JP4836094B2 - 核医学撮像装置およびその初期散乱位置判定方法 - Google Patents
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Description
例えば、進行がんは糖の代謝が亢進しているので、糖の一種であるグルコースを放射性同位体であるフッ素−18(18F)で標識したフルオロデオキシグルコース(18FDG)をPET用薬剤として被検者に投与し、その集積分布を画像化することによって、がん病巣の状態を定量的に知ることができる。
また、散乱同時計数を低減するために、γ線が散乱するときエネルギーが失われることを利用し、エネルギー閾値を設けてエネルギー閾値以上、あるいは対γ線(511keV)の近傍のエネルギー範囲(エネルギーウインドウ)内のγ線のデータだけを選択している。エネルギーウインドウを狭めることでS/N比は向上するが、十分なエネルギー分解能を持っていない場合、カウント(感度)の低下を招く。従って、感度を維持したまま画像のS/N比を向上させるためには、時間分解能、エネルギー分解能の優れた装置が望まれる。
PET装置ではγ線の入射方向は一意ではなく、検出素子に対して斜めに入射するものも多く存在する。γ線の検出効率を大きくするために厚い検出器(γ線が検出素子内を通過する距離が長くなるよう、深さ方向の寸法を大きくした検出器)を用いなければならないが、空間分解能を向上させるためには入射面積を小さくせねばならず、一検出単位が細長い検出素子が従来用いられていた。細長い検出素子の場合、斜めにγ線が入射して検出したとき、検出素子のどこで反応したかは判断できないため、位置誤差が大きく、このような斜め入射が多い画像周辺の分解能が劣化する問題があった。この様な問題は検出器の厚み方向(深さ方向)の検出位置を分解して取得できるようにすることで解決する。このような構成の例として、半径方向に三層になるようにした多段構成の検出器(DOI(Depth Of Interaction)検出器)を備えて深さ位置情報を取得し、この深さ位置情報を用いて画像を再構成し、画質の向上を図った放射線検査装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
γ線は、被検体内のほか、検出器内でも散乱を生じる。仮に、所定のγ線の散乱箇所及び吸収箇所をもれなく検出できたとすると、検出エネルギーの合計は入射したγ線のエネルギーに等しくなる。しかし、従来のPET装置では、各検出器は散乱もしくは吸収したγ線のエネルギーを各々独立して検出していたため、複数の検出器で検出されたエネルギーの合計がエネルギーウインドウ内に入っていたとしても、それぞれの検出器で検出されたエネルギーがエネルギーウインドウ内に入っていなければ、全ての検出イベントが別個のγ線によるものとみなされ、検出データ(検出エネルギーのデータ)は利用されなかった。
PET検査において、検出器内で複数回散乱したγ線のデータを利用する場合は、初期散乱位置、つまり、γ線を検出した複数の検出器の内、最初にγ線を検出した検出器を特定する必要がある。初期散乱位置を特定するために、各検出位置でのエネルギーと検出位置同士の角度等を用いて推定する構成(特許文献2及び特許文献3参照)や撮像装置の中心により近い検出位置を選択する構成(特許文献4参照)が知られている。このような複数の検出器内散乱イベントの検出情報から初期散乱位置を特定する方法を総称して検出器内散乱線処理と呼ぶ。
また、撮像装置の中心に最も近い検出位置を初期散乱位置として選択する方法は、処理系の負荷と選択された位置の正しさの確率を考慮すると適当な処理ではあるが、必ずしも物理的に正しいものを選択しているわけではないため、誤った位置を選択する可能性は避けられない。
いずれにしても、PET装置で初期入射位置を同定する際、1つのγ線が、検出器内で散乱し、更に散乱したγ線が別の検出器で捕らえられ、入射したγ線エネルギーが完全に吸収されることを前提にしており、対象とするγ線を完全に吸収できるだけの検出素子で周囲を覆わない限り、本質的に散乱γ線が検出器外に逃げることによる真の同時計数の損失が伴う。また、同時計数するタイムウインドウ内で計数するカウントが多く、処理も複雑である。このことは、高計数率下で急激に増加する偶発同時計数(ランダム)の計数(推定)処理、即ちランダム補正に影響を及ぼす。偶発同時計数の低減にはタイムウインドウを狭めることが有効であるが、検出素子の物理性能のために時間分解能には限度がある。
