JP2008212985A - ろう付け用複合材およびこれを用いたろう付け製品 - Google Patents
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Abstract
【課題】ろう材に要求されるろう付け性、高耐食性を維持しながらも、更に加工性に優れたろう付け用複合材およびこれを用いたろう付け製品を提供するものである。
【解決手段】本発明に係るろう付け用複合材は、ろう付けを行う部材間に配置され、ろう付けを行うためのものであり、ろう材部として、ニッケル−クロムを主成分とするNi−Cr層1と、シリコン或いはシリコン合金からなるSi層2とを有し、2つのNi−Cr層1,1の層間にSi層2を設けたものである。このろう付け用複合材を、ろう材部として基材3の表面に一体に設けてもよい。
【選択図】図1
【解決手段】本発明に係るろう付け用複合材は、ろう付けを行う部材間に配置され、ろう付けを行うためのものであり、ろう材部として、ニッケル−クロムを主成分とするNi−Cr層1と、シリコン或いはシリコン合金からなるSi層2とを有し、2つのNi−Cr層1,1の層間にSi層2を設けたものである。このろう付け用複合材を、ろう材部として基材3の表面に一体に設けてもよい。
【選択図】図1
Description
本発明は、ろう付け機能を有したろう付け用複合材に係り、特にろう付性能及び加工性を向上させ、かつ、耐食性を有したろう付け用複合材およびこれを用いたろう付け製品に関するものである。また、本発明のろう付け機能を有したろう付け用複合材は、特に熱交換器(排ガス再循環装置(EGR)用クーラや燃料電池改質器用クーラなど)および燃料電池用部材に関するものである。
自動車用オイルクーラの接合材として、ステンレス基ろう付け用複合材が使用されている。これは、ステンレス板の片面、あるいは両面にろう材としての機能をもつ銅が複合されている。また、ステンレス鋼や、ニッケル基またはコバルト基合金などの部品のろう付材として、接合部の耐食性に優れる各種ニッケルろうに、Ni、Cr、Ni−Cr合金のうち選ばれた金属粉末を4wt%〜22wt%添加して構成されるニッケルろう材が提案されている(特許文献1)。
また、自己ろう付性複合材を作る方法として、Ni−Ti複合材の製造法がある(特許文献2)。
その他、Cu−Ni−Si合金で構成されたろう材のろう付け方法が提案されている(特許文献3)。
自動車用オイルクーラ接合材としてのステンレス基ろう付け用複合材は、ろう材の機能を持つ銅が、ステンレス板の片面あるいは両面に複合されている。オイルクーラにこのろう付け用複合材を使用した場合、ろう材としての銅は使用上の耐食性に全く問題はない。
しかしながら、このろう付け用複合材を燃料電池用熱交換器、或いはEGR(Exhaust Gas Recirculation:排ガス再循環装置)クーラ接合用など、耐食・耐熱環境下でろう材として使用した場合、耐食性に著しい問題が生じる。すなわち、燃料電池用熱交換器やEGRクーラ内には、高温かつ腐食性の高い溶液あるいは排気ガスなどが循環されるため、従来の銅ろう材では、耐食性が十分でなく使用が出来ない。
特許文献2に記載されているようなNi−Ti複合材は、ろう付け後の耐食性に優れるものの、反応性の高いTiを用いているため、複合材作製のための熱処理時に外気と反応して加工性を低下させる硬い化合物層を形成したり、また、ろう付けの際にもろう付け炉内の外気と反応して著しい変色やろう流れの低下を生じたりする場合がある。
特許文献1に記載されているニッケルろう材、及びJISに記載のニッケルろう材は、粉末状であるため、接合部毎に粉末ろう材を添付する作業が必要になるため、多大な労力を費やし、製品の生産性が著しく低く、高コストな製品とならざるを得ない。また、同じくJISに記載のアモルファスニッケルろう材は非常に脆いため、加工及びろう付け組立て時の取り扱いが難しく、製造コストが高い。
