JP4841087B2 - 導電性防水靴 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、防水性に加え、静電気を放電可能な導電性をも兼ね備えた導電性防水靴に関する。
【0002】
【従来の技術】
雨天時や水溜りなどの歩行に際して靴に水が染み込むと、靴下が濡れて不快感を生じる。
これを解消するために、胛被の材料や胛被の縫目に工夫を凝らして水の染み込みを抑えるようにした防水靴の開発が盛んに行われている。
【0003】
一方、冬期などの乾燥した環境下では、衣服などの摩擦によって静電気が発生し易く、発生した静電気は自然放電が期待できないため、そのまま人体に帯電する。この場合、ドアのノブや自動車のドアハンドルなどの導電性のある金属部位に接触すると、帯電した静電気が一気に放電して不快な静電気ショックを受ける。
これを解消するために、帯電した静電気を靴底から大地へ放電できるようにした導電性を有する導電性靴の開発も近年盛んに行われるようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記防水靴は雨天時などを考慮したものであり、前記導電性靴は乾燥時を考慮したものであるため、両者はそれぞれ別個に開発されているのが実情である。
すなわち、雨天時には湿気が多く、この湿気により静電気は良好に自然放電するため、防水靴には導電性は不要とされ、一方、乾燥時には、靴への水の染み込みは有り得ないため、導電性靴には防水性は不要とされ、従来は、防水靴に導電性を付与するという発想、あるいは導電性靴に防水性を付与するという発想は生じず、防水性と導電性とを兼備した導電性防水靴の開発は殆どなかった。
【0005】
しかし、乾燥した冬期において天候の急変により雨天となることもあり、また海外旅行が頻発している今日、夏期の北半球から冬期の南半球への移動、あるいは乾期の地域から雨期の地域への移動なども多々あり、このような場合には、導電性および防水性の両方を備えた靴が要望される。
【0006】
本発明は、このような要望に応えるために、防水性と導電性とを兼備した導電性防水靴を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前述した課題を解決する手段として、本発明における導電性防水靴は、導電糸によって足形の袋状に縫製された防水インナーが胛被の内側に一体に設けられ、靴底には導電化部位が設けられており、当該防水インナーの導電糸による縫目が導電性防水フィルムまたはシートにより防水処理され、さらに前記防水インナーの底部における踏み付け部の少なくとも下面に、前記踏み付け部を横断するように、導電性防水フィルムまたはシートが接着され、その両端部と前記導電糸の縫目上の導電性防水フィルムまたはシートが接着されることで、この導電性防水フィルムまたはシートが前記導電糸と靴底の導電化部位とに接触し両者を導通させるものであることを特徴とする。
【0008】
本発明の導電性防水靴は、防水インナーと一体の胛被に、靴底を構成する中底、ミッドソール、アウトソールなどを順次、射出成形したり、接着することにより製造することができる。
【0009】
本発明の導電性防水靴においては、足形の袋状に縫製された防水インナーが胛被の内側に設けられ、防水インナーの縫目が導電性防水フィルムまたはシートにより防水されているため、防水性が確保される。
また、防水インナーが導電糸により縫製され、その縫目が導電性防水フィルムやシートを介して防水インナーの底部の少なくとも下面から靴底の導電化部位に導通されるため、導電性が確保される。
【0010】
本発明の導電性防水靴における防水性は、例えば、綿の靴下を装着したラストを本発明の導電性防水靴に挿入し、接地面から4cmの高さまで水を浸し、6時間経過後の靴下の足裏部(0.05g/cm2)の水分吸収による重量増加が1%以下となる程度が好ましい。この程度の防水性があれば、足や靴下が濡れることによっての不快感はない。
【0011】
前記防水インナーは、胛被の履き口部に縫製または接着されて胛被の内側全体に添うようにするのが好ましく、このような防水インナーであれば、胛被やその縫目に防水性が無い場合であっても、靴下や足の濡れを確実に防止できる。
このような防水性を得るために、防水インナーは、実質的に水を通さない防水層を少なくとも一層含んだラミネート材料で構成される。
