従来、2次元撮像素子等を備えるビデオカメラ等の撮像装置では、被写体を撮影して得られた映像信号を用いて、その映像信号に基づいて表示された画面の鮮鋭度を検出し、その検出される鮮鋭度が最大となるように、フォーカスレンズの位置を制御してピントを合わせる方法が採用されている。
上記鮮鋭度の評価には、一般にバンドパスフィルタにより抽出された映像信号の高周波成分の強度、或いは、微分回路等により抽出された映像信号のボケ幅検出強度が用いられており、これらの高周波成分の強度やボケ幅検出強度は、通常被写体を撮影した場合、ピントがボケている状態では小さく、ピントが合うにつれて大きくなり、完全にピントが合った状態で最大値に達する。
したがって、フォーカスレンズは、上記鮮鋭度が小さいときに、その鮮鋭度が大きくなる方向にできるだけ早く動かされ、上記鮮鋭度が大きくなるにつれて、ゆっくりと動かされて上記鮮鋭度の最大値に達したときに(山の頂上)精度良く停止するように、すなわちピントが合うように、位置の制御が行われる。
上述のようなフォーカスレンズの位置制御によるピント合わせの方法(オートフォーカス方式)は、一般に山登り法オートフォーカス(以下、「山登りAF」と言う)と呼ばれ、カメラの小型軽量化に伴って簡素なシステムでオートフォーカス(AF)を実現することができるため、近年のビデオカメラ等では主流となっている。
また、小型軽量化をさらに図るために、ビデオカメラ等のレンズシステムに、図13に示すようなインナーフォーカスレンズタイプのレンズシステム500を用いるのが主流となっている。
このレンズシステム500は、上記図13に示すように、固定された第1のレンズ群501、変倍を行うようになされた第2のレンズ群(以下、変倍レンズ又はズームレンズともと言う)502、絞り503、固定された第3のレンズ群504、焦点調節機能、及び変倍(ズーム)による焦点面の移動を補正する機能(コンペ機能)を有する第4のレンズ群(以下、フォーカスレンズと言う)505を備えている。
また、レンズシステム500では、図示していない被写体からの光が、第1のレンズ群501、変倍レンズ502、絞り503、第3のレンズ群504、及びフォーカスレンズ505を順次介して、電荷結合素子(CCD:Charge Coupled Device)等からなる撮像素子の撮像面506で結像されるようになされている。
ここで、フォーカスレンズ505と撮像面506の光軸方向の相対位置関係により、焦点面が変化する。
このため、例えば、フォーカスレンズ505を可動部とし、撮像面506を有する撮像素子を固定部として設け、フォーカスレンズ505を動かすことにより、ピント合わせを行うようになされている。
これは、フォーカスレンズ505は一般に上記撮像素子よりも軽量で構成されるため、フォーカスレンズ505を可動部とすることにより、そのフォーカスレンズ505を動かすための可動部駆動用の図示していないアクチュエータを小型軽量化できるからである。
そこで、各焦点距離において被写体距離を変化させたとき、撮像面506上に合焦させるためのフォーカスレンズ505の位置を連続してプロットすると、図14に示すような、焦点距離(変倍レンズ502の位置)Zとフォーカスレンズ505の位置Pの関係が得られる。
したがって、変倍レンズ502によるズーム中は、被写体距離に応じて、上記図14に示された軌跡(以下、カム軌跡とも言う)を選択し、選択した軌跡に従ってフォーカスレンズ505を移動させることにより、ボケのないズームが可能となる。
一方、上述したようなインナーフォーカスタイプのレンズシステム対して、変倍レンズ502に対して独立したコンペレンズ(前玉レンズ)が設けられていると共に、変倍レンズとコンペレンズが機械的なカム環で結合されているレンズシステムがある。
この前玉フォーカスタイプのレンズシステムにおいて、例えば、カム環にマニュアルズーム用のツマミを設け、手動で焦点距離を変えようとした場合、ツマミを動かすと、この動作に追従してカム環が回転し、変倍レンズとコンペレンズがカム環のカム溝に沿って移動する。
したがって、この前玉フォーカスタイプのレンズシステムでは、ツマミをいくら速く動かしても、フォーカスレンズのピントが合っていれば、上述のようなツマミによる動作によってボケが生じることはない。
しかしながら、レンズは一般的に、前玉レンズが一番大きくなるため、この前玉レンズをモータで駆動してフォーカシングを行うと、モータ駆動系が大きくなり、消費電力も大きくなり、高速駆動も難しい等の問題が生じる。
これに対して、上述したインナーフォーカスタイプにレンズシステム500は、後方のフォーカスレンズ505を駆動するため、駆動させるレンズ(フォーカスレンズ505)を小さく構成することができ、フォーカスレンズ505を動かすための可動部駆動用の図示していないアクチュエータを小型軽量化でき、高速駆動も可能で、また、光学的には、被写体に対して最大近接合焦距離を小さくすることができる。
このようなインナーフォーカスタイプのレンズシステム500の制御は、例えば、上記図14に示したような複数の軌跡の情報を、レンズ制御用のマイクロコンピュータ(以下、マイコンと言う)内部に設けられたメモリに記憶させておき、フォーカスレンズ505の位置Pと変倍レンズ502の位置Zに従って複数の軌跡から適切な軌跡を選択し、選択した軌跡上をたどりながらズーミングを行うのが一般的である。
このとき、変倍レンズ502の位置Zに対するフォーカスレンズ505の位置Pを得る際には、すなわち上記メモリに記憶した情報から変倍レンズ502の位置Zに対するフォーカスレンズ505の位置Pの情報を読み出す際には、読み出した情報をレンズシステム500の制御に用いるために、その読み出し動作をある程度精度の良く行う必要がある。
特に、上記図14から明らかなように、変倍レンズ502が等速度又はそれに近い速度で移動する場合、焦点距離の変化によって刻々とフォーカスレンズ505の軌跡の傾きが変化している。
これは、フォーカスレンズ505の移動速度とその移動の向きが刻々と変化することを示しており、換言すれば、フォーカスレンズ505を移動させるためのアクチュエータは、1Hz〜数百Hzまでの精度良い速度で応答する必要があることを示している。
そこで、上述のような要求を満たすために、インナーフォーカスタイプのレンズシステム500では、フォーカスレンズ505を移動させるためのアクチュエータとして、例えば、ステッピングモータが用いられるのが主流となってきている。
このステッピングモータは、上述したようなレンズ制御用のマイコン等から出力される歩進パルスに完全に同期しながら回転し、1パルス当たりの歩進角度が一定となるようになされているため、このようなステッピングモータを用いることにより、高い速度応答性、停止精度、及び位置精度を得ることが可能となる。さらに、このステッピングモータは、歩進パルス数に対する回転角度が一定であることから、歩進パルスをそのままインクリメント型のエンコーダとして用いることができ、フォーカスレンズ505の移動状態を検出するための特別な位置エンコーダを追加して設ける必要がないという利点がある。
以下、上述のようなステッピングモータにより合焦状態を保ちながらズーム動作を行う際に用いられる軌跡追従方式について説明する。
まず、上述したように、レンズ制御用のマイコンに、上記図14に示したような軌跡情報を、例えば、軌跡そのものを情報として、或いは、変倍レンズ502の位置を変数とした関数の情報として記憶しておき、変倍レンズ502の位置又は移動速度に応じて軌跡情報を読み出し、読み出した軌跡情報に基づいて、フォーカスレンズ505を移動させる。
ここで、図15は、上記軌跡追従方式の一例を説明するための図である。
上記図15において、z0,z1,z2,・・・,z6は、変倍レンズ502の位置を示し、a0,a1,a2,・・・,a6及びb0,b1,b2,・・・,b6は、各々レンズ制御用のマイコンに記憶している代表軌跡情報(変倍レンズ502の位置に対するフォーカスレンズ505の位置の情報)を示している。
また、p0,p1,p2,・・・,p6は、a0,a1,a2,・・・,a6及びb0,b1,b2,・・・,b6の2つの軌跡を基に算出された軌跡を示している。
このp0,p1,p2,・・・,p6の軌跡は、
p(n+1)=|p(n)−a(n)|/|b(n)−a(n)|×|b(n+1)−a(n+1)|+a(n+1)・・・(1)
なる式(1)により算出される。
上記式(1)によれば、例えば、上記図15において、フォーカスレンズ505がp0に存在する場合、p0が線分(b0−a0)を内分する比を求め、この比に従って線分(b1−a1)を内分する点をp1としている。
この(p1−p0)の位置差と、変倍レンズ502がz0〜z6まで移動するのに要する時間から、合焦を保つためのフォーカスレンズ505の標準移動速度が分かる。
つぎに、変倍レンズ502の停止位置には、記憶された代表軌跡情報を所有する境界上のみ、という制限が与えられていない場合について説明する。
図16は、変倍レンズ502の位置方向の内挿方法を説明するための図であり、上記図15の一部(図中の破線部分)を抽出し、変倍レンズ502の位置を任意としたものである。
上記図16において、縦軸及び横軸は、各々フォーカスレンズ505の位置及び変倍レンズ502の位置を示しており、レンズ制御用のマイコンに記憶している代表軌跡情報、すなわち変倍レンズ502の位置に対するフォーカスレンズ505の位置をZ0,Z1,・・・,Zk−1,Zk,・・・,Zn、その時のフォーカスレンズ505の位置を被写体距離別に、a0,a1,・・・,ak−1,ak,・・・,an、及びb0,b1,・・・,bk−1,bk,・・・,bnとして示している。
今ここで、変倍レンズ502の位置がズーム境界上でないZxの位置にあり、フォーカスレンズ505の位置がpxであった場合、ax及びbxは各々、
ax=ak−(Zk−Zx)×(ak−ak−1)/(Zk−Zk−1)
・・・(2)
bx=bk−(Zk−Zx)×(bk−bk−1)/(Zk−Zk−1)
・・・(3)
なる式(2)及び(3)により求められる。
すなわち、現在の変倍レンズ502の位置とそれを挟む2つのズーム境界位置(例えば、上記図16ではZkとZk−1)から得られる内分比に従い、記憶している4つの代表軌跡情報(例えば、上記図16ではak、ak−1、bk及びbk−1)のうち、同一被写体距離のものを上記式(1)で示したように上記内分比で内分することによりpx及びpx−1を求めることができる。
そして、ワイドからテレへのズーム時には、追従先のフォーカスレンズ505の位置pkと、現在のフォーカスレンズ505の位置pxとの位置差と、変倍レンズ502がZx〜Zkまで移動するのに要する時間から、合焦を保つためのフォーカスレンズ505の移動速度が分かる。
また、テレからワイドへのズーム時には、追従先のフォーカスレンズ505の位置pk−1と、現在のフォーカスレンズ505の位置pxとの位置差と、変倍レンズ502がZx〜Zk−1まで移動するのに要する時間から、合焦を保つためのフォーカスレンズ505の移動速度が分かる。
上述のような軌跡追従方式によるズーム動作の制御は、垂直同期信号に同期して制御処理が行われるのが一般的である。
しかしながら、近年ではズームスピードが速くなり、例えば、1垂直同期期間内の時間で変倍レンズ502が上記図15に示した位置z4〜z6まで移動する場合がある。
このとき、垂直同期信号に同期してレンズ制御を行うと、フォーカスレンズ505の標準移動速度はp4〜p5を目指す速度となったまま、変倍レンズ502の位置がz6に達するまで、標準移動速度の更新は成されないことになる。このため、変倍レンズ502の位置がz6のとき、フォーカスレンズ505の位置は、上記図15中のp4とp5の同一直線上の点p6'となり、(p6−p6')の差分量分ボゲが生じ、ズーム中に正確な軌跡の追従(トレース)を行うことができなかった。
