続いて、本発明の一実施形態にかかる燃焼装置、並びに、これを備えた加熱装置について図面を参照しながら詳細に説明する。本実施形態の燃焼装置および加熱装置は、その動作に特徴を有するが、動作の説明に先立って装置構成について説明する。
図1において、1は本実施形態の燃焼装置である。燃焼装置1は、図15に示すように加熱装置100を構成する缶体101の上方側に内蔵され、加熱装置100の熱源として使用されるものである。
燃焼装置1は、灯油等の液体燃料を気化して燃焼する、いわゆる「気化式」の燃焼装置である。また、燃焼装置1は、炎孔から下方に向けて燃料を噴出させて燃焼させる、いわゆる「下方燃焼型」の燃焼装置である。
図1に示すように、燃焼装置1は、上から送風機2、駆動機械部3、空気量調整手段4及び燃焼部6に大別される。燃焼部6の近傍には気化部(気化器)7が設けられており、空気量調整手段4と気化器7の間には、流路形成部材13が配されて空気流路が形成されている。
順次説明すると、図1に示すように、送風機2は、鋼板を曲げ加工して作られた凹状のハウジング20の内部にファン(回転翼)21が回転可能に配されたものである。ハウジング20の中央部には、吸気開口22が設けられている。
駆動機械部3は、箱体10を有し、その天板12の中央にモータ30が取り付けられている。モータ30は、両端部から回転軸30a,30bが突出しており、回転軸30a,30bは、燃焼装置1の略全長を上下へ向けて貫通している。そして、モータ30の上方側の回転軸30aは、ファン21に接続され、下方側の回転軸30bは、気化器7の回転部材8に接続されている。すなわち、モータ30の回転駆動により、ファン21が回転し、空気が吸気開口22から取り込まれて下方へ向けて送風(空気供給)されると共に、回転部材8が気化器7内で回転する。本実施形態では、モータ30として定格容量εが85[W]のモータが採用されている。そのため、燃焼装置1において、燃焼作動のために送風を行ったり、回転部材8を回転させると、85[W]の電力が消費されることとなる。
箱体10の内側は、燃焼部6に対して空気を供給する空気供給流路として機能する部分である。箱体10内には、天板12と空気量調整手段4とによって囲まれた空気室15が形成されている。すなわち、空気供給流路の中途には、空気量調整手段4が設けられており、この上方に空気室15が形成されている。空気室15には、天板12に設けられた空気孔(図示せず)を介して空気が導入される。空気室15には、温度センサ19が設けられている。
空気量調整手段4と後述する炎孔ベース60(ベース部)との間には、空気分流部16が形成されている。すなわち、空気供給流路の中途に設けられた空気量調整手段4の下方に、空気分流部16が形成されている。空気分流部16内の空間は、流路形成部材13により、一次空気流入部17と、二次空気流入部18とに仕切られている。
空気量調整手段4は、空気室15から空気分流部16側に流入する空気量を調整するダンパとして機能するものである。空気量調整手段4は、図3に示すように略矩形で板状の固定側板状部材4aと、略円盤形で板状の回転側板状部材4bとを組み合わせて構成されるものである。固定側板状部材4aおよび回転側板状部材4bの略中心部には、固定具4c,4dを装着するための挿通孔4e,4fが設けられている。固定側板状部材4aおよび回転側板状部材4bは、固定具4c,4dを中心として、互いに相対回転可能とされている。
固定側板状部材4aおよび回転側板状部材4bには、挿通孔4e,4fを中心として複数の一次開口4g,4hが周方向に所定の間隔を開けて放射状に設けられており、その外周側に複数の二次開口4i,4jが設けられている。そのため、空気量調整手段4は、回転側板状部材4bを固定側板状部材4aに対して相対回転させることにより、一次開口4g,4hおよび二次開口4i,4jを連通させたり、閉塞させることができる。また、一次開口4g,4hは、上記した一次空気流入部17に連通する開口であり、二次開口4i,4jは、二次空気流入部18に連通する開口である。よって、空気量調整手段4は、回転側板状部材4bの回転量を調整することにより、一次開口4g,4hおよび二次開口4i,4jの連通領域(開口領域)を調整し、空気室15から一次空気流入部17や二次空気流入部18に流入する空気量を調整できる。
燃焼部6及び気化部7は、炎孔ベース60を中心として構成され、ハウジング11内に収納されている。気化部7は、図1に示すように炎孔ベース60の中央部に設けられている。
さらに具体的には、燃焼部6は、炎孔ベース60の片面(後述する流路構成面60aに相当)側に板状の第1分流部材40や第2分流部材41を取り付けると共に、炎孔ベース60の別の面(後述する炎孔形成面60bに相当)に網状部材43や炎孔部材44、保炎部材45を取り付けた構成とされている。
炎孔ベース60は、アルミダイカストによって作られた平面視が略長方形の部材であり、図2や図4に示すように複雑な枠組と開口及び溝が設けられたものである。炎孔ベース60の上面側(図4において上方側)は、主として燃料ガスやこれを含む混合ガス(以下、総称して単に「燃料ガス」と称す)及び二次空気の流路構成面60aとして機能する。また、炎孔ベース60の下面側(図4において下方側)は、炎孔形成面60bとして機能する。
炎孔ベース60は、中央領域61に開口63があり、これに隣接する位置に後述する気化室70の加熱用に設けられた電気ヒータ(気化ヒータ73)や、センサーのリード線を引き出すための開口64a,64bが設けられた構成とされている。開口63,64a,64bは、それぞれ炎孔ベース60の炎孔形成面60b側から流路構成面60a側に連通している。
開口63の内側には、一次空気供給筒65が配置されている。一次空気供給筒65は、図4等に示すように内径が一定の筒体であり、開口63の内周壁から突出した8本のリブ67によって炎孔ベース60の炎孔形成面60b側に突出するように支持されている。
炎孔ベース60の炎孔形成面60b側であって、前記した中央領域61と、この外側の領域(周辺領域62)との境界付近には内側壁66a,66bが設けられている。内側壁66aは、図4に示されるように、炎孔ベース60の長辺に沿って壁状に拡がり、炎孔形成面60bに対して略垂直下方(火炎の形成方向)に突出した平板状の壁面である。内側壁66bは、炎孔ベース60の炎孔形成面60bに対して略垂直下方に突出したブロック状の凹凸を一列に並べて構成されるものである。
図5や図6等に示すように、炎孔ベース60の周辺領域62には、多数の貫通孔80と多数の溝部81とが設けられている。貫通孔80は、二次空気を通過させる二次空気通過部として機能するものであり、炎孔ベース60の厚み方向、すなわち流路構成面60a側から炎孔形成面60b側に貫通している。貫通孔80は、図5のように流路構成面60a側に開口80aを有し、図4のように炎孔形成面60b側に開口80bを有する。貫通孔80は、炎孔ベース60の長辺方向に長い長孔状であり、長辺に沿う方向に並べて列状に配されている。また、貫通孔80は、炎孔ベース60の短辺に沿って所定の間隔で複数列にわたって形成されている。貫通孔80同士の間には、網状部材43や炎孔部材44、保炎部材45を固定するためのネジ穴が設けられている。
