JP4840607B2 - ばねと釣合重りを用いて往復回転運動を行うウエハ走査システム - Google Patents

ばねと釣合重りを用いて往復回転運動を行うウエハ走査システム Download PDF

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Description

本発明は、一般的には、半導体処理システムに関し、より詳しくは、半導体処理の間に加工物の品質及び加工物の運動の精度を制御するための装置及び方法に関する。
半導体産業において、通常、加工物(例えば、半導体ウエハ)上における様々な結果を達成するために、加工物に対して様々な製造処理が実行される。例えば、加工物上または加工物内に特定の特性を得るため、イオン注入のような処理を実施することができ、その例としては、特定のタイプのイオンを注入することによって、加工物上の誘電体層の拡散係数を制限すること等が挙げられる。従来、イオン注入処理は、複数の加工物を同時に処理するバッチ処理、または、一枚の加工物を個別に処理する逐次処理のいずれかの方式で処理されている。従来の高エネルギーまたは高電流のバッチ式イオン注入装置は、例えば、イオンビームラインを形成すると共に、そのイオンビームライン中にホイールまたはディスク上に配置した多数のウエハを用意し、イオンビームを横切るようにホイールを回転させ、また、半径方向に平行移動させることによって、その処理を通じてイオンビームが何度も加工物の表面全体に照射されるように動作するものである。しかし、一般に、このようなバッチ方式により加工物を処理するためには、イオン注入装置のサイズを相当に大きなものにする必要がある。
一方、典型的な逐次処理は、静止したウエハ全体に渡るようにイオンビームを一軸方向に走査するか、または、ウエハを一方向に平行移動して、扇形のイオンビームまたは走査されるイオンビーム下を通過させるものである。しかし、一般に、イオンビームを走査する処理または均一なイオンビームを形成する処理は、複雑なビームラインを要するものであり、そのようなビームラインは、通常、低エネルギーにおいて望ましいものではない。加えて、ウエハ全体に均一なイオン注入を施すためには、通常、イオンビームまたはウエハを均一に平行移動および/または回転させる必要がある。しかし、このような均一な平行移動および/または回転を達成することは難しく、その少なくとも部分的な理由は、従来の装置および走査機構では、運動に伴う慣性力が大きいことである。
したがって、加工物をイオンビームに対して均一に平行移動および/または回転させつつ、加工物全体に渡ってイオンビームを走査するための装置に対する要望がある。
本発明は、先行技術の限界を克服するものである。以下に、本発明の1つ又は複数の態様の基本的な理解に供するために、本発明の簡単な要約を示す。この要約は、本発明の完全な概要ではなく、また、本発明の重要な又は必須の要素を同定するものでも、本発明の範囲を画定するものでもない。この要約の主要な目的は、後述する詳細な説明の導入として、本発明の概念の幾つかを簡略化された形式で提示することである。
本発明は、一般的には、加工物を処理するための走査装置に関するものである。本発明の例示的な一態様に従って、本発明に係る走査装置は、ベース部を備えており、該ベース部には第1アクチュエータが結合されている。前記第1アクチュエータにはシャフトが結合され、前記第1アクチュエータは、前記シャフトに対して第1軸回りの回転力を付与するように動作可能なものである。前記シャフトには、加工物に関連するウエハアームまたは振り子がほぼ固定的に結合されており、前記ウエハアームは、前記シャフトの回転に対応して、振り子型または他の型の運動形態で回転または揺動する。前記ウエハアームには、エンドエフェクタが動作可能に結合され、例えば、前記加工物は、前記エンドエフェクタ上に配置される。前記エンドエフェクタは、前記第1軸に対して偏心した位置に存在しており、例えば、前記エンドエフェクタは、前記第1軸から予め定められた第1の距離を置いて前記ウエハアームに結合される。したがって、前記シャフトの回転は、前記エンドエフェクタ上に配置された前記加工物を、第1走査経路に沿って移動(および振動)させるように機能する。
本発明の別の例示的な態様に従って、前記エンドエフェクタの速度を、前記第1走査経路に沿った予め定められた運動範囲内で、ほぼ一定に維持することができる。この際、前記ベース部に対する前記エンドエフェクタの移動速度は、前記エンドエフェクタの加速および減速が、前記エンドエフェクタの前記予め定められた運動範囲の外側で発生するように制御される。
本発明の別の例示的な態様に従って、本発明に係る走査装置は、運動量バランス機構を備えており、該運動量バランス機構は、前記ウエハアームの回転の方向をほぼ反転させ、それによって、前記第1走査経路に沿った前記加工物の方向を反転させるものである。前記運動量バランス機構は、前記第1軸回りのバランスがほぼ均衡化されており、それによって、前記第1軸に関連するトルクはほぼ最小化される。別の例によれば、前記運動量バランス機構は、該運動量バランス機構に対してほぼ固定された1つまたは複数の固定ばね要素を含んでいる。該1つまたは複数の固定ばね要素は、前記ベース部に対して可動であってもよい。例えば、前記1つまたは複数のばね要素は、一対の運動量バランスアームの末端部に結合されており、個々の前記運動量バランスアームに関連する前記1つまたは複数の固定ばね要素は、ほぼ固定された互いの距離を維持しつつ、個々の前記運動量バランスアームのそれぞれの末端部回りに回転するように動作可能なものであってもよい。加えて、前記一対の運動量バランスアームは、前記第1軸回りに回転可能なものであってもよい。この際、それぞれの前記運動量バランスアームは、さらに、他方の前記運動量バランスアームに対して回転可能なものであってもよい。これによって、さらに、前記一対の運動量バランスアームの一方に関連する前記固定ばね要素を、他方の前記運動量バランスアームに関連する前記固定ばね要素から離隔する距離が、可変なものとなる。さらに、このような前記固定ばね要素間の可変な距離は、例えばコントローラによって制御することができる。
