロット条件記憶手段が、処理に適したロット内の製品数である適正製品個数を予め格納し、前記生産スケジュール生成手段は、前記ロット処理判定手段によって処理を開始すると判定されたロットの内、ロットに含まれている製品個数を前記適正製品個数で除して得られるロットの完成程度を表す指標であるロット完成率の最も大きいロットを前記前記工程別生産スケジュールに組み込むものである。
上記の構成によれば、前記ロット条件記憶手段によって、処理に適したロット内の製品数である適正製品個数が予め格納されており、前記生産スケジュール生成手段によって、前記ロット処理判定手段により処理を開始すると判定されたロットの内、ロットに含まれている製品個数を前記適正製品個数で除して得られるロットの完成程度を表す指標であるロット完成率の最も大きいロットが前記工程別生産スケジュールに組み込まれる。
このようにして、ロット完成率の最も大きいロットが工程別生産スケジュールに組み込まれるため、更に適正な工程別生産スケジュールが生成される。
上記に記載のスケジューリング装置は、前記ロット条件記憶手段が、生産ラインを構成する工程毎に、前記工程別生産スケジュールに組み込まれたロットのロット集約条件である組込み済ロット集約条件を格納し、前記生産スケジュール生成手段は、ロットを前記工程別生産スケジュールに組み込む場合に、前記ロット条件記憶手段内の前記組込み済ロット集約条件を更新し、前記ロット処理判定手段が、更に、前記基準時刻において前記工程別生産スケジュールに組み込まれていないロットのロット集約条件が前記組込み済ロット集約条件と一致する場合に、当該ロットの処理を開始すると判定するものである。
上記の構成によれば、ロット条件記憶手段において、生産ラインを構成する工程毎に、工程別生産スケジュールに組み込まれたロットのロット集約条件である組込み済ロット集約条件が格納されている。そして、生産スケジュール生成手段によって、ロットが工程別生産スケジュールに組み込まれる場合に、ロット条件記憶手段内の組込み済ロット集約条件が更新される。また、ロット処理判定手段によって、基準時刻において工程別生産スケジュールに組み込まれていないロットのロット集約条件が組込み済ロット集約条件と一致する場合に、当該ロットの処理を開始すると判定される。
このようにして、基準時刻において工程別生産スケジュールに組み込まれていないロットのロット集約条件が基準時刻の直前に工程別生産スケジュールに組み込まれたロットのロット集約条件である組込み済ロット集約条件と一致する場合に、当該ロットを処理すると判定されるため、基準時刻において工程別生産スケジュールに組み込まれていないロットの製品個数が最小製品個数に満たない場合にも工程別生産スケジュールに組込まれる。
従って、ロット集約条件が組込み済ロット集約条件と一致する場合には、ロット内の製品個数が最小製品個数に満たない場合にも工程別生産スケジュールに組込まれるため、より適正な(工程の生産性を高める)生産スケジュールが生成される。
上記に記載のスケジューリング装置は、前記ロット条件記憶手段が、生産ラインを構成する工程毎に、連続して処理可能なロット内の製品数である最大製品個数を予め格納すると共に、前記工程別生産スケジュールに組み込まれたロットのロット集約条件及び製品個数である組込み済ロット集約条件及び組込み済ロット製品個数を格納し、前記生産スケジュール生成手段は、ロットを前記工程別生産スケジュールに組み込む場合に、前記ロット条件記憶手段内の前記組込み済ロット集約条件及び組込み済ロット製品個数を更新し、前記ロット処理判定手段が、更に、前記基準時刻において前記工程別生産スケジュールに組み込まれていないロットのロット集約条件が前記組込み済ロット集約条件と一致し、且つ、前記組込み済ロット製品個数が前記最大製品個数未満である場合に、当該ロットの内、前記最大製品個数と前記組込み済ロット製品個数との差分の個数だけ処理を開始すると判定するものである。
上記の構成によれば、ロット条件記憶手段において、生産ラインを構成する工程毎に、連続して処理可能なロット内の製品数である最大製品個数が予め格納されていると共に、工程別生産スケジュールに組み込まれたロットのロット集約条件及び製品個数である組込み済ロット集約条件及び組込み済ロット製品個数が格納される。
そして、生産スケジュール生成手段によって、ロットが工程別生産スケジュールに組み込まれる場合に、ロット条件記憶手段内の組込み済ロット集約条件及び組込み済ロット製品個数が更新される。また、ロット処理判定手段によって、基準時刻において工程別生産スケジュールに組み込まれていないロットのロット集約条件が組込み済ロット集約条件と一致し、且つ、組込み済ロット製品個数が最大製品個数未満である場合に、当該ロットの内、前記最大製品個数と前記組込み済ロット製品個数との差分の個数だけ処理を開始すると判定される。
このようにして、基準時刻において工程別生産スケジュールに組み込まれていないロットのロット集約条件が、基準時刻の直前に工程別生産スケジュールに組み込まれたロットのロット集約条件である組込み済ロット集約条件と一致し、且つ、工程別生産スケジュールに組み込まれたロット内の製品個数である組込み済ロット製品個数が最大製品個数未満である場合に、当該ロットの内、最大製品個数と組込み済ロット製品個数との差分の個数だけ処理を開始すると判定されるため、基準時刻において工程別生産スケジュールに組み込まれていないロットの製品個数が最小製品個数に満たない場合にも工程別生産スケジュールに組込まれる。
従って、ロット集約条件が組込み済ロット集約条件と一致し、且つ、組込み済ロット製品個数が最大製品個数未満である場合には、ロット内の製品個数が最小製品個数に満たない場合にも工程別生産スケジュールに組込まれるため、より適正な(工程の生産性を高める)生産スケジュールが生成される。
更に、ロット集約条件が組込み済ロット集約条件と一致する場合であっても、ロット内の製品個数と組込み済ロット製品個数との和が最大製品個数超である場合には、最大製品個数を超える製品は、工程別生産スケジュールに組込まれないため、過度に多数の製品が1ロットに集約されることによる弊害(例えば、工程内の消耗品の寿命が著しく低下する等)が防止される。
上記に記載のスケジューリング装置は、前記生産スケジュール生成手段が、前記ロット処理判定手段によって処理を開始すると判定されたロットの内、1のロットを前記工程別生産スケジュールに組み込むものであり、ロット集約条件が前記組込み済ロット集約条件と一致するロットを、最早ロット完成時刻が基準時刻以前であるロット、及び、ロット待ち限界時刻が基準時刻以降であって且つ最早ロット完成時刻より早いロットより優先して前記工程別生産スケジュールに組み込むものである。
上記の構成によれば、生産スケジュール生成手段によって、ロット処理判定手段により処理を開始すると判定されたロットの内、1のロットが工程別生産スケジュールに組み込まれるものであって、ロット集約条件が組込み済ロット集約条件と一致するロットが、最早ロット完成時刻が基準時刻以前であるロット、及び、ロット待ち限界時刻が基準時刻以降であって且つ最早ロット完成時刻より早いロットより優先して工程別生産スケジュールに組み込まれる。
