JP4833820B2 - 容量制御弁および容量可変型圧縮機並びに空気調和装置 - Google Patents

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Description

この発明は、容量可変型圧縮機に用いるのに適した容量制御弁および容量可変型圧縮機並びに容量可変型圧縮機を含む車載等に用いる空気調和装置に関するものである。
車載用空調装置などで使用される冷凍サイクル装置では、エンジン駆動の圧縮機として、斜板式の容量可変型圧縮機が多く使用されている。斜板式の容量可変型圧縮機は、斜板を収容したクランク室の内圧(クランク室圧力)に応じて吐出容量が定量的に変化する。すなわち、クランク室圧力の上昇に応じて斜板傾斜角が小さくなって吐出容量が低減し、これとは逆に、クランク室圧力の低減に応じて斜板傾斜角が大きくなって吐出容量が増大する。この吐出容量の制御は、吐出容量(吐出流量)を検出し、検出された吐出容量に応じてクランク室圧力を制御することにより、フィードバック補償式に行うことができる。
容量可変型圧縮機の吐出流路の上流側と下流側とに所定量離れた2位置の圧力差は、吐出流量に応じた圧力損失と正の相関性を示すから、この圧力差を感知して吐出容量に応じたクランク室の圧力制御を行う差圧応動式の容量制御弁がある。このような容量制御弁として例えば特開2006−112417号公報(特許文献1)に開示されたものがある。
この特許文献1のものは、可変容量圧縮機の吐出室に連通して吐出圧力Pdhの冷媒が導入されるポート(16)と、可変容量圧縮機の出口に連通して吐出圧力Pdlの冷媒を導出するポート(17)との間に弁座(19)と弁体(20)とを設け、これらによって第1の弁(11)を構成している。また、可変容量圧縮機の吐出室から吐出圧力Pdhの冷媒が導入される冷媒通路(23)と、可変容量圧縮機のクランク室に連通して制御された圧力Pcの冷媒がクランク室に向かって導出されるポート(25)とを有し、この冷媒通路(23)とポート(25)との間に形成された弁座(26)を弁体(27)で開閉するように、第2の弁(12)を構成している。また、第1の弁(11)の弁体(20)の動きをシャフト(29)を介して第2の弁(12)の弁体(27)に伝達する構成としている。
そして、可変容量圧縮機の運転時に、第1の弁(11)の吐出圧力Pdhと吐出圧力Pdlとの差圧により、第1の弁(11)が開状態となるとともに、この第1の弁(11)の弁体(20)がシャフト(29)を介して第2の弁(12)の弁体(27)を開弁方向に付勢し、吐出圧力Pdhと吐出圧力Pdlとの差圧が所定値に達すると、スプリング等の付勢力の釣り合いにより第2の弁(12)の開度が制御され、所定の圧力Pcがクランク室に供給されて、可変容量圧縮機の容量が制御される。
特開平2006−112417号公報
ところで、特許文献1の容量可変型圧縮機用の容量制御弁では、その段落[0023]及び[0024]に記載されているように、シャフト(29)で構成される第3の弁(13)が、閉弁状態を維持することにより、高圧に維持された吐出圧力Pdlがこれよりも低くなった第2の弁(12)の上流側にクリアランスを介して漏れることがなくなり、自動車用空調装置の運転停止前の吐出圧力Pdlを維持することができ、その後に、自動車用空調装置が運転を再開したときに、最初からその吐出圧力Pdlまで圧縮する必要がないので、可変容量圧縮機の効率がよくなるという効果がある。
しかしながら、この特許文献1のものでは、運転停止前の吐出圧力Pdlを維持するための逆止弁を第1の弁(11)の弁体(20)自体で構成している。すなわち、吐出圧力Pdhを感圧する部材(受圧板)と逆止弁とが一体構造となっている。このため、シャフト(29)からなる第3の弁のように、内部漏れをなくすための細工が必要であり、構造が複雑で作動信頼性の点で改良の余地がある。またコストアップとなっていた。
また、受圧板と逆止弁が一体であることにより、主弁(第2の弁)の制御域におけるリフト変化によってPdHからPdlへの通路流路面積が変化する構造だったため、流量変化に対する発生差圧(発生荷重)が不安定となり、安定的な流量制御ができないという問題があった。
