本発明は、2つのデバイス間で対向する電極を電気的に接続する電気的接続体であって、担体と、前記対向する電極の一方に接続される第1の接点を有する第1のビームと、前記対向する電極の他方に接続される第2の接点を有する第2のビームと、前記担体の異なる面からこれらのビームのそれぞれを突出させた状態で前記担体を挟持する挟持部と、を有する接続子と、を備える、電気的接続体に関する。本発明の電気的接続体は、前記接続子が前記担体を挟持することで前記第1のビームと前記第2のビームとを担体のそれぞれの表面から所定の方向を指向して突出した状態で保持することができるようになっている。このように、本発明の電気的接続体においては、接続子自体が担体を挟持するという固定化形態ゆえに、担体に対する接続子の配置数を容易に増大させることができる。また、簡易な固定化形態ゆえに、接続子の種類やサイズ、配列、担体サイズ等を容易に変更することができる。さらに、本発明の電気的接続体によれば、担体を接続子が挟持することによって初めて接続子が所定の形態で担体に固定化されているため、予め所定形態を有した接続子が担体に固定化されていた従来の電気的接続体とは異なり、接続子やビームの形態の自由度が高まっており、変位や接触荷重、導体抵抗の大きさも容易に調整することができる。従って、変位の大きさ、接触荷重の大きさ及び導体抵抗など各種の機能を考慮した形態の接続子を容易に固定化できる。さらに、本発明の電気的接続体によれば、接続子の交換等も容易に実施可能である。
また、本発明は、2つのデバイス間で対向する電極を電気的に接続する電気的接続体の製造方法であって、貫通孔を有する担体の前記貫通孔に、前記対向する電極の一方に接続される第1の接点を有する第1のビームと、前記対向する電極の他方に接続される第2の接点を有する第2のビームと、を有する接続子を前記担体の異なる面からこれらのビームのそれぞれを突出した状態となるよう挿入する工程と、前記接続子の前記担体近傍に配置された部分が前記担体を挟持するよう曲げ加工を施して接続子を担体に対して固定化する工程と、を備える、製造方法に関する。本発明の電気的接続体の製造方法によれば、接続子を担体の貫通孔に所定形態で挿入し、その後曲げ加工により接続子を担体に対して固定化する。このように曲げ加工による固定化工程を実施することにより、接続子を担体に固定化するものであるため、接続子の配置数を容易に増大させることができるとともに、固定化する接続子の形態や最終的に得ようとするビーム形態の自由度が高く、高い設計自由度で電気的接続体を製造することができる。したがって、変位の大きさ、接触荷重の大きさ及び導体抵抗など各種の機能を考慮した形態の接続子を容易に固定化した電気的接続体を製造できる。
(第1の実施形態)
以下、本発明の実施の形態である電気的接続体及びその製造方法並びに電気的接続体の用途について、図1〜図10を参照しながら説明する。
(電気的接続体)
図1には、本発明の電気的接続体2の一例を示す。電気的接続体2は、担体4と接続子10とを備えている。
(担体)
担体4は、対向されるデバイス間に配置可能な形態であればよいが、好ましくは板状体である。また、少なくともその表層側及び接続子10が接触する可能性のある部分は絶縁性であることが好ましい。より好ましくは、全体が絶縁性である。担体4の絶縁性部分は、絶縁性のプラスチック材料やセラミックス材料を用いることが好ましい。こうした絶縁性材料としては、特に限定しないが、FR4などのガラス繊維含有エポキシ樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などのエンジニアリングプラスチックのほか、各種セラミックスが挙げられる。
担体4は、連続する固相からなることが好ましい。連続する固相とは、材質的に担体全体が均質であって接着、接合、嵌め合い等による不連続界面を有しないことを意味している。したがって、連続する固相からなる担体4として、複数のユニットを一体化したものは排除されるが、通常のFR4基板、PEEK基板、セラミックス基板は連続する固相からなるといえる。連続する固相からなる担体4を用いることで、担体4の厚みや大きさに関わらず、担体4の平坦性や寸法精度を容易に確保することができるため、結果として平坦性及び寸法精度に優れる電気的接続体2を得ることができる。
担体4には、接続子10を保持させるための貫通孔6を備えることが好ましい。ここで貫通孔6とは、接続子10を挿入するために予め担体4に設けられる貫通孔を意味している。こうした貫通孔6は、接続子10の配列形態に応じて形成されるが、多くの場合、行と列とからなるマトリックス状に形成される。これらの貫通孔6は、図1及び図2に示すように、個々の接続子10に対して個別に備えられていてもよいし、複数個の、例えば、一列に整列される接続子10を一括して保持できるようにスリット状等に備えられていてもよい。
貫通孔6は、担体4の一方の表面5aから他方の表面5bまで貫通する孔であればよいが、担体4のほぼ厚みを直線的に貫通する貫通形態であることが好ましい。また、貫通孔6の開口の断面形態も特に限定しない。接続子10の形態等に応じ、円形状、方形状など、あるいはこれらを深さ方向に組み合わせてもよい。さらに、貫通孔6に接続子10を挿入した際、接続子10の挿入深さ位置を制限して適切な位置で位置決め可能に貫通孔6の内部に細径部や突起部などのストッパーを設けてもよい。
貫通孔6は、例えば、図1及び図2に示すように、担体4の左右に2分割するような中央部の両側に対称的に配列させることができる。こうすることで、担体4の左右にそれぞれ多数個の接続子10を配置させて、それぞれ中央部を指向するようにビーム12a、12bを対向させることができる。また、例えば、担体4に複数のエリアを設け、これらのエリア毎に当該エリア内において左右対称に貫通孔6を設けてもよい。なお、貫通孔6は、接続子10を担体4に保持させる部位であり、この貫通孔6を介して接続子10が備える二つのビーム12a、12bの間に担体4を介在させ、ビーム12a、12bの基部近傍が担体4を挟持させるようにするものであればよい。したがって、貫通孔6は、接続子10を保持する前において予め担体4に備えられていなくてもよい。例えば、二つの接続子10の連結部30を、担体4の成形と同時に接続子10を担体4を貫通するように一体化し、担体4の表面から突出されるビーム12a、12bの基部近傍が接続子10が貫通した担体4の表面近傍部分に当接して所定のビーム角度を確保すると同時に担体4を挟持する形態を採るものであってもよい。また、所定の形状を備える担体4に接続子10を突き刺して貫通させた後に、その貫通部位の近傍をビーム12a、12bの基部が挟持するようにしてもよい。