このようにして、ロット集約条件が組込み済ロット集約条件と一致するロットが、最早ロット完成時刻が基準時刻以前であるロット、及び、ロット待ち限界時刻が基準時刻以降であって且つ最早ロット完成時刻より早いロットより優先して工程別生産スケジュールに組み込まれるため、ロット内の製品本数を多くするロットを優先して工程別生産スケジュールに組み込まれ、より適正な(工程の生産性を高める)工程別生産スケジュールが生成される。
本発明にかかるスケジューリングプログラムは、複数の工程からなり、前記複数の工程の内少なくとも1の工程での製造条件の相異なる複数種類の製品を製造する生産ラインにおいて、各工程における複数の製品の処理順序である工程別生産スケジュールを、製造条件が所定の範囲内にある製品を連続して処理する製品群であるロットとして集約して、ロットの処理順序を定めることによって決定するスケジューリングプログラムであって、コンピュータを、各製品の各工程での製造条件及び各製品をロットに集約するための製造条件の範囲を規定する各工程のロット集約条件を用いて、各製品を対応するロットに分類する製品分類手段と、ロットを処理するか否かを判定するための基準となる仮想的な時刻である基準時刻を設定する基準時刻設定手段と、前記基準時刻において前記工程別生産スケジュールに組み込まれていない製品について、製品毎に通過工程での処理の待ち時間が無いと仮定した場合の各工程への製品の到着予定時刻である最早処理開始可能時刻を求める処理可能時刻算出手段と、前記基準時刻において前記工程別生産スケジュールに組み込まれていないロットについて、ロット毎に、前記最早処理開始可能時刻を用いてロットが揃う最早の時刻である最早ロット完成時刻を求める最早ロット完成時刻算出手段と、前記基準時刻において前記工程別生産スケジュールに組み込まれていないロットについて、ロット毎に、当該ロットに分類された最初の製品が到着した時刻と、当該ロットに分類された最初の製品が到着してからロットが揃うまでに許容される最長の時間であって、予め設定された最長ロット待ち時間とを用いて、ロットが揃うまでに許容される最遅の時刻であるロット待ち限界時刻を求めるロット待ち限界時刻算出手段と、前記基準時刻において前記工程別生産スケジュールに組み込まれていないロットについて、ロット毎に、前記ロット待ち限界時刻、最早ロット完成時刻及び基準時刻を用いて、当該基準時刻にロットの処理を開始するか否かを判定するロット処理判定手段と、前記ロット処理判定手段によって処理を開始すると判定されたロットを前記工程別生産スケジュールに組み込むことによって前記工程別生産スケジュールを生成する生産スケジュール生成手段と、製品毎に、生産ラインを構成する複数の工程の通過順序、最先に通過する工程への到着予定時刻である最先工程到着時刻、各工程での処理に要する時間である処理時間及び製造条件を予め格納する製品情報記憶手段と、生産ラインを構成する工程毎に、前記ロット集約条件、ロットが揃ったか否かを判定するために使用する1のロット内の最小製品個数及び前記最長ロット待ち時間を予め格納するロット条件記憶手段として機能させ、前記ロット処理判定手段は、前記最早ロット完成時刻が前記基準時刻以前である場合、または、前記ロット待ち限界時刻が前記基準時刻以降であって且つ前記最早ロット完成時刻より早い場合に、ロットの処理を開始すると判定し、前記製品分類手段は、前記製品情報記憶手段に格納された製造条件及び前記ロット条件記憶手段に格納されたロット集約条件を用いて各製品を対応するロットに分類し、前記処理可能時刻算出手段は、前記製品情報記憶手段に格納された前記工程の通過順序、最先工程到着時刻及び処理時間を用いて前記最早処理開始可能時刻を求め、前記最早ロット完成時刻算出手段は、前記ロット条件記憶手段に格納された前記最小製品個数を用いてロットが揃ったか否かの判定を行い、前記ロット待ち限界時刻算出手段は、前記ロット条件記憶手段に格納された最長ロット待ち時間を用いて前記ロット待ち限界時刻を求め、前記生産スケジュール生成手段は、前記ロット処理判定手段によって処理を開始すると判定されたロットの内、1のロットを前記工程別生産スケジュールに組み込むものであり、最早ロット完成時刻が基準時刻以前であるロットをロット待ち限界時刻が基準時刻以降であって且つ最早ロット完成時刻より早いロットより優先して前記工程別生産スケジュールに組み込むことを特徴としている。
上記のプログラムによれば、製品分類手段によって、各製品の各工程での製造条件及び各製品をロットに集約するための製造条件の範囲を規定する各工程のロット集約条件を用いて、各製品が対応するロットに分類され、基準時刻設定手段によって、ロットを処理するか否かを判定するための基準となる仮想的な時刻である基準時刻が設定される。
そして、処理可能時刻算出手段によって、前記基準時刻において前記工程別生産スケジュールに組み込まれていない製品について、製品毎に通過工程での処理の待ち時間が無いと仮定した場合の各工程への製品の到着予定時刻である最早処理開始可能時刻が求められ、最早ロット完成時刻算出手段によって、前記基準時刻において前記工程別生産スケジュールに組み込まれていないロットについて、ロット毎に、前記最早処理開始可能時刻を用いてロットが揃う最早の時刻である最早ロット完成時刻が求められ、更に、ロット待ち限界時刻算出手段によって、前記基準時刻において前記工程別生産スケジュールに組み込まれていないロットについて、ロット毎に、当該ロットに分類された最初の製品が到着した時刻と、当該ロットに分類された最初の製品が到着してからロットが揃うまでに許容される最長の時間であって、予め設定された最長ロット待ち時間とを用いて、ロットが揃うまでに許容される最遅の時刻であるロット待ち限界時刻が求められる。
また、ロット処理判定手段によって、前記基準時刻において前記工程別生産スケジュールに組み込まれていないロットについて、ロット毎に、前記ロット待ち限界時刻、最早ロット完成時刻及び基準時刻を用いて、当該基準時刻にロットの処理を開始するか否かが判定され、生産スケジュール生成手段によって、前記ロット処理判定手段によって処理を開始すると判定されたロットを前記工程別生産スケジュールに組み込むことによって前記工程別生産スケジュールが生成される。ここで、前記ロット処理判定手段は、前記最早ロット完成時刻が前記基準時刻以前である場合、または、前記ロット待ち限界時刻が前記基準時刻以降であって且つ前記最早ロット完成時刻より早い場合に、ロットの処理を開始すると判定するものである。