この防水層としては、射出成形、ブロー成形、カレンダー成形などで得られるポリウレタン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニルなどの各種樹脂のフィルムやシート、あるいはこれらのフィルムやシートに帯電防止剤や電導性物質を含有させたものなどが使用でき、これら帯電防止剤や電導性物質を含有させたフィルムやシートは防水靴に良好な導電性を付与できるため好ましい。
また、他の防止層として、布地にゴムや合成樹脂などを塗布した布帛、あるいは布地や布帛にフッ素系撥水剤などの撥水剤を含有させたものなども使用できる。
【0012】
また、防水インナーは、足を包み込む部分であるため、防水性の他にクッション性および耐摩耗性を有するのが好ましい。
このような特性を得るために、防水インナーは、通常、前記防水層と、ポリウレタンフォームや合成綿などのクッション材と、トリコット生地やパイル生地などのライニング材とを3層ラミネートした材料で構成される。これらのクッション材やライニング材にも導電性を付与しておけば、防水靴に良好な導電性を付与できるため好ましい。
もちろん、ライニング材を省き、前記防水層とクッション材とを2層ラミネートした材料で構成してもよい。
【0013】
さらに、防水インナーは、胛被や靴底との摩擦により破損するのを防止するため、胛被や靴底に面する外面側に伸縮の小さい寒冷沙のような網目状の補強材を、上記のような各種フィルムやシートあるいは合成樹脂層などの防水層とラミネートして配置するのが好ましい。
【0014】
上記のような防水インナーを縫製する際に使用する前記導電糸は、従来から使用されているスパッタリング法で金属を蒸着した糸、メッキ法で金属被覆した糸、カーボン塗布糸、金属線織り込み糸などの導電性を有する糸であり、例えば、日本蚕毛染色社製の登録商標「サンダーロン」、帝国繊維社製の登録商標「エレクテイ」などが使用できる。
【0015】
また、この導電糸による縫目を防水処理し、かつ防水インナーの底部の少なくとも下面に(熱)接着させて当該導電糸と靴底の導電化部位とを導通させる際に使用する前記導電性防水フィルムやシートは、導電性を有する合成樹脂製のフィルムやシートであり、ヒートシール治具やアイロンにより容易に熱接着できるものや、接着剤で容易に接着できるものなどであって、作業性や履用性の点から柔軟性を有するものが好ましく、これらの観点から導電性を有する熱可塑性のポリウレタン系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー、塩化ビニル系樹脂エラストマー、その他適宜のエラストマーをフィルム状あるいはシート状に成形したもの、例えば、大日精化工業社製商品名「レザミンECシリーズ」(カーボネートタイプのベースポリウレタンや、アジペートエステルタイプのベースポリウレタン製)などが好ましく使用できる。
これらのエラストマーへの導電性の付与は、カーボンブラック、金属粉などの導電性物質、ポリエーテルポリアミド、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤などの帯電防止剤を含有させることで行われる。
【0016】
この導電性防水フィルムまたはシートの導電性は、体積固有抵抗値で1011以下であることが好ましい。この程度の導電性があれば静電気を確実に放電できる。
また、導電性防水フィルムまたはシートの防水性は、導電糸による縫目からの水の侵入を防止できれる程度であればよく、前記防水インナーの防水層と同程度とすればよい。
【0017】
さらに、導電性防水フィルムまたはシートは、厚さが30〜100μmが好ましく、この範囲外であると、前記の導電糸による縫製部位への設置作業性や(熱)接着作業性を低下させたり、製品靴の履用感を不良にすること(履用時に当該フィルムやシートの存在を感じたり、また当該フィルムやシートによる靴擦れを生じるなど)がある。
【0018】
靴底の導電化部位とは、靴底を厚み方向に導電化した部位であり、靴底全体に設けてもよいし、靴底の任意の箇所に導電化部位を設けてもよい。
靴底を導電化するには、靴底材料にポリエーテルエステルアミド、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤などの帯電防止剤や、カーボンブラック、金属粉などの導電性物質などを配合する方法がある。この方法は、接地面を有するアウトソールなどに好適である。
【0019】
また、靴底を導電化するには、成形後の靴底材料の厚み方向に導電糸を通し縫いする方法がある。この方法は、アウトソールに重なるミッドソールや中底などに好適である。
