JP4835863B2 - ろう付け用複合材およびそれを用いたろう付け製品 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば排ガス再循環装置用の熱交換器用部材や燃料電池用部材などにおける、耐食性が要求されるろう付けに好適な、ろう付け用複合材およびそれを用いたろう付け製品に関する。
従来、例えば自動車用オイルクーラの接合部位に用いられる、ステンレス基ろう付け用クラッド材は、ステンレス板の片面または両面に、ろう材としての機能を有する銅層をクラッドしたものが用いられている。
あるいは、ステンレス鋼や、ニッケル基およびコバルト合金などの材料からなる部品のろう付け用材として、接合部位の耐食性に優れた各種ニッケルろうに、Ni,Cr,Ni−Cr合金のうちのいずれかの金属粉末を4重量%〜30重量%添加してなるニッケルろう材が提案されている。
また、自己ろう付け性を有するクラッド材として、Ni−Tiクラッド材を製造する方法が提案されている(特許文献1参照)。
またその他にも、Ni−Ti−Crろう材(特許文献2参照)、Ni−Cr−Cuろう材(特許文献3参照)等が提案されている。
特開平7−299592号公報 特開2006−181586号公報 特開2006−272363号公報
しかしながら、上記のような従来の技術によるろう付け用クラッド材(複合材)では、次のような問題がある。
自動車用オイルクーラの接合材として用いられるステンレス基ろう付け用クラッド材は、ろう材の機能を有する銅がステンレス板の片面または両面にクラッドされているが、そのうちの銅については、最終製品としてのオイルクーラ用途における実用上の耐食性に関しては問題ない。
ところが、このステンレス基ろう付け用クラッド材を、例えば燃料電池用の熱交換器や、排ガス再循環装置(EGR;Exhaust Gas Re−circulation)用クーラののような、いわゆる熱流体を扱う装置における各種部材の接合用に用いる場合、ステンレス基ろう付け用クラッド材では、耐食性が不十分であるため、実際上使用することができないという、致命的な問題がある。
すなわち、燃料電池用の熱交換器や、排ガス再循環装置における、配管等の主要な接合部位は、高温の熱流体や、腐食性の高い液体もしくはガス等に曝され続けることになるが、そうすると、従来のステンレス基ろう付け用クラッド材では、ろう材として銅を用いていることに起因して、腐食や劣化が生じることが避け難い。
また、ろう付け部位およびその近傍に、ろう付けの際などに溶融したろうが基材等に侵食するという、いわゆるエロージョンが発生する虞がある。
また、Ni−Tiクラッド材は、湿潤環境下での良好な耐食性を有しているものの、耐高温・耐酸化性が不十分であるという問題がある。
また、Ni−Cr合金およびTiで構成されるろう材は、粉末状であるため、接合部ご
とに粉末ろう材を添付する作業が必要となり、その接合作業工程が煩雑で、多大な労力を必要とする。このため、製品の生産性が著しく低いという問題があり、延いては製造コストの低廉化が極めて困難である。このような問題は、JIS準拠のニッケルろう材についても同様である。
また、JIS準拠のアモルファスニッケルろう材は、極めて脆いという機械的強度上の性質を有しているので、加工が極めて困難であり、またろう付け工程自体や組み立て工程での取り扱いが煩雑あるいは困難であるという問題がある。
また、Ni−Ti−Crろう材は、ろう付け後の耐食性の点では優れた特性を有しているが、複合材の最表層に反応性の高いTiが存在するため、ろう材製造中やろう付け工程での熱処理(加熱)に起因して、Tiが外気またはろう付炉内の残留ガス(O,N,C等)と反応し、ろう材が溶融混合する以前または溶融の過程で、最表面に高融点の酸化物、窒化物、炭化物等が形成されてしまう。このため、ろう流れ性の低下や接合部位の強度低下などを引き起こしやすいという問題がある。
また、Ni−Cr−Cuろう材は、湿潤環境下での耐食性については比較的良好であるが、例えば自動車の排気ガスなどの高温腐食性ガス等に対する耐高温耐食性に関しては十分ではなく、そのような用途には実際上使用できないという問題がある。
本発明は、このような問題に鑑みて成されたもので、その目的は、耐高温・耐酸化性に優れており、かつ加工性およびろう流れ性が良好で生産性の高い、ろう付け用複合材およびそれを用いたろう付け製品を提供することにある。
