JP4834996B2 - 樹脂組成物、樹脂成形品、ポリエステル用核剤 - Google Patents

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Description

本発明は、結晶構造を取り得るポリエステルを含有する樹脂組成物、樹脂組成物を成形してなる樹脂成形品、樹脂組成物に含有される核剤に関するものであり、特に、生分解性樹脂の結晶化を促進するための核剤に関する。
生分解性樹脂は、従来の合成樹脂と比較して、例えば非化石燃料であるため資源枯渇の心配がないこと、自然界で分解されるため廃棄物処理場不足の問題を根本的に解決し得ること、トウモロコシ等の天然資源から製造可能であること、総合的に見て地球温暖化の原因とされるCO2ガス発生量を抑制できること等の利点があり、大いに注目されている。多数ある生分解性樹脂の中でも脂肪族ポリエステル、特にポリ乳酸は、融点が高く(170〜180℃)、又、ポリ乳酸によって作られた成形品は、通常透明性を有するといった特徴があり、用途によっては既に実用化され始めている。
そして、生分解性樹脂においては、例えば農林水産用資材(フィルム、植栽ポット、釣り糸、魚網等)、土木工事資材(保水シート、植物ネット等)、包装・容器分野(土、食品等が付着してリサイクルが難しいもの)、日用雑貨品、衛生用品、遊戯用品等の使い捨て製品が用途の中心であるが、環境保護の観点からさらなる用途の拡大が検討されている。例えば、テレビの筐体やパソコンのハウジング等といった電気製品、電子製品等への応用等である。
ここで、電気製品の筐体や構造材等の用途を考えた場合、概して温度80℃付近までの耐熱性が必要であるとされている。
しかしながら、生分解性ポリエステルの代表例であるポリ乳酸によって作られた成形品は、耐熱性に乏しく、ガラス転移温度(Tg)が60℃前後のため、その温度を越えると急激に軟化して変形してしまうことがある。そこで、耐熱性を必要とする用途にポリ乳酸等の生分解性樹脂を使用するために、様々な検討がなされている。なお、ここでいう耐熱性とは、80℃付近での剛性(弾性率)が100MPa程度と十分に高いことを意味している。
生分解性ポリエステルの耐熱性を上げるためには、例えば、耐熱性を有するタルクやマイカ等の無機フィラーの添加が検討されている。これは、いわばコンクリートに鉄筋を入れるようなもので、樹脂に耐熱性を有する固い無機フィラーを添加することで機械特性を改善し固くすることを目的としている。しかしながら、無機フィラーの添加だけでは耐熱性の改善は不十分である。
そこで、例えば成形中又は成形後に熱処理を行うことによって、生分解性ポリエステルの代表例であるポリ乳酸の耐熱性の改善を図ることが提案されている。ポリ乳酸は結晶構造を取り得るが、結晶化しにくい高分子であるため、ポリ乳酸を通常の汎用樹脂と同じように成形すると非晶質となり熱変形を生じ易い成形品となってしまう。これに対し、成形中又は成形後に熱処理を行うことによって、ポリ乳酸を結晶化させて固くし、成形品の耐熱性を向上させることができる。
しかしながら、このようなポリ乳酸の結晶化方法は、結晶化に長時間を要するという問題がある。例えば射出成形では通常1分程度の成形サイクルで済むが、ポリ乳酸の成形品を金型内で結晶化を完遂させるのは時間がかかり過ぎて現実的でない。
また、ポリ乳酸を通常の方法で結晶化させると、結晶サイズがミクロンオーダーからサブミクロンオーダー程度となり、ポリ乳酸の結晶自体が光散乱の要因となって白濁し、透明性が失われる等の問題もある。
これらの課題を解決するため、すなわちポリエステルの結晶化促進のために、例えば生分解性ポリエステルに対する核剤の添加が検討されはじめている。ここでの核剤とは、結晶性高分子の一次結晶核となり、結晶性高分子の結晶成長を促進するものである。また広義には、結晶性高分子の結晶化を促進するものとされることもある。すなわち、高分子の結晶化速度そのものを速くするものも核剤と言うこともある。前者のような核剤が樹脂に添加されると、高分子の結晶が微細となり、その樹脂の剛性が改善されたり、あるいは透明性が改善されたりする。また、成形中に結晶化をさせる場合、結晶化の全体の速度(時間)を速めることから、成形サイクルを短縮できるといった利点がある。
このような効果は、他の結晶性樹脂に実例を見ることができる。例えばポリプロピレン(以下、PPともいう。)は、核剤を添加することで、剛性や透明性が改善されており、物性改善されたPPは、多くの成形品で実用化されている。この場合の核剤としては、例えばソルビトール系物質があり、作用機序は完全には解明されてはいないが、この物質が作る三次元的なネットワークが効果的に作用していると考えられている。
また、PP用に金属塩タイプの核剤も実用化されている。金属塩タイプの核剤としては、例えばヒドロキシ−ジ(t−ブチル安息香酸)アルミニウム、リン酸ビス(4−t−ブチルフェニル)ナトリウム、メチレンビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスフェートナトリウム塩等が挙げられる。
ところが、ポリ乳酸等の脂肪族ポリエステルでは有効な核剤があまり見つかっていないのが実情である。例えば、前述のタルクは核剤としても機能し、用途によってはタルクが有力な核剤になり得るものと考えられている。しかしながら、タルクを核剤として用いるには、その添加量を数10%としなければ充分な効果が得られず、このように添加量を多くすると樹脂組成物が脆くなるという別の問題が生じる。また、このような添加量では、樹脂組成物は白色となり、透明性は全く期待できないのが現状である。
脂肪族ポリエステルの核剤としては、例えば特許文献1等でソルビトール系物質が検討されている。この物質はPPでの結晶化核剤で実績があり、ポリ乳酸に対する添加でも効果的に作用するとの記載がある。
この他、ポリエステルに核剤を添加して結晶化を促進させる方法として、様々な方法が検討されている。具体的に、特許文献2では、例えば脂肪族ポリエステルに、透明核剤として脂肪族カルボン酸アミド、脂肪族カルボン酸塩、脂肪族アルコール及び脂肪族カルボン酸エステルからなる40〜300℃の融点を有する化合物群から選択された少なくとも一種を添加する技術等が提案され、特許文献3では、例えば脂肪族ポリエステルに、透明核剤として、80〜300℃の融点又は軟化点を有し、かつ、10〜100cal/K/molの溶融エントロピーを有する有機化合物からなる群から選択された少なくとも一種の有機化合物を添加する技術等が提案され、特許文献4では、例えばポリ乳酸系樹脂に透明化剤として特定の構造の脂肪酸エステル類を添加する技術等が提案されている。
しかしながら、特許文献1〜特許文献4記載のいずれの核剤を用いた場合も結晶化促進効果は小さく、耐熱性が不充分であり、実用化には至っていないのが現状である。また、ポリエステルと組み合わされたときに、ポリエステルの結晶化を大幅に促進するような有効な核剤が未だに得られていないのが現状である。
特開平10−158369号公報 特開平9−278991号公報 特開平11−5849号公報 特開平11−116783号公報
本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、生分解性ポリエステル等のポリエステルの結晶化を促進することが可能な樹脂組成物を提供することを目的とし、さらには、この樹脂組成物を成形してなる樹脂成形品、樹脂組成物に含有される核剤を提供するものである。
本発明者らは、結晶構造を取り得るポリエステルに、The Society of Dyers and Colourists社発行のカラーインデックスに示される所定の化合物を含有させることで、その化合物が有効な核剤として機能し、ポリエステルの結晶化が大幅に促進され、上述した不具合が解決されることを見出し、本発明を完成したものである。
すなわち、本発明に係る樹脂組成物は、結晶構造を取り得るポリ乳酸と、The Society of Dyers and Colourists社発行のカラーインデックスに示される化合物とからなり、化合物が、PR257、PR147、PY191、PR168のうちの何れか一種であり、ポリ乳酸100質量部に対して0.001質量部〜10質量部の範囲であり、結晶化温度が121.7℃以上である。
本発明に係る樹脂成形品は、結晶構造を取り得るポリ乳酸と、The Society of Dyers and Colourists社発行のカラーインデックスに示される化合物とを含有する樹脂組成物を成形してなる樹脂成形品において、化合物が、PR257、PR147、PY191、PR168のうちの何れか一種であり、ポリ乳酸100質量部に対して0.001質量部〜10質量部の範囲であり、樹脂組成物の結晶化温度は121.7℃以上である。
本発明に係るポリエステル用核剤は、結晶構造を取り得るポリ乳酸を含有する結晶化温度が121.7℃以上である樹脂組成物にポリ乳酸100質量部に対して0.001質量部〜10質量部の範囲で含有され、ポリ乳酸を結晶化させるポリエステル用核剤であって、The Society of Dyers and Colourists社発行のカラーインデックスに示される化合物であり、化合物が、PR257、PR147、PY191、PR168のうちの何れか一種である。
本発明によれば、The Society of Dyers and Colourists社発行のカラーインデックスに示される所定の化合物を、顔料としてではなく核剤としてポリエステルに添加されることで、当該化合物が結晶構造を取り得るポリエステルに対して核剤として有効に作用し、ポリエステルの結晶化を大幅に促進させる。
これにより、本発明によれば、樹脂組成物を成形品に成形するとき若しくは成形した後にポリエステルが高度に結晶化され、この樹脂組成物を成形してなる成形品ではポリエステルの結晶化度が高くなることで、剛性、成形性及び耐熱性が改善される。
本発明によれば、The Society of Dyers and Colourists社発行のカラーインデックスに示される所定の化合物と、結晶構造を取り得るポリエステルとを組み合わせることにより、所定の化合物が核剤として機能してポリエステルの結晶化を促進することができ、成形品としたときに、優れた剛性、成形性及び耐熱性を示す樹脂組成物を提供することができる。
