JP4844908B2 - 耐衝撃性繊維強化プラスチック及び多層構造体 - Google Patents

耐衝撃性繊維強化プラスチック及び多層構造体 Download PDF

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Description

本発明は、高速の飛来物等に対して優れた耐衝撃性を発揮できる耐衝撃性繊維強化プラスチック、及びそれを用いてなる多層構造体に関する。本発明は主として、高速の飛来物に対する耐衝撃性の向上に特に有用である。
従来より、高強度繊維からなる耐衝撃性繊維強化プラスチックが知られており、同一の高強度繊維を用いた繊維強化プラスチックとして、均一な樹脂量のものが提案されている(例えば、特許文献1)。かかる耐衝撃性繊維強化プラスチックは、剛性に優れるが耐衝撃性に劣る問題があった。また、繊維強化プラスチックを接着剤を介して、セラミックスまたは金属と積層してなる多層構造体が提案されている(例えば、特許文献2)。かかる多層構造体には、本発明におけるような耐衝撃性繊維強化プラスチックについての詳細な記述もなく、本発明に係る耐衝撃性繊維強化プラスチックより耐衝撃性が劣るため、耐衝撃性を有する多層構造体を構成する場合、耐衝撃性繊維強化プラスチック部分の厚みを増さざるをえず、多層構造体の重量が増加してしまうので、身体等に装着する場合には、動きにくく、また疲労しやすいといった問題があった。
特公平6−4705号公報 特許3207330号公報
本発明の課題は、かかる従来技術に鑑み、高速の飛来物等に対し優れた耐衝撃性を有し、かつ、軽量であって身体等への装着物を構成する場合にも所望の機能を阻害せずに構成できる耐衝撃性繊維強化プラスチック及び多層構造体を提供せんとするものである。
上記課題を解決するために、本発明に係る耐衝撃性繊維強化プラスチックは、高強度繊維からなる耐衝撃性繊維強化プラスチックであって、高強度繊維布帛に対する樹脂の付着量が3〜30wt%であるプリプレグを積層した層(a)と前記高強度繊維布帛に対する樹脂の付着量が3〜30wt%であるプリプレグと樹脂なし高強度繊維布帛を交互に積層し該交互積層を3回以上繰り返した層(b)を加熱加圧成形してなり、前記層(a)が飛来物の衝突面側に配置されていることを特徴とするものからなる。
この耐衝撃性繊維強化プラスチックにおいては、さらに、上記層(a)、層(b)、上記高強度繊維布帛に対する樹脂の付着量が3〜30wt%であるプリプレグを積層した層(c)の順に積層してなる構成とすることもできる。
本発明に係る多層構造体は、このような耐衝撃性繊維強化プラスチックに接着剤を介してセラミックスまたは金属を積層してなるものである。この場合、積層されたセラミックスまたは金属の表面側を、高速の飛来物等に対する衝突面側とすればよい。
上記のような本発明に係る耐衝撃性繊維強化プラスチック及び多層構造体は、例えば、防護チョッキ(防弾チョッキや防刃チョッキ)やヘルメット、車輌、艦船、航空機の付加装甲に用いることができ、さらに防弾板等にも用いることができる。
本発明によれば、従来のものに比べ、軽量で、かつ優れた耐衝撃性を有する耐衝撃性繊維強化プラスチック及び多層構造体を提供できる。したがって、身体等への装着物を構成する場合にも所望の機能を発揮させることが可能になり、かつ、車輌、艦船、航空機の付加装甲に用いるには。極めて優れた耐衝撃性を発揮させることができる。
以下に、本発明について、望ましい実施の形態とともに詳細に説明する。
本発明に係る耐衝撃性繊維強化プラスチックに用いられる高強度繊維としては、引張強度が17cN/dtex以上のものが好ましく、17〜45cN/dtexsのものがより好ましく、19〜40cN/dtexのものがさらに好ましい。また、高強度繊維の弾性率としては、300〜2000cN/dtexが好ましく、350〜1800cN/dtexがさらに好ましい。