本発明の第1のろう付け用複合材は、オーステナイト系ステンレス鋼であるNi−Fe−Cr合からなる層と、TiまたはAlを6重量%、Vを4重量%含むTi−Al−V合金からなる層と、フェライト系ステンレス鋼であるFe−Cr合またはオーステナイト系ステンレス鋼であるNi−Fe−Cr合金からなる層との、3層を積層してなる積層構造を備えたことを特徴としている。
本発明の第のろう付け用複合材は、上記第1に記載のろう付け用複合材において、前記積層全体のうちに、ろう付け後のろう部にCrが8重量%以上残るような含有量でCrを含有してなることを特徴としている。
本発明のろう付け製品は、上記第1またはのろう付け用複合材を用いたろう付けによって接合された部位を有することを特徴としている。
本発明によれば、耐高温・耐酸化性に優れており、加工性およびろう流れ性が良好で生産性が高く、かつろう付け部位に対するエロージョンの発生を抑制することが可能な、ろう付け用複合材およびそれを用いたろう付け製品を実現することができる。
以下、本実施の形態に係る、ろう付け用複合材およびそれを用いたろう付け製品について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係るろう付け用複合材の、3層積層構造を示す図、図2は、その3層積層構造をステンレス鋼製の基材上に設けた構成の概要を示す図、図3は、図2に示した積層構造の上下(積層順序)を逆にして基材上に設けた場合を示す図である。また図4、図5は、棒状のステンレス鋼製の基材の表面に本実施の形態に係る3層積層構造を設けた場合の一例を示す図である。
このろう付け用複合材は、図1に示したように、Ni−Fe−Crを含む合金層1と、TiまたはTi合金層2と、Fe−Crを含む合金層3との3層を、この順で積層形成した積層構造を有するものである。
この3層の積層構造は、図2、図3に示したように、ステンレス鋼からなる基材4の上に積層してもよい。
ここで基材4の好適な材料の一例としてステンレス鋼を挙げたのは、ステンレス鋼は耐食性が高く、かつ汎用性が高いので材料としての工業的な利用範囲が広く、また比較的簡易に圧延・プレス・絞り等の加工が容易で、簡易に調達することも可能であり、延いては製品全体の低コスト化を促進することが可能であることなどによる。
また、図示は省略するが、基材4の表裏両面に、図1や図2に示したようなNi−Fe−Crを含む合金層1と、TiまたはTi合金層2と、Fe−Crを含む合金層3との、3層からなる積層構造を、それぞれ形成してもよい。
もしくは、上記の3層にさらに加えて、図示は省略するが、NiまたはNi−Crを含む合金層と、TiまたはTi合金層と、Fe−Crを含む合金層とを積層し、かつそのうちの最外層がNiまたはNi−Crを含む合金層もしくはFe−Crを含む合金層となるようにしてもよい。
これは、最外層にTiまたはTi合金層2が配置されると、TiまたはTi合金層2の表面が外気やろう付け炉内の酸素・窒素・炭素等と反応して、酸化物や窒化物あるいは炭化物を生じてしまう虞があるためである。また、その積層構造のうちの少なくとも1層はFe−Crを含む合金層とすることにより、後述するようなCrの持つ耐酸化性を発揮させることができると共に、Fe−Crの持つエロージョン抑制作用を発揮させることがで
きるようにするためである。
このような構成の積層構造とすることにより、本発明の実施の形態に係るろう付け用複合材は、その全体を、ろう付け工程での熱処理の際や、製品中にろう付け部位として残って熱流体や酸化物流体等に曝される際などに、それらと反応性の高いTiまたはTi合金層2とが反応して高融点の酸化物・窒化物・炭化物などを形成することを防ぐことが可能となると共に、ろう付けの際およびろう付け後での、そのろう付け部位におけるエロージョンの発生を抑止することが可能となる。
すなわち、TiまたはTi合金層2は一般に、化学的反応性が高くて表面に酸化物や窒化物もしくは炭化物を形成しやすい傾向にある。このため、TiまたはTi合金層2がろう付け用クラッド材の積層構造の最表面(最外層)に存在していると、このろう付け用複合材の製造工程中や、ろう付け工程における加熱に起因して、TiまたはTi合金層2が、外気や、ろう炉内の酸素・窒素・炭素といった残留ガスと反応し、高融点の酸化物・窒化物・炭化物などが形成されてしまう。また、ろう付け部位におけるエロージョンも発生しやすい。