また、本発明によれば、樹脂組成物で樹脂成形品を成形したときに、樹脂組成物におけるポリエステルの結晶化度が高められていることから、優れた剛性、成形性及び耐熱性を示す樹脂成形品を提供することができる。
さらに、本発明によれば、所定の化合物がポリエステル用核剤として結晶構造を取り得るポリエステルを含む樹脂組成物に添加されたときに、ポリエステルの結晶化を促進することから、優れた剛性、成形性及び耐熱性を示す樹脂成形品とすることができる。
さらにまた、本発明によれば、樹脂組成物を希望の色にしたい場合、核剤となるThe Society of Dyers and Colourists社発行のカラーインデックスに示される所定の化合物はそれぞれ固有の色を有しており、これらの化合物の中から一種又は複数種を選んで所定の色にした樹脂組成物を得ることが可能である。
さらにまた、本発明によれば、The Society of Dyers and Colourists社発行のカラーインデックスに示される所定の化合物の他に、必要に応じて各種の色素あるいは顔料を添加することで、さらに色彩の幅が広がった樹脂組成物を得ることも可能である。
以下に、本発明が適用された樹脂組成物、樹脂成形品、ポリエステル用核剤について詳細に説明する。
本発明が適用された樹脂組成物は、少なくとも結晶構造を取り得るポリエステルと、このポリエステルの結晶化を促進させる核剤とを有している。そして、本発明は、結晶構造を取り得るポリエステル、例えば生分解性ポリエステルに、核剤としてThe Society of Dyers and Colourists社発行のカラーインデックスに示される所定の化合物を添加し、ポリエステルの結晶化を促進するというのが基本的な考えである。なお、ここでの核剤とは、結晶性高分子の一次結晶核となり、結晶性高分子の結晶成長を促進するものである。また広義には、結晶性高分子の結晶化を促進するものとされることもある。すなわち、高分子の結晶化速度そのものを速くするものも核剤と言うこともある。核剤が樹脂に添加されると、高分子の結晶が微細となって結晶化度が高められ、その樹脂の剛性が改善されたり、あるいは透明性が改善されたりする。また、成形中に結晶化をさせる場合、結晶化の全体の速度、いわゆる結晶化に要する時間を速めることから、成形サイクルを短縮でき、製造歩留まりを向上できる。
そして、樹脂組成物を構成する結晶構造を取り得るポリエステルとしては、例えばエステル結合を少なくとも一個有する高分子化合物であって、結晶構造を取り得るものであればどのようなものでもよく、公知のものにいずれも適用可能である。
また、結晶構造を取り得るものとしては、結晶構造を一部でも取り得るものであれば特に限定されず、全ての分子鎖が規則正しく配列できるものでなくてもよい。さらに、全ての分子鎖に規則性がなくても、一部の分子鎖セグメントが配向可能であればよい。したがって、結晶構造を取り得るポリエステルは、直鎖状であることが好ましいが、分岐状等であってもよい。
また、結晶構造を取り得るポリエステルとしては、例えば資源枯渇の心配がない、自然界で分解される、トウモロコシ等の天然資源から製造可能である、地球温暖化を抑制できる等の利点を有する生分解性ポリエステルであることが好ましい。このような生分解性ポリエステルとしては、例えば微生物によって代謝されるポリエステル系の樹脂等を挙げることができ、中でも成形性、耐熱性、耐衝撃性をバランスよく有している脂肪族系ポリエステルを用いるのが好ましい。
具体的に、脂肪族系ポリエステルとしては、例えばポリシュウ酸、ポリコハク酸、ポリヒドロキシ酪酸、ポリジグリコール酸、ポリカプロラクトン、ポリジオキサノン、ポリ乳酸系脂肪族系ポリエステル等が挙げられる。これらの中でも、脂肪族ポリエステルとして、ポリ乳酸系脂肪族系ポリエステルを用いるのが好ましい。ポリ乳酸系脂肪族系ポリエステルとしては、例えば乳酸、リンゴ酸、グルコール酸等のオキシ酸の重合体又はこれらの共重合体等が挙げられ、中でもヒドロキシカルボン酸系脂肪族ポリエステルを用いることが好ましく、さらにヒドロキシカルボン酸系脂肪族ポリエステルの中でも、ポリ乳酸が最も好ましい。
生分解性ポリエステルは、公知の方法に従って製造し得る。その製造方法は、生分解性ポリエステルを製造できさえすればどのような方法であってもよい。例えば、ラクチド法、多価アルコールと多塩基酸との重縮合、又は分子内に水酸基とカルボキシル基とを有するヒドロキシカルボン酸の分子間重縮合等の方法等が挙げられる。
特に、ポリ乳酸系脂肪族系ポリエステルは、一般的に、環状ジエステルであるラクチド及び対応するラクトン類の開環重合による方法、いわゆるラクチド法により、また、ラクチド法以外では、乳酸の直接脱水縮合法により製造される。また、ポリ乳酸系脂肪族系ポリエステルを製造するための触媒としては、例えば錫、アンチモン、亜鉛、チタン、鉄、アルミニウム等といった金属の化合物等を挙げることができ、中でも錫系触媒、アルミニウム系触媒を用いるのが好ましく、オクチル酸錫、アルミニウムアセチルアセトナートを用いるのが特に好適である。
ラクチド開環重合により得られるポリL−乳酸が、ポリ乳酸系脂肪族系ポリエステルの中でも好ましい。これは、ポリL−乳酸が加水分解されてL−乳酸になり、且つその安全性も確認されているためである。しかしながら、ポリ乳酸系脂肪族系ポリエステルとしては、これに限定されることはなく、また、その製造に使用するラクチドについてもL体に限定されない。具体的には、結晶構造を取り得るポリエステルとして、例えば三井化学株式会社製の生分解性ポリエステル(製品名:H100J)等を用いる。
この樹脂組成物においては、さらに樹脂成分として、必ずしも結晶構造を取らないポリエステルやその他の生分解性樹脂等が含まれていてもよい。このような生分解性樹脂としては、例えばセルロース、デンプン、デキストラン又はキチン等の多糖誘導体や、コラーゲン、カゼイン、フィブリン又はゼラチン等のペプチドや、ポリアミノ酸や、ポリビニルアルコールや、ナイロン4又はナイロン2/ナイロン6共重合体等のポリアミドや、必ずしも結晶構造を取らないとして知られているポリグリコール酸や、ポリ乳酸、ポリコハク酸エステル、ポリシュウ酸エステル、ポリヒドロキシ酪酸、ポリジグリコール酸ブチレン、ポリカプロラクトン又はポリジオキサノン等のポリエステル等が挙げられ、これらのうちの1種又は複数種を混合させて画入させてもよい。
すなわち、生分解性ポリマーは、自然界や生体の作用で分解して同化される有機材料であり、環境に適合した理想的な材料であり、本発明の目的を損なわなければ、どのような材料でもよい。
生分解性樹脂も、公知の方法に従って製造することができる。また、生分解性樹脂として市販品を使用してもよい。この市販品としては、例えばトヨタ自動車株式会社から入手可能な商品名ラクティ、三井化学株式会社から入手可能な商品名レイシア、又はCargill Dow Polymer LLC株式会社から入手可能な商品名Nature Works等が挙げられる。
樹脂組成物には、上述した生分解性樹脂のうち1種類のみが含有されていても良いし、2種類以上の生分解性樹脂が含有されていても良い。2種類以上の生分解性樹脂が含有されている場合、それらの樹脂は共重合体を形成していてもよいし、混合状態をとっていてもよい。また、樹脂組成物には、上述した生分解性樹脂以外の樹脂が含有されていてもよい。例えば、生分解性を有しない合成樹脂等が本発明にかかる樹脂組成物に含まれていてもよい。上記合成樹脂としては、例えば分解速度を緩和したポリ乳酸やポリブチレンサクシネート等を挙げることができる。
また、樹脂組成物には、核剤として、The Society of Dyers and Colourists社発行のカラーインデックスに示される所定の化合物が含有されている。
具体的に、核剤となる所定の化合物としては、例えば化学式1に示すPR257、化学式2に示すPR147、PY191、化学式3に示すPR168、化学式4に示すPY155、化学式5に示すPY191:1、PR254とPR202との混晶、化学式6に示すPO16、化学式7に示すPO34、化学式8に示すPY55、化学式9に示すPR279、化学式10に示すPY17、化学式11に示すPR146、PR184、化学式12に示すPR253、化学式13に示すPR2、化学式14に示すPY62、化学式15に示すPR22、PR211、PR213、化学式16に示すPR23、PO48、化学式17に示すPR238、化学式18に示すPY165、化学式19に示すPR48:1、化学式20に示すPR48:2、化学式21に示すPR48:3、化学式22に示すPR48:4、化学式23に示すPY16が挙げられ、これらのうちの何れか一種若しくは複数種を用いる。なお、化合物名中の記号、PはPigment、RはRed、YはYellow、OはOrangeを意味する。
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なお、PY191、PR254とPR202との混晶、PR184、PR211、PR213、PO48については、The Society of Dyers and Colourists社発行のカラーインデックスから化学式を得ることは困難であるが、PY191はクライアントジャパン社製の顔料(商品名:PV Fast Yellow HGR)より得られ、PR254とPR202との混晶はchiba社製の顔料(商品名:CINQUASIA Scarlet RT-390-D)より得られ、PR211は大日本インキ社製の顔料(商品名:Azo Lake)より得られ、PR213は大日本インキ社製の顔料(商品名:ナフトールAS Group II)より得られ、PO48はchiba社製の混晶(無置換キナクリドン+キナクリドンキノン)より得られる。また、PR184は、化学式11に示すPR146と化学式2に示すPR147との混合物若しくは混晶、又はこれら両者を含有するものである。その他の化合物について、PR257はクライアントジャパン社製の顔料(商品名:Hostaperm Red Violet 3RL)として市販され、PR147はクライアントジャパン社製の顔料(商品名:Parmanent Pink F3B)として市販され、PR168はクライアントジャパン社製の顔料(Hostaperm Scarlex GO transp.)として市販され、PY155はクライアントジャパン社製の顔料(商品名:Graphtol Yellow 3GP)として市販され、PO16は大日本インキ社製の顔料(Symuler Fast Orange V)として市販されており、これらを用いることができる。