そこで、上述のような問題を解決するために、1垂直同期期間後の変倍レンズ502の位置を予測し、その予測した位置での焦点面の補正を行うためのフォーカスレンズ505の補正位置を算出し、1垂直同期期間後にはフォーカスレンズ505が上記補正位置に到達しているようにレンズ制御を行う方式がある。
この方式では、フォーカスレンズ505の駆動用のアクチュエータとして、上述したステッピングモータの代わりに、例えば、駆動騒音や駆動振動が少なく、高速性に優れたリニアモータが用いられる。
まず、上記リニアモータをフォーカスレンズ505の駆動用のアクチュエータとして用いる利点について説明する。
上記図13に示したようなインナーフォーカスタイプのレンズシステム500を搭載したカメラ等において、変倍レンズ502を等速で移動させる際、合焦状態を維持する為には、カム軌跡の傾きが急峻になるテレ端付近でのフォーカスレンズ505の移動速度を速くする必要があるが、上記アクチュエータとしてステッピングモータが用いられていた場合、フォーカスレンズ505の移動速度を所望の速度にする際に、この所望速度が脱調限界速度を越えてしまう場合がある。
これを防止するために、ステッピングモータの速度は、脱調限界速度以内を維持しながら、変倍レンズ502を移動させるためのモータの駆動速度を減速して、合焦状態を維持するのが一般的に採用されている手法である。
しかしながら、上記アクチュエータとしてリニアモータを用いると、このリニアモータは、高速駆動に優れたものであるため、変倍レンズ502を移動させるためのモータの駆動速度を減速する必要がなく、同時に等速度で移動するズーム速度自身も高速にすることが可能であるため、超高速ズームを実現することが可能となる。
また、ステッピングモータ又はDCモータをフォーカスレンズ505の駆動用のアクチュエータとして用いた場合には、モータの駆動による回転力をレンズ駆動の為に直線移動用の駆動力に変換する駆動力伝達機構が必要なため、機構の小型化や軽量化が困難である。
これに対して、リニアモータを用いると、駆動力伝達機構が不要となり、機構の小型軽量化が可能となる。
上述のようなリニアモータとして、例えば、ムービングコイルタイプのボイスコイルモータを適用したレンズの移動機構を図17(a)及び(b)に示す。
尚、上記図17(b)は、同図(a)中のB−B線に沿う断面図である。
上記図17(a)及び(b)に示すレンズの移動機構700では、レンズ701b1〜701b3を保持するレンズ保持枠711の外周にヨーク717aとホビン719に巻き付けたコイル716が配設され、ヨーク717aに対向してコイル716の外側にヨーク717bと、このヨーク717bに接着したマグネット715とが配設され、ヨーク717a,717b及びマグネット715が固定筒702に取り付けられた構成としている。
また、レンズ保持枠711は、光軸と平行な2本の案内棒703a,703bによって光軸方向に移動可能に保持されている。
さらに、マグネット715は、着磁されるように設けられている。これにより、ヨーク717a,717bの間には、半径方向に磁場が形成された状態となっている。
さらにまた、コイル716は、ヨーク717a,717bの間に存在し、且つ円周方向に巻かれている。
したがって、このコイル716に電流を流すことにより、光軸方向への駆動力が発生し、ホビン719を一体に構成しているレンズ保持枠711及びレンズ701b1〜701b3が光軸方向に駆動されることとなる。
上述のようなレンズの移動機構700を上記図13のフォーカスレンズ505の駆動用として適用した撮像装置は、例えば、図18に示すような構成となる。
まず、撮像装置800の一連の動作について説明する。
先ず、図示していない被写体からの光(映像光)は、第1のレンズ群501、変倍レンズ502、絞り503、第3のレンズ群504、及びフォーカスレンズ505を順次介して、撮像素子の撮像面506上で結像される。
撮像面506で結像された映像光は、光電変換により映像信号に変換され、増幅器807で最適な信号レベルに増幅されてカメラ信号処理回路808に供給される。
カメラ信号処理回路808は、増幅器807からの映像信号に所定の信号処理を行って、標準テレビジョン信号を生成して出力する。
一方、増幅器807で増幅された映像信号は、AF信号処理回路809にも供給される。
このとき、AF枠生成回路810は、AFマイコン812の後述するAF枠制御に従って、タイミングジェネレータ811からの垂直同期信号及び水平同期信号により、撮像面506での撮像画面の所定領域をゲートするためのゲート信号をAF信号処理回路809に対して発生する。
AF信号処理回路809は、AF枠生成回路810からのゲート信号により、増幅器807からの映像信号から、AF内の映像信号の高周波成分のみを抽出して、上述したようなAF評価信号を生成する処理等を行う。
AFマイコン812は、レンズ制御処理を行うようになされており、AF信号処理回路809で生成されたAF評価信号の強度に応じた焦点調節、上述したようなカム軌跡追従を行いながら合焦状態を維持するズーム制御、AFやズーム時にフォーカスレンズ505や変倍レンズ502を駆動するためのモータ制御等のレンズの駆動制御、及び測距エリアを変更するためのAF枠制御等を行う。
また、AFマイコン812は、ズームスイッチ823からのスイッチ状態を示す信号に応じて、ズームモータドライバ814に対して変倍レンズ502の駆動命令を送ることにより、ズームモータ813を駆動する。
ここで、ズームモータ813が上述したようなステッピングモータである場合、AFマイコン812は、内蔵された処理プログラムにより、ズームモータ813の駆動速度を決定し、その駆動速度を回転周波数信号として、ズームモータ813の駆動用のズームモータドライバ814に供給する。
また、AFマイコン812は、ズームモータ813の駆動/停止信号、及び回転方向命令信号をズームモータドライバ814に供給する。
この駆動/停止信号、及び回転方向命令信号は、ズームスイッチ823のスイッチ状態に応じたものであり、ズームモータドライバ814は、AFマイコン812からの回転方向命令信号に応じて、4相のモータ励磁相の位相を順回転及び逆回転の位相に設定し、且つAFマイコン812からの駆動/停止信号に応じて、4相のモータ励磁相の印加電圧又は電流を変化させながらズームモータ813に対して出力する。
これにより、ズームモータ813の回転方向と回転周波数が制御されつつ、上記駆動/停止信号に応じて、ズームモータドライバ814からズームモータ813への出力がON/OFFされる。
また、フォーカスレンズ505の位置は、位置エンコーダ815により検出され、その検出結果は、増幅回路816で適切なゲイン調節が行われて、比較回路817に供給される。
このとき、比較回路817には、フォーカスレンズ505を目標位置に移動させるための目標信号がAFマイコン812から供給される。
比較回路817は、増幅回路816からの信号と、AFマイコン812からの目標信号とを比較し、2つの信号の差分に相当する偏差信号を生成して積分回路818に供給する。
積分回路818は、比較回路817からの偏差信号に積分処理を行って、その積分結果を加算回路819に供給する。
このとき、加算回路819には、位置エンコーダ815の検出結果が微分回路820で微分された結果、すなわちフォーカスレンズ505の現在の駆動速度情報が供給されている。
加算回路819は、積分回路818の積分結果と、微分回路820の微分結果とを加算して、その加算結果をモータドライバ821に供給する。
モータドライバ821は、加算回路819からの加算結果に応じた電流をモータコイル822に印加する。
このとき、モータコイル822の片側には基準電圧が印加されている。
このため、モータドライバ821は、モータコイル822の反対側(基準電圧が印加されていない側)に、基準電圧に対して正又は負となる電圧を印加することにより、モータコイル822に流れる電流の極性を切り換えることで、フォーカスレンズ505の移動方向を変更し、また、モータコイル822に印加する電圧のレベルを変化させることで、フォーカスレンズ505の駆動量を変更する。
上述のようにしてループ制御を行うが、微分回路820により、フォーカスレンズ505の駆動速度(微分回路820の微分結果)をフィードバックしているのは、ループ制御系を安定させる為である。また、フォーカスレンズ505の急激な移動を抑制することで、自然な撮影映像を得ると共に、フォーカスレンズ505が移動範囲を超えて撮像装置800のメカ部材に衝突することを防ぐ為である。
また、AFマイコン812から比較回路817に供給される目標信号は、例えば、フォーカスレンズ505の位置に対して出力する目標信号のレベルの相関が予め与えられており、その相関関係をAFマイコン812内部にデータテーブルとして記憶し、移動させたい位置に対して上記データテーブルを参照することにより、生成されるようになされている。
つぎに、AFマイコン812のズーム動作制御処理について説明する。
AFマイコン812は、例えば、図19に示すフローチャートに従って、1垂直同期期間に1回、ズーム動作制御処理を行うようになされている。
ここで、図20は、上記図19のステップS905の処理を具体的に示したフローチャートであり、図21は、上記図20のステップS1001の処理を具体的に示したフローチャートである。
また、図22は、上記図19のステップS914の処理を具体的に示したフローチャートである。
さらに、図23は、例えば、AFマイコン812内部に記憶している上記図14に示したようなカム軌跡情報のデータテーブルTBである。
上記図23では、被写体距離別に、変倍レンズ502の位置により変化するフォーカスレンズ505の合焦位置をA(n,v)で示している。
このデータテーブルTBに見られるように、変数(被写体距離変数)nの列方向にフォーカスレンズ505の位置(被写体距離)が変化し、変数(以下、エリア又はズームエリア変数とも言う)vの行方向に変倍レンズ502の位置(焦点距離)が変化している。
ここでは、n=0を無限遠の被写体距離とし、nが大きくなるに従って被写体距離は至近距離に変化し、n=mを1cmの被写体距離とする。一方、v=0をワイド端の変倍レンズ502の位置とし、vが大きくなるに従って焦点距離が増し、v=sをテレ端の変倍レンズ502の位置とする。したがって、1列のテーブルデータで1本のカム軌跡が描かれることとなる。
以下、上記図19〜上記図23を用いて、AFマイコン812のズーム動作制御処理を説明する。
先ず、AFマイコン812でズーム動作制御処理が開始されると(ステップS901)、ズームスイッチ823のスイッチ状態を読み込む(ステップS902)。
次に、ステップS902で読み込んだスイッチ823の状態に応じて、ズーム中であるか否かを判別し(ステップS903)、非ズーム中であるならば変倍レンズ502の駆動を禁止する制御を行い、次の垂直同期期間まで待機状態となる(ステップS916)。
一方、ズーム中であったならば、ズーム動作のズームモータ813の駆動速度(以下、ズーム速度と言う)Zspを設定し(ステップS904)、次のステップS905以降の処理を行う。
すなわち、現在の変倍レンズ502及びフォーカスレンズ505の位置から撮影している被写体の撮影距離を特定し、その被写体距離情報を3つの軌跡パラメータα、β、γとして、AFマイコン812内部に設けられた図示していないRAM(Random Access Memory)等に記憶する(ステップS905)。