この場合、前記導電糸による通し縫いの縫目を導電性防水フィルムやシートを熱接着あるいは接着したり、導電性防水接着剤を塗布するなどして防水処理すれば、靴底の防水性を確保することができると共に、糸(線)による導電性に、フィルムやシートあるいは接着剤(面)による導電性が加わるため、導電性をも十分に確保することができる。
なお、前記導電糸で前記導電性防水フィルムやシートを縫合し、この縫目にさらに導電性防水フィルムやシートを(熱)接着するなどしたり、導電性防水接着剤を塗布するなどして防水処理するようにすることもできる。
【0020】
この導電性防水フィルムやシートは、前記防水インナーの縫目の防水処理の際に使用する前記導電性防水フィルムやシートと同様のものが使用できる。
また、この導電性防水接着剤は、導電性粉末、導電性繊維などの導電物質をバインダー樹脂に混入し必要に応じて溶剤などで希釈しフッ素系撥水剤を含有させたものなど、例えば、坂井化学工業製商品名「EC−9650」(クロロプレンに導電性ハイストラクチャーカーボン《ケッチェンブラックなど》を練り込んで溶剤に溶解させた接着剤)にフッ素系撥水剤を含有させたものなどが使用できる。このような導電性防水接着剤は、導電性防水フィルムやシートと同程度の体積固有抵抗値を有するものが好ましく、この導電性防水接着剤の塗布により上記縫目に導電性防水フィルムやシートと同程度の防水性が付与されるものが好ましい。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明に係る導電防水靴の実施の形態を説明する。図1は本発明に係る導電性防水靴の分解斜視図、図2は図1に示した防水インナーの斜視図、図3は図1に示した防止インナー、ミッドソールおよび中底の導電化部位の断面図である。
【0022】
本発明の一実施形態に係る導電性防水靴は、図1および図2に示すように、胛被1と、胛被1の内側に一体に設けられた防水インナー2と、防水インナー2の底部が接触する中底3と、中底3と共に胛被1の下縁部が接着されるミッドソール4と、ミッドソール4の下面に接着されるアウトソール5とを備えた構造を有する。
【0023】
胛被1は、防水性を有することが好ましいが、防水性を有していなくてもよい。胛被1の材料は、合成樹脂シート、合成皮革、天然皮革、布など種々の材料が使用可能であり、デザインの自由度も十分に確保できる。
【0024】
防水インナー2は、底部用、右側部用、左側部用に裁断された各パーツが導電糸6によるジグザグ縫いによって足形の袋状に縫製される。
この防水インナー2は、その履き口部が胛被1の履き口部と鳩目部とに縫着されて胛被1の内側全体に添うように一体に設けられる。
このような防水インナー2は、胛被や胛被の縫目に防水性が無い場合であっても、靴下や足の濡れを確実に防止することができる。
【0025】
この実施形態における防水インナー2は、図3に示すように、パイル生地2A、ポリウレタンフォーム2B、ポリウレタンフィルム2C、および寒冷沙2Dを4層ラミネートした材料で構成され、パイル生地2Aが足に接触する内側面となり、寒冷沙2Dが胛被1や中底3に接触する外側面となるように足形の袋状に縫製される。このとき、ポリウレタンフィルム2Cは、導電性ポリウレタンフィルムであることが好ましい。
この防水インナー2は、パイル生地2Aおよびポリウレタンフォーム2Bにより適度なクッション性が得られ、ポリウレタンフィルム2Cにより防水性が得られ、寒冷沙2Dにより耐摩耗性が得られる。
【0026】
ここで、図2に示すように、防水インナー2の導電糸6によるジグザグ縫いの全ての縫目は、この上に導電性防水フィルム7が熱接着されることで、防水処理されている。
この場合、導電性防水フィルム7は、防水インナー2の少なくとも寒冷沙2D側の外面に熱接着されるが、パイル生地2A側の内面に熱接着されていてもよい。
【0027】
また、図2に示すように、防水インナー2の底部における踏み付け部の少なくとも下面(外面)にも、縫目に熱接着した防水フィルム7に接着するように上記と同様の導電性防水フィルム7が熱接着されている。
この導電性防水フィルム7は、前記踏み付け部を横断するように熱接着されており、その両端部が前記導電糸6の縫目上の導電性防水フィルム7に熱接着されて導電糸6と導通されている。
【0028】
前記導電性防水フィルム7は、導電性と防水性と柔軟性を有する熱可塑性の熱接着容易な、例えばポリウレタンエラストマーなどからなり、ヒートシール治具やアイロンにより前記部位に熱接着される。