(接続子)
接続子10は、担体4のそれぞれの面から突出される第1のビーム12aと第2のビーム12bとを備えている。第1のビーム12aと第2のビーム12bとは、接続子10の両アームを構成しており、これらのビーム12a、12bは、接続子10の中央部で一体化されており、好ましくは、これらのビーム12a、12bを有する接続子10は、連続する一体の導体として形成されている。接続子10を一体とすることで、接合、拡散、メッキなどによる工数の負荷やこれらの工程不良などによる品質のバラツキを抑制して安定した品質の接続子10を提供できる。こうした接続子10を構成する材料としては、特に限定しないが、例えば、ベリリウム銅、チタン銅、銅・ニッケル・錫合金、銅・ニッケル・シリコン合金及びニッケルベリリウムから選択されるいずれかを用いることができる。なかでも、導電性と耐久性の観点からベリリウム銅を用いることが好ましい。なお、こうした材料の表面は、ニッケルなどの下地メッキなどを施した後金メッキを施すことができる。
これらのビーム12a、12bの形状は特に限定しない。その先端側が対向されるデバイスの電極に接触可能に、おおよそ全体が弾性変形可能であることが好ましい。したがって、それぞれカンチレバー状であってもよいし、各種形態の座屈バネ状であってもよい。変位の大きさ及び接触荷重の設計自由度の観点から、カンチレバー状であることが好ましい。
ビーム12a、12bがカンチレバー状の場合、それぞれのビーム12a、12bは、平板状であってもよいし、ワイヤー状であってもよいが、導体抵抗を低減させる観点からは、平板状であることが好ましい。また、平板状ビームとしては、接続子10の中央側から先端側に向かってビーム幅が狭くなるように形成されていることが好ましい。ビーム幅が狭くなることで、接続子10の表面応力をそのビーム12a、12bの長さ方向にわたって均一にしつつ大きな変位を付与することができる。
平板状のカンチレバーは、平板を所定の形状に打ち抜きしたりあるいはエッチングによりに部分的に除去することにより所定形状に加工することによって得ることができる。平板状カンチレバーとしては、板厚がバネ厚に対応する平板状カンチレバーや板幅がバネ厚に対応する平板状カンチレバーがあるが、好ましくは、板厚がバネ厚に対応する平板状カンチレバーを用いることが好ましい。こうした平板状カンチレバーによれば、十分な断面積を容易に確保することができるため、導体抵抗を低く維持できる。
板厚方向にバネ厚に対応する平板状カンチレバーを構成するビーム12a、12bのビーム厚みとビーム幅の比(ビーム幅/ビーム厚み)が2以上40以下であることが好ましい。2以上であれば、断面積の増大による導体抵抗の低下の優位性を得られやすく、また、40以下であれば、ビーム幅をハンドリング可能な板厚に対して許容範囲内に維持でき、接続子10の固定化ピッチを一定以下に維持することができる。ビーム厚みとビーム幅の比は、より好ましくは3以上であり、さらに好ましくは4以上である。また、同比はより好ましくは20以下であり、さらに好ましくは15以下である。なお、ビーム幅は、一番応力の高い部分であり、例えば、後述する第1の屈曲部やビーム12a、12bの担体4の表面に当接する部分の幅である。
また、好ましいビーム12a、12bは、ビーム幅とビーム長さの比(ビーム長さ/ビーム幅)が1以上18以下である。この比が1以上であると、ビーム形状を方形状におおよそ維持できるため、曲げ加工時においても寸法精度を確保しやすく、また、18以下であれば板厚がバネ厚に対応する平板状カンチレバーの縦長化を抑制して導体抵抗の増大を抑制できる。この比は、より好ましくは2以上であり、さらに好ましくは3以上である。また、この比は、より好ましくは12以下であり、さらに好ましくは8以下である。なお、ビーム長は、12a、12bの担体4の表面に当接する部分から先端までの長さをいうものとする。
こうした平板状カンチレバーにおいては、板厚は、0.01mm以上0.08mm以下であることが好ましい。この範囲であると、板厚がバネ厚に対応するとき、適切な弾性ないし可撓性を得ることができるとともに、バネ幅との関係で良好な導電性を得やすいからである。好ましくは、0.02mm以上0.06mm以下である。また、ビーム幅は、0.15mm以上0.70mm以下であることが好ましい。この範囲であると前記の板厚との関係において良好な導電性を得られやすいからである。より好ましくは、0.15mm以上0.50mm以下である。さらに、長さはこうした板厚がバネ厚に対応する平板状カンチレバーにおいては、1.0mm以上2.4mm以下である。こうした長さは上記したようにビーム幅に対して好ましいビーム長さであるとともに、こうした範囲であると、大変位にも対応できるビーム12a、12bを得ることができる。
また、ビーム長は、貫通孔6の形成ピッチよりも長くすることができる。本発明の電気的接続体2によれば、接続子10を担体4に固定化する際の曲げ加工によりビームを倒すため、貫通孔6のピッチに制限されることなく、ビーム長を設定できる。この結果、ピッチに関係なく、所望の変位、荷重及び電気的特性を容易に得ることができる。したがって、ビーム長は、貫通孔6の形成ピッチを超えて形成でき、貫通孔6のピッチにもよるが、好ましくは貫通孔6の形成ピッチに対して120%以上であり、より好ましくは150%以上とすることができ、さらに好ましくは、180%以上であり、一層好ましくは200%以上とすることができる。さらにまた、360%以上とすることができる。なお、本発明において担体4における貫通孔6の形成ピッチは、好ましくは0.5mm以上2.54mm以下であり、より好ましくは0.8mm以上1.6mm以下である。