本発明の別の態様に従って、前記シャフトには、さらに移動アームが固定的に結合されており、該移動アームは、前記ウエハアームの回転に伴って前記第1軸回りに回転するように動作可能なものである。前記移動アームは、例えば、1つまたは複数の移動ばね要素を含み、前記1つまたは複数の移動ばね要素と、前記運動量バランス機構に関連する前記1つまたは複数の固定ばね要素との間の力は、前記シャフトの回転方向をほぼ反転させ、それによって、前記加工物の前記第1走査経路に沿った移動方向を反転させるものである。前記1つまたは複数の固定ばね要素および前記1つまたは複数の移動ばね要素は、磁石、電磁石、機械ばね、空気圧ばね、および、他のばね要素または作動機構の1つまたは複数を含むものであってもよい。
別の例によれば、前記運動量バランス機構、前記ウエハアーム、および前記移動アームは、前記第1軸回りのバランスがほぼ均衡化され、それによって、前記第1軸に関連するトルクがほぼ最小化される。前記運動量バランス機構、前記ウエハアーム、および前記移動アームのそれぞれに対して1つまたは複数の釣合重りが関連し、該1つまたは複数の釣合重りは、それぞれの構成要素の前記第1軸回りのバランスをほぼ均衡化させるものである。加えて、本発明の別の例示的な態様によれば、前記運動量バランス機構は、前記移動アームおよび前記ウエハアームよりも非常に大きな慣性質量を有するものであり、前記ウエハアームの振動によって前記運動量バランス機構に作用する力は、前記運動量バランス機構によって殆ど吸収される。さらに、前記第1アクチュエータによって付与される回転力を制御することにより、前記ウエハアームの前記第1軸回りの回転を制御することによって、前記一対の運動量バランスアームの前記第1軸回りの回転を、ほぼ安定化させることができる。例えば、前記第1アクチュエータにより、前記シャフトに対して、第1の回転方向には比較的大きな回転力を付与し、第2の方向には比較的小さな回転力を付与することによって、前記運動量バランス機構を、前記第1軸回りの前記第1の方向に回転させることができる。同様にして、前記運動量バランス機構を、第2の方向に回転させることもできる。
本発明のさらに別の例示的態様に従って、本発明に係る走査装置は、さらに二次的平行移動機構を備えており、前記ベース部および該ベース部に関連する前記ウエハアームを、さらに、第2走査経路(低速走査軸ともいう)に沿って平行移動させるように動作可能なものである。前記第2走査経路は、例えば、前記第1走査経路の少なくとも一部に略直行する。
本発明の別の例示的な態様では、本発明は、走査システムを提供するものであり、この走査システムは、前記エンドエフェクタの回転速度を制御するように動作可能なコントローラを備えており、この際、前記予め定められた範囲内での前記加工物の運動が、実質的に一定となるように維持される。また、本発明は、加工物を走査するための方法を提供するものであり、この方法は、前記一対の運動量バランスアームの間で前記移動アームを振動させることによって、予め定められた仕方で前記ウエハアームを回転させることを含んでおり、この際、前記加工物は、前記予め定められた範囲内でほぼ一定の速度を有しつつ、前記第1走査経路に沿って前記ベース部に対して移動するものである。
上述した目的及び関連する目的を達成するために、本発明は、以下に詳細に説明され、また、添付特許請求の範囲に特に明示された特徴を含むものである。添付図面及び図面の説明には、本発明の特定の例示的な態様及び実施形態が詳細に記載されているが、これらは、本発明の原理を使用可能な様々な態様のごく一部を示すものである。本発明の他の態様、利点、及び新規な特徴は、以下に記載した本発明の詳細な説明を図面と共に考慮することによって、明らかになるであろう。
本発明は、一般的には、ビームに対して加工物を移動させるための走査装置に関する。より詳しくは、この走査装置は、予め定められた走査範囲内において、スポットビームに対してほぼ一定の速度で加工物を移動させるように動作可能なものであり、この際、走査装置は、運動量バランス機構の作用により振動する。以下、添付図面を参照して本発明を説明する。全体を通じて、同様の構成要素には同様の符号を付して参照する。各図面および以下の説明は、例示的なものであって本発明を限定するものではない。以下の記載において、本発明の完全な理解を図るために、説明を目的として、多くの特定の詳細構成が記載されている。しかしながら、本発明は、それらの特定の詳細構成を有していなくとも実施可能なものであることは、当業者には明らかであろう。
本発明は、加工物を振動的に往復運動させる二次元走査装置に関する。この走査装置は、振動経路の端部において加工物を急速に加速および減速させるために、1つまたは複数のばね要素を備えており、それによって、予め定められた範囲内における加工物のほぼ一様な移動を達成するものである。以下の記載は、本発明のいくつかの例示的な態様を詳細に説明するものである。ただし、これらの例によって本発明を限定することを意図するものではなく、これらの例に対する様々な代替例は、本発明の範囲に含まれるものである。
ここで、本発明の1つの例示的な態様に従う図面を参照すると、図1および図2は、それぞれ例示的な走査装置100の平面図および側面図であり、この走査装置は、予め定められた第1走査経路104に沿って加工物102を振動させるように動作可能なものである。ここで、走査装置100は、実寸に従って図示されているわけではなく、その様々な構成要素は、明瞭性の観点から、図示する場合と図示しない場合があることに留意されたい。したがって、図示された様々な特徴は、それぞれ様々な形状および大きさにすることも、あるいは、全く省略することもできる。そして、このような形状、大きさ、および省略は、すべて本発明の範囲に含まれるものである。
一例として、走査装置100は、後述するように、イオン注入装置で使用されるイオンビーム(図示は省略する)に対して加工物102を振動させるように動作可能なものである。ただし、本発明は、様々な半導体処理システムとともに使用することができ、そのようなシステムは、すべて本発明の範囲に含まれる。走査装置100は、例えば、イオンビーム(図示は省略する)に対して静止したベース部105を含んでいる。あるいは、後述するように、このベース部は、さらに、イオンビームに対して移動するように動作可能なものであってもよい。ベース部105は、任意の形状とすることができ、図示された長方形の形状は、単に図示を簡明にするための例にすぎない。