また、核剤となる所定の化合物としては、以上に化学式で示した化合物の他に、例えば、The Society of Dyers and Colourists社発行のカラーインデックスに示されるPB60、PBr25、PO36、PO38、PO43、PO62、PO64、PO68、PO72、PR149、PR170、PR175、PR177、PR178、PR179、PR187、PR188、PR206、PR207、PR209、PR237、PR239、PR247、PR266、PR4、PR5、PR53:1、PR57:1、PR63:1、PR9PV19とPR202の混晶、PV23、PV29、PV3、PV37、PY1、PY12、PY120、PY127、PY128、PY129、PY13、PY130、PY138、PY139、PY14、PY147、PY150、PY151、PY153、PY154、PY168、PY17、PY174、PY175、PY176、PY180、PY181、PY184、PY185、PY194、PY199、PY3、PY74、PY81、PY83、PY93、PY95、PY97、SR135、VB3等が挙げられる。
さらに、核剤となる所定の化合物としては、例えばThe Society of Dyers and Colourists社発行のカラーインデックスに示されるPB1、PB16、PB28、PB36、PB6、PB61、PB72、PB73、PB74、PBGr8、PBl1、PBl10、PBl11、PBl18、PBl19、PBl24、PBl25、PBl27、PBl28、PBl31、PBl32、PBl34、PBl56、PBl6、PBl61、PBl7、PBr1、PBr11、PBr24、PBr29、PBr33、PBr35、PBr5、PG1、PG12、PG17、PG26、PG36、PG50、PG7、PG8、PGr10、PO1、PO13、PO15、PO16、PO17、PO17:1、PO2、PO22、PO24、PO31、PO34、PO44、PO46、PO49、PO5、PO60、PO65、PO66、PO67、PO68、PO69、PO7、PO73、PR1、PR10、PR101、PR11、PR111、PR114、PR119、PR12、PR123、PR13、PR136、PR14、PR148、PR15、PR150、PR16、PR164、PR169、PR17、PR171、PR18、PR181、PR190、PR192、PR200、PR21、PR210、PR212、PR222、PR223、PR224、PR245、PR247、PR256、PR258、PR260、PR261、PR3、PR31、PR32、PR37、PR38、PR41、PR48、PR48:5、PR49、PR49:1、PR49:2、PR49:3、PR50:1、PR51、PR52:1、PR52:2、PR53、PR53:1、PR58:2、PR58:4、PR6、PR63:2、PR64、PR64:1、PR68、PR7、PR8、PR81:2、PR87、PR88、PR95、PT123、PV1、PV13、PV25、PV3、PV42、PV44、PV50、PW6、PY100、PY106、PY111、PY113、PY114、PY116、PY117、PY119、PY121、PY124、PY126、PY133、PY136、PY152、PY166、PY169、PY170、PY171、PY172、PY177、PY179、PY183、PY188、PY190、PY2、PY214、PY3、PY42、PY49、PY5、PY53、PY55、PY6、PY61、PY62:1、PY63、PY65、PY73、PY75、PY87、PY90、PY94、PY98、VB14、VB20、VB29、VB4、VB5、VB6、VBl25、VBr1、VBr3、VG1、VG3、VG9、VO1、VO2、VO3、VO5、VO7、VO9、VR1、VR10、VR15、VR23、VR29、VR41、VR45、VV1、VV13、VV2、VV21、VV3、VV9、VY1、VY2、VY20等が挙げられる。
さらにまた、核剤となる所定の化合物としては、例えばThe Society of Dyers and Colourists社発行のカラーインデックスに示されるPB2、PB3、PB4、PB5、PB7、PB8、PB9、PB10、PB11、PB12、PB13、PB14、PB17、PB18、PB19、PB20、PB21、PB22、PB23、PB24、PB25、PB26、PB27、PB29、PB30、PB31、PB32、PB33、PB34、PB35、PB37、PB38、PB39、PB40、PB41、PB42、PB43、PB44、PB45、PB46、PB47、PB48、PB49、PB50、PB51、PB52、PB53、PB54、PB55、PB56、PB57、PB58、PB59、PB62、PB63、PB64、PB65、PB66、PB67、PB68、PB69、PB70、PB71、PBl2、PBl3、PBl4、PBl5、PBl8、PBl9、PBl12、PBl13、PBl14、PBl15、PBl16、PBl17、PBl20、PBl21、PBl22、PBl23、PBl26、PBl29、PBl30、PBl33、PBl35、PBl36、PBl37、PBl38、PBl39、PBl40、PBl41、PBl42、PBl43、PBl44、PBl45、PBl46、PBl47、PBl48、PBl49、PBl50、PBl51、PBl52、PBl53、PBl54、PBl55、PBl57、PBl58、PBl59、PBl60、PBr1、PBr2、PBr3、PBr4、PBr5、PBr6、PBr7、PBr8、PBr9、PBr10、PBr12、PBr13、PBr14、PBr15、PBr16、PBr17、PBr18、PBr19、PBr20、PBr21、PBr22、PBr23、PBr26、PBr27、PBr28、PBr30、PBr31、PBr32、PBr34、PG2、PG3、PG4、PG5、PG6、PG9、PG10、PG11、PG13、PG14、PG15、PG16、PG18、PG19、PG20、PG21、PG22、PG23、PG24、PG25、PG27、PG28、PG29、PG30、PG31、PG32、PG33、PG34、PG35、PG37、PG38、PG39、PG40、PG41、PG42、PG43、PG44、PG45、PG46、PG47、PG48、PG49、PO3、PO4、PO6、PO8、PO9、PO10、PO11、PO12、PO14、PO18、PO19、PO20、PO21、PO23、PO25、PO26、PO27、PO28、PO29、PO30、PO32、PO33、PO35、PO37、PO39、PO40、PO41、PO42、PO45、PO47、PO50、PO51、PO52、PO53、PO54、PO55、PO56、PO57、PO58、PO59、PO63、PO70、PR19、PR20、PR24、PR25、PR26、PR27、PR28、PR29、PR30、PR33、PR34、PR35、PR36、PR39、PR40、PR42、PR43、PR44、PR45、PR46、PR47、PR50、PR51、PR52、PR54、PR55、PR56、PR57、PR58、PR59、PR60、PR61、PR62、PR63、PR65、PR66、PR67、PR69、PR70、PR71、PR72、PR73、PR74、PR75、PR76、PR77、PR78、PR79、PR80、PR81、PR82、PR83、PR84、PR85、PR86、PR87、PR89、PR90、PR91、PR92、PR93、PR94、PR96、PR97、PR98、PR99、PR100、PR102、PR103、PR104、PR105、PR106、PR107、PR108、PR109、PR110、PR113、PR115、PR116、PR117、PR118、PR120、PR121、PR124、PR125、PR126、PR127、PR128、PR129、PR130、PR131、PR132、PR133、PR134、PR135、PR137、PR138、PR139、PR140、PR141、PR142、PR143、PR145、PR151、PR152、PR153、PR154、PR155、PR156、PR157、PR158、PR159、PR160、PR161、PR162、PR163、PR165、PR167、PR172、PR173、PR174、PR182、PR183、PR186、PR189、PR191、PR277、PR278、PV2、PV4、PV5、PV6、PV7、PV8、PV9、PV10、PV11、PV12、PV14、PV15、PV16、PV17、PV18、PV20、PV21、PV22、PV24、PV26、PV27、PV28、PV30、PV31、PV32、PV33、PV34、PV35、PV39、PV38、PV39、PV40、PV41、PV43、PV45、PV46、PV47、PV48、PV49、PW1、PW2、PW3、PW4、PW5、PY4、PY7、PY8、PR193、PR194、PR195、PR196、PR197、PR198、PR199、PR201、PR203、PR204、PR205、PR215、PR216、PR217、PR218、PR219、PR225、PR226、PR227、PR228、PR229、PR230、PR231、PR232、PR233、PR234、PR235、PR236、PR240、PR241、PR243、PR244、PR246、PR248、PR249、PR250、PR251、PR252、PR259、PR263、PR265、PR267、PR268、PR269、PR270、PR271、PR273、PR274、PR275、PR276、PY9、PY10、PY11、PY12、PY13、PY14、PY15、PY17、PY18、PY19、PY20、PY21、PY22、PY23、PY24、PY25、PY26、PY27、PY28、PY29、PY30、PY31、PY32、PY33、PY34、PY35、PY36、PY37、PY38、PY39、PY40、PY41、PY43、PY44、PY45、PY46、PY47、PY48、PY50、PY51、PY52、PY