ビーム12a、12bのそれぞれの先端部には、対向する電極に接触させるための接点14a、14bを備えている。接点14a、14bにおける電極の接触形態は特に限定しない。すなわち、電極との接触形態は点接触、線接触等いかなる形態であってもよい。接触信頼性の観点からは、好ましくは線接触である。また、接点14a、14bにおける接触部位数はそれぞれ少なくとも一つあればよいが、2個以上備えていてもよい。2個以上の接触部位を有することで接触信頼性を高めることができる。より好ましくは、線接触の接触部位を2個以上備えている。さらに、線接触の接触部位の好ましい形態は、電極側を指向して緩い凸状(曲面状)に設けて線接触とする形態である。こうした形態によれば、単位面積当たりの接触荷重を増加させて接触信頼性を向上させることができる。なお、緩い凸状とすることで、接点14a、14bが電極と接触するときのビーム12a、12bに係る水平方向への摺動力を低減することもできる。
接点は14a、14bは、例えば、図3に示すように、ビーム方向に沿って電極側を指向して緩い凸状に設けることで線接触を確保するとともに単位面積当たりの接触荷重を増加させることができる。また、図4に示すように、接点14aを二股状に設けるとともに、二股状のビームの先端側を全体として電極側に凸状として、二股状ビームの対向するエッジ部分を電極への接触部位として接触部位を2箇所とするとともに各接触部位において線接触を確保するとともに単位面積当たりの接触荷重を増加させることができる。なお、対向するエッジ部分は、好ましくは10°〜20°の角度で電極に接触されることで、効果的に単位面積当たりの接触荷重を増加させることができる。また、二股状の接点14aは、応力レベルがビーム12aと協調する程度の幅に設定することで2箇所での接触を確保することができる。
ビーム12a、12bのビーム角度は、図5に示すように、15°以上50°以下であることが好ましい。ビーム角度が15°以上であると、ビーム12a、12bの倒れる方向の前方に配置される接続子10のビーム12a、12bとの距離を確保でき、隣り合うビーム12a、12aが干渉するのを回避して必要な変位を得ることができる。また、ビーム角度が50°以下であると、電極と接触してビーム12a、12bに変位が生じたときの荷重のうち垂直成分の増加を抑制することができ、接点14a、14bが電極と接触して滑る際の摩擦によって過度な力がかかるのを抑制してビーム12a、12bの変形を抑制できる。また、50°以下であると、同じ変位量に対する接点14a、14bの水平方向へのスライド量の増加を抑制できるため、ピッチが小さい場合であっても接点14a、14bを電極に確実に接触させておくことができる。より好ましくは、ビーム角度は30°以上であり、また、40°以下である。
なお、図6に示すように、ビーム12a、12bの少なくとも一方、好ましくはいずれか一方の接点14a(又は接点14b)として、半田ボール16を備えることができる。半田ボール16を接点14a又は14bとして備えるときには、半田ボール16を固定化するためのランド部18をビーム12a又はビーム12bの先端部に備えていることが好ましい。ランド部18を備える場合、ランド部18を備えるビーム12a、12bは必ずしも元のビームと同じ長さである必要は無く、ランド部18が屈曲部(ビームの基部)に隣接していても良い。
接続子10の中央部分はビーム12a、12bを連結する連結部30として機能することができる。連結部30は、担体4に対しては、担体4を貫通して備えられている。例えば、連結部30が貫通孔6を貫通した状態で担体4に備えられるときには、貫通孔6内に容易に挿通できるとともに固定できるように連結部30に弾性変形性を持たせてもよい。例えば、図7に示すように、連結部30にスリット32を設けることで、連結部30の幅を一定範囲に調節可能とすることができる。すなわち、図7の左図において連結部30の横幅が貫通孔6の径よりもやや大きいときには、接続子10の連結部30を貫通孔6へ挿入する途中で、連結部30はスリット32の横幅が狭くなるように貫通孔6の周壁に押圧され弾性変形した状態で貫通孔6に収容される。その結果、連結部30は貫通孔6の周壁を押し広げる方向に弾性力を及ぼすことになり、その位置でしっかりと固定される。また、貫通孔6への挿入高さ位置を位置決め可能に貫通孔6内の所定部位にストッパーとなるように細径部又は突起部を設けた場合に、こうしたストッパーによって係止される太径部や突起部などを設けてもよい。
(接続子の担体への固定化形態)
接続子10は、図1及び図7に示すように、ビーム12a、12bの基部近傍において担体4を挟持する挟持部20a、20bを備えることができる。挟持部20a、20bは、ビーム12a、12bを担体4の異なる面5a、5bからそれぞれ突出させた状態で担体4に固定化できるように担体4を挟持することができる。接続子10の材料として弾性変形性のある材料を用いたり弾性変形可能な形態を用いることで、接続子10の挟持部20a、20bは担体4を弾性的に挟持することができる。
挟持部20a、20bは、担体4を挟持するために、接続子10が屈曲する部位を有している。屈曲部位による挟持形態は特に限定しないが、安定した挟持形態を構築するには、挟持部20a、20bは、それぞれ2個以上の屈曲部を有していることが好ましい。接続子10の挟持による固定化形態の一例を図7に拡大して示す。この形態における接続子10は、ビーム12a、12bの連結部30が担体4の貫通孔6に挿入されており、担体4の表面5a、5bからビーム12a、12bがそれぞれ所定のビーム角度で突出している。挟持部20a、20bは、開口端縁近傍にある担体4の表面5a、5bを指向し屈曲して挟持する第1の屈曲部22a、22bと、貫通孔6から担体4の表面5a、5b近傍に突出して担体4の表面5a、5bを指向して屈曲する第2の屈曲部24a、24bとを備えている。接続子10は、第1の屈曲部22a、22bと第2の屈曲部24a、24bとを備えることで、担体4を挟持して接続子10自らを担体4に保持させている。また、同時に、ビーム12a、12bに所定の角度と弾性変形性を付与している。