図6に示すように、溝部81は長辺方向に延びる溝であり、炎孔形成面60b側(下面側)に開口81aを有する。溝部81は、長辺に沿う方向に並べて列状に配されている。溝部81は、炎孔ベース60に複数列設けられた貫通孔80の列間に配置されている。すなわち、炎孔ベース60は、短辺方向に列状の貫通孔80と、列状の溝部81とが交互に並んだ構成とされている。
図6に示すように、溝部81は、炎孔ベース60の短辺方向に10列並べて設けられている。炎孔ベース60に設けられている溝部81のうち、中央領域61近傍に配置される6列の第1溝部83と、この両側に炎孔ベース60の短辺方向に各2列、合計4列並べて配置される第2溝部84とは、長さが異なっている。
図6に示されるように、炎孔ベース60には、隣り合う溝部81同士をつなぐ溝連絡穴82が設けられている。溝連絡穴82は、炎孔ベース60の流路構成面60a側(上面側)に設けられており、貫通孔80の列をまたぐように形成されている。炎孔ベース60に設けられた各溝部81は、それぞれ溝連絡穴82を介して隣接する溝部81と連通している。そのため、炎孔ベース60には、各溝部81とこれらを繋ぐ溝連絡穴82により、面状に拡がる流路が形成されている。なお、図5に示すように、溝連絡穴82は、流路構成面60a側(上面側)に開口52を有するが、この開口52は溝連絡穴82を形成するために必要なものであり、後述する第2分流部材41によって封鎖される。そのため、溝連絡穴82には、開口52を通過する流路は形成されない。
図5に示すように、溝部81のうち、中央領域61と周辺領域62との境界付近に配されたものには、流路構成面60a側に開放した開放部85が設けられている。開放部85は、炎孔ベース60の長辺方向に向かう方向に開放した第1開放部85aと、短辺に向かう方向に開放した第2開放部85bとに大別される。第1開放部85aは、図5に示すように第1溝部83の中央領域61側の端部と連通している。また、第2開放部85bは、第2溝部84のうち、炎孔ベース60の中央領域61寄りの位置に設けられた第2溝部84に連通している。これにより、図5および図6に矢印で示すように、一次空気供給筒65の外周面と開口63の内周面との間に形成された空間68から開放部85(第1開放部85aおよび第2開放部85b)を経由し、これに連通した中央領域61近傍の溝部81に至る流路(燃料ガス通過部)が形成される。そのため、後述する気化室70を炎孔ベース60に取り付けると、気化室70で生成した燃料ガスは、図5や図6に矢印で示すように流れる。
すなわち、後述するように炎孔ベース60の炎孔形成面60bに取り付けられた気化部7側から一次空気供給筒65の外側に形成された空間68に燃料ガスを流入させると、燃料ガスは炎孔ベース60の流路形成面60a側に回り、開放部85に連通した各溝部81に流入する。その後、燃料ガスは、各溝部81と連通した溝連絡穴82を介して、順次隣接する溝部81に流れ込んでいく。これにより、燃料ガスは、炎孔ベース60に設けられた各溝部81に行き渡る。すなわち、各溝部81および隣接する溝部81同士を繋ぐ溝連絡穴82を介して炎孔ベース60全体に面状に拡がる。
図2に示すように、炎孔ベース60の流路構成面60aには、第1分流部材40および第2分流部材41が断熱パッキン42を介して重ね合わせた状態で取り付けられている。第1分流部材40及び第2分流部材41は、それぞれステンレスで作られた板状の部材である。
第1分流部材40は、図1に示すように燃焼装置1の箱体10の底側の開口部分を閉塞するように取り付けられるものであり、空気分流部16と燃焼部6との境界をなす板体である。第1分流部材40は、図7に示すように中央に貫通孔47を有する。貫通孔47は、後述するサブヒータ90の形状に合わせて歪な形状とされている。貫通孔47の周囲には、複数の貫通孔48が設けられている。貫通孔48は、第1分流部材40の長辺に沿って延びる長穴であり、上記した炎孔ベース60に第1分流部材40を重ね合わせた際に炎孔ベース60に設けられた貫通孔80と連通するように位置合わせして形成されている。
図8に示すように、第2分流部材41は、中央に略円形の貫通孔50を有する。また、貫通孔50に隣接する位置には、後述する気化部70の加熱用に設けられた気化ヒータ73やセンサーのリード線を取り出すための貫通孔51a,51bが設けられている。また、貫通孔50や貫通孔51a,51bよりも外側には、開口径の小さな貫通孔53が多数設けられている。
断熱パッキン42は、上記した第2分流部材41と略同一の大きさのシート状の部材である。断熱パッキン42は、図9に示すように、中央に第1分流部材40の貫通孔47と大きさおよび形状が同一の貫通孔42aを有し、その回りに長穴状の貫通孔42bが複数設けられた構成となっている。貫通孔42a,42bは、それぞれ第1分流部材40と断熱パッキン42とを重ね合わせた際に貫通孔47,48と重複する位置に設けられている。
上記した第1分流部材40と第2分流部材41とを断熱パッキン42を介して重ね合わせると、図10に示すように第1分流部材40に設けられた長穴状の貫通孔48と第2分流部材41の小穴状の貫通孔53とが連通する。また、第1分流部材40と第2分流部材41とを重ね合わせると、貫通孔47に相当する位置に第1分流部材40および断熱パッキン42の厚み分に相当する浅い段状の凹部が形成される。
図10に示すように、第1分流部材40の貫通孔47に相当する位置にはサブヒータ90(燃焼部加熱手段)が取り付けられている。サブヒータ90は、炎孔ベース60や一次空気供給筒65をはじめとする燃焼部6の加熱や、炎孔ベース60の中央に設けられた一次空気供給筒65を通過する空気(一次空気)の加熱を主目的として設けられたものである。
図11に示すように、サブヒータ90は、リング状の本体部91を有し、その内部に「U」字状の電気ヒータ92が鋳込まれたものである。本実施形態では、サブヒータ90の定格容量αが290[W]とされている。本体部91には取付け用の延設部93が二箇所設けられている。延設部93にはネジ取付け用の孔94が設けられている。また、サブヒータ90には、流路加熱用延設部95が設けられている。流路加熱用延設部95は、本体部91と一体であり、板状である。流路加熱用延設部95には、サブヒータ90を取り付けた際に上記した第1分流部材40の貫通孔48や第2分流部材41の貫通孔53が閉塞されるのを防止するための長孔96が2つ設けられている。
一方、図2等に示すように、炎孔ベース60の炎孔形成面60b側には、網状部材43や炎孔部材44、保炎部材45が取り付けられている。網状部材43は、略長方形であり、細い金属糸で網目状に構成したものである。網状部材43は、図12に示すように炎孔ベース60の炎孔形成面60b側に装着されるものであり、中央に開口52を有する。