54、PY55、PY56、PY57、PY58、PY59、PY60、PY64、PY66、PY67、PY68、PY69、PY70、PY71、PY72、PY76、PY77、PY78、PY79、PY80、PY82、PY84、PY85、PY86、PY88、PY89、PY91、PY92、PY96、PY99、PY101、PY102、PY103、PY104、PY105、PY107、PY108、PY112、PY115、PY118、PY122、PY123、PY125、PY131、PY132、PY134、PY135、PY137、PY140、PY141、PY142、PY143、PY144、PY145、PY146、PY148、PY149、PY156、PY157、PY158、PY159、PY160、PY161、PY162、PY163、PY164、PY167、PY178、PY182、PY186、PY187、PY189、PY192、PY193、PY195、PY196、PY197、PY198、PY200、PY201、PY202、PY203、PY204、PY205、PY206、PY207、PY208、PY209、PY210、PY211、PY212、PY213、SR1、SR2、SR3、SR4、SR5、SR6、SR7、SR8、SR9、SR10、SR11、SR12、SR13、SR14、SR15、SR16、SR17、SR18、SR19、SR20、SR21、SR22、SR23、SR24、SR25、SR26、SR27、SR28、SR29、SR30、SR31、SR32、SR33、SR34、SR35、SR36、SR37、SR38、SR39、SR40、SR41、SR42、SR43、SR44、SR45、SR46、SR47、SR48、SR49、SR50、SR51、SR52、SR53、SR54、SR55、SR56、SR57、SR58、SR59、SR60、SR61、SR62、SR63、SR64、SR65、SR66、SR67、SR68、SR69、SR70、SR71、SR72、SR73、SR74、SR75、SR76、SR77、SR78、SR79、SR80、SR81、SR82、SR83、SR84、SR85、SR86、SR87、SR88、SR89、SR90、SR91、SR92、SR93、SR94、SR95、SR96、SR97、SR98、SR99、SR100、SR101、SR102、SR103、SR104、SR105、SR106、SR107、SR108、SR109、SR110、SR111、SR112、SR113、SR114、SR115、SR116、SR117、SR118、SR119、SR120、SR121、SR122、SR123、SR124、SR125、SR126、SR127、SR128、SR129、SR130、SR131、SR132、SR133、SR134、VB7、VB8、VB9、VB10、VB11、VB12、VB13、VB15、VB16、VB17、VB18、VB19、VB21、VB22、VB23、VB24、VB25、VB26、VB27、VB28、VBl1、VBl2、VBl3、VBl4、VBl5、VBl6、VBl7、VBl8、VBl9、VBl10、VBl11、VBl12、VBl13、VBl14、VBl15、VBl16、VBl17、VBl18、VBl19、VBl20、VBl21、VBl22、VBl23、VBl24、VBr2、VG2、VG4、VG5、VG6、VG7、VG8、VO4、VO6、VO8、VR2、VR3、VR4、VR5、VR6、VR7、VR8、VR9、VR11、VR12、VR13、VR14、VR16、VR17、VR18、VR19、VR20、VR21、VR22、VR24、VR25、VR26、VR27、VR28、VR30、VR31、VR32、VR33、VR34、VR35、VR36、VR37、VR38、VR39、VR40、VR42、VR43、VR44、VV2、VV4、VV5、VV6、VV7、VV8、VV11、VV12、VV13、VV14、VV16、VV17、VV18、VV19、VV20、VV21、VV22、VV24、VV25、VV26、VV27、VV28、VV30、VV31、VV32、VV33、VV34、VV35、VV36、VV37、VV38、VV39、VV40、VV42、VV43、VV44、VY3、VY4、VY5、VY6、VY7、VY8、VY9、VY10、VY11、VY12、VY13、VY14、VY15、VY16、VY17、VY18、VY19等が挙げられる。なお、化合物名中の記号、P、R、Y、Oの意味は上述したが、この他の記号の意味は以下の通りである。1文字目のVはVat、SはSolventを意味し、そして2文字目のBはBlue、BrはBrown、BlはBlack、GはGreen、VはViolet、Wはwhiteを意味する。また、ここでは列記しないが上記で示したもののほかに1文字目がA、R、F等で表される色材もあり、これらも核剤となる。なお、1文字目のAはAcid、1文字目のRはReactive、FはFoodを意味する。
また、FB1、FB2、FB3、FB4、FB5、FB6、FB7、FB8、FB9、FB10、FB11、FB12、FB13、FB14、FB15、FB16、FB17、FB18、FB19、FB20、FB21、FB22、FB23、FB24、FB25、FB26、FB27、FB28、FB29、FB30、FB31、FB32、FB33、FB34、FB35、FB36、FB37、FB38、FB39、FB40、FB41、FB42、FB43、FB44、FB45、FB46、FB47、FB48、FB49、FB50、FB51、FB52、FB53、FB54、FB55、FB56、FB57、FB58、FB59、FB60、FB61、FB62、FB63、FB64、FB65、FB66、FB67、FB68、FB69、FB70、FB71、FB72、FB73、FB74、FB75、FB76、FB77、FB78、FB79、FB80、FB81、FB82、FB83、FB84、FB85、FB86、FB87、FB88、FB89、FB90、FB91、FB92、FB93、FB94、FB95、FB96、FB97、FB98、FB99、FB100、FB101、FB102、FB103、FB104、FB105、FB106、FB107、FB108、FB109、FB110、FB111、FB112、FB113、FB114、FB115、FB116、FB117、FB118、FB119、FB120、FB121、FB122、FB123、FB124、FB125、FB126、FB127、FB128、FB129、FB130、FB131、FB132、FB133、FB134、FB135、FB136、FB137、FB138、FB139、FB140、FB141、FB142、FB143、FB144、FB145、FB146、FB147、FB148、FB149、FB150、FB151、FB152、FB153、FB154、FB155、FB156、FB157、FB158、FB159、FB160、FB161、FB162、FB163、FB164、FB165、FB166、FB167、FB168、FB169、FB170、FB171、FB172、FB173、FB174、FB175、FB176、FB177、FB178、FB179、FB180、FB181、FB182、FB183、FB184、FB185、FB186、FB187、FB188、FB189、FB190、FB191、FB192、FB193、FB194、FB195、FB196、FB197、FB198、FB199、FB200、FB201、FB202、FB203、FB204、FB205、FB206、FB207、FB208、FB209、FB210、FB211、FB212、FB213、FB214、FB215、FB216、FB217、FB218、FB219、FB220、FB221、FB222、FB223、FB224、FB225、FB226、FB227、FB228、FB229、FB230、FB231、FB232、FB233、FB234、FB235、FB236、FB237、FB238、FB239、FB240、FB241、FB242、FB243、FB244、FB245、FB246、FB247、FB248、FB249、FB250、FB251、FB252、FB253、FB254、FB255、FB256、FB257、FB258、FB259、FB260、FB261、FB262、FB263、FB264、FB265、FB266、FB267、FB268、FB269、FB270、FB271、FB272、FB273、FB274、FB275、FB276、FB277、FB278、FB279、FB280、FB281、FB282、FB283、FB284、FB285、FB286、FB287、FB288、FB289、FB290、FB291、FB292、FB293、FB294、FB295、FB296、FB297、FB298、FB299、FB300、FB301、FB302、FB303、FB304、FB305、FB306、FB307、FB308、FB309、FB310、FB311、FB312、FB313、FB314、FB315、FB316、FB317、FB318、FB319、FB320、FB321、FB322、FB323、FB324、FB325、FB326、FB327、FB328、FB329、FB330、FB331、FB332、FB333、FB334、FB335、FB336、FB337、FB338、FB339、FB340、FB341、FB342、FB343、FB344、FB345、FB346、FB347、FB348、FB349、FB350、FB351、FB352、FB353、FB354、FB355、FB356、FB357、FB358、FB359、FB360、FB361、FB362、FB363、FB364、FB365、FB366、FB367、FB368、FB369、FB370、FB371、FB372、FB373、FB374、FB375、FB376、FB377、FB378、FB379、FB380、FB381、FB382、FB383、FB384、FB385、FB386、FB387、FB388、FB389、FB390、FB391、FB392、FB393等も挙げられる。但し、FBは、Fluorescent Brightenerを意味する。