特許文献3に記載されているCu−Ni−Si合金ろうは、耐食性、耐酸化性及び融点降下に寄与するSiの量に関して、Si濃度が高くなると延性が低下し、クラッド化が困難となるため、Si濃度が1mass%以下に限られている。
本発明は上記課題を解決し、ろう材に要求されるろう付け性、高耐食性を維持しながらも、更に加工性に優れたろう付け用複合材およびこれを用いたろう付け製品を提供することにある。
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、ろう付けを行う部材間に配置され、ろう付けを行うためのろう付け用複合材において、ろう材部として、ニッケル−クロムを主成分とするNi−Cr層と、シリコン或いはシリコン合金からなるSi層とを有し、2つのNi−Cr層の層間にSi層を設けたことを特徴とするろう付け用複合材である。
請求項2の発明は、基材表面にろう材部を一体に設けたろう付け用複合材において、上記ろう材部が、ニッケル−クロムを主成分とするNi−Cr層と、シリコン或いはシリコン合金からなるSi層とを有し、2つのNi−Cr層の層間にSi層を設けたことを特徴とするろう付け用複合材である。
請求項3の発明は、基材表面にろう材部を一体に設けたろう付け用複合材において、上記ろう材部が、ニッケル−クロムを主成分とするNi−Cr層と、シリコン或いはシリコン合金からなるSi層とを有し、そのNi−Cr層と上記基材の間にSi層を設けたことを特徴とするろう付け用複合材である。
請求項4の発明は、上記ろう材部に占めるCr濃度の割合が5mass%以上、Si濃度の割合が2mass%以上である請求項1から3いずれかに記載のろう付け用複合材である。
請求項5の発明は、上記Si層を構成するシリコン合金がニッケル−シリコン合金である請求項1から3いずれかに記載のろう付け用複合材である。
請求項6の発明は、上記基材がFeを主成分とする合金で構成される請求項2又は3記載のろう付け用複合材である。
請求項7の発明は、上記基材がステンレス鋼で構成される請求項2又は3記載のろう付け用複合材である。
請求項8の発明は、請求項1から7いずれかに記載のろう付け用複合材を用いて組み立てられたことを特徴とするろう付け製品である。
本発明によれば、ろうの流れ性、耐食性、及び加工性に優れたろう付け用複合材が得られる。
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基いて説明する。
本発明者らが、ろう付け用複合材の構成について種々検討した結果、ろう材としての材料を所定の構成に選定することで、ろう材に要求されるろう付け性、高耐食性を維持しながらも、更に加工性に優れた本発明のろう付け用複合材を完成するに至った。
また、本発明者らは、ろう材を高耐食性と良好なろう流れ性を有するNi,Cr,Si成分系で構成すると共に、Ni,Cr,Si成分系のろう材を、Ni−Cr系合金層とSi或いはSi合金層との複合材で形成することにより、加工性も併せ持つろう材として機能させることができることを見出した。
すなわち、図1に示すように、本発明の好適一実施の形態に係るろう付け用複合材は、ニッケル−クロムを主成分とするNi−Cr層1と、シリコン或いはシリコン合金からなるSi層2とを積層しクラッドしてなるものであり、複合材全体でろう材を構成するものである。ろう付け用複合材の積層構造は、2つのNi−Cr層1,1の層間に、Si層2を設けたものである。ろう材中(ろう付け用複合材全体)に占めるCr濃度の割合は5mass%以上、Si濃度の割合は2mass%以上とされる。
Si層2は、純シリコン又はシリコン合金で構成され、シリコン合金として、例えばニッケル−シリコン合金が挙げられる。また、Si層2の形態は、薄板状又は粉末状のいずれであってもよく、例えば、Si添加量が多くて脆いSi合金板や、Si粉末などが挙げられる。さらに、Ni−Cr層1の構成材として、例えば、Ni−Cr合金、Ni−Cr−P合金が挙げられる。