ステップS905の処理を具体的に説明すると、上記図20に示すように、例えば、現在のレンズ位置において合焦状態が維持されていた場合、先ず、現在の変倍レンズ502の位置Zxが上記図23のデータテーブルTB上で、ワイド端からテレ端までs等分した何番目のエリアvに存在するか算出する(ステップS1001)。
ステップS1001をさらに具体的に説明すると、上記図21に示すように、先ず、ズームエリア変数vをクリアする(ステップS1101)。
次に、
Z(v)=(テレ端のズーム位置−ワイド端のズーム位置)×v/s+ワイド端のズーム位置・・・(6)
なる式(6)に従って、エリアvの境界上の変倍レンズ502の位置Z(v)を算出する(ステップS1102)。
このZ(v)は、上記図15で示した変倍レンズ502の位置Z0,Z1,Z2,・・・に相当するものである。
次に、ステップS1102で算出したZ(v)が現在の変倍レンズ502の位置Zxと等しいか否かを判別し(ステップS1103)、等しければ、現在の変倍レンズ502の位置Zxはエリアvの境界上に存在すると認識し、境界フラグを「1」に設定する(ステップS1107)。
ステップS1103の判別結果が偽であった場合、ステップS1102で算出したZ(v)が現在の変倍レンズ502の位置Zxより大きいか否かを判別し(ステップS1104)、その判別結果が真ならば、現在の変倍レンズ502の位置Zxは、Z(v−1)とZ(v)との間に存在すると認識し、境界フラグを「0」に設定する(ステップS1106)。
ステップS1104の判別結果が偽であった場合、エリアvをインクリメントして(v=v+1)、ステップS1102の処理に戻る。
上述のようなステップS1101〜ステップS1107の処理を繰り返し行うことにより、このステップS1101〜ステップS1107からなるステップS1001の処理を抜けるときには、現在の変倍レンズ502の位置Zxが上記図22のデータテーブル1200上のv=k番目のズームエリアに存在し、それが境界上に存在しているか否かを認識することができる。
上述のようなステップS1001の処理により、エリアvが定まると、次のステップS1002以降の処理で、フォーカスレンズ505の位置が上記図23のデータテーブルTB上のどこに存在するかを求める。
先ず、被写体距離変数nをクリアする(ステップS1002)。
次に、現在の変倍レンズ502の位置Zxがエリアvの境界上に存在しているか否かを上述した境界フラグにより判別し(ステップS1003)、その判別の結果、境界フラグ=0ならば境界上には存在しないと認識して、Zk←Z(v)、Zk−1←Z(v−1)とする(ステップS1005)。
そして、上記図23のデータテーブルTBから、4つのテーブルデータA(n,v−1)、A(n,v)、A(n+1,v−1)、A(n+1,v)を読み出し(ステップS1006)、上記式(2)及び(3)からax及びbxを算出する(ステップS1007)。
一方、ステップS1003の判別結果により、境界フラグ=1ならば境界上に存在すると認識して、上記図23のデータテーブルTBから、被写体距離変数nと合焦位置A(n,v)及びA(n+1,v)を読み出して、各々ax及びbxとする(ステップS1016)。
ステップS1007又はステップS1016の処理によりax及びbxが得られると、次に、現在のフォーカスレンズ505の位置Pxがax以上であるか否かを判別する(ステップS1008)。
ステップS1008の判別結果が真ならば、現在のフォーカスレンズ505の位置Pxがbx以上であるか否かを判別する(ステップS1009)。
ステップS1009の判別結果が偽ならば、
α=Px−ax
とし(ステップS1013)、
β=bx−ax
とし(ステップS1014)、
γ=n
とする(ステップS1015)。
一方、ステップS1008の判別結果が偽ならば、フォーカスレンズ505の位置Pxが超無限に存在すると認識し、
α=0
として(ステップS1012)、上述したステップS1014及びステップS1015の処理を行って、無限の軌跡パラメータとして記憶する。
また、ステップS1009の判別結果が真ならば、フォーカスレンズ505の位置Pxが至近側に存在すると認識し、被写体距離変数nをインクリメント(n=n+1)する(ステップS1010)。
そして、被写体距離変数nが最至近被写体距離m以下であるか否かを判別し(ステップS1011)、その判別結果が真ならばステップS1003に戻る。
また、ステップS1011の判別結果が偽ならば、フォーカスレンズ505の位置Pxが超至近に存在すると認識し、上述したステップS1012以降の処理を行って、最至近距離の軌跡パラメータを記憶する。
上述のようなステップS1001〜ステップS1015からなるステップS905により、現在の変倍レンズ502及びフォーカスレンズ505の位置が上記図14のカム軌跡上のどの位置に存在するかを示す軌跡パラメータが記憶される。
次に、1垂直同期期間後に変倍レンズ502が到達している位置Zx'を算出する(ステップS906)。
ここで、ステップS904で設定されたズーム速度をZsp(pps)とすると、1垂直同期期間後の変倍レンズ502の位置Zx'は、
Zx'=Zx±Zsp/垂直同期周波数・・・(7)
なる式(7)により算出される。
上記式(7)において、「pps」は、ズームモータ813、すなわちステッピングモータの回転速度を示す単位であり、1秒間当たりの回転するステップ量(1ステップ=1パルス)を示しており、符号「±」は、変倍レンズ502の移動方向によって各々、テレ方向ならば「+」、ワイド方向ならば「−」としている。
次に、ステップS906で算出された位置Zx'がどのエリアv'に存在するかを算出する(ステップS907)。
尚、このステップS907の処理は、上記図20に示した処理と同様の処理であり、上記図20において、ZxをZx'、vをv'として処理を行う。
次に、ステップS907で設定された境界フラグにより、1垂直同期期間後の変倍レンズ502の位置Zx'がエリアv'の境界上に存在しているか否かを判別し(ステップS908)、その判別結果により、境界フラグ=0ならば境界上に存在していないと認識して、Zk←Z(v')、Zk−1←Z(v'−1)とする(ステップS909)。
そして、上記図20の処理により、被写体距離γが特定された4つのテーブルデータA(γ,v'−1)、A(γ,v')、A(γ+1,v'−1)、A(γ+1,v')を読み出し(ステップS910)、上記式(2)及び(3)からax'及びbx'を算出する(ステップS911)。
一方、ステップS908の判別結果により、境界フラグ=1ならば境界上に存在していると認識して、被写体距離γとエリアv'の合焦位置A(γ,v')及びA(γ+1,v')を読み出し、各々ax'及びbx'とする(ステップS912)。
ステップS911又はステップS912でax'及びbx'が得られると、次に、変倍レンズ502が位置Zx'に到達したときのフォーカスレンズ505の合焦位置Px'を算出する(ステップS913)。
この合焦フォーカス位置Px'、すなわち1垂直同期期間後の追従目標位置は、上記式(1)を用いて、
Px'=(bx'−ax')×α/β+ax'・・・(8)
なる式(8)により算出される。
次に、ステップS904で設定されたズーム速度でズームモータ813が駆動されるようにズームモータドライバ814を制御する(ステップS914)。
ステップS914の処理を具体的に説明すると、まず、ズームモータ813の駆動は、駆動速度に対応した割り込み周期で、上記図22のフローチャートに従った処理(割り込み処理)が行われることにより成される。
ここで、上述したように、変倍レンズ502の駆動は、駆動速度に対応する周波数信号と、駆動方向に対応する方向信号をズームモータ813に供給することにより行われる。
そこで、先ず、本処理(割り込み処理)が開始されると(ステップS1201)、現在の変倍レンズ502の駆動状態を判別し(ステップS1202)、その判別結果により、非駆動状態ならば、変倍レンズ502の駆動状態を停止状態に再度設定し(ステップS1209)、次回の割り込み周期を再度設定して(ステップS1210)、本処理を終了する(ステップS1211)。
ステップS1202の判別結果により、変倍レンズ502が駆動状態であった場合、すなわちズーム中であった場合、変倍レンズ502の移動すべき方向がテレ方向か否かを判別する(ステップS1203)。
ステップS1203の判別結果により、テレ方向であったならば、変倍レンズ502がテレ端に既に到達済みか否かを判別し(ステップS1204)、テレ方向でなかったならば、すなわちワイド方向であったならば、変倍レンズ502がワイド端に既に到達済みか否かを判別する(ステップS1206)。
ステップS1206の判別結果により、ワイド端に既に到達していたならば、ステップS1209以降の処理を行って、変倍レンズ502の移動を禁止する。また、ステップS1204の判別結果により、テレ端に既に到達していた場合も同様に、ステップS1209以降の処理を行って、変倍レンズ502の移動を禁止する。
一方、ステップS1206の判別結果により、ワイド端に既に到達していない場合、ズームモータドライバ814に対して、逆回転方向の設定を行い、且つ変倍レンズ502の位置Zxから「1」減算する(ステップS1207)。
また、ステップS1204の判別結果により、テレ端に既に到達していない場合、ズームモータドライバ814に対して、正回転方向の設定を行い、且つ変倍レンズ502の位置Zxに「1」加算する(ステップS1205)。
ステップS1207又はステップS1205の処理後、変倍レンズ502の駆動速度に対応した周波数信号をズームモータドライバ814に対して出力すべく、現在の周波数信号の論理を反転する(ステップS1208)。
すなわち、本処理は駆動周波数に対応して割り込みが成されるため、このステップS1208でズームモータドライバ814に対する出力論理を逐次反転させる。これにより、駆動周波数に対応したパルス列が生成され、ズームモータドライバ814は、パルス列の論理の切り替わりと、駆動方向状態に応じて、ズームモータ813の励磁相の位相を制御してモータを回転させる。したがって、このモータ回転に従って、変倍レンズ502が移動することとなる。
そして、次回の割り込み周期を再度設定して(ステップS1210)、本処理を終了する(ステップS1211)。
上述のようなステップS1201〜ステップS1211からなるステップS914の処理により、変倍レンズ502が移動されると、上記式(8)で得られたフォーカスレンズ505の1垂直同期期間後の追従目標位置Px'に相当する目標信号を比較回路817に供給する(ステップS915)。
これにより、フォーカスレンズ505は、上述したループ制御により決定される応答速度で目標位置に到達し、次の目標位置が更新されるまでその位置が保持される。
上述のような上記図19のフローチャートに従った制御処理を行うことにより、1垂直同期期間後の変倍レンズ502の移動先が予測され、その予測された位置に合わせてフォーカスレンズ505のカム軌跡追従移動先が決定されるため、上述したようなカム軌跡追従時のボケを抑制することが可能となる。
つぎに、AFマイコン812のAF動作制御処理について説明する。
AFマイコン812は、例えば、図24に示すフローチャートに従って、AF動作制御処理を行うようになされている。
尚、上記図24において、フォーカスレンズ505の駆動制御は、上記図19のフローチャートを用いて説明したように、カム軌跡追従移動先の目標位置を絶えず更新することにより行われる。
