JP4831942B2 - 塗装装置及び塗装方法 - Google Patents

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Description

本発明は、塗装装置及び塗装方法に関し、より詳しくは、塗料カートリッジを順次交換しながら塗装作業を行うことができる塗装装置及び塗装方法に関する。
従来から、測色データから塗料配合を求めるCCM(コンピュータカラーマッチング)のための調色データベース構築や、小口調色作業等における経過板の作成、さらには塗料製造業等の出荷検査業務などにおいて、多色又は多品種の塗料による膨大な数の塗り板を作成し、測色や塗装評価を行っている。このように、種類や色が異なる塗料を用いて塗装する場合には、塗料交換時に残留する塗料が問題となるため、塗装ガンに塗料カートリッジを着脱自在に装着することにより、残留塗料を低減した塗装装置が提案されている(例えば、特許文献1,2)。
ところが、特許文献1に開示された塗装装置は、塗装ガン本体の連結部に塗料カートリッジが装着され、塗装ガン本体に供給された塗料を圧縮エアにより噴出する構成であるため、塗料カートリッジの交換時における塗装ガン本体の洗浄作業が不可欠である。
また、特許文献2に開示された塗装装置は、塗料カートリッジに設けられた塗料ノズルが、塗装ガン本体の先端に設けられたベルヘッドに向けて塗料を案内するように構成されており、ベルヘッドの回転により塗料が霧化され、シェーピングエア流により噴射される。ところが、この塗装装置においても、ベルヘッドに塗料が付着するため、塗装ガン本体に設けられた洗浄ノズルから洗浄シンナーなどを噴射させることにより、ベルヘッドや塗料ノズル先端部を洗浄することが必要になる。
このように、従来のカートリッジ式塗装装置は、塗料の交換時に塗装ガン本体の洗浄作業が必要になるため、このような煩雑な作業を不要にする点で更に改良の余地があった。
また、塗装ガン本体に装着される塗料カートリッジを自動的に交換する装置として、特許文献3及び4に開示されたものが知られている。特許文献3に開示された自動塗装装置は、ベルヘッドに付着した塗料を塗料カートリッジの交換時に自動的に洗浄することが可能であるが、塗料成分を含む洗浄廃液の発生や洗浄作業時間の無駄という問題は解消されていない。
特開平11−347462号公報 特開平8−229446号公報 特開2000−176333号公報 特開2003−93932号公報
本発明は、上記問題を解決すべくなされたものであって、塗料カートリッジの交換時における洗浄作業を不要にすることができる塗装装置及び塗装方法の提供を目的とする。
本発明の前記目的は、塗料吐出口及び該塗料吐出口の近傍に形成された霧化気体排出口を備え、前記霧化気体排出口から加圧気体を噴出可能な塗装ガンと、容器本体及び該容器本体の底部から延びる塗料吐出ノズルを備える塗料カートリッジとを備え、前記塗料カートリッジは、前記塗料吐出ノズルの先端が前記塗料吐出口に略一致するように、前記塗装ガンに着脱自在に装着される塗装装置により達成される。
また、本発明の前記目的は、塗料吐出口及び該塗料吐出口の近傍に形成された霧化気体排出口を備える塗装ガンに、容器本体及び該容器本体の底部から延びる塗料吐出ノズルを備える塗料カートリッジを、前記塗料吐出ノズルの先端が前記塗料吐出口に略一致するように着脱自在に装着する装着ステップと、前記霧化気体排出口から加圧気体を噴出することにより前記塗料吐出口から吐出される塗料を霧化し塗装する塗装ステップとを備える塗装方法により達成される。
本発明の塗装装置及び塗装方法によれば、塗料カートリッジの交換時における洗浄作業を不要にすることができる。
以下、本発明の実態形態について添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る塗装装置を用いた塗装方法の一例を説明するための図である。
