図1は前扉を閉めた状態を示すスロットマシンの正面図、図2は前扉を180度開いた状態を示すスロットマシンの正面図を示す。
図1及び図2中、100はスロットマシンを示すもので、このスロットマシン100は、図1に示すように、スロットマシン本体120と、このスロットマシン本体120の前面片側にヒンジ等により開閉可能に取り付けられた前扉130とを備えている。前記前扉130の前面には、図1に示すように、ほぼ中央にゲーム表示部131を設け、ゲーム表示部131の右下隅部に、遊技者がメダルを投入するためのメダル投入口132を設け、メダル投入口132の下側には、メダル投入口132から投入され、詰まってしまったメダルをスロットマシン100外に強制的に排出するためのリジェクトボタン133が設けられている。
また、前記ゲーム表示部131の左下方には、ゲームを開始するためのスタートスイッチ134を設けてあり、3つのリールのそれぞれに対応して3つのストップボタン140を設けてある。前扉の下端部中央には、メダルの払出し口135を設けてある。前記ゲーム表示部131の上側には、液晶表示装置LCDが設けてある。
液晶表示装置LCDの位置には可動体50が設けられている。可動体50は2つのシャッター(可動要素)51L及び51Rを備える。2つのシャッター51L及び51Rは演出に従い左右に動き、液晶表示装置LCDを隠す。同図では、2つのシャッター51L及び51Rがそれぞれ左右に一杯に開き、液晶表示装置LCDが露出している(遊技者が画面をみることができる)状態を示している。
なお、図1の可動体50は一例であり、他の形態のものもある。例えば、液晶表示装置LCDがゲーム表示部131の右側に設けられているときは可動体50も同じ位置に設けられる。可動体50のシャッター51Lと51Rで隠されるものが、LEDや電球などの電飾である場合もある。シャッターの数が1枚であることもある。
可動体50はシャッター式のものであったが、回転円盤を備えるような可動体もある。例えば、円盤の上に発光素子や装飾が載り、他の演出に併せて円盤が回転し、これにより発光素子や装飾が見えたり見えなかったりするものである。
図1の例では、ゲーム表示部131の左側には可動体50’が一つ設けられている。可動体50’は可動要素を可動させることにより、その内部の意匠を遊技者に見せたり隠したりするものである。
可動体50、50’はそれぞれ可動部を動かすためのモータ50M、50’Mと、可動部の状態を検知するためのセンサ57、57’とを備えている。可動体50、50’の構造やシャッター51Lと51Rなどの可動部の駆動機構は公知のであるので、その説明は省略する。
スロットマシン本体120の内部には、図2に示すように、その内底面に固定され、内部に複数のメダルを貯留して、貯留したメダルを前扉130の前面に設けた払出し口135に1枚ずつ払い出すためのホッパ装置121が設置されている。このホッパ装置121の上部には、上方に向けて開口し、内部に複数のメダルを貯留するホッパタンク122を備えている。スロットマシン本体120の内部には、前扉130を閉めたときにゲーム表示部131が来る位置に三個のリールからなるリールユニット203が設置されている。リールユニット203は、外周面に複数種類の図柄が配列されている3つのリール(第1リール〜第3リール)を備えている。ゲーム表示部131には開口部が設けられていて、それを通して遊技者が前記リールユニット203の各回転リールの図柄を見ることができるようになっている。ホッパ装置121の上側のリールユニット203との間には電源部205が設けられている。
前記前扉130の裏面には、図2に示すように、メダル(コイン)セレクタ1が、前扉130の前面に設けられたメダル投入口132の裏側に取り付けられている。このメダルセレクタ1は、メダル投入口132から投入されたメダルの通過を検出しながら、当該メダルをホッパ装置121に向かって転動させ、外径が所定寸法と違う異径メダルや、鉄又は鉄合金で作製された不正メダルを選別して排除するとともに、1ゲームあたりに投入可能な所定枚数以上のメダルを選別して排除するための装置である。
また、メダルセレクタ1の下側には、図2に示すように、その下部側を覆って前扉130の払出し口135に連通する導出路136が設けられている。メダルセレクタ1により振り分けられたメダルは、この導出路136を介して払出し口135から遊技者に返却される。
図3は発明の実施の形態に係るスロットマシン100の機能ブロック図を示す。
スロットマシン100は、その主要な処理装置としてメイン基板10とこれからコマンドを受けて動作するサブ基板20とを備える。なお、少なくともメイン基板10は、外部から接触不能となるようにケース内部に収容され、これら基板を取り外す際に痕跡が残るように封印処理が施されている。電源部205は、少なくともメイン基板10、サブ基板20及びサブ基板20に接続されている周辺基板に電流を供給している(図5参照)。