このようにして、前記ロット処理判定手段によって、前記ロット待ち限界時刻が前記基準時刻以降であって且つ前記最早ロット完成時刻より早い場合にロットを処理すると判定されるため、ロットが所定時間待っても揃わないと予測される場合には、そのロットの処理が開始され、ロットが揃わない場合にも無駄な待ち時間が発生しない工程別生産スケジュールが生成される。そして、上記構成によれば、製品情報記憶手段に、製品毎に、生産ラインを構成する複数の工程の通過順序、最先に通過する工程への到着予定時刻である最先工程到着時刻、各工程での処理に要する時間である処理時間及び製造条件が予め格納されており、ロット条件記憶手段に、生産ラインを構成する工程毎に、前記ロット集約条件、ロットが揃ったか否かを判定するために使用する1のロット内の最小製品個数及び前記最長ロット待ち時間が予め格納されている。そして、前記製品分類手段によって、前記製品情報記憶手段に格納された製造条件及び前記ロット条件記憶手段に格納されたロット集約条件を用いて各製品が対応するロットに分類され、前記処理可能時刻算出手段によって、前記製品情報記憶手段に格納された前記工程の通過順序、最先工程到着時刻及び処理時間を用いて前記最早処理開始可能時刻が求められる。そして、前記最早ロット完成時刻算出手段によって、前記ロット条件記憶手段に格納された前記最小製品個数を用いてロットが揃ったか否かの判定が行われ、前記ロット待ち限界時刻算出手段によって、前記ロット条件記憶手段に格納された最長ロット待ち時間を用いて前記ロット待ち限界時刻が求められる。このようにして、製品情報記憶手段またはロット条件記憶手段に格納された情報を用いて製品分類手段、処理可能時刻算出手段、最早ロット完成時刻算出手段及びロット待ち限界時刻算出手段の処理が実行されるため、効率的に工程別生産スケジュールが生成される。そして、上記構成によれば、前記生産スケジュール生成手段によって、前記ロット処理判定手段により処理を開始すると判定されたロットの内、1のロットが前記工程別生産スケジュールに組み込まれ、最早ロット完成時刻が基準時刻以前であるロットをロット待ち限界時刻が基準時刻以降であって且つ最早ロット完成時刻より早いロットより優先して前記工程別生産スケジュールに組み込まれる。このようにして、最早ロット完成時刻が基準時刻以前であるロットをロット待ち限界時刻が基準時刻以降であって且つ最早ロット完成時刻より早いロットより優先して前記工程別生産スケジュールに組み込まれるため、ロットの揃っているロットが優先して工程別生産スケジュールに組み込まれ、より適正な工程別生産スケジュールが生成される。
本発明によれば、ロット処理判定手段によって、ロット待ち限界時刻が基準時刻以降であって且つ最早ロット完成時刻より早い場合にロットを処理すると判定されるため、ロットが所定時間待っても揃わないと予測される場合には、そのロットの処理が開始され、ロットが揃わない場合にも無駄な待ち時間が発生しない工程別生産スケジュールを生成できる。
そして、本発明によれば、製品情報記憶手段またはロット条件記憶手段に格納された情報を用いて製品分類手段、処理可能時刻算出手段、最早ロット完成時刻算出手段及びロット待ち限界時刻算出手段の処理が実行されるため、効率的に工程別生産スケジュールを生成できる。さらに、本発明によれば、最早ロット完成時刻が基準時刻以前であるロットをロット待ち限界時刻が基準時刻以降であって且つ最早ロット完成時刻より早いロットより優先して前記工程別生産スケジュールに組み込まれるため、ロットの揃っているロットが優先して工程別生産スケジュールに組み込まれ、より適正な工程別生産スケジュールを生成できる。
図1は、本発明に係るスケジューリング装置の構成図の一例である。スケジューリング装置1は、2以上の所定数の工程(ここでは、4工程)からなり、4つの工程毎に前後工程が予め設定されており、4つの工程(工程A〜工程D)の内少なくとも1の工程での製造条件の互いに相異なる複数種類(ここでは、5種類)の製品を製造する生産ラインの各工程における複数の製品(ここでは、19個の製品)の処理順序である工程別生産スケジュールを決定するものである。
スケジューリング装置1は、パーソナルコンピュータ等からなり、スケジューリング装置1の全体の動作を制御する制御部11と、外部からの操作を受け付ける操作部12と、外部に音声を出力するスピーカ13と、外部に画像を出力するモニタ14とがデータ伝送路であるバスBA1を介して接続されている。
制御部11は、スケジューリング装置1の全体の動作を制御するもので、情報処理部(CPU)111と、処理途中の情報等を一時的に格納するRAM112と、所定の画像情報等が予め記憶されたROM113とを備えている。
描画処理部141は制御部11からの画像表示指示に従って所要の画像をモニタ14に表示させるもので、ビデオRAM等を備えている。音声再生部131は制御部11からの指示に従って所定のメッセージやBGM等をスピーカ13に出力するものである。ROM113に記憶された各種データのうち装着脱可能な記録媒体に記憶され得るデータは、例えばハードディスクドライブ、光ディスクドライブ、フレキシブルディスクドライブ、シリコンディスクドライブ、カセット媒体読み取り機等のドライバで読み取り可能にしてもよく、この場合、記録媒体は、例えばハードディスク、光ディスク、フレキシブルディスク、CD、DVD、半導体メモリ等である。
なお、本発明のスケジューリングプログラムは、ROM113に記録されており、RAM112上にロードされ、CPU111によりRAM112上のスケジューリングプログラムが順次実行されることによってそれぞれの機能が実現される。
図2は、制御部11の機能構成図の一例である。CPU111は、各製品の各工程での製造条件及び各製品をロットに集約するための製造条件の範囲を規定する各工程のロット集約条件を用いて、各製品を対応するロットに分類する製品分類部111a(製品分類手段に相当する)と、ロットを処理するか否かを判定するための基準となる仮想的な時刻である基準時刻T0を設定する基準時刻設定部111b(基準時刻設定手段に相当する)と、基準時刻T0において前記工程別生産スケジュールに組み込まれていない製品について、製品毎に通過工程での処理の待ち時間が無いと仮定した場合の各工程への製品の到着予定時刻である最早処理開始可能時刻を求める処理可能時刻算出部111c(処理可能時刻算出手段に相当する)と、基準時刻T0において前記工程別生産スケジュールに組み込まれていないロットについて、ロット毎に、前記最早処理開始可能時刻を用いてロットが揃う最早の時刻である最早ロット完成時刻を求める最早ロット完成時刻算出部111d(最早ロット完成時刻算出手段に相当する)と、基準時刻T0において前記工程別生産スケジュールに組み込まれていないロットについて、ロット毎に、当該ロットに分類された最初の製品が到着した時刻と、当該ロットに分類された最初の製品が到着してからロットが揃うまでに許容される最長の時間であって、予め設定された最長ロット待ち時間とを用いて、ロットが揃うまでに許容される最遅の時刻であるロット待ち限界時刻を求めるロット待ち限界時刻算出部111e(ロット待ち限界時刻算出手段に相当する)と、基準時刻T0において前記工程別生産スケジュールに組み込まれていないロットについて、ロット毎に、前記ロット待ち限界時刻、最早ロット完成時刻及び基準時刻T0を用いて、ロットを処理するか否かを判定するロット処理判定部111f(ロット処理判定手段に相当する)と、ロット処理判定部111fによって処理すると判定されたロットを前記工程別生産スケジュールに組み込むことによって前記工程別生産スケジュールを生成する生産スケジュール生成部111g(生産スケジュール生成手段に相当する)とを備えている。