本発明の一態様に従って、走査装置100は、シャフト110を含んでおり、このシャフトは、例えば、滑り軸受112を介してベース部105に回転可能に結合されている。さらに、シャフト110は、例えば第1軸114回りに回転するように動作可能なものである。またさらに、シャフト110は、図2に示すように、例えば第1アクチュエータ115に動作可能に結合されており、この第1アクチュエータは、ベース部105にほぼ固定的に結合されている。第1アクチュエータ115は、例えば、サーボモータのようなロータリーアクチュエータを含んでおり、第1軸114回りのシャフト110の回転速度を変動させるように動作可能なものである。また、一例として、第1アクチュエータ115は、シャフト110が、第1軸114回りを時計回りと反時計回りの両方の方向に回転するように動作可能なものである。
走査装置100は、さらに、シャフト110に結合されたウエハアーム120を含み、さらに、ウエハアームは、このウエハアームに動作可能に結合されたエンドエフェクタ125を含んでいる。加工物102は、このエンドエフェクタ上に配置される。一例において、エンドエフェクタ125は、第1軸114から予め定められた第1の距離L1だけ離れて配置されている。別の例では、この第1の距離L1を可変とし、ウエハアーム120は、エンドエフェクタ125を第1軸114に略直交する方向に移動させるように動作可能なウエハ操作機構127をさらに含むものである。別の例では、ウエハアーム120は、シャフト110に対してほぼ固定的に結合された長尺部材から構成され、第1軸114回りのシャフトの回転によりエンドエフェクタ125が第1軸回りに回転することによって、エンドエフェクタ(したがって、加工物102)を、ベース部150に対して第1走査経路104に沿って移動させるものである。
エンドエフェクタ125は、例えば、加工物102をエンドエフェクタ上に固定するように動作可能であり、この場合、エンドエフェクタの運動により加工物の運動がほぼ決定される。一例において、エンドエフェクタ125は、静電チャック(electrostatic chuck:ESC)を含み、このESCは、加工物を実質的にクランプするかまたはエンドエフェクタに対する加工物の位置を維持するように動作可能なものである。あるいは、エンドエフェクタ125は、積載物(例えば、加工物)の把持を維持するための様々な他の装置を含むものであってもよく、そのような装置はすべて本発明の範囲に含まれる。
別の例では、エンドエフェクタ125は、ウエハアームに関連する第1連結部126を介して、ウエハアーム120に対して動作可能に結合されている。第1連結部は、第1軸114から予め定められた第1の距離L1だけ離れて配置されており、例えば、エンドエフェクタ125を第2軸127回りに回転させるように動作可能なものである。加えて、別の例では、第1連結部126は、さらに、エンドエフェクタ125を傾ける(図示は省略する)ように動作可能なものであり、一例として、エンドエフェクタは、1つまたは複数の軸回りに傾くように動作可能なものである。第1連結部126は、例えば、直進ジョイントを含む。
本発明の別の例示的な態様に従って、さらに、シャフト110およびウエハアーム120の回転を制御して、加工物102がイオンビームに対して予め定められた仕方で移動するように、図1に示す第1走査経路104に沿ってエンドエフェクタ125を振動させることができる。ここで、イオンビームは、例えば、図2に示すような、第1走査経路104の一部分に入射する、ベース部105に対してほぼ静止したイオンビーム129である。さらに、第1連結部126の回転を制御して、例えば、エンドエフェクタ125と第1走査経路104との回転上の関係をほぼ一定に維持することができる。
加工物102を均一に処理するためには、加工物102が第1走査経路104に沿って移動する間、加工物102にイオンビーム129が照射されるときに、エンドエフェクタ125の移動速度をほぼ一定に維持することが重要である。エンドエフェクタ125の速度をほぼ一定に維持することによって、エンドエフェクタ125上に配置された加工物102全体に渡ってイオンビーム129をほぼ均一に走査することができる。これによって、加工物を、円弧状の第1走査経路104に沿って移動させつつ、均一に処理するものである。一例では、通常、エンドエフェクタ125の振動の間、予め定められた運動範囲内におけるエンドエフェクタの速度が実質的に一定であることが望ましい。
図3に示すように、走査装置100は、加工物102が、エンドエフェクタ125の最大到達位置130、132の間を第1走査経路104に沿って振り子型の運動により振動するように動作可能なものである。エンドエフェクタ125の最大到達位置130、132は、さらに、ウエハアーム120のベース部105に対する回転の最大到達位置135、137に相当する。したがって、加工物102の互いに反対側の両端部141が移動する最大走査距離140は、エンドエフェクタ125の最大到達位置130、132およびウエハアーム120の最大到達位置135、137に関連して、曲線状の第1走査経路104に沿って、(例えば、第1走査経路に沿って、加工物の外周円の互いに反対側の両端部により、)ほぼ決定される。本発明の1つの例示的な態様では、最大走査距離140は、加工物102の直径Dの2倍よりも大きいものである。最大走査距離140が直径Dの2倍を超えた部分には、オーバーシュート領域142が形成される。このオーバーシュート領域142は、例えば、第1走査経路104に沿った加工物102の振動が(例えば、シャフト110の時計回りの回転と反時計回りの回転との間で)方向を変えるときに、有利に使用することができる。
