以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。図1は、本実施形態のパチンコ機GMを示す斜視図である。このパチンコ機GMは、島構造体に着脱可能に装着される矩形枠状の木製外枠1と、外枠1に固着されたヒンジ2を介して開閉可能に枢着される前枠3とで構成されている。この前枠3には、遊技盤5が、裏側からではなく、表側から着脱自在に装着され、その前側には、ガラス扉6と前面板7とが夫々開閉自在に枢着されている。なお、遊技盤5を除く部分が本発明の本体枠に該当する。
ガラス扉6の外周には、LEDランプなどによる電飾ランプが、略C字状に配置されている。前面板7には発射用の遊技球を貯留する上皿8が装着され、前枠3の下部には、上皿8から溢れ出し又は抜き取った遊技球を貯留する下皿9と、発射ハンドル10とが設けられている。発射ハンドル10は発射モータと連動しており、発射ハンドル10の回動角度に応じて動作する打撃槌によって遊技球が発射される。
上皿8の外周面には、チャンスボタン11が設けられている。このチャンスボタン11は、遊技者の左手で操作できる位置に設けられており、遊技者は、発射ハンドル10から右手を離すことなくチャンスボタン11を操作できる。このチャンスボタン11は、通常時には機能していないが、ゲーム状態がボタンチャンス状態となると内蔵ランプが点灯されて操作可能となる。なお、ボタンチャンス状態は、必要に応じて設けられるゲーム状態である。
上皿8の右部には、カード式球貸し機に対する球貸し操作用の操作パネル12が設けられ、カード残額を3桁の数字で表示する度数表示部と、所定金額分の遊技球の球貸しを指示する球貸しスイッチと、ゲーム終了時にカードの返却を指令する返却スイッチとが設けられている。
図2に示すように、遊技盤5には、金属製の外レールと内レールとからなるガイドレール13が環状に設けられ、その内側の遊技領域5aの略中央には、液晶カラーディスプレイDISPが配置されている。また、遊技領域5aの適所には、図柄始動口15、大入賞口16、複数個の普通入賞口17(大入賞口16の左右に4つ)、2つの通過口であるゲート18が配設されている。これらの入賞口15〜18は、それぞれ内部に検出スイッチを有しており、遊技球の通過を検出できるようになっている。
液晶ディスプレイDISPは、大当り状態に係わる特定図柄を変動表示すると共に背景画像や各種のキャラクタなどをアニメーション的に表示する装置である。この液晶ディスプレイDISPは、中央部に特別図柄表示部Da〜Dcと右上部に普通図柄表示部19を有している。そして、特別図柄表示部Da〜Dcでは、大当り状態の招来を期待させるリーチ演出が実行されたり、特別図柄表示部Da〜Dc及びその周りでは、当否結果を不確定に報知する予告演出などが実行される。
普通図柄表示部19は普通図柄を表示するものであり、ゲート18を通過した遊技球が検出されると、普通図柄が所定時間だけ変動し、遊技球のゲート18の通過時点において抽出された抽選用乱数値により決定される停止図柄を表示して停止するようになっている。
図柄始動口15は、左右1対の開閉爪15aを備えた電動式チューリップで開閉されるよう例えば構成され、普通図柄表示部19の変動後の停止図柄が当り図柄を表示した場合には、開閉爪15aが所定時間だけ、若しくは、所定個数の遊技球を検出するまで開放されるようになっている。
図柄始動口15に遊技球が入賞すると、特別図柄表示部Da〜Dcの表示図柄が所定時間だけ変動し、図柄始動口15への遊技球の入賞タイミングに応じた抽選結果に基づいて決定される停止図柄で停止する。なお、特別図柄表示部Da〜Dc及びその周りでは、一連の図柄演出の間に、予告演出が実行される場合がある。
大入賞口16は、例えば前方に開放可能な開閉板16aで開閉制御されるが、特別図柄表示部Da〜Dcの図柄変動後の停止図柄が「777」などの大当り図柄のとき、「大当りゲーム」と称する特別遊技が開始され、開閉板16aが開放されるようになっている。
大入賞口16の開閉板16aが開放された後、所定時間が経過し、又は所定数(例えば10個)の遊技球が入賞すると開閉板16aが閉じる。このような動作は、最大で例えば15回まで特別遊技が継続され、遊技者に有利な状態に制御される。なお、特別図柄表示部Da〜Dcの変動後の停止図柄が特別図柄のうちの特定図柄であった場合には、特別遊技の終了後のゲームが高確率状態となるという特典が付与される。
