近年、移動体通信システムの発展に伴って携帯電話、携帯情報端末等が急速に普及している。例えば、携帯電話端末においては、800MHz〜1.0GHz帯および1.5GHz〜2.0GHz帯といった高周波帯が使用されている。これら移動通信システム用の機器には、共振器を用いた高周波用フィルタや、高周波用フィルタを用いたアンテナ分波器が用いられている。
これらに用いられる共振器は図1(a)のように入力端子Inと出力端子Outの間に共振子S21が設けられ、一端子対共振器を構成する。共振子としては弾性表面波(SAW:Surface Acoustic Wave)共振子や圧電薄膜共振子(FBAR:Film Bulk Acoustic Resonator)が用いられる。図1(b)はSAW共振子の上視図である。圧電基板70上に入力端子Inと出力端子Outに接続されたすだれ電極(IDT:インターディジタルトランスデューサ、Interdigital Transducer)とIDTの両側の反射器R0とが設けられる。すだれ電極IDTおよび反射器R0は例えばアルミニウム(Al)等の金属で形成される。なお、図中、反射器R0およびIDTの電極指は実際より少なく記載している。
図1(c)はFBARの上視図、図1(d)はFBARの断面図である。基板72(例えばシリコン基板)の空隙76上に下部電極膜75、圧電膜74、上部電極膜73が積層している。圧電膜74は例えば窒化アルミニウムが用いられる。空隙76の代わりに多層反射膜が設けられる場合もある。
SAW共振子やFBARは、入力された電気エネルギーをトランスデューサによって、弾性エネルギーに変換し、この弾性エネルギーを再び電気エネルギーに変換することにより共振現象を得ている。例えば、SAW共振子においては、IDTによって入力された電気エネルギーが弾性表面波に変換される。この弾性表面波は、IDTによって再び電気エネルギーに変換され出力される。FBARにおいては、上部電極と下部電極の間で入力した電気エネルギーが厚み縦振動(弾性波)を誘導する。この弾性波は上部電極と下部電極によって再び電気エネルギーに変換される。トランスデューサに与えられた電気エネルギーが弾性波を励振する効率を励振効率または変換効率と言う。
高周波フィルタとしては、例えば一端子共振器を直列と並列に接続したラダー型フィルタが用いられる。図2はラダー型フィルタの構成図を示した図である。入力端子Inと出力端子Outの間に、直列に直列共振子S11、S12および並列に並列共振子P11、P12が接続される。図3および図4を用い、ラダー型フィルタの動作原理について説明する。ラダー型フィルタは直列共振器と並列共振器に分解することができる。図3(a)を参照に、直列共振器は、共振子S21を一端子対共振器としたとき、その2つの信号端子のうち、一方を入力端子In、他方を出力端子Outとしたものである。図3(b)を参照に、並列共振器は、共振子P21を一端子対共振器としたとき、その2つの信号端子のうち、一方をグランド端子に接続し、他方を入力端子Inと出力端子Outの短絡線路に接続したものである。
図3(c)は、直列共振器と並列共振器の入力端子Inから出力端子Outへの通過特性を示した図である。横軸は周波数、縦軸は通過量である。直列共振器の通過特性は実線、並列共振器の通過特性は破線で示す。直列共振器の通過特性は、1つの共振点(共振周波数)frsと1つの反共振点(反共振周波数)fasとを有する。共振点frsで通過量は最大となり、反共振点fasで通過量は最小となる。一方、並列共振器の通過特性は、1つの共振点frpと1つの反共振点fapとを有する。共振点frpで通過量は最小となり、反共振点fapで通過量は最大となる。
図4(a)は1段構成のラダー型フィルタの構成図である。図4(a)を参照に、直列共振子S22が直列共振器として入力端子Inと出力端子Outに直列に接続され、並列共振子P22が並列共振器として出力端子Outとグランド間に接続される。このとき、直列共振器の共振点frsと並列共振器の反共振点fapは概一致するように設計する。図4(b)は1段構成のラダー型フィルタの入力端子Inから出力端子Outへの通過特性である。横軸は周波数、縦軸は通過量を示す。図4(a)の構成により、直列共振器と並列共振器の通過特性が合成され,図4(b)の通過特性が得られる。通過量は、直列共振器の共振点frsと並列共振器の反共振点fap付近が最大となり、直列共振器の反共振点fasおよび並列共振子の共振点frpが極小となる。そして、並列共振器の共振点frpから直列共振器の反共振点fasの周波数帯域が通過帯域となり、並列共振器の共振点frp以下および直列共振器の反共振点fas以上の周波数帯域が減衰域となる。このように、ラダー型フィルタはバンドパスフィルタとして機能する。