そこで、本発明の実施の形態に係るろう付け用複合材では、反応性の高いTiまたはTi合金層2を、それよりも顕著に反応性が低くて安定的な、Ni−Fe−Crを含む合金層1とFe−Crを含む合金層3との間に挟み込んだ構成としている。このようにすることにより、ろう流れ性の低下や強度低下等を解消することが可能となると共に、ろう付け部位におけるエロージョンの発生を抑止することが可能となる。
また、TiまたはTi合金層2は一般に、機械的な加工性が良好でないという、ろう付け用複合材の材料としては極めて不利な特質を有している。
しかし、本発明の実施の形態に係るろう付け用複合材によれば、そのようなTiまたはTi合金層2を、機械的加工性が良好な、Ni−Fe−Crを含む合金層1とFe−Crを含む合金層3との間に挟み込んだ積層構造とすることで、このろう付け用複合材全体としての、圧延・プレス・絞り加工などにおける機械的な加工性を良好なものとすることができる。また、そのような機械的な加工に起因したろう付け部位近傍や製品全体の、製品としての品質に悪影響のある反りや歪み等の発生を、抑制ないしは解消することが可能となる。
また、本発明の実施の形態に係るろう付け用複合材によれば、ろう付け工程での、ろうの溶融反応開始温度を大幅に引き下げることが可能となる。そしてその結果、ろう付け工程のさらなる簡易化およびろうの流れ性のさらなる向上を達成することができる。具体的には、Ni−Fe−Crを含む合金層1、TiまたはTi合金層2、Fe−Crを含む合金層3は、それぞれ単体での融点が1300℃以上である。しかし、それらを重ね合わせる(接合する)ことで、全体の融点を大幅に低下させることができる。
これは、FeとTiとを接合させると、そのそれぞれの単体での融点(Fe;1538℃、Ti;1666度)よりも大幅に低い温度(約1085℃)で液相が生じ始めるので、例えば従来のNi層とCu層との積層の場合と比較して、融点を大幅に引き下げることが可能となるからである。
また、耐酸化性の向上のためにはCrを含むようにすることは既に述べた通りであるが、Crは一般に、単体では加工やろう材中への供給が困難な傾向にあるため、本発明に係る実施の形態では、FeとCrとを含む合金を用いるようにしている。そしてまた、このようにすることで、Feを加えたことによる融点の大幅な引き下げが可能となると共に、Feの持つエロージョン抑止作用を発揮させることが可能となるという、ろう付け用複合材としては極めて有効な利点を得ることができる。
また、このような3層積層構造を構成する材料は、全て、板材または箔材として簡易に入手が可能であり、かつその製造工程でこれら3層の積層構造を簡易に形成・加工することが可能であるという、極めて有利な利点を有している。これにより、例えば従来の粉末ろうを用いる場合の煩雑な工程と比較して、ろう付け工程を極めて簡易なものとすることができる。また、これらの各材料は入手しやすく加工も容易であることなどから、ろう付け用材全体のコスト低廉化を達成することも可能となる。
ここで、Fe−Crを含む合金層3は、フェライト系ステンレス鋼でもよい。これは、フェライト系ステンレス鋼はクラッドに適した加工性を有しており、かつ汎用性が高くて扱いやすく、材料や加工の低コスト化に寄与することが可能であるなど、工業的な種々の特長を有しているからである。
あるいは、Ni−Fe−Crを含む合金層1、Fe−Crを含む合金層3として、オーステナイト系ステンレス鋼を用いることが、さらに望ましい。これは、オーステナイト系ステンレス鋼は、Fe−Crの他に、Niも含んでいるので、ろう付け後の組成がNi−Ti−Fe−Crとなる際の溶融反応を、よりスムースに進行させることができ、延いてはろうの内部におけるそれらの成分の濃度のばらつきをさらに抑制することが可能となるからである。
また、このろう付け用複合材の積層構造全体のうちに、ろう付け後のろう部にCrが8重量%残るような含有量でCrを含有させておくようにすることが望ましい。
これは、ろう付けされた後に、ろう付け部位のCrの濃度が8重量%以上であれば、そのろう付け部位の十分な耐酸化性を得ることができるが、8重量%未満であると耐酸化性が急峻に低下する虞があるからである。このような知見は、以下の実施例で詳述するように、本発明者達による実験によって確認されている。
なお、図4、図5に示したように、棒状またはワイヤ状の基材4の表面に、図1に示したような3層からなる積層構造を積層形成してもよい。あるいはさらに、図示は省略するが、他の種々の曲面形状等に形成することも可能であることは勿論である。