【0029】
図1に示すように、前記中底3は、足形のシート状にEVA発泡体などを熱成形したものであり、その踏み付け部には導電化部位3Aが設けられている。
この実施形態における導電化部位3Aは、図3に示すように、前記導電糸6と同様の導電糸6の通し縫いにより中底3の上下両面を導通させ、この中底3の上下両面における導電糸6の縫目上に導電性防水シート8を接着した構造を有する。
この導電性防水シート8は、前記導電性防水フィルム7と同様、導電性と防水性を有するものであって、これらに加えて柔軟性を有するものであってもよいし、また熱接着容易な熱可塑性の例えばポリウレタンエラストマーなどからなり、ヒートシール治具やアイロンにより前記部位に熱接着されるものや、通常の接着剤により強固に接着されるものが使用できる。
そして、この導電化部位3Aは、上記防水インナー2の底部踏み-付け部の導電性防水フィルム7に接触するようにする。なお、導電化部位3Aの面積を広げて、導電糸6の縫目を防水処理している導電性防水フィルム7に接触するようにすることもできる。
【0030】
また、図1に示すように、前記ミッドソール4は、胛被1の下縁部を覆うサイド部4Aを有する足形にEVA発泡体を熱成形したものであり、その踏み付け部には導電化部位4Bが設けられている。
この導電化部位4Bは、図3に示すように、中底3の場合と同様に、導電糸6の通し縫いによりミッドソール4の上下両面を導通させ、このミッドソール4の上下両面における導電糸6の縫目上に前記の導電性防水シート8と同様の導電性防水シート8を接着した構造を有する。
【0031】
なお、図3では、中底3とミッドソール4の上下両面の導電糸6の縫目上にそれぞれ導電性防水シート8を計4枚接着しているが、どれか1枚であってもよいし、中底3とミッドソール4の上面のみの計2枚としてもよいし、あるいはどれかを省略して計3枚とすることもできる。
【0032】
さらに、図1に示すように、前記アウトソール5は、カーボンブラックを練り込んだウレタン樹脂によって足形に成形されており、全体が導電化部位としての導電性を有する。
【0033】
以上のような構造を有する一実施形態の導電性防水靴は、例えば、胛被1に中底3およびミッドソール4を接着し、ミッドソール4にアウトソール5を接着することで導電性防水靴として製造される。
この導電性防水靴においては、足形の袋状に縫製された防水インナー2が胛被1の内側全体に添うように一体に設けられており(図1参照)、しかも、防水インナー2の導電糸6によるジグザグ縫いの全ての縫目が外側の寒冷沙2D側および内側のパイル生地2A側に熱接着された導電性防水フィルム7によって防水処理されている(図2参照)。
そして、この導電性防水フィルム7による防水性能は防水インナー2を構成するポリウレタンフィルム2Cの防止性能と同程度とされている。
【0034】
従って、この実施形態の導電性防水靴は、接地面から4cmの高さまで水を浸した状態を6時間継続しても水の染み込みを確実に防止できる十分な防水性を備えるのであり、例えば、雨天時や水溜りなどの歩行に際して胛被1から水が染み込むことがあっても、染み込んだ水は防水インナー2により確実に遮断され、靴下が濡れるような不快感が生じることはない。
【0035】
また、この実施形態に係る導電性防水靴においては、防水インナー2の内側のパイル生地2A側(図示省略)に熱接着された導電性防水フィルム7がジグザグ縫いの縫目の導電糸6を介して外側の寒冷沙2D側に熱接着された導電性防水フィルム7(図2参照)に導通され、この導電性防水フィルム7が防水インナー2の底部における踏み付け部を横断してその下面(外面)に熱接着された他の導電性防水フィルム7に導通されている。
そして、この導電性防水フィルム7は、この実施形態の導電性防水靴を履用した際、その踏圧により中底3の導電化部位3Aおよびミッドソール4の導電化部位4Bを介して全体が導電化されたアウトソール5に導通する。
【0036】
従って、この実施形態の導電性防水靴においては、冬期などの乾燥した環境下で人体に静電気が帯電した場合、その静電気は、防水インナー2の内側の導電性防水フィルム7、導電糸6、外側の導電性防水フィルム7、踏み付け部の下面を横断する導電性防水フィルム7、中底3の導電化部位3A、ミッドソール4の導電化部位4B、アウトソール5の経路で確実に大地に放電されるのであり、不快な静電気ショックを受けることはない。