≪装置の構成≫
まず、本発明の第一の実施形態(以下、本実施形態と称する)のPET装置の構成について、図1、図2を用いて、説明する。図1は、本実施形態のPET装置の構成を示す図である。図2は、本実施形態のPET装置における撮像装置内部の構成を示す断面図である。
PET装置1は、撮像装置2と、信号処理装置7と、断層像作成装置10と、ベッド(寝台)16を備えている。撮像装置2は、ケーシング3、検出器基板5に支持された多数の放射線検出素子(以下、検出素子と称する)4、外部線源20を有している。ケーシング3は、被検体17をベッド16に載置したまま挿入可能な開口部6を有している。検出器基板5には、配列して実装されている多数の検出素子4と、集積回路からなり検出素子4からの検出信号を処理する読出回路14とが実装されている。検出器基板5は、体軸方向(被検体17の挿入方向)に複数枚並べられ、検出器15を構成している。検出器15は、開口部6の周りを取り囲むように配置されている。
外部線源ハウジング21は、検出器15と開口部6との間に配置された支持部(図示せず)によって保持され、図示していない周回機構によって、ハウジング開口部21hを被検体17が挿入される撮像範囲の中央に向けたまま、開口部6の外縁部を周回可能になっている。外部線源20はトランスミッション撮像時に用いられ、エミッション撮像時は、十分な遮蔽能力を有するシャッタ(図示せず)によってハウジング開口部21hは閉じられている。なお、エミッション撮像時、外部線源20が格納容器(図示せず)に格納され放出γ線を遮蔽される構成としても良い。外部線源20及びトランスミッション撮像については、後述する。
続いて、本実施形態のPET装置を用いた撮像処理について説明する。まず、被検体17の体内に、あらかじめ注射などの方法によりPET用薬剤を投与し、このPET用薬剤が被検体17内に拡散して患部に集積することにより、撮像可能な状態となるまで所定の時間待つ。なお、PET薬剤は、検診する患部などを勘案して選ぶ。そして、被検体17をベッド16上に寝かせる。なお、検査の種類によっては、PET薬剤をベッド16上に寝かせた被検体17に投与するか、PET薬剤を被検体17に投与しながら、撮像装置2で被検体17を撮像しても良い。
(エミッション撮像)
エミッション撮像を行うには、PET薬剤を投与した被検体17をベッド16に載せ、撮像装置2に向かって移動させる。被検体17及びベッド16が、図1の左側から開口部6内に挿入されて図1の右側に向かって移動する。図2において、体内の放射性同位元素(RI:Radioisotope)30から放出された片方の511[keV]のエミッションγ線31Aは、被検体17を透過し、検出器15の位置PA1で吸収され、または散乱する。位置PA1で散乱した場合、入射γ線の進行方向に対して、位置PA1から散乱角度θ方向に飛翔したγ線は位置PA2で吸収されるか、または、更に散乱して他の点で吸収されたり、吸収されずに撮像装置2を貫通したりする。なお、位置PA1、PA2は、検出器15における検出素子4の位置を示す。後述するPB1、PB2も同じく検出器15における検出素子4の位置を示す。また、もう一方の511[keV]のエミッションγ線31Bはここでは位置PB1にて全吸収される。なお、図2ではエミッションγ線31Bが全吸収されているが、全吸収されない場合もあり、この場合、散乱して他の点に吸収されたり、吸収されずに撮像装置2を貫通したりする。
ユニットデータ統合装置112は、全ての検出器15からの検出信号を統合する。即ち、各検出素子4から出力された検出信号がユニットデータ統合装置112に収集される。そして、収集された検出信号は、一括してγ線弁別装置8に送出される。
次にトランスミッション撮像について図6を用いて説明する。図6は、本実施形態のPET装置における撮像装置内部の構成を示す断面図である。トランスミッション撮像は、外部線源20を用いて被検体17内のγ線透過率(減衰率)の分布を計測するものであって、外部線源20としてX線源の代わりにγ線源を用いる他は、原則として、X線CT装置(図示せず)を用いた撮像と同様である。その計測に要する時間は、数分程度であり、通常エミッション撮像の前または後に行う。外部線源20からの照射γ線22がエミッション撮像時に混入して画質の劣化を招くため、通常はエミッション撮像とトランスミッション撮像とを別の時相で行う。