炎孔部材44は、金属板を加工して成形された板状の部材である。炎孔部材44は、1枚の金属板を加工したものであってもよいが、本実施形態では図13のように4枚の構成板55によって構成されるものを採用している。
炎孔部材44を構成する各構成板55は、それぞれ略「L」字状に成形されており、図4や図13に示すように並べた状態で炎孔ベース60に固定される。
炎孔部材44を構成する4枚の構成板55は、それぞれ隣り合う構成板55同士の外形が対称形であり、対角となる関係の構成板55同士の外形がほぼ同形とされている。炎孔部材44は、図4や図13に示すように、各構成板55を並べると炎孔ベース60の周辺領域62の形状にほぼ等しい形状となり、中央に開口56が形成される。
炎孔部材44には、二次空気孔57と、炎孔58とが列状に設けられている。二次空気孔57の列および炎孔58の列は、互いに炎孔部材44の長辺に沿う方向に延伸している。また、二次空気孔57の列および炎孔58の列は、炎孔部材44の短辺方向に交互に並ぶように配されている。
さらに具体的に説明すると、二次空気孔57は、丸孔57aと長孔57bとによって構成されている。二次空気孔57は、炎孔部材44の長辺方向に複数並べて列状に設けられている。二次空気孔57は、炎孔部材44の短辺方向に複数列にわたって設けられている。さらに具体的には、二次空気孔57は、各構成板55に5列にわたって設けられており、炎孔部材44全体として10列にわたって設けられている。二次空気孔57は、網状部材43を介在させて炎孔ベース60に炎孔部材44を取り付けた際に、炎孔ベース60の貫通孔80に重なる位置に設けられている。そのため、二次空気孔57は、炎孔ベース60の貫通孔80を介して供給される空気(二次空気)の吹き出し口として機能する。
炎孔58は、丸孔によって構成されている。炎孔58は、列状に配された二次空気孔57の間に千鳥状の列を形成するように配されている。炎孔58の開口径は、二次空気孔57の丸孔57aや保炎部材45の丸孔と比べて小さい。また、炎孔58は、炎孔ベース60に網状部材43を介在させて炎孔部材44を取り付けた際に、炎孔ベース60の溝部81の開口部分に重なる位置に設けられている。そのため、炎孔ベース60の溝部81に流れ込んだ燃料ガスは、多数設けられた炎孔58から勢いよく噴出される。
保炎部材45は、図14の様に2枚の構成板86を組み合わせて構成される枠状の部材である。構成板86は、炎孔ベース60の周辺領域62の内外の縁に沿う部分を有する。そのため、2枚の構成板86と炎孔ベース60との間に炎孔部材44や網状部材43を挟んでネジ止めすると、炎孔部材44を構成する4枚の構成板55や網状部材43が炎孔ベース60側にしっかりと保持される。2枚の構成板86を組み合わせて保炎部材45を構成すると、前記した炎孔部材44及び網状部材43と同様に中央に開口87が形成される。
保炎部材45は、図14(a),(b)に示すように複数の折り曲げ部88,89を有する。折り曲げ部88は、保炎部材45を炎孔部材44を構成する各構成板55上に重ね合わせた際に、列状に配された炎孔58のうち構成板55の長辺方向両端部に設けられたものに隣接する位置にある。また、折り曲げ部88は、保炎部材45を炎孔部材44上に取り付けた際に、炎孔部材44に対して略垂直に立ち上がった姿勢あるいは炎孔58側に多少傾いた姿勢になる。そのため、保炎部材45を炎孔部材44上に取り付けることにより、炎孔58に形成される火炎を安定化させることができる。また、折り曲げ部89は、炎孔58から噴出する燃料ガスに着火するための点火プラグの差し込み位置に設けられている。折り曲げ部89は、点火プラグの差し込み位置から空気が流入するなどして火炎が不安定になるのを防止するための風よけとして機能する。
上記したように、燃焼部6は、炎孔ベース60の流路構成面60aに第1分流部材40と第2分流部材41と断熱パッキン42とを取り付けると共に、炎孔形成面60b側に網状部材43と炎孔部材44と保炎部材45とを取り付けることによって構成されている。燃焼部6は、図1に示すように炎孔ベース60の流路構成面60a側(第1分流部材40側)を空気分流部16側に向けた姿勢とされて設置される。
さらに具体的には、燃焼部6を構成する第1分流部材40は、箱体10の下端側に設けられた空気分流部16を閉塞するように取り付けられる。また、燃焼部6は、空気分流部16内に配された円錐状の流路形成部材13の下端部が、第1分流部材40に取り付けられたサブヒータ90の本体部91に密接するように取り付けられている。これにより、流路形成部材13の内部空間(一次空気流入部17)がサブヒータ90の本体部91の中央にある孔および炎孔ベース60に設けられた一次空気供給筒65と連通し、流路形成部材13の外部空間である二次空気流入部18が第1分流部材40によって閉塞された状態とされている。そのため、燃焼部6を箱体10に組み込むと、空気室15から空気量調整手段4に設けられた複数の一次開口4g,4hおよび一次空気流入部17を通過し、一次空気供給筒65の内側に至る一次空気の流路が形成される。
また、燃焼部6を箱体10に組み込むことにより、二次空気流入部18から空気量調整手段4に設けられた複数の二次開口4i,4jおよび二次空気流入部18を通過し、第1分流部材40や第2分流部材41、炎孔ベース60に設けられた貫通孔48,50,80を通過して炎孔ベース60の炎孔形成面60bに取り付けられた炎孔部材44の二次空気孔57に至る二次空気の流路が形成される。
気化部7は、上記した炎孔ベース60の炎孔形成面60bの中央領域61に取り付けられている。気化部7は、気化室70と、回転部材8とを備えた構成とされている。気化室70は、図2に示すように、底面部71と周部72を持つ円筒体である。気化室70は、下端側の底面部71が閉塞し、上端部が開口している。すなわち、気化室70は、底面部71及び周部72によって構成された有底で略円筒状の形状となっており、気密性および液密性を有する。気化部7を炎孔ベース60に取り付けると、図1に示すように、気化室70の開口端側に一次空気供給筒65の先端部分が入った状態になる。そのため、燃焼装置1は、上記した一次空気供給筒65の内側に至る一次空気の流路を介して、空気を気化部7に導入することができる構造となっている。
気化室70には、気化ヒータ73(気化部加熱手段)と温度センサ75とが取り付けられている。気化ヒータ73は、気化室70の底面部71側の部位に内蔵されており、通電することによって液体燃料が気化可能な温度まで気化室70を加熱できる。本実施形態では、気化ヒータ73として、定格容量βが700[W]の電気ヒータが採用されている。気化室70には、一次空気供給筒65の内側に垂下された燃料パイプ14が差し込まれており、これを介して気化室70内に配された回転部材8に液体燃料を滴下(供給)可能な構成とされている。
