JP4838554B2 - ボイラの制震支持構造 - Google Patents
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また、ボイラ本体と支持鉄骨との間に振動減衰装置を備えたものも知られている(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、本発明の発明者らは、度重なる試験の結果、死荷重を考慮した上で、死荷重を考慮しなければならない箇所に適切な制震部材を配置することにより、優れた地震応答低減効果を得ることができるとの知見を得た。
本発明によるボイラの制震支持構造は、柱、水平ブレース、および死荷重が加わる鉛直ブレースを備え、ボイラ本体を支持する支持鉄骨と、前記支持鉄骨に懸架され、前記ボイラ本体を熱による膨張収縮を許容するように吊り下げ支持する吊り下げ部材とを具備したボイラの制震支持構造であって、前記鉛直ブレースの代わりに制震機能を備えた制震ブレースが設けられており、これら制震ブレースは、下層階にいくほど大きな降伏荷重を有するように構成されていることを特徴とする。
このようなボイラの制震支持構造によれば、地震等により支持鉄骨に地震水平力が加わり、支持鉄骨が水平方向に変形したとしても、制震ブレースによりその振動エネルギーを吸収して減衰を付加させることができるので、地震等による支持架構の層せん断力を低減させることができ、支持鉄骨に作用する地震荷重を低減させることができるとともに、支持鉄骨の変形量を低減させることができ、支持鉄骨の耐震性を向上させることができる。
また、支持鉄骨に作用する地震荷重が低減されることにより、支持鉄骨の構成部材を薄肉化、軽量化することが可能となり、低コストのボイラ支持構造を得ることができる。
さらに、制震ブレースとして、例えば、本出願人が先に出願した特開2000−81085号公報に開示されている斜材、あるいは特願2004−369973に開示されている履歴ダンパを用いた場合には、その特定部位(ダンパー部)の断面積が縮小させられた(減少させられた)塑性化領域を有することとなるので、制震ブレース自体の軸剛性を高めることができるとともに、地震等により支持鉄骨に地震水平力が加わり、支持鉄骨が水平方向にわずかに変形したとしても、制震ブレースによりそのエネルギーを確実に吸収させることができる。
このようなボイラ設備によれば、ボイラ本体が耐震性に優れた支持鉄骨により支持されることとなるので、ボイラ設備全体の耐震性を向上させることができる。
このようなボイラの制震支持構造の制震改修工法によれば、制震ブレースは、既設の支持鉄骨に対して比較的容易に取り付けることができるので、既設の支持鉄骨の制震改修工事を簡単に実施することができるとともに、当該工事にかかる工事費を低減させることができる。
また、既設の支持鉄骨を構成していた鉛直ブレースの代わりに制震ブレースを用いるようにしているので、制震改修工事前後における見栄えの変化を最小限に抑えることができ、制震改修工事による支持鉄骨全体の重量増加や大型化を防止することができる。
さらに、地震等により支持鉄骨に地震水平力が加わり、支持鉄骨が水平方向に変形したとしても、制震ブレースによりその振動エネルギーを吸収して減衰を付加させることができるので、地震等による支持鉄骨の層せん断力を低減させることができ、支持鉄骨に作用する地震荷重を低減させることができるとともに、支持鉄骨の変形量を低減させることができ、支持鉄骨の耐震性を向上させることができる。
さらにまた、支持鉄骨に作用する地震荷重が低減されることにより、支持鉄骨の構成部材を薄肉化、軽量化することが可能となり、低コストのボイラ支持構造を得ることができる。
さらにまた、制震ブレースとして、例えば、本出願人が先に出願した特開2000−81085号公報に開示されている斜材、あるいは特願2004−369973に開示されている履歴ダンパを用いた場合には、その特定部位(ダンパー部)の断面積が縮小させられた(減少させられた)塑性化領域を有することとなるので、制震ブレース自体の軸剛性を高めることができるとともに、地震等により支持鉄骨に地震水平力が加わり、支持鉄骨が水平方向にわずかに変形したとしても、制震ブレースによりそのエネルギーを確実に吸収させることができる。
図1は、本実施形態に係るボイラの制震支持構造の概略構成図である。このボイラの制震支持構造10は、支持鉄骨11と、制震ブレース(制震部材)12とを主たる要素として構成されたものである。