上述した、The Society of Dyers and Colourists社発行のカラーインデックスに示される化合物においては、例えば芳香族環を化学的に許容される範囲の置換基で置換した誘導体化合物の状態にしても、結晶構造を取り得るポリエステルの結晶化を促進させる核剤として用いることができる。また、これらの化合物の芳香族環が既に置換基を有している場合、その置換基が別の置換基で置換された化合物でも核剤として用いることができる。
具体的に、このような置換基としては、例えばハロゲン原子(例えばフッ素、塩素、臭素又はヨウ素等)、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、チオール基、スルホ基、スルフィノ基、メルカプト基、ホスホノ基、例えば直鎖状又は分岐状のアルキル基(例えばメチル基、エチル基、イソプロピル基、n−プロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、第2ブチル基、第3ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基又はエイコシル基等)、ヒドロキシアルキル基(例えばヒドロギシメチル基、ヒドロキシエチル基、1−ヒドロキシイソプロピル基、1ヒドロキシ−n−プロピル基、2−ヒドロキシ−n−ブチル基又は1−ヒドロキシ−イソブチル基等)、ハロゲノアルキル基(例えばクロロメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、2−ブロモエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、ペンタフルオロエチル、3,3,3−トリフルオロプロピル、4,4,4−トリフルオロブチル、5,5,5−トリフルオロペンチル又は6,6,6−トリフルオロヘキシル等)、シクロアルキル基(例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル又はシクロヘプチル等)、アルケニル基(例えばビニル、クロチル、2−ペンテニル又は3−ヘキセニル等)、シクロアルケニル基(例えば2−シクロペンテニル、2−シクロヘキセニル、2−シクロペンテニルメチル又は2−シクロヘキセニルメチル等)、アルキニル基(例えばエチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、1−ブチニル、2−ペンチニル又は3−ヘキシニル等)、オキソ基、チオキソ基、アミジノ基、イミノ基、アルキレンジオキシ基(例えばメチレンジオキシ又はエチレンジオキシ等)、フェニル若しくはビフェニル等の芳香族単環式或いは芳香族縮合環式炭化水素基、1−アダマンチル基若しくは2−ノルボルナニル等の架橋環式炭化水素基等の芳香族炭化水素基、アルコキシ基(例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、ペンチルオキシ、ネオペンチルオキシ又はヘキシルオキシ等)、アルキルチオ基(例えばメチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、ブチルチオ、イソブチルチオ、ペンチルチオ又はヘキシルチオ等)、カルボキシル基、アルカノイル基(例えばホルミル;アセチル、プロピオニル、ブチリル又はイソブチリル等)、アルカノイルオキシ基(例えばホルミルオキシ;アセチルオキシ、プロピオニルオキシ、ブチリルオキシ又はイソブチリルオキシ等のアルキル−カルボニルオキシ基等)、アルコキシカルボニル基(例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル又はブトキシカルボニル等)、アラルキルオキシカルボニル基(例えばベンジルオキシカルボニル等)、チオカルバモイル基、アルキルスルフィニル基(例えばメチルスルフィニル又はエチルスルフィニル等)、アルキルスルホニル基(例えばメチルスルホニル、エチルスルホニル又はブチルスルホニル等)、スルファモイル基、モノアルキルスルファモイル基(例えばメチルスルファモイル又はエチルスルファモイル等)、ジアルキルスルファモイル基(例えばジメチルスルファモイル又はジエチルスルファモイル等)、アリールスルファモイル基(例えばフェニルスルファモイル又はナフチルスルファモイル等)、アリール基(例えばフェニル又はナフチル等)、アリールオキシ基(例えばフェニルオキシ又はナフチルオキシ等)、アリールチオ基(例えばフェニルチオ又はナフチルチオ等)、アリールスルフィニル基(例えばフェニルスルフィニル又はナフチルスルフィニル等)、アリールスルホニル基(例えばフェニルスルホニル又はナフチルスルホニル等)、アリールカルボニル基(例えばベンゾイル又はナフトイル等)、アリールカルボニルオキシ基(例えばベンゾイルオキシ又はナフトイルオキシ等)、ハロゲン化されていてもよいアルキルカルボニルアミノ基(例えばアセチルアミノ又はトリフルオロアセチルアミノ等)、置換基を有していてもよいカルバモイル基(例えば化学式−CONR1R2で示される基。但し、式中、R1及びR2はそれぞれ水素原子、置換基を有していてもよい炭化水素基、若しくは置換基を有していてもよい複素環基である。また、R1とR2は隣接する窒素原子と共に環を形成してもよい。)、置換基を有していてもよいアミノ基(例えばアミノ、アルキルアミノ、テトラヒドロピロール、ピペラジン、ピペリジン、モルホリン、チオモルホリン、ピロール又はイミダゾール等)、置換基を有していてもよいウレイド基(例えば、化学式−NHCONR1R2で示される基。但し、式中、R1及びR2はそれぞれ水素原子、置換基を有していてもよい炭化水素基、若しくは置換基を有していてもよい複素環基である。また、R1とR2は隣接する窒素原子と共に環を形成してもよい。)、置換基を有していてもよいカルボキサミド基(例えば化学式−NR1COR2で示される基。但し、式中、R1及びR2はそれぞれ水素原子、置換基を有していてもよい炭化水素基、若しくは置換基を有していてもよい複素環基である。また、R1とR2は隣接する窒素原子と共に環を形成してもよい。)、置換基を有していてもよいスルホナミド基(例えば化学式−NR1SOR2で示される基。但し、式中、R1及びR2はそれぞれ水素原子、置換基を有していてもよい炭化水素基、若しくは置換基を有していてもよい複素環基である。また、R1とR2は隣接する窒素原子と共に環を形成してもよい。)、置換基を有していてもよい水酸基もしくはメルカプト基、置換基を有していてもよい複素環基(例えば環系を構成する原子(環原子)として、炭素原子以外に酸素原子、硫黄原子及び窒素原子等から選ばれたヘテロ原子1〜3種を少なくとも1個含む芳香族複素環基。具体的にはピリジル、フリル、チアゾリル、飽和あるいは不飽和の脂肪族複素環基等)、又はこれら置換基を化学的に許容される限り置換させた置換基等が挙げられる。
また、樹脂組成物においては、上述したポリエステル及び核剤の他に、例えば無機フィラーが添加されていてもよい。これにより、樹脂組成物では、例えば耐熱性や剛性等を向上できる。
無機フィラーとしては、公知のものであってよく、例えばタルク、アルミナ、シリカ、マグネシア、マイカ、カオリン等が挙げられ、これらのうち何れか一種又は複数種を用いることができる。中でもタルクは、上述した核剤と併用しても互いにその作用効果を打ち消すことなく、ポリエステルの結晶化を促進させる効果があることから、より好ましい。
また、無機フィラーは、結晶構造を取り得るポリエステル100質量部に対して1質量部〜50質量部添加されていることが好ましい。
ポリエステル100質量部に対する無機フィラーの添加量が1質量部より少ない場合、無機フィラーの添加量が少なすぎて無機フィラーを添加することで得られる樹脂組成物の耐熱性や剛性を高めるといった作用効果を図ることが困難になる。一方、ポリエステル100質量部に対する無機フィラーの添加量が50質量部より多い場合、無機フィラーの添加量が多すぎて樹脂組成物の脆弱化する虞がある。したがって、ポリエステル100質量部に対し、無機フィラーを1質量部〜50質量部の範囲で添加することは、樹脂組成物の耐熱性や剛性を高め、且つ樹脂組成物が脆弱化することを防止できる。
樹脂組成物においては、上述したポリエステル及び核剤の他に、例えば加水分解抑制剤が添加されていてもよい。これにより、樹脂組成物においては、ポリエステルの加水分解が抑制され、成形品の使用における長期信頼性を高めることができる。
加水分解抑制剤としては、ポリエステル、特に生分解性樹脂の加水分解を抑制することができれば限定されないが、例えば生分解性樹脂中の活性水素と反応性を有する化合物等が挙げられる。このような化合物を加水分解抑止絵剤として加えることで、樹脂組成物では生分解性樹脂中の活性水素量が低減し、活性水素が触媒的に生分解性樹脂を構成する高分子鎖を加水分解することを防止できる。ここでの活性水素とは、酸素、窒素等と水素との結合(N−H結合やO−H結合)における水素のことであり、この活性水素は、炭素と水素との結合(C−H結合)における水素に比べて反応性が高い。具体的には、例えば生分解性樹脂中のカルボキシル基(−COOH)、水酸基(−OH)、アミノ基(−NH)、又はアミド結合(−NHCO−)等における水素が活性水素である。
具体的に、加水分解抑制剤としては、例えばカルボジイミド化合物、イソシアネート化合物、オキサゾリン系化合物等が挙げられ、これらのうちの一種又は複数種を用いることができる。特に、カルボジイミド化合物は、生分解性樹脂と容易に溶融混練でき、少量の添加で生分解性樹脂の加水分解を効果的に抑制できることから、より好ましい。
加水分解抑制剤となるカルボジイミド化合物は、分子中に一個以上のカルボジイミド基を有する化合物であり、ポリカルボジイミド化合物等も含む。このカルボジイミド化合物に含まれるモノカルボジイミド化合物としては、例えばジシクロヘキシルカルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド、ジメチルカルボジイミド、ジイソブチルカルボジイミド、ジオクチルカルボジイミド、ジフェニルカルボジイミド、ナフチルカルボジイミド等が挙げられ、これらの中でも特に工業的に入手が容易であるジシクロヘキシルカルボジイミドやジイソプロピルカルボジイミド等を用いることが好ましい。