回転部材8は、金属製の板体を切り起こすなどして作製されるものであり、図2に示すように平板状の滴下部8aと、これに対して略垂直に立ち上がった攪拌羽根8bとを有する。
図1や図2に示すように、回転部材8は、気化室70の上端側の開口から挿通されたモータ30の回転軸30bに固定されている。そのため、モータ30を作動させて回転軸30bを回転させると、これに連動して回転部材8が気化室70内で回転する。気化部7は、気化室70内において回転部材8を回転させた状態で燃料パイプ14から回転部材8に液体燃料を滴下することにより、液体燃料を気化室70の内壁面に向けて略均一に飛散させることができる。そのため、液体燃料が気化可能な温度まで気化部7を加熱した状態で、回転部材8に液体燃料を滴下して飛散させると、液体燃料が気化して燃料ガスが発生する。
上記したようにして気化部7において発生した燃料ガスは、気化部7に導入された空気(一次空気)と混合される。上記したように、気化部7において生成した燃焼ガスは、図5や図6に矢印で示すように気化部7から上昇し、炎孔ベース60の中央領域61に設けられた開口63の一次空気供給筒65の外側の空間68を介して炎孔形成面60b側から流路形成面60a側に至り、開放部85に流入する。開放部85に流入した燃焼ガスは、開放部85に連通した溝部81に流入すると共に、溝連絡穴82を介して炎孔ベース60に設けられた他の溝部81に順次流入していく。これにより、炎孔ベース60に設けられた全ての溝部81に燃焼ガスが行き渡る。
溝部81に流入した燃焼ガスは、炎孔ベース60の炎孔形成面60bに取り付けられた炎孔部材44に多数設けられた小孔状の炎孔58から噴出される。そのため、燃焼装置1は、炎孔58から噴出する燃焼ガスに着火すると、炎孔58の脇に設けられた二次空気孔57から吹き出される空気(二次空気)の供給を受けて燃焼ガスが燃焼し、各炎孔58に火炎が形成される。
図15や図16に示すように、上記した燃焼装置1は、加熱装置100の缶体101の上端側に取り付けられ、この下方に給湯用の湯水を加熱するための熱交換器102と風呂105内の湯水を追い焚きするための熱交換器103とに熱を供給する熱源として使用される。燃焼装置1は、下方に配された熱交換器102,103に向けて火炎を発生させ、これにより発生した燃焼熱を熱交換器102,103に供給することができる。
熱交換器102には、給湯流路106(流体流路)が接続されている。給湯流路106は、外部の給水源から熱交換器102に湯水を供給するための給水配管107と、熱交換器102において加熱された湯水を給湯栓108に供給するための給湯配管110と、給水配管107と給湯配管110とをバイパスするバイパス配管111とを有する。
給水配管107の中途には、水量センサ112と、温度センサ113と、バイパス水量調整弁114とが設けられている。水量センサ112は、熱交換器102への給水量を検知するものであり、温度センサ113は熱交換器102への給水温を検知するものである。また、バイパス水量調整弁114は、給水配管107からバイパス配管111側に流れる湯水の量を調整するものである。
また、給湯配管110の中途であって、バイパス配管111との接続部分よりも湯水の流れ方向下流側には、水量調整弁115と、出湯温度を検知するための温度センサ116とが設けられている。
熱交換器103には、風呂流路117(流体流路)が接続されている。風呂流路117は、風呂往き配管118と風呂戻り配管120とを有する。風呂往き配管118は、熱交換器103において加熱され風呂105に供給される湯水を流すための配管であり、風呂戻り配管120は、風呂105側から燃焼装置1側に戻って来た湯水を流すための配管である。風呂戻り配管120の中途には、湯水の流れを検知するための流水センサ121と、循環ポンプ122と温度センサ124とが設置されている。風呂105には、循環アダプタや浴槽連結装置と称されるような従来公知の接続金具123が取り付けられている。加熱装置1は、風呂流路107を構成する風呂往き配管118および風呂戻り配管120と、循環アダプタ123とを配管125,126を介して接続することにより、風呂105と熱交換器103との間で湯水が循環する循環流路を構成することができる。
循環ポンプ122には、凍結防止ヒータ127が取り付けられている。凍結防止ヒータ127は、加熱装置100に設けられた温度センサ128の検知温度に基づいて作動し、風呂流路117や循環ポンプ122の凍結を防止することができる。本実施形態では、循環ポンプ122および凍結防止ヒータ127が風呂流路117の凍結防止手段として機能する。
すなわち、加熱装置100は、循環ポンプ122を作動させて風呂流路117内に湯水を循環させることにより凍結の発生を防止することができる。また、加熱装置100は、凍結防止ヒータ127を作動させることによっても、循環ポンプ122内に残存している湯水は、循環ポンプ122の作動に伴って、循環ポンプ122を通過し、風呂流路117内を循環する湯水を加熱して凍結の発生を防止することができる。本実施形態では、循環ポンプ122として定格容量γが110[W]のポンプが採用されており、凍結防止ヒータ127として定格容量δが100[W]の電気ヒータが採用されている。
加熱装置100は、制御装置130と操作装置131とを有する。制御装置130は、各部に設けられた温度センサ19,113,116,124,128や水量センサ112、流水センサ121等の検知結果や、操作装置131への入力に基づいて燃焼装置1や循環ポンプ122、凍結防止ヒータ127等の動作を制御するものである。
制御装置130は、給湯栓108が開栓され水量センサ112によって所定量以上の水流が検知されることを条件として加熱装置100に対して給湯要求があったものと判断し、燃焼装置1を燃焼作動させる。また、制御装置130は、操作装置131から風呂105内の湯水を追い焚きする追い焚き要求が入力されることを条件として、燃焼装置1を燃焼作動させると共に、循環ポンプ122を作動させる。これにより、風呂105内の湯水が追い焚きされる。
続いて、本実施形態の燃焼装置1および加熱装置100の動作について、図面を参照しながら詳細に説明する。上記したように、燃焼装置1は、液体燃料を気化部7において気化させて発生する燃料ガスを燃焼するものである。そのため、燃焼装置1は、燃焼作動に先立って気化ヒータ73に通電して液体燃料が気化可能な温度まで気化部7を予熱しなければならない。また、燃焼装置1は、燃料ガスが炎孔ベース60を通過して炎孔58に供給される構成であるため、炎孔ベース60が低温であると燃料ガスが再液化してしまうおそれがある。そのため、燃焼装置1は、サブヒータ90に通電して炎孔ベース60を燃料ガスが再液化しない程度の温度とする必要がある。そこで、燃焼装置1は、操作装置131等に設けられた運転スイッチ(図示せず)がオン状態とされることを条件として気化部7および炎孔ベース60を予熱する構成とされている。