ろう材中に占めるCr濃度の割合を5mass%以上としたのは、Cr濃度が5mass%未満であると、十分な耐食性、特に耐酸化性が得にくいためである。逆に、Cr濃度があまり高すぎると、ろう材の融点上昇を招くため、例えば、上限値は30mass%以下、好ましくは20mass%以下とする。
ろう材中に占めるSi濃度の割合を2mass%以上としたのは、Si濃度が2mass%未満であると、それ以外のNi,Crからなる合金(Ni−Cr層1)の融点をろう付け温度以下に降下させることができないためである。逆に、Si濃度があまり高すぎると、相対的にCr濃度が減少し、ろう材の耐食性などが不十分となるため、例えば、上限値は20mass%以下、好ましくは15mass%以下とする。
次に、本実施の形態の作用を説明する。
本実施の形態に係るろう付け用複合材は、Si層2の上下両面にNi−Cr層1を設けた層構造とし、ろう材全体をNi,Cr,Si成分系で構成している。
ここで、ろう材を構成する主材料として、ニッケル、クロム、シリコンを選定することで、これらの材料からなるろう材をろう付け熱処理し、溶融・混合させた時、ろう材の耐食性が優れたものとなる。Ni,Cr成分については、ニッケルとクロムの合金のNi−Cr層1としているが、Ni−Cr合金は、合金材料としても加工性を有する板形状で作製可能であるためである。更に、Ni,Crは、共に単体では高融点であるものの、Siと混合、合金化することでその融点が低下し、例えば、基材(後述)としてのステンレス鋼よりも融点が十分低いろう材として機能する。
そして、Si層2をろう材の内層(中央)に配置したのは、ろう材を構成する各金属の中でシリコンは硬くて脆いため、Si層2を外層に配置した場合、例え板形状のSi板材であっても、複合化、クラッド化の過程で、Si板材が破断、粉末化し、所定のろう組成が得られなくなるばかりでなく、取り扱い性に劣る結果となるためである。一方、Si層2を内層に配置した場合、例えSi板材が粉末化したとしても、Si層2の両外層(Ni−Cr層1)の板材によってSi粉末の飛散を防止することができるため、前述した問題が生じるおそれはない。このように、Si層2をNi−Cr層1,1で挟み、Si層2を内層とすることで、Si層2の材料形態が制限されることが無くなり、粉末形状、板形状のいずれであってもよい。このように、Si層2をろう材の内層に配置することで、Siの添加量は材料の加工性に制限されることなく、必要なろう流れ性、耐食性のレベルに応じて自由な濃度設計値でSiを添加することが可能となる。
また、Si層2をNi−Cr層1,1で挟むことで、Ni−Cr合金とSiの反応が容易となり(ろう溶融時にろう材が混合しやすくなり)、ろう付け後のろう接合部組成の均一性に優れる。さらに、Ni−Cr層1の構成材としてNi−Cr−P合金を用いることで、ろう材の流れ性がより良好となる。
以上に述べたように、本実施の形態に係るろう付け用複合材は、ろう材に要求されるろう付け性(1200℃前後の温度でろう付け熱処理が可能であること、ろう流れ性が良好であること)および高耐食性を維持しつつ、更にろう付け用複合材製造時における加工性が優れたものとなる。
なお、本実施の形態に係るろう付け用複合材は、高耐食性が要求される接合分野であればいずれにも適用可能であり、その用途が熱交換器(排ガス再循環装置(EGR)用クーラや燃料電池改質器用クーラなど)および燃料電池用部材に限定されないことはいうまでもない。
次に、本発明の他の実施の形態を添付図面に基いて説明する。
本発明の他の好適一実施の形態に係るろう付け用複合材は、図2に示すように、ろう材部と基材3とを一体化したものである。このろう材部は、図1に示したろう付け用複合材と同じ構成である。基材3は、Feを主成分とする合金、好ましくはステンレス鋼で構成される。