このように、本発明の実施の形態によれば、耐高温・耐酸化性に優れており、かつ加工性およびろう流れ性が良好で生産性が高く、かつエロージョンの発生を抑止することが可能な、ろう付け用複合材を実現することができる。また、これにより、耐高温・耐酸化性に優れていて信頼性が高く、ろう付け部位およびその近傍にエロージョンの発生の虞がなく、かつ加工性が良好で低コスト化を促進可能な、ろう付け部位を有する製品を提供することが可能となる。
上記の実施の形態で説明したような、複数種類のろう付け用複合材を作製した。また、比較例として、実施例の構成とは異なる構成および従来技術に係る構成の、複数種類のろう付け用複合材を作製し、両者を比較検討した。
具体的には、上記の実施の形態で説明したような諸構成に適合する範囲内で、材料、厚さを種々変更し、複数種類のろう付け用複合材を、実施例1〜5のろう付け用複合材として作製した。また、それとの比較例として、上記の実施の形態で説明した材料とは異なる種々の材料を用いて、比較例の(および従来技術に係る)ろう付け用複合材を作製した。
そして、それらのろう付け用複合材等を用いて、実際のろう付け工程とほぼ同様に、熱処理炉中で10−3Paの真空雰囲気を保ちながら、まず900℃に予熱した後、引き続いて1200℃に加熱し、ろう付けの対象としてSUS304製のパイプに対してろう付けを行って、その各実施例および各比較例の各々について、ろう付け特性を評価した。なお、比較例については、加熱温度や圧力を上記の値とは若干変更して設定したものもある。このようにして行った実験の結果を、図6にまとめて示す。
(実施例1)
厚さ0.45mmのSUS430条と、厚さ1.0mmのTi条と、厚さ0.66mmのSUS304条とを、圧延法によってクラッドし、さらに圧延を繰り返して、その3層積層構造全体の厚さを70μmとした。このようして作製したクラッド材(3層積層構造)を、SUS304板の上に置き、さらにその上にSUS304製のパイプを配置して、上記のプロセス条件でろう付け工程を行い、そのろう付け特性を評価した。
(実施例2)
厚さ0.55mmのSUS304条と、厚さ1.0mmのTi条と、厚さ0.55mmのSUS304条とを、圧延法によってクラッドし、さらに圧延を繰り返して、その3層積層構造全体の厚さを70μmとした。このようして作製したクラッド材を、SUS304板の上に置き、さらにその上にSUS304製のパイプを配置して、上記のプロセス条件でろう付け工程を行い、そのろう付け特性を評価した。
(実施例3)
SUS304製の帯状の基材の上に、厚さ0.66mmのSUS304条と、厚さ1.0mmのTi条と、厚さ0.45mmのSUS430条とを、圧延法によってクラッドし、さらに圧延を繰り返して、その3層積層構造全体の厚さを70μmとした。このようして作製したクラッド材の上にSUS304製のパイプを配置して、上記のプロセス条件でろう付け工程を行い、そのろう付け特性を評価した。
(実施例4)
厚さ0.66mmのSUS304条と、厚さ1.0mmのTi条と、厚さ0.35mmのSUS430条とを、圧延法によってクラッドし、さらに圧延を繰り返して、その3層積層構造全体の厚さを70μmとした。このようして作製したクラッド材の上にSUS304製のパイプを配置して、上記のプロセス条件でろう付け工程を行い、そのろう付け特性を評価した。
(実施例5)
厚さ0.82mmのSUS304条と、厚さ1.0mmのTi−6重量%A1−4重量%V合金条と、厚さ0.67mmのSUS430条とを、圧延法によってクラッドし、さらに圧延を繰り返して、その3層積層構造全体の厚さを70μmとした。このようして作製したクラッド材の上にSUS304製のパイプを配置して、上記のプロセス条件でろう付け工程を行い、そのろう付け特性を評価した。
(比較例1)
SUS304製の帯状の基材の上に、厚さ0.40mmのNi条と、厚さ1.0mmのTi条と、厚さ0.40mmのNi条とを、圧延法によってクラッドして、Ni,Ti,Niの3層積層構造を形成した。そしてさらに圧延を繰り返して、その3層積層構造の厚さ(すなわちSUS304製の基材の厚さを含まず)を70μmとした。このようして作製したクラッド材の上に、SUS304製のパイプを配置して、上記のプロセス条件でろう付け工程を行い、そのろう付け特性を評価した。
(比較例2)