第1の屈曲部22a、22b又はその近傍が担体表面5a、5bに直接当接するものであることが好ましいが、必ずしも当接を必要とするものではない。また、硬度の高い金属材料で接続子10が構成された場合、曲げに対するスプリングバックにより第1の屈曲部22a、22bが担体表面5a、5bから浮きやすくなるが、後述する脆弱部26aの設計等によってこうしたスプリングバックの影響を実質的に無視できる程度に低減することもできる。
なお、図1及び図7に示すビーム12a、12bの第2の屈曲部24a、24b又はその近傍には、応力集中部として周囲よりも脆弱な脆弱部26a、26bを備えている。脆弱部26a、26bは、図1及び図7に示す形態では、周囲よりも幅の狭い部分として形成されている。脆弱部26a、26bを備えることで、接続子10の貫通孔6から突出した部分を曲げ加工により容易に担体4を挟持するように加工することができる。なお、応力集中部は、幅を狭くするほか、厚みを薄くしたり、あるいはキズや欠損を付与したりするなどして形成することもできる。
また、挟持部20a,20bと担体表面5a、5bとの間には接着層を備えていてもよい。すなわち、担体表面5a、5bに接着剤などを塗布しておき、この接着層を介して、挟持部20a、20bの第1の屈曲部22a、22bが担体表面5a、5bに当接して担体4を挟持する形態であってもよい。こうした形態は、スプリングバックが生じて第1の屈曲部22a、22bが担体表面5a、5bに直接当接して挟持できないときなどに有効である。なお、この接着層は、熱可塑性であっても熱硬化性等であってもよいが、接続子10のビーム12a、12bの動きを考慮すると、接着効果の発揮後においてもある程度弾性を有する接着層であることが好ましい。
図1及び図2に示すように、接続子10は、それぞれのビーム12a、12bが担体4を左右に分割するような分割線を指向して左右に対向状に配列させることができる。こうして接続子10のビーム12a、12bの向きを対向させた結果、ビーム12a、12bを大きく変位させる際に電極と接点が摺動する時の摩擦によって生じるスライド力を相殺してビーム12a、12bと対向される電極との充分なワイピング量を確保し安定的な接触が確保されるようになっている。左右それぞれに配された接続子10の群は、担体4を左右にほぼ2分割するような分割線を指向して左右同数程度配列させることで効果的にスライド力を相殺し、デバイスと担体4の間の移動を防ぐことができる。
(電気的接続体の製造方法)
次に、こうした第1の実施形態の電気的接続体を製造するのに適した方法について説明する。まず、接続子10を準備する。本方法では、接続子10の挟持部20a、20bが担体4を挟持することにより接続子10を担体4に固定化し、接続子10のビーム12a、12bに所定の方向性を付与するものであるため、接続子10は固定化前後において異なる形態を備えることができる。例えば、図1及び図2に示す電気的接続体2における接続子10は、固定化前には図8に示す形態を備えることができる。
図8に示すように、固定化前の接続子10は、第1の屈曲部100と第2の屈曲部110とを有している。第1の屈曲部100は、ビーム12a、12bの角度を決定するものであり、こうした屈曲部100を予め形成しておくことで、固定化前の最終形態を有していない接続子10を担体4に仮保持させた状態で曲げ加工することによっても精度の高いビーム12a、12bの加工が可能となっている。また、第2の屈曲部110は、固定化前の接続子10が直線状の貫通孔6を容易に挿通できるように、連結部30とビーム12a、12bとをおおよそ平行にするために付与されている。第1の屈曲部100は、固定化後の接続子10の第1の屈曲部22a、22bに対応し、第2の屈曲部110は同様に第2の屈曲部24a、24bに対応している。このような屈曲部100、110の形成は、通常のパンチとダイなどによる曲げ加工によって可能である。なお、まず、第1の屈曲部100を加工し、次いで第2の屈曲部110を加工することが好ましい。
なお、図8に示すように、第1の屈曲部100に対して第2の屈曲部110は逆向きに曲げられており、これらの屈曲部100、110の間には、変曲点105を有している。また、第2の屈曲部110の近傍には、脆弱部26a,26bが備えられている。固定化のための曲げ加工時には、この脆弱部26a,26bにおいて選択的に接続子10が屈曲されて、第2の屈曲部110に新たな角度を付与可能になっている。一方、第1の屈曲部100は、脆弱部26a,26bに比して十分な幅を有しており、固定化のための曲げ加工においては、当初の曲げ角度が維持されるようになっている。
次に、図9に示すように、予め曲げ加工した接続子10を、担体4に形成した貫通孔6に挿入する。接続子10の貫通孔6への挿入方法は特に限定しない。接続子10を一本毎に挿入してもよいし、キャリアとブリッジを使って接続子10を複数本まとめて挿入してもよい。接続子10を、両ビーム12a、12bが所定方向を指向するようにかつ所定量担体表面5a、5bから突出するように、位置決めする。
次いで、この固定化前の接続子10に対して曲げ加工を実施して、担体4を挟持させる。曲げ加工は、パンチやブレードなどを用いて通常の曲げ加工のようにして、接続子10の屈曲部100が担体4を挟持するように担体4方向へ外力を付加して行うこともできるし、接続子10に使用時におけるような変位を直接与えて行うこともできる。後者の曲げ加工は、担体4に固定化されていない接続子10を位置決めした状態で、電気的接続体2を使用しようとするデバイスに装着し使用時の動作を行うか、あるいは使用時の状態を模した動作を行うことによって行うことができる。例えば、図10に示すように、鏡面加工した平面冶具などで上下から所定量、接点14a、14b側を押さえることで、接続子10を脆弱部26a、26bで変形させて、第2の屈曲部110に新たな角度を与えて第1の屈曲部100又はその近傍で担体4を挟持させることができる。この結果、接続子10は、屈曲してかつ担体4を挟持する第1の屈曲部22a、22bと第1の屈曲部22a、22bにこうした挟持状態を形成するために屈曲する第2の屈曲部24a、24bとを有する挟持部20a、20bを形成して所定の形態で担体4に固定化される。