また、受圧板と逆止弁が一体であることから、逆止弁のバネ荷重が主弁に作用してしまうことにより、駆動部である例えばソレノイドへの印加電流の増加やコイルの体格を大きくする必要があった。
本発明は、容量可変型圧縮機の吐出冷媒流によって受圧板で発生する荷重を感知して吐出容量に応じたクランク室の圧力制御を行う容量制御弁において、簡単な構成で作動信頼性を高め、コストダウン、小型化または省電力化を図ることを課題とする。
請求項1の容量制御弁は、弁ハウジング内に弁室が形成され、該弁室内を感知流体が流れるよう該弁室に感知流体の入口ポートと出口ポートとが開口し、更に該弁室に被制御流体の出口ポートと連通する弁ポートが開口し、前記弁室内に、弁リフト方向の移動によって前記弁ポートの開度を変化させる弁体と、前記弁室を流れる感知流体流に応動して変位し前記弁体を弁リフト方向に移動させる受圧板とが配置されており、前記受圧板は、前記弁室を流れる感知流体の当該受圧板の上流側の圧力と下流側の圧力との差圧の影響を受けて前記弁体を弁開方向に移動させる方向に変位する構造により、前記被制御流体の流量を制御する容量制御弁であって、前記弁室内に前記感知流体の入口ポートと前記出口ポートとの間に配設された弁座と、該弁座に対して該出口ポート側から着座及び離間可能に配設された逆止弁とを備え、前記受圧板と前記逆止弁とを互いに独立に設けるようにしたことを特徴とする。
請求項2の容量制御弁は、請求項1に記載の容量制御弁であって、前記逆止弁は、フラットなドーナツ状円盤であることを特徴とする。
請求項3の容量制御弁は、請求項1または2に記載の容量制御弁であって、前記逆止弁は前記受圧板の下流側の区画された空間に配置されていることを特徴とする。
請求項4の容量制御弁は、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の容量制御弁であって、前記弁ハウジングには前記弁室と導通された均圧室が形成され、前記弁体を電磁力によって弁閉方向に付勢する電磁手段を有し、前記電磁手段は、プランジャと、前記プランジャを収容するプランジャ室と、前記プランジャ室よりも前記弁体側に固定配置された吸引子とを有し、前記吸引子には、一端にて前記弁室に開口し、他端にて前記プランジャ室に開口する中心孔が貫通形成され、当該中心孔に、この中心孔の内径よりも小さい外径で形成された前記弁体の弁棒が挿通されており、前記弁棒の一端は前記プランジャに接続され、前記弁棒の他端は前記弁ポートを開閉する弁体を構成するとともに、前記均圧室に位置しており、前記逆止弁が着座する弁座は中心に円筒部を有し、該円筒部の内側を前記弁棒が非摺動で貫通し、該円筒部と弁棒との間隙が前記プランジャ室と前記弁室との均圧通路となっていることを特徴とする。
請求項5の容量可変型圧縮機は、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の容量制御弁を備えるとともに、クランク室圧力に応じて吐出容量が定量的に変化する容量可変型圧縮機であって、前記感知流体の入口ポートが、当該容量可変型圧縮機の吐出流路の上流側に接続され、前記感知流体の出口ポートが前記吐出流路の下流側に接続され、前記弁ポートが前記クランク室に接続され、該クランク室に流入する冷媒を前記被制御流体として該冷媒の流量を制御することを特徴とする。
請求項6の空気調和装置は、請求項5に記載の容量可変型圧縮機を冷凍サイクルに備えたことを特徴とする。
請求項1の容量制御弁によれば、逆止弁が受圧板とは別体であり、それぞれ独立して別々に弁が動作するので、次にような効果が得られる。逆止弁が受圧板と別体であり、この逆止弁と本体内の主弁(弁体)とは、上部弁室と下部弁室のように別の区画室に配置されているため、逆止弁部以外の所からの内部逆流漏れがなくなるとともに、従来例のような別部材(第3の弁)を必要とせず、簡単な構成で作動信頼性が得られる。
逆止弁が受圧板と別体であり、主弁(弁体)を複雑な形状にする必要がなく、通過流路面積一定となり、複雑な形状の弁体に比べて、安定的な流量制御(容量制御)が可能となる。