このように、ろう材と基材3とを一体化した本実施の形態に係るろう付け用複合材においても、図1に示したろう付け用複合材と同様の作用効果が得られ、また、ろう付け組立て性がさらに優れたものとなる。
本実施の形態においては、図2に示したように基材3の片面のみにろう材部を設けたろう付け用複合材を例に挙げて説明を行ったが、図4に示すように、基材3の両面にろう材部を積層し、これらを一体化したろう付け用複合材であってもよい。また、本実施の形態においては、図2に示したように、ろう付け用複合材が板状の場合について説明を行ったが、ろう付け用複合材は、図5に示すように棒状、ワイヤ状の基材3の周りに、順に、Ni−Cr層1、Si層2、Ni−Cr層1を設けたものであってもよい。
一方、本発明の別の好適一実施の形態に係るろう付け用複合材は、図3に示すように、ろう材部と基材3とを一体化したものであるが、図2に示したろう付け用複合材とはろう材部の構造が異なっている。具体的には、ろう材部は、Ni−Cr層1とSi層2とを有しており、Ni−Cr層1と基材3との間にSi層2を設けたものである。つまり、本実施の形態に係るろう付け用複合材は、Si層2の一方の面(上面)にNi−Cr層1を、Si層2の他方の面(下面)に基材3を設け、Si層2を、Ni−Cr層1と基材3とで挟んだものである。
本実施の形態に係るろう付け用複合材においても、Si層2の両面をNi−Cr層1と基材3の両板材で挟んでいるため、図2に示したろう付け用複合材と同様にSi粉末の飛散を防止することができ、また、必要とするNi−Cr層1が1層のみであることから材料コストの低減を図ることができる。
以下、本発明の実施例を説明する。
(実施例1)
2枚の等しいNi−Cr合金条(厚さ0.56mm)を複合一体化させる圧延処理工程の直前にNi−Cr合金条間にSi粉末(200μmメッシュ)を約1g/cm2の割合でほぼ均等に散布し、Ni−Cr/Si/Ni−Crの複合材を作製した。更に圧延を繰り返し、Ni−Cr、Si、Ni−Crの合計の厚さを70μmとした。本複合材をSUS304板の上に乗せ、更にその上にSUS304パイプを置き、1200℃の管状炉で加熱し、ろう特性を評価した。
(実施例2)
2枚の等しいNi−Cr合金条(厚さ0.56mm)を複合一体化させる圧延処理工程の直前にNi−Cr合金条間にSi粉末(200μmメッシュ)を約1g/cm2の割合でほぼ均等に散布し、Ni−Cr/Si/Ni−Crの複合材を作製した。更に圧延を繰り返し、Ni−Cr、Si、Ni−Crの合計の厚さを200μmとした。これらの複合材をSUS304(厚さ1.0mm)と圧延法にて一体化させ、更にNi−Cr、Si、Ni−Crの合計の厚さが70μmになるまで圧延した。本複合材の上にSUS304パイプを置いた後、管状炉中、1200℃でろう付け加熱し、ろう付特性を評価した。
(実施例3)
Ni−Cr合金条(厚さ0.56mm)とSUS304条(厚さ1.5mm)を複合一体化させる圧延処理工程の直前にNi−Cr合金条とSUS304条の間にSi粉末(200μmメッシュ)を約0.1g/cm2の割合でほぼ均等に散布し、Ni−Cr/Si/SUS304の複合材を作製した。更に圧延を繰り返し、Ni−Cr、Siの合計の厚さを70μmとした。本複合材の上にSUS304パイプを置いた後、管状炉中、1200℃でろう付け加熱し、ろう付特性を評価した。
(実施例4)
Ni−Cr合金条(厚さ0.28mm)とSUS304条(厚さ1.5mm)を複合一体化させる圧延処理工程の直前にNi−Cr合金条とSUS304条の間にSi粉末(200μmメッシュ)を約1g/cm2の割合でほぼ均等に散布し、Ni−Cr/Si/SUS304の複合材を作製した。更に圧延を繰り返し、Ni−Cr、Siの合計の厚さを70μmとした。本複合材の上にSUS304パイプを置いた後、管状炉中、1200℃でろう付け加熱し、ろう付特性を評価した。
(実施例5)