図3は、遊技盤5と、本体枠BYとの関係を図示したものである。本体枠BYには、中央開口HOが形成されており、その中央開口HOに遊技盤5を嵌合させるだけで、本実施形態のパチンコ機GMが完成される。
中央開口HOの左端には、その上下内周面から鉛直内向きに回動軸PRが突出されている。また、中央開口HOの右端の下部には、枠側コネクタ群WCが交換可能に固定されている。一方、遊技盤5の左端面の上下には、回動軸PRを受け入れ可能な円弧溝GVが形成されている。また遊技盤5の右端の下部には、その背面側に、盤側コネクタ群BCが固定されている。
枠側コネクタ群WCと盤側コネクタBCは、それぞれフローティングコネクタの雄型コネクタと雌型コネクタとを構成している。フローティングコネクタとは、雄型コネクタと雌型コネクタの嵌合位置のズレを吸収できるコネクタであり、この実施形態では、何れか一方側のコネクタ群、例えば枠側コネクタ群WCが直交方向に±1.5mmのズレを吸収可能に構成されている。なお、図4について更に後述するが、この雌雄コネクタWC,BCは、枠側部材GM1と盤側部材GM2とを一箇所において集中接続するものであり、具体的には、4つの接続コネクタCN1〜CN4に区分されている。
なお、図示例では、本体枠BYから突出させた回動軸PRに、遊技盤5の円弧溝GVを係合させることで、遊技盤5を位置決めしつつ回動させるが(図3(c)参照)、この構成は必ずしも必須ではない。例えば、中央開口HOの左端の上下に、小さな当接板PTを固定することで、遊技盤5を位置決めして回動させる構成を採っても良い(図3(d)参照)。なお、当接板PTは、中央開口HOの前面ではなく後面に固定したのでも良い。更にまた、位置決め部材を全く設けない構成でも、フローティングコネクタのフローティング効果によって、適切に位置決めすることが可能であり、簡易的には、このような構成が採用される。
図4は、本実施形態のパチンコ機GMの全体回路構成を示すブロック図である。図中の一点破線は、主に、直流電圧ラインを示している。
図示の通り、このパチンコ機GMは、AC24Vを受けて各種の直流電圧やシステムリセット信号SYSなどを出力する電源基板20と、遊技制御動作を中心統括的に担う主制御基板21と、主制御基板21から受けた制御コマンドCMDに基づいてランプ演出及び音声演出を実行する演出制御基板22と、演出制御基板22から受けた制御コマンドCMD’に基づいて液晶ディスプレイDISPを駆動する液晶制御基板23と、主制御基板21から受けた制御コマンドCMD”に基づいて払出モータMを制御して遊技球を払い出す払出制御基板24と、遊技者の操作に応答して遊技球を発射させる発射制御基板25と、を中心に構成されている。
但し、この実施形態では、主制御基板21が出力する制御コマンドCMDは、コマンド中継基板26と演出インターフェイス基板27を経由して、演出制御基板22に伝送される。また、演出制御基板22が出力する制御コマンドCMD’は、演出インターフェイス基板27を経由して、液晶制御基板23に伝送され、主制御基板21が出力する制御コマンドCMD”は、主基板中継基板28を経由して、払出制御基板24に伝送される。なお、演出インターフェイス基板27と演出制御基板22とは、ケーブルを使用することなくコネクタによって直結されている。
これら主制御基板21、演出制御基板22、液晶制御基板23、及び払出制御基板24には、ワンチップマイコンを備えるコンピュータ回路がそれぞれ搭載されている。そこで、これらの制御基板21〜24に搭載された回路、及びその回路によって実現される動作を機能的に総称して、本明細書では、主制御部21、演出制御部22、液晶制御部23、及び払出制御部24と言うことがある。なお、演出制御部22、液晶制御部23、及び払出制御部24の全部又は一部がサブ制御部である。
ところで、このパチンコ機GMは、図3の破線で囲む枠側部材GM1と、遊技盤5の背面に固定された盤側部材GM2とに大別されている。枠側部材GM1には、ガラス扉6や前面板7が枢着された前枠3と、その外側の木製外枠1とが含まれており、機種の変更に拘わらず、長期間にわたって遊技ホールに固定的に設置される。一方、盤側部材GM2は、機種変更に対応して交換され、新たな盤側部材GM2が、元の盤側部材の代わりに枠側部材GM1に取り付けられる。なお、枠側部材1を除く全てが、盤側部材GM2である。