この方法によれば、これら屈曲部100、110のうち、ビーム12a、12bの方向性を決定する第1の屈曲部100は、予め付与した所定角度を維持可能に形成され、第2の屈曲部110は、曲げ加工によって新たな角度が付与されるように形成された固定化前の接続子10を用いているため、ビーム12a、12bの高さ方向での寸法精度を確保しつつかつ容易に挟持形態を形成可能となっている。すなわち、屈曲部100、110と脆弱部26a,26bとを備えるために、精度の高い曲げ加工を実現して、精度よく接続子10を固定化できる。
なお、接続子10が高硬度の金属材料の場合、第1の屈曲部100又はその近傍をスプリングバックによって担体4に当接させて直接挟みつけることが困難な場合もあるが、スプリングバックの程度は脆弱部26a,26bを含む屈曲部位の半径と長さによって大きく変化するため、屈曲部位における板幅の組合せ等を最適化することで浮き量を実質的に無視できるレベルにまで抑制することもできる。
固定化のための曲げ加工に先だって、挟持させようとする担体表面5a、5bには、予め接着層を配置しておいてもよい。接着層を配置しておくことで、固定化のための曲げ加工時に、第1の屈曲部100と第2の屈曲部110との間の変曲点105が担体4の表面に押圧されたときそのまま接着層で固定される。この結果、所定の温度下で両者は接着されスプリングバックで戻ることはなく、接続子10は担体4に安定して固定化される。こうすることで、ビーム12a、12bの先端の高さ方向及び平面方向での寸法精度を高めることができる。なお、使用時には、接続子10が変位して第1の屈曲部22a、22bが担体表面5a、5bに当たってから荷重が発生するため、ばね特性などは確保することができる。また、接着剤を使用する場合は接着後も弾力のある種類を選ぶことにより、接続子10の動きに与える影響を抑制できる。
なお、接着層の配置方法は特に限定しない。接着剤シートを貼付してもよいし、接着剤をコーティングしてもよい。また、接着層の配置タイミングも固定化のための曲げ加工の前であればよい。また、接着層は必ずしも担体表面5a、5bに限定して配置するものではなく、接続子10の所定部位に塗布しておくこともできる。
以上説明した本実施形態の電気的接続体及びその製造方法によれば、本発明の電気的接続体及びその製造方法が備える作用を備えることができる。特に、接続子10を担体4の貫通孔6に配した後に、曲げ加工によりビーム12a、12bを整えるため、接続子10のビーム12a、12bの長さは、貫通孔6を形成するピッチ間隔を大きく超えて形成することができ、したがって、カンチレバー型のビームであっても、貫通孔6の形成ピッチに制限されずにビーム長を確保して充分な変位を実現することができる。この結果、大変位の接続子の配置数を容易に増大させることができる。また、板厚方向に可撓性を有するようにカンチレバー形のビームを用いることで、導体抵抗が低い接続子の配置数を容易に増大できるようになっている。さらにまた、本実施形態によれば、このような長いビーム長を確保しつつ、担体4の一体性が確保されているため、大きな担体4に対して接続子10を固定化する場合であっても、厚み方向や幅方向にユニットを一体化する必要がないため、平坦性、寸法精度の良い電気的接続体が提供できるものとなっている。
加えて、担体4への穿孔や接続子10の曲げ加工に従来の機械加工技術及び曲げ加工技術を用いることができるため、多品種小量品の電気的接続体であっても効率的に製造できる。また、本実施形態によれば、担体4に形成した貫通孔6に接続子10を挿通して曲げ加工により挟持するだけであり、貫通孔6に何ら圧入応力が掛からない。したがって、より狭ピッチでの接続子の多数化を容易に行うことができる。さらに、接続子10に固定化のための曲げ加工を施す場合、全ピン一括曲げも可能であるため、電気的接続体の製造工程を容易に効率化することができる。
(第2の実施形態)
次に、本発明の別の実施の形態である電気的接続体及びその製造方法並びに電気的接続体の用途について、図11〜図16を参照しながら説明する。第2の実施形態の電気的接続体120は、第1の実施形態の電気的接続体2における貫通孔6の形態と接続子10自体の形態及び担体4の固定化形態並びに製造方法において相違している。以下、これらの相違点を中心に説明して、同一の部材等については説明を省略するものとする。
図11には、本実施形態の電気的接続体120を示す。図11に示すように、本実施形態における貫通孔126の開口端縁の一方側には、所定の深さで開口端縁を拡張するような凹状の段差部127a、127bを設けることができる。すなわち、貫通孔126の開口端縁の一方側の内側には段差部127a、127bを備えることができる。段差部127a、127bは、貫通孔126の内部に底面128a、128bと、壁面129a、129bとを有している。この段差部127a、127bは、個々の貫通孔126のビーム132a、132bが指向する側に設けられていてもよいし、マトリックス状に配列された行又は列を構成する多数個の貫通孔6に沿って一括して溝状に形成することもできる。