逆止弁が受圧板と別体であるため、主弁(弁体)が逆止弁のバネ荷重の影響を受けることがないので、受圧板と逆止弁とが一体であるものに比べて、コイルの磁力を大きくする必要がなく、また、吸引力が少なくて済むことからコイルの小型化あるいは省電力化が可能となる。
請求項2の容量制御弁によれば、請求項1の効果に加えて、逆止弁はフラットなドーナツ状円盤であり、簡単な構造とすることができる。
請求項3の容量制御弁によれば、請求項1または2の効果に加えて、逆止弁は受圧板の下流側の区画された空間に配置されているので、主弁の動作と確実に独立した動作が可能となる。
請求項4の容量制御弁によれば、請求項1乃至3のいずれか一項の効果に加えて、弁棒とプランジャとの連結体の圧力バランスを取ってプランジャ室34が高圧化に対してもバルブ特性の影響を防止するために、簡単な構造で均圧化を図ることができる。
請求項5の容量可変型圧縮機、または請求項6の空気調和装置によれば、請求項1乃至4と同様な効果が得られる。
次に、本発明の容量制御弁及び空気調和装置の実施形態を図面を参照して説明する。図1は実施形態の容量制御弁10の断面図、図2は同容量制御弁10における逆止弁と弁座の斜視図であり、図1は当該容量制御弁10を搭載した空気調和装置の停止状態に対応する「フルアンロード時」の状態を示している。
容量制御弁10の本体をなすハウジング11は略カップ形状をなし、このハウジング11の上部開口部には電磁コイル装置30の吸引子31がかしめ等で締結されている。また、ハウジング11の内部には図2に示す弁座部材1が配設されている。弁座部材1は円盤状の弁座1aとその中央に形成された円筒部1bとで構成されており、弁座1aがハウジング11内に圧入されるとともに円筒部1bは電磁コイル装置30の吸引子31の下端部に圧入されている。そして、この弁座部材1はハウジング11内に上部弁室12Aと下部弁室12Bを形成している。なお、上記弁座1a及び円筒部1bの圧入は気密性を確保するためである。
弁座1aには、その外周近傍にリング状のシート部1a11と円筒部1b側にリング状のシート部1a12がそれぞれ形成されるとともに、両シート部1a11,1a12の間に円筒部1bを囲うように複数の弁ポート1a2,1a2,…が形成されている。また、弁座1aの上には、ドーナツ状円盤の形状をした逆止弁2が円筒部1bに嵌合して該円筒部1bをガイドとして移動可能に配設されている。そして、この逆止弁2は吸引子31の下部に配設された付勢バネ3により弁座1a上にそのシート部1a11,1a12に密着するように付勢されている。
弁ハウジング11には、下部弁室12Bの下部に開口する感知流体入口ポート13と、上部弁室12Aに開口する感知流体出口ポート14とが各々形成されており、感知流体入口ポート13より下部弁室12Bには流入した感知流体は、下部弁室12B内を下側から上側に流れ、逆止弁2が開状態のときこの弁ポート1a2を介して上部弁室12Aの感知流体出口ポート14より上部弁室12A外に流出する。また、弁ハウジング11には、下部弁室12Bの下底部に開口する弁ポート16と、この弁ポート16と連通する被制御流体出口ポート15とが各々形成されている。下部弁室12Bには弁棒20がその軸線方向に移動可能に設けられ、弁棒20は中間部に弁体21を一体形成されている。弁体21は、下部弁室12B内にあって、弁リフト方向(上下方向)の移動によって弁ポート16の開度を増減する。
弁棒20にはフランジ状の受圧板22が装着されている。受圧板22は、下部弁室12B内で内周壁との間に充分な間隙23を作る外径とされ、下部弁室12Bを流れる感知流体の流れを阻害せず、専ら下部弁室12Bを流れる感知流体流の流れ方向における、受圧板22の上流側の感知流体と下流側の感知流体との差圧に応動して、弁リフト方向に荷重を受けて変位する。すなわち、受圧板22は、下部弁室12B内を流れる感知流体流の上流側(受圧板22より上流側)の感知流体と下流側(受圧板22より下流側)の感知流体との差圧の影響を受けて、下部弁室12Bを流れる感知流体の流量に相関した荷重を得て上昇変位する。なお、間隙23の大きさ(流路断面積)は、システムとして必要とされる最大流量を最低限確保できる大きさに設定されればよい。