図4の破線枠に示す通り、枠側部材GM1には、電源基板20と、払出制御基板24と、発射制御基板25と、枠中継基板32と、外部端子基板33と、球貸機UTとのインターフェイス基板34とが含まれており、これらの回路基板が、前枠3の適所に各々固定されている。ここで、外部端子基板33は、遊技機背面の右上部に配置されている(図3(b))。一方、遊技盤5の背面には、主制御基板21、演出制御基板22、液晶制御基板23が、液晶ディスプレイDISPやその他の回路基板と共に固定されている。
そして、図3に示す通り、枠側部材GM1と盤側部材GM2とは、一箇所に集中配置された接続コネクタCN1〜CN4によって電気的に接続されている。図3(a)に示す通り、接続コネクタCN1〜CN4は、この実施形態では、中央開口HOの正面視右下に集中配置されている。そして、ガラス扉6を開放した状態で、前枠3の表側から、遊技盤5の左端を前枠3に係止して回転支点を確保し、確保した回転支点を中心に遊技盤5を回転させることで、前枠3の内側に遊技盤5を嵌合させる(図3(c)(d)参照)。なお、遊技盤5を嵌合させると、全ての接続コネクタCN1〜CN4が接続状態となり、それだけで枠側部材GM1と盤側部材GM2の接続が完了し、パチンコ機GMが動作可能な状態となる。
図4に示す通り、電源基板20は、接続コネクタCN2を通して、主基板中継基板28に接続され、接続コネクタCN3を通して、電源中継基板30に接続されている。そして、主基板中継基板28は、電源基板20から受けたシステムリセット信号SYS、RAMクリア信号、電圧降下信号、バックアップ電源、DC12V、DC32Vを、そのまま主制御部21に出力している。同様に、電源中継基板30も、電源基板20から受けたシステムリセット信号SYSや、交流及び直流の電源電圧を、そのまま演出インターフェイス基板27に出力している。なお、演出インターフェイス基板27は、受けたシステムリセット信号SYSを、そのまま演出制御部22と液晶制御部23に出力している。
一方、払出制御基板24は、中継基板を介することなく、電源基板20に直結されており、主制御部21が受けると同様の、システムリセット信号SYS、RAMクリア信号、電圧降下信号、バックアップ電源を、その他の電源電圧と共に直接的に受けている。
ここで、電源基板20が出力するシステムリセット信号SYSは、電源基板20に交流電源24Vが投入されたことを示す信号であり、この信号によって各制御部21〜24のワンチップマイコンその他のIC素子が電源リセットされるようになっている。主制御部21及び払出制御部24が、電源基板20から受けるRAMクリア信号は、各制御部21,24のワンチップマイコンの内蔵RAMの全領域を初期設定するか否かを決定する信号であって、係員が操作する初期化スイッチのON/OFF状態に対応した値を有している。
主制御部21及び払出制御部24が、電源基板20から受ける電圧降下信号は、交流電源24Vが降下し始めたことを示す信号であり、この電圧降下信号を受けることによって、各制御部21、24では、停電や営業終了に先立って、必要な終了処理を開始するようになっている。また、バックアップ電源は、営業終了や停電により交流電源24Vが遮断された後も、主制御部21と払出制御部24のワンチップマイコンの内蔵RAMのデータを保持するDC5Vの直流電源である。したがって、主制御部21と払出制御部24は、電源遮断前の遊技動作を電源投入後に再開できることになる(電源バックアップ機能)。このパチンコ機では少なくとも数日は、各ワンチップマイコンのRAMの記憶内容が保持されるよう設計されている。
一方、演出制御部22と液晶制御部23には、上記した電源バックアップ機能が設けられていない。しかし、先に説明した通り、演出制御部22と液晶制御部23には、電源中継基板30と演出インターフェイス基板27を経由して、システムリセット信号SYSが共通して供給されており、他の制御部21,24と、ほぼ同期したタイミングで電源リセット動作が実現される。
図4に示す通り、主制御部21は、遊技盤中継基板29を経由して、遊技盤5の各遊技部品に接続されている。そして、遊技盤上の各入賞口16〜18に内蔵された検出スイッチのスイッチ信号を受ける一方、電動チューリップなどのソレノイド類を駆動している。図2には図示していないが、遊技盤には、ソレノイドによって駆動される遊技部品も配置されている。なお、スイッチ信号には、図柄始動口15から伝送される入賞スイッチ信号が含まれる。