さらに詳細に説明すると、制御装置130は、図17に示す制御フローに則って燃焼装置1の動作を制御し、気化部7および炎孔ベース60の予熱を実施した後、燃焼作動を実施する構成とされている。すなわち、加熱装置100の運転スイッチがオン状態になると、制御装置130は、ステップ1−1において外気温Toを検知する。さらに具体的には、制御装置130は、ステップ1−1において温度センサ128の検知温度Tfを確認すると共に、ファン21を作動させて空気室15内に外気を取り込み、この外気の温度を空気室15内に配された温度センサ19により検知する。制御装置130は、温度センサ128の検知温度Tfと、温度センサ19の検知温度Tiのうち、低い方の温度を外気温Toと判断する。
ここで、検知温度Tf,Tiのうち、低い方の温度を外気温Toとみなすのは、加熱装置100の設置状態を考慮したものである。すなわち、加熱装置100が屋内に設置されている場合は、ファン21を作動させると温度センサ19は外気にさらされるが、温度センサ128は屋内の気温を検知することとなる。一方、加熱装置100が屋外に設置されている場合は、温度センサ19は、空気室15に残存している空気の温度を検知し、外気温Toよりも高温である可能性がある。そこで、本実施形態では、検知温度Tf,Tiのうち低温の方を外気温Toとみなしている。
説明を制御フローに戻すと、ステップ1−1において外気温Toが特定されると、制御装置130は、制御フローをステップ1−2に進め、外気温Toに基づいて気化部7の予熱設定温度Tsを決定する。さらに具体的に説明すると、外気温Toが低い場合は、気化部7が液体燃料を気化可能な温度まで加熱されていたとしても、気化部7に導入される空気(一次空気)や炎孔ベース60の貫通孔80を流れる空気(二次空気)によって気化部7や炎孔ベース60を含む燃焼部6が冷却されたり、燃料ガスが冷却され、燃料ガスの再液化が起こる可能性がある。そのため、外気温Toが低い場合は、気化部7の予熱設定温度Tsを高い目に設定し、気化部7を十分予熱すると共に、気化部7の予熱と並行してサブヒータ90により炎孔ベース60をはじめとする燃焼部6を加熱することが望ましい。これにより、外気温Toが低温であっても気化部7や、炎孔ベース60をはじめとする燃焼部6を高温に維持できると共に、炎孔ベース60を通過する燃料ガスの再液化を防止することができる。そのため、制御装置130は、外気温Toが所定の基準温度S以下であることを条件として、予熱設定温度Tsを液体燃料の気化温度よりも高い温度Ts1に設定する。
一方、ステップ1−1において導出された外気温Toが基準温度Sよりも高い場合は、気化部7に一次空気を導入したり、炎孔ベース60の貫通孔80に二次空気を流しても気化部7や燃焼部6、燃料ガスが大幅に冷却されたり、燃料ガスが再液化する可能性が低い。そのため、外気温Toが基準温度Sよりも高い場合は、気化部7の予熱設定温度Tsを上記した温度Ts1よりも低い目に設定して気化部7の加熱を行うと共に、これと並行してサブヒータ90により燃焼部6を加熱することとしても燃料ガスが再液化されたり、これに伴う不具合が発生する可能性が低い。また、予熱設定温度Tsを低い目に設定することにより、気化部7や燃焼部6の加熱に要する電力量を抑制し、省エネルギーに資することができる。そのため、制御装置130は、外気温Toが所定の基準温度Sより高いことを条件として、予熱設定温度Tsを液体燃料の気化温度よりも高く、上記した温度Ts1よりも低い温度Ts2(Ts1>Ts2)に設定する。
ステップ1−2において予熱設定温度Tsが温度Ts1あるいは温度Ts2に設定されると、制御装置130は、制御フローをステップ1−3に進め、燃焼部6や気化部7の予熱を実施する。すなわち、制御フローがステップ1−3に移行すると、制御装置130は、図18のタイミングチャートに示すように気化ヒータ73およびサブヒータ90への通電を開始し、燃焼部6および気化部7の予熱を行う。その後、制御装置130は、気化部7がステップ1−2において設定された予熱設定温度Tsになるまで気化ヒータ73およびサブヒータ90への通電を継続する(ステップ1−4)。
ステップ1−4において、気化部7の温度Teが予熱設定温度Tsまで昇温したことが確認されると、制御装置130は、制御フローをステップ1−5に進め、燃焼装置1に対する燃焼要求の有無を確認する。すなわち、制御装置130は、ステップ1−5において、水量センサ112や操作装置131からの入力に基づき、加熱装置100に対して給湯要求や風呂105内の湯水の追い焚き要求があるか否かを確認する。ステップ1−5において給湯要求や追い焚き要求がない場合は、上記したステップ1−3において予熱された気化部7が冷めるのを防止し、加熱装置100に給湯要求や追い焚き要求が出され、燃焼装置1に対する燃焼要求が発生するのを待つ必要がある。そこで、制御装置130は、制御フローをステップ1−10に進めて保温動作を行う。ステップ1−10において実施される保温動作は、図18に示すように気化ヒータ73への通電を断続的に実施することにより実施され、サブヒータ90への通電は行われない。すなわち、ステップ1−10において実施される保温動作は、気化部7の保温を主目的とするものである。
一方、ステップ1−5において燃焼装置1に対する燃焼要求が発生すると、制御フローがステップ1−6に進められ、燃焼要求が加熱装置100に対する追い焚き要求に起因するものであるのか、給湯要求に起因するものであるのかを確認する。ここで、燃焼要求が追い焚き要求に起因するものである場合は、制御フローがステップ1−7aに進められ、そうでない場合(給湯要求に起因するものである場合)は、制御フローがステップ1−7bに進められる。制御フローがステップ1−7aに進むと、気化ヒータ73がオン状態とされると共に、サブヒータ90がオフ状態とされる。また、ステップ1−7aでは、風呂戻り配管120に設けられた循環ポンプ122がオン状態とされ、風呂流路117内に風呂105内に溜まっている湯水が循環する。
ステップ1−7aにおいて循環ポンプ122がオン状態とされた後、制御フローはステップ1−8に進められ、燃焼装置1が燃焼作動を開始する。さらに詳細に説明すると、制御フローがステップ1−8に進むと、燃焼装置1のモータ30が起動され、外気が燃焼装置1内に導入されると共に、回転部材8が回転し始める。その後、燃料パイプ14から回転部材8に液体燃料が滴下され、これが気化室70の内壁面に向けて飛散される。