なお、図1中の符号Bはボイラ本体を示しており、このボイラ本体Bは、運転中の熱膨張を拘束しないようにするため、複数本の吊り下げ部材(図示せず)を介して支持鉄骨11の頂部から吊り下げられている。
制震ブレース12は、圧縮力に対しても引張力と同等の塑性変形性能を有するものであり、柱11aと梁11bとの節部を結合する鉛直ブレースとしての役目も果たすものである。このような制震ブレース12としては、例えば、本出願人が先に出願した特開2000−81085号公報に開示されている斜材、あるいは特願2004−369973に開示されている履歴ダンパ等を用いることができる。
また、制震ブレース12は、下層階にいくほど(すなわち、図1において下側に配置されているものほど、言い換えれば、大きな死荷重が加わる位置に配置されているものほど)大きな降伏荷重を有するように構成されている。そして、各制震ブレース12は、高力ボルト等の締結部材を介して、柱11aおよび梁11bに固定されたガセットプレート(図示せず)に結合されている。
施工方法としては、まず、既設の支持鉄骨の鉛直ブレースを取り外し、取り外した鉛直ブレースの代わりに制震ブレース12を取り付ける。このとき、下層階にいくほど大きな降伏荷重を有するものが配置されるよう、注意しなければならない。
なお、図2に破線で示す「従来例」は、背景技術の欄のところで述べた特開平5−322103号公報に開示されている形式のボイラの制震支持構造を用いて行った解析結果である。
また、支持鉄骨11に作用する地震荷重が低減されることにより、支持鉄骨11の構成部材を薄肉化、軽量化することが可能となり、低コストのボイラ支持構造を得ることができる。
さらに、制震ブレース12として、例えば、本出願人が先に出願した特開2000−81085号公報に開示されている斜材、あるいは特願2004−369973に開示されている履歴ダンパを用いた場合には、その特定部位(ダンパー部)の断面積が縮小させられた(減少させられた)塑性化領域を有することとなるので、制震ブレース12自体の軸剛性を高めることができるとともに、地震等により支持鉄骨11に地震水平力が加わり、支持鉄骨11が水平方向にわずかに変形したとしても、制震ブレース12によりそのエネルギーを確実に吸収させることができる。
さらにまた、既設の支持鉄骨を構成していた鉛直ブレースの代わりに制震ブレース12を用いるようにしているので、制震改修工事前後における見栄えの変化を最小限に抑えることができ、制震改修工事による支持鉄骨全体の重量増加や大型化を防止することができる。
図3は、本実施形態に係るボイラの制震支持構造の概略構成図である。このボイラの制震支持構造20は、支持鉄骨21と、第1の制震ブレース(制震部材)22と、第2の制震ブレース(制震部材)23とを主たる要素として構成されたものである。
なお、図3中の符号Bはボイラ本体を示しており、このボイラ本体Bは、運転中の熱膨張を拘束しないようにするため、複数本の吊り下げ部材(図示せず)を介して支持鉄骨21の頂部から吊り下げられている。
第1の制震ブレース22は、下層階および中層階において柱21aと大梁21bとの節部を結合する鉛直ブレースとしての役目も果たすものであり、第2の制震ブレース23は、上層階において柱21aと大梁21bとの節部を結合する鉛直ブレースとしての役目も果たすものである。
これら制震ブレース22,23は、前述した制震ブレース12と同様、圧縮力に対しても引張力と同等の塑性変形性能を有するものである。このような制震ブレース22,23としては、例えば、本出願人が先に出願した特開2000−81085号公報に開示されている斜材、あるいは特願2004−369973に開示されている履歴ダンパ等を用いることができる。
また、これら制震ブレース22,23は、下層階にいくほど(すなわち、図3において下側に配置されているものほど、言い換えれば、大きな死荷重が加わる位置に配置されているものほど)大きな降伏荷重を有するように構成されている。すなわち、これら制震ブレース22,23は、最下層(1層および2層)に設置された第1の制震ブレース22、中間層(3層および4層)に設置された第1の制震ブレース22、上層(5層)に設置された第2の制震ブレース23、最上層(6層)に設置された第2の制震ブレース23の順に、その降伏荷重が小さくなるように構成されている。
そして、各制震ブレース22,23は、高力ボルト等の締結部材を介して、柱21a、大梁21b、あるいは小梁21cに固定されたガセットプレート(図示せず)に結合されている。