このように、加工物102は、第1走査経路102に沿って振動し、最大到達位置130、132で(さらに、最大到達位置135、137に関連して)方向を変えるものである。エンドエフェクタ125のこのような方向の変化は、さらに、エンドエフェクタおよび加工物102の速度および加速度の変化に関連する。一例として、イオン注入処理では、例えば図2に示すように、加工物102が、加工物上にイオンビームがほぼ常に入射している状態で、そのイオンビーム下を横切って通過するときに、第1走査経路104における該当部分に沿ったエンドエフェクタ125の速度を、実質的に一定に維持することが通常望ましい。このように速度を一定に維持することによって、加工物102に対して、そのイオンビームを横切る移動の全体に渡って、イオンビームがほぼ均一に照射されるものである。しかしながら、エンドエフェクタ125の運動が振動運動であるため、図3に示すように、(例えば、エンドエフェクタおよび加工物102に関連する)ウエハアーム120が、曲線状の振動の両端部における最大到達位置130、132に近付いたとき等において、エンドエフェクタが加速および減速されることは避けられない。このような最大到達位置130、132および関連するウエハアームの最大到達位置135、137付近における(例えば、走査経路の方向転換の間の)加速および減速は、慣性力および走査装置100のベース部105に伝達される関連する反作用力を最小限に留めるために、適切なレベルに維持する必要がある。加えて、加工物102にイオンビームが照射されている間に、エンドエフェクタ125の速度が変化すると、例えば、加工物上のイオン注入の非均一性を招くおそれがある。
したがって、イオンビームを横切る加工物102の運動に関連して予め定められた範囲145において、速度がほぼ一定であることが望ましい。例えば、この予め定められた範囲145は、エンドエフェクタ125の加速および減速がオーバーシュート領域142内でほぼ調整可能であるように、加工物102の物理的寸法に関連するものであり、例えば、加工物の直径の約2倍またはそれ以上として定められる。すなわち、加工物102がイオンビームを横切って完全に通過した後は、エンドエフェクタ125の加速および減速が、加工物全体に渡るイオン注入処理または照射線量の均一性に対して実質的な影響を及ぼすことはない。そして、このような一定の速度は、後に詳述するように、例えば、第1アクチュエータ115への供給パワー量を制御することによって達成することができる。
オーバーシュート領域142内でのウエハアーム120の急速な加速および減速は、一例では、運動量バランス機構150を使用することによって達成される。運動量バランス機構150は、例えば、ウエハアーム120に関連するエンドエフェクタ125を、効率的な方法で急速に加速および減速するように動作可能なものである。例えば、図1および図2に示すように、運動量バランス機構150は、運動量バランス機構にほぼ固定された1つまたは複数の固定ばね要素160を含んでいる。走査装置100は、例えば、シャフト110に結合された長尺部材等からなる移動アーム155をさらに含んでおり、この移動アームは、ウエハアーム120に対してほぼ固定されている。運動量バランス機構150に関連する1つまたは複数の固定ばね要素160は、例えば、1つまたは複数の固定ばね要素と移動アームおよび/またはウエハアームとの間に反発力を作用させることによって、移動アーム155(したがって、ウエハアーム120)を、図3に示すオーバーシュート領域142内で加速および減速するように動作可能なものである。1つまたは複数の固定ばね要素160は、例えば、磁石、電磁石、機械ばね、および/または空気圧ばねの1つまたは複数を含むものであってもよい。一例において、ウエハアーム120および移動アーム155は、1つの部材として一体化されているものである。あるいは、ウエハアーム120と移動アーム155は、図2に示すように、シャフト110に対してそれぞれ個別に固定的に結合される。別の例では、ウエハアームおよび移動アーム155の1つまたは複数に、1つまたは複数の補強要素(図示は省略する)を関連させ、このような1つまたは複数の補強要素によって、ウエハアームおよび移動アームのそれぞれに剛性を付与するものである。加えて、ウエハアーム120、移動アーム155、および運動量バランスアーム170A、170Bの1つまたは複数に、1つまたは複数の釣合重り(図示は省略する)を関連させ、このような1つまたは複数の釣合重りによって、ウエハアーム、移動アーム、および運動量バランスアームそれぞれの第1軸回りの回転に関連するトルクをほぼ最小化するものである。
別の例では、移動アーム155は、さらに、移動アームに動作可能に結合された移動ばね要素165を含んでいる、移動ばね要素165は、例えば、磁石、電磁石、機械ばね、および/または空気圧ばねの1つまたは複数を含むものであってもよい。移動ばね要素は、移動アーム155と共に第1軸114回りに回転するものである。さらに、移動ばね要素165は、例えば、移動ばね要素と1つまたは複数の固定ばね要素160との間に力が作用するように動作可能なものであり、それによって、移動ばね要素(したがって、移動アーム)は、1つまたは複数の固定ばね要素から反発するように動作する。後に詳述するように、このような移動ばね要素165の反発によって、例えば、移動アーム155(したがって、ウエハアーム120および加工物102)の急速な加速および減速を有利に実施することができる。
本発明の別の例示的な態様では、運動量バランス機構150は、シャフト110に回転可能に結合された一対の運動量バランスアーム170を含んでおり、さらに、1つまたは複数の固定ばね要素160は、一対の運動量バランスアームに結合されている。例えば、1つまたは複数の固定ばね要素160は、それぞれの運動量バランスアームの1つまたは複数の末端部171に固定的に結合される。別の例では、1つまたは複数の固定ばね要素160は、それぞれの運動量バランスアームの末端部171に存在する状態で(したがって、第1軸144に対して固定された位置を維持しながら)、関連する運動量バランスアームに対して回転するように動作可能なものである。さらに、一対の運動量バランスアーム170のそれぞれは、例えばそれぞれの重心で、シャフト110に(例えば、1つまたは複数の軸受によって)回転可能に結合されており、これによって、シャフト回りの回転に対するバランスが均衡化されている。
例えば、図1に示すように、一対の運動量バランスアーム170A、170Bは、シャフトに対してそれぞれ個別に回転可能に結合されており、一対の運動量バランスアームの間の配向角度は可変である。例えば、このような配向角度の可変性によって、一般に、図3に示す最大走査距離140が可変になり、走査される加工物102上の表面積に対して第1走査経路104をほぼ最適化することができる。