SUS304製の帯状の基材の上に、厚さ0.84mmのNi条と、厚さ1.0mmのTi条と、厚さ0.38mmのFe条とを、圧延法によってクラッドし、さらに圧延を繰り返して、その3層積層構造の厚さを70μmとした。このようして作製したクラッド材の上に、SUS304製のパイプを配置して、上記のプロセス条件でろう付け工程を行い、そのろう付け特性を評価した。
(比較例3)
SUS304製の帯状の基材の上に、厚さ0.65mmのNi条と、厚さ1.0mmのTi条と、厚さ0.58mmのインバー合金(Fe−36重量%Ni)条とを圧延法によってクラッドし、さらに圧延を繰り返して、その3層積層構造の厚さを70μmとした。このようして作製したクラッド材の上に、SUS304製のパイプを配置し、上記の実施例で用いたプロセス条件を加熱温度1120℃に変えて、ろう付け工程を行い、そのろう付け特性を評価した。
(比較例4)
SUS304製の帯状の基材の上に、厚さ0.96mmのNi−20重量%Cr合金条と、厚さ1.0mmのTi条とを、圧延法によってクラッドし、さらに圧延を繰り返して、その2層積層構造の厚さを70μmとした。このようして作製したクラッド材の上に、SUS304製のパイプを配置し、上記の実施例で用いたプロセス条件でろう付け工程を行い、そのろう付け特性を評価した。
(比較例5)
SUS304製の帯状の基材の上に、厚さ0.26mmのNi−40重量%Cr合金条と、厚さ0.5mmのCu条と、厚さ0.26mmのNi−40重量%Cr合金条とを、圧延法によってクラッドし、さらに圧延を繰り返して、その3層積層構造の厚さを70μmとした。このようして作製したクラッド材の上に、SUS304製のパイプを配置し、上記の実施例で用いたプロセス条件を加熱温度1250℃に変えて、ろう付け工程を行い、そのろう付け特性を評価した。
(比較例6)
SUS304製の帯状の基材の上に、Cu条を圧延法により張り合わせてCu層を形成し、圧延を繰り返して、そのCu層の厚さを70μmとした。このようして作製した、従来の技術に係るクラッド材の上に、SUS304製のパイプを配置し、上記の実施例で用いたプロセス条件を、加熱温度1120℃、圧力10−1Paに変えて、ろう付け工程を行い、そのろう付け特性を評価した。
(比較例7)
SUS304製の帯状の基材の片面上に、市販されているような従来の一般的な粉末状のNiろう材(Ni−19重量%Cr−10重量%Si)を合成樹脂バインダで溶いたものを塗布して、従来の技術に係るクラッド材を作製した。そしてそのクラッド材の上に、SUS304製のパイプを配置し、上記の実施例で用いたプロセス条件を、加熱温度1120℃、圧力10−1Paに変えて、ろう付け工程を行い、そのろう付け特性を評価した。
ろう付け後の、ろう付け部位のCr濃度としては、EDXによってろう材中の平均濃度を計測し、その値を採用した。腐食試験では、湿式試験と高温酸化試験との、2つの試験方法による評価を行った。さらに具体的には、湿式試験は、塩素イオン、硝酸イオン、硫酸イオンを含んだ腐食性溶液中に試料を1000時間浸漬した後に取り出して、ろう付け部位およびその近傍についての詳細な観察を行い、腐食の深さの最大値が100μmを超えるものを腐食有りと判断することで、腐食の発生の有無を確認する、という方法で行った。また、それと併せて、試験後の溶液を分析することで、試料(ろう付け部位)から試験液へと溶出した溶出物の定量的な比較を行って、そのデータを腐食の程度の判定材料の一つとして用いた。
高温酸化試験では、700℃の大気中で試料を100時間に亘って保持し、その試験前
後での重量変化量および断面観察によって、酸化の程度を判定した。その具体的な判定基準としては、酸化による重量増加分が5mg/cm
以下であれば良好、5mg/cm〜10mg/cmであれば微小、そして10mg/cmを超えるものについては腐食有りと判定するものとした。
ろう付け後の基材の残存率については、ろう付け後の、ろう付け部位における断面の厚さを計測し、その値の最小値が、ろう付け前の基材の厚さの85%以下であったときに不良(エロージョン発生)と判定し、85%超であれば良好(実用上支障のあるエロージョン発生せず)と判定するものとした。
ろう流れ性については、ろう付け工程で加熱処理を施した後の、ろう付け部位に形成されたフィレット形状およびその断面積に基づいて判定した。
このような実験の結果は、図6に示したようなものとなった。