先ず、本処理が開始されると(ステップS1301)、ウォブリング動作により、フォーカスレンズ505を微小駆動させる制御を行い、上述したようなAF評価信号を取り込むことにより、現在合焦しているか、ボケているのかを判別する(ステップS1302)。
尚、ボケていると判別された場合には、さらに前ピンなのか後ピンなのかも判別する。
次に、ステップS1302のウォブリング動作の結果により、フォーカスレンズ505が現在合焦状態にあるのか否かを判別する(ステップS1303)。
ステップS1303で合焦状態であると判別でされた場合、フォーカスレンズ505を停止させる制御を行い、後述するステップS1308以降の再起監視処理ルーチンに進む。
一方、ステップS1303で合焦状態でないと判別でされた場合、後述するステップS1304以降の山登り動作処理ルーチンに進む。
上記山登り動作処理ルーチンでは、先ず、ステップS1302で判別されたボケの結果、すなわち前ピンなのか後ピンなのかの判別結果に従って、そのボケの方向にフォーカスレンズ505を駆動させる山登り動作の制御を実行する(ステップS1304)。
次に、合焦点、すなわちAF評価信号の頂点を超えたか否かを判別し(ステップS1305)、その判別結果により、頂点を超えていない場合には、ステップS1304の処理に戻って山登り動作の制御を続行する。
ステップS1305の判別結果により、頂点を超えていた場合には、その頂点にAF評価信号が戻るようにフォーカスレンズ505の駆動制御を行う(ステップS1306)。
そして、AF評価信号が頂点に到達したか否かを判別し(ステップS1307)、その判別結果により、到達していなければステップS1306の処理に戻る。
また、ステップS1307の判別結果により、AF評価信号が頂点に到達していたならば、ステップS1302の処理に戻る。
これは、AF評価信号を頂点に戻す動作を行っている間に、パンニング等により被写体が変化する場合もあるため、AF評価信号が頂点に到達したならば、現在のAF評価信号が確実に頂点に到達しているのか否か、すなわち現在のフォーカスレンズ505の位置が合焦点であるのか否かを判別するために、ステップS1302の処理に戻って、再びウォブリング動作を行うためである。
一方、上記再起監視処理ルーチンでは、先ず、合焦時のAF評価信号の信号レベルを記憶する(ステップS1308)。
次に、現在のAF評価信号の信号レベルが、合焦時にステップS1308で記憶したAF評価信号の信号レベルに比べ、変動したか否かを判別する(ステップS1309)。
例えば、記憶した信号レベルに対して所定%以上変動していた場合には、パンニング等による被写体の変化があったものと認識し、「再起動」と判別する。また、所定%未満の変動であった場合には、被写体の変化はないと認識し、「非再起動」と判別する。
そして、ステップS1309の判別結果により、「再起動」であるか「非再起動」であるかを判別し(ステップS1310)、「非再起動」であった場合には、そのままフォーカスレンズ505を停止させる制御を行って(ステップS1311)、ステップS1309の再起動判定処理に戻る。
また、「再起動」であった場合には、ステップS1302に戻り、ステップ505を移動させる方向を判別する処理等を行う。
上述のようなステップS1302〜ステップS1311の処理を繰り返すことにより、絶えず合焦状態が維持されるようにフォーカスレンズ505が駆動されることとなる。
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
まず、第1の実施の形態について説明する。
本発明に係る撮像装置の制御方法は、例えば、図1に示すような撮像装置100により実施される。
また、この撮像装置100は、本発明に係る撮像装置又はレンズ制御装置を適用した装置の一例であり、撮像装置100の後述するマイクロコンピュータ112に内蔵された各種の処理プログラムは、本発明に係る記憶媒体を適用したものである。
この撮像装置100は、上記図1に示すように、固定された第1のレンズ群101、変倍を行うようになされた第2のレンズ群(変倍レンズ)102、絞り103、固定された第3のレンズ群104、焦点調節機能、及び変倍による焦点面の移動を補正する機能(コンペ機能)を有する第4のレンズ群(フォーカスレンズ)105を備えるインナーフォーカスタイプのレンズシステムを採用している。
また、撮像装置100は、前記レンズシステムを介した映像光が結像される撮像素子106と、撮像素子106の出力が供給される増幅器107と、増幅器107の出力が各々供給されるカメラ信号処理回路108、絞り制御回路128及びAF信号処理回路109と、AF信号処理回路109の出力が供給されるレンズ制御用のマイコン112と、タイミングジェネレータ111と、タイミングジェネレータ111の出力が供給されるAF枠生成回路110とを備えており、AF枠生成回路110の出力はAF信号処理回路109に供給され、マイコン112の出力はAF枠生成回路110に供給されるようになされており、カメラ信号処理回路108から撮影して得られた映像信号が出力されるようになされている。
さらに、撮像装置100は、フォーカスレンズ105の位置状態を検出する位置エンコーダ127と、位置エンコーダ127の出力が各々供給される増幅回路120及び微分回路123と、増幅回路120及びマイコン112の各出力が供給される比較回路121と、比較回路121の出力が供給される積分回路122と、微分回路123及び積分回路122の各出力が供給される加算回路124と、加算回路124の出力が供給されるモータドライバ125と、モータドライバ125の出力が供給されるフォーカスレンズ105用のモータ126とを備えており、位置エンコーダ127の出力の出力はマイコン112にも供給されるようになされている。
さらにまた、撮像装置100は、マイコン112の出力が供給されるモータドライバ118と、モータドライバ118の出力が供給される変倍レンズ102用のモータ117と、絞り制御回路128の出力が供給されるアイリスドライバ130と、アイリスドライバ130の出力が供給されるIGメータ129とを備えている。
まず、上述のような撮像装置100の一連の動作について説明する。
図示していない被写体からの光(映像光)は、第1のレンズ群101、変倍レンズ102、絞り103、第3のレンズ群104、及びフォーカスレンズ105を順次介して、CCD等からなる撮像素子106の撮像面上で結像され、この撮像素子106における光電変換により映像信号に変換されて増幅器107に供給される。
増幅器107は、撮像素子106からの映像信号を最適な信号レベルに増幅してカメラ信号処理回路108に供給する。
カメラ信号処理回路108は、増幅器107からの映像信号に所定の信号処理を行って、標準テレビジョン信号を生成して、例えば、図示していない表示部や記録部等に対して出力する。
一方、増幅器107で増幅された映像信号は、AF信号処理回路109及び絞り制御回路128にも各々供給される。
絞り制御回路128は、増幅器107からの映像信号のレベルに応じて、アイリスドライバ130を介してIGメータ129を駆動制御する。これにより、絞り102における光量調節が行われる。
このとき、AF枠生成回路110は、マイコン112の後述するAF枠制御に従って、タイミングジェネレータ111からの垂直同期信号及び水平同期信号により、撮像素子106面上での撮像画面の所定領域をゲートするためのゲート信号をAF信号処理回路109に対して発生する。
AF信号処理回路109は、AF枠生成回路110からのゲート信号により、増幅器107からの映像信号から、AF内の映像信号の高周波成分のみを抽出して、AF評価信号を生成する処理等を行う。
マイコン112は、レンズ制御用のAFマイコンであり、例えば、AF信号処理回路109で生成されたAF評価信号の強度に応じて焦点調節を行うためのAFプログラム113と、カム軌跡追従しながら合焦状態を維持するためのズーム制御プログラム114と、カム軌跡追従時に参照されるレンズカムデータ115と、ズーム時に変倍レンズ102を駆動するためのズームモータ制御プログラム116と、AF時にフォーカスレンズ105を駆動するためのフォーカス制御プログラム119とが内蔵されており、レンズの駆動制御、及び測距エリアを変更するためのAF枠制御等を行うようになされている。
尚、AFプログラム113、ズーム制御プログラム114、レンズカムデータ115、ズームモータ制御プログラム116及びフォーカス制御プログラム119等の各種の処理プロラムを、例えば、装置外部に接続されたROM(Read Only Memory)に格納することとしてもよい。
また、マイコン112には、装置に設けられたズームスイッチ131及びAFスイッチ132の各スイッチ状態の情報が供給されるようになされており、このスイッチ状態情報に基づいて、上述したような各種のプログラムを実行することにより、前記レンズの駆動制御やAF枠制御等の各種の制御処理を行うようになされている。
そこで、マイコン112は、ズームスイッチ131のスイッチ状態に応じて、モータドライバ(以下、ズームモータドライバと言う)118に対して変倍レンズ102の駆動命令を供給することにより、変倍レンズ102用のモータ(以下、ズームモータと言う)117を駆動する。
ここで、ズームモータ117は、例えば、ステッピングモータからなり、マイコン112は、ズームモータ制御プログラム116を実行することにより、ズームモータ117の駆動速度を決定して、その決定した駆動速度をモータの回転周波数信号としてズームモータドライバ118に供給する。
また、マイコン112は、ズームモータ117の駆動/停止信号、及び回転方向命令信号をズームモータドライバ118に供給する。
この駆動/停止信号、及び回転方向命令信号は、ズームスイッチ131のスイッチ状態に応じたものであり、ズームモータドライバ118は、マイコン112からの回転方向命令信号に応じて、4相のモータ励磁相の位相を順回転及び逆回転の位相に設定し、且つマイコン112からの駆動/停止信号に応じて、4相のモータ励磁相の印加電圧又は電流を変化させながらズームモータ117に対して出力する。
これにより、ズームモータ117の回転方向と回転周波数が制御されつつ、前記駆動/停止信号に応じて、ズームモータドライバ118からズームモータ117への出力がON/OFFされる。
また、フォーカスレンズ105の位置は、位置エンコーダ127により検出され、その検出結果は、増幅回路120で適切なゲイン調節が行われて、比較回路121に供給される。
このとき、比較回路121には、フォーカスレンズ105を目標位置に移動させるための目標信号がマイコン112から供給される。
比較回路121は、増幅回路120からの信号と、マイコン112からの目標信号とを比較し、2つの信号の差分に相当する偏差信号を生成して積分回路122に供給する。
積分回路122は、比較回路121からの偏差信号に積分処理を行って、その積分結果を加算回路124に供給する。
このとき、加算回路124には、位置エンコーダ127の検出結果が微分回路123で微分された結果、すなわちフォーカスレンズ105の現在の駆動速度情報が供給されている。
加算回路124は、積分回路122の積分結果と、微分回路123の微分結果とを加算して、その加算結果をモータドライバ125に供給する。
モータドライバ125は、加算回路124からの加算結果に応じた電流をモータ126に印加する。
モータ126は、例えば、ムービングコイルタイプのボイスコイルモータのようなリニアモータからなり、上記図17(a)及び(b)に示したような移動機構により、フォーカスレンズ105を駆動するようになされている。