このような、共振子を用いたフィルタを使用しアンテナ分波器が提供されている。アンテナ分波器は2つのバンドパスフィルタを用い、送信用フィルタを送信端子とアンテナ端子の間、受信用フィルタを受信端子とアンテナ端子の間に配置する。アンテナ端子と送信用フィルタまたはアンテナ端子と受信用フィルタの間に整合回路(例えば移相器)を設ける。そして、アンテナ分波器は送信端子から入力した送信信号をアンテナ端子から出力し、アンテナ端子から入力した受信信号を受信端子から出力する機能を有する。
整合回路の機能を、例えばアンテナ端子と受信用フィルタの間に整合回路を設けた場合について説明する。整合回路は送信端子から入力した送信信号の電力が受信用フィルタに侵入することを抑制し、アンテナ端子から出力させる機能を有する。通常、送信信号の周波数帯では受信用フィルタのインピーダンスはほぼ0である。よって、送信信号の電力の大部分は受信用フィルタに侵入してしまう。そこで、整合回路により受信用フィルタの送信信号の周波数帯でのインピーダンスをほぼ無限大に変換する。これにより、送信信号の電力が受信用フィルタに侵入することを抑制することができる。
特許文献1ないし特許文献4にはラダー型フィルタを構成する共振子に並列にインダクタが接続されたフィルタが開示されている。図5は上記従来例に係るフィルタの構成図である。図5を参照に、入力端子Inと出力端子Out間に直列に直列共振子S11、S12が接続し、共振子S11およびS12間のノードとグランド間に並列共振子P11が接続している。出力端子Outとグランド間に並列共振子P12が接続している。さらに、直列共振子S11およびS12に、各々並列にインダクタL11およびL12が接続している。このように構成することにより、直列共振器の反共振点が2つ得られる。そこで、この2つの反共振点を用いることにより減衰特性の優れたフィルタを提供することができる。また、特許文献5および6には、弾性表面波共振子の励振効率を低減した共振子が開示されている。
なお、図3および図4を用い説明した共振点、反共振点を有する機能(二重共振特性)は、共振子としてSAW共振子またはFBARを用いた場合も同様である。本明細書においては、SAW共振子またはFBARのように二重共振特性を有する共振子を単に共振子という。また、共振子単独または共振子に並列にインダクタあるいはキャパシタを接続したものを共振器(一端子対共振器)という。また、本明細書において、キャパシタの符号(例えばC0)はキャパシタのキャパシタンスとしても使用する。インダクタについても同様である。
しかしながら、特許文献1ないし特許文献4に係る従来例においては、共振子に並列に接続したインダクタが大型となり、共振器、フィルタおよび分波器を小型化できないという課題がある。また、2つの反共振点を任意に設定できない。このため、例えば、2つの反共振点を利用するフィルタにおいて設計の自由度が低下するという課題がある。
本発明は、上記課題に鑑み、小型化が可能、または、設計の自由度を向上させることが可能なフィルタおよびその製造方法並びにアンテナ分波器を提供することを目的とする。
本発明は、 インダクタが並列に接続されていない第1の共振子と、
該第1の共振子より励起効率を低減させた第2の共振子と、
該第2の共振子と並列に接続されるインダクタと、を具備した3重共振回路を構成するフィルタであって、前記第2の共振子と前記インダクタとにより、一つの共振点と前記共振点の低域側および高域側にそれぞれ第1の反共振点および第2の反共振点とが形成され、前記第2の共振子の励振効率を前記第1の共振子より低減させることにより、第1の反共振点を低周波側に、第2の反共振点を高周波側に移動させることで任意の前記第1の反共振点および前記第2の反共振点を設定することを特徴とするフィルタである。本発明によれば、実装面積が小さく、任意の周波数の減衰量を改善することができる。よって、小型化が可能、または、設計の自由度を向上させることが可能なフィルタを提供することができる。
本発明は、前記第1の共振子および前記第2の共振子は弾性表面波共振子であることを特徴とするフィルタとすることができる。また、本発明は、前記第1の共振子および前記第2の共振子は圧電薄膜共振子であることを特徴とするフィルタとすることができる。
本発明は、前記第2の共振子は、IDTが有する2つの電極に交互に接続する電極指のうち、少なくとも1本の電極指は反対側の電極に接続されることを特徴とするフィルタとすることができる。本発明によれば、第2の共振器子の励起効率を低減することができる。