メイン基板10は、遊技者の操作を受けて内部抽選を行ったり、リールの回転・停止やメダルの払い出しなどの処理を行うためのものである。メイン基板10は、予め設定されたプログラムに従って制御動作を行うCPUと、前記プログラムを記憶する記憶手段であるROMおよび処理結果などを一時的に記憶するRAMを含む。
サブ基板20は、メイン基板10からコマンド信号を受けて内部抽選の結果を報知したり各種演出を行うためのものである。サブ基板20は、前記コマンド信号に応じた予め設定されたプログラムに従って制御動作を行うCPUと、前記プログラムを記憶する記憶手段であるROMおよび処理結果などを一時的に記憶するRAMを含む。コマンドの流れはメイン基板10からサブ基板20への一方のみであり、逆にサブ基板20からメイン基板10へコマンド等が出されることはない。
メイン基板10にはスタートスイッチ134,ストップボタン140,リールユニット(リール駆動装置を含む)203,リール位置検出回路71、ホッパ駆動部80、ホッパ81及びホッパ81から払い出されたメダルの枚数を数えるためのメダル検出部82(これらは前述のホッパ装置121を構成する)が接続されている。
ホッパ駆動部80は、ホッパ81を回転駆動して、メイン基板10によって指示された払出数のメダルを払い出す動作を行う。遊技機は、メダルを1枚払い出す毎に作動するメダル検出部82を備えており、メイン基板10は、メダル検出部82からの入力信号に基づいてホッパ81から実際に払い出されたメダルの数を管理することができる。
メイン基板10には、さらに、メダルセレクタ1のメダルセンサS1及びS2が接続されている。
メダルセレクタ1には、メダルを計数するためのメダルセンサS1及びS2が設けられている。メダルセンサS1及びS2は、メダルセレクタ1に設けられた図示しないメダル通路の下流側(出口近傍)に設けられている(メダル通路の上流側はメダル投入口132に連通している)。2つのメダルセンサS1とS2は、メダルの進行方向に沿って所定間隔を空けて並べて設けられている。メダルセンサS1、S2は、例えば、互いに対向した発光部と受光部とを有して断面コ字状に形成され、その検出光軸をメダル通路内に上方から臨ませて位置するフォトインタラプタである。各フォトインタラプタにより、途中で阻止されずに送られてきたメダルの通過が検出される。なお、フォトインタラプタを2つ隣接させたのは、メダル枚数を検出するだけでなく、メダルの通過が正常か否かを監視するためである。すなわち、フォトインタラプタを2つ隣接させて設けることにより、メダルの通過速度や通過方向を検出することができ、これによりメダル枚数だけでなく、逆方向に移動する不正行為を感知することができる。
サブ基板20には液晶表示装置の制御用の液晶制御基板200、スピーカ基板201、LED基板202などの周辺基板(ローカル基板)が接続されている(液晶制御基板200、スピーカ基板201がサブ基板20上に設けられ、これらが一体となっているものもある)。さらに、可動体50、50’(モータ50M、50’Mとセンサ57、57’を含む)が接続されている。
メイン基板10は、メダルセレクタ1のメダルセンサS1とS2の出力を受け、遊技毎にメダルの投入を受け付けて、規定投入数に相当するメダルが投入されたことに基づいて、スタートスイッチ134に対する第1リール〜第3リールの回転開始操作を許可する処理を行う(投入受付機能)。なお、スタートスイッチ134の押下操作が、第1リール〜第3リールの回転を開始させる契機となっているとともに、内部抽選を実行する契機となっている。また、遊技状態に応じて規定投入数を設定し、通常状態およびボーナス成立状態では規定投入数を3枚に設定し、ボーナス状態では規定投入数を1枚に設定する。
メダルが投入されると、遊技状態に応じた規定投入数を限度として、投入されたメダルを投入状態に設定する。あるいは、遊技機にメダルがクレジットされた状態で、ベットスイッチBETが押下されると、遊技状態に応じた規定投入数を限度して、クレジットされたメダルを投入状態に設定する。メダルの投入を受け付けるかどうかは、メイン基板10が制御する。メダルの投入を受け付ける状態になっていないときは(許可されていないときは)、メダルを投入してもメダルセンサS1、S2でカウントされず、そのまま返却される。同様に、メイン基板10はベットスイッチBETの有効/無効を制御する。ベットスイッチBETが有効になっていないときは(許可されていないときは)、ベットスイッチBETを押下しても、それは無視される。