このような特性を備えた高強度繊維としては、特に限定されるものではなく、例えば、芳香族ポリアミド(アラミド)、芳香族ポリエーテルアミド、全芳香族ポリエステル、超高分子量ポリエチレン、ポリビニルアルコール、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール、ポリベンズイミダゾール、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンサルファイド、ノボロイド、ポリピリドビスイミダゾール、ポリアリレート、ポリケトン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリオキシメチレン、ポリアクリロニトリル、ポリアミドイミド、ポリエーテルケトンなどからなる繊維、炭素繊維、セラミック繊維、ガラス繊維などが好ましく使用でき、耐衝撃性、生産性、価格などからアラミド繊維、超高分子量ポリエチレン、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール、ポリピリドビスイミダゾールがさらに好ましく使用できる。また、これら高強度繊維の繊度としては、100〜7000dtexであることが好ましく、200〜3500dtexの範囲がさらに好ましいが、特に限定されるものではない。
さらに高強度繊維を用いて高強度繊維布帛を作製し、耐衝撃性繊維強化プラスチックの材料とすることができる。該高強度繊維布帛としては、織物、編物、不織布、フェルト、一方向性シート(UD〔一方向に引き揃えられたもの〕)、UDを0°/90°に積層したもの、3次元構造物などが好ましく使用でき、寸法安定性、強度から織物、UDがさらに好ましく使用できる。該織物には、平織、綾織、朱子織、畝織、斜子織、杉綾、二重織などを用いることができる。かかる繊維及び布帛は、原糸の製造工程や加工工程での生産性あるいは特性改善のために通常使用されている各種添加剤を含んでいてもよい。例えば熱安定剤、酸化防止剤、光安定剤、平滑剤、耐電防止剤、可塑剤、増粘剤、顔料、難燃剤、油剤などを含有、または付着せしめることができる。
耐衝撃性繊維強化プラスチックを構成する樹脂(マトリックス樹脂)としては、熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂を用いることができ、特に限定されるものではないが、熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、珪素樹脂、ポリイミド樹脂、ビニルエステル樹脂などやその変性樹脂など、熱可塑性樹脂であれば塩化ビニル樹脂、ポリスチレン、ABS樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、フッ素樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル、ポリアミドなど、さらには熱可塑性ポリウレタン、ブタジエンゴム、ニトリルゴム、ネオプレン、ポリエステル等の合成ゴム又はエラストマーなどが好ましく使用できるが、特に限定されるものではない。中でも、フェノール樹脂とポリビニルブチラール樹脂を主成分とする樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリエステル樹脂が耐衝撃性、寸法安定性、強度、価格などから好ましく使用できる。かかる熱硬化性樹脂及び熱可塑性樹脂には、工業的にその目的、用途、製造工程や加工工程での生産性あるいは特性改善のため通常使用されている各種添加剤を含んでいてもよい。例えば、変性剤、可塑剤、充填剤、離型剤、着色剤、希釈剤などを含有せしめることができる。
高強度繊維布帛強化プラスチックの作製に必要なプリプレグを得る方法は特に限定されるものではないが、熱硬化性樹脂の場合、熱硬化性樹脂を溶剤に溶解してワニスに調整し、該布帛をワニス漕に通しバーコーターやクリアランスロールなどにて余分な樹脂を掻き取る方法や、コーティング、スプレーを用いた塗工が一般的に行われる。一方、熱可塑性樹脂の場合、樹脂エマルジョンや溶融あるいは溶剤に溶解してナイフやグラビアなどにてコーティングする方法や、溶融した樹脂を直接布帛にラミネートする方法が一般的に行われる。樹脂付着量は、耐衝撃性繊維強化プラスチックの場合、高強度繊維布帛に対し3〜30wt%が好ましいので、本発明ではその範囲内に規定している。さらに好ましくは5〜20wt%である。3wt%未満であれば、高速の飛来物が衝突した際、剛性が低いため形態保持性が低く、30wt%を超えると、繊維の自由度を奪うため耐衝撃性に劣る。