本発明は、前記第2の共振子は、IDTが有する2つの電極に交互に接続する電極指より幅の広い電極指を有することを特徴とするフィルタとすることができる。本発明によれば、第2の共振器子の励起効率を低減することができる。
本発明は、前記第2共振子は、IDTが有する2つの電極に交互に接続する電極指のうち、少なくとも連続する2本の電極指は電気極性を反転させたことを特徴とするフィルタとすることができる。本発明によれば、第2の共振器子の励起効率を低減することができる。
本発明は、前記第2共振子は、IDTが有する2つの電極に複数本ずつ交互に接続する電極指を有することを特徴とするフィルタとすることができる。本発明によれば、第2の共振器子の励起効率を低減することができる。
本発明は、前記第2の共振子の弾性表面波の伝搬方向は、前記第1の共振子の伝搬方向と異なることを特徴とするフィルタとすることができる。本発明によれば、第2の共振器子の励起効率を第1の共振子より低減することができる。
本発明は、前記第2の共振子のIDTが有する電極指の幅は、前記第1の共振子のIDTが有する電極指の幅と異なることを特徴とするフィルタとすることができる。本発明によれば、第2の共振器子の励起効率を第1の共振子より低減することができる。
本発明は、前記第1の共振子または前記第2の共振子のIDTは励振に寄与しないダミー電極指が設けられることを特徴とするフィルタとすることができる。本発明によれば、損失を低減することができる。
本発明は、前記第2の共振子の上部電極膜に対する圧電膜の膜厚比および下部電極膜に対する圧電膜の膜厚比が、前記第1の共振子の対応する上部電極膜または下部電極膜に対する圧電膜の膜厚比より小さいことを特徴とするフィルタとすることができる。本発明によれば、第2の共振器子の励起効率を第1の共振子より低減することができる。
前記第2の共振子の上部電極膜および下部電極膜の少なくとも一方の膜厚が、が前記第1の共振子の対応する上部電極膜または下部電極膜の膜厚より厚いことを特徴とするフィルタとすることができる。本発明によれば、第2の共振器子の励起効率を第1の共振子より低減することができる。
本発明は、前記第2の共振子の圧電膜の膜厚が、前記第1の共振子の圧電膜より薄いことを特徴とするフィルタとすることができる。本発明によれば、第2の共振器子の励起効率を第1の共振子より低減することができる。
本発明は、前記第2の共振子のメンブレン領域の面積は、前記第1の共振子のメンブレン領域の面積より小さいことを特徴とするフィルタとすることができる。本発明によれば、第2の共振器子の励起効率を第1の共振子より低減することができる。
本発明は、前記第2の共振子の有する静電容量は、前記第1の共振子の静電容量より小さいことを特徴とするフィルタとすることができる。本発明によれば、第2の共振器子の励起効率を第1の共振子より低減することができる。
本発明は、前記第2の共振子を2個以上並列に接続したことを特徴とするフィルタとすることができる。本発明によれば、第2の共振器子の励起効率を低減することができる。
本発明は、前記インダクタは、前記第1の共振子および前記第2の共振子が実装されたパッケージ内または上に線路パターンとして形成されたインダクタであることを特徴とするフィルタとすることができる。
本発明は、前記インダクタは、前記第1の共振子および前記第2の共振子が形成された同一基板上に形成されることを特徴とするフィルタとすることができる。本発明によれば、実装面積を削減することができる。
本発明は、前記インダクタは、前記第1の共振子および前記第2の共振子が形成された基板以外の基板上に形成されることを特徴とするフィルタとすることができる。また、本発明は、前記インダクタは、前記第1の共振子および前記第2の共振子が実装されたパッケージ外または内に設けられたチップインダクタであることを特徴とするフィルタとすることができる。
本発明は、直列共振子と、並列共振子とを具備し、前記直列共振子および前記並列共振子の少なくとも一つが前記第2の共振子であり、前記第2の共振子には並列に前記インダクタが接続されたラダー型フィルタとすることができる。また、本発明は、前記直列共振子の少なくとも一つが前記インダクタが並列に接続された前記第2の共振子であることを特徴とするラダー型フィルタとすることができる。本発明によれば、実装面積が小さく、任意の周波数の減衰量を改善することが可能なラダー型フィルタを提供することができる。
本発明は、多重モード弾性表面波フィルタと、前記インダクタが並列に接続された前記第2の共振子とを有することを特徴とする弾性表面波フィルタとすることができる。本発明によれば、実装面積が小さく、任意の周波数の減衰量を改善することが可能な多重モード表面波フィルタを提供することができる。