メイン基板10は、乱数発生手段を内蔵する(図示せず)。乱数発生手段は、抽選用の乱数値を発生させる手段である。乱数値は、例えば、インクリメントカウンタ(所定のカウント範囲を循環するように数値をカウントするカウンタ)のカウント値に基づいて発生させることができる。なお本実施形態において「乱数値」には、数学的な意味でランダムに発生する値のみならず、その発生自体は規則的であっても、その取得タイミング等が不規則であるために実質的に乱数として機能しうる値も含まれる。
メイン基板10は、遊技者がスタートスイッチ134からのスタート信号に基づいて、役の当否を決定する内部抽選を行う(内部抽選機能)。すなわち、抽選テーブル選択処理、乱数判定処理、抽選フラグ設定処理などを行う。
抽選テーブル選択処理では、図示しない記憶手段(ROM)に格納されている複数の抽選テーブル(図示せず)のうち、いずれの抽選テーブルを用いて内部抽選を行うかを決定する。抽選テーブルでは、複数の乱数値(例えば、0〜65535の65536個の乱数値)のそれぞれに対して、リプレイ、小役(ベル、チェリー)、レギュラーボーナス(RB:ボーナス)、およびビッグボーナス(BB:ボーナス)などの各種の役が対応づけられている。また、遊技状態として、通常状態、ボーナス成立状態、およびボーナス状態が設定可能とされ、さらにリプレイの抽選状態として、リプレイ無抽選状態、リプレイ低確率状態、リプレイ高確率状態が設定可能とされる。
乱数判定処理では、スタートスイッチ134からのスタート信号に基づいて、遊技毎に前記乱数発生手段(図示せず)から乱数値(抽選用乱数)を取得し、取得した乱数値について前記抽選テーブルを参照して役に当選したか否かを判定する。
抽選フラグ設定処理では、乱数判定処理の結果に基づいて、当選したと判定された役の抽選フラグを非当選状態(第1のフラグ状態、オフ状態)から当選状態(第2のフラグ状態、オン状態)に設定する。2種類以上の役が重複して当選した場合には、重複して当選した2種類以上の役のそれぞれに対応する抽選フラグが当選状態に設定される。抽選フラグの設定情報は、記憶手段(RAM)に格納される。
入賞するまで次回以降の遊技に当選状態を持ち越し可能な抽選フラグ(持越可能フラグ)と、入賞の如何に関わらず次回以降の遊技に当選状態を持ち越さずに非当選状態にリセットされる抽選フラグ(持越不可フラグ)とが用意されていることがある。この場合、前者の持越可能フラグが対応づけられる役としては、レギュラーボーナス(RB)およびビッグボーナス(BB)があり、それ以外の役(例えば、小役、リプレイ)は後者の持越不可フラグに対応づけられている。すなわち抽選フラグ設定処理では、内部抽選でレギュラーボーナスに当選すると、レギュラーボーナスの抽選フラグの当選状態を、レギュラーボーナスが入賞するまで持ち越す処理を行い、内部抽選でビッグボーナスに当選すると、ビッグボーナスの抽選フラグの当選状態を、ビッグボーナスが入賞するまで持ち越す処理を行う。このときメイン基板10は、内部抽選機能により、レギュラーボーナスやビッグボーナスの抽選フラグの当選状態が持ち越されている遊技でも、レギュラーボーナスおよびビッグボーナス以外の役(小役およびリプレイ)についての当否を決定する内部抽選を行っている。すなわち抽選フラグ設定処理では、レギュラーボーナスの抽選フラグの当選状態が持ち越されている遊技において、内部抽選で小役あるいはリプレイが当選した場合には、既に当選しているレギュラーボーナスの抽選フラグと内部抽選で当選した小役あるいはリプレイの抽選フラグとからなる2種類以上の役に対応する抽選フラグを当選状態に設定し、ビッグボーナスの抽選フラグの当選状態が持ち越されている遊技において、内部抽選で小役あるいはリプレイが当選した場合には、既に当選しているビッグボーナスの抽選フラグと内部抽選で当選した小役あるいはリプレイの抽選フラグとからなる2種類以上の役に対応する抽選フラグを当選状態に設定する。
メイン基板10は、所定条件下で内部抽選におけるリプレイの当選確率を変動させる制御を行うことがある(リプレイ確率変動機能)。リプレイの抽選状態として、リプレイが内部抽選の対象から除外されるリプレイ無抽選状態、リプレイの当選確率が約1/7.3に設定されるリプレイ低確率状態、およびリプレイの当選確率が約1/6に設定されるリプレイ高確率状態という複数種類の抽選状態を設定可能とされている。リプレイの抽選状態を変化させることにより、内部抽選におけるリプレイの当選確率を変動させる。