本発明に係る衝撃性繊維強化プラスチックは、上記のプリプレグと樹脂なし高強度繊維布帛を積層したものであり、プリプレグと樹脂なし高強度繊維布帛とを後述の実施例の如く3回以上繰り返して交互に積層したものである。耐衝撃性繊維強化プラスチックとしては、上記構成において複数枚積層後、加熱加圧する成形することによって得られる。樹脂なし高強度繊維布帛を使用することによって、成形後においても樹脂の内部浸透が少なく、繊維の自由度が確保でき良好な耐衝撃性が得られる。また、耐衝撃性繊維強化プラスチックの高強度繊維布帛として、異繊度や異種の繊維素材の組み合わせでもよく、特に限定されるものではないが、成形時の寸法安定性を考慮した場合、同一の繊維素材が好ましい。
本発明では、耐衝撃性繊維強化プラスチックの積層構成として、樹脂の付着した高強度繊維布帛(プリプレグ)を積層した層(a)と樹脂の付着した高強度繊維布帛(プリプレグ)/樹脂なし高強度繊維布帛を交互に積層し該交互積層を3回以上繰り返した層(b)からなる構成(1)を有するが、さらに、(a)層/(b)層/樹脂の付着した高強度繊維布帛(プリプレグ)を積層した層(c)からなる構成(2)が好ましい。鉛製の高速飛来物を変形させ、良好な耐衝撃性を必要とする場合、構成(1)が鉛製の高速飛来物の変形と耐衝撃性を両立できる。その場合、構成(1)の(a)層側を飛来物の衝突面に使用する。また、高速飛来物の衝突後の耐衝撃性繊維強化プラスチックの変形量が大きく、人体への影響が危惧される場合は、積層構成(2)が耐衝撃性を良好に保ち、人体への影響を軽減することができ、この場合高速の飛来物の衝突面に(a)層側を用いる。また、(c)層の厚み比率は耐衝撃性繊維強化プラスチックの全体の厚みに対し、0.05〜0.2が好ましい。(c)層の厚み比率が0.05未満であれば、耐衝撃性繊維強化プラスチックの変形を抑制できず、0.2を超えると(b)層の自由度が低下するため、耐衝撃性が低下するおそれがある。
多層構造体に使用されるセラミックスとしては、ファインセラミックスであれば問題なく使用できる。特性として、例えば圧縮強度1500MPa以上、曲げ強度300MPa以上、ビッカース強度1000kg/mm2以上のものであれ
ば特に限定されるものではないが、アルミナ類、窒化類、珪石類、ボロン類、マグネシア類などや、これらセラミックスの混合焼成物、セラミックスが金属補強された構成物、セラミックスが繊維補強された構成物、炭素繊維等の耐熱性繊維でセラミックスを強靱化した繊維複合セラミックスやセラミックス粒子、ウィスカ、短繊維、連続長繊維で強化したセラミックス基複合材料(例えば、炭化珪素繊維/炭化珪素マトリックス複合材)などが好ましく使用できる。耐衝撃性、軽量性、強度、価格などからアルミナ類、窒化類、珪石類、ボロン類がさらに好ましく使用できる。アルミナ類であれば、純度が85%以上であることが好ましい。純度が85%未満であれば添加物の量の関係から、高速の飛来物衝突時のエネルギー吸収性能が低下する。
また、多層構造体に使用される金属としては、鉄、銅、アルミニウム、マグネシウム、チタン、ニッケル、亜鉛、鉛、すずなどの純金属や、物性を改質するため、2種類以上の金属または炭素などの非金属を溶かし合わせた合金、例えば炭素鋼、高張力鋼、クロム鋼、クロムモリブデン鋼、ニッケルクロム鋼、ニッケルクロムモリブデン鋼、ジューコール鋼、ハッドフィールド鋼、超強靱鋼、ステンレス鋼、鋳鉄、銅合金(真鍮、すず青銅、アルミニウム青銅、ベリリウム銅など)、アルミニウム合金(Al−Cu系合金、Cu合金、Al−Si系合金、Al−Mg系合金、ジュラルミンなど)、マグネシウム合金(Mg−Al−Zn合金、Mg−Zn−Zr合金、Mg−希土類元素合金、Mg−Th系合金、Mg−Mn合金、Mg−Th−Mn合金、Mg−Zn−R.E.合金など)、チタン合金、ニッケル合金(Ni−Mn合金、Ni−Cu合金、Ni−Mo合金、Ni−Cr合金など)、亜鉛合金、鉛合金、すず合金、また、アルミ、チタン、銅などの金属マトリックスを金属やセラミックスの粒子、ウィスカ、短繊維、連続長繊維で強化した金属基複合材料(例えば、ボロン繊維強化アルミ、炭化珪素/チタン)などが好ましく使用できる。軽量性、硬度、耐力、耐衝撃性などからチタン、ステンレス鋼、ジュラルミン、チタン合金がさらに好ましく使用できる。また、かかる金属には製造工程や加工工程での生産性から常識の範囲内で不純物を含んでいてもよい。