図1に示すように、複数の塗料カートリッジ1は、それぞれカートリッジストッカー2に収納される。各塗料カートリッジ1は、加圧機構によって塗料25を排出可能な機構を有するものであり、塗料25を収容するシリンダ状の容器本体20と、容器本体20の頂部に取り付けられ加圧気体供給口22を備えたキャップ21と、容器本体20の底部から延びる塗料吐出ノズル23と、容器本体20の内周面に沿って摺動可能な可動栓24とを備えている。キャップ21は容器本体20に対し着脱可能であり、加圧気体供給口22から圧縮空気を送り込むことにより可動栓24が下方に押圧され、容器本体20内の塗料25を塗料吐出ノズル23から押し出すことができる。
塗料カートリッジ1に設けられた可動栓24は必ずしも必要ではなく、可動栓24を有しない構成にすることも可能である(図2参照)。この場合、容器本体20に収容された塗料の流出を防ぐため、キャップ21に逆止弁(図示せず)を取り付けることが望ましい。
容器本体20、キャップ21、及びノズル23の材質には、寸法安定性が良くて塗料へのコンタミネーションの影響がなければ特に制限なく、プラスチックや金属等が適用可能である。尚、塗料カートリッジ1として、例えば、市販のシリンジ容器などにキャップ21を装着して用いることが可能である。
この塗料カートリッジ1は、多軸ロボット3により塗装ガン4に自動的に装着される。図1において、多軸ロボット3は、把持ユニット30、31を上下に移動可能な機構を有する搬送用XYロボットであり、カートリッジストッカー2から所望の塗料カートリッジ1を把持して塗装ガン4に装着し、塗装の終了した塗料カートリッジ1を再び把持して、塗料カートリッジ1の回収及び交換を行うことができる。これにより、例えば、カートリッジストッカー2に収納される複数の塗料カートリッジ1に異なる色の塗料を充填しておくことで、容易に色替え塗装を行うことができる。
本実施形態において使用可能な多軸ロボットとしては、把持機能を有する搬送用ロボットであればXYロボットに限らず、例えば、アーム型のマテリアルハンドリングロボットなどを用いることもできる。
本実施形態に係る塗装ガン4は、塗料カートリッジ1を着脱可能に構成されたスプレーガンであり、図1に示すように、塗装ガン駆動多軸ロボット5によって被塗物9上に移動可能となるよう構成されている。塗装ガン4は、塗装ガン駆動多軸ロボット5に対して着脱自在に構成されており、ボディサイズが異なる塗装ガン4を適宜選択して、塗装ガン駆動多軸ロボット5に装着することができる。
図2は、塗装ガン4に塗料カートリッジ1が装着された塗装装置の概略断面図である。図2に示すように、塗装ガン4の下部には挿通孔41が形成されており、塗装ガン4への塗料カートリッジ1の装着は、塗料吐出ノズル23を挿通孔41に挿入し、塗料吐出ノズル23の先端を挿通孔41下端の塗料吐出口42に略一致させることにより行われる。
塗装ガン4は、塗料カートリッジ1の加圧気体供給口22に挿入されるクイックコネクタ37を備えている。クイックコネクタ37は、エア配管を介して加圧吸引装置35に接続されており、塗装ガン4に取り付けられた回転機構付エアシリンダー36により、上下動自在に且つ回動自在に支持されている。加圧吸引装置35は、スイッチの操作により、塗料カートリッジ1への圧縮空気の供給、及び、塗料カートリッジ1内の空気の吸引を行うことができる。
また、塗装ガン4は、加圧気体供給源(図示せず)から圧縮空気などの加圧気体を導入可能な霧化気体導入口43を備えている。霧化気体導入口43に供給された圧縮空気は、塗料吐出口42の周囲近傍において塗料吐出口42を取り囲むように形成された霧化気体排出口44より噴出する。