被検体17が横たわっているベッド16が開口部6内に挿入され、トランスミッション撮影を開始するとき、外部線源ハウジング21が格納容器(図示せず)から開口部6と検出器15との間に移動し、設置される。ハウジング開口部21hは対向する検出素子4に向いていて、撮像視野外は照射γ線22が影響を及ぼさないように外部線源ハウジング21によって遮蔽されている。外部線源20は点線源であり、外部線源20が図6で示す位置にあるとき、γ線の放射領域は被検体17の体軸方向も含め、被検体17を挟んで対向に位置する下半分の測定対象となる検出器15面である。つまり、本実施形態は、いわゆるコーンビームCTの場合を示す。外部線源20は回転機構(図示せず)により開口部6の外周を周回し、全周からの透過データを取得する。撮像が終了すると外部線源20は再び格納容器へ格納される。測定対象となる検出器15は外部線源20の回転とともに変化する。
続いて本実施形態のPET装置におけるエミッション撮像での正しいLORの特定方法(初期散乱位置の推定方法)並びに偶発同時計数の除去方法を、図16から図19を用いて説明する。図16は、本実施例のPET装置におけるエミッション撮像での正しいLORの特定方法(初期散乱位置の推定方法)並びに偶発同時計数の除去方法を示すフローチャートの第1面、図17は、同フローチャートの第2面である。図18は、同フローチャートの第3面、図19は、同フローチャートの第3面(図18とは別方式)である。
エミッション撮像では、図2でのPB1やPA1、PA2等の点(これらの点は、検出器15の検出素子4の位置であり、γ線の散乱位置または吸収位置である)はほぼ同時に複数の検出素子4で検出され、それらは単にPi(i=1、2、……)として検出される(ステップ160)ため、対向位置であるか否かが不明である。そのため、以下の処理により、まず1つの検出器内散乱イベント群を特定し、例えばPAi(i=1、2、……)とPBi(i=1、2、……)のようにイベント群を弁別する。即ち、各点をイベント群毎に振り分ける。それぞれのイベント群の中で、確率的に初期散乱位置として妥当なものをまず候補として挙げる。
検出時刻差|ti−tj|<Tw(例えば、Tw=10[nsec])・・・(a)
ti,tj:検出イベントの発生時刻
(ただし、i=1,2,……、j=1,2,……、i≠j)
Tw:所定の時間差
上記(a)式を満たすような、検出イベント間で所定の時間差Tw内のものを抽出する。
所定の検出イベント位置Pi(i=1、2、……)について周辺に所定の大きさ(例えば、5cm)の球状の範囲を設定し、それらの範囲が重なるイベントを1つのイベント群PX(例:PA、PB等)とする。
分離したイベント群ごとに、検出エネルギーの総和が所定のエネルギーウインドウ内に入るか否かを判定する。例えば、本実施形態の場合、分離したイベント群ごとに、検出エネルギーの総和ΣEXiが511[keV]ウインドウ内に入るか否かを判定する。具体的には、下記(b)式を満たすか否かを判定する。
450[keV](ETH_L)<ΣEXi<550[keV](ETH_H)・・・(b)
ETH_L:エネルギーウインドウ内での最小エネルギー
EXi:各イベントの検出エネルギー(i=1、2、……)
ETH_H:エネルギーウインドウ内での最大エネルギー
後述の処理3(初期散乱位置の推定)での精度を上げるために、選択された各イベント群内について、検出エネルギーによって以下の前処理を行う。即ち、下記(D)、(E)、(F)の処理を行う。
図11に、散乱角と検出エネルギー及び散乱光子エネルギーとの関係を示す。図11より、コンプトンエッジエネルギー341[keV]以上のエネルギーを検出した場合、511[keV]γ線が散乱することによって各イベントで検出されるエネルギーは341[keV]以上となることがないことにより、当然、初期散乱位置とはならないため、下記(D)の処理(ステップ164→No、ステップ171)を行う。
(D)341[keV]以上のイベントに初期散乱位置でないことを示す初期散乱位置候補フラグ0を付与する(ステップ171)。