すなわち、モータ(モータコイル)126の片側には基準電圧が印加されており、モータドライバ125は、モータコイル126の反対側(基準電圧が印加されていない側)に、基準電圧に対して正又は負となる電圧を印加することにより、モータコイル126に流れる電流の極性を切り換えることで、フォーカスレンズ105の移動方向を変更し、また、モータコイル126に印加する電圧のレベルを変化させることで、フォーカスレンズ105の駆動量を変更する。
上述のようにしてループ制御を行うが、微分回路123により、フォーカスレンズ105の駆動速度(微分回路123の微分結果)をフィードバックしているのは、ループ制御系を安定させる為である。また、フォーカスレンズ105の急激な移動を抑制することで、自然な撮影映像を得ると共に、フォーカスレンズ105が移動範囲を超えて撮像装置100のメカ部材に衝突することを防ぐ為である。
また、マイコン112から比較回路121に供給される目標信号は、例えば、フォーカスレンズ105の位置に対して出力する目標信号のレベルの相関が予め与えられており、その相関関係をマイコン112内部にデータテーブルとして記憶し、移動させたい位置に対して前記データテーブルを参照することにより、生成されるようになされている。
つぎに、AFモード時のフォーカスレンズ105の駆動制御について説明する。
この撮像装置100は、山登り動作等の定常的なフォーカスレンズ105の移動動作に本発明を適用しており、AFモード時にフォーカスレンズ105の平均移動速度が所定速度となるように、フォーカスレンズ105の駆動用のモータコイル126、すなわちリニアモータを駆動するようになされている。
そこで、例えば、フォーカス制御プログラム119には、上述した図24のフローチャートに従った処理プログラムが含まれており、この処理プログラムはマイコン112により実行されるようになされているが、ここでは、前記フローチャートのステップS1304(山登り動作)及びステップS1306(山頂に戻す動作)の処理内容が、従来と大きく異なっている。
図2は、ここでのステップS1304の処理を具体的に示したフローチャートであり、ここでのステップS1306の処理は、上記図2のフローチャートに従ったステップS1304と同様に処理である。
図3は、マイコン112から比較回路121に供給される目標信号を生成する処理を示したフローチャートである。
尚、前記ステップS1304及びステップS1306前後の処理ステップについては、既に述べたとおりであるため、その詳細な説明は省略する。
先ず、上記図2に示すように、現在のフォーカスレンズ105の位置でのAF評価信号(焦点電圧信号)を取り込み(ステップS1401)、取り込んだAF評価信号の信号レベルがしきい値Aより大きいか否かを判別する(ステップS1402)。
ステップS1402の判別結果より、前記AF評価信号の信号レベルがしきい値Aより大きい場合、前記AF評価信号の信号レベルがしきい値Bより大きいか否かを判別する(ステップS1403)。
ステップS1403の判別結果より、前記AF評価信号の信号レベルがしきい値Bより大きい場合、すなわち前記AF評価信号の信号レベルがしきい値A及びBより大きい場合、山の頂上付近でほぼ合焦状態(小ボケ)であると認識して、後述するステップS1404の処理を行う。
また、ステップS1403の判別結果より、前記AF評価信号の信号レベルがしきい値Bより大きくない場合、すなわち前記AF評価信号の信号レベルがしきい値Aよりは大きいがBよりは小さい場合、山の中腹で中ボケ状態であると認識して、後述するステップS1405の処理を行う。
また、ステップS1402の判別結果より、前記AF評価信号の信号レベルがしきい値Aより大きくない場合、現在のフォーカスレンズ105の位置が山のすそ野で大ボケ状態であると認識して、後述するステップS1406の処理を行う。
ここで、上述した山登り動作としては、山のすそ野付近では、出来るだけ速くフォーカスレンズ105の位置が移動するように、フォーカスレンズ105の移動速度を制御するのが望ましい。
尚、この場合、撮影画面は、ボケ状態にあり、フォーカスレンズ105の移動は目に見えない。
また、山頂に近づくに従って、フォーカスレンズ105の動きが撮影画面に現れないように、移動速度が減速されるように、フォーカスレンズ105の移動速度を制御するのが望ましい。
ステップS1402及びステップS1403の判別結果により、大ボケ状態の場合には、フォーカスレンズ105の単位時間当たりの移動速度Vfを、応答可能な最高速度Vfmaxとし(ステップS1406)、中ボケ状態の場合には、前記移動速度Vfを、Vfmax/2とし(ステップS1405)、小ボケ状態の場合には、前記移動速度Vfを、Vfmax/4とする(ステップS1404)。
上述のような各ステップの処理終了後、上記図24のステップS1305又はステップS1307に進み、山を乗り越えるか、又は山頂上に戻るまで、上記図2のステップS1401〜ステップS1406の処理が繰り返し行われ、これにより、AF評価信号の信号レベルに応じたフォーカスレンズ105の速度制御が行われる。
また、上記図2のフローチャートに従った処理が行われる中、フォーカスレンズ105の位置の更新は、上記図3のフローチャートに従った処理により行われる。
ここで、上記図3の処理は、例えば、上記図2の処理が単位時間当たり60回(NTSC方式の場合)、垂直同期期間に同期して行われるのに対して、上記図2の処理サイクルより速い処理サイクルで単位時間にn回行われるものとする。
先ず、本処理が開始されると(ステップS1407)、本処理1回当たりのフォーカスレンズ105の移動量ΔFを算出する(ステップS1408)。
この移動量ΔFは、上記図2の処理で得られた単位時間当たりのフォーカスレンズ105の移動速度Vfを用いて、
ΔF=Vf/n・・・(9)
なる式(9)により算出する。
次に、現在のフォーカスレンズ105の位置をF0として、移動させるべき目標位置Fxを、
Fx=F0±ΔF・・・(10)
なる式(10)により算出する(ステップS1409)。
ここで、上記式(10)における符号「±」は、至近方向への駆動では「+」、無限方向への駆動では「−」としている。この移動させるべき駆動方向は、上記図24のフローチャートに従った処理におけるウォブリング動作の結果や山の頂点に戻すべき方向から得る。
したがって、ステップS1409で得られた目標位置Fxに相当する駆動電圧信号がマイコン112から比較回路121に供給することにより、フィードバックループ構成によって、フォーカスレンズ105の移動がなされる。
上述のようなステップS1407〜ステップS1409の処理を繰り返し行うことにより、1回当たりのフォーカスレンズ105の移動速度は、フィードバックループ特性により決定される移動速度となるが、例えば、1垂直同期期間単位の平均移動速度は、上記図2の処理により得られる移動速度Vfに相当することとなる。
したがって、フォーカスレンズ105の駆動用のモータ126としてリニアモータを用いた場合でも、擬似的なフォーカスレンズ105の速度制御が行われることとなり、円滑な焦点調節動作を行うことができる。
つぎに、第2の実施の形態について説明する。
上述した第1の実施の形態では、上記図1の撮像装置100において、山登り動作等の定常的なフォーカスレンズ105の移動動作に本発明を適用させた例について述べたが、この第2の実施の形態では、上記図1の撮像装置100において、フォーカスレンズ105の移動量、すなわちウォブリング動作における振幅に相当する移動量が決まっている場合のウォブリング動作に本発明を適用させた例について説明する。
まず、上述した第1の実施の形態と同様に、例えば、フォーカス制御プログラム119には、上述した図24のフローチャートに従った処理プログラムが含まれており、この処理プログラムはマイコン112により実行されるようになされているが、ここでは、前記フローチャートのステップS1302の処理内容が、従来と大きく異なっている。
図4は、ここでのステップS1302の処理を具体的に示したフローチャートである。
また、図5は、ウォブリング動作時のフォーカスレンズ105の位置制御処理を示したフローチャートであり、このフローチャートに従った処理プログラムも、フォーカス制御プログラム119に含まれており、マイコン112により実行されるようになされている。
ここで、上記図4及び図5を用いて、この第2の実施の形態におけるウォブリング動作について説明する前に、図6を用いて、ウォブリング動作とその振幅について説明する。
上記図6は、任意の被写体に対してフォーカスレンズ105を無限から至近まで移動させたときに得られるAF評価信号の信号レベルの変化の様子1701を示したものである。
この図6において、横軸はフォーカスレンズ105の位置を示し、縦軸はAF評価信号の信号レベルを示している。
また、合焦点は、AF評価信号の信号レベルが最大レベルとなる点1702であり、常にAF評価信号の信号レベルが最大レベルとなるように、フォーカスレンズ105の位置が制御されるようになされている。
尚、AF評価信号の信号レベルが最大レベルとなる点1702でのフォーカスレンズ105の位置は、合焦位置1708となる。
そこで、合焦点が至近方向又は無限方向の何れかに存在するのかを判別する際に行うのがウォブリング動作である。
すなわち、ウォブリング動作は、フォーカスレンズ105を微小駆動しながら、AF評価信号を取り込むことにより、現在、合焦状態にあるのか、或いは、ボケでいるのか、さらにボケている場合には、前ピン又は後ピンの何れなのかを判別するための動作である。
例えば、現在のフォーカスレンズ105の位置が合焦点に対して無限側にある場合(位置1709)、ウォブリング動作を実行し、至近方向からフォーカスレンズ105の微小駆動を行うと、すなわち1703に示すように、フォーカスレンズ105の位置を移動させると(時間軸は紙面に対して上から下方向)、その時得られるAF評価信号は、1704のようになる。
一方、現在のフォーカスレンズ105の位置が合焦点に対して至近側にある場合(位置1710)、1705に示すように、フォーカスレンズ105を微小駆動させると、その時得られるAF評価信号は、1706のようになる。
したがって、1704と1706の各状態では位相が逆となるため、この位相を判別することにより、合焦点が存在するフォーカスレンズ105の移動方向を認識することができる。
また、1701の山の頂上で、1711に示すように、フォーカスレンズ105の微小駆動を行うと、その時得られるAF評価信号の振幅は、1712に示すように小さくなり、その形状が異なるので、ボケているのか合焦しているのかを認識することができる。
ここで、合焦付近でのウォブリング動作では、フォーカスレンズ105を微小駆動させる駆動振幅量αによっては、ボケが生じてしまうため、AF評価信号の信号レベルが十分に得られる最低振幅量にする必要がある。
一方、1701の山のすそ野付近では、フォーカスレンズ105を微小駆動させても、方向判別するのに十分なAF評価信号の信号レベルが得られない場合があるため、フォーカスレンズ105の駆動振幅を大きめにするのが望ましい。
また、上述のようなウォブリング動作の速度も、ウォブリング動作が見えないように行うための重要なパラメータである。
具体的に説明すると、まず、被写体距離の異なる複数の被写体が撮影画面内に存在する場合、主となる被写体に合焦していても、他の被写体が小ボケ状態の場合がある。これは、特に、ワイド側に生じる。
このときの振幅を最小にして、被写界深度以内の振幅量にしても、小ボケ状態である被写体は、許容深度から外れているため、ウォブリング動作が見えてしまう。