本発明の例示的な一態様に従って、走査装置100は、図1に示すように、さらに振幅制御機構175を含んでおり、この振幅制御機構は、一対の運動量バランスアーム170A、170Bに動作可能に結合されている。例えば、振幅制御機構175は、一対の運動量バランスアーム170A、170Bの間の配向角度をほぼ定めるものであり、それによって、それぞれの運動量バランスアームに関連する1つまたは複数の固定ばね要素の間の可変な距離(例えば、図3に示す可変な最大走査距離140)が定められる。この可変な距離によって、移動ばね要素160の振動の振幅(したがって、加工物102の振動の可変な振幅)がほぼ与えられる。振幅制御機構175は、例えば、一対の運動量バランスアーム170A、170Bに動作可能に結合されたウォームギヤ176または他の機構を含むものである。加えて、振幅制御機構175を制御することによって、さらに、時間または他の要因に応じて振動の振幅を調整することができる。別の例では、振幅制御機構175を、一対の運動量バランスアームにほぼ固定的に結合し、時間または他の要因に対して振動の振幅をほぼ固定するものである。
本発明の好適な実施形態に従って、1つまたは複数の固定ばね要素160は、1つまたは複数の磁石180Aを含み、移動ばね要素165は、1つまはた複数の磁石180Bを含む。1つまたは複数の磁石180A、180Bは、例えば希土類磁石を含み、希土類磁石は、さらに、鉄、ホウ素、およびネオジムの1つまたは複数を含むものである。また、他の磁石180を使用することもでき、強い磁界を発生する任意の磁石は、本発明の範囲に含まれる。あるいは、1つまたは複数の磁石180は、1つまたは複数の電磁石を含むものであってもよい。図4および図5には、1つまたは複数の磁石180を含む例示的な固定ばね要素160が示されている。例えば、図4に示す例では、1つまたは複数の磁石180は、移動ばね要素165が固定ばね要素160に近接する領域を含む対向領域182で、反発力181を発生するために磁界を最適化するように向き付けられている。加えて、1つまたは複数のヨーク183(例えば、鋼部材)は、さらに、磁界が大きな反発力181を発生するように調整される。
本発明のさらに別の例示的な態様に従って、図2に示す第1アクチュエータ115は、例えば、シャフト、ウエハアーム120、エンドエフェクタ125、移動アーム155、および運動量バランス機構150の1つまたは複数の回転位置に応じて、シャフト110の(したがって、加工物102の)回転速度を変動させるように動作可能なものである。例えば、走査装置100は、1つまたは複数のセンサ要素185を含み、このセンサ要素は、シャフト110、ウエハアーム120、エンドエフェクタ125、移動アーム155、および運動量バランス機構150の1つまたは複数の回転位置を検知することによって、第1走査経路に沿った加工物102の位置を検知するように動作可能なものである。検知された加工物102の位置を使用して、後に説明するようなフィードバック制御を実施することができる。1つまたは複数のセンサ要素185は、例えば、シャフト110、ウエハアーム120、エンドエフェクタ125、移動アーム155、および/または運動量バランスアーム170の1つまたは複数に結合されたロータリーエンコーダまたはリニアエンコーダを含むものであってもよい。
本発明の別の例示的な態様に従って、図2に示すように、走査装置100は、処理チャンバー190を含んでおり、ウエハアーム120は、この処理チャンバー内に配置される。走査装置100において、例えば、処理チャンバー190内の処理チャンバー環境191と外部環境とは仕切られており、処理チャンバー環境内には、最小限の移動構成要素が配置されるものである。例えば、シャフト110は、通常、動的にシールされた連結部(例えば、滑り軸受112)によって、処理チャンバー190と外部環境192との間がシールされており、このシールされた連結部は、処理チャンバー環境191(例えば、低圧真空下にある真空チャンバー環境)を、外部環境192(例えば、大気)から実質的にシールするものである。動的にシールされた連結部193は、例えば、上記滑り軸受112を含むものであってもよく、一般的に処理チャンバー環境を外部環境から分離する任意の他のシールジョイントを含むものであってもよい。例えば、このようなシールされた連結部193は、通常、ウエハアーム120およびエンドエフェクタ125を分離して、運動量バランス機構150および第1アクチュエータ115に関連する移動構成要素によって発生するおそれのある有害な作用を抑制しつつ、エンドエフェクタ125の処理チャンバー環境191内における移動を可能にするものである。別の例では、走査装置100の任意のまたはすべての構成要素が、処理チャンバー190内に配置される。加えて、走査装置は、さらに、処理チャンバー190に関連するウエハ操作用ポート195を含み、ウエハアーム120は、加工物120を挿入するかまたは取出すために、エンドエフェクタをウエハ操作用ポートに対して回転および/または平行移動させるように動作可能なものである。さらに、走査装置は、イオン源129から射出されたイオンの量を測定するように動作可能なファラデーケージ196を備えており、これによって、より良い処理制御を実施するものである。
本発明の別の例示的な態様として、図2に示す例示的な走査装置100のベース部105は、さらに、1つまたは複数の方向に平行移動するように動作可能なものである。例えば、ベース部105は、二次的平行移動機構197に動作可能に結合され、この二次的平行移動機構は、第2走査経路(図示は省略する)に沿ってベース部を平行移動させるように動作可能なものである。一例において、第2走査経路は、図1に示す第1走査経路104の少なくとも一部(例えば、第1走査経路104の中点)に対して略直交するものである。本発明の別の例示的な態様に従って、第1走査経路104は、加工物102の高速走査に関連し、第2走査経路(図示は省略する)は、加工物の低速走査に関連するものである。加工物は、例えば図3に示すような第1走査経路に沿った最大到達位置130、132の間における移動の度毎に、1単位の増分だけ第2走査経路に沿って誘引される。したがって、二次的平行移動機構197は、加工物を、第1走査経路104に沿った振動の1周期の全期間に、第2走査経路に沿って2単位の増分だけ平行移動させる。第2走査経路に沿ったベース部105の全平行移動量は、例えば、加工物102の直径Dに略等しいものである。