RAM112は、製品毎に、生産ラインを構成する複数の工程の通過順序、最先に通過する工程への到着予定時刻である最先工程到着時刻、各工程での処理に要する時間である処理時間及び製造条件を予め格納する製品情報記憶部112a(製品情報記憶手段に相当する)と、生産ラインを構成する工程毎に、前記ロット集約条件、ロットが揃ったか否かを判定するために使用する1のロット内の最小製品個数、前記最長ロット待ち時間及び連続して処理可能なロット内の製品数である最大製品個数を予め格納すると共に、工程別生産スケジュールに組み込まれたロットのロット集約条件及び製品個数である組込み済ロット集約条件及び組込み済ロット製品個数を格納するロット条件記憶部112b(ロット条件記憶手段に相当する)と、生産スケジュール生成部111gによって生成された工程別生産スケジュールを格納する生産スケジュール記憶部112cを備えている。
製品分類部111aは、製品情報記憶部112aに格納されている各製品の各工程での製造条件及びロット条件記憶部112bに格納されているロット集約条件を用いて、各製品を対応するロットに分類するものである。ここでは、便宜上、製品の品種(後述するS1〜S5)毎にロットに分類するものである。つまり、品種が同じ製品を同じロットに分類し、品種が異なる製品を別のロットに分類するものである。なお、ここでは、品種によって生産ラインを構成する工程の通過順序が一意に定まるものとする。
すなわち、ここでは、各製品の各工程での製造条件として、品種(または品種を特定するコード等)が製品情報記憶部112aに格納されており、ロット集約条件として、「品種が同じ製品を同じロットに分類し、品種が異なる製品を別のロットに分類する」というルールがロット条件記憶部112bに格納されている。
基準時刻設定部111bは、ロットを処理するか否かを判定するための基準となる仮想的な時刻である基準時刻T0を設定するものである。ここでは、初期値として「0」(分)を設定し、その後は、工程毎に基準時刻T0において工程別生産スケジュールに組み込まれたロットの処理終了時刻である次処理開始可能時刻を求め、基準時刻T0において工程別生産スケジュールに組み込まれていないロットについて、ロット(k)毎に、次の(1)及び(2)式で規定される時刻(Pk)を求め、時刻(Pk)の最早時刻を次の基準時刻T0として設定するものである。
1)最早ロット完成時刻がロット待ち限界時刻以前である場合
Pk=[(次処理開始可能時刻)及び(最早ロット完成時刻)の内遅い方の時刻]・・・(1)
2)最早ロット完成時刻がロット待ち限界時刻より遅い時刻である場合
Pk=(次処理開始可能時刻)・・・(2)
また、基準時刻設定部111bは、所定の終了条件を用いて基準時刻T0の更新を行うか否かの判定を行うものであり、基準時刻T0の更新を行う場合には処理が継続され、基準時刻T0の更新を行わない場合には処理が終了される。終了条件は、ここでは、下記の2条件の少なくとも1条件を満たす場合に基準時刻T0の更新を行わない(処理を終了する)ものとする。
終了条件1:製品情報記憶部112aに格納された全ての製品が全ての工程の工程別生産スケジュールに組み込まれた。
終了条件2:基準時刻T0が、予め設定された所定の時刻(例えば、600分)を超えた。
なお、終了条件1に替えて、「全工程の工程別生産スケジュールに組み込まれた製品の個数が、各工程に予め設定されている所定の製品個数(例えば、10個)を超えた」ことを終了条件とする形態でもよい。
処理可能時刻算出部111cは、基準時刻T0において工程別生産スケジュールに組み込まれていない製品について、製品情報記憶部112aに格納された通過順序、最先工程到着時刻及び処理時間を用いて、製品毎に通過工程での処理の待ち時間が無いと仮定した場合の各工程への製品の到着予定時刻である最早処理開始可能時刻を求めるものである。ただし、処理可能時刻算出部111cは、生産スケジュール記憶部112cに格納されている生産スケジュール生成部111gによって既に生成された工程別生産スケジュールを用いて最早処理開始可能時刻を求めるものである。
ここで、「待ち時間が無いと仮定した場合」とは、具体的には、前工程の処理が完了した時刻を起点として所定の搬送時間(ここでは、10分)後に処理を開始する場合である。つまり、最早処理開始可能時刻は、前工程の処理が完了した時刻の所定の搬送時間後である。現実の生産スケジュールにおいては、ある製品の前工程での処理が完了して自工程に搬送されている場合にも、他の製品が処理待ち状態にある場合には、当該製品は他の製品の処理後に処理されることがあるが、最早処理開始可能時刻とは、他の製品との処理の競合を無視した処理開始可能時刻である。
また、「生産スケジュール生成部111gによって既に生成された工程別生産スケジュールを用いて」とは、具体的には、製品が前工程の工程別生産スケジュールに組み込まれている場合に、前工程での処理が完了した時刻を、前工程の工程別生産スケジュールを用いて求めることを意味している。
最早ロット完成時刻算出部111dは、基準時刻T0において工程別生産スケジュールに組み込まれていないロットについて、ロット毎に、処理可能時刻算出部111cによって求められた最早処理開始可能時刻を用いてロットが揃う最早の時刻である最早ロット完成時刻を求めるものである。なお、ロット内の製品の個数が、製品情報記憶部112aに格納された最小製品個数以上である場合にロットが揃ったと判定される。
ロット待ち限界時刻算出部111eは、基準時刻T0において工程別生産スケジュールに組み込まれていないロットについて、ロット毎に、製品情報記憶部112aに格納された最先工程到着時刻及び生産スケジュール記憶部112cに格納された工程別生産スケジュールを用いて当該ロットに分類された最初の製品が到着した時刻(この時刻を最先製品到達時刻という)を求め、この最先製品到達時刻と、ロット条件記憶部112bに格納された最長ロット待ち時間とを用いて、ロットが揃うまでに許容される最遅の時刻であるロット待ち限界時刻を求めるものである。具体的には、最先製品到達時刻を起点として、その最長ロット待ち時間後の時刻をロット待ち限界時刻として求めるものである。
ロット処理判定部111fは、基準時刻T0において前記工程別生産スケジュールに組み込まれていないロットについて、ロット毎に、ロット内の製品個数、ロット集約条件、ロット待ち限界時刻、最早ロット完成時刻、組込み済ロット集約条件、組込み済ロット製品個数及び基準時刻T0を用いて、ロットを処理するか否かを判定するものである。
具体的には、ロット処理判定部111fは、
1)最早ロット完成時刻が基準時刻T0以前である
2)ロット待ち限界時刻が基準時刻T0以降であって且つ最早ロット完成時刻より早い
3)基準時刻T0において、ロットのロット集約条件が組込み済ロット集約条件と一致し、且つ、ロット内の製品個数と組込み済ロット製品個数との和が最大製品個数以下であるのいずれかを満たす場合に、ロットを処理すると判定するものである。
ここで、最早ロット完成時刻が基準時刻T0以前である場合とは、基準時刻T0以降において処理を開始するとロットが少なくとも最小製品個数以上揃っている場合であり、本来処理を開始してよい場合であり、このようなロットをここでは「完成予定ロット」という。
これに対して、前記ロット待ち限界時刻が基準時刻T0以降であって且つ前記最早ロット完成時刻より早い場合とは、ロットが揃うまで待ち得る限界の(最遅の)時刻であるロット待ち限界時刻が最早ロット完成時刻より早いため、待ち得る限界の時刻まで待ってもロットが揃わない場合であり、このようなロットをここでは「待ち限界ロット」という。