(E)両イベントの内の一方のイベントのエネルギーが170[keV]以下のとき、このイベントの検出点を初期散乱位置として決定する(ステップ166)。
上記(E)の処理をする理由について、図13を用いて説明する。図13は、初期散乱位置における検出エネルギー及び散乱光子エネルギーと散乱角との関係を示す図である。図13の通り、散乱光子エネルギーは170[keV]以下とはならないため、検出されるエネルギーが170[keV]以下のイベントは、両イベントの内の、散乱されたγ線を吸収した方のイベントとはならないからである。従って、このイベントの検出点は、散乱を起こしたイベント、即ち、初期散乱位置ということとなる(ステップ166)。
(F)初期散乱位置候補フラグを1とする。即ち、下記(i)または(ii)の条件を満たすイベントについては全て、初期散乱位置候補フラグを1にする。
(i)イベント群には3点以上ある場合
(ii)イベント群に2点しかなく、且つ、両イベントのエネルギー和が511[keV]に入らない場合
なお、処理の簡便化のため、処理2(初期散乱位置候補とそれ以外のものとの振り分け)は行わず、処理1(検出イベント群の抽出)を行った後、処理3(初期散乱位置の推定)を行うようにしても構わない。
処理1(検出イベント群の抽出)及び処理2(初期散乱位置候補とそれ以外の振り分け)を行った後、以下の処理を行うことにより、初期散乱位置を推定する。なお、処理1(検出イベント群の抽出)を行ったものの、処理2(初期散乱位置候補とそれ以外の振り分け)を行わない場合についても、同様にして、以下の処理を行うことにより、初期散乱位置を推定する。
(G)初期散乱位置候補フラグが1のものの内、開口部6の中心軸に最も近い検出位置(最も内側の検出位置)を初期散乱位置と推定する(ステップ173)。なお、前述の処理2(初期散乱位置の候補とそれ以外のものとの振り分け)を行わなかった場合には、即ち、ステップ164、ステップ165を行わなかった場合には、ステップ163、ステップ170により上記(b)式を満たすイベント群の各イベントに初期散乱位置フラグ1を付与した後、初期散乱位置候補フラグが1のものの内、開口部6の中心軸に最も近い検出位置(最も内側の検出位置)を初期散乱位置と推定する(ステップ173)。以下、初期散乱位置と推定された検出位置を、推定初期散乱位置と称する。
例えば、図14に示すように、位置PA1で散乱したγ線はそのまま撮像装置2を貫通してしまい検出されず、同時に体内散乱線24が位置PA4に入射し、位置PA1及び位置PA4でのエネルギーの和(EA1+EA4)が511[keV]のエネルギーウインドウに入った場合、最も内側にある位置PA4は初期散乱位置でないのにもかかわらず、初期散乱位置として選択してしまい、その結果、誤ったLOR33を計数する可能性があるためである。
また、図15に示すように、異なる発生位置からのエミッションγ線31Aにより、従来とは異なった偶発同時計数が起こった場合、最も内側にある位置PA5は、所望のエミッションγ線31Aの初期散乱位置でないにもかかわらず、その初期散乱位置として選択してしまい、その結果、誤ったLOR33を計数する可能性があるためである。
下記の処理(H)を行うことにより、前述の通り、ステップ173による処理3(初期散乱位置の推定)で得られた推定初期散乱位置が初期散乱位置であるか否かの検証を行う。
(H)処理3(初期散乱位置の推定)にて得られた推定初期散乱位置について散乱角θと角度誤差Δθを算出する。散乱角θは、図11に示す検出エネルギーE1と散乱角θとの関係のデータテーブル(検出エネルギーE1と散乱角θとの対応関係を示す対応関係情報)を用い、推定初期散乱位置での検出エネルギーE1から算出する。なお、図11に示す検出エネルギーE1と散乱角θとの関係は、後述の式(3)、式(4)より得られる。そして、角度誤差Δθとは、散乱角θの誤差であるが、検出エネルギーとエネルギー分解能とに応じて、即ち、推定初期散乱位置での検出エネルギーE1とこの検出エネルギーの誤差ΔE1とに応じて、図12の通り、角度誤差Δθが変化する。従って、図12に示す検出エネルギーE1及びこの検出エネルギーの誤差ΔE1と角度誤差Δθとの関係のデータテーブル(検出エネルギーの誤差ΔE1をパラメータとした検出エネルギーE1と角度誤差Δθとの対応関係を示す対応関係情報)を用い、初期散乱候補位置での検出エネルギーE1とこの検出エネルギーの誤差ΔE1から角度誤差Δθを算出する。