ここで、上記したように、気化部7は既に液体燃料が気化可能な温度まで加熱されている。そのため、回転部材8の回転に伴って飛散した液体燃料は、気化室70内において気化して燃料ガスとなる。気化室70内において気化した液体燃料は、空気室15から一次空気流入部17および一次空気供給筒65を通じて気化室70内に導入された空気(一次空気)と混合された状態になる。一次空気と混合された燃料ガスは、図5や図6に矢印で示すように炎孔ベース60の開口63および開放部85を通り、炎孔ベース60全体に多数設けられた各溝部81に流入する。溝部81に流入した燃焼ガスは、炎孔ベース60の炎孔形成面60b側に取り付けられた炎孔部材44の炎孔58から噴出する。また、炎孔58の脇には、空気室15および二次空気流入部18および炎孔ベース60の貫通孔80および炎孔部材44の二次空気孔57を通ってきた空気(二次空気)が吹き出される。そのため、炎孔58から吹き出した燃焼ガスは、二次空気孔57から吹き出す空気(二次空気)の供給下で燃焼し、炎孔ベース60に取り付けられた炎孔部材44全体に火炎が形成される。
説明を図17の制御フローに戻すと、上記したようにしてステップ1−8において燃焼作動が開始されると、制御フローがステップ1−9に進められる。一方、上記したステップ1−6において追い焚き要求がないものと判断された場合は、制御フローがステップ1−7bに進められ、図19に示すように気化ヒータ73およびサブヒータ90の双方がオン状態とされる。その後、制御フローがステップ1−8に進められ、燃焼作動が開始される。
ステップ1−8において燃焼装置1が燃焼作動を開始すると、制御フローがステップ1−9に進められる。制御フローがステップ1−9に移行すると、制御装置130は、燃焼装置1に対する燃焼要求の有無、すなわち加熱装置100に対する給湯要求や風呂105内の湯水の追い焚き要求があるか否かを確認する。ここで、燃焼装置1に対する燃焼要求が有る場合は、制御フローがステップ1−6に戻され、燃焼作動が継続される。一方、ステップ1−9において燃焼装置1に対する燃焼要求がない場合は、一連の制御フローが完了する。
上記したように、本実施形態では、ステップ1−7aおよびステップ1−7bに示すように、加熱装置100に対する追い焚き要求に基づいて燃焼装置1が燃焼作動を実施する場合にサブヒータ90をオフ状態とする構成とされている。すなわち、本実施形態の加熱装置100では、追い焚き運転を実施する際に循環ポンプ122の作動により電力消費量が増加するが、サブヒータ90がオフ状態とされる分だけ燃焼作動の際に必要とされる電力消費量が抑制される。従って、上記した燃焼装置1や加熱装置100のような構成とすれば、サブヒータ90として定格容量の大きな電気ヒータを採用しつつ、追い焚き運転のために循環ポンプ122を作動させても総電力消費量を最小限に抑制することができる。
本実施形態の加熱装置100では、燃焼量が小さいほど、燃焼作動に伴って形成される火炎が炎孔58側に近づき、炎孔ベース60が高温になることを考慮し、燃焼量の大小に応じてサブヒータ90の作動方法を変更する構成とされている。さらに、加熱装置100では、燃焼装置1が燃焼作動する時間の長短による炎孔ベース60の昇温状態の違いも考慮してサブヒータ90の作動方法を変更する構成とされている。
さらに具体的に説明すると、加熱装置100は、給湯用の湯水の加熱と、風呂105内の湯水の追い焚きを実施可能な構成とされているが、一般的に追い焚きを行う場合の燃焼量は、給湯用の湯水の加熱を行う場合の燃焼量よりも小さくなる傾向にある。そのため、燃焼装置1が燃焼作動を行う場合、追い焚きのために燃焼作動を行う場合の方が給湯用の湯水の加熱のために燃焼作動を行う場合よりも火炎が燃焼部6側に近づき、炎孔ベース60が高温になる。
これに加えて、一般的に風呂105内の湯水の追い焚きに要する時間の方が給湯が実施される時間よりも長時間に及ぶ傾向にある。そのため、風呂105内の湯水の追い焚きを行う場合の方が、給湯用の湯水の加熱を行う場合に比べて炎孔ベース60をはじめとする燃焼部6が火炎にさらされる期間が長期化し、高温になる可能性が極めて高い。そこで、本実施形態の燃焼装置1および加熱装置100では、これらの特性を活かしつつ、電力消費量を最小限に抑制すべく、図18や図19に示すように給湯要求があった場合にサブヒータ90を作動させて炎孔ベース60をはじめとする燃焼部6の加熱を行うが、燃焼量の小さな追い焚き要求があった場合にはサブヒータ90を作動させない構成とされている。従って、上記した構成によれば、炎孔ベース60をはじめとする燃焼部6を燃料ガスが再液化しない程度の温度としつつ、燃焼装置1や加熱装置100における電力消費量を最小限に抑制できる。
上記したように、加熱装置100では、燃焼装置1が追い焚き要求に伴う燃焼動作を行う場合に、燃焼開始時にサブヒータ90への通電を行わない構成とされている。また、加熱装置100は、追い焚き要求がある場合は循環ポンプ122を作動させる必要があるが、追い焚き要求がなく、給湯要求だけの場合は循環ポンプ122を作動させる必要がない。そのため、加熱装置100は、給湯要求だけの場合に循環ポンプ122の消費電力に相当する電力をサブヒータ90で余剰に消費できる。かかる知見に基づき、本実施形態の加熱装置100では、サブヒータ90として定格容量の大きな電気ヒータを採用している。そのため、加熱装置100は、給湯を行う際に炎孔ベース60をはじめとする燃焼部6を迅速に加熱することができる。
また、本実施形態では、サブヒータ90として定格容量の大きなものを採用しているため、気化ヒータ73を作動させて気化部7を予熱する間に、炎孔ベース60をはじめとする燃焼部6を十分加熱することができる。従って、本実施形態の加熱装置100では、燃焼装置1が燃焼を開始する際に炎孔ベース60に燃料ガスが流入してもこれが冷却されて再液化する可能性が極めて低い。
上記したように、燃焼装置1で採用されている炎孔ベース60に形成されている燃料ガスの流路が複雑である。そのため、燃料ガスの再液化が起こると、燃焼作動の終了後に燃焼しきれなかった燃料が白煙状になって燃焼装置1や加熱装置100の外に放出されたり、燃焼部6において燃焼不良が起こり炎孔ベース60等にススやタールが付着するといったような不具合の発生が懸念される。しかし、本実施形態の燃焼装置1や加熱装置100では、燃料ガスの再液化が起こりにくいため、前記したような燃料ガスの再液化に付随して起こると想定される不具合の発生も抑制することができる。
さらに、加熱装置100では、サブヒータ90として定格容量の大きな電気ヒータを採用することができるため、気化部7の予熱完了後、燃焼装置1が燃焼運転を開始するまでの期間(保温期間)がよほど長時間でない限り、サブヒータ90を作動させなくても炎孔ベース60を高温に維持することができる。
ここで、本実施形態の加熱装置100は、風呂流路117の中途に設けられた循環ポンプ122に凍結防止ヒータ127が設けられており、凍結防止ヒータ127を作動させたり、循環ポンプ122を作動させることにより風呂流路117内における湯水の凍結を防止する凍結防止運転を実施できる構成とされている。上記したように、加熱装置100は、サブヒータ90や気化ヒータ73の定格容量α,βが大きい(本実施形態では、それぞれ290[W],700[W])。そのため、サブヒータ90や気化ヒータ73の作動中に、凍結防止運転を実施すべく凍結防止ヒータ127と循環ポンプ122の双方に通電することとなると、加熱装置100の消費電力が極めて大きくなり、加熱装置100が接続されている電気系統に設けられたブレーカが作動するといったような不具合が起こる可能性がある。