また、基準時刻T0において、ロットのロット集約条件が組込み済ロット集約条件と一致し、且つ、ロット内の製品個数と組込み済ロット製品個数との和が最大製品個数以下である場合とは、直前に組込まれたロットとロット集約条件が同じロットがあり、且つ、そのロットを工程別生産スケジュールに組込んでもロット製品個数が最大製品個数以下である場合であり、このようなロットをここでは、「付け足しロット」という。
生産スケジュール生成部111gは、ロット処理判定部111fによって処理すると判定されたロットを工程別生産スケジュールに組み込むことによって前記工程別生産スケジュールを生成し、生成した工程別生産スケジュールを生産スケジュール記憶部112cにか格納するものである。なお、ここでは、生産スケジュール生成部111gは、ロット処理判定部111fによって処理すると判定されたロットの内、1のロットを工程別生産スケジュールに組み込むものであり、付け足しロット、完成予定ロット、待ち限界ロットの順に優先して工程別生産スケジュールに組み込むものである。
また、生産スケジュール生成部111gは、ロットを工程別生産スケジュールに組み込む場合に、ロット条件記憶部112b内の組込み済ロット集約条件及び組込み済ロット製品個数を更新するものである。具体的には、生産スケジュール生成部111gは、付け足しロットを工程別生産スケジュールに組み込む場合には、組込み済ロット集約条件は変更せずに、組込み済ロット製品個数に組込まれるロット内の製品個数を加算し、完成予定ロット又は待ち限界ロットを組込む場合には、組込み済ロット製品個数及び組込み済ロット集約条件を、それぞれ、組込まれるロットのロット製品個数及びロット集約条件に変更するものである。
なお、生産スケジュール生成部111gは、ロット処理判定部111fによって処理すると判定されたロットの内、ロットに含まれている製品個数をロット条件記憶部112bに格納された適正製品個数で除して得られるロットの完成程度を表す指標であるロット完成率の最も大きいロットを工程別生産スケジュールに組み込む形態でもよい。
例えば、基準時刻T0において、ロット処理判定部111fによって1の完成予定ロットと1の(又は複数の)待ち限界ロットがあると判定された場合には、生産スケジュール生成部111gは、1の完成予定ロットを工程別生産スケジュールに組み込む。また、例えば、基準時刻T0において、ロット処理判定部111fによって1の付け足しロットと1の(又は複数の)完成予定ロットがあると判定された場合には、生産スケジュール生成部111gは、1の付け足しロットを工程別生産スケジュールに組み込む。
製品情報記憶部112aは、製品毎に、生産ラインを構成する複数の工程の通過順序、最先に通過する工程への到着予定時刻である最先工程到着時刻、各工程での処理に要する時間である処理時間、及び、製品分類部111aによってロットに分類するために用いられる製造条件を予め格納するものである。
ロット条件記憶部112bは、生産ラインを構成する工程毎に、各製品をロットに集約するための製造条件の範囲を規定するロット集約条件、ロットが揃ったか否かを判定するために使用する1のロット内の最小製品個数、連続して処理可能な製品個数である最大製品個数、及び、当該ロットに分類された最初の製品が到着してからロットが揃うまでに許容される最長の時間である最長ロット待ち時間を予め格納するものである。
また、ロット条件記憶部112bは、生産スケジュール生成部111gによって工程別生産スケジュールに組み込まれたロットのロット集約条件及び製品個数である組込み済ロット集約条件及び組込み済ロット製品個数を格納するものである。
生産スケジュール記憶部112cは、生産スケジュール生成部111gによって生成された工程別生産スケジュールを更新的に格納するものである。つまり、生産スケジュール記憶部112cは、生産スケジュール生成部111gによって工程別生産スケジュールが生成される(更新される)度に、格納された工程別生産スケジュールを更新するものである。
図3は、製品情報記憶部112aまたはロット条件記憶部112bに予め格納される製品の品種と、工程の通過順序、処理時間、及び、製造条件との関係を示す図表の一例である。ここでは、便宜上、製品の処理時間は品種によって一意に定まっているものとしている。図表において、左端欄は品種であり、その右側に通過する順に通過工程、処理時間、製造条件が品種毎に上段、中段、下段の3段にそれぞれ記載されている。
例えば、品種S1は、工程A、工程B、工程C、工程Dの順に通過される。また、品種S1の工程Aでの処理時間は30分であり、製造条件は製造条件A1である。品種S1の工程Cでの処理時間は50分であり、製造条件は製造条件C1である。また、製造条件はここでは、工程毎に2種類の製造条件があり、例えば、工程Aにおける製造条件は、品種S1、S3については、製造条件A1であり、品種S2、S4、S5については、製造条件A2である。
図4は、製品情報記憶部112aに予め格納される製品の識別番号である製品番号と、品種及び最先工程到着時刻との関係を示す図表の一例である。図表は、左端欄が製品番号であり、中欄が品種であり、右端欄が最先工程到着時刻である。なお、最先工程到着時刻は、最先に通過する工程への到着予定時刻である最先工程到着時刻を、基準時刻T0(=「0」分)を基準とする相対的な時刻として分単位に表現したものである。
例えば、製品番号S1−1の製品は、品種が品種S1であり、最先工程到着時刻が「0」分である。図3から、品種S1の製品の通過順序は、工程A、工程B、工程C、工程Dであるため、製品番号S1−1の製品は、最先工程である工程Aに初期の基準時刻T0と同一タイミングである時刻「0」分に到達する。
また、製品番号S2−1の製品は、品種が品種S2であり、最先工程到着時刻が「−100」分である。図3から、品種S2の製品の通過順序は、工程A、工程C、工程B、工程Dであるため、製品番号S2−1の製品は、最先工程である工程Aに初期の基準時刻T0より100分前のタイミングである時刻「−100」分に到達する。
さらに、製品番号S3−3の製品は、品種が品種S3であり、最先工程到着時刻が「300」分である。図3から、品種S3の製品の通過順序は、工程C、工程A、工程Bであるため、製品番号S3−3の製品は、最先工程である工程Cに初期の基準時刻T0より300分後のタイミングである時刻「300」分に到達する。
図5は、ロット条件記憶部112bに予め格納される製造条件と最小製品個数、最大製品個数及び最長ロット待ち時間との関係を表す図表の一例である。図表の左端欄が工程であり、その右側欄が対応する工程での製造条件であり、その右側欄が製造条件(ロット)に対応する最小製品個数、最大製品個数及び最長ロット待ち時間である。例えば、工程Aにおいて、製造条件A1のロットの最小製品個数、最大製品個数及び最長ロット待ち時間はそれぞれ「2」個、「4」個、及び「100」分である。