しかも、防水インナー2のポリウレタンフィルム2Cを導電性を有するものとしておけば、履用中に、靴内部の湿度が上昇し、足全体からポリウレタンフィルム2Cへの自然放電を生じさせることができ、より良好な導電性防水靴とすることができる。
【0037】
なお、本発明の導電性防水靴において、前記防水インナー2の踏み付け部には、図4に示すような導電化部位2Eを設けてもよい。
この導電化部位2Eは、防水インナー2の上下両面に前記導電性防水シート8(あるいは導電性防水フィルム7)と同様の導電性防水シート8(あるいは導電性防水フィルム7)を前記導電糸6と同様の導電糸6の通し縫いによって縫着し、導電糸6の縫目を導電性防水接着剤による導電防水層9で覆う構造である。
【0038】
この場合、前記導電性防水接着剤としてフッ素系撥水剤を含有したものを使用すれば、防水インナー2の導電化部位2Eの防水性をさらに向上させることができる。
また、フッ素系撥水剤を含有しない導電性防水接着剤を使用しても、図示はしないが、この導電性防水接着剤による導電防水層9の上に導電性防水フィルムやシート(7や8)を(熱)接着することにより、防水インナー2の導電化部位2Eの防水性をさらに向上させることができる。
【0039】
また、前記中底3やミッドソール4の導電化部位3Eや4Eは、図4に示すように、中底3やミッドソール4に通し縫いした導電糸6の縫目を前記導電性防水接着剤による導電防水層9で覆う構造としてもよい。
さらに、図示はしないが、ミッドソールの導電化部位は、ミッドソールを上下に貫通する切込みに導電性シートを挿通し、その両端部をミッドソールの上下両面にそれぞれ接着する構造としてもよく、この場合は、この切込みを、前記導電性防水フィルムやシートの(熱)接着や、導電性防水接着剤の塗布などで防水処理すればよい。
【0040】
【発明の効果】
以上説明した通り、本発明に係る導電性防水靴では、足形の袋状に縫製された防水インナーが胛被の内側に設けられ、防水インナーの縫目が導電性防水フィルムやシートにより防水されているため、防水性が確保される。また、防水インナーが導電糸により縫製され、その縫目が導電性防水フィルムやシートを介して防水インナーの底部の少なくとも下面から靴底の導電化部位に導通されるため、導電性が確保される。
【0041】
従って、本発明に係る導電性防水靴によれば、雨天時や水溜りなどの歩行に際して胛被から水が染み込むことがあっても、染み込んだ水は防水インナーにより確実に遮断されるため、靴下が濡れて不快な思いをするようなことがない。また、冬期などの乾燥した環境下で人体に静電気が帯電した場合には、防水インナーの縫目の導電糸から導電性防水フィルムやシートおよび靴底の導電化部位を介して地面に静電気が放電されるため、不快な静電気ショックを受けることがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る導電性防水靴の分解斜視図である。
【図2】図1に示した防水インナーの斜視図である。
【図3】図1に示した防水インナーの一部、並びに、中底およびミッドソールの導電化部位の断面図である。
【図4】図3に対応した防水インナー、中底およびミッドソールの導電化部位の変形例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 :胛被
2 :防水インナー
2A:パイル生地
2B:ポリウレタンフォーム
2C:ポリウレタンフィルム
2D:寒冷沙
3 :中底
3A:導電化部位
4 :ミッドソール
4A:サイド部
4B:導電化部位
5 :アウトソール
6 :導電糸
7 :導電性防水フィルム
8 :導電性防水シート
9 :導電層
Claims (1)
- 導電糸によって足形の袋状に縫製された防水インナーが胛被の内側に一体に設けられ、靴底には導電化部位が設けられており、
前記防水インナーの導電糸による縫目が導電性防水フィルムまたはシートにより防水処理され、
さらに前記防水インナーの底部における踏み付け部の少なくとも下面に、前記踏み付け部を横断するように、導電性防水フィルムまたはシートが接着され、その両端部と前記導電糸の縫目上の導電性防水フィルムまたはシートが接着されることで、
この導電性防水フィルムまたはシートが前記導電糸と靴底の導電化部位とに接触し両者を導通させるものであることを特徴とする導電性防水靴。
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