メイン基板10は、遊技者のスタートスイッチ134の押下操作(回転開始操作)によるスタート信号に基づいて、第1リール〜第3リールをステッピングモータにより回転駆動させ、第1リール〜第3リールの回転速度が所定速度(約80rpm:1分間あたり約80回転となる回転速度)に達した状態において回転中のリールにそれぞれ対応する3つのストップボタン140の押下操作(停止操作)を許可する制御を行うとともに、ステッピングモータにより回転駆動されている第1リール〜第3リールを抽選フラグの設定状態(内部抽選の結果)に応じて停止させる制御を行う(リール制御機能)。
メイン基板10は、3つのストップボタン140に対する押下操作(停止操作)が許可(有効化)された状態において、遊技者が3つのストップボタン140を押下することにより、そのリール停止信号に基づいて、リールユニット203のステッピングモータへの駆動パルス(モータ駆動信号)の供給を停止することにより、第1リール〜第3リールの各リールを停止させる制御を行う。
すなわち、メイン基板10は、3つのストップボタン140の各ボタンが押下される毎に、第1リール〜第3リールのうち押下されたボタンに対応するリールの停止位置を決定して、決定された停止位置でリールを停止させる制御を行っている。具体的には、記憶手段(ROM)に記憶されている停止制御テーブル(図示せず)を参照して3つのストップボタンの押下タイミングや押下順序等(停止操作の態様)に応じた第1リール〜第3リールの停止位置を決定し、決定された停止位置で第1リール〜第3リールを停止させる制御を行う。
ここで停止制御テーブルでは、ストップボタン140の作動時点における第1リール〜第3リールの位置(押下検出位置)と、第1リール〜第3リールの実際の停止位置(または押下検出位置からの滑りコマ数)との対応関係が設定されている。抽選フラグの設定状態に応じて、第1リール〜第3リールの停止位置を定めるための停止制御テーブルが用意されることもある。
遊技機では、リールユニット203がフォトセンサからなるインデックスセンサ(図示せず)を備えており、メイン基板10は、リールが1回転する毎にインデックスセンサで検出される基準位置信号に基づいて、リールの基準位置(インデックスセンサによって検出されるコマ)からの回転角度(ステップモータの回転軸の回転ステップ数)を求めることによって、現在のリールの回転状態を監視することができるようになっている。すなわち、メイン基板10は、ストップボタン140の作動時におけるリールの位置を、リールの基準位置からの回転角度を求めることにより得ることができる。
メイン基板10は、いわゆる引き込み処理と蹴飛ばし処理とをリールを停止させる制御として行っている。引き込み処理とは、抽選フラグが当選状態に設定された役に対応する図柄が有効な入賞判定ライン上に停止するように(当選した役を入賞させることができるように)リールを停止させる制御処理である。一方蹴飛ばし処理とは、抽選フラグが非当選状態に設定された役に対応する図柄が有効な入賞判定ライン上に停止しないように(当選していない役を入賞させることができないように)リールを停止させる制御処理である。すなわち本実施形態の遊技機では、上記引き込み処理及び蹴飛ばし処理を実現させるべく、抽選フラグの設定状態、ストップボタン140の押下タイミング、押下順序、既に停止しているリールの停止位置(表示図柄の種類)などに応じて各リールの停止位置が変化するように停止制御テーブルが設定されている。このように、メイン基板10は、抽選フラグが当選状態に設定された役の図柄を入賞の形態で停止可能にし、一方で抽選フラグが非当選状態に設定された役の図柄が入賞の形態で停止しないように第1リール〜第3リールを停止させる制御を行っている。
本実施形態の遊技機では、第1リール〜第3リールが、ストップボタン140が押下された時点から190ms以内に、押下されたストップボタンに対応する回転中のリールを停止させる制御状態に設定されている。すなわち回転している各リールの停止位置を決めるための停止制御テーブルでは、ストップボタン140の押下時点から各リールが停止するまでに要するコマ数が0コマ〜4コマの範囲(所定の引き込み範囲)で設定されている。
メイン基板10は、第1リール〜第3リールの停止態様に基づいて、役が入賞したか否かを判定する処理を行う。具体的には、記憶手段(ROM)に記憶されている入賞判定テーブルを参照しながら、第1リール〜第3リールの全てが停止した時点で入賞判定ライン上に表示されている図柄組合せが、予め定められた役の入賞の形態であるか否かを判定する(入賞判定機能)。
メイン基板10は、入賞判定機能による判定結果に基づいて、入賞時処理を実行する。入賞時処理としては、例えば、小役が入賞した場合にはホッパ81を駆動してメダルの払出制御処理が行われるか、あるいはクレジットの増加され(規定の最大枚数例えば50枚まで増加され、それを超えた分だけ実際にメダル払い出される)、リプレイが入賞した場合にはリプレイ処理が行われ、ビッグボーナスやレギュラーボーナスが入賞した場合には遊技状態を移行させる遊技状態移行制御処理が行われる。