そして、両円錐の表面の間の空間70に他の検出点が存在するのであるならば、推定初期散乱位置PA2は初期散乱位置と判定する。一方、両円錐の表面の間の空間70に他の検出点が存在していなければ、推定初期散乱位置PA2は初期散乱位置ではないと判定し、初期散乱位置候補フラグが1の別の検出点を選択する。そして、同様にして選択した検出点を推定初期散乱位置とし、この推定初期散乱位置が初期散乱位置であるか否かの検証を行う。
このエネルギーE1が、散乱時に検出素子4で観測される。従って、検出素子4で計測されたエネルギーE1と入射γ線光子のエネルギーE(=511[keV])から、E´=E − E1として散乱光子のエネルギーE´を推定すれば、散乱角θが推定できる。
イベント群PBについて、複数の検出点PBiが存在する場合でも、同様の処理を行うことで初期散乱位置を同定することができる。
(1)初期散乱位置ではないにもかかわらず、誤って初期散乱位置として検出点を選択するといったことがなくなるため、誤ったLORを計数することによる測定の精度の低下を除去できる。
理由:処理4は、コンプトン散乱を利用して入射γ線の飛来方向を推定するコンプトンカメラとは異なり、同時計数による情報からあらかじめγ線の入射方向がわかっていると仮定した上でそれが正しいかの判定を行うものであることにより、基本的に複数の同時検出点があっても3点目以降の同時検出点は用いていないため。つまり、最初の検出点と次の検出点さえ在れば3点目以降の検出点はなくても構わないため。
領域:θA2+ΔθA2/2の半頂角を持つ円錐の表面とθA2−ΔθA2/2の半頂角を持つ円錐の表面との間の空間
領域:θA1+ΔθA1/2の半頂角を持つ円錐の表面とθA1−ΔθA1/2の半頂角を持つ円錐の表面との間の空間
推定初期散乱位置PX_Sである検出点PA1は初期散乱位置であると判定した後、前述の通り、ステップ182で、検出点PA1を初期散乱位置として決定し、検出点PB1と検出点PA1を結ぶ直線を正しいLOR34として最終的に計数する。
続いて、処理4(初期散乱候補位置の検証処理1)の別の形態である処理4´(初期散乱候補位置の検証処理2)について、説明する。図5のようなマルチプルイベントの場合には、処理4(初期散乱候補位置の検証処理1)ではなく、処理4´(初期散乱候補位置の検証処理2)を行うようにしても良い。
以上の通り、処理4´(推定初期散乱位置の検証処理2)は、各イベント群に複数の検出点があっても、初期散乱位置が得られるまで、検出点毎に初期散乱位置であるか否かの検証を行うものであるが、例えば、図10のように、2つのイベント群があり、1つのイベント群100に2つの検出点、もう1つのイベント群101に1つの検出点がある等、各イベント群の検出点は2点以下が望ましい。
(6)図10のように、片側が1点、もう一方が2点の同時検出点でかつそのエネルギー和が511keVエネルギーウインドウに入るとき、1点の方は必ずしも511keVの全吸収でなくても良い。即ち、散乱して検出器外に逃げて行った場合でも、対γ線の軌跡ならばその位置を正しい初期散乱位置として判定することができ、感度を向上させることができる。
領域:θA1+ΔθA1/2の半頂角を持つ円錐の表面とθA1−ΔθA1/2の半頂角を持つ円錐の表面との間の空間
推定初期散乱位置PX_Sである検出点PA1は初期散乱位置であると判定した後、前述の通り、ステップ192で、検出点PA1を初期散乱位置として決定し、検出点PB1と検出点PA1を結ぶ直線を正しいLORとして最終的に計数する。
以上のように、本実施形態のPET装置によれば、検出器内散乱線処理を用いたエミッション撮像において、偶発同時計数を抑制することができることにより、感度が向上するため、画像のS/N比を向上させることができる。
本発明は前述の実施形態(第一の実施形態)に限定されるものでなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。例えば、次の実施形態が考えられる。
(1)前述の実施形態では、ユニットデータ統合装置112が、1つの検出器15の範囲内における検出素子4からの複数の信号を処理するように記載したが、複数の検出器15にわたってγ線が散乱する可能性がある場合は、ユニットデータ統合装置112が、複数の検出器15に属する各々の検出素子4からの信号を配線13経由で入力し、処理するように構成することも可能である。