主制御部21は、制御コマンドCMD”と、管理コンピュータ(ホールコンピュータ)に伝送すべき8ビットの遊技情報INFとを、主基板中継基板28を経由して、払出制御部24に出力している。ここで、払出制御基板24と主基板中継基板28とは、接続コネクタCN1によって接続されている。そして、払出制御部24は、接続コネクタCN1を通して主制御部21から受けた制御コマンドCMD”に基づいて、指定数の賞球を払出している。具体的には、払出モータMを回転させることで必要な賞球動作を実現している。
一方、払出制御基板24は、遊技球の払出動作を示す賞球計数信号や、払出動作の異常に係わるステイタス信号CONを、接続コネクタCN1及び主基板中継基板28を経由して、主制御部21に送信している。なお、ステイタス信号CONには、例えば、補給切れ信号、払出不足エラー信号、下皿満杯信号が含まれる。
また、払出制御部24は、発射制御基板25に対して、交流電圧AC24Vと発射制御信号CTLを出力している。発射制御信号CTLは、発射ソレノイドを動作させる条件となるものであり、発射制御信号CTLがLレベルであると遊技球の発射動作が禁止される。
更にまた、払出制御部24は、外部端子基板33に対して、賞球信号とドア信号と遊技情報INFとを出力している。遊技情報INFは、主制御部21が出力した8ビット信号であり、賞球信号とドア信号を含めた合計10ビットのデータが、払出制御基板24から外部端子基板33に伝送される。外部端子基板33は、遊技ホールの全遊技機の一元管理をする管理コンピュータに接続されており、管理コンピュータは、各遊技機から受けた賞球信号などに基づいて、遊技機の動作状態を把握している。
図3(b)に示す通り、遊技情報INFを含んだ合計10ビットのデータは、+12Vの直流電圧と共に、遊技盤5の外周部を這うように、相当の長さで伝送される。したがって、+12Vの電源ラインや10ビットの信号ラインには、比較的ノイズが重畳しやすい状況となる。
また、払出制御部24は、インターフェイス基板34を経由して球貸機(プリペイドカードユニット)UTとも接続されており、球貸し動作に係わる各種の制御信号(BRDY,BRQ,EXS,PRDY)を送受している。また、払出制御部24は、インターフェイス基板34に交流24Vを出力している。
枠中継基板32は、音声演出を実現するスピーカ群や、ランプ演出を実現するLED群に接続されている。また、チャンスボタン11からのスイッチ信号を受けている。この枠中継基板32は、接続コネクタCN4を通して、遊技盤側の枠中継基板31に接続され、更に、演出インターフェイス基板27を経由して、演出制御部22に接続されている。
演出制御部22は、主制御部21から受けた制御コマンドCMDに基づいて、互いに同期した音声演出とランプ演出とを実行しており、スピーカ群やLED群は、実質的には、演出制御部22の制御に基づいて駆動される。スピーカ群を駆動する音声信号は、演出制御部22に搭載された音声合成ICで生成され、演出インターフェイス基板27に搭載されたデジタルアンプ→枠中継基板31→枠中継基板32を経由して伝送される。図示の通り、接続コネクタCN4を経由して、遊技盤側から枠側に伝送される。一方、LED群を駆動するランプ信号は、遊技盤側のLED群を駆動する場合には、演出制御部22→演出インターフェイス基板27→ランプ接続基板を経由して伝送される。又、枠側のLED群を駆動する場合には、演出制御部22→演出インターフェイス基板27→枠中継基板31→枠中継基板32を経由して伝送される。
また、演出制御部22は、演出インターフェイス基板27を経由して、液晶制御部23に制御コマンドCMD'を伝送するが、この制御コマンドCMD’は、主制御部21から受けた制御コマンドCMDそのものである。但し、演出制御部22において、制御コマンドCMDに基づく演出抽選を実行して演出内容を更に細分化し、この演出内容を特定する制御コマンドCMD’を伝送したのでも良い。この場合、液晶ディスプレイにおける図柄演出が、音声演出やランプ演出と整合した内容であることは勿論である。