メイン基板10は、遊技結果に応じたメダルの払い出しに関する払出制御処理を行う(払出制御機能)。具体的には、小役が入賞した場合に、役毎に予め定められている配当に基づいて遊技におけるメダルの払出数を決定し、決定された払出数に相当するメダルを、ホッパ駆動部80でホッパ81を駆動して払い出させる。
メダルのクレジット(内部貯留)が許可されている場合には、ホッパ81によって実際にメダルの払い出しを行う代わりに、記憶手段(RAM)のクレジット記憶領域(図示省略)に記憶されているクレジット数(クレジットされたメダルの数)に対して払出数を加算するクレジット加算処理を行って仮想的にメダルを払い出す処理を行う。
メイン基板10は、リプレイが入賞した場合に、次回の遊技に関して遊技者の所有するメダルの投入を要さずに前回の遊技と同じ準備状態に設定するリプレイ処理(再遊技処理)を行う(リプレイ処理機能)。リプレイが入賞した場合には、遊技者の手持ちのメダル(クレジットメダルを含む)を使わずに前回の遊技と同じ規定投入数のメダルが自動的に投入状態に設定される自動投入処理が行われ、遊技機が前回の遊技と同じ入賞判定ラインを有効化した状態で次回の遊技における回転開始操作(遊技者によるスタートスイッチ134の押下操作)を待機する状態に設定される。
メイン基板10は、通常状態、ボーナス成立状態、およびボーナス状態の間で遊技状態を移行させる制御を行うことがある(遊技状態移行制御機能)。遊技状態の移行条件は、1の条件が定められていてもよいし、複数の条件が定められていてもよい。複数の条件が定められている場合には、複数の条件のうち1の条件が成立したこと、あるいは複数の条件の全てが成立したことに基づいて、遊技状態を他の遊技状態へ移行させることができる。
通常状態は、複数種類の遊技状態の中で初期状態に相当する遊技状態で、通常状態からはボーナス成立状態への移行が可能となっている。ボーナス成立状態は、内部抽選でビッグボーナスあるいはレギュラーボーナスに当選したことを契機として移行する遊技状態である。ボーナス成立状態では、通常状態における内部抽選でビッグボーナスが当選した場合、ビッグボーナスが入賞するまでビッグボーナスに対応する抽選フラグが当選状態に維持され、通常状態における内部抽選でレギュラーボーナスが当選した場合、レギュラーボーナスが入賞するまでレギュラーボーナスに対応する抽選フラグが当選状態に維持される。ボーナス状態では、ボーナス遊技によって払い出されたメダルの合計数により終了条件が成立したか否かを判断し、入賞したボーナスの種類に応じて予め定められた払出上限数を超えるメダルが払い出されると、ボーナス状態を終了させて、遊技状態を通常状態へ復帰させる。
サブ基板20は、例えば、複数のビット(配線)からなるBUSに、CPU(処理装置)、ROM(不揮発性記憶部)、メモリRWM(読み出し及び書き込み可能なメモリ)及びI/O(入出力装置)が接続されている構造を備える。後述する処理は、ROMに予め記憶されたプログラムに従ってCPUが動作することで実行される。CPUは、処理を行う際に各種データをメモリRWMに記憶させ、必要に応じて読み出し、処理を行い、必要に応じて再度記憶する、といった処理を行う。メモリRWMはバッテリバックアップを受けていることがあり、この場合は電源断の間でもその記憶内容は保持されている。
次に、遊技機における遊技処理について図4を参照して説明を加える。
一般的に、遊技機において、メダルの投入(クレジットの投入)に始まり、払い出しが終了するまで(又はクレジット数の増加が終了するまで)が一遊技である。一遊技が終了するまでは次回の遊技に進めないという決まりがある。
先ず、規定枚数のメダルが投入されることでスタートスイッチ134が有効になり、図4の処理が開始される。
ステップS1において、スタートスイッチ134が操作されることにより、スタートスイッチ134がONとなる。そして、次のステップS2に進む。
ステップS2において、メイン基板10により内部抽選が行われる。そして、次のステップS3に進む。
ステップS3において、第1リール〜第3リールの回転が開始する。そして、次のステップS4に進む。
ステップS4において、ストップボタン140が操作されることにより、ストップボタン140がONとなる。そして、次のステップS5に進む。
ステップS5において、第1リール〜第3リールのうち押下されたストップボタン140に対応するリールについて回転停止処理が行われる。そして、次のステップS6に進む。
ステップS6において、三個のリールに対応するストップボタン140の操作が行われたか否かが判定される。そして、三個のリールに対応する3つのストップボタン140すべての操作が行われたと判定された場合、次のステップS7に進む。