2 撮像装置
3 ケーシング
4 放射線検出素子
4B 検出器領域
5 検出器基板
6 開口部
7 信号処理装置
8 γ線弁別装置
9 同時計数装置
10 断層像作成装置
11 コンピュータ
12 データ記憶装置
13 配線
14 読出回路
15 検出器
16 ベッド
17 被検体
18 表示装置
20 外部線源
21 外部線源ハウジング
21h ハウジング開口部
22 照射γ線
23 体内散乱位置
24 体内散乱線
30 放射性同位元素
31A、31B エミッションγ線
33 誤ったLOR
34 正しいLOR
70 θA2+ΔθA2/2の半頂角を持つ円錐の表面とθA2−ΔθA2/2の半頂角を持つ円錐の表面との間の空間
71 θA1+ΔθA1/2の半頂角を持つ円錐の表面とθA1−ΔθA1/2の半頂角を持つ円錐の表面との間の空間
72 θA3+ΔθA3/2の半頂角を持つ円錐の表面とθA3−ΔθA3/2の半頂角を持つ円錐の表面との間の空間
73 検出イベント群特定領域
80 検出イベント群特定領域
90 θA1+ΔθA1/2の半頂角を持つ円錐の表面とθA1−ΔθA1/2の半頂角を持つ円錐の表面との間の空間
91 検出イベント群特定領域
100 検出イベント群特定領域
112 ユニットデータ統合装置
160〜166 フローチャートでの各処理
170〜173 フローチャートでの各処理
180〜184 フローチャートでの各処理
190〜194 フローチャートでの各処理
301 エネルギー積算回路
302 ch決定回路
Claims (9)
- 被検体の体軸に近い位置に体軸に平行に設定した中心軸の法線方向に沿って設置され、かつ、前記中心軸の周方向にも配設され、前記被検体からのγ線を検出する複数のセンサを有するγ線検出器と、
前記センサがγ線を検出した際に出力するγ線検出信号に基づいて、各センサが検出したγ線のエネルギー及びγ線を検出したセンサの位置である検出点を決定する信号処理装置と、を備え、
近接する複数のセンサのそれぞれから、同時に複数のγ線検出信号が出力されると、決定したそれぞれのエネルギー及び検出点を用いてγ線の初期散乱位置を判定する、核医学撮像装置における初期散乱位置判定方法であって、
前記信号処理装置は、
前記検出点のエネルギーとコンプトン散乱角との対応関係を示す第1の対応関係情報と、前記センサにおけるエネルギー誤差をパラメータとした前記検出点でのエネルギーとコンプトン散乱角の角度誤差との対応関係を示す第2の対応関係情報を有し、
前記信号処理装置は、
前記検出点におけるエネルギーと前記第1の対応関係情報とに基づきコンプトン散乱角を求め、
前記センサにおけるエネルギー誤差と前記検出点におけるエネルギーと前記第2の対応関係情報に基づきコンプトン散乱角の角度誤差を求め、
前記求めたコンプトン散乱角と前記求めたコンプトン散乱角の角度誤差と前記検出点の位置とに基づき前記初期散乱位置を判定すること
を特徴とする初期散乱位置判定方法。 - 被検体の体軸に近い位置に体軸に平行に設定した中心軸の法線方向に沿って設置され、かつ、前記中心軸の周方向にも配設され、前記被検体からのγ線を検出する複数のセンサを有するγ線検出器と、
前記センサがγ線を検出した際に出力するγ線検出信号に基づいて、各センサが検出したγ線のエネルギー及びγ線を検出したセンサの位置である検出点を判定する信号処理装置と、を備え、
近接する複数のセンサのそれぞれから、同時に複数のγ線検出信号が出力されると、決定したそれぞれのエネルギー及び検出点を用いてγ線の初期散乱位置を判定する、核医学撮像装置における初期散乱位置判定方法であって、
前記信号処理装置は、
前記検出点のエネルギーとコンプトン散乱角との対応関係を示す第1の対応関係情報と、前記センサにおけるエネルギー誤差をパラメータとした前記検出点でのエネルギーとコンプトン散乱角の角度誤差との対応関係を示す第2の対応関係情報を有し、
前記信号処理装置は、
所定の検出点を前記初期散乱位置と推定し、
前記初期散乱位置と推定した検出点のエネルギーとエネルギー誤差とから前記第1及び前記第2の対応関係情報を参照してコンプトン散乱角θとコンプトン散乱角の角度誤差Δθを算出し、