図6は、スケジューリング装置1の動作を表すフローチャートの一例である。まず、製品分類部111aによって、製品情報記憶部112aに格納された製品情報が読み込まれる(ステップS101)。つぎに、製品分類部111aによって、ロット条件記憶部112bに格納されたロット条件情報が読み込まれる(ステップS103)。そして、製品分類部111aによって、各製品が対応するロットに分類される(ステップS105)。次いで、基準時刻設定部111bによって、基準時刻T0が「0」(分)に初期化される(ステップS107)。
つぎに、処理可能時刻算出部111cによって、基準時刻T0において生産スケジュール記憶部112cに格納されている工程別生産スケジュールに組み込まれていない製品について、製品毎に最早処理開始可能時刻が求められる(ステップS109)。そして、最早ロット完成時刻算出部111dによって、基準時刻T0において生産スケジュール記憶部112cに格納されている工程別生産スケジュールに組み込まれていないロットについて、ロット毎に、処理可能時刻算出部111cにより求められた最早処理開始可能時刻を用いて最早ロット完成時刻が求められる(ステップS111)。
次いで、ロット待ち限界時刻算出部111eによって、基準時刻T0において生産スケジュール記憶部112cに格納されている工程別生産スケジュールに組み込まれていないロットについて、ロット毎に、当該ロットに分類された最初の製品が到着した時刻と、ロット条件記憶部112bに格納された最長ロット待ち時間とを用いて、ロット待ち限界時刻が求められる(ステップS113)。そして、ロット処理判定部111fによって、基準時刻T0において生産スケジュール記憶部112cに格納されている工程別生産スケジュールに組み込まれていないロットについて、ロット毎に、ロット待ち限界時刻算出部111eにより求められたロット待ち限界時刻、最早ロット完成時刻算出部111dにより求められた最早ロット完成時刻及び基準時刻設定部111bにより設定された基準時刻T0を用いて、ロットを処理するか否かが判定される(ステップS115)。
ステップS115において、具体的には、ロット処理判定部111fによって、
1)最早ロット完成時刻が基準時刻T0以前である(完成予定ロットである)
2)ロット待ち限界時刻が基準時刻T0以降であって且つ最早ロット完成時刻より早い(待ち限界ロットである)
3)基準時刻T0において、ロットのロット集約条件が組込み済ロット集約条件と一致し、且つ、ロット内の製品個数と組込み済ロット製品個数との和が最大製品個数以下である(付け足しロットである)
のいずれかを満たす場合に、ロットを処理すると判定される。
つぎに、生産スケジュール生成部111gによって、ロット処理判定部111fにより処理すると判定されたロットが工程別生産スケジュールに組み込まれ、工程別生産スケジュールが更新され、生産スケジュール記憶部112cに格納される(ステップS117)。具体的には、生産スケジュール生成部111gによって、ロット処理判定部111fにより処理すると判定されたロットの内、1のロットが工程別生産スケジュールに組み込まれるものであり、付け足しロット、完成予定ロット、待ち限界ロットの順に優先して工程別生産スケジュールに組み込まれる。
そして、基準時刻設定部111bによって、終了条件1及び終了条件2を満たすか否かの判定が行われる(ステップS119)。そして、終了条件1及び終了条件2の少なくとも一方を満たすと判定された場合(ステップS119でYES)には、処理が終了され、終了条件1及び終了条件2を満たさないと判定された場合(ステップS119でNO)には、基準時刻設定部111bによって、基準時刻T0が更新され(ステップS121)、ステップS9に戻り、ステップS109〜ステップS117の処理が繰り返し実行される。
図7は、図3〜図5に示す条件において、基準時刻T0が「0」分である場合の処理可能時刻算出部111cによる最早処理開始可能時刻の算出結果を表す図表の一例である。(a)〜(e)は、それぞれ品種が品種S1〜S5である製品の最早処理開始可能時刻を表す図表である。各図表において、左欄から順に、製品番号、最先工程到着時刻及び処理可能時刻算出部111cによって求められた各通過工程の最早処理開始可能時刻が通過する順に記載されている。
例えば、製品番号S1−1の製品は、最先工程到着時刻が「0」分であるため、最先工程である工程Aの最早処理開始可能時刻は「0」分である。そして、次の通過工程である工程Bの最早処理開始可能時刻は、工程Aの最早処理開始可能時刻は「0」分を起点として、工程Aの処理時間(=「30」分:図3において品種S1の工程Aでの処理時間が30分であるため)と工程Aから工程Bへの搬送時間(=「10」分)との経過後の時刻である「40」分となる。
図8は、図3〜図5に示す条件において、製品分類部111aにより製品が分類されたロット毎に、図7に示す最早処理開始可能時刻の算出結果を最早処理開始可能時刻の早い順に整理した図表の一例である。この図表において、左端欄が工程であり、その右側欄が対応する工程での製造条件であり、その右側欄が製造条件に対応する最小製品個数及び最大製品個数である。更にその右側欄には、製造条件毎にロット分けされた製品の製品番号及び最早処理開始可能時刻が、最早処理開始可能時刻の早い順に記載されている。
例えば、工程Aの製造条件A1のロットには、製品番号S1−1、S1−2、S1−3、S3−1、S1−4、S3−2、S1−5、S3−3の製品が分類され、これらの製品の工程Aでの最早処理開始可能時刻はそれぞれ、0、0、0、60、100、160、300、360分である。
図9は、図3〜図5に示す条件において、基準時刻T0が「0」である場合に算出されたロット毎の、最早ロット完成時刻、ロット待ち限界時刻、ロット処理判定結果、工程別生産スケジュールへ組み込むか否かの判定結果及び次処理開始可能時刻を表す図表の一例である。この図表において、左端欄は工程であり、その右側欄が製造条件であり、その右側欄が最長ロット待ち時間である。更に、その右側欄が、左側から順に、最早ロット完成時刻算出部111dによって求められた最早ロット完成時刻、ロット待ち限界時刻算出部111eによって求められたロット待ち限界時刻、ロット処理判定部111fによって判定されたロット処理判定結果、生産スケジュール生成部111gによって判定された工程別生産スケジュールへ組み込むか否かの判定結果、基準時刻設定部111bによって求められる次処理開始可能時刻である。
例えば、工程Aの製造条件A1のロットについては、このロットのロット内の最小製品個数は図8に示すように「2」個であり、製品番号S1−1、S1−2、S1−3の製品の最早処理開始可能時刻は、図8に示すように「0」分であるから、最早ロット完成時刻は「0」分である。また、このロットの最初の製品(ここでは、製品番号S1−1、S1−2、S1−3)が到着した時刻は図8に示すように「0」分であり、最長ロット待ち時間は100分であるからロット待ち限界時刻は100(=0+100)分である。このロットは、最早ロット完成時刻が基準時刻T0以前である場合であり、完成予定ロットである。ここでは、完成予定ロットであることを、ロット判定結果の欄に○印を付すことによって表している。同様にして、工程Dの製造条件D1の製品番号S4−1、S4−2の製品からなるロットは完成予定ロットである。