ステップS7において、抽選フラグ成立中に当該抽選フラグに対応する入賞図柄が有効入賞ライン上に揃ったか否か、すなわち、入賞が確定したか否かが判定される。そして、入賞が確定したと判定された場合、次のステップS8に進む。なお、入賞が確定しなかったときは、抽選フラグが成立していてもメダルの払い出しは行われない。
ステップS8において、入賞図柄に相当するメダルが払い出される。
メダルの投入からステップS8の実行完了までが、一遊技である。ステップS8の待機処理が終了すると、処理はフローチャートの最初に戻る。言い換えれば、次の遊技が可能な状態になる(次遊技へ移行する)。
次に、発明の実施の形態に係る遊技機の電源系統について説明を加える。
図5は、この遊技機の電源系統図である。同図において、図3と同一又は相当部分については同一符号を付し、その説明は省略する。
205は、少なくともメイン基板10、サブ基板20及びサブ基板20に接続されている周辺基板に電流を供給する電源部である。
2051は、遊技機に接続される交流電源(AC入力)を受けてこれを整流する整流部である。なお、外部から交流電源ではなく、直流電源を受ける場合には整流部2051は不要である。すなわち、遊技機の外部からの電力供給は交流・直流いずれでもよい。
2052は、整流された電源を24V(第1電圧)の滑らかな直流に変換するAC−DCコンバータ(第1電源部)である。AC−DCコンバータ2052は、過電流保護回路2052aを内蔵している。これは、定格又は上限値を超える電流を出力したとき、あるいは上限値を超える電流が整流部2051から入力されたときに出力を遮断あるいは低減する(過電流検出リミッタ機能)。過電流保護回路2052aによりAC−DCコンバータ2052に過大な負荷が一定時間以上加わらないようにし、AC−DCコンバータ2052を破壊から保護している。
2053は、AC−DCコンバータ2052が出力する24Vの電源を12V(第2電圧)に変換するDC−DCコンバータ(第2電源部)である。
60は、電源部205とサブ基板20の間に設けられ、これらを接続するワイヤハーネスを中継するための中継基板である。
61は、AC−DCコンバータ2052が出力する24Vの電源に接続されるコンデンサ実装基板である。コンデンサ実装基板61は、図示しない大容量(例えば6600μF)のコンデンサを内蔵している。
コンデンサ実装基板61は、サウンドアンプ20SAが一時的に大音量の信号を発生するときに必要なパルス状の電流の増加分を、AC−DCコンバータ2052に代わって供給するものである。定常的な音響(あるいは変化する音響であってもそれほど大きな音量でない音響)を発生しているときは、コンデンサ実装基板61のコンデンサはAC−DCコンバータ2052からの電流により充電されている。例えば、サウンドアンプ20SAがAC−DCコンバータ2052の定格内に収まる電流しか消費しないときに充電される。
なお、コンデンサ実装基板61を中継基板60とサブ基板20の間に設けている理由、及び、DC−DCコンバータ2053の出力に設けていない理由については、後述する。
20SAは、スピーカ基板201のスピーカ(音響発生器)SPを駆動して音響を発生させるための音響信号を出力するサウンドアンプ(音響信号発生部)である。サウンドアンプ20SAは、図示しないメモリ(記憶部)を備え、そこに音響データを予め記憶している(音響データ記憶部)。このデータに基づき、サウンドアンプ20SAは音響信号を発生する。
20MDは、可動体50、50’のモータ50M、50M’を駆動するための駆動信号を発生するモータドライバである。
20LDは、LEDを点滅させるための発光信号を発生するLEDドライバである。
20CNVは、LEDドライバ20LDの5V電源を発生するDC−DCコンバータである。
W1−1〜W1−3は、AC−DCコンバータ2052に接続され、サウンドアンプ20SAに24V電源を供給する第1配線である。図5の例では、第1配線W1は、電源部205と中継基板60間の第1配線W1−1と、中継基板60とコンデンサ実装基板61間の第1配線W1−2と、コンデンサ実装基板61とサブ基板20間の第1配線W1−3とからなっている。
W2−1、W2−2は、DC−DCコンバータ2053に接続され、モータドライバ20MDとLEDドライバ20LDに12V電源を供給する第2配線である(具体的には、LEDドライバ20LDにはDC−DCコンバータ20CNVを介して電源を供給している)。図5の例では、第2配線W2は、電源部205と中継基板60間の第2配線W2−1と、中継基板60とサブ基板20間の第2配線W2−2とからなっている。
図6は、コンデンサ実装基板61の取付態様の一例を示す。