前記被検体からのγ線の進行経路を、各検出点の位置情報を用いて推定し、
該推定した被検体からのγ線の進行経路を中心軸とし、前記初期散乱位置と推定した検出点を頂点としてγ線の進行方向を基準とした半頂角=(θ+Δθ/2)の第1の円錐の表面と、前記推定した被検体からのγ線の進行経路を中心軸とし、前記初期散乱位置と推定した検出点を頂点としてγ線の進行方向を基準とした半頂角=(θ−Δθ/2)の第2の円錐の表面との間の空間に他の同時検出点が存在するか否かを判定し、
前記空間に他の同時検出点が存在するとき、前記初期散乱位置と推定した検出点を真の初期散乱位置と判定することを特徴とする初期散乱位置判定方法。 - 請求項2記載の初期散乱位置判定方法において、
前記信号処理装置は、
所定の検出点を含む所定領域内にあり、前記所定の検出点との検出タイミングの差が所定期間以内である全ての検出点では、同一のγ線に起因する直接線あるいは散乱線を検出されたものとみなし、
前記全ての検出点から前記初期散乱位置と推定する検出点を選択することを特徴とする初期散乱位置判定方法。 - 被検体の体軸に近い位置に体軸に平行に設定した中心軸の法線方向に沿って設置され、かつ、前記中心軸の周方向にも配設され、前記被検体からのγ線を検出する複数のセンサを有するγ線検出器と、
前記センサがγ線を検出した際に出力するγ線検出信号に基づいて、各センサが検出したγ線のエネルギー及びγ線を検出したセンサの位置である検出点を決定する信号処理装置と、を備え、
近接する複数のセンサのそれぞれから、同時に複数のγ線検出信号が出力されると、決定したそれぞれのエネルギー及び検出点を用いてγ線の初期散乱位置を判定する、核医学撮像装置における初期散乱位置判定方法であって、
前記信号処理装置は、
前記検出点のエネルギーとコンプトン散乱角との対応関係を示す第1の対応関係情報と、前記センサにおけるエネルギー誤差をパラメータとした前記検出点でのエネルギーとコンプトン散乱角の角度誤差との対応関係を示す第2の対応関係情報を有し、
前記信号処理装置は、
前記各検出点の位置情報に基づいて所定の検出点を前記初期散乱位置と推定し、
前記初期散乱位置と推定した検出点のエネルギーとエネルギー誤差とから前記第1及び前記第2の対応関係情報を参照してコンプトン散乱角θとコンプトン散乱角の角度誤差Δθを算出し、
前記被検体からのγ線の進行経路を、前記各検出点の位置情報を用いて推定し、
該推定した被検体からのγ線の進行経路を中心軸とし、前記初期散乱位置と推定した検出点を頂点としてγ線の進行方向を基準とした半頂角=(θ+Δθ/2)の第1の円錐の表面と、前記推定した被検体からのγ線の進行経路を中心軸とし、前記初期散乱位置と推定した検出点を頂点としてγ線の進行方向を基準とした半頂角=(θ−Δθ/2)の第2の円錐の表面との間の空間に他の検出点が存在するか否かを判定し、
前記空間に他の検出点が存在しないとき、前記初期散乱位置と推定した検出点が真の初期散乱位置ではないと判定することを特徴とする初期散乱位置判定方法。 - 請求項4記載の初期散乱位置判定方法において、
前記信号処理装置は、初期散乱位置と推定した検出点が真の初期散乱位置ではないと判定したとき、
初期散乱位置と推定したものの真の初期散乱位置ではなかった検出点を除いた他の検出点の内、所定の検出点を初期散乱位置と推定し、
初期散乱位置と推定した検出点のエネルギーとエネルギー誤差とから前記第1及び前記第2の対応関係情報を参照してコンプトン散乱角θとコンプトン散乱角の角度誤差Δθを算出し、
前記被検体からのγ線の進行経路を、前記各検出点の位置情報を用いて推定し、
該推定した被検体からのγ線の進行経路を中心軸とし、前記初期散乱位置と推定した検出点を頂点としてγ線の進行方向を基準とした半頂角=(θ+Δθ/2)の第1の円錐の表面と、前記推定した被検体からのγ線の進行経路を中心軸とし、前記初期散乱位置と推定した検出点を頂点としてγ線の進行方向を基準とした半頂角=(θ−Δθ/2)の第2の円錐の表面との間の空間に他の検出点が存在するか否かを判定するのを、
真の初期散乱位置となる検出点を検知するまで繰り返すことを特徴とする初期散乱位置判定方法。 - 被検体の体軸に近い位置に体軸に平行に設定した中心軸の法線方向に沿って設置され、かつ、前記中心軸の周方向にも配設され、前記被検体からのγ線を検出する複数のセンサを有するγ線検出器と、