この受圧板22の変位によって弁体21が弁リフト方向に移動する。これにより、弁体21は、受圧板22に作用する差圧の増加、すなわち、下部弁室12Bを流れる感知流体の流量の増加に応じて弁開方向に移動する。なお、受圧板22はバネ受けを兼ねており、受圧板22と下部弁室12Bの下底面部との間に補助バネ24が取り付けられている。補助バネ24は、受圧板22を弁棒20に係止された係止リング25に押し付け、弁棒20を弁体21の、弁開方向に付勢している。
電磁コイル装置30は、弁ハウジング11に結合された吸引子31と、吸引子31の上部に固定されたケース32と、ケース32の上端に取り付けられたコイルガイド33と、ケース32の内側のプランジャ室34内に軸線方向に移動可能に設けられたプランジャ35と、ケース32の外側に取り付けられたボビン36および巻線部37と、下板38によって吸引子31の外側に取り付けられた外凾39とを有する。吸引子31には下弁室12Bとプランジャ室34を導通する中心孔40が貫通形成されている。
中心孔40内には前記弁体21を持つ弁棒20が該中心孔40の内周面に非接触状態で挿通されている。弁棒20の上端側は、プランジャ室34内に進入しており、固定部41によってプランジャ35と固定連結されている。弁棒20は、非磁性材により構成されており、プランジャロッドを兼ねている。そして、電磁コイル装置30は、巻線部37に通電されることにより吸引子31にプランジャ35を磁気的に吸引し、弁棒20(弁体21)を弁閉方向(下向き)に付勢する。なお、弁棒20の上端20Aは、固定部41より更にコイルガイド33の側に突出しており、全開時にコイルガイド33に当ることによりプランジャ35がコイルガイド33に磁気的に吸着されることを防いでいる。
中心孔40の内径は弁棒20の外径より十分に大きく、弁棒20は中心孔40の内周面に非接触状態となっているので、弁棒20の外周面と中心孔40の内周面との間に十分な空隙42が形成され、この空隙42によって下弁室12Bとプランジャ室34とが同圧に保たれるようになる。なお、ここで、圧力的に区画されないと云うことは、空隙42が、弁室12とプランジャ室34との間で、実質的な絞り部にならないことを意味する。これにより、プランジャ室34の内圧は、下弁室12Bの内圧、詳細には、受圧板22より下流側の感知流体の圧力に概ね等しくなる。なお、プランジャ35には、プランジャ室34の全領域を均一な圧力に保つために、均圧孔43が貫通形成されている。
弁ハウジング11の下端部には、均圧室26が形成されるとともに、この均圧室26と前記被制御流体出口ポート15とを導通する弁棒支持孔27が、弁ポート16と同心に貫通形成されている。弁棒20の下側部分は、弁ポート16を遊嵌合状態で貫通し、被制御流体出口ポート15を横切って延在して弁棒支持孔27に軸線方向に摺動可能に嵌合している。弁棒20の下端(他端)20Bは、弁棒支持孔27を貫通して均圧室26内に位置している。
均圧室26の下端には調整板28が取り付けられている。また、弁棒20の下端20Bにはバネ受け29が係合しており、バネ受け29と調整板28との間に圧縮コイルバネによる設定バネ51が取り付けられている。設定バネ51は弁棒20(弁体21)を弁開方向に付勢し、電磁コイル装置30に対する通電時の制御流量の設定値を決める働きをする。また、均圧室26には下部弁室12Bに導通する導通路26aが形成されており、この導通路26aによって下部弁室12Bの内圧が導入される。すなわち、下部弁室12B及びプランジャ室34の内圧に実質的に等しい圧力が導入されることにより、弁棒20とプランジャ35との連結体の圧力バランスが取られ、プランジャ室34が高圧化しても、バルブ特性がこの影響を受けることがない。また、調整板28にも外部通路28aが形成されている。
以上の構成により、後述のようにこの容量制御弁10を容量可変型圧縮機に組み込んで、空気調和装置を構成した状態では、感知流体入口ポート13から圧縮機からの吐出圧力PdHの吐出冷媒が流入され、感知流体出口ポート14から吐出圧力PdLの吐出流体が凝縮器に吐出される。また、弁ポート16と連通する被制御流体出口ポート15からの圧力Pcの冷媒が圧縮機のクランク室に導出される。