図6によれば、比較例4の構成のような最外層に反応性の高いTi層を配置した場合には、ろうの流れ性が著しく低下してしまうが、本発明による実施例1〜5の構成の場合には、Ti層が最外層に露出しないようにしたので、ろうの流れ性の飛躍的な向上を達成できることが確認された。このようなろうの流れ性の向上は、実施例1のような基材を有さない3層積層構造のみの構成であっても、実施例3のようなステンレス鋼製の基材上に3層積層構造を形成してなる構成であっても、ほぼ同様に得ることが可能であった。
比較例1の構成のような、CrおよびFeをろう付け用複合材に含まない場合には、耐酸化性が明らかに低下することが確認された。また、それと共に、基材の残存率が顕著に低く、エロージョンが発生しやすいことが確認された。また、比較例2、比較例3のような、FeまたはFe−Niを含んでいるがCrは含んでいない構成の場合には、十分な耐酸化性を得ることができないことが確認された。
これとは対照的に、Fe、Crの両方を含んでいる実施例1〜5の構成の場合には、基材の残存率およびエロージョン抑止作用を、共に極めて良好なものとすることができることが確認された。
また、比較例5のような、Ni−Cu−Crを含む積層構造の場合には、湿式による耐食性試験結果は良好であったものの、耐酸化性が不十分であることが確認された。
また、従来の技術に係る比較例6の構成では、ろう流れ性およびエロージョン抑止作用については良好な結果が得られたが、湿式試験・高酸化試験の両方で耐食性が不十分であり、高腐食環境下での使用に耐えることは困難であることが確認された。
また、実施例1、実施例2、実施例3、実施例5の構成のように、Crの濃度を高くして、ろう付け後のろう付け部位に残るCrの濃度を8%以上にすることにより、それよりもCr濃度を低くした実施例4の構成の場合のようなろう付け部位に残るCrの濃度が8%未満となる場合よりも、さらに耐高温性を向上させることが可能であることが確認された。このことから、ろう付け後の、ろう付け部位に残るCrの濃度が8%以上になるように、Crの含有量を多めに設定することがさらに望ましいことが判明した。
また、実施例5の構成のように、Tiの代りにTi合金を用いても、Tiの場合と同様の効果を得ることが可能であることが確認された。
また、従来の技術に係る比較例7の構成では、ろう流れ性およびエロージョン抑止作用も、耐食性も、共に良好な結果が得られたものの、粉末ろう材であること、またそのため
有機系バインダ等を用いなければならないことなどに起因して、生産性が著しく低くなることは避け難かった。しかし、これとは対照的に、本発明による実施例1〜5の構成の場合には、帯状のソリッドなクラッド材であるから、ろう付け工程での生産性を飛躍的に向上させることができた。
このように、本発明の実施例に係る係るろう付け用複合材によれば、耐高温・耐酸化性に優れており、かつエロージョンの発生を抑止することができ、加工性およびろう流れ性が良好で生産性も高い、ろう付けを実現することができる。
本発明の実施の形態に係るろう付け用複合材の3層積層構造を示す図である。 図1に示した3層積層構造をステンレス鋼製の基材上に設けた構成の概要を示す図である。 図2に示した積層構造の上下を逆にして基材上に設けた場合を示す図である。 棒状のステンレス鋼製の基材の表面に3層の積層構造を設けた場合の一例を示す断面図である。 棒状のステンレス鋼製の基材の表面に3層の積層構造を設けた場合の一例を示す断面図である。 実施例および比較例の実験結果をまとめて示す図である。
符号の説明
1 Ni−Fe−Crを含む合金層
2 TiまたはTi合金層
3 Fe−Crを含む合金層
4 基材

Claims (3)

  1. オーステナイト系ステンレス鋼であるNi−Fe−Cr合からなる層と、TiまたはAlを6重量%、Vを4重量%含むTi−Al−V合金からなる層と、フェライト系ステンレス鋼であるFe−Cr合またはオーステナイト系ステンレス鋼であるNi−Fe−Cr合金からなる層との、3層を積層してなる積層構造を備えた
    ことを特徴とするろう付け用複合材。
  2. 請求項1に記載のろう付け用複合材において、
    前記積層全体のうちに、ろう付け後のろう部にCrが8重量%以上残るような含有量でCrを含有してなる
    ことを特徴とするろう付け用複合材。
  3. 請求項1または2に記載のろう付け用複合材を用いたろう付けによって接合された部位を有する
    ことを特徴とするろう付け製品。
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