前記センサがγ線を検出した際に出力するγ線検出信号に基づいて、各センサが検出したγ線のエネルギー及びγ線を検出したセンサの位置である検出点を決定する信号処理装置と、を備え、
近接する複数のセンサのそれぞれから、同時に複数のγ線検出信号が出力されると、決定したそれぞれのエネルギー及び検出点を用いてγ線の初期散乱位置を判定する、核医学撮像装置における初期散乱位置判定方法であって、
前記信号処理装置は、
前記検出点のエネルギーとコンプトン散乱角との対応関係を示す第1の対応関係情報と、前記センサにおけるエネルギー誤差をパラメータとした前記検出点でのエネルギーとコンプトン散乱角の角度誤差との対応関係を示す第2の対応関係情報を有し、
前記信号処理装置は、
前記各検出点の位置情報に基づいて所定の検出点を前記初期散乱位置と推定し、
前記初期散乱位置と推定した検出点のエネルギーとエネルギー誤差とから前記第1及び前記第2の対応関係情報を参照してコンプトン散乱角θとコンプトン散乱角の角度誤差Δθを算出し、
前記初期散乱位置と推定した検出点に対して、該検出点を含む所定領域内の他の検出点から結び外挿した直線を中心軸とし、前記初期散乱位置と推定した検出点を頂点として前記外挿方向を基準とした半頂角=(θ+Δθ/2)の第1の円錐及び半頂角=(θ−Δθ/2)の第2の円錐の両表面の間の空間に、前記被検体を挟んで対向する他の検出点が存在するか否かを判定し、
前記被検体を挟んで対向する他の検出点が前記空間に存在しないとき、前記初期散乱位置と推定した検出点が真の初期散乱位置でないと判定することを特徴とする初期散乱位置判定方法。 - 請求項6記載の初期散乱位置判定方法において、
前記信号処理装置は、初期散乱位置と推定した検出点が真の初期散乱位置ではないと判定したとき、
初期散乱位置と推定したものの真の初期散乱位置ではなかった検出点を除いた他の検出点の内、所定の検出点を初期散乱位置と推定し、
初期散乱位置と推定した検出点のエネルギーとエネルギー誤差とから前記第1及び前記第2の対応関係情報を参照してコンプトン散乱角θとコンプトン散乱角の角度誤差Δθを算出し、
前記初期散乱位置と推定した検出点に対して、該検出点を含む所定領域内の他の検出点から結び外挿した直線を中心軸とし、前記初期散乱位置と推定した検出点を頂点として前記外挿方向を基準とした半頂角=(θ+Δθ/2)の第1の円錐及び半頂角=(θ−Δθ/2)の第2の円錐の両表面の間の空間に、前記被検体を挟んで対向する他の検出点が存在するか否かを判定するのを、
真の初期散乱位置となる検出点を検知するまで繰り返すことを特徴とする初期散乱位置判定方法。 - 請求項4乃至7記載の初期散乱位置判定方法において、
前記被検体に最も近い検出点を前記初期散乱位置と推定することを特徴とする初期散乱位置判定方法。 - 被検体の体軸に近い位置に体軸に平行に設定した中心軸の法線方向に沿って設置され、かつ、前記中心軸の周方向にも配設され、前記被検体からのγ線を検出する複数のセンサを有するγ線検出器と、
前記センサがγ線を検出した際に出力するγ線検出信号に基づいて、各センサが検出したγ線のエネルギー及びγ線を検出したセンサの位置である検出点を決定する信号処理装置と、を備え、
近接する複数のセンサのそれぞれから、同時に複数のγ線検出信号が出力されると、決定したそれぞれのエネルギー及び検出点を用いてγ線の初期散乱位置を判定する核医学撮像装置であって、
前記信号処理装置は、
前記検出点のエネルギーとコンプトン散乱角との対応関係を示す第1の対応関係情報と、前記センサにおけるエネルギー誤差をパラメータとした前記検出点のエネルギーとコンプトン散乱角の角度誤差との対応関係を示す第2の対応関係情報を記憶した記憶部と、
前記検出点におけるエネルギーと前記第1の対応関係情報とに基づきコンプトン散乱角を求め、前記センサにおけるエネルギー誤差と前記検出点におけるエネルギーと前記第2の対応関係情報に基づきコンプトン散乱角の角度誤差を求め、前記求めたコンプトン散乱角と前記求めたコンプトン散乱角の角度誤差と前記検出点の位置とに基づき前記初期散乱位置を判定する処理部とを有すること
を特徴とする核医学撮像装置。
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