施工方法としては、まず、既設の支持鉄骨の鉛直ブレースを取り外し、取り外した鉛直ブレースの代わりに第1の制震ブレース22または第2の制震ブレース23を取り付ける。このとき、下層階にいくほど大きな降伏荷重を有するものが配置されるよう、注意しなければならない。鉛直ブレースを取り外した直後は、死荷重分を分担する補助部材などを設置しておけば、さらに施工上の安全が確保される。
その他の作用効果は、前述した第1実施形態のものと同じであるので、ここではその説明を省略する。
図4は、上記1柱1杭基礎構造30の側断面図である。この1柱1杭基礎構造30は、地盤Gに埋設された(あるいは打設された)杭31と、この杭31の鉛直上方に配置された接合ユニット(接合部材)32とを主たる要素として構成されたものである。
接合ユニット32は、鋼管杭31と略同じ外径を有する中空円筒状の部材(例えば、鋼製の部材)であり、その上端は、柱11a,21aの底板33を受け入れ易くするために開口端となっていて、その下端には、底板32aが設けられている。
そして、これら鋼管杭31と接合ユニット32とは、溶接により(あるいは添接板およびボルト・ナットを介して)接合されている。
まず、鋼管杭31を埋設しようとする所定位置の地盤Gに鋼管杭31を立てた後、鋼管杭31の先端部が支持層に到達するまで、図示しない圧入機等を用いて地盤G中に回転圧入する。
鋼管杭31の杭頭部に接合ユニット32を載せ、鋼管杭31の芯と接合ユニット32の芯とを一致させた後、これら鋼管杭31と接合ユニット32とを溶接により(あるいは添接板およびボルト・ナットを介して)接合する。
そして、接合ユニット32の開口端を通して、柱11a,21aの先端部を接合ユニット32の内部空間内に挿入し、後述する位置決め装置を用いて柱11a,21aの位置を所定の設置位置に移動させる。
この状態で接合ユニット32の内部空間内にコンクリート34を充填し、接合ユニット32と柱11a,21aとを接合し、一基礎構造の工事が完了する。
なお、接合ユニット32の内部に挿入される柱11a,21aの位置決め装置としては、例えば、本出願人が平成17年4月19日付けで出願した特願2005−120666に開示されているものを採用することができる。
また、この1柱1杭基礎構造30の施工方法によれば、鋼管杭31、接合ユニット32、および柱11a,21aが、それぞれ別部材として施工現場に搬入され、これら部材は、鋼管杭31の芯と接合ユニット32の芯とを一致させ、柱11a,21aの位置を調整した後に接合ユニット32と結合することで組み立てられるので、鋼管杭31に打設誤差があった場合でも組み立て後における柱11a,21aの位置を正確に決めることができ、杭の施工誤差を吸収することができる。
制震機能を有しない鉛直ブレースの代わりに、制震ブレース12,22,23を設置する場所は、支持鉄骨全体の構造や、吊り下げられるボイラ本体の重量等によって変わってくるため一概には言えない。制震ブレース12,22,23の設置場所は、支持鉄骨11,21の強度計算や制震計算の結果に基づいて決定される。
さらに、これらの機器が吊り下げられた状態ではないが、支持鉄骨の中間部〜上層部にて支持され、本発明と同様に上方側から支持鉄骨に死荷重重量が伝達されてくるような構造系に対しても適用できることは言うまでもない。
11 支持鉄骨
11a 柱
12 制震ブレース
20 制震支持構造
21 支持鉄骨
21a 柱
22 第1の制震ブレース
23 第2の制震ブレース
B ボイラ本体
Claims (3)
- 柱、水平ブレース、および死荷重が加わる鉛直ブレースを備え、ボイラ本体を支持する支持鉄骨と、
前記支持鉄骨に懸架され、前記ボイラ本体を熱による膨張収縮を許容するように吊り下げ支持する吊り下げ部材とを具備したボイラの制震支持構造であって、
前記鉛直ブレースの代わりに制震機能を備えた制震ブレースが設けられており、これら制震ブレースは、下層階にいくほど大きな降伏荷重を有するように構成されていることを特徴とするボイラの制震支持構造。 - 請求項1に記載のボイラの制震支持構造と、ボイラ本体とを備えてなることを特徴とするボイラ設備。
- 柱、水平ブレース、および死荷重が加わる鉛直ブレースを備え、ボイラ本体を支持する支持鉄骨と、
前記支持鉄骨に懸架され、前記ボイラ本体を熱による膨張収縮を許容するように吊り下げ支持する吊り下げ部材とを具備したボイラの制震支持構造の制震改修工法であって、
既設の支持鉄骨の鉛直ブレースを取り外し、取り外した鉛直ブレースの代わりに、下層階にいくほど大きな降伏荷重を有する制震ブレースを取り付けたことを特徴とするボイラの制震支持構造の制震改修工法。
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