加水分解抑制剤となるイソシアネート化合物としては、例えば2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、3,3’−ジクロロ−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、1,5−テトラヒドロナフタレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,3−シクロヘキシレンジイソシアネート、1,4−シクロヘキシレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等が挙げられる。
加水分解抑制剤となるオキサゾリン系化合物としては、例えば2,2’−o−フェニレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−m−フェニレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−p−フェニレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−p−フェニレンビス(4−メチル−2−オキサゾリン)、2,2’−m−フェニレンビス(4−メチル−2−オキサゾリン)、2,2’−p−フェニレンビス(4,4’−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2’−m−フェニレンビス(4,4’−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2’−エチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−テトラメチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−ヘキサメチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−オクタメチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−エチレンビス(4−メチル−2−オキサゾリン)、2,2’−ジフェニレンビス(2−オキサゾリン)等が挙げられる。
そして、上述した加水分解抑制剤は、公知の方法に従って容易に製造することができ、又市販品を適宜使用することが可能である。
加水分解抑制剤においては、その種類や添加量によって樹脂組成物の生分解速度を調整することができることから、目的とする製品に応じて添加させる種類や添加量を決定すればよい。具体的に、加水分解抑制剤の添加量は、樹脂組成物の全質量に対して5質量%以下程度、好ましくは1質量%以下程度である。
樹脂組成物においては、上述した核剤による結晶化の促進を著しく妨げない限りにおいて、例えば酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、顔料、着色剤、帯電防止剤、離型剤、香料、滑剤、難燃剤、充填剤、抗菌抗カビ剤等を必要に応じて添加させることができる。
樹脂組成物は、上述した結晶構造を取り得るポリエステルと、上述した核剤と、及び上述したその他の材料とを混合することにより製造され得る。好ましい製造方法としては、例えば原料であるポリエステルに、核剤、無機フィラー、加水分解抑制剤等を混合し、押出機を用いて溶融混練するという方法等が挙げられる。この他には、例えば溶液法等によっても樹脂組成物を製造できる。ここでの溶液法とは、各成分を分散溶解できる任意の溶媒を用いて、原料となる各成分及び溶媒を良く撹拌してスラリーを作り、溶媒を乾燥等の公知の手法でもって除去する方法である。なお、樹脂組成物を製造する方法としては、これらの方法に制限されるものではなく、これら以外の従来知られている方法を用いることもできる。
ずなわち、樹脂組成物においては、結晶構造を取り得るポリエステルの中に核剤となる化合物が略均一に微分散されていることが重要である。略均一に分散させるためには、従来公知の方法を用いればよい。例えば、顔料を樹脂に分散させ着色する方法や、3本ロー
ルを用いる方法、単純な加熱混練を複数回繰返す方法等が挙げられる。
具体的に、ポリエステル中に核剤となる化合物を略均一に分散させるには、先ず、ポリ乳酸等の結晶構造を取り得るポリエステルからなるペレットを例えば60℃で5時間、減圧乾燥する。次に、このポリエステルのペレット及び核剤となる化合物を所定量秤量し、ミキサー等で混合する。次に、この混合物を例えば二軸混練機等を用いて加熱混練を行い、加熱混練後、混練物を切断してペレット化し、温風乾燥する。このようにして、ポリエステル中に核剤となる化合物を略均一に分散された樹脂組成物を得ることができる。なお、ポリ乳酸等の結晶構造を取り得るポリエステルからなるペレットに対して、上述の説明のような減圧乾燥に限らず、例えば温度80℃で12時間の温風乾燥を行ってもよいが、減圧乾燥を行うことが好ましい。
以上のような構成の樹脂組成物においては、The Society of Dyers and Colourists社
発行のカラーインデックスに示される所定の化合物を、顔料としてではなく核剤としてポリエステル、特に生分解性ポリエステルに添加されることで、生分解性ポリエステルに対して核剤として適切に作用し、ポリエステルの結晶化を大幅に促進させることができる。
これにより、樹脂組成物においては、これを使って樹脂成形品を形成したときに、生分解性ポリエステルが高度に結晶化されていることから、生分解性ポリエステルの結晶化度が高くなり、剛性、成形性及び耐熱性を向上できる。
すなわち、樹脂組成物においては、従来のように樹脂成形品を形成したときに問題となっていた耐熱性がなく60℃程度で変形するといった不具合を改善でき、例えば80℃付近での剛性(弾性率)が100MPa以上にできる等、耐熱性と剛性とを十分に高めることができる。
また、樹脂組成物においては、透明性にも優れているので、広い範囲に適用可能である。さらに、樹脂組成物は、廃棄後、自然環境中で分解されるので、地球環境保全の上でも好ましいものである。
以上で説明した樹脂組成物において、核剤として使用されるThe Society of Dyers and
Colourists社発行のカラーインデックスに示される所定の化合物は、粒径が10μm以
下の粒子状が好ましく、さらには粒径が1μm以下の粒子状であることがより好ましい。また、樹脂組成物において、組成物中の核剤の配合割合は、結晶構造を取り得るポリエステル100重量部に対して0.001重量部〜10重量部の範囲であることが好ましく、さらには0.01重量部〜1重量部の範囲であることがより好ましい。
ここで、以下に核剤の含有量及び粒径の最適範囲について説明する。
ここに2つの樹脂組成物があって核剤の含有量が略同じである場合、核剤の粒径はなるべく小さい方が高い作用効果を得られる。これは、核剤の粒径が小さいほど、樹脂組成物中の核剤粒子数が多くなり、核の数が増して結晶を微細にさせるからである。この場合、核剤の粒径が2分の1になると、1個の核剤粒子の体積は8分の1となるので、粒子の数は8倍となる。すなわち、粒径を2分の1にすれば添加量を8分の1にしても、同程度の作用効果を期待できる。なお、例えば略同じ粒径の核剤が含有されている場合は、添加量が多い方が核剤としての作用効果は高くなることは明らかである。
以上のことを踏まえて、核剤の粒径や含有量の最適範囲についてさらに詳しく説明する。
なお、ここでは簡単なモデルを考え、次のことを仮定する。(1)計算の簡略化のため、結晶構造を取り得るポリエステル及び核剤の密度は略同一とする。(2)核剤の粒子は、全く凝集がなく、且つ樹脂組成物中に完全に均一に分散しているものとする、すなわち核剤が組成物中に立方格子状に存在する。(3)結晶構造を取り得るポリエステルの結晶は立方体とする。(4)同様に核剤の粒子も立方体とする。(5)1つの核剤から1つの樹脂結晶が生ずるものとする。(6)結晶構造を取り得るポリエステルをポリ乳酸とする。
以上のような仮定に基づいた場合、核剤の含有量(%)と核剤の粒径とから体積計算によって、ポリ乳酸の結晶サイズを求めることができる。その結果を表1に示す。
Figure 0004834996
具体的に、結晶構造を取り得るポリエステルであるポリ乳酸に核剤を含有させる場合に、例えば核剤のサイズ(1辺の長さ)を0.05μmとし、核剤の添加量を0.5%とし、ポリ乳酸の結晶のサイズをXμmとしたとき、X3×0.005=0.053となることからポリ乳酸の結晶のサイズは0.29μmと計算される。
そして、実際に核剤を樹脂成形品に含有させる場合には、以上のような体積計算を参考
にして目的に応じて必要な結晶サイズとなるように核剤の粒径や含有量を選択すればよい。
例えば、結晶構造を取り得るポリエステルがポリ乳酸の場合で、結晶化させる温度が120℃、結晶化の時間を1分程度以内にしたい場合について考える。文献や発明者らの実験等によると、この温度でのポリ乳酸の球晶の半径(r)の成長速度(dr/dt)は、約2μm/分である。ここで、さらなる仮定として、この球晶の半径の成長速度を、以上で仮定した立方体の形状の結晶の成長速度と略同じとする。すると、結晶化に要する時間を計算することができる。その結果を表2に示す。
Figure 0004834996
例えば、核剤の粒径が1μmであり、添加量が1%であるとき、結晶化時間は70秒と計算される。
そして、樹脂組成物においては、結晶構造を取り得るポリエステル100質量部に対し、核剤が0.001重量部〜10重量部含有されていることが好ましい。
ポリエステル100質量部に対する核剤の含有量が0.001質量部より少ない場合、核剤の含有量が少なすぎて核剤を含有させることでポリエステルの結晶化を促進させるといった作用効果を得ることが困難になる。一方、ポリエステル100質量部に対する核剤の含有量が50質量部より多い場合、核剤の含有量が多すぎて樹脂組成物の剛性等といった機械的特性が劣化する虞がある。したがって、ポリエステル100質量部に対し、核剤を0.001質量部〜10質量部の範囲で添加することは、ポリエステルの結晶化を促進し、且つ樹脂組成物の機械的特性が劣化することを防止できる。