Ni−Cr−P合金条(厚さ0.56mm)とSUS304条(厚さ1.5mm)を複合一体化させる圧延処理工程の直前にNi−Cr−P合金条とSUS304条の間にSi粉末(200μmメッシュ)を約0.6g/cm2の割合でほぼ均等に散布し、Ni−Cr−P/Si/SUS304の複合材を作製した。更に圧延を繰り返し、Ni−Cr−P、Siの合計の厚さを70μmとした。本複合材の上にSUS304パイプを置いた後、管状炉中、1200℃でろう付け加熱し、ろう付特性を評価した。
(比較例1)
Ni−Cr合金条(厚さ0.25mm)とSUS304条(厚さ1.5mm)を複合一体化させる圧延処理工程の直前にNi−Cr合金条とSUS304条の間にSi粉末(200μmメッシュ)を約1g/cm2の割合でほぼ均等に散布し、Ni−Cr/Si/SUS304の複合材を作製した。更に圧延を繰り返し、Ni−Cr、Siの合計の厚さを70μmとした。本複合材の上にSUS304パイプを置いた後、管状炉中、1200℃でろう付け加熱し、ろう付特性を評価した。
(比較例2)
Ni−Cr合金条(厚さ0.56mm)とSUS304条(厚さ1.5mm)を複合一体化させる圧延処理工程の直前にNi−Cr合金条とSUS304条の間にSi粉末(200μmメッシュ)を約0.05g/cm2の割合でほぼ均等に散布し、Ni−Cr/Si/SUS304の複合材を作製した。更に圧延を繰り返し、Ni−Cr、Siの合計の厚さを70μmとした。本複合材の上にSUS304パイプを置いた後、管状炉中、1200℃でろう付け加熱し、ろう付特性を評価した。
(比較例3)
Ni条(厚さ0.6mm)とTi条(厚さ1.0mm)を圧延法によって一体化させ、更に圧延することによってNiとTiの厚さを200μmとした。これらの複合材をSUS304条(厚さ1.0mm)と圧延法により一体化させ、更に圧延することにより、Ni層、Ti層の合計の厚さを70μmとした。本複合材の上にSUS304パイプを置いた後、管状炉中、1200℃でろう付け加熱し、ろう付特性を評価した。
(比較例4)
Ni条(厚さ0.3mm)、Ti条(厚さ1.0mm)、Ni条(厚さ0.3mm)を圧延法によって一体化させ、更に圧延することによってNi,Ti,Niの厚さを200μmとした。これらの複合材をSUS304条(厚さ1.0mm)と圧延法により一体化させ、更に圧延することにより、Ni層、Ti層、Ni層の合計の厚さを70μmとした。本複合材の上にSUS304パイプを置いた後、管状炉中、1200℃でろう付け加熱し、ろう付特性を評価した。
(従来例1)
複合材の材料としてSUS304条、銅条を用い、圧延法により2層構造のろう付け用複合材を作製した。また、銅の厚さは70μmになるように圧延加工を行った。本複合材を管状炉で1120℃に加熱し、ろう層を溶融した後、ろう特性を評価した。
(従来例2)
SUS304の片面に市販の粉末Niろう材(Ni−19mass%Cr−10mass%Si)を合成樹脂バインダで溶いたものを塗布し複合材を作製した。本複合材を管状炉で1200℃に加熱し、ろう層を溶融した後、ろう特性を評価した。
(従来例3)
Ni−30mass%Cr条(厚さ1.0mm)、Cu−17mass%Ni−0.5mass%Si条(厚さ0.3mm)を圧延法により一体化させ、圧延を繰り返すことにより全体厚さが0.3mmになるまで加工した。更に、これらの複合材をNi−Cr合金側がSUS304条(厚さ1.0mm)に接するように同じく圧延法により一体化させ、その後、Cu−17mass%Ni−0.5mass%Si合金の厚さが70μmになるまで圧延加工を行った。本複合材の上にSUS304パイプを置いた後、管状炉中、1200℃でろう付け加熱し、ろう付特性を評価した。
(実施例1)