このように構成された塗装ガン4によれば、多軸ロボット3の作動により塗料カートリッジ1を収容した後、回転機構付エアシリンダー36の作動によりクイックコネクタ37を加圧気体供給口22の上方まで回動させて降下させることにより、クイックコネクタ37の下端が加圧気体供給口22に装着され、塗料カートリッジ1が密閉される。
次に、加圧吸引装置35を作動させて塗料カートリッジ1の内部に圧縮空気を供給すると共に、霧化気体導入口43を介して圧縮空気を供給する。塗料カートリッジ1に収容された塗料25は、供給された圧縮空気により加圧されて塗料吐出口42から吐出され、霧化気体排出口44から噴出する圧縮空気と混合されて霧状になり、被塗装面に吹き付けられる。
こうして塗装が行われた後、加圧吸引装置35のスイッチを操作して塗料カートリッジ1の空気を吸引することにより、塗料吐出口42からの塗料25の供給を停止する。このように、塗料カートリッジ1の内部を負圧にすることで、供給停止直後の塗料の流出を確実に防止することができる。その後、霧化気体導入口43への圧縮空気の供給も停止する。
ついで、回転機構付エアシリンダー36を作動させてクイックコネクタ37を上昇させた後に回動させることにより、クイックコネクタ37を加圧気体供給口22の上方位置から待避させる。そして、上述したように多軸ロボット3の作動により、塗料カートリッジ1を交換する。
本実施形態の塗装装置によれば、塗料25を供給する塗料吐出ノズル23の先端の周囲近傍から圧縮空気を供給することにより塗料を霧化するように構成しているので、塗装終了後に塗料吐出ノズル23の先端近傍に付着している塗料を、圧縮空気により吹き飛ばして確実に除去することができる。したがって、多数色或いは多品種の塗料カートリッジ1を交換する際に塗装ガン4の洗浄を行う必要がなく、塗料カートリッジ1の交換作業を容易且つ迅速に行うことが可能であり、更に、廃溶剤の削減や塗装環境の改善が可能である。
また、調色作業における塗板(経過板)の作成に用いた場合には、塗料カートリッジに充填する塗料の量を調整するか、又はカートリッジ容量に合わせたボディサイズの塗装ガンを選択することで、塗料の利用効率を高めることができる。
図3は、上述した塗装装置を用いた塗装工程を含む全体工程の一例を説明するための概略平面図である。カートリッジストッカー2に収納された塗料カートリッジ1は、搬送用多軸ロボット3によって把持され、塗装ブース6内に搬送され、塗装ガン4に装着される(図2参照)。塗装ブース6において、塗料カートリッジ1が装着された塗装ガン4は、塗装ガン駆動多軸ロボット5に支持され、該ロボットによる移動によってブリキ板などの被塗物9上をストロークし、塗装を行う。塗装終了後は、搬送用多軸ロボット3の把持によって塗装ガン4から塗料カートリッジ1が取り外され、カートリッジストッカー2に戻されて、次の塗色の塗料カートリッジ1が把持され、上記と同様にして塗装が行われる。
搬送用多軸ロボット8は、複数の被塗物9を把持可能な状態で保管する塗板ストッカー7から、被塗物9を順次把持して塗装ブース6内の塗装位置にセットし、また塗装終了後には、塗装された被塗物9である塗板をセッティングするための塗板バッファー10へ順次把持して搬送し、収納する。セッティングの終了した塗板は、乾燥機11の搬送コンベア12に順次搭載されて、一定時間乾燥される。乾燥終了後の塗板は、室温まで冷ますための塗板バッファー14へ順次搬送され、収納される。搬送用多軸ロボット13は、塗板バッファー14において室温まで温度が低下した塗板を把持し、塗板評価装置15に搬送し、セットする。塗板評価装置15には、適宜選択された色彩計(分光光度計)、DOI計(鮮映性評価計)などが設置されており、塗板が順次評価される。評価終了後の塗板は、塗板ストッカー18に順次搬送され、収納される。