特に、ウォブリング動作が高速で行われた場合、小ボケ状態の被写体のボケの変化も高速になるため、ウォブリング動作が極めて見えやすくなってしまう。
したがって、広角撮影等のように、複数の被写体が混在しやすく、また、どの被写体距離もある程度焦点が合って、AF評価信号の信号レベルが高くなる場合には、ウォブリング動作の速度を遅くして、微小駆動の周期を長くした方が品位の向上につながる。
尚、このとき、ウォブリング動作の周期の遅延に伴って、合焦方向の判別も遅れてしまうが、広角撮影等では、どの被写体もある程度は焦点が合って見えているため、高速ピント合わせの必要性はない。
上述のようなウォブリング動作を前提として、上記図4及び図5を用いて、この第2の実施の形態におけるウォブリング動作について説明する。
尚、上記図4のステップS1302前後の処理ステップについては、既に述べたとおりであるため、その詳細な説明は省略する。
先ず、上記図4に示すように、AF評価信号を取り込み(ステップS1501)、取り込んだAF評価信号の信号レベルがしきい値Aより大きいか否かを判別する(ステップS1502)。
ステップS1502の判別結果より、前記AF評価信号の信号レベルがしきい値Aより大きい場合、前記AF評価信号の信号レベルがしきい値Bより大きいか否かを判別する(ステップS1503)。
ステップS1503の判別結果より、前記AF評価信号の信号レベルがしきい値Bより大きい場合、すなわち前記AF評価信号の信号レベルがしきい値A及びBより大きい場合、山の頂上付近でほぼ合焦状態(小ボケ)であると認識して、後述するステップS1504の処理を行う。
また、ステップS1503の判別結果より、前記AF評価信号の信号レベルがしきい値Bより大きくない場合、すなわち前記AF評価信号の信号レベルがしきい値Aよりは大きいがBよりは小さい場合、山の中腹で中ボケ状態であると認識して、後述するステップS1505の処理を行う。
また、ステップS1502の判別結果より、前記AF評価信号の信号レベルがしきい値Aより大きくない場合、現在のフォーカスレンズ105の位置が山のすそ野で大ボケ状態であると認識して、後述するステップS1506の処理を行う。
ステップS1502及びステップS1503の判別結果により、大ボケ状態の場合には、フォーカスレンズ105の単位時間当たりの移動速度Vfを、応答可能な最高速度Vfmaxとし、ウォブリング動作用の振幅αを、絞り103の状態に応じた被写界深度δの2倍に相当する振幅とする(ステップS1506)。
尚、前記被写界深度δは、1δ分だけフォーカスレンズ105の位置を合焦点から移動しても、ボケが現れない値とする。
また、中ボケ状態の場合には、前記移動速度VfをVfmax/2とし、前記振幅αを前記被写界深度δとする(ステップS1505)。
また、小ボケ状態の場合には、前記移動速度VfをVfmax/4とし、前記振幅αを前記被写界深度δの半分に相当する振幅とする(ステップS1504)。
尚、ここでは、AF評価信号の信号レベルに応じて、速度設定を行ったが、焦点距離もパラメータとして加えて速度設定を行った方が、あらゆる被写体に対して最適化が行い易い。
上述のようなステップS1504、ステップS1505又はステップS1506の処理終了後、次に、今回のウォブリング動作が上記図24のステップS1307を経由してきたものか、又は上記図24のステップS1310を経由してきたものなのかを判別する(ステップS1507)。
ステップS1507の判別結果により、ステップS1307を経由してきたものであった場合のみ、すなわちAF評価信号の信号レベルが頂点に到達済みであった場合のみ、フォーカスレンズ105の移動速度Vfを半分にして(ステップS1508)、後述するステップS1509以降の処理を行う。
また、ステップS1507の判別結果により、ステップS1310を経由してきたものであった場合、すなわちAF評価信号の信号レベルが頂点に到達済みでなかった場合には、そのまま後述するステップS1509以降の処理を行う。
ステップS1509以降の処理は、上記図6を用いて説明した、フォーカスレンズ105を微小駆動させるための処理である。
先ず、現在のフォーカスレンズ105の位置F0に対して、ウォブリング動作の振幅量αだけ加算したフォーカスレンズ105の移動先F1を、
F1=F0+α・・・(11)
なる式(11)により算出する(ステップS1509)。
次に、フォーカスレンズ105を至近方向に駆動する(ステップS1510)。
次に、現在のフォーカスレンズ105の位置F0が、ステップS1509で算出された移動先F1に到達した否かを判別し(ステップS1511)、その判別結果により、移動先F1に到達していない場合には、ステップS1510に戻って、フォーカスレンズ105を至近方向に駆動する。
ステップS1511の判別結果により、現在のフォーカスレンズ105の位置F0が、ステップS1509で算出された移動先F1に到達していた場合、すなわちウォブリング動作の振幅量α分だけ駆動したら、その時のAF評価信号の信号レベルを至近方向の駆動のデータとして、マイコン112内部の図示していないメモリDnに格納し、次の無限方向のフォーカスレンズ105の移動先F1を、
F1=F0−2α・・・(12)
なる式(12)により算出する(ステップS1512)。
次に、フォーカスレンズ105を無限方向に駆動する(ステップS1513)。
次に、現在のフォーカスレンズ105の位置F0が、ステップS1512で設定された移動先F1に到達した否かを判別し(ステップS1514)、その判別結果により、移動先F1に到達していない場合には、ステップS1513に戻って、フォーカスレンズ105を無限方向に駆動する。
ステップS1514の判別結果により、現在のフォーカスレンズ105の位置F0が、ステップS1512で設定された移動先F1に到達していた場合、すなわちウォブリング動作の振幅量2α分だけ駆動していたら、その時のAF評価信号の信号レベルを無限方向の駆動のデータとして、マイコン112内部の図示していないメモリDfに格納し、ウォブリング動作開始前のフォーカスレンズ105の位置に戻すために、移動先F1を、
F1=F0+α・・・(13)
なる式(13)により算出し再設定する(ステップS1515)。
そして再び、フォーカスレンズ105を至近方向に駆動する(ステップS1516)。
次に、現在のフォーカスレンズ105の位置F0が、ステップS1515で算出された移動先F1に到達した否かを判別し(ステップS1517)、その判別結果により、移動先F1に到達していない場合には、ステップS1516に戻って、フォーカスレンズ105を至近方向に駆動する。
ステップS1517の判別結果により、現在のフォーカスレンズ105の位置F0が、ステップS1515で算出された移動先F1に到達していた場合、すなわちウォブリング動作の振幅量α分だけ駆動したら、その時のAF評価信号の信号レベルを初めのフォーカスレンズ105の位置データとして、マイコン112内部の図示していないメモリDcに格納し(ステップS1518)、本処理を終了して、上記図24のステップS1303に進む。
したがって、上記図24のステップS1303以降のステップでは、前記メモリDn、Df、Dcに格納された各AF評価信号の信号レベルに基づいて、山登り方向判別処理や合焦判別処理が行われることとなる。
また、上記図4のフローチャートに従った処理が行われる中、フォーカスレンズ105の位置の移動は、上記図5のフローチャートに従った処理により行われる。
この図5のフローチャートに従った処理は、上記図3のフローチャートに従った処理と同様に、例えば、上記図4の処理が単位時間当たり60回(NTSC方式の場合)、垂直同期期間に同期して行われるのに対して、上記図4の処理サイクルより速い処理サイクルで単位時間にn回行われるものである。
先ず、本処理が開始されると(ステップS1519)、移動させるべきフォーカスレンズ105の目標位置Fxが既に移動先F1に等しいか否かを判別する(ステップS1520)。
ステップS1520の判別結果により、目標位置Fxが移動先F1に等しい場合には、次の制御周期になるまで待機状態となる。
ステップS1520の判別結果により、目標位置Fxが移動先F1に等しくない場合には、本処理1回当たりのフォーカスレンズ105の移動量ΔFを算出する(ステップS1521)。
この移動量ΔFは、上記図4の処理で得られた単位時間当たりのフォーカスレンズ105の移動速度Vfを用いて、
ΔF=Vf/n・・・(14)
なる式(14)により算出する。
次に、現在のフォーカスレンズ105の位置をF0として、移動させるべき目標位置Fxを、
Fx=F0±ΔF・・・(15)
なる式(15)により算出する(ステップS1522)。
ここで、上記式(15)における符号「±」は、至近方向への駆動では「+」、無限方向への駆動では「−」としている。この移動させるべき駆動方向は、上記図4のフローチャートに従った処理から得る。
次に、ステップS1522で算出された目標位置Fxと、ウォブリング動作における振幅α分だけ微小駆動したフォーカスレンズ105の移動先F1との差分量の絶対値をとり、ぞの絶対値が、ステップS1521で算出された本処理1回当たりのフォーカスレンズ105の移動量ΔF以下であるか否かを判別する(ステップS1523)。
ステップS1524の判別結果により、前記絶対値が移動量ΔF以下であった場合、現在のフォーカスレンズ105の位置が移動先F1に十分に近づき、次回の処理では移動先F1を超えてしまうことを認識し、目標位置Fxを強制的に移動先F1として(ステップS1524)、ステップS1520の処理に戻り、次回の処理開始まで待機状態となる。
ステップS1524の判別結果により、前記絶対値が移動量ΔF以下でなかった場合、現在のフォーカスレンズ105の位置はまだ移動先F1と離れていることを認識し、所望の平均移動速度でフォーカスレンズ105を移動すべく、ステップS1520の処理に戻り、次回の処理開始まで待機状態となる。
したがって、上述のようなステップS1519〜ステップS1524の処理で得られた目標位置Fxに相当する駆動電圧信号が、マイコン112から比較回路121に供給されることにより、フォーカスレンズ105は、平均移動速度が移動先F1を保持しながら、移動駆動がなされる。
また、上記図4及び図5の処理を実行することにより、フォーカスレンズ105を所定量の移動距離分移動させる場合であっても、擬似的な速度制御を行うことが可能となるため、例えば、小絞り時等のフォーカスレンズ105の移動量が大振幅の場合であっても、徐々に近づきながら所定位置までのフォーカスレンズ105の移動が行え、所定位置に対する振動やオーバーシュートを抑制でき、精度良く、所定量のフォーカスレンズ105の移動を実現することも可能となる。
つぎに、第3の実施の形態について説明する。
この第3の実施の形態では、上記図1の撮像装置100において、ズーム動作に本発明を適用させた例について説明する。
まず、例えば、ズームモータ制御プログラム116には、図7のフローチャートに従った処理プログラムが含まれており、この処理プログラムはマイコン112により実行されるようになされている。
この図7の処理は、上述した図19の処理と同様の処理であるが、上記図19のステップS914及びステップS915の代わりに、ステップS1601〜ステップS1603の処理を組み込んだ処理としている。
また、上記図7の処理は、1垂直同期期間を制御サイクルとしたズーム動作の処理を実行するものであり、上述したような1垂直同期期間後の変倍レンズ102の位置を予測し、その予測した位置での焦点補正を行うように、フォーカスレンズ105の位置を制御するとした一例の処理である。