そして、図1の状態では、電磁コイル装置30は非通電状態であり、弁体21が弁ポート16から離間して、弁体21が弁ポート16を開いた「Pc弁全開」の状態となる。これにより、圧縮機のクランク室の圧力が上昇し、傾斜板の傾斜角度が減少して圧縮機から感知流体入口ポート13に吐出される吐出流体容量が減少する。したがって、PdM−PdL(差圧)が小さくなり、付勢バネ3の反力が勝って逆止弁2が弁座1aに着座して弁ポート1a2を閉じ、「逆止弁閉」の状態となる。この逆止弁2のみによる「逆止弁閉」により、空気調和装置の運転停止前の吐出圧力PdLを維持することができ、その後に、運転を再開したときに最初から吐出圧力PdLまで圧縮する必要がなく、可変容量圧縮機の効率がよくなる。また、逆止弁2以外の所から内部逆流漏れ(PdL→PdH)がない。
一方、図3は電磁コイル装置30が通常通電の状態(「フルロード時」)であり、プランじゃ35が吸引子31に吸引され、弁体21が弁ポート16を閉じた「Pc弁全閉」の状態となる。これにより、圧縮機のクランク室の圧力が減少し、傾斜板の傾斜角度が増大して圧縮機から感知流体入口ポート13に吐出される吐出流体容量が増大する。したがって、PdM−PdL(差圧)が大きくなり、付勢バネ3の反力にうち勝って逆止弁2が弁座1aから離間して弁ポート1a2が開き、「逆止弁開」の状態となる。
また、図4は電磁コイル装置30に低電流通電の状態(「アンロード時」)であり、弁体21による弁ポート16の開度に応じて、圧縮機のクランク室の圧力が増減して傾斜板の傾斜角度が減増する。さらに、感知流体入口ポート13に吐出される吐出流体容量が減増する。これにより、受圧板22が感知する差圧によって、弁ポート16の開度が増減し、出口ポート15から圧縮機のクランク室に導出される冷媒の圧力Pcの圧力制御が行われる。この状態であってもPdM−PdL(差圧)による力が付勢バネ3の反力より大きくしてあるので逆止弁2は「開」の状態となる。
図5は実施形態の容量制御弁10を斜板式の容量可変型圧縮機に組み込んだ車載用の空気調和装置の実施形態を示している。この空気調和装置は、容量可変型圧縮機150と、凝縮器191と、膨張手段192と、蒸発器193と、これらをループ接続する冷媒通路194〜197とを有し、容量可変型圧縮機150、凝縮器191、膨張手段192、蒸発器193は冷凍サイクルを構成している。
容量可変型圧縮機150は、斜板151の傾斜角によって移動ストロークが決まるピストン152を有し、吸入通路153よりコンプレッサ室155に冷媒等の流体を吸入し、コンプレッサ室155より吐出流体入口通路(吐出通路)157に流体を吐出する。容量可変型圧縮機150の吐出容量は、斜板151の傾斜角の増大に応じて増加し、斜板151の傾斜角の低減に応じて減少する。斜板151はクランク室158内にあって回転軸159に連結され、回転軸159はプーリ160によって回転駆動される。斜板151は、クランク室158の圧力、すなわち、クランク室圧力Pcの上昇に応じて傾斜角を減少し、クランク室圧力Pcの低減に応じて傾斜角を増大する。
圧縮機ボディ161には、吸入通路153、吐出流体入口通路(吐出通路)157、及び、クランク室圧力Pcを吸入圧Psに抽出する吸入圧通路162(抽気通路)が形成されている。また、圧縮機ボディ161には弁装着用ボアー163が形成され、この弁装着用ボアー163に容量制御弁10が挿入装着され、止めリング164によって抜け止めされている。
圧縮機ボディ161には、容量制御弁10の感知流体入口ポート13にコンプレッサ室155より吐出流体を導く前述の吐出流体入口通路157と、容量制御弁10の感知流体出口ポート14より吐出流体を取り出す吐出流体出口通路165と、容量制御弁10の被制御流体出口ポート15とクランク室158とを連通するクランク室通路166が形成されている。
以上の構成により、この容量可変型圧縮機150では、コンプレッサ室155より吐出される流体(冷媒)が吐出流体入口通路157より容量制御弁10の感知流体入口ポート13へ流れ、感知流体入口ポート13より下部弁室12B内に流入する。下部弁室12B内に流入した冷媒は、下部弁室12B内を流れ、感知流体出口ポート14より吐出流体出口通路165へ流出する。これにより、容量制御弁10の受圧板22は、下部弁室12Bを冷媒が流れることにより発生する荷重を受け、前述のように出口ポート15からクランク室158に導出される圧力Pcが制御される。