そこで、本実施形態の燃焼装置1および加熱装置100は、上記した図17に示す制御フローによる動作制御に加えて、図20に示すような制御フローに則って凍結防止ヒータ127や循環ポンプ122が動作制御される構成とされている。以下、図20に示す制御フローについて詳細に説明する。
加熱装置100は、操作装置131等に設けられた運転スイッチ(図示せず)がオン状態とされることを条件として図20に示す制御フローによる動作制御が開始される。図20に示す制御フローが開始されると、制御装置130は、先ずステップ2−1で外気温Toを検知する。すなわち、制御装置130は、温度センサ128の検知温度Tfと空気室15内に配された温度センサ19の検知温度Tiのうち、低い方の温度を外気温Toとみなす。
ステップ2−1において検知された外気温Toが湯水の凍結が起こると想定される温度x[℃]以上である場合は、凍結防止運転を実施する必要がないため、そのまま外気温Toの検知が継続される。一方、ステップ2−1において検知された外気温Toがx[℃]未満である場合は、制御フローがステップ2−2に進められ、加熱装置100が追い焚き運転中であるか否かが確認される。ここで、加熱装置100が追い焚き運転中である場合は、循環ポンプ122が作動中であると共に、風呂流路117を流れている湯水が加熱されている状態である。そのため、外気温Toがx[℃]よりも低くても、追い焚き運転が行われている場合は、風呂流路117において湯水の凍結は起こらないものと想定される。そのため、ステップ2−2で加熱装置100が追い焚き運転中である場合は、制御フローがステップ2−1に戻される。
一方、ステップ2−2において加熱装置100が追い焚き運転を実施していない場合は、風呂流路117において水流がなく、このまま放置しておくと風呂流路117内に残存している湯水が凍結を起こす可能性がある。そこで、ステップ2−2で追い焚き運転中でない場合は、制御装置130は、制御フローをステップ2−3以降に進め、加熱装置100の動作状態にあわせた凍結防止運転を実施する。
さらに具体的に説明すると、制御フローがステップ2−3に移行すると、制御装置130は、気化ヒータ73がオン状態であるか否か、すなわち気化ヒータ73に通電が実施されているか否かを確認する。ここで、気化ヒータ73に通電がなされていない場合は、加熱装置100における消費電力が小さく、循環ポンプ122と凍結防止ヒータ127の双方を作動させて凍結防止運転を実施しても加熱装置100全体の消費電力がさほど大きくならない。さらに詳細に説明すると、上記したように気化ヒータ73の定格容量βが700[W]であるのに対して、循環ポンプ122の定格容量γは110[W]に過ぎず、凍結防止ヒータ127の定格容量δも100[W]に過ぎない。そのため、気化ヒータ73への通電が停止している場合は、循環ポンプ122と凍結防止ヒータ127の双方に通電して凍結防止運転を実施しても加熱装置100の消費電力はさほど大きくならない。そこで、ステップ2−3において気化ヒータ73がオフ状態である場合は、制御フローがステップ2−5bに進められ、循環ポンプ122と凍結防止ヒータ127の双方をオン状態として凍結防止運転が実施される。
一方、ステップ2−3において気化ヒータ73がオン状態である場合は、制御フローがステップ2−4に進められ、サブヒータ90の作動状態が確認される。ここで、サブヒータ90がオフ状態である場合は、加熱装置100における消費電力がサブヒータ90の定格容量α(本実施形態では290[W])分だけ小さく、循環ポンプ122と凍結防止ヒータ127の双方を作動させて凍結防止運転を実施しても加熱装置100全体の消費電力がさほど大きくならない。そのため、ステップ2−4においてサブヒータ90がオフ状態である場合は制御フローがステップ2−5bに進められ、循環ポンプ122と凍結防止ヒータ127の双方をオン状態として凍結防止運転が実施される。
ステップ2−4においてサブヒータ90がオン状態である場合は、加熱装置100において少なくとも定格容量α,βの和(α+β)に相当する電力(本実施形態では990[W])が消費されている。そのため、上記したステップ2−5bのように循環ポンプ122と凍結防止ヒータ127の双方に通電して凍結防止運転を実施すると、加熱装置100の消費電力が大きくなり、ブレーカが作動する等の不具合が発生する可能性がある。そこで、ステップ2−4においてサブヒータ90がオン状態である場合は、制御フローがステップ2−5aに進められ、凍結防止ヒータ127をオフ状態とした状態で、循環ポンプ122のみをオン状態として凍結防止運転を実施する。すなわち、気化ヒータ73およびサブヒータ90の双方がオン状態である場合は、これらのヒータ73,90への通電を許容すると共に、凍結防止手段を構成する循環ポンプ122および凍結防止ヒータ127のうち、凍結防止ヒータ127をオフ状態とすることにより凍結防止手段への通電を一部制限する。
上記したように、本実施形態の加熱装置100では、気化ヒータ73とサブヒータ90の双方がオン状態であることを条件として凍結防止ヒータ127を作動させず、循環ポンプ122を作動させることによって凍結防止運転を実施する構成とされている。すなわち、加熱装置100では、気化ヒータ73とサブヒータ90の双方がオン状態である場合に、凍結防止手段として機能する凍結防止ヒータ127への通電に対して気化ヒータ73やサブヒータ90への通電を優先させる構成とされている。そのため、本実施形態の加熱装置100は、気化ヒータ73およびサブヒータ90への通電と凍結防止運転とが重複して実施される場合であっても、加熱装置100全体における消費電力を最小限に抑制でき、ブレーカが作動するといったような不具合の発生を抑制することができる。
また、本実施形態の加熱装置100では、気化ヒータ73およびサブヒータ90への通電が、凍結防止ヒータ127への通電に対して優先されるため、気化部7の予熱時や燃焼開始時に気化部7や燃焼部6を素早く加熱することができる。そのため、本実施形態の加熱装置100は、給湯要求や追い焚き要求に対して迅速に対応することができ、使い勝手がよい。
上記実施形態では、ステップ2−5aにおいて、循環ポンプ122と凍結防止ヒータ127のうち、凍結防止ヒータ127の方をオフ状態として凍結防止運転を実施する構成を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。さらに具体的には、加熱装置100は、上記した実施形態とは逆に凍結防止ヒータ127をオン状態とすると共に、循環ポンプ122をオフ状態として凍結防止運転を実施する構成としたり、凍結防止ヒータ127および循環ポンプ122への通電量を減少させる構成としてもよい。