本実施形態における接続子130の詳細と固定化形態とを図12に示す。本実施形態における接続子130は、図4に示すのと同様のビーム形態及び接点形態を有しているので、その説明は省略する。接続子130の挟持部140a、140bは、それぞれ担体4の表面5a、5bを指向して屈曲する第1の屈曲部142a、142bと担体4の表面5a、5bを指向して屈曲する第2の屈曲部144a、144bを備えている点は第1の実施形態の接続子10と共通である。一方、接続子130は、ビーム132a、132bの方向性に寄与する第3の屈曲部146a、146bを備えている点において異なっている。また、接続子130においては、第1の屈曲部142a、142bの近傍が第1の実施形態と同様に担体4の表面5a、5bに当接するものであるが、詳細には、第1の屈曲部142a、142bと第2の屈曲部144a、144bとの間の第1の変曲部分143a、143bにおいて、段差部127a、127bの底面128a、128bに当接し、第1の屈曲部142a、142bの近傍、具体的には、第1の屈曲部142a、142bと第3の屈曲部146a、146bとの間の第2の変曲点145a、145bが段差部127a、127bの壁面129a、129bに当接する点において相違している。
こうした固定化形態では、第2の変曲部分145a、145bが段差部127a、127bの壁面129a、129bに接触することで接続子10の先端側のブレが抑制され、平面方向において高い寸法精度を有することができる。また、ビーム132a、132bは第1の屈曲部142a、142bと第3の屈曲部146a、146bとで方向性が決定されているため、高さ方向において高い寸法精度を有することができる。
次に、こうした第2の実施形態の電気的接続体120を製造するのに適した方法について説明する。まず、接続子130を準備する。本方法では、第1の実施形態と同様、接続子130は、固定化前後において異なる形態を備えることができる。例えば、図11及び12に示す電気的接続体2における接続子130は、固定化前には図13に示す形態を備えることができる。
図13に示すように、固定化前の接続子130は、第1の屈曲部200と第2の屈曲部210と第3の屈曲部220とを有している。第1の屈曲部200は、固定化後の接続子130の第1の屈曲部142a、142bに対応し、第2の屈曲部210は、固定化後の接続子130の第2の屈曲部144a、144bの近傍に対応し、第3の屈曲部220は、同様に第3の屈曲部146a、146に対応している。第1の屈曲部200及び第3の屈曲部220は、ビーム132a、132bの角度を決定するものであり、固定化のための曲げ加工によっても角度が変化しないように構成されている。こうした屈曲部200、220を予め形成しておくことで、固定化前の最終形態を有していない接続子130を担体4に仮保持させた状態で曲げ加工することによっても精度の高いビーム132a、132bの加工が可能となっている。また、第2の屈曲部210は、固定化前の接続子130が直線状の貫通孔6を容易に挿通できるように連結部30とビーム132a、132bとをおおよそ直線状にするために付与されている。このような屈曲部200〜220の形成は、通常のパンチとダイなどによる曲げ加工によって可能である。なお、まず、屈曲部200、220を加工し、次いで屈曲部210を加工することが好ましい。
さらに、詳細に説明すると、固定化前の接続子130は、第1の屈曲部200に対して第2の屈曲部210及び第3の屈曲部220は逆向きに曲げられており、これらの屈曲部間には、それぞれ変曲点を有している。また、第2の屈曲部210の両側には周囲よりも脆弱に設けた脆弱部226、228が備えられている。これら2つの脆弱部226,228においては、屈曲部200と屈曲部210との間の変曲点側にある脆弱部226が、他方よりも脆弱に、すなわち幅狭に形成されており、接続子130に外力を付加したときに、最も屈曲しやすく形成されている。また、反対側にある脆弱部228は、脆弱部226に次いで脆弱に、すなわち幅狭に形成されており、接続子130に外力を付加したときに、脆弱部226に次いで屈曲しやすく形成されている。すなわち、固定化のための曲げ加工時には、この脆弱部226、228において選択的に接続子130が屈曲されるようになっており、これらの脆弱部226,228により、第2の屈曲部210には、曲げ加工により新たな角度が付与されるようになっている。
次に、図14及び図15に基づいて、こうした固定化前の接続子130の担体4への固定化について説明する。図14に示すように、予め曲げ加工した接続子130を、担体4に形成した貫通孔126に挿入する。接続子130の貫通孔126への挿入方法は特に限定しない。第1の実施形態と同様、接続子130を一本毎に挿入してもよいし、キャリアとブリッジを使って接続子130を複数本まとめて挿入してもよい。接続子130を、両ビーム132a、132bが所定方向を指向するようにかつ所定量が担体表面5a、5bから突出するように、位置決めする。
次いで、図15に示すように、この固定化前の接続子130に対して曲げ加工を実施する。本実施形態では、特に、第1のブレード部310と第2のブレード部312とを有するブレード300を用いて曲げ加工を行うことができる。このブレード300によれば、一度の動作で、2種類の曲げ加工が可能になっている。すなわち、接続子130の固定化のための曲げ加工の際、ブレード300の第1のブレード部310が第2の屈曲部210に隣接した屈曲部210と第1の屈曲部200との間の変曲点に当たると、他に比べて弱い脆弱部226だけが大きく変形して第2の屈曲部210が狭まり、第1の屈曲部200が担体4の段差部127aの底面28aに倒れ、ビーム132aは倒れる。しかしながら、この時点においては、接続子130は、スプリングバックによる復元力で担体4を挟みつけることはできないで、第1の屈曲部200は浮いた状態となっている。
次にブレード300の第2のブレード部312が第2の屈曲部210近傍に当たると、今度は次に弱い脆弱部228が変形する。すると脆弱部226が逆に開拡し、第2の屈曲部210に最終的な角度が付与される。この結果、逆向きのスプリングバックによって第1の屈曲部200と第2の屈曲部210との間の変曲部分が段差部127aの底面128aに当接して担体4を挟持することができる。また、このとき、第1の屈曲部200と第3の屈曲部220との間の変曲点が段差部127aの壁面129aに当接するため、接続子130の先端のぶれは抑えられ、平面的な寸法精度は確保される。これらの曲げ加工によって第1の屈曲部200及び第3の屈曲部220の角度は変わらないため、高さ方向の寸法精度も確保される。これにより、図11及び図12に示すように、接続子130が挟持部140a、140bによって担体4に固定化された状態を得ることができる。