この例は、サブ基板20のケースCASE1上にコンデンサ実装基板61を設けている。この形態によれば第1配線W1−3の長さを短くでき、コンデンサ実装基板61のコンデンサの電流をサウンドアンプ20SAに迅速かつ損失なく供給できるので、好適である。
CON1はコンデンサ実装基板61の入力側のコネクタ、CON2はコンデンサ実装基板61の出力側のコネクタ、CON3はサブ基板20に設けられたコネクタである。コネクタCON1に第1配線W1−2の一端が接続され、コネクタCON2とCON3に第1配線W1−3が接続される。なお、これら配線W1−2、W1−3の表示は省略している。
図6の例では、コンデンサ実装基板61はケースCASE2に収納されている。
この発明の実施の形態では、コンデンサ実装基板61に設けたコンデンサにより、サウンドアンプ20SAの消費電流が急峻に変化するとき、その一部をAC−DCコンバータ2052に代わってコンデンサから電流を供給し、これにより電源部205から出力する電流値を下げるようにしている。これにより、短時間であれば電源部205の定格を超えることがあっても過電流保護回路2052aが作動することがない。電源部205を変更することなくモータやLEDを追加できるようになる。コンデンサ実装基板61をサウンドアンプ20SAに設けたのは、モータドライバ20MDは大きな電流を消費するとともに、消費電流がパルス状の電流増加ではなく定常的な電流増加を示すので(図7参照)、コンデンサによる電流補償を行うことが困難なためである。これに対し、サウンドアンプ20SAの負荷電流は比較的大きいが、急上昇しかつ急降下するので、コンデンサでピーク電流を補償するには好適である。
このことを図7のタイミングチャートを参照して更に詳しく説明する。
図7において、上から順番に、サウンドアンプ20SAの消費電流のグラフ、サウンドアンプ20SAに消費電流のピークに対応してコンデンサから出力される電流のグラフ、モータドライバ20MDとDC−DCコンバータ20CNV(ここから供給されるLEDドライバ20LDへの電流を含む)の電流のグラフ、AC−DCコンバータ2052の入力電流のグラフである(このグラフにおいて過電流保護回路2052aが働く閾値を点線で示している)。
刺激的な効果音やアップテンポなミュージックなどの音響発生の際には一定間隔あるいは不規則に大きな音響が発生し、これに対応してサウンドアンプ20SAにはパルス状の電源電流が流れこむ。図7のサウンドアンプ消費電流の符号ISが、パルス状の電源電流が流れこむ様子を示している。パルス状の電源電流が流れこむ持続時間は符号Tである。ここで「パルス状の電源電流」は、音源の性質により急峻に発生する短い時間(1ms程度)時間持続する電流消費を意味する。サウンドアンプ20SAに備えられた図示しないメモリ(音響データ記憶部)が記憶する音響データは、予め定められた時間Tあるいはこれよりも短い時間で予め定められた音量よりも大きな音量の音響を発生させる。
図7の例では、符号IS以外の部分で概ね消費電流がIa程度であるが、符号ISで消費電流が急峻に上昇する。ピーク(図7の符号IS)以外での消費電流(定常状態の消費電流)がIaである。電流値がIaのときに発生される音響の音量が、予め定められた音量に相当する。このときの電流値をISとすると、IS=I’a+Ibである。ただし、I’a>Iaである。IS=I’a+Ibはピーク(図7の符号IS)での電流値である。電流値がISのときに発生される音響の音量が、予め定められた音量よりも大きな音量に相当する。
I’aは、AC−DCコンバータ2052により定格を超えずに(過電流保護回路2052aが動作することなく)サウンドアンプ20SAに対して供給可能な範囲の値である。
Ibは、パルス状の電源電流の持続時間Tにおいてコンデンサ実装基板61が供給可能な電流値である。Ibは、時間Tにおいて増加する電流、つまりI’aだけでは不足する分を補償するための増分の少なくとも一部である。
コンデンサ実装基板61に設けられるコンデンサの容量は、サウンドアンプ50SAが時間T以下の時間において予め定められた音量より大きな音量で音響(特定音響)を発生させるときに、サウンドアンプ50SAで必要とされる電流ISのうちの時間Tにおいて増加する電流(増分)に相当する電流を少なくとも時間T流すことができる程度に、かつ、時間Tにおいて過電流保護回路2052aが動作することのない程度に定められている。
このことを、図7を参照して説明を加える。
モータ50Mと50M’(全てのモータ)が動作し、全てのLEDが点灯している状態において、過電流保護回路2052aが動作することのない範囲でサウンドアンプ20SAに供給可能な電流の最大値をIamaxとする。時間Tにおいて、Iamax ≧ I’aとなるようにする。