尚、上記図7のフローチャートにおいて、上記図19のフローチャートと同様の処理ステップには同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
一方、図8は、変倍レンズ102の移動に伴いコンペ動作を行うためのフォーカスレンズ105の駆動制御処理を示すフローチャートであり、このフローチャートに従った処理は、単位時間当たりn回処理が行われるような処理サイクルである。
さらに、例えば、このフローチャートに従った処理プログラムもズームモータ制御プログラム116に含まれており、マイコン112により実行されるようになされている。
先ず、上述したようにして、ステップS901〜ステップS912の各処理により、1垂直同期期間後に到達すべきフォーカスレンズ105の移動先Px'が決定される。
次に、上記図8の処理で使用するカウンタmをクリアする初期化処理を行い、現在のフォーカスレンズ105の位置Pxを、マイコン112内に設けられた図示していないメモリPx0に格納する(ステップS1601)。
次に、1垂直同期期間当たりのフォーカスレンズ105の移動量(Px'−Px)を垂直同期期間で除算し、単位時間当たりのコンペ速度Vfを算出する(ステップS1602)。
そして、ステップS904で設定されたズーム速度でズームモータ(ステッピングモータ)117を駆動することにより、変倍レンズ102を移動させながら(ステップS1603)、ステップS902に戻り、次の処理周期になるまで待機状態となる。
また、上述のような処理が行われる中、上記図8の処理が単位時間当たりにn回の処理周期で実行される。
すなわち、本処理が開始されると(ステップS1604)、上述したステップS1601でクリアされたカウンタmをインクリメントする(ステップS1605)。
そして、本処理1回当たりのフォーカスレンズ105の移動目標位置Fxを算出する(ステップS1606)。
この移動目標位置Fxは、1垂直同期期間後の合焦位置を算出したときに存在したフォーカスレンズ105の位置Px0を基準とし、その基準位置Px0に本処理1回当たりの移動量Vf/nを順次加算する算出法により得られる。
すなわち、移動目標位置Fは、
Fx=Px0+Vf×m/n・・・(16)
なる式(16)により算出される。
ここで、「n」は単位時間当たりの処理回数に相当し、カウンタmは上記図7の処理の処理サイクルである1垂直同期期間毎に初期化されるため、例えば、テレビジョン方式がNTSC方式であるカメラであった場合、このカウンタmの値は、
m=1,2,3,・・・,n/60
の値をとることになる。
したがって、m=n/60のとき、移動目標位置Fxは、
Fx=Px0+Vf/60=Px'
となり、1垂直同期期間後にはPx'の位置にフォーカスレンズ105が存在することになる。
上述のようにして、カウンタmを変数として基準位置Px0に加算する理由としては、ループ制御の特性により実際には、移動目標位置と実移動位置に誤差が生じるため、常に現在のフォーカスレンズ105の位置Pxに、上記図8の処理1回分のフォーカスレンズ105の移動量Vf/nを加算するように繰り返した場合、誤差が累積し、1垂直同期期間後のフォーカスレンズ105の到達位置がPx'からズレてしまう、という現象を防ぐためである。
したがって、上記式(16)により、移動目標位置Fxを決定すれば、例えば、前回の移動では実際のフォーカスレンズ105の位置が目標位置からズレてしまったとしても、今回算出される目標位置には、位置ズレの影響がないため、前回のズレを補正することが可能となる。
上述のような上記図7及び図8の処理を繰り返し行うことにより、1垂直同期期間後の合焦維持は勿論のこと、1垂直同期期間内の変倍レンズ102の移動中であっても、この移動に伴いフォーカスレンズ105は合焦を維持する平均コンペ速度で移動を継続することができるため、ボケの発生を防ぐことが可能となる。
つぎに、第4の実施の形態について説明する。
この第4の実施の形態では、上記図1の撮像装置100において、ズーム端到達時のボケ除去処理に本発明を適用させた例について説明する。
まず、例えば、ズームモータ制御プログラム116には、図9のフローチャートに従った処理プログラムが含まれており、この処理プログラムはマイコン112により実行されるようになされている。
この図9の処理は、上述した図19の処理と同様の処理であるが、ステップS2001〜ステップS2003をステップS906とステップS907間に組み込んだ処理としている。
また、上記図9の処理は、1垂直同期期間後の変倍レンズ102の移動予測位置がズーム端を越える場合に、変倍レンズ102の速度を調節して、1垂直同期期間後の変倍レンズ102の移動予測位置が丁度ズーム端に一致するようにした場合の一例の処理である。
尚、上記図9のフローチャートにおいて、上記図19のフローチャートと同様の処理ステップには同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
先ず、上述したようにして、ステップS906の処理により、1垂直同期期間後の変倍レンズ102の位置(移動予測位置)Zx'は、変倍レンズ102の速度をZsp(pps)として、上述した式(7)(Zx'=Zx±Zsp/垂直同期周波数)により得られる。
また、上記式(7)において、符号「±」は、ズームの移動方向によって各々、テレ方向ならば「+」、ワイド方向ならば「−」としている。
次に、ステップS906で得られた位置Zx'がテレ端のズーム位置Ztより大きいか否かを判別する。或いは、前記位置Zx'がワイド端のズーム位置Zwより小さいか否かを判別し(ステップS2001)、位置Zx'がテレ端のズーム位置Ztより大きい場合、或いは、位置Zx'がワイド端のズーム位置Zwより大きい場合のみ、後述するステップS2002及びステップS2003の処理を行う。
ステップS2001の判別結果により、位置Zx'がテレ端のズーム位置Ztより大きい場合、上記式(7)を、
Zsp=(Zt−Zx)×垂直同期周波数・・・(17)
なる式(17)に変形する。これにより、減速すべき変倍レンズ102の速度を認識して設定する。
或いは、ステップS2001の判別結果により、位置Zx'がワイド端のズーム位置Zwより大きい場合、上記式(7)を、
Zsp=(Zx−Zw)×垂直同期周波数・・・(18)
なる式(18)に変形する。これにより、減速すべき変倍レンズ102の速度を認識して設定する(ステップS2002)。
そして、変倍レンズ102の移動予測位置Zx'を、テレ端のズーム位置Zt又はワイド端のズーム位置Zwに再設定する(Zx'=Zt又はZx'=Zw)(ステップS2003)。
上述のように、変倍レンズ102の速度の再設定ルーチンをステップS2001〜ステップS2003として実行することにより、1垂直同期期間後の変倍レンズ102の到達位置をズーム端に一致させることが可能となり、フォーカスレンズ105の移動目標位置には、ズーム端での合焦位置が設定されることになるため、端到達と共に直ちに変倍レンズ102の移動が停止しても、フォーカスレンズ105の位置をズーム端位置に相当する合焦位置とすることができる。これにより、ボケが生じる不具合を防止することができる。
つぎに、第5の実施の形態について説明する。
上述した第4の実施の形態では、1垂直同期期間後の変倍レンズ102の移動予測位置がズーム端を越える場合、前記移動予測位置とズーム端位置が一致するように変倍レンズ102の速度を減速して、ボケの発生を抑制することについて説明したが、この第5の実施の形態では、上記図1の撮像装置100において、第4の実施の形態で説明した処理に加えて、さらに、変倍レンズ102の位置がズーム端に到達した瞬間に強制的にフォーカスレンズ105の位置を合焦位置に移動させ、ボケが生じる時間を削減し、また、計算誤差等の影響によるボケを除去するようにする。
そこで、例えば、ズームモータ制御プログラム116には、図10のフローチャートに従った処理プログラムが含まれており、また、AFプログラム113には、図11のフローチャートに従った処理プログラムが含まれており、これらの処理プログラムはマイコン112により実行されるようになされている。
上記図10の処理は、上述した図9の処理と同様の処理であるが、ステップS2101をステップS914とステップS915間に組み込んだ処理としている。
また、上記図11の処理は、上述した図22の処理と同様の処理であるが、ステップS2201〜ステップS2206をステップS1204、S1206とステップS1205、S1207、S1209間に組み込んだ処理としている。
尚、上記図10及び図11のフローチャートにおいて、上記図9及び図22のフローチャートと同様の処理ステップには同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
まず、この第5の実施の形態では、変倍レンズ102が端位置に到達して停止した際に、ズーム端位置でのフォーカスレンズ105の合焦位置を算出し、その算出した位置に強制的にフォーカスレンズ105を移動させるようにする。
このため、強制的なフォーカスレンズ105の移動中には、上記図10のステップS913で上述のようにして得られるPx'を移動目標位置とすることを禁止する必要がある。
そこで、上記図10に示すように、強制的なフォーカスレンズ105の移動中であるか否かを示す強制移動フラグの判別処理を行う(ステップS1201)。この判別処理の結果、強制的なフォーカスレンズ105の移動中であった場合には、次のステップS915のフォーカスレンズ105の目標位置の更新を行わずに、ステップS902に戻る。
ここで、前記強制移動フラグは、後述する図11の処理でフォーカスレンズ105の移動状態を示す値が設定され、変倍レンズ102の位置が端位置を越える方向に駆動指示が行われない限り、クリア(=「0」)が設定されるようになされている。
つぎに、フォーカスレンズ105の強制移動処理について説明すると、上記図11に示すように、先ず、本処理が開始されると(ステップS1201)、上記図10の処理で既に決定している変倍レンズ102の移動状態に応じて(ステップS1202)、変倍レンズ102が非駆動状態であるならば、変倍レンズ102の停止を再度設定して(ステップS1209)、次回の割り込み周期を設定して(ステップS1210)、本処理を終了する(ステップS1211)。
一方、変倍レンズ102が駆動状態であった場合、駆動すべき変倍レンズ102の駆動方向に応じて(ステップS1203)、テレ方向ならばステップS1204に進み、ワイド方向ならばステップS1206に進む。
ステップS1204では、変倍レンズ102が既にテレ端に到達済みであるか否かを判別する。
ステップS1204の判別結果により、変倍レンズ102が未だテレ端に至っていない場合には、上述した強制移動フラグをクリアして(ステップS2201)、ズームモータドライバ118に対して正回転方向の設定を行うと共に、変倍レンズ102の位置カウンタZxをインクリメントする(ステップS1205)。
一方、ステップS1206では、変倍レンズ102が既にワイド端に到達済みであるか否かを判別する。
ステップS1206の判別結果により、変倍レンズ102が未だワイド端に至っていない場合には、前記強制移動フラグをクリアして(ステップS2202)、ズームモータドライバ118に対して逆回転方向の設定を行うと共に、変倍レンズ102の位置カウンタZxを「1」減算する(ステップS1207)。
ステップS1205又はステップS1207の処理後、変倍レンズ102の駆動速度に対応した周波数信号をズームモータドライバ118に出力すべく、現在の周波数信号の論理を反転する(ステップS1208)。