例えば、ポリ乳酸に対して粒径が10μmの核剤を10質量部含有させて120℃で結晶化させた場合、上述した表2より結晶化に要する時間は5分程度であることがわかる。すなわち、ポリ乳酸を、射出成形機で金型温度を120℃程度に設定した金型内で結晶化させる場合、結晶化に要する時間が5分であろうと見積もられる。一方、樹脂は成形機のシリンダー内で高温の溶融状態で滞留するが、ポリ乳酸が熱分解する虞があることから金型内での滞留時間を5分以内にする。したがって、ポリ乳酸に対して粒径が10μmの核剤を10質量部含有させることは、上述した核剤の含有量の最適範囲を満たす境界の条件である。
核剤においては、その粒径が小さいと凝集を生じ、結晶構造を取り得るポリエステルへの分散性が悪くなり、ポリエステル中で偏在して実質的な粒径が逆に大きくなる虞がある。核剤の種類にもよるが粒径としては、0.5μm程度までならば凝集が少なく樹脂へ比較的容易に分散可能である。ポリ乳酸を粒径が0.5μmの核剤を用いて結晶化させる場合、表2より結晶化に要する時間を5分程度にさせるためには、核剤の含有量の下限としてはポリ乳酸100質量部に対して0.001質量部であることがわかる。もちろん、核剤の種類によっては粒径が0.5μmより小さくても凝集が少なこともあり、この場合はさらに含有量を少なくすることもできる。あるいは、より小さいサイズの核剤を使う場合は、何らかの凝集防止剤を使うことで樹脂への核剤の分散を改善し、含有量を少なくすることもできる。
以上で説明した核剤の含有量及び粒径の最適範囲は、いくつもの仮定を前提とした計算見積であり、実際には核剤の凝集があったり、ポリエステル中に略均一に分散しなかったりする。このため、表3に示す計算結果よりポリエステルに対する核剤の含有量を多くする必要があると予想されるが、核剤の含有量としては樹脂組成物の機械的特性の低下等を考慮すると1%程度にすることがさらに好ましい。したがって、樹脂組成物においては、ポリエステル100質量部に対して核剤の添加量を0.01質量部〜1質量部の範囲とすることで核剤による作用効果をさらに高めることができる。
樹脂組成物において、結晶化温度は、通常のポリエステルの結晶化温度より上昇しており、融点に近づいている、すなわち過冷却が少なくなっている。このため、樹脂組成物においては、結晶化しやすいという性質を示す。具体的には、樹脂組成物では、結晶化温度を融点の−55℃以内とすることが可能である。
そして、以上で説明した樹脂組成物においては、加熱工程及び充填保持工程に付すことでポリエステル系樹脂組成物等からなる樹脂成形品となる。
樹脂組成物から樹脂成形品を製造する際に行われる加熱工程は、樹脂組成物を加熱溶融できさえすればどのような工程であってもよい。加熱工程に用いられる加熱手段としては、例えばヒーター等を用いる公知の手段等が挙げられる。加熱温度は、通常、樹脂組成物の融点の約+10℃〜+50℃の温度であり、好ましくは樹脂組成物の融点より約+15℃〜+30℃程度の高い温度である。融点は、示差走査熱量計(DSC)等により測定される値である。具体的に、融点を求める場合、例えば樹脂組成物3〜4mgを切り取り、
アルミパンに入れ、それを試料とし、その試料を一旦200℃まで加熱し、50℃/分の速度で温度を低下させて0℃まで冷却させた後、20℃/分の昇温速度で昇温しながらDSC測定を行うことにより、例えば160℃付近の吸熱ピークの温度として求められる。
充填保持工程は、加熱工程後の樹脂組成物の溶融物を金型内に充填保持できさえすればどのような工程であってもよい。金型は、樹脂組成物の結晶化温度の約−50〜+30℃の温度範囲内の温度で保温された金型であればどのような金型であってもよく、金型の種類等特に限定されない。金型の保温手段は、公知の手段であってよく、かかる保温手段としては、例えばヒーター及びサーモスタットを用いる手段等が挙げられる。
樹脂組成物から樹脂成形品を製造する際に、金型の保温温度は、樹脂組成物の結晶化及び成形品の熱変形防止の観点から、通常、樹脂組成物の結晶化温度の約−50〜+30℃の温度範囲内の温度であるが、好ましくは、約90〜140℃である。結晶化温度は、上述したように、DSC測定により測定することが可能である。具体的に、結晶化温度を求める場合、例えば樹脂組成物3〜4mgを切り取り、アルミパンに入れ、それを試料とし、その試料を一旦200℃まで加熱し、20℃/分で0℃まで冷却させながらDSC測定を行うことにより、例えば120℃付近の発熱ピークの温度として求められる。
樹脂組成物が複数種のポリエステルから構成されると、のDSC測定においてそれら由来による複数の吸熱ピーク及び複数の発熱ピークが測定されることがある。この場合、この樹脂組成物としての融点はそれらポリエステルのうちで主要なもの(含有率の一番高いポリエステル)に由来の吸熱ピーク温度とし、同様に結晶化温度は主要なポリエステルに由来の発熱ピーク温度とする。
充填保持工程では、金型内に樹脂組成物の溶融物が充填され、樹脂組成物の溶融物は金型の保温温度よりも高いが、時間の経過とともに保温温度に近づく。充填手段は、金型に樹脂組成物の溶融物を充填できさえすればどのような手段であってもよく、公知の手段であってよい。
例えば、圧力により溶融物を金型内に射出する手段等が挙げられる。冷却手段は、樹脂組成物の溶融物を冷却できさえすればどのような手段であってもよく、公知の手段であってよい。冷却は、樹脂組成物の溶融物の冷却であればどのような冷却であってもよく、冷却時間等特に限定されない。急冷であってもよいし、徐冷であってもよい。冷却手段は、公知の手段であってよく、例えば放冷手段、又は水、氷、氷水、ドライアイス、液体窒素等を用いる急冷手段等が挙げられる。
樹脂組成物の結晶化及び生産性の観点から、充填保持時間が約10秒〜4分であるのがより好ましく、約20秒〜1分であるのが最も好ましい。そして、樹脂組成物の結晶化が飽和完遂され次第、成形品を金型から取り出す。また、結晶化が中途でも、成形品を金型から取り出してもよい。ある程度結晶化が進行すれば弾性率が向上するので、樹脂組成物の成形品を変形なく金型から取り出せることもあるからである。このとき、離型後の成形品はその余熱で結晶化がさらに進行し、室温へ冷却されるまでに、結晶化がほぼ飽和完遂する。
充填保持工程後、金型から成形品を取り出す際の成形品の温度は、できるだけ低いことが好ましい。成形品の温度を低くする手段としては、例えば金型を開いた際に成形品に冷気を吹きかける手段等が挙げられる。このように成形品の温度を低くすることで、成形品の変形リスクが改善される。また、樹脂組成物から樹脂成形品を製造する方法には、例えば注型法、圧縮法、トランスファー法、射出法、押し出し法、インフレーション法、カレンダー加工法、吹き込み法、真空法、積層法、スプレーアップ法、発泡法、マッチドダイ法、SMC法等の公知の成形法が適用される。このような成形法で樹脂成形品を形成する場合、射出成形機等の公知の成形機を用いて行うのが好ましい。
ここで、樹脂組成物から樹脂成形品を製造する方法をより具体的に説明する。先ず、公知の射出成形機を用いて樹脂組成物を樹脂組成物の融点より約+15〜+30℃高い温度で加熱溶融する。次に、樹脂組成物の溶融物を、樹脂組成物の結晶化温度の−50〜+30℃の温度範囲の温度で保温された金型に射出する。次に、射出後、金型内の溶融物に所望により圧力の印加を継続し、いわゆる「ひけ」を補う。その後圧力を解除し、放置する。この放置する時間を通常冷却時間と呼ぶ。もちろん、保持時間中にも樹脂から金型へ熱が次第に奪われ、金型中の樹脂の温度は次第に低下している。したがって、実質的には、保持時間も冷却時間に含めて考えることもある。ここでは、普通言われているように、保持圧力を解除してからの放置時間を冷却と呼ぶことにする。射出圧速度、射出圧力、射出時間、保持圧力又は保持時間等は、樹脂組成物の樹脂の種類及び金型の形状等によって適宜設定される。冷却時間は、金型の形状に成形された樹脂の結晶化がほぼ飽和完遂するだけの冷却時間にすればよく、通常約1分以下であり、好ましくは約20秒〜1分である。
また、樹脂組成物の結晶化温度の−50〜+30℃の温度範囲の温度で保温された金型内に樹脂組成物の溶融物を充填保持することにより、結晶構造を取り得るポリエステルを金型内で速やかに結晶化させることができる。この結果、成形サイクルを短縮し、生産性の向上が図られ、歩留まりを向上できる。
なお、以上の説明では、成形時に樹脂を結晶化させることを主眼に置いたものであるが、それ以外の2つの問題を解決でき、以下ではそれらの問題についてより具体的に説明する。
通常は、金型の保温温度を樹脂のTg以下の温度にするが、このような温度の金型内に樹脂を射出すると、射出された樹脂の熱が金型へ急速に奪われ、樹脂が金型中で流れにくくなる。このため、成形品にフローマークが生じたり、ウエルドが非常に目立ち易くなったりする。
また、樹脂が流れにくいために、複雑な形状の金型で成形するときは、ゲート数を多くして、樹脂が確実に金型内へ充填されるようにしなければならない。このため、ゲート数だけランナーが生じてしまい、樹脂がその分だけ無駄になる。
一方、上述の方法での金型温度は、従来技術の金型温度よりも高温である。したがって、金型内に射出された樹脂の熱の奪われ方が従来技術よりも小さく、金型中で樹脂の流れ性が従来技術よりも良好になる。このため、フローマークやウエルドの問題が起きにくくなる。また、ゲート数を従来技術よりも少なくすることが可能であり、ランナーで無駄になる樹脂をより少なくできる。
なお、樹脂組成物から樹脂成形品を製造する方法は、上述した方法に限定されず、通常の方法にしたがって、金型温度を温度より低い温度にして成形してもよい。例えば、結晶構造を取り得るポリエステルがポリ乳酸である場合、そのTgの60℃以下である金型温度を例えば50℃にする等、通常の方法で成形してもよい。この場合、耐熱性を確保するには、成形後に熱処理してポリエステルを結晶化させる必要があるが、樹脂組成物では核剤により結晶化を促進できるために、従来の樹脂組成物が結晶化するのに要する熱処理時間よりも短くて済み、歩留まりを向上できる。なお、結晶構造を取り得るポリエステルの結晶化に重点を置く必要が無い場合は、熱処理をしなくてもよい。
以上で説明した樹脂組成物は、種々の成形品に広く使用することができる。また、この樹脂組成物を射出成形する等して形成した樹脂成形品は、樹脂組成物の結晶性が高いため、剛性に優れており、さらに透明性も高くできるので、剛性及び透明性等の要求の高い製品に使用して好適である。