この方法によれば、これら屈曲部200、210、220のうち、ビーム12a、12bの方向性を決定する第1の屈曲部200及び第3の屈曲部220は、予め付与した所定角度を維持可能に形成され、第3の屈曲部210は、曲げ加工によって新たな角度が付与されるように形成された固定化前の接続子130を用いているため、ビーム132a、132bの高さ方向及び平面方向での寸法精度を確保しつつかつ容易に挟持形態を形成可能となっている。すなわち、屈曲部200、110、220と脆弱部226、228とを備えるために、精度の高い曲げ加工を実現して、精度よく接続子130を固定化できる。
以上説明したように、本実施形態においては、接続子130の固定化のための曲げ加工は2段階で実施され、第1の段階では、ビーム132aを倒し、第2の段階では、挟持部140a、140bに担体4を挟持させることができる。
本実施形態の電気的接続体120及びその製造方法によれば、上記した本発明の電気的接続体及びその製造方法の作用を得ることができるとともに第1の実施形態の電気的接続体2と同様の作用効果が得られる。加えて、本実施形態によれば、曲げ加工により挟持部140a、140bによる担体4の確実な挟持形態を容易に得ることができるという利点がある。また、本実施形態においては、2段階の曲げ加工を2つのブレード部310、312を備える1種類のブレード300を用いて一回の動作で行うために、確実にかつ容易に接続子130の曲げ加工を実施できる。さらに、本実施形態においては、段差部127a、127bの底面128a、128bや壁面129a、129bへの接続子130の当接を生じさせることで、ビーム132a、132bの方向性の精度や高さ精度の双方を容易に得ることができるようになっている。
(第3の実施形態)
図16は、第3の実施形態の電気的接続体320の説明図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A断面図である。
第3の実施形態の電気的接続体320は、第1の実施形態と同様、2つのデバイス間に配置されるものであり、担体324と、この担体324を貫通する貫通孔326に挿入された状態で固定されている接続子330とを備えている。
担体324は、第1の実施形態の担体4と同様であるため、ここでは説明を省略する。但し、担体324を貫通する貫通孔326は、ドリルなどで開けられた断面円形の丸穴であるが、開口の一部を覆うポリイミドなどの合成樹脂シート製のカバー328を有している。このカバー328のエッジは、直線状に形成されている。また、カバー328は、担体324と接着層327を介して接着されると共に接続子330と接着層329を介して接着されている。
接続子330は、基本的には第1の実施形態の接続子10と同様の材質・構成である。すなわち、接続子330は、電気的接続体320の上方に配置されるデバイスの電極に接続される第1の接点を有する第1のビーム331と、下方に配置されるデバイスの電極に接続される第2の接点を有する第2のビーム332と、担体324の上下各面から第1及び第2のビーム331,332を突出させた状態で担体324を挟持する連結部333とを備えている。連結部333は、カバー328の近傍に配置された幅の狭い脆弱部334,335において屈曲され、第1のビーム331の根元付近と第2のビーム332の根元付近とで担体324の上下両面を挟持している。本実施形態では、脆弱部334と脆弱部335との間隔よりも第1のビーム331の根元と第2のビーム332の根元との間隔の方が狭くなっていることから、連結部333は担体324をしっかりと挟持している。また、脆弱部334から第1のビーム331の根元までの領域や脆弱部335から第2のビーム332の根元までの領域は、カバー328と接着層329を介して接着されているため、連結部333は図16の姿勢を接着力によっても維持することができる。また、連結部333は、貫通孔326に収容されている部分の略中央にV字状に折り曲げられた折り曲げ部333aを有している。この折り曲げ部333aのV字の角度θは、貫通孔326に連結部333が収容される前に比べて収容された後の方が広がっている。連結部333は、貫通孔326の周壁に押されて弾性変形した状態で貫通孔326に収容されており、折り曲げ部333aの両側(図16(a)の部分拡大図における丸印)が貫通孔326に当接すると共に脆弱部334,335の近傍の両側(図16(a)の部分拡大図における二重丸印)を含む領域がカバー328の直線状のエッジに当接している。このため、貫通孔326に収容された連結部333は貫通孔326の周壁を押し広げるように付勢している。第1のビーム331は、その根元が連結部333との境界部分にて屈曲されて斜め上方に向かう姿勢をとっている。第2のビーム332は、その根元が連結部333との境界部分にて屈曲されて斜め下方に向かう姿勢をとっている。
次に、こうした第3の実施形態の電気的接続体320を製造する方法について説明する。図17は電気的接続体320を組み立てるのに使用する接続子330の斜視図、図18は電気的接続体320の組立工程の説明図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のB−B断面図である。
まず、接続子330を準備する。担体324の貫通孔326に収容する前の接続子330は、収容後の接続子330と同じ構成であるが、脆弱部334,335であまり大きく屈曲されていない状態であり、V字状に折り曲げられた折り曲げ部333aの角度θは貫通孔326へ収容された後(図16参照)に比べて狭くなっている。また、担体324には予め複数の貫通孔326が開けられ、各貫通孔326の上下両方の開口端縁には接着層327を介してカバー328が貼り付けられている。このカバー328は、上述したとおり貫通孔326の開口の一部を覆うものであり、エッジが直線的に形成されている。また、カバー328の上面には、加熱することにより硬化する熱硬化性樹脂層Lが積層されている。これらの層はそれぞれ独立していてもよいし3層が一体のものであってもよい。