例えば、二次的平行移動機構197は、さらに、ボールねじシステム(図示は省略する)を含むものであってもよく、これによって、ベース部105を、第2走査経路に沿って滑らかに平行移動させることができる。このような二次的平行移動機構197は、例えば、エンドエフェクタの振動の間に、イオンビームを横切るように加工物を漸増的に移動させて通過させることによって、エンドエフェクタ125上に配置された加工物102上をイオンビームにより「塗りつぶす」ことを可能にするものであり、それによって、加工物全体に渡って均一にイオンを注入することができる。
図6には、本発明の別の例示的な態様を示すブロック図として、走査システム200が開示されている。走査システム200は、例えば、図1に示す走査装置100のような走査装置201を含んでいる。走査システム200は、上述した装置と代替し得る様々な走査装置201を含むものであってもよく、そのような走査装置を組み込むことは、すべて本発明の範囲に含まれるものである。
図6に示す例示的な走査システムにおいて、第1アクチュエータ205は、例えばシャフトを介してウエハアームに関連するものであり、この第1アクチュエータは、上述したように、シャフトおよびウエハアームに対して回転力を付与するように動作可能なものである。走査システム200は、さらに、第1アクチュエータ205に関連する第1センサ要素210を含み、この第1センサ要素は、さらに、シャフト、ウエハアーム、および/またはエンドエフェクタの位置、または、速度または加速度といった他の運動学的パラメータを検知するように動作可能なものである。
さらに、本発明の別の態様に従って、第1アクチュエータ205および第1センサ要素210の駆動装置および/または増幅装置(図示は省略する)には、コントローラ215(例えば、モーションコントローラ)が動作可能に結合されている。このコントローラ215は、関連する制御デューティサイクル(例えば、図3に示す最大到達位置130、132の間におけるエンドエフェクタ125の運動)に応じて第1アクチュエータに供給するパワー220の量(例えば、駆動信号)を制御するように動作可能なものである。図6に示す第1センサ要素210は、例えばエンコーダまたはレゾルバであり、さらに、コントローラ215に対して1つまたは複数のフィードバック信号225を供給するように動作可能なものである。これによって、例えば、第1アクチュエータ205に供給する駆動信号220が実時間で算出される。このように駆動信号220を実時間で算出することによって、一般に、第1アクチュエータ205に供給されるパワーの精細な調整が可能になる。
本発明の別の態様に従って、本発明に開示される運動制御の一般的なスキームは、エンドエフェクタの滑らかな運動(例えば、予め定められた範囲内でほぼ一定の速度)を達成し、運動制御に関する速度エラーを最小限に抑えるものである。別の例では、コントローラ215は、コントローラによって使用可能な比例積分微分(PID)制御装置を含んでおり、一般に、第1センサ要素210からフィードバック制御信号が供給されるものである。
上記の例で説明したように、第1アクチュエータ205に供給されるパワー220の量は、少なくとも部分的には、第1センサ要素210によって検知される位置に基づいている。したがって、走査装置のエンドエフェクタ125の位置は、第1アクチュエータ205に供給されるパワー量を制御することによって、制御することができる。この供給パワー量は、さらに、図1に示す第1走査経路に沿ったエンドエフェクタの速度および加速度に関連する。さらに、図6に示すコントローラ215は、例えば、第2アクチュエータ230(例えば、図2に示す二次的平行移動機構197)にパワー235を供給することにより、第2アクチュエータ230を制御するように動作可能なものであり、これによって、さらに、エンドエフェクタ125の第2走査経路に沿った運動を制御するものである。一例では、図2に示す二次的平行移動機構197の漸増運動(例えば、「低速走査」運動)は、エンドエフェクタ125の図1に示す第1走査経路104に沿った運動(例えば、「高速走査」運動)に同期しており、二次的平行移動機構は、加工物102がイオンビームを横切って通過した後(第1走査経路に沿って方向を転換している間に)、その度毎に漸増的に移動するものである。
本発明の別の例示的な態様に従って、運動量バランス機構240は、その配向がコントローラ215によって制御されるように動作可能なものである。運動量バランス機構240に関連する1つまたは複数のセンサ要素245は、例えば、図1に示す運動量バランスアーム170A、170Bの1つまたは複数の配向角度、および/または、運動量バランス機構のベース部105に対する回転を判別するように動作可能なものである。センサ要素245は、例えば、コントローラ215にフィードバック250を供給し、それによって、コントローラは、運動量バランスアーム170A、170Bのお互いに対する回転、および/または、運動量バランスアームのベース部に対する回転に対する調整量を判別するように動作可能をものである。運動量バランスアーム170A、170Bのお互いに対する回転の調整が必要な場合(例えば、図3に示す最大走査範囲を増大または減少させる場合)、コントローラ215は、例えば、図1に示す振幅制御機構を制御することにより運動量バランスアームのお互いに対する配向角度を変更するための信号255を、運動量バランス機構に対して供給するように動作可能なものである。また、運動量バランスアーム170A、170Bのベース部105に対する回転を調整する必要がある場合、コントローラ215は、例えば、第1アクチュエータ205に供給するパワー220量を調整するように動作可能なものであり、それによって、ウエハアームに対して、1つまたは複数の回転方向への追加的な回転力を付与するものである。例えば、このような第1アクチュエータ205の制御により、運動量バランス機構240の「ドリフト」を調整することができ、それによって、運動量バランス機構のベース部に対する配向を、ほぼ静止した状態に維持するものである。
図1〜図6に開示された構造およびシステムは、振り子型の運動を備えたシステムに関連するものであるが、本発明は、加工物が第1(例えば、高速)走査経路およびそれと略直交する第2(例えば、低速)走査経路に沿って直線的に移動する直線運動型システムを含むものである。直線運動型システムの場合、機械的ばね要素、磁気的ばね要素、または他の種類のばね作用機構等のばね要素を使用して、第1走査経路に沿った往復直線運動が達成され、このような様々な変形例は、すべて本発明の範囲に含まれる。