また、工程Bの製造条件B1のロットについては、このロットのロット内の最小製品個数は図8に示すように「4」個であり、製品番号S5−1、S5−2、S1−1、S1−3の製品の最早処理開始可能時刻は、図8に示すようにそれぞれ「−150」、「0」、「40」、「40」分であるから、最早ロット完成時刻は「40」分である。また、このロットの最初の製品(ここでは、製品番号S5−1)が到着した時刻は図8に示すように「−150」分であり、最長ロット待ち時間は120分であるからロット待ち限界時刻は−30(=−150+120)分である。このロットは、ロット待ち限界時刻が基準時刻T0以降であって且つ最早ロット完成時刻より早い場合であり、待ち限界ロットである。ここでは、待ち限界ロットであることを、ロット判定結果の欄に×印を付すことによって表している。
このようにして、工程Aの製造条件A1の製品番号S1−1、S1−2、S1−3の製品からなるロット及び工程Dの製造条件D1の製品番号S4−1、S4−2の製品からなるロットが完成予定ロットであり、工程Bの製造条件B1の製品番号S5−1、S5−2、S1−1、S1−3の製品からなるロットが待ち限界ロットであるため、生産スケジュール生成部111gによって、これらのロットが工程別生産スケジュールに組み込まれる。ただし、工程Bの製造条件B1の製品番号S5−1、S5−2、S1−1、S1−3の製品の内、基準時刻T0(=「0」分)において到達している製品番号S5−1、S5−2の製品が1つのロットとして工程別生産スケジュールに組み込まれる。
その結果、工程Aの次処理開始可能時刻は、製造条件A1の製品番号S1−1、S1−2、S1−3の製品の処理が完了する時刻である「90」分となる。同様にして、工程B、工程Dの次処理開始可能時刻は、それぞれ「120」分、「100」分となる。一方、工程Cの工程別生産スケジュールには製品が組み込まれていないため、工程Cの次処理開始可能時刻は「0」分である。また、この図表に示す次処理開始可能時刻、ロット待ち限界時刻及び最早ロット完成時刻を用いて、基準時刻設定部111bによって上述の方法に従って次の基準時刻T0が求められ、工程Cの製造条件C1の最早ロット完成時刻(=「70」分)が次の基準時刻T0として設定される。
図10は、基準時刻T0が「0」分において生成された工程別生産スケジュールの説明図の一例である。図の横軸は、時刻であり、縦方向に上から順に工程A〜Dの工程別生産スケジュールが製品単位に製品番号を用いて表されている。図9を用いて説明したように、工程Aの製造条件A1の製品番号S1−1、S1−2、S1−3の製品からなるロット、工程Dの製造条件D1の製品番号S4−1、S4−2の製品からなるロット及び工程Bの製造条件B1の製品番号S5−1、S5−2の製品からなるロットがそれぞれの工程の工程別生産スケジュールに組み込まれている。
図11は、図10に示す基準時刻T0が「0」分において生成された工程別生産スケジュールを用いて製品の最早処理開始可能時刻を求める方法を説明する説明図の一例である。なお、この処理は、処理可能時刻算出部111cによって行われるものである。ここでは、製品番号S1−1の製品について説明する。製品番号S1−1の製品は、品種が品種S1であるので、図3に示すように工程A、工程B、工程C、工程Dの順に通過する。そして、最先に通過する工程である工程Aには既に工程別生産スケジュールに組み込まれており、工程Aでの処理が完了する時刻は「30」分である。また、次に通過する工程である工程Bには既に製品番号S5−1、S5−2の製品が工程別生産スケジュールに組み込まれており、製品番号S5−1、S5−2の製品の処理が完了する時刻は「120」分である。そこで、製品番号S1−1の製品の工程Bでの最早処理開始可能時刻は「120」分である。
また、製品番号S1−1の製品の工程C及び工程Dでの最早処理開始可能時刻は、それぞれ工程B及び工程Cでの処理が完了し、工程間の搬送が完了する時刻である「150」分(工程Bでの処理時間が30分であり、工程B、C間の搬送時間が10分であるため)、「210」分(工程Cでの処理時間が50分であり、工程C、D間の搬送時間が10分であるため)となる。
図12は、図10に示す基準時刻T0が「0」分において生成された工程別生産スケジュールを用いて求められた最早処理開始可能時刻を表す図表の一例である。図表の構成は、図8と同一である。なお、上述のように、工程Aの製造条件A1の製品番号S1−1、S1−2、S1−3の製品、工程Dの製造条件D1の製品番号S4−1、S4−2の製品及び工程Bの製造条件B1の製品番号S5−1、S5−2の製品は、既に工程別生産スケジュールに組み込まれているため、最早処理開始可能時刻を求める必要がなく、この図表には表されていない。例えば、図11を用いて説明したように、製品番号S1−1の製品の工程B、工程C及び工程Dでの最早処理開始可能時刻は、それぞれ「120」分、「150」分、「210」分となっている。
図13は、図3〜図5に示す条件において、基準時刻T0が「70」分である場合に算出されたロット毎の、最早ロット完成時刻、ロット待ち限界時刻、ロット処理判定結果、工程別生産スケジュールへ組み込むか否かの判定結果、組込み済ロット集約条件及び次処理開始可能時刻を表す図表の一例である。この図表の構成は、図9に組込み済ロット集約条件を付加したものである。なお、組込み済ロット集約条件は、工程A,B,Dについて、それぞれ、図9の組込み対象ロットの条件である製造条件A1,B1,D1が設定されている。この図表から、基準時刻T0が「70」分においては、完成予定ロット及び待ち限界ロットが発生せず、工程別生産スケジュールは更新されないことがわかる。また、この図表に示す次処理開始可能時刻、ロット待ち限界時刻及び最早ロット完成時刻を用いて、基準時刻設定部111bによって上述の方法に従って次の基準時刻T0が求められ、工程Aの次処理開始可能時刻(=90分)が、次の基準時刻T0として設定される。
図14は、図3〜図5に示す条件において、基準時刻T0が「90」分である場合に算出されたロット毎の、最早ロット完成時刻、ロット待ち限界時刻、ロット処理判定結果、工程別生産スケジュールへ組み込むか否かの判定結果及び次処理開始可能時刻を表す図表の一例である。この図表の構成は、図13と同一である。
工程Aの製造条件A2のロットについては、このロットのロット内の最小製品個数は図12に示すように「3」個であり、製品番号S2−1、S5−1、S5−2の製品の最早処理開始可能時刻は、図12に示すようにそれぞれ「−100」、「70」、「130」分であるから、最早ロット完成時刻は「130」分である。また、このロットの最初の製品(ここでは、製品番号S2−1)が到着した時刻は図12に示すように「−100」分であり、最長ロット待ち時間は200分であるからロット待ち限界時刻は100(=−100+200)分である。このロットは、ロット待ち限界時刻が基準時刻T0以降であって且つ最早ロット完成時刻より早い場合であり、待ち限界ロットである。