このような一連の工程によれば、複数の塗料カートリッジ1に別個の塗色の塗料を充填することで、容易に色替え塗装を行うことができ、その塗装状態の評価も容易に行うことができる。また、塗り板の作成から評価まで自動化することができるので、特に調色データベースの構築や小口調色作業等の色替え塗装及び評価の省力化、無人化に有用である。
本発明の塗装装置及び塗装方法は、多軸ロボットを利用した自動塗装に用いるだけでなく、塗装作業者自身が塗料カートリッジの交換を行う手吹き塗装にも利用可能である。本発明を手吹き塗装に利用する場合には、塗料だけでなく、コーキング剤やパテ材の塗装にも非常に有用である。
また、本発明は、特に自動車補修塗装等における調色作業、さらには塗料やインク製造業等の調色データベース作成や出荷検査業務など、多数色或いは多品種の塗料やインクによる膨大な数の塗り板を作成し、測色や評価試験などに供する用途に非常に有用である。
本発明の一実施形態に係る塗装装置を用いた塗装方法の一例を説明するための図である。 図1に示す塗装装置の概略断面図である。 図1に示す塗装装置を用いた塗装工程を含む全体工程の一例を説明するための概略平面図である。
符号の説明
1 塗料カートリッジ
4 塗装ガン
20 容器本体
22 加圧気体供給口
23 塗料吐出ノズル
35 加圧吸引装置
37 クイックコネクタ
41 挿通孔
42 塗料吐出口
44 霧化気体排出口

Claims (3)

  1. 塗料吐出口及び該塗料吐出口の近傍に形成された霧化気体排出口を備え、前記霧化気体排出口から加圧気体を噴出可能な塗装ガンと、
    容器本体及び該容器本体の底部から延びる塗料吐出ノズルを備える塗料カートリッジとを備え、
    前記塗料カートリッジは、前記塗料吐出ノズルの先端が前記塗料吐出口に略一致するように、前記塗装ガンに着脱自在に装着され、
    前記塗料カートリッジは、前記容器本体に加圧気体を導入可能な加圧気体導入口を備え、
    前記加圧気体導入口に接続される加圧吸引装置を更に備え、
    前記加圧吸引装置は、前記塗料カートリッジへの加圧気体の供給、及び、前記塗料カートリッジ内の空気の吸引を行う塗装装置であって、
    前記加圧吸引装置に配管を介して接続され、前記加圧気体導入口に上方から装着されるコネクタを更に備え、
    前記コネクタは、上下動自在且つ回動自在に支持されている塗装装置。
  2. 前記塗装ガンは、前記塗料吐出ノズルが挿入される挿通孔を備える請求項1に記載の塗装装置。
  3. 塗料吐出口及び該塗料吐出口の近傍に形成された霧化気体排出口を備える塗装ガンに、容器本体及び該容器本体の底部から延びる塗料吐出ノズルを備える塗料カートリッジを、前記塗料吐出ノズルの先端が前記塗料吐出口に略一致するように着脱自在に装着する装着ステップと、
    前記霧化気体排出口から加圧気体を噴出することにより前記塗料吐出口から吐出される塗料を霧化し塗装する塗装ステップとを備え、
    前記塗料カートリッジは、前記容器本体に加圧気体を導入可能な加圧気体導入口を備え、
    前記塗装ステップは、前記加圧気体導入口から前記塗料カートリッジへ加圧気体を導入することにより前記塗料吐出口から塗料を吐出するステップと、塗装終了時に前記加圧気体導入口を介して前記塗料カートリッジ内の空気を吸引することにより、前記塗料吐出口からの塗料の吐出を停止するステップとを含み、
    前記装着ステップは、前記加圧吸引装置に配管を介して接続され、上下動自在且つ回動自在に支持されているコネクタを、前記加圧気体導入口に上方から装着するステップを備え、
    前記塗装ステップの後、前記コネクタを前記加圧気体導入口の上方から退避させ、前記塗装ガンから前記塗料カートリッジを取り外して、種類又は色が異なる塗料が収容された新たな前記塗料カートリッジを前記塗装ガンに装着するステップを備える塗装方法。
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