本発明のさらに別の例示的な態様に従って、図7には、例示的な方法300のブロック図が示されており、このブロック図には、図1に示す例示的な走査装置の組込と作動が図示されている。本明細書において、例示的な方法を一連の動作または事象として図示および説明するものであるが、本発明は、このような動作または事象の明示された順序に限定されるものではない。いくつかの段階は、本発明に従って、ここに説明および図示された順序とは異なる順序で、および/または、他の段階と同時に実施されるものであってもよい。加えて、本発明に従う方法を実施するために、必ずしも明示されたすべての段階が必要なものではない。さらに、この方法は、本明細書で説明および図示されたシステムに関連させて実施できるだけでなく、明示されていない他のシステムに関連させて実施するkともできる。
図7に示すように、方法300は、ウエハアームおよび運動量バランス機構を含む走査装置を用意する段階305から開始する。この走査装置は、例えば、図1に示す走査装置100のような装置であってもよく、ベース部、第1アクチュエータ、第1アクチュエータに動作可能に結合されたシャフト、シャフトに対してほぼ回転自在に結合された運動量バランス機構、シャフトに対してほぼ固定的に結合されたウエハアーム、およびシャフトに対してほぼ固定的に結合された移動アームを含むものである。さらに、加工物は、ウエハアームに関連するエンドエフェクタ上に配置される。例えば、第1アクチュエータに第1のパワーを供給すると、第1アクチュエータは、シャフトを回転させるように動作可能なものであり、それによって、ウエハアームに振動力を付与して、ウエハアームに関連するエンドエフェクタを第1走査経路に沿って振動させるものである。段階310において、この振動は、次のように制御される。すなわち、エンドエフェクタは、予め定められた範囲内でエンドエフェクタの速度がほぼ一定に維持されるように、2つの最大到達位置の間で振動する。例えば、この予め定められた範囲内において、イオンビームが加工物上に衝突することで、加工物の運動全体に渡って、加工物がイオンビームに実質的に均一に照射されることとなる。
さらに、段階310における振動の制御は、例えば、第1アクチュエータに供給されるパワー量および運動量バランス機構の配向を制御することによって達成することができる。
本発明の走査装置は、さらに、材料操作タスクの一部を担うために十分な器用さを備えている。このような材料操作タスクには、例えば、処理後のウエハを別の移行システムに配置または移行することが含まれていてもよい。反対に、別の移行装置と組み合わせることによって、さらに、処理前のウエハのロードまたは取得を達成することができる。
本発明の別の例示的な態様に従って、本発明の走査装置は、さらに、潤滑軸受またはアクチュエータのような機械的構成要素を高真空環境に直接曝すことなく、高真空状態の処理チャンバー(図示は省略する)内で使用することができる。この目的を達成するために、例えば、この走査装置の連結部は、さらに、磁性流体シールのような真空シールを備えている。処理の清浄度を保全する任意の種類の可動真空シールは、本発明の範囲に含まれる。したがって、本発明は、さらに、クリーンな真空環境における運動生成とウエハ走査を達成するように動作可能なものである。
以上、本発明を特定の態様及び実施形態に関連させて図示及び説明してきたが、本明細書及び添付された図面の理解に基づいて、当業者が同等な変更及び修正に想至し得ることは理解されるであろう。特に、上述した構成要素(アセンブリ、装置、回路、システム等)によって実行される種々の機能に関して、そのような構成要素を説明するために使用された用語(「手段」に対する参照を含む)は、特に明示されない限り、ここに示された本発明の例示的な実施形態において特定の機能を実行する上述した構成要素のその機能を実行する(すなわち、機能的に同等である)任意の構成要素に、たとえ開示された構成に構造的に同等でなくても、相当するものである。加えて、本発明の特定の特徴がいくつかの態様のうちの1つのみに関連して開示された場合であっても、所定の又は特定の用途のために望ましくかつ有利であるように、そのような特徴を他の態様の1つ又はそれ以上の特徴と組み合わせることもできる。
図1は、本発明の一態様に従って、例示的な走査装置を示す平面図である。 図2は、本発明の別の態様に従って、図1に示す例示的な走査装置を示す側面図である。 図3は、本発明の別の例示的な態様従って、別の走査装置を示す平面図である。 図4は、本発明の別の例示的な態様に従って、例示的な固定ばね要素および移動ばね要素を示す透視図である。 図5は、本発明のさらに別の例示的な態様に従って、別の例示的な固定ばね要素および移動ばね要素を示す透視図である。 図6は、本発明のさらに別の態様に従って、例示的な走査システムを示すシステムレベルのブロック図である。 図7は、本発明の別の例示的な態様に従って、加工物の処理方法を示すブロック図である。

Claims (19)

  1. イオンビームに対して加工物を走査するための走査装置であって、
    ベース部と、
    該ベース部に回転可能に結合されたシャフトと、
    1つまたは複数の固定ばね要素を含む運動量バランス機構と、
    前記シャフトに結合されると共に、前記加工物が配置されるエンドエフェクタが動作可能に結合されたウエハアームと、
    前記シャフトに結合されると共に、前記ウエハアームに対して固定された移動アームと、を含んでおり、
    さらに、該移動アームは、該移動アームに動作可能に結合された移動ばね要素を含み、該移動ばね要素と前記1つまたは複数の固定ばね要素との間の力は、前記移動ばね要素を前記1つまたは複数の固定ばね要素から退けるように作用する反発力であり、前記エンドエフェクタは、第1走査経路に沿って移動し、かつ、前記運動量バランス機構は、前記シャフトに回転可能に結合され、1つまたは複数の前記移動アームと前記ウエハアームは、前記シャフトに固定されることを特徴とする走査装置。
  2. 前記運動量バランス機構は、前記シャフトに回転可能に結合された長尺の一対の運動量バランスアームを含み、前記1つまたは複数の固定ばね要素は、前記一対の運動量バランスアームに結合されることを特徴とする請求項1に記載の走査装置。