上記した燃焼装置1および加熱装置100は、制御装置130により、図17に示す制御フローによる動作制御と、図20に示す制御フローによる動作制御の双方を実施する構成であったが、本発明はこれに限定されるものではなく、いずれか一方のみを実施する構成としてもよい。
また、上記実施形態では、外気温Toに応じて予熱設定温度Tsを変更する構成を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、外気温Toによらず一定の予熱設定温度Tsを採用する構成としてもよい。また、上記実施形態では、外気温Toに応じて予熱設定温度Tsを2段階に設定する構成を例示したが、さらに多段階に設定する構成としたり、外気温Toを何らかの演算式に代入して予熱設定温度Tsを導出する構成としてもよい。
上記実施形態では、予熱設定温度Tsの設定基準となる基準温度Sは、適宜設定することができるが、例えば次のような実験データに基づいて設定することが望ましい。さらに具体的に説明すると、外気温Toが低温である場合、予熱設定温度Tsが不適切であると、気化部7において発生した燃料ガスの通路の温度が低温であるため、燃焼作動を短時間で終了すると燃料ガスが燃焼しきれずに気化部7や炎孔ベース60内の燃料ガス流路に残存してしまい、白煙状に排出されるという現象が発生する。そのため、図21に示すグラフのように、外気温Toと予熱設定温度Tsを様々に変化させて短時間の燃焼実験を行い、燃焼後に燃料ガスが白煙状になって排出される時間(以下、必要に応じて白煙排出継続時間と称す)を検知することにより、基準温度Sを設定する構成としてもよい。
例えば上記した実験により図21に示すグラフのような結果が得られた場合を例に挙げてさらに詳細に説明すると、外気温Toが15[℃]の場合は予熱設定温度Tsが255[℃]であっても265[℃]であっても白煙排出継続時間は殆ど変わらない。一方、外気温Toが10[℃]や5[℃]とした場合は、予熱設定温度Tsを255[℃]から265[℃]に上昇させることにより白煙排出継続時間が短縮される。従って、図21に示すような結果が得られた場合は、基準温度Sを15[℃]に設定し、外気温Toが15[℃]以上の場合の予熱設定温度Ts(=Ts1)を255[℃]、外気温Toが15[℃]未満の場合の予熱設定温度Ts(=Ts2)を265℃と設定することができる。このようにして実験的に基準温度Sや予熱設定温度Tsを設定すれば、気化部7の加熱に余計なエネルギーを消費することなく、燃料ガスが気化部7や炎孔ベース60等に残存したり、燃焼作動後に燃焼ガスが白煙状になって排出されるといったような不具合の発生を抑制することができる。
なお、基準温度Sや予熱設定温度Tsは、上記したような実験を予め実施して制御装置130等に設定しておいてもよいが、加熱装置100や燃焼装置1の使用に伴って得られるデータに基づいて演算するなどして後から設定する構成としてもよい。
上記実施形態では、加熱装置100の設置状態を考慮し、空気室15内に設置された温度センサ19の検知温度Tiと、加熱装置100の本体ケース(図示せず)の内部に配された温度センサ128の検知温度Tfのうち、低い方の温度を外気温Toとみなす構成を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、検知温度Ti,Tfのいずれか一方を外気温Toとみなしたり、検知温度Ti,Tfの平均値やこれらを何らかの演算式に代入して導出されるものを外気温Toとみなしてもよい。
上記実施形態では、燃焼装置1が追い焚き要求に基づいて燃焼作動を実施する場合に、気化ヒータ73を通電状態とすると共に、サブヒータ90を非通電状態とする構成を例示した。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、加熱装置100は、追い焚き要求に基づいて燃焼装置1が燃焼作動する場合に、サブヒータ90への通電に対して気化ヒータ73への通電を優先させる構成としてもよい。さらに具体的には、例えば、燃焼装置1が追い焚き要求に基づいて燃焼作動を実施する場合に、サブヒータ90に定格容量αのm%に相当する電力を供給すると共に、気化ヒータ73に定格容量βのn%(n>m)に相当する電力を供給する構成としてもよい。
上記実施形態では、加熱装置100が追い焚き運転を実施する場合に、サブヒータ90を非通電状態とする例を例示した。しかし、追い焚き運転の開始後、しばらくすると、炎孔ベース60をはじめとする燃焼部6は、炎孔58に形成される火炎により加熱され徐々に高温になるため、追い焚き要求による燃焼作動を開始するタイミングからしばらくすると、サブヒータ90をさほど作動させる必要がないものと想定される。
上記実施形態では、気化ヒータ73やサブヒータ90をオン状態あるいはオフ状態とする、いわゆるオン・オフ制御により気化部7や炎孔ベース60の温度調整を行うものであったが、本発明はこれに限定されるものではなく、気化ヒータ73やサブヒータ90の出力を比例制御等によって調整する構成としてもよい。
また、加熱装置100は、上記した追い焚き運転に加えて、風呂105に加熱された湯水を落とし込む落とし込み運転を実施したり、暖房等の負荷端末に供給される湯水や熱媒体を加熱可能な構成としたり、追い焚き運転に代えて負荷端末に供給される湯水や熱媒体を加熱可能な構成とすることも可能である。かかる構成とした場合についても、負荷端末の運転時における燃焼装置1の燃焼量は、追い焚き運転時における燃焼装置1の燃焼量と大差ない可能性が高く、給湯用運転時における燃焼量よりも小さいものと想定される。また、負荷端末が暖房端末等である場合は、追い焚き運転を実施する場合のように長期間にわたって燃焼装置1が燃焼作動するものと想定される。そのため、加熱装置100が負荷端末に供給される湯水や熱媒体の加熱を実施可能なものとする場合は、上記した図17に示す制御フローのステップ1−6において負荷端末の使用要求があるか否かを確認し、負荷端末の使用要求がある場合に制御フローをステップ1−7aに進める構成とすることが望ましい。
上記した図17に示す制御フローでは、追い焚き運転によって燃焼装置1に要求される燃焼量を基準燃焼量とし、これよりも燃焼装置1に対して要求される燃焼量が大きい給湯要求が出された場合に、気化ヒータ73をオン状態とする一方、サブヒータ90をオフ状態とする制御方法が採用されているが、本発明はこれに限定されるものではない。さらに具体的には、例えば、所定の燃焼量を基準燃焼量とし、図17に示す制御フローのステップ1−6において燃焼装置1に要求される燃焼量Qdが基準燃焼量たる燃焼量Qs以下であるか否かを判断し、Qd≦Qsの関係が成立する場合に制御フローをステップ1−7aに進め、Qd>Qsの場合に制御フローをステップ1−7bに進める構成としてもよい。