具体的に、樹脂成形品の用途としては、例えば発電機、電動機、変圧器、変流器、電圧調整器、整流器、インバーター、継電器、電力用接点、開閉器、機遮断機、ナイフスイッチ、他極ロッド、電機部品キャビネット、ライトソケット、各種端子板、プラグ又はパワーモジュール等の電気機器部品、センサー、LEDランプ、コネクター、抵抗器、リレーケース、小型スイッチ、コイルボビン、コンデンサー、バリコンケース、光ピックアップ、発振子、変成器、プリント基板、チューナー、スピーカー、マイクロフォン、ヘッドフォン、フロッピー(登録商標)ディスク又はMOディスク等の記憶装置、小型モーター、磁気ヘッドベース、半導体、液晶、FDDキャリッジ、FDDシャーシ、インクジェットプリンタ又は熱転写プリンタ等のプリンタ、モーターブラッシュホルダー、パラボラアンテナ又はコンピューター関連部品等に代表される電子部品、VTR部品、テレビ部品、テレビ又はパソコン等の電気又は電子機器の筐体、アイロン、ヘアードライヤー、炊飯器部品、電子レンジ部品、音響製品又はオーディオ・レーザーディスク・コンパクトディスク等の音声機器部品、照明部品、冷凍庫部品、エアコン部品、タイプライター部品又はワードプロセッサー部品等に代表される家庭、事務電機製品部品;オフィスコンピューター関連部品、電話器関連部品、ファクシミリ関連部品、複写機関連部品、洗浄用治具、モーター部品、ライター又はタイプライター等に代表される機械関連部品、顕微鏡、双眼鏡、カメラ又は時計等に代表される光学機器、精密機械関連部品、オルタネーターターミナル、オルタネーターコネクター、ICレギュレーター、ライトデイヤー用ポテンシオメーターベース又は排気ガスバルブ等の各種バルブ、燃料関係・排気系・吸気系各種パイプ、エアーインテークノズルスノーケル、インテークマニホールド、燃料ポンプ、エンジン冷却水ジョイント、キャブレターメインボデイー、キャブレタースペサー、排気ガスセンサー、冷却水センサー、油温センサー、ブレーキパットウエアーセンサー、スロットルポジションセンサー、クランクシャフトポジションセンサー、エアーフローメーター、ブレーキパッド磨耗センサー、エアコン用サーモスタットベース、暖房用風フローコントロールバルブ、ラジエーターモーター用ブラッシュホルダー、ウオーターポンプインペラー、タービンベイン、ワイパーモーター関係部品、デユストリビューター、スタータースイッチ、スターターリレー、トランスミッション用ワイヤーハーネス、ウィンドウォッシャーノズル、エアコンパネルスイッチ基盤、燃料関係電磁気弁用コイル、ヒューズ用コネクター、ホーンターミナル、電装部品絶縁板、ステップモーターローター、ランプソケット、ランプリフレクター、ランプハウジング、ブレーキピストン、ソレノイドボビン、エンジンオイルフィルター又は点火装置ケース等の自動車・車両関連部品、又は包装材料等が挙げられる。中でも、この樹脂成形品は、結晶性が改善されていることから、高い耐熱性が要求されるテレビ又はパソコン等の電気又は電子機器の筐体として使用されて好適である。また、この樹脂成形品は、脂肪族ポリエステル、特にポリ乳酸を主体とするため、使用後には生分解処理に付して廃棄すればよく、廃棄に余分なエネルギーが消費されないという利点を有している。
以下、本発明を適用した樹脂組成物を実際に作製した実施例及び比較のために作製した比較例について説明する。
〈実施例1〉
実施例1では、結晶構造を取り得るポリエステルとして、三井化学株式会社製のポリ乳酸(商品名:H100J)100質量部に対し、核剤となるThe Society of Dyers and Colourists社発行のカラーインデックスに示される所定の化合物としてPR257(クライアントジャパン社製、商品名:Hostaperm Red Violet 3RL)が0.5質量部含有されるように混合し、加熱温度160℃〜180℃の範囲で加熱しながら混練した後にペレット化した。このようにして、実施例1の樹脂組成物を作製した。なお、ここで使用したポリ乳酸の分子量は20万であった。
〈実施例2〉
実施例2では、核剤となるThe Society of Dyers and Colourists社発行のカラーインデックスに示される所定の化合物としてPR147(クライアントジャパン社製、商品名:Parmanent Pink F3B)を用いたこと以外は、上述した実施例1と同様にして樹脂組成物を作製した。
〈実施例3〉
実施例3では、核剤となるThe Society of Dyers and Colourists社発行のカラーインデックスに示される所定の化合物としてPY191(クライアントジャパン社製、商品名:PV Fast Yellow HGR)を用いたこと以外は、上述した実施例1と同様にして樹脂組成物を作製した。
〈実施例4〉
実施例4では、核剤となるThe Society of Dyers and Colourists社発行のカラーインデックスに示される所定の化合物としてPR168(クライアントジャパン社製、商品名:Hostaperm Scarlex GO transp.)を用いたこと以外は、上述した実施例1と同様にして樹脂組成物を作製した。
参考例5〉
参考例5では、核剤となるThe Society of Dyers and Colourists社発行のカラーインデックスに示される所定の化合物としてPY16(クライアントジャパン社製、商品名:Parmanent Yellow NCG)を用いたこと以外は、上述した実施例1と同様にして樹脂組成物を作製した。
なお、結晶化温度は、118.3℃であった。
〈比較例1〉
比較例1では、核剤を含有させずにポリ乳酸だけを上述した実施例1と同様にして加熱混練した後にペレット化した。このようにして、比較例1の樹脂組成物を作製した。
〈比較例2〉
比較例2では、核剤となる所定の化合物の代わりに関東化学社製のステアリン酸カルシウムを0.5質量部含有させたこと以外は、上述した実施例1と同様にして樹脂組成物を作製した。
〈比較例3〉
比較例3では、核剤となる所定の化合物の代わりに富士タルク社製のタルク(商品名:LMS−200)25質量部を含有させたこと以外は、上述した実施例1と同様にして樹脂組成物を作製した。
そして、各実施例及び各比較例について、結晶化温度を示差走査熱量(DSC)測定法によって測定した。具体的に、各実施例及び各比較例について結晶化温度を測定するには、先ず、以上のようにして得られた各樹脂組成物を3mg〜4mg切り取り、この試験片をアルミパンに入れて試験試料を作製した。そして、この試験試料をいったん200℃まで加熱した後に、1分当たり20℃温度が下がるようにして冷却する際に120℃付近の結晶化による発熱ピーク温度を結晶化温度として測定した。
以下、各実施例及び各比較例の結晶化温度を測定した結果を表3に示す。
Figure 0004834996
表3に示す評価結果から、核剤としてThe Society of Dyers and Colourists社発行のカラーインデックスに示される所定の化合物を含有させた各実施例では、所定の核剤を含有させなかった各比較例に比べて結晶化温度が高く、結晶化度が高められていることが解る。
特に、ポリ乳酸だけからなる比較例1では、DSC測定法で発熱ピークが観察されずにポリ乳酸は結晶化せずに非晶質のまま固まったことがわかる。また、比較例2及び比較例3のように、ポリ乳酸にステアリン酸カルシウムやタルクを含有させることで結晶化温度をある程度まで高めることは可能であるが、The Society of Dyers and Colourists社発行のカラーインデックスに示される所定の化合物を核剤としてポリ乳酸に含有させた場合に比べて遠く及ばないことがわかる。
以上ことから、樹脂組成物を作製する際に、ポリ乳酸に核剤としてThe Society of Dyers and Colourists社発行のカラーインデックスに示される所定の化合物を含有させることは、結晶化温度が高くなって結晶化度が高められた樹脂組成物を得る上で大変重要であることがわかる。

Claims (6)

  1. 結晶構造を取り得るポリ乳酸と、
    The Society of Dyers and Colourists社発行のカラーインデックスに示される化合物とからなり
    上記化合物が、PR257、PR147、PY191、PR168のうちの何れか一種であり、上記ポリ乳酸100質量部に対して0.001質量部〜10質量部の範囲であり、
    結晶化温度が121.7℃以上である樹脂組成物。
    (但し、PはPigment、RはRed、YはYellow、OはOrangeを意味する。)
  2. 上記化合物の粒径が1μm以下にされている請求項1記載の樹脂組成物。
  3. 上記化合物が、上記ポリ乳酸100質量部に対して0.01質量部〜1質量部の範囲で含有されている請求項1又は請求項2記載の樹脂組成物。
  4. 結晶構造を取り得るポリ乳酸と、The Society of Dyers and Colourists社発行のカラーインデックスに示される化合物とを含有する樹脂組成物を成形してなる樹脂成形品において、
    上記化合物が、PR257、PR147、PY191、PR168のうちの何れか一種であり、上記ポリ乳酸100質量部に対して0.001質量部〜10質量部の範囲であり、
    上記樹脂組成物の結晶化温度は121.7℃以上である樹脂成形品。
    (但し、PはPigment、RはRed、YはYellow、OはOrangeを意味する。)
  5. 電気機器若しくは電子機器の筐体であることを特徴とする請求項記載の樹脂成形品。
  6. 結晶構造を取り得るポリ乳酸を含有する結晶化温度が121.7℃以上である樹脂組成物に上記ポリ乳酸100質量部に対して0.001質量部〜10質量部の範囲で含有され、上記ポリ乳酸を結晶化させるポリエステル用核剤であって、
    The Society of Dyers and Colourists社発行のカラーインデックスに示される化合物であり、
    上記化合物が、PR257、PR147、PY191、PR168のうちの何れか一種であるポリエステル用核剤。
    (但し、PはPigment、RはRed、YはYellow、OはOrangeを意味する。)
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