ところで、演出インターフェイス基板27は、電源中継基板30を経由して電源基板20から受けたDC32Vをインバータ基板33に伝送している。そして、インバータ基板に搭載されているインバータ回路は、DC32Vに基づいて高電圧の交流電圧を生成し、液晶ディスプレイDISPのバックライト部に供給している。バックライト部は、冷陰極線管で構成されているが、大型の液晶ディスプレイDISPを鮮やかに明るく発光させることで、迫力ある図柄演出を実現している。
図5は、電源基板20の電源回路を示す回路図である。実施形態の電源回路は、24Vの交流電圧を受ける交流入力部41と、交流入力部41が出力する交流電圧を脈流に変換する整流部42と、脈流電圧を平滑化する平滑回路43と、脈流電圧を受けて各種の直流電圧を出力する安定化電源部44〜46と、バックアップ電源を生成する蓄電部47と、過大な交流電圧を受けると、交流電源ラインLacを遮断状態にする交流遮断部48と、交流入力部41が出力する交流電圧を整流する整流回路49と、過大な交流電圧を受けるとON動作して整流回路49の出力電圧を降下させるレベル判定部50と、整流回路49の出力電圧レベルに応じてON/OFF動作する直流遮断部51と、電源リセット信号SYSと電圧降下信号ABNを生成する電源監視回路52とで構成されている。なお、電源リセット信号は、システムリセット信号SYSに他ならない。
交流入力部41は、電源入力ラインPWの一方を溶断させる溶断ヒューズFu1と、電源入力ラインPW,PWを両断する電源スイッチSWと、機器内部のノイズが外部に漏出することを防止するラインフィルタ(L1,C1〜C3,R1)と、遊技球などの静電気を放電する帯電防止部(Sa,VR1〜VR3)とで構成されている。ラインフィルタは、各電源入力ラインPW,PWに、直列接続される一対のコイルL1と、一対のコイルL1の両端を接続する一対のコンデンサC1と、各電源入力ラインPW,PWとアース間に接続されるコンデンサC2,C3と、電源入力ラインPW,PWの間に接続される抵抗R1とで構成されている。
帯電防止部は、遊技球を蓄える遊技球タンク(不図示)に設けられた導電板に接続されたサージアブソーバSaと、各電源入力ラインPW,PWの間に接続されたバリスタVR1と、各電源入力ラインPW,PWとアース間に接続されたバリスタVR2,VR3とで構成されている。なお、タンク導電板とサージアブソーバSaの接続点は、フレームグランドFGに接続されている。
整流部42は、ブリッジ型の3つの全波整流回路で構成されている。すなわち、ダイオードD1,D2,D3,D4で第1整流回路が構成され、ダイオードD1,D2,D5,D6で第2整流回路が構成され、ダイオードD1,D2,D7,D8で第3整流回路が構成されている。
平滑回路43は、第1整流回路が出力する脈流を平滑するコンデンサC4と、直流電源ラインを溶断させる溶断ヒューズFu2とで構成されている。そして、平滑回路43から出力される+32Vの直流電圧は、主制御基板21や演出インターフェイス基板27を経由してソレノイド類に供給される(図4、図6)。なお、+32Vの直流電源ラインに過大な電流が流れると、溶断ヒューズFu2が溶断する。
安定化電源部44は、平滑コンデンサC5と、チョッパ型のDC−DCコンバータとで構成され、+12Vの直流電圧を出力している。そして、+12Vの直流電圧は、主制御基板21、払出制御基板24、及び液晶制御基板23に供給されている(図6)。
安定化電源部45は、平滑コンデンサC6と、チョッパ型のDC−DCコンバータとで構成され、+15Vの直流電圧を出力している。そして、+15Vの直流電圧は、演出インターフェイス基板27に搭載されたデジタルアンプだけに供給されている(図6)。このように、この実施形態では、デジタルアンプ専用の電源回路45を設けているので、大音量の迫力ある音声演出を実行しても、その電流負荷の大きさが他の回路に悪影響を与えることがない。因みに、本実施形態では、演出インターフェイス基板27に、2チャンネルの音声信号を受ける二台のデジタルアンプを搭載して、重低音を含む迫力ある音声演出を実現している。
安定化電源部46は、平滑コンデンサC6と、チョッパ型のDC−DCコンバータとで構成されて+5Vの直流電圧を出力している。そして、+5Vの直流電圧は、液晶制御基板23と演出インターフェイス基板27に供給されている。なお、主制御基板21と払出制御基板24で必要となるDC5Vの電圧については、各制御基板21,24で受けたDC12Vの電圧を降圧させて生成している(図6)。