2枚の等しいNi−Cr合金条(厚さ0.56mm)を複合一体化させる圧延処理工程の直前にNi−Cr合金条間にSi粉末(200μmメッシュ)を約1g/cm2の割合でほぼ均等に散布し、Ni−Cr/Si/Ni−Crの複合材を作製した。更に圧延を繰り返し、Ni−Cr、Si、Ni−Crの合計の厚さを70μmとした。本複合材をSUS304板の上に乗せ、更にその上にSUS304パイプを置き、1200℃の管状炉で加熱し、ろう特性を評価した。
(実施例2)
2枚の等しいNi−Cr合金条(厚さ0.56mm)を複合一体化させる圧延処理工程の直前にNi−Cr合金条間にSi粉末(200μmメッシュ)を約1g/cm2の割合でほぼ均等に散布し、Ni−Cr/Si/Ni−Crの複合材を作製した。更に圧延を繰り返し、Ni−Cr、Si、Ni−Crの合計の厚さを200μmとした。これらの複合材をSUS304(厚さ1.0mm)と圧延法にて一体化させ、更にNi−Cr、Si、Ni−Crの合計の厚さが70μmになるまで圧延した。本複合材の上にSUS304パイプを置いた後、管状炉中、1200℃でろう付け加熱し、ろう付特性を評価した。
(実施例3)
Ni−Cr合金条(厚さ0.56mm)とSUS304条(厚さ1.5mm)を複合一体化させる圧延処理工程の直前にNi−Cr合金条とSUS304条の間にSi粉末(200μmメッシュ)を約0.1g/cm2の割合でほぼ均等に散布し、Ni−Cr/Si/SUS304の複合材を作製した。更に圧延を繰り返し、Ni−Cr、Siの合計の厚さを70μmとした。本複合材の上にSUS304パイプを置いた後、管状炉中、1200℃でろう付け加熱し、ろう付特性を評価した。
(実施例4)
Ni−Cr合金条(厚さ0.28mm)とSUS304条(厚さ1.5mm)を複合一体化させる圧延処理工程の直前にNi−Cr合金条とSUS304条の間にSi粉末(200μmメッシュ)を約1g/cm2の割合でほぼ均等に散布し、Ni−Cr/Si/SUS304の複合材を作製した。更に圧延を繰り返し、Ni−Cr、Siの合計の厚さを70μmとした。本複合材の上にSUS304パイプを置いた後、管状炉中、1200℃でろう付け加熱し、ろう付特性を評価した。
(実施例5)
Ni−Cr−P合金条(厚さ0.56mm)とSUS304条(厚さ1.5mm)を複合一体化させる圧延処理工程の直前にNi−Cr−P合金条とSUS304条の間にSi粉末(200μmメッシュ)を約0.6g/cm2の割合でほぼ均等に散布し、Ni−Cr−P/Si/SUS304の複合材を作製した。更に圧延を繰り返し、Ni−Cr−P、Siの合計の厚さを70μmとした。本複合材の上にSUS304パイプを置いた後、管状炉中、1200℃でろう付け加熱し、ろう付特性を評価した。
(比較例1)
Ni−Cr合金条(厚さ0.25mm)とSUS304条(厚さ1.5mm)を複合一体化させる圧延処理工程の直前にNi−Cr合金条とSUS304条の間にSi粉末(200μmメッシュ)を約1g/cm2の割合でほぼ均等に散布し、Ni−Cr/Si/SUS304の複合材を作製した。更に圧延を繰り返し、Ni−Cr、Siの合計の厚さを70μmとした。本複合材の上にSUS304パイプを置いた後、管状炉中、1200℃でろう付け加熱し、ろう付特性を評価した。
(比較例2)
Ni−Cr合金条(厚さ0.56mm)とSUS304条(厚さ1.5mm)を複合一体化させる圧延処理工程の直前にNi−Cr合金条とSUS304条の間にSi粉末(200μmメッシュ)を約0.05g/cm2の割合でほぼ均等に散布し、Ni−Cr/Si/SUS304の複合材を作製した。更に圧延を繰り返し、Ni−Cr、Siの合計の厚さを70μmとした。本複合材の上にSUS304パイプを置いた後、管状炉中、1200℃でろう付け加熱し、ろう付特性を評価した。
(比較例3)
Ni条(厚さ0.6mm)とTi条(厚さ1.0mm)を圧延法によって一体化させ、更に圧延することによってNiとTiの厚さを200μmとした。これらの複合材をSUS304条(厚さ1.0mm)と圧延法により一体化させ、更に圧延することにより、Ni層、Ti層の合計の厚さを70μmとした。本複合材の上にSUS304パイプを置いた後、管状炉中、1200℃でろう付け加熱し、ろう付特性を評価した。