上記のようなセラミックスまたは金属は、単独、あるいは複数枚の組み合わせでもよく、複数の組み合わせの場合、1種類あるいは2種類以上組み合わせてもよい。形状としては三角形、長方形、正方形、台形、六角形等の多角形であり、複数片を隙間なく配列できる形状が好ましい。厚み方向については、平面板、曲面板に限らず、均一な厚みのものや接合部の耐衝撃性向上のために平面形状における端部の厚みが中央部に対し厚いもの等を採用でき、重量面からは均一厚みのものが好ましい。このような形状のセラミックス片、または金属片を本発明に係る耐衝撃性繊維強化プラスチック上に例えば千鳥状に配置することにより、高速の飛来物に対し優れた耐衝撃性能を有する多層構造体を構成できる。例えば、形状が正方形の場合、その一辺の長さは3〜10cmの範囲内にあることが好ましく、さらには、4〜7cmの範囲内にあることが好ましい。セラミックス、または金属の厚みは、対象とする高速の飛来物の構造や重量、速度、安全率などにより適宜選択するものとする。例えば、高速の飛来物が30−06M2AP弾の場合、アルミナセラミックスであれば7〜13mmの範囲内にあることが好ましく、NATO M80弾の場合、アルミナセラミックスであれば4〜9mmの範囲内にあることが好ましく、NATO SS−109弾であれば3.0〜7mmの範囲内にあることが好ましい。各飛来物に対し上記厚み未満であれば、十分な耐衝撃性能を付与できない。また、上記厚みを超えると満足できる耐衝撃性能を付与できるものの、多層構造体の重量が増す。
さらに、耐衝撃性繊維強化プラスチックをセラミックス、または金属に固定する方法は、プリプレグ作製に用いられる樹脂や合成ゴム、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等の接着剤で接着し、セラミックスや金属と高強度繊維布帛強化プラスチックの間を密着させる。このようにして得られたセラミックスや金属と耐衝撃性繊維強化プラスチックの積層品(多層構造体)の形状は使用目的に応じ、平板、曲面板等適宜選択できる。
また、該積層品において、高速飛来物の耐衝撃性をさらに向上させるため、接着剤を介して高強度繊維布帛、または樹脂が付着した高強度繊維布帛をセラミックス、または金属側に1〜2枚積層する方法や一般的な熱可塑性樹脂で被覆する方法などがある。布帛を積層する場合、積層する高強度繊維布帛は同種あるいは異種のものであってもかまわない。また、高強度繊維布帛を積層する場合、耐衝撃性繊維強化プラスチックの変形を抑制しない範囲で高強度繊維布帛を耐衝撃性繊維強化プラスチックの一部に積層できる。これによって、多層構造体周辺部に高速の飛来物が衝突した際、セラミックスや金属と耐衝撃性繊維強化プラスチックの層間剥離を抑制でき耐衝撃性が向上する。該接着剤としてはプリプレグ作製に用いられる樹脂や合成ゴム、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等を用いることができる。セラミックスや金属の表面に高強度繊維布帛を積層しない場合、衝突時のセラミックス片が飛び散るばかりでなく、応力を緩和できないため耐衝撃性に劣ることがある。
本発明に係る耐衝撃性繊維強化プラスチック及び多層構造体は、どのようなものにも使用でき、特に限定されるものではなく、例えば、防護チョッキ(チョッキ内部の防護材料)やヘルメット及びその装着板、防弾板(防護チョッキへの挿入板)、車輌、艦船、航空機への付加装甲に使用されるのが好ましい。その場合、耐衝撃性繊維強化プラスチックや多層構造体は、製品形状や使用環境にあった状態で常法に従い製造後着用、施工される。例えば、防護チョッキは、外衣を裁断後、該繊維強化プラスチック、または多層構造体とを常法に従い縫製、あるいは防護チョッキに挿入できる部分を作成することにより製造される。ヘルメットは、必要な形状に裁断後、該繊維強化プラスチック、または多層構造体を常法に従い成型加工することにより製造される。また、繊維強化プラスチック製ヘルメットに必要な大きさの多層構造体を付加することもできる。車輌、艦船、航空機用付加装甲は、所定のサイズに該繊維強化プラスチック、または多層構造体を常法に従い成形することにより製造される。さらに、機械加工によるボルト止めや面ファスナーなどにより車輌、艦船、航空機に施工される。
以上のようにして得られた、耐衝撃性繊維強化プラスチック及び多層構造体は、軽量、かつ優れた耐衝撃性を有するという効果を奏する。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明する。なお、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。また、実施例中における原糸強度、弾性率、織布の目付、織り密度、厚さについては、JIS L1096に準拠した方法により測定した。