蓄電部47は、ダイオードD9とコンデンサC7とで構成されている。この+5Vの直流電圧は、主制御部21と払出制御部24のワンチップマイコンの内蔵RAMのデータを保持するバックアップ電源となる(図6)。
交流遮断部48は、交流24Vの交流電源ラインLac1,Lac2に接続された2つのダイオードD13,D14と、ダイオードD13,D14の接続点に接続されたツェナーダイオードZD2及び抵抗R7の直列回路と、ダイオードD13,D14の上流側において、一方側の電源ラインLac1に直列接続された溶断ヒューズFu3とで構成されている。
2つのダイオードD13,D14は、交流電源ラインLac1,Lac2から交流電流が侵入しないよう、何れのダイオードD13,D14も、電流の侵入を阻止する方向に直列接続されている。また、ツェナーダイオードZD2は、他方側の電源ラインLac2から、ダイオードD13,D14の接続点に向けて、降伏電流が流れる向きに接続されている。
ツェナーダイオードZD2は、通常は、OFF状態であるが、交流電源ラインLac1,Lac2に過大な交流電圧(例えばAC100V)が加わると、降伏状態となる。この降伏状態では、電源ラインLac2→抵抗R7→ツェナーダイオードZD2→ダイオードD13→電源ラインLac1の経路で、ツェナーダイオードZD2の降伏電流が流れるので、溶断ヒューズFu3が溶断される。なお、抵抗R7は、ツェナーダイオードZD2やダイオードD13の破損を防止する保護抵抗である。
上記した溶断ヒューズFu3の溶断動作は、電源基板20から交流24Vを受ける払出制御部24などに過電流が流れなくても実現され、要するに、電源入力ラインPW,PWの過電圧に基づいて瞬間的に機能する点に大きな意義がある。交流遮断部48の動作内容は、以上の通りであり、交流電源ラインLac1,Lac2の両端電圧が限界値を超えると、一方側の交流電源ラインLac1を遮断する機能を果たしている。一方、交流電源ラインLac1,Lac2の両端電圧が正常時である場合には、ダイオードD13,D14、及びツェナーダイオードZD2は、OFF状態であるので、交流電源ラインLac1,Lac2に何らの影響を与えない。
整流回路49は、他方側の交流電源ラインLac2と、フレームグランドFGとの間に設けられた半波整流回路である。そして、ダイオードD12と、電流制限抵抗R4と、平滑コンデンサC9と、抵抗R5,R6が直列接続された負荷抵抗とで構成されている。なお、抵抗R4は、レベル監視部50に対する電流制限抵抗であり、また、直列接続された抵抗R5,R6は、スイッチング動作するパワートランジスタQ2のバイアス抵抗でもある。
整流回路49は、上記の通りに構成されるので、平滑コンデンサC9は、交流電源ラインLac2の交流電圧の波高値に近い値まで充電される。また、負荷抵抗として機能する抵抗R5,R6の両端電圧は、平滑された直流電圧となる。
レベル監視部50は、バイアス回路(R2,R3,C8)と、スイッチングトランジスタQ1とで構成されて、交流電源ラインLac1,Lac2の何れかが異常レベルでないかを監視している。そして、2つのダイオードD10,D11と、ツェナーダイオードZD1と、バイアス抵抗R2,R3とが、交流電源ラインLac1,Lac2とフレームグランドFGとの間に直列接続されている。ダイオードD10,D11は、各アノード端子が2つの交流電源ラインLac1,Lac2に別々に接続され、各カソード端子は互いに接続されている。また、ダイオードD10,D11の接続点には、ツェナーダイオードZD1が、ダイオードD10,D11とは逆向きに、つまり、電流を阻止する方向に直列接続されている。
また、直列接続されたバイアス抵抗R2,R3の両端には、コンデンサC8が並列接続されている。そして、直列接続されたバイアス抵抗R2,R3の接続点に、トランジスタQ1のベース端子が接続されている。また、トランジスタQ1のコレクタ端子は、電流制限抵抗R4と平滑コンデンサC9の接続点に接続され、トランジスタQ1のエミッタ端子は、フレームグランドFGに接続されている。
一方、直流遮断部51は、大電流容量のパワートランジスタQ2と、平滑コンデンサC9に並列接続された抵抗R5,R6とで構成されている。2つの抵抗R5,R6は直列接続されており、その接続点は、パワートトランジスタQ2のベース端子に接続されている。なお、抵抗R6は、パワートトランジスタQ2のベース端子とエミッタ端子との間に接続されている。これら2つの抵抗R5,R6は、パワートトランジスタQ2のバイアス抵抗として機能する。またパワートランジスタQ2のコレクタ端子はグランドに接続され、エミッタ端子は、フレームグランドFGに接続されている。