(比較例4)
Ni条(厚さ0.3mm)、Ti条(厚さ1.0mm)、Ni条(厚さ0.3mm)を圧延法によって一体化させ、更に圧延することによってNi,Ti,Niの厚さを200μmとした。これらの複合材をSUS304条(厚さ1.0mm)と圧延法により一体化させ、更に圧延することにより、Ni層、Ti層、Ni層の合計の厚さを70μmとした。本複合材の上にSUS304パイプを置いた後、管状炉中、1200℃でろう付け加熱し、ろう付特性を評価した。
(従来例1)
複合材の材料としてSUS304条、銅条を用い、圧延法により2層構造のろう付け用複合材を作製した。また、銅の厚さは70μmになるように圧延加工を行った。本複合材を管状炉で1120℃に加熱し、ろう層を溶融した後、ろう特性を評価した。
(従来例2)
SUS304の片面に市販の粉末Niろう材(Ni−19mass%Cr−10mass%Si)を合成樹脂バインダで溶いたものを塗布し複合材を作製した。本複合材を管状炉で1200℃に加熱し、ろう層を溶融した後、ろう特性を評価した。
(従来例3)
Ni−30mass%Cr条(厚さ1.0mm)、Cu−17mass%Ni−0.5mass%Si条(厚さ0.3mm)を圧延法により一体化させ、圧延を繰り返すことにより全体厚さが0.3mmになるまで加工した。更に、これらの複合材をNi−Cr合金側がSUS304条(厚さ1.0mm)に接するように同じく圧延法により一体化させ、その後、Cu−17mass%Ni−0.5mass%Si合金の厚さが70μmになるまで圧延加工を行った。本複合材の上にSUS304パイプを置いた後、管状炉中、1200℃でろう付け加熱し、ろう付特性を評価した。
表1に、実施例1〜5、比較例1〜4、および従来例1〜3の各複合材について、腐食試験の結果、高温保持試験の結果、フィレット形成状態(ろう流れ性)、ろう付生産性、及びそれらの総合評価を示す。
腐食試験は、塩素イオン、硝酸イオン、硫酸イオンを含んだ腐食性溶液中に各試料を1000h浸漬し、試験前後の重量変化(腐食による重量減少量)により耐食性を評価した。試験片の重量減少量が、1mg以下を最良(◎)、1〜5mgを良(○)、5〜10mgを不足(△)、10mg以上を不良(×)とした。
高温保持試験は、各試料を500℃の大気中で最大800h保持し、腐食による重量変化量(酸化による重量増加量)により耐酸化性を評価した。試験片の重量増加量が、10mg以下を最良(◎)、10〜25mgを良(○)、25〜50mgを不足(△)、50mg以上を不良(×)とした。
ろう流れ性については、ろう付け熱処理した後のSUS基材/SUSパイプ接合部に形成されるフィレットの形状及び断面積により評価した。
表1に示すように、ろう材中に占めるCr濃度が5mass%以上、Si濃度が2mass%以上である実施例1〜5は、耐食性、耐酸化性、ろう流れ性、ろう付け生産性、及び総合評価がいずれも良好であった。特に、Ni,Cr,Siのほか、Pをろう材中に添加した実施例5では、実施例1〜4の各複合材よりもろうの流れ性が更に良好であった。
これに対して、Cr濃度が5mass%未満である比較例1(4mass%)は、高温保持試験で十分な特性(耐酸化性)が得られず、特に腐食試験で耐食性が不十分であるという結果となった。
また、Si濃度が2mass%未満である比較例2(1mass%)は、十分なろう流れ性を得ることができなかった。これは、Siの添加量がろう材全体の融点を低下させるのに十分でなかったためであると考えられる。
これらの結果から、十分な耐食性を確保するためにはCr濃度として5mass%以上、十分なろう流れ性を確保するためにはSi濃度として2mass%以上が必要であると判断できる。