そこで、工程Aの製造条件A2の製品番号S2−1、S5−1、S5−2の製品からなるロットの製品からなるロットが待ち限界ロットであるため、生産スケジュール生成部111gによって、このロットが工程別生産スケジュールに組み込まれる。ただし、工程Aの製造条件A2の製品番号S2−1、S5−1、S5−2の製品の内、基準時刻T0(=「90」分)において到達している製品番号S2−1、S5−1の製品が1つのロットとして工程別生産スケジュールに組み込まれる。
また、この図表に示す次処理開始可能時刻、ロット待ち限界時刻及び最早ロット完成時刻を用いて、基準時刻設定部111bによって上述の方法に従って次の基準時刻T0が求められ、工程Aの次処理開始可能時刻(=100分)が、次の基準時刻T0として設定される。
図15は、基準時刻T0が「90」分において生成された工程別生産スケジュールの説明図の一例である。図の構成は図10と同一である。図14を用いて説明したように、工程Aの製造条件A2の製品番号S2−1、S5−1の製品からなるロットが工程別生産スケジュールに組み込まれている。
図16は、図15に示す基準時刻T0が「90」分において生成された工程別生産スケジュールを用いて求められた最早処理開始可能時刻を表す図表の一例である。図表の構成は、図8と同一である。なお、上述のように、工程Aの製造条件A2の製品番号S2−1、S5−1の製品は、既に工程別生産スケジュールに組み込まれているため、最早処理開始可能時刻を求める必要がなく、この図表には表されていない。
図17は、図3〜図5に示す条件において、基準時刻T0が「100」分である場合に算出されたロット毎の、最早ロット完成時刻、ロット待ち限界時刻、ロット処理判定結果、工程別生産スケジュールへ組み込むか否かの判定結果及び次処理開始可能時刻を表す図表の一例である。この図表の構成は、図13と同一である。
工程Cの製造条件C1のロットについては、このロットのロット内の最小製品個数は図16に示すように「2」個であり、製品番号S3−1、S3−2の製品の最早処理開始可能時刻は、図16に示すようにそれぞれ「0」、「100」分であるから、最早ロット完成時刻は「100」分である。また、このロットの最初の製品(ここでは、製品番号S3−1)が到着した時刻は図16に示すように「0」分であり、最長ロット待ち時間は150分であるからロット待ち限界時刻は150(=0+150)分である。このロットは、最早ロット完成時刻が基準時刻T0以前である場合であり、完成予定ロットである。
そこで、工程Cの製造条件C1の製品番号S3−1、S3−2の製品からなるロットが完成予定ロットであるため、生産スケジュール生成部111gによって、このロットが工程別生産スケジュールに組み込まれる。
また、この図表に示す次処理開始可能時刻、ロット待ち限界時刻及び最早ロット完成時刻を用いて、基準時刻設定部111bによって上述の方法に従って次の基準時刻T0が求められ、工程Aの次処理開始可能時刻(=120分)が、次の基準時刻T0として設定される。
図18は、基準時刻T0が「100」分において生成された工程別生産スケジュールの説明図の一例である。図の構成は図10と同一である。図17を用いて説明したように、工程Cの製造条件C1の製品番号S3−1、S3−2の製品からなるロットが工程別生産スケジュールに組み込まれている。また、図16に示す工程Dの製造条件D1の製品番号S4−3の製品が、工程Dの組込み済ロット集約条件が製造条件D1であるため、付け足しロットと判定されて工程別生産スケジュールに組み込まれている。
図19は、基準時刻T0が「120」分において生成された工程別生産スケジュールの説明図の一例である。図の構成は図10と同一である。工程Bの製造条件B1の製品番号S1−1、S1−2の製品からなるロットが付け足しロットと判定され、このロットが工程別生産スケジュールに組み込まれている。なお、製品番号S1−3の最早処理可能時刻は図16に示すように「100」分であり、この製品は製造条件B1であるため、付け足しロットに含めることも可能であるが、工程Bの製造条件B1の最大製品個数が「4」であるため、付け足しロットに含めるように判定されていない。つまり、製品番号S1−3を付け足しロットとして判定して工程別生産スケジュールに組み込むと、製造条件B1のロット内製品個数が「5」となり、製造条件B1の最大製品個数(=4)を超えてしまうのである。
上述のように、ロット処理判定部111fによって、ロット待ち限界時刻が基準時刻T0以降であって且つ最早ロット完成時刻より早い場合にロットを処理すると判定されるため、ロットが所定時間待っても揃わないと予測される場合には、そのロットの処理が開始され、ロットが揃わない場合にも無駄な待ち時間が発生しない工程別生産スケジュールが生成される。
また、製品情報記憶部112aまたはロット条件記憶部112bに格納された情報を用いて製品分類部111a、処理可能時刻算出部111c、最早ロット完成時刻算出部111d及びロット待ち限界時刻算出部111eの処理が実行されるため、効率的に工程別生産スケジュールが生成される。
さらに、処理可能時刻算出部111cによって工程別生産スケジュールを用いて最早処理開始可能時刻が求められるため、適正な最早処理開始可能時刻が求められ、その結果より適正な工程別生産スケジュールが生成される。
加えて、次の基準時刻T0が工程別生産スケジュールに組み込まれていないロットの工程別生産スケジュールに組み込まれ得る時刻に設定されるため、工程別生産スケジュールがより効率的に生成される。
また、生産スケジュール生成部111gによって、最早ロット完成時刻が基準時刻T0以前であるロットをロット待ち限界時刻が基準時刻T0以降であって且つ最早ロット完成時刻より早いロットより優先して工程別生産スケジュールに組み込まれるため、ロットの揃っているロットが優先して工程別生産スケジュールに組み込まれ、より適正な工程別生産スケジュールが生成される。
更に、生産スケジュール生成部111gによって、ロット集約条件が組込み済ロット集約条件と一致し、且つ、ロット内の製品個数と組込み済ロット製品個数との和が最大製品個数以下である場合には、ロット内の製品個数が最小製品個数に満たない場合にも工程別生産スケジュールに組込まれるため、より適正な(工程の生産性を高める)生産スケジュールが生成される。
加えて、生産スケジュール生成部111gによって、ロット集約条件が組込み済ロット集約条件と一致する場合であっても、ロット内の製品個数と組込み済ロット製品個数との和が最大製品個数超である場合には、工程別生産スケジュールに組込まれないため、過度に多数の製品が1ロットに集約されることによる弊害(例えば、工程内の消耗品の寿命が著しく低下する等)が防止される。
また、生産スケジュール生成部111gによって、ロット集約条件が組込み済ロット集約条件と一致するロットが、最早ロット完成時刻が基準時刻以前であるロット、及び、ロット待ち限界時刻が基準時刻以降であって且つ最早ロット完成時刻より早いロットより優先して工程別生産スケジュールに組み込まれるため、ロット内の製品本数を多くするロットを優先して工程別生産スケジュールに組み込まれ、より適正な(工程の生産性を高める)工程別生産スケジュールが生成される。
更に、生産スケジュール生成部111gによって、ロット完成率の最も大きいロットが工程別生産スケジュールに組み込まれる場合には、更に適正な工程別生産スケジュールが生成される。