正常状態では、整流回路49の平滑コンデンサC9の両端には、所定レベルの直流電圧が発生している。そのため、パワートランジスタQ2は、ベース端子に十分な正電圧を受けることでON状態となり、コレクタ端子とエミッタ端子間は導通状態となる。したがって、フレームグランドFGとアース間も導通状態である。
参考図に示す通り、トランジスタQ2のコレクタ端子とエミッタ端子は、整流部42と平滑回路43など接続する位置に配置されており、トランジスタQ2はON状態であることを条件に、平滑回路43や安定化電源部44〜46などが機能することになる。
ここで、交流電源ラインLac1,Lac2の何れかと、フレームグランドFGとの電位差が、ツェナーダイオードZD1の降伏電圧を超える異常時を想定する。かかる異常時には、ダイオードD10又はダイオードD11→ツェナーダイオードZD1→バイアス抵抗R2,R3の向きに電流が流れ、トランジスタQ1のベース電位を上昇させる。そのため、トランジスタQ1は、OFF状態からON状態に遷移して、平滑コンデンサC9の両端電圧を急激に降下させる。
すると、パワートランジスタQ2のベース電位も降下するので、パワートランジスタQ2がON状態からOFF状態に遷移することになる。そして、パワートランジスタQ2が開放状態となって、平滑回路43や安定化電源部44〜46への給電が停止されて、各回路が非動作状態となる。
実施形態の電源回路の構成は、以上の通りであり、3つの溶断ヒューズFu1〜Fu3に加えて、交流遮断部48と、直流遮断部51とを特徴的に備えている。したがって、AC24Vの交流電源ラインに、誤って交流100Vを加えてしまう場合でも(少なからず発生するトラブルである)、ICやその他の電子素子の破損が有効に防止される。すなわち、AC100Vの過電圧は、バイアス抵抗R2,R3を経由してトランジスタQ1をON動作させるので、直ちに、トランジスタQ2がOFF状態となり、アースラインが切断されて、安定化電源部44〜46を保護すると共に、直流電源の供給を受ける各制御基板上のICや電子素子を保護する。しかも、交流電圧が正常値に戻ると、トランジスタQ2もON状態に復帰し、電源回路は正常な動作を再開する。
この点、溶断ヒューズFu1は、一度溶断すると自然復帰ができない。しかも、溶断ヒューズFu1は、電圧レベルに反応するのではなく、熱損失(電力量)に基づいて動作するので瞬間的には反応できず、溶断ヒューズFu1の溶断以前に流れる過大電流によって電子素子が壊れる可能性がある。
また、電源ラインにAC100Vの過電圧が加わっても、例えば、何らかの電子素子の焼損によって、結果的に過電流が防止されることもあり、このような場合には、溶断ヒューズFu1が溶断しない可能性もある。かかる場合には、もし、溶断ヒューズFu1しか存在しない場合には、払出制御部のAC24VラインにAC100Vが供給され続けることになる。しかし、本実施形態では、交流遮断部48が機能して交流電源ラインを切断するので、AC100Vが供給され続けるトラブルが未然防止される。
図6は、上記した電源基板20と、電源基板20から電源の供給を受ける各制御基板21〜25,27及びインバータ基板33との関係を確認的に図示したものである。図示の通り、+12Vの直流電圧は、主制御基板21と、払出制御基板24と、液晶制御基板23とに供給されている。そして、各制御基板21,23,24では、基板内部の安定化電源回路によってDC12Vを所定電圧(例えばDC5V、3.3Vなど)に降圧させて、CPUを含むコンピュータ回路の電源電圧としている。したがって、DC12Vの電源ラインを通して、各制御基板のコンピュータ回路が結合して電源ノイズが伝送されることはない。なお、主制御基板21に伝送されたDC12Vは、図柄始動口15の入賞スイッチ信号を受ける入力部にも供給されており、入賞スイッチ信号のON/OFFレベルを大きく確保できるようにしている。
一方、+5Vの直流電圧は、電源基板20から、演出インターフェイス基板27と液晶制御基板23に供給されている。そして、液晶制御基板23は、受けたDC5Vを、基板内部の安定化電源回路によって1.5Vと2.5Vに降圧させて、VDP(Video Display Processor)やワンチップマイコンを含むコンピュータ回路の電源電圧としている。