本発明の実施形態の容量制御弁の断面図である。 同容量制御弁における逆止弁と弁座の斜視図である。 実施形態の容量制御弁の通常通電の状態の断面図である。 実施形態の容量制御弁の低電流通電の状態の断面図である。 実施形態の容量制御弁を斜板式の容量可変型圧縮機に組み込んだ車載用の空気調和装置の実施形態を示す図である。
符号の説明
1 弁座部材
1a 弁座
1b 円筒部
2 逆止弁
10 容量制御弁
11 ハウジング
12A 上部弁室(弁室)
12B 下部弁室(弁室)
13 感知流体入口ポート
14 感知流体出口ポート
16 弁ポート
15 被制御流体出口ポート
20 弁棒
21 弁体
22 受圧板
26 均圧室
31 吸引子
34 プランジャ室
35 プランジャ
150 容量可変型圧縮機
151 斜板
158 クランク室

Claims (6)

  1. 弁ハウジング内に弁室が形成され、該弁室内を感知流体が流れるよう該弁室に感知流体の入口ポートと出口ポートとが開口し、更に該弁室に被制御流体の出口ポートと連通する弁ポートが開口し、
    前記弁室内に、弁リフト方向の移動によって前記弁ポートの開度を変化させる弁体と、前記弁室を流れる感知流体流に応動して変位し前記弁体を弁リフト方向に移動させる受圧板とが配置されており、
    前記受圧板は、前記弁室を流れる感知流体の当該受圧板の上流側の圧力と下流側の圧力との差圧の影響を受けて前記弁体を弁開方向に移動させる方向に変位する構造により、前記被制御流体の流量を制御する容量制御弁であって、
    前記弁室内に前記感知流体の入口ポートと前記出口ポートとの間に配設された弁座と、該弁座に対して該出口ポート側から着座及び離間可能に配設された逆止弁とを備え、
    前記受圧板と前記逆止弁とを互いに独立に設けるようにしたことを特徴とする容量制御弁。
  2. 前記逆止弁は、フラットなドーナツ状円盤であることを特徴とする請求項1に記載の容量制御弁。
  3. 前記逆止弁は前記受圧板の下流側の区画された空間に配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の容量制御弁。
  4. 前記弁ハウジングには前記弁室と導通された均圧室が形成され、
    前記弁体を電磁力によって弁閉方向に付勢する電磁手段を有し、
    前記電磁手段は、プランジャと、前記プランジャを収容するプランジャ室と、前記プランジャ室よりも前記弁体側に固定配置された吸引子とを有し、
    前記吸引子には、一端にて前記弁室に開口し、他端にて前記プランジャ室に開口する中心孔が貫通形成され、当該中心孔に、この中心孔の内径よりも小さい外径で形成された前記弁体の弁棒が挿通されており、
    前記弁棒の一端は前記プランジャに接続され、
    前記弁棒の他端は前記弁ポートを開閉する弁体を構成するとともに、前記均圧室に位置しており、
    前記逆止弁が着座する弁座は中心に円筒部を有し、該円筒部の内側を前記弁棒が非摺動で貫通し、該円筒部と弁棒との間隙が前記プランジャ室と前記弁室との均圧通路となっていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の容量制御弁。
  5. 請求項1乃至4のいずれか一項に記載の容量制御弁を備えるとともに、クランク室圧力に応じて吐出容量が定量的に変化する容量可変型圧縮機であって、
    前記感知流体の入口ポートが、当該容量可変型圧縮機の吐出流路の上流側に接続され、前記感知流体の出口ポートが前記吐出流路の下流側に接続され、前記弁ポートが前記クランク室に接続され、該クランク室に流入する冷媒を前記被制御流体として該冷媒の流量を制御することを特徴とする容量可変型圧縮機。
  6. 請求項5に記載の容量可変型圧縮機を冷凍サイクルに備えたことを特徴とする空気調和装置。
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