次いで、接続子330を貫通孔326へ挿入し連結部333が貫通孔326に収まるようにする。このとき、連結部333のうち幅方向に直線的に形成されている脆弱部334,335の近傍が貫通孔326のカバー328のエッジと接触するようにする。連結部333は、折り曲げ部333aの両側(図18(a)の部分拡大図の丸印)が貫通孔326に当接すると共に脆弱部334,335の近傍の両側(図18(a)の部分拡大図の二重丸印)を含む領域がカバー328の直線状のエッジに当接し、折り曲げ部333aの角度θは貫通孔326へ収容される前に比べて広がっていることから、貫通孔326の周壁を押し広げるように付勢している。この結果、接続子330は、幅方向に直線的に形成されている脆弱部334,335の近傍がカバー328のエッジと接触した状態で固定され、軸回転することが規制される。
続いて、この状態で第1及び第2のビーム331,332に外力を加えることにより、脆弱部334の近傍を中心として第1のビーム331を図18において時計回りに回転させると共に脆弱部335の近傍を中心として第2のビーム332を図18(b)において反時計回りに回転させる。これにより、接続子330は曲げ加工されて図18(b)の二点鎖線に示すようになる。このとき、接続子330は軸回転することが規制されているため、曲げ加工中に向きが変わってしまうことがない。また、第1のビーム331の根元は熱硬化性樹脂層Lを介してカバー328に押しつけられた状態となる。更に、第1及び第2のビーム331,332の根元は脆弱部334,335と比べて十分な幅を有しているため、当初の曲げ角度が維持される。
そして、外力を加えた状態のまま熱硬化性樹脂層Lを加熱する。これにより、熱硬化性樹脂層Lは熱硬化して接着層329になり、図16の電気的接続体320が得られる。
以上詳述した本実施形態によれば、上述した第1の実施形態と同様の効果が得られるほか、貫通孔326の開口に直線状のエッジを持つカバー328が設けられ、接続子330の連結部333にV字状の折り曲げ部333aが設けられているため、電気的接続体320の組立工程において接続子330が軸回転するのを規制することができる。
なお、カバー328は貫通孔326の上下両方の開口に設けることとしたが、いずれか一方に設けてもよく、その場合でも接続子330の軸回転を規制することができる。但し、接続子330の軸回転を確実に規制するには上下両方に設けることが好ましい。また、上述した第3の実施形態では、貫通孔326を断面が円形の丸穴とし開口をカバー328で覆うことにより回転規制部を構成したが、貫通孔326として、図19(a)に示すように円の一部を直線的に切り欠いた形状の断面を持つ穴を採用したり、図19(b)に示すように断面が長方形の角穴を採用したり、図19(c)に示すように断面が長円形の穴を採用したり、図19(d)に示すように円と四角形とを重ねた形状の断面を持つ穴(折り曲げ部333aの両側と連結部333の脆弱部334,335の近傍がこの穴の角に入り込む)を採用してもよい。いずれの場合も、上述した第3の実施形態と同様の作用効果を奏する。但し、担体324にドリルで穴を開けることを考慮すれば、断面が円形の丸穴の開口の一部をカバーで覆う構成が好ましい。そのほかの穴はドリルで形成することは難しいが、例えば金型成形を採用するのであれば容易に形成することができる。更に、連結部333はV字状に折り曲げられた折り曲げ部333aを有するものとしたが、こうした折り曲げ部333aが複数連なるようにしてもよい。更にまた、第3の実施形態以外の連結部でも1つ以上のV字状の折り曲げ部を形成することにより、貫通孔内で弾性変形させ貫通孔を押し広げる付勢力が働くようにしてもよい。
こうした本発明の電気的接続体が装着されるデバイスとしては、アレイ状(全体がアレイ状あるいはエリアアレイ状)に配列された前記電極を備える半導体、ICチップなどが挙げられる。また、本発明の電気的接続体の用途としては、こうしたデバイスにおける電気的接続を確保するソケットやインターポーザー、プロープカードが挙げられる。さらに、本発明の電気的接続体を装着して備える電子機器としては、ICチップを備えるものが挙げられる、例えば、PC、通信機器等を含んでいる。また、ICチップや半導体検査装置も挙げられ、例えば、半導体検査装置などが挙げられる。
なお、本発明は上記した実施形態に限定されることなく本発明の範囲内で実施できる。例えば、固定化された接続子の有する屈曲部の形態や個数は、必要に応じ適宜変更することができるし、接続子において担体を挟持する箇所や担体表面に当接する箇所も適宜変更することができる。
2、120 電気的接続体、4 担体、5a、5b 担体表面、6、126 貫通孔、10、130 接続子、12a、12b、132a、132b ビーム、14a、14b 接点、16 半田ボール、20a、20b、140a、140b 挟持部、22a、22b、142a、142b 第1の屈曲部、24a、24b、144a、144b 第2の屈曲部、26a、26b、226、228 脆弱部、30 連結部、32 スリット、100、200 第1の屈曲部(固定化前)、110、210 第2の屈曲部(固定化前)、105 変曲点、127a、127b 段差部、128a、128b 段差部の底面、129a、129b 段差部の壁面、143a 第1の変曲点、145a 第2の変曲点、146a、146b、第3の屈曲部、220 第3の屈曲部(固定化前)、310 第1のブレード部、312 第2のブレード部、320 電気的接続体、324 担体、326 貫通孔、327 接着層、328 カバー、329 接着層、330 接続子、331 第1のビーム、332 第2のビーム、333 連結部、333a 折り曲げ部、334,335 脆弱部。