同様に、演出インターフェイス基板27は、受けたDC5Vを、基板内部の安定化電源回路によって3.3Vに降圧させて、CPUを含むコンピュータ回路の電源電圧とし、そのまま演出制御基板22に伝送している。先に説明した通り、演出インターフェイス基板27と演出制御基板22とは、配線ケーブルを伴うことなくコネクタで直結されており、実質的には、単一の基板であると評価することができる。
したがって、DC5Vの電源ラインを通して、演出制御基板22や液晶制御基板23のコンピュータ回路が結合して電源ノイズが伝送されることはない。また、電源基板20には直流遮断部51が設けられているので、例え、電源基板20にAC100Vの交流電圧が供給されても、設定値より高い直流電圧が、各制御基板21〜24に供給されることもない。なお、+12Vの直流電源は、外部端子基板33にも供給されるが、電源基板20に直流遮断部51が設けられているので、外部端子基板33に、過大な直流電圧が供給されるおそれもない。
また、+32Vの直流電圧は、電源基板20から、主制御基板21と演出インターフェイス基板27に供給されている。主制御基板21に供給されたDC32Vは、遊技盤中継基板29を経由して、遊技盤のソレノイドに配電され、電動チューチップや往復運動する遊技部品を駆動する電源として使用される。一方、演出インターフェイス基板27に供給されたDC32Vは、そのままインバータ基板33に供給される。そして、インバータ回路によって高電圧の交流電圧に変換されて液晶ディスプレイDISPのバックライト部を駆動している。
また、遊技球を発射させるための発射ソレノイドにも+32Vが供給されるが、このDC32Vは、電源基板20から、払出制御基板24を経由して発射制御基板25に供給される交流24Vに基づいて生成されている。そのため、発射ソレノイドの電磁ノイズが、電源ラインを通して主制御基板21に伝送されることはない。
本実施形態では、大型の液晶ディスプレイDISPを明るく派手に駆動するため、バックライト部の電力消費量はその分だけ多く、+32Vの電源ラインの電流値も多い。しかも、+32Vの電源ラインには、ソレノイドのON/OFF動作に伴って電磁ノイズも重畳する。しかし、+32Vの直流電圧は、+12Vや+5Vの直流電圧とは別回路で生成されて電源ラインも別経路であるので、電磁ノイズが直接的に他の電源ラインに伝送されることはない。特に、コンピュータ回路の電源電圧(5V,3.3V,2.5V,1.5V)は、各回路基板の安定化電源回路で生成されるのは先に説明した通りであり、コンピュータ回路が誤動作する可能性は極めて低い。
ところで、何らかの理由によって、+32Vの電源ラインに過大な電流が流れる可能性も有り得る。しかし、このような異常時には、電源基板20に設置されている溶断ヒューズFu2がいち早く溶断されるよう、2つの溶断ヒューズFu1、Fu2の電流容量が設定されているので、+32Vの電源ラインの異常によって、遊技制御動作が停止されるおそれはない。
すなわち、例えば、インバータ基板33の異常によって過電流が流れても、溶断ヒューズFu2の溶断によって液晶ディスプレイのバックライトが消えるだけであり、他の電源ライン(5V,12V,15V)の給電が維持されるので、遊技制御動作は問題なく維持される。
一方、+32Vの電源ライン以外の電源ライン(5V,12V,15V)に過大な電流が流れた場合には、溶断ヒューズFu1が溶断されるので、各制御部の電子素子が焼損されることが未然に防止される。
更にまた、電源基板20には交流遮断部48が設けられているので、発射制御基板25や玉貸機UTに過電流が流れれば、溶断ヒューズFu3が溶断される。なお、電源基板20に、AC100Vの交流電圧が供給された場合にも、交流遮断部48が機能するので、設定値より高い交流電圧が発射制御基板25や玉貸機UTに供給されることもない。
以上、本発明の実施形態を具体的に説明したが、具体的な記載内容は何ら本発明を限定するものではなく、各種の改変が可能である。特に、直流遮断部や交流遮断部を実現する回路構成は、例示した回路に限定されるものではなく適宜に改変される。また、枠側コネクタ群WCや盤側コネクタ群BCの配置位置や構造も、適宜に変更されて良い。