参考実施例1
原糸強度20cN/dtex、弾性率500cN/dtexのアラミド繊維(総繊度3300dtex)を使用した平織織布(目付:460g/m2、織り密度17本/2.54cm、厚さ0.64mm)にフェノール樹脂(ポリビニルブーチラール主成分)を含浸、乾燥して樹脂分10wt%のプリプレグを得た。10wt%のプリプレグ7枚、樹脂なし平織織布7枚を交互に積層し、150℃、50kg/cm2 、30分加熱加圧成形して耐衝撃性繊維強化プラスチックを得た。
実施例2
実施例1のプリプレグの使用し、10wt%のプリプレグを7枚積層した層((a)層)と10wt%のプリプレグ4枚、樹脂なし平織織布3枚を交互に積層した層((b)層)の積層構成(1)とした積層品を実施例1の方法で成形し、耐衝撃性繊維強化プラスチックを得た。
実施例3
実施例1の10wt%のプリプレグを使用し、プリプレグ6枚積層した層((a)層)とプリプレグ3枚、樹脂なし平織織布3枚を交互に積層した層((b)層)、プリプレグ2枚積層した層((c)層)の積層構成(2)とした積層品を実施例1の方法で成形し、耐衝撃性繊維強化プラスチックを得た。
実施例4
実施例3の耐衝撃性繊維強化プラスチックにアルミナセラミックス(純度92%、比重3.6g/cm3、重量18kg/m2、大きさ10cmの正方形、厚み5mm)を15cm角の高強度繊維強化プラスチックにウレタン系接着剤で固定し多層構造体を得た。
比較例1
実施例1の10wt%のプリプレグを14枚積層し、実施例1の条件、方法で耐衝撃性繊維強化プラスチックを得た。
比較例2
比較例1の高強度繊維強化プラスチックと実施例4のアルミナセラミックスとをウレタン系接着剤で固定し多層構造体を得た。
参考実施例1、実施例2、3、比較例1で得た高強度繊維強化プラスチックを、豊和工業(株)製小口径発射装置にて、MIL−STD−662Fに準拠した1.1gの高速飛翔体でのBallistic Limit(V50)を評価した。また、実施例4や比較例2で得た多層構造体は、住友石炭鉱業(株)製高速飛翔体試験装置「HFT−1015」にて4.0gの高速飛翔体(NATO SS−109模擬弾)を用い、約900m/sの速度で耐衝撃試験を実施し、高速飛翔体が衝突した際の貫通・不貫通(V0)を評価した。結果を表1に示す。実施例1〜4の高強度繊維強化プラスチック及び多層構造体は、高速の飛来物に対し良好な耐衝撃性を示した。とくに前述の如く、前述の積層構成(1)を有する実施例2では、鉛製の高速飛来物を変形させ、良好な耐衝撃性を必要とする場合、鉛製の高速飛来物の変形と耐衝撃性を両立できる。また、前述の積層構成(2)を有する実施例3では、高速飛来物の衝突後の耐衝撃性繊維強化プラスチックの変形量が大きく、人体への影響が危惧される場合、耐衝撃性を良好に保ち、人体への影響を軽減することができる。
Figure 0004844908

Claims (5)

  1. 高強度繊維からなる耐衝撃性繊維強化プラスチックであって、高強度繊維布帛に対する樹脂の付着量が3〜30wt%であるプリプレグを積層した層(a)と前記高強度繊維布帛に対する樹脂の付着量が3〜30wt%であるプリプレグと樹脂なし高強度繊維布帛を交互に積層し該交互積層を3回以上繰り返した層(b)を加熱加圧成形してなり、前記層(a)が飛来物の衝突面側に配置されていることを特徴とする耐衝撃性繊維強化プラスチック。
  2. 前記層(a)、層(b)、前記高強度繊維布帛に対する樹脂の付着量が3〜30wt%であるプリプレグを積層した層(c)の順に積層してなることを特徴とする、請求項1記載の耐衝撃性繊維強化プラスチック。
  3. 請求項1または2に記載の耐衝撃性繊維強化プラスチックに接着剤を介してセラミックスまたは金属を積層してなることを特徴とする多層構造体。
  4. 防護チョッキやヘルメット、車輌、艦船、航空機の付加装甲に用いられることを特徴とする、請求項1または2に記載の耐衝撃性繊維強化プラスチック。
  5. 防護チョッキやヘルメット、車輌、艦船、航空機の付加装甲に用いられることを特徴とする、請求項3に記載の多層構造体。
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