  3. 前記一対の運動量バランスアームは、前記シャフトに対してそれぞれ個別に回転可能に結合され、前記一対の運動量バランスアームの間の配向角度は可変であることを特徴とする請求項に記載の走査装置。
  4. 前記一対の運動量バランスアームに動作可能に結合された振幅制御機構をさらに含み、該振幅制御機構は、前記一対の運動量バランスアームの間の配向角度をほぼ定めることによって、それぞれの前記運動量バランスアームに関連する前記1つまたは複数の固定ばね要素の間の可変な距離を定め、それによって、前記移動ばね要素の振動の可変な振幅を定めることを特徴とする請求項に記載の走査装置。
  5. 前記1つまたは複数の固定ばね要素および前記移動ばね要素は、1つまたは複数の永久磁石または電磁石を含むことを特徴とする請求項1に記載の走査装置。
  6. 前記シャフトに関連するロータリーシールをさらに含み、前記ウエハアームは、処理チャンバーの内部に配置され、前記移動アームおよび前記運動量バランス機構は、前記処理チャンバーの外部に配置されており、前記ロータリーシールは、前記処理チャンバーの外部の環境を、前記処理チャンバーの内部の環境からほぼ隔離することを特徴とする請求項1に記載の走査装置。
  7. 前記シャフトに動作可能に結合された第1アクチュエータをさらに含み、該第1アクチュエータは、前記シャフトに第1軸回りの回転力を付与するように動作可能であることを特徴とする請求項1に記載の走査装置。
  8. 前記第1アクチュエータは、前記ベース部に固定されたサーボモータを含むことを特徴とする請求項に記載の走査装置。
  9. 前記エンドエフェクタ、前記シャフト、前記運動量バランス機構、前記移動ばね要素、および前記固定ばね要素の1つまたは複数の位置を検知するように動作可能である1つまたは複数のセンサ要素と、
    前記1つまたは複数のセンサ要素によって検知された位置に少なくとも部分的に基づいて、前記第1アクチュエータに供給されるパワー量を制御することにより、前記シャフトの回転速度を制御するように動作可能であるコントローラと、をさらに含み、
    前記エンドエフェクタの速度は、前記第1走査経路に沿って予め定められた走査範囲内で略一定であることを特徴とする請求項7または8に記載の走査装置。
  10. 前記運動量バランス機構は、前記シャフト回りに自由に回転可能であり、前記コントローラは、前記シャフトの回転速度を制御することにより前記反発力を制御することによって、前記運動量バランス機構の回転を制御するように動作可能であることを特徴する請求項に記載の走査装置。
  11. 前記エンドエフェクタは、第1連結部によって前記ウエハアームに動作可能に結合されており、前記エンドエフェクタは、さらに、前記ウエハアームに対して1つまたは複数の方向に移動するように動作可能であることを特徴とする請求項1に記載の走査装置
  12. 前記ベース部に動作可能に結合された第2アクチュエータを含む二次的平行移動機構をさらに含み、該二次的平行移動機構は、前記ベース部を第2走査経路に沿って移動させるように動作可能であり、前記第2走査経路は、前記第1走査経路の少なくとも一部に略直交することを特徴とする請求項1に記載の走査装置。
  13. イオンビームに対して加工物を走査するための方法であって、
    第1アクチュエータ、該第1アクチュエータに動作可能に結合されたシャフト、該シャフトに略回転自在に結合された運動量バランス機構、前記シャフトに固定されたウエハアーム、および前記シャフトに固定された移動アームを含む走査装置を用意する段階と、
    前記ウエハアームに関連するエンドエフェクタ上に前記加工物を配置する段階と、
    前記第1アクチュエータにパワーを供給することによって前記シャフトに回転力を付与する段階と、
    前記第1アクチュエータに供給されるパワー量および前記運動量バランス機構の配向を制御することによって、前記ウエハアームに関連する前記エンドエフェクタを第1走査経路に沿って振動させる段階と、
    を含むことを特徴とする方法。
  14. 前記運動量バランス機構は、さらに、ウエハアームおよび移動アームとは独立に回転するように動作可能な一対の運動量バランスアームに関連する1つまたは複数の磁石を含んでおり、前記移動アームは、さらに、該移動アームに関連する1つまたは複数の磁石を含み、前記移動アームに関連する前記磁石は、前記運動量バランスアームに関連する前記磁石によって反発され、前記第1アクチュエータの制御は、さらに、前記運動量バランスアームの回転を制御することを含んでいることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  15. 前記ベース部を、前記第1走査経路の少なくとも一部に対して略直交する方向に、直線的に移動させ、それによって、第2走査経路を定めることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  16. イオンビームに対して加工物を走査するための二次元走査装置であって、
    前記加工物が配置されるウエハアームと、
    該ウエハアームに結合され、前記ウエハアームを第1走査経路に沿って1つまたは複数の方向に移動させるように動作可能な第1アクチュエータと、
    1つまたは複数の磁石を有する運動量バランス機構とを含み、該運動量バランス機構は、前記加工物の移動方向を反転させるように動作可能であり、かつ、前記運動量バランス機構は、シャフトに回転可能に結合され、前記ウエハアームは、前記シャフトに固定されることを特徴とする二次元走査装置。
  17. 前記第1アクチュエータは、サーボモータを含み、前記第1走査経路は、全体的に曲線状であることを特徴とする請求項1に記載の二次元走査装置。
  18. 前記ウエハアームは、移動アームに結合され、該移動アームは、前記1つまたは複数の磁石とは別の1つまたは複数の磁石を有しており、前記運動量バランス機構が有する前記1つまたは複数の磁石は、前記移動アームが有する前記1つまたは複数の磁石に対して、前記加工物の移動方向を反転させるように作用することを特徴とする請求項1に記載の二次元走査装置。
  19. 前記1つまたは複数の磁石は、1つまたは複数の永久磁石および電磁石を含むことを特徴とする請求項1に記載の二次元走査装置。
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