Ni,Tiから構成される比較例3に示す複合材は、表面にTiがあるため、複合材製造中の熱処理工程で、炉内の窒素あるいは酸素とTiが反応することで表面が硬化し、加工性が低下することがわかった。また、ろう付け時のろう付け炉内の残留ガスの影響で、ろう流れ性が悪い結果となった。
同じくNi,Ti,Niからなる比較例4に示す複合材は、表層にバリア層としてのNiを配置することによって、複合材製造中における上述した不具合は改善されるものの、Tiをろう成分として含むため、ろう付け時に、炉内残留ガスの影響で変色が発生した。また、高温保持試験の結果、表面変色が著しいことがわかった。
従来例1に示すCu複合材は、腐食試験及び高温保持試験に対して結果が著しく悪く、耐食環境下での使用に耐えられないことがわかった。
従来例2に示す粉末Niろうは、各特性に優れているものの、粉末形状であるため、取り扱い性が悪いのに加え、ろう材塗布後の加工が不可能であるため、ろう付け生産性に劣る材料と判断できる。これに対し、本発明の実施例1〜5に示す複合材は、ろう材と基材が一体化された状態での加工も可能であり、いずれもろう付け生産性に優れることは明白である。
従来例3に示すCu−Ni−Siろうは、ろう材中のCr濃度は高いものの、加工性の制約があり、十分な量のSiをろう材中へ添加することができなかったため、耐食性が劣る結果となった。
1 Ni−Cr層
2 Si層
3 基材
2 Si層
3 基材
Claims (8)
- ろう付けを行う部材間に配置され、ろう付けを行うためのろう付け用複合材において、ろう材部として、ニッケル−クロムを主成分とするNi−Cr層と、シリコン或いはシリコン合金からなるSi層とを有し、2つのNi−Cr層の層間にSi層を設けたことを特徴とするろう付け用複合材。
- 基材表面にろう材部を一体に設けたろう付け用複合材において、上記ろう材部が、ニッケル−クロムを主成分とするNi−Cr層と、シリコン或いはシリコン合金からなるSi層とを有し、2つのNi−Cr層の層間にSi層を設けたことを特徴とするろう付け用複合材。
- 基材表面にろう材部を一体に設けたろう付け用複合材において、上記ろう材部が、ニッケル−クロムを主成分とするNi−Cr層と、シリコン或いはシリコン合金からなるSi層とを有し、そのNi−Cr層と上記基材の間にSi層を設けたことを特徴とするろう付け用複合材。
- 上記ろう材部に占めるCr濃度の割合が5mass%以上、Si濃度の割合が2mass%以上である請求項1から3いずれかに記載のろう付け用複合材。
- 上記Si層を構成するシリコン合金がニッケル−シリコン合金である請求項1から3いずれかに記載のろう付け用複合材。
- 上記基材がFeを主成分とする合金で構成される請求項2又は3記載のろう付け用複合材。
- 上記基材がステンレス鋼で構成される請求項2又は3記載のろう付け用複合材。
- 請求項1から7いずれかに記載のろう付け用複合材を用いて組み立てられたことを特徴とするろう付け製品。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007054062A JP2008212985A (ja) | 2007-03-05 | 2007-03-05 | ろう付け用複合材およびこれを用いたろう付け製品 |
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JP2010240724A (ja) * | 2009-04-09 | 2010-10-28 | Hitachi Cable Ltd | ろう付け用複合材及びその製造方法 |
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2007
- 2007-03-05 JP JP2007054062A patent/JP2008212985A/ja active Pending
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