ここで、この図11の処理は、駆動周波数に対応して割り込みがなされるため、ステップS1208で出力論理を逐次反転することにより、駆動周波数に対応したパルス列が生成され、ズームモータドライバ118は、このパルス列の論理の切り替わりと駆動方向設定状態に応じて、ズームモータ117(ステッピングモータ)の励磁相を制御する。この制御に伴って、変倍レンズ102が移動することとなる。
そして、このような変倍レンズ102の移動中、上記図10の処理を繰り返し行うに従って、変倍レンズ102の位置は、ズーム端に行き着くととなる。
そこで、変倍レンズ102が端位置に到達した場合、変倍レンズ102の移動を禁止すると共に、ズーム端位置における合焦位置までフォーカスレンズ105を強制的に高速移動させ、撮影者にボケを気づかせないようにする。
尚、ここでは、フォーカスレンズ105の駆動用として、上述したようにモータ126を高速駆動可能なリニアモータとしているため、これにより、変倍レンズ102の停止後、フォーカス系のループ特性で直ちに合焦に至れば、撮影者にはボケを気づかせないことが可能である。
すなわち、テレ方向に移動中、テレ端に到達した場合には、ステップS1204の判別結果が真となる。
この場合、フォーカスレンズ105の強制移動目標位置として、変倍レンズ102の位置がテレ端に存在する場合の合焦位置Px'を算出する(ステップS2203)。
この合焦位置Px'は、上述した式(8)を用いて、ズームエリアv'=s(上記図23のデータテーブルTBで「k=s」)として算出する。
一方、ワイド方向に移動中、ワイド端に到達した場合には、ステップS1206の判別結果が真となる。
この場合、フォーカスレンズ105の強制移動目標位置として、変倍レンズ102の位置がワイド端に存在する場合の合焦位置Px'を算出する(ステップS2204)。
この合焦位置Px'は、上述した式(8)を用いて、ズームエリアv'=0(上記図23のデータテーブルTBで「k=0」)として算出する。
ステップS2203又はステップS2204の処理後、強制移動フラグを「1」に設定し(ステップS2205)、フォーカスレンズ105の目標位置をステップS2203又はステップS2204で算出された合焦位置Px'に設定して(ステップS2206)、モータ126(リニアモータ)に駆動信号を出力する。
そして、変倍レンズ102の駆動状態を停止状態に設定して(ステップS1209)、次回の割り込み設定を行って(ステップS1210)、本処理を終了する(ステップS1211)。
尚、この第5の実施の形態では、上述した第4の実施の形態と同様にして、変倍レンズ102の動作停止は、変倍レンズ102の位置が可動範囲の端に到達することによりなされるとしたが、撮影者がズーム途中にズーム動作のためのキー操作等を中断することによりなされるようにしてもよい。
この場合、例えば、変倍レンズ102の駆動状態の切り替わりを検出し、その検出結果により駆動状態が駆動から停止に変化したら、変倍レンズ102の停止位置でのフォーカスレンズ105の合焦位置を算出し、その算出した位置をフォーカスレンズ105の強制移動目標値とする。
上述のことにより、変倍レンズ102及びフォーカスレンズ105の駆動用のアクチュエータとして、応答特性の異なるアクチュエータ、すなわちモータ117をステッピングモータとして、またモータ126をリニアモータとして用いた場合でも、それらのモータの何れか一方が停止しても、ボケを撮影者に気づかせない快適なズーム動作(ズーミング)を実現することが可能となる。
つぎに、第6の実施の形態について説明する。
この第6の実施の形態では、上記図1の撮像装置100において、フォーカスレンズ105の位置制御の周期を変倍レンズ102の位置制御の周期に対して短く設定することにより、変倍レンズ102の停止時には、フォーカスレンズ105の移動も直ちに停止するようにする。
まず、フォーカスレンズ105の停止時には、合焦状態を維持するために、微細な移動位置制御を行う必要がある。
すなわち、従来のように1垂直同期期間後の合焦状態を保持するだけでなく、1垂直同期期間内の任意の位置に変倍レンズ102が停止した場合でも、合焦状態を維持する必要がある。
ここで、上述したように、フォーカスレンズの駆動用のモータがステッピングモータである場合には、フォーカスレンズは、カム軌跡の傾斜に応じて最適なフォーカス追従速度で移動されるため、フォーカスレンズの位置の変化率は、カム軌跡の傾きに一致し、変倍レンズの任意の位置での合焦状態が保持できる。
これに対して、リニアモータ等の位置ループ制御している系では、フォーカスレンズの移動速度はループの応答特性により決定してしまうので、カム軌跡の傾きに応じた移動速度でフォーカスレンズの移動速度を制御することが困難となるが、フォーカスレンズが先行して目標合焦位置に到達した後、1垂直同期期間内で変倍レンズの位置が合焦方向に接近してくるため、ボケが生じる時間が短く、目に見えることはなかった。
しかしながら、任意の位置で変倍レンズが停止した場合には、変倍レンズの移動によるボケ抑制効果がなくなり、許容できなくなっていた。
そこで、この第6の実施の形態では、位置ループ制御している系であっても、細密な位置制御を行うことで、擬似的な速度制御を行い、ズーム性能の品位向上を図りつつ、同時に細密な位置制御に要する制御サイクル周波数を、ズーム制御サイクルの周波数より十分高くすることにより、ズーム端等によりズーム動作が中断した場合の不具合を解消するようにする。
例えば、上述した第3の実施の形態と同様に、ズームモータ制御プログラム116には、上記図7のフローチャートに従った処理プログラムが含まれており、この処理プログラムはマイコン112により実行されるようになされている。
一方、図12は、変倍レンズ102の移動に伴いコンペ動作を行うためのフォーカスレンズ105の駆動制御処理を示すフローチャートであり、上述した第3の実施の形態の説明で用いた図8の処理と同様の処理であるが、ステップS1605の前段にステップS2301を組み込んだ処理としている。
この図12の処理も、単位時間当たりn回処理が行われるような処理サイクルであり、例えば、このフローチャートに従った処理プログラムもズームモータ制御プログラム116に含まれており、マイコン112により実行されるようになされている。
尚、上記図7の処理については既に述べたとおりであるため、その詳細は省略する。
また、上記図12のフローチャートにおいて、上記図8のフローチャートと同様の処理ステップには同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
先ず、上述したようにして、ステップS901〜ステップS912の各処理により、1垂直同期期間後に到達すフォーカスレンズ105の移動先Px'が決定される。
次に、上記図12の処理で使用するカウンタmをクリアする初期化処理を行い、現在のフォーカスレンズ105の位置Pxを、マイコン112内に設けられた図示していないメモリPx0に格納する(ステップS1601)。
次に、1垂直同期期間当たりのフォーカスレンズ105の移動量(Px'−Px)を垂直同期期間で除算し、単位時間当たりのコンペ速度Vfを算出する(ステップS1602)。
そして、ステップS904で設定されたズーム速度でズームモータ(ステッピングモータ)117を駆動することにより、変倍レンズ102を移動させながら(ステップS1603)、ステップS902に戻り、次の処理周期になるまで待機状態となる。
また、上述のような処理が行われる中、上記図12の処理が単位時間当たりにn回の処理周期で実行される。
すなわち、本処理が開始されると(ステップS1604)、変倍レンズ102の駆動状態を判別する(ステップS2301)。
ステップS2301の判別結果により、変倍レンズ102が停止状態であった場合には、そのまま待機状態となる。
一方、ステップS2301の判別結果により、変倍レンズ102が駆動状態であった場合には、上述したステップS1601でクリアされたカウンタmをインクリメントする(ステップS1605)。
そして、本処理1回当たりのフォーカスレンズ105の移動目標位置Fxを算出する(ステップS1606)。
この移動目標位置Fxは、1垂直同期期間後のフォーカス合焦位置を算出したときに存在したフォーカスレンズ105の位置Px0を基準とし、その位置Px0に本処理1回当たりの移動量Vf/nを順次加算する算出法により得られる。
すなわち、移動目標位置Fxは、上述した式(16)(Fx=Px0+Vf×m/n)により算出される。
ここで、上述したように、「n」は単位時間当たりの処理回数に相当し、カウンタmは上記図7の処理の処理サイクルである1垂直同期期間毎に初期化されるため、例えば、テレビジョン方式がNTSC方式であるカメラであった場合、このカウンタmの値は、
m=1,2,3,・・・,n/60
の値をとることになる。
したがって、m=n/60のとき、移動目標位置Fxは、
Fx=Px0+Vf/60=Px'
となり、1垂直同期期間後にはPx'の位置にフォーカスレンズ105が存在することになる。
上述のようにして、カウンタmを変数として基準位置Px0に加算する理由としては、ループ制御の特性により実際には、移動目標位置と実移動位置に誤差が生じるため、常に現在のフォーカスレンズ105の位置Pxに、上記図8の処理1回分のフォーカスレンズ105の移動量Vf/nを加算するように繰り返した場合、誤差が累積し、1垂直同期期間後のフォーカスレンズ105の到達位置がPx'からズレてしまう、という現象を防ぐためである。
したがって、上記式(16)により、移動目標位置Fxを決定すれば、例えば、前回の移動では実際のフォーカスレンズ105の位置が目標位置からズレてしまったとしても、今回算出される目標位置には、位置ズレの影響がないため、前回のズレを補正することが可能となる。
上述のような図7及び図12の処理を繰り返し行うことにより、1垂直同期期間後の合焦維持は勿論のこと、1垂直同期期間内の変倍レンズ102の移動中であっても、この移動に伴いフォーカスレンズ105は合焦を維持する平均コンペ速度で移動を継続することができるため、ボケの発生を防ぐことが可能となる。
また、上記図12の処理サイクルを変倍レンズ102の最高速度Vzmaxより速くすることにより、例えば、Vzmaxの3倍程度のn=3kHzとすることにより、1回のズーム端判別を行うときに、1回上記図12の処理を行うことができるため、変倍レンズ102の停止と共に、フォーカスレンズ105の移動を停止させ、且つ合焦状態を維持することが可能となる。
したがって、ズーム端による変倍レンズ102の動作停止のみではなく、撮影者がキー操作等によりズーム動作を中断した場合であっても、ボケを生じることはない。
尚、上述したような処理はマイコン112で行われるため、高速処理によりマイコン112の負荷が重たくなるが、カム軌跡の特性から、望遠領域以外の焦点距離は、カム軌跡の傾斜が緩く、且つ被写体距離毎の軌跡は収束傾向にあるため、上記図12の処理サイクルを上記図22や上記図11に示したようなフォーカスレンズ105の位置制御処理の処理サイクルより遅くしても、ボケ量は極めて少ない。
したがって、マイコン112の負荷を考慮し、例えば、カム軌跡の傾斜が急峻なテレ端付近のみ、上記図12の処理サイクルを速くする等、焦点距離に応じて、上記図12の処理サイクルを最適に設定するのが望ましい。
また、上述した第1〜第6の実施の形態では、フォーカスレンズ105の駆動用のモータ126として、リニアモータを用いることとしたが、これに限らず、ステップモータ等の高速制御系であってもよい。