IS=I’a+Ibであるから、Ib>IS−Iamaxとなる。コンデンサ実装基板61のコンデンサは、このIbを時間Tに供給できる程度の容量とする。コンデンサの容量を増やすことにより、より長い時間Tに対応でき、サウンドアンプ20SAの消費電流の増加に対応することができる。
なお、IaとI’aを同じにしてもよいが、実際にはI’a>Iaになる。大きな音量の音響(特定音響)を発生する際に電流が増加していくが、当初はその増分(I’a−Ia)がAC−DCコンバータ2052から供給されていく。増分が大きくなるにつれてAC−DCコンバータ2052の出力インピーダンスは増加しそこからの電流は増えなくなる。これによりコンデンサの出力インピーダンスが相対的に低くなり、代わりにコンデンサから電流Ibが供給されるようになる。
このように、コンデンサを設けることで電源部205からの出力電流の変化を緩やかにすることができる。この結果、ピーク電流値を下げることが可能となる。すなわち、コンデンサ実装基板61に設けたコンデンサにより、サウンドアンプ20SAの負荷電流が急峻に変化するとき、AC−DCコンバータ2052に代わってコンデンサから電流を供給し、これにより電源部205から出力する電流値を下げるようにできる。AC−DCコンバータ2052に流れる電流あるいはその出力電流に上限値(過電流検出リミット)が設けられていても、これを超えることはない。
これにより、短時間であれば電源部205の定格を超えるような電流が必要とされても過電流保護回路2052aが作動することがなく、したがって、電源部205を変更することなくモータやLEDを追加できるようになる。
コンデンサ実装基板61を中継基板60とサブ基板20の間に設けているのは、コンデンサ実装基板61とサウンドアンプ20SAの間の配線W1−3のインピーダンスを小さくし、必要とされるパルス状の電流(増加分、図7では符号Ib)を迅速にかつ損失を少なくサウンドアンプ20SAに供給するためである。仮に、配線W1−3のインピーダンスが大きいと急峻な電流増加に追従できず、サウンドアンプ20SAの電流不足を招くことがある。また、配線W1−3における電流の損失(ジュール熱による損失)も無視できなくなる。
コンデンサ実装基板61をDC−DCコンバータ2053の出力に設けていないのは、LEDよりも長い時間にわたって大きな電流を消費するモータドライバ20MDは、パルス状の電流増加ではなく定常的な電流増加を示すので(図7参照)、コンデンサによる電流補償を行うことが困難なためである。これに対し、サウンドアンプ20SAの負荷電流は比較的多いが、急上昇しかつ急降下するので、コンデンサを設ける意義がある。
この発明の実施の形態は、従前の電源ユニットを使用できなくなる要因は電流の増加であるが、電流増加の要因のうちで比較的簡単に解決可能なものは、サウンドの急激かつ短時間(パルス状)の電流増加である、という知見に基づいている。単に、電源部の出力にコンデンサを設けたものではない。
図8はコンデンサ実装基板61を備えない遊技機(比較例)おけるタイミングチャートを示している。電流I”aは、大きな音量の音響(特定音響)が発生されるときにAC−DCコンバータ2052からサウンドアンプ20SAに供給される電流のピーク値を示す。電流I”aは、コンデンサがなく、AC−DCコンバータ2052のみがサウンドアンプ20SAへ電流を供給している場合を示す。
大きな音量を発生する際に電流が増加していくが、当初はその増分がAC−DCコンバータ2052から供給されていく。増分が大きくなるにつれてAC−DCコンバータ2052の出力インピーダンスは増加するが、サウンドアンプ20SAはなお電流を必要とし電流がさらに流れこむ(AC−DCコンバータ2052の出力インピーダンスよりも、符号Sにおけるサウンドアンプ20SAの入力インピーダンスが低いからこのようになる)。AC−DCコンバータ2052は符号Sにおいて必要な電流I”aをサウンドアンプ20SAに供給すると過電流検出リミットを超え(図8の矢印)、過電流保護回路2052aが作動し、電源部205の出力が遮断され、遊技機は停止する。実際にはピークに達する前に過電流保護回路2052aが作動するので、電流がI”aになる前に遊技機は動作を停止する。
このように、コンデンサ実装基板61を備えない遊技機(比較例)ではサウンドの急激かつ短時間(パルス状)の電流増加によって過電流保護回路2052aが作動してしまう。
以上の説明において遊技機としてスロットマシンを例に挙げたが、本発明の実施の形態はパチンコ機のような他の遊技機にも適用できる。
本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。