本発明は、アンテナ端子と、前記アンテナ端子に接続した第1のフィルタおよび第2のフィルタと、を具備し、前記第1のフィルタおよび第2のフィルタの少なくとも一方が前述のフィルタであることを特徴とするアンテナ分波器である。本発明によれば、実装面積が小さく、任意の周波数の減衰量を改善することが可能なアンテナ分波器を提供することができる。
本発明は、前記第1のフィルタおよび第2のフィルタの少なくとも一方は前述のラダー型フィルタであり、前記インダクタが並列に接続された前記第2の共振子はアンテナ端子に最も近い直列共振子であることを特徴とするアンテナ分波器とすることができる。本発明によれば、インダクタが並列に接続された第2の共振子を分波器の整合回路として機能するとともに、フィルタの減衰特性を向上させるために用いることができる。
本発明によれば、小型化が可能、または、設計の自由度を向上させることが可能なフィルタおよびその製造方法並びにアンテナ分波器を提供することができる。
以下、従来例において、減衰特性が改善できるメカニズムについて説明する。まず、共振子の共振点ωr、反共振点ωaについて説明する。図6(a)は図1(a)で示した共振子の等価回路(二重共振モデル)を示した図である。図6(a)を参照に、入力端子Inと出力端子Outとの間に共振子が有するキャパシタンスC0と、C0に並列に、インダクタンスLmとキャパシタンスCmが直列に接続される。ここで、キャパシタンスC0はSAW共振子ではIDTで発生する静電容量に相当し、FBARでは上部電極と下部電極間の静電容量に相当する。LmおよびCmは共振周波数、反共振周波数を決定するパラメータである。
図6(a)の等価回路において、入力端子Inと出力端子Outの間のインピーダンスZが0となる周波数が共振周波数f
rであり、アドミッタンスYが0となる周波数が反共振周波数f
aである。また、共振角周波数ω
r=2πf
rおよび反共振角周波数ω
a=2πf
aである。Z=0およびY=0を解くことにより、数式1の共振角周波数ω
rおよび反共振角周波数ω
aが得られる
ここで、共振角周波数ω
rおよび反共振角周波数ω
aは一定値に固定して考える。数式1を解くとLmおよびCmはC0の関数として数式2のように表される。
図6(b)は図6(a)の等価回路と数式2を用いて計算した共振子の周波数に対する減衰量を示す図である。ここで、共振周波数frは1900MHzおよび反共振周波数faは1970MHz、C0を2.0pFとした。図6(b)を参照に、共振点fr(ωr)で減衰量は最小となり、反共振点fa(ωa)で減衰量は最大となる。
次に、従来例である共振子に並列にインダクタが接続された共振器について説明する。図7(a)はこの共振器の構成図であり、図7(b)はその等価回路である。図7(a)を参照に、入力端子Inと出力端子Out間に設けられた共振子S21に並列にインダクタL21が接続している。図7(b)を参照に、図6(a)で説明した共振子の等価回路に並列にインダクタンスL21が接続している。この等価回路を用い、インピーダンスZが0となる共振角周波数ω´
rを求めると数式3となる。この場合,共振子単独の場合の共振角周波数ω
rと等しくなる。
一方、アドミッタンスYが0となる反共振角周波数を求めると数式4および数式5のように反共振点1ω´
a1および反共振点2ω´
a2の2つの反共振角周波数が得られる。
図7(c)は図7(b)の等価回路を用いて計算した図7(a)に記載の共振器の周波数に対する減衰量を示す図である。ここで、共振周波数frは1900MHzおよび反共振周波数faは1970MHz、C0を2.0pF、L21を3.64nHとした。図7(c)を参照に、共振点f´r(ω´r)で減衰量は最小となり、反共振点1f´a1(ω´a1)および反共振点2f´a2(ω´a2)で減衰量は極大となる。すなわち、反共振点1f´a1(ω´a1)および反共振点2f´a2(ω´a2)が減衰極となる。従来例に係る並列インダクタを付加した共振器を有するラダー型フィルタは、反共振点1または反共振点2を利用してフィルタの減衰特性を改善するものである。
数式4および5より、反共振点1ω´a1および反共振点2ω´a2はC0とL21の積で決まる。図8はL21を3.64nHに固定し、共振子S21のキャパシタンスC0に対する反共振周波数f´a1およびf´a2を示した図である。横軸はC0およびC0×L21を縦軸は反共振周波数および共振周波数である。図8を参照に、反共振周波数f´a1およびf´a2は1つのパラメータ(C0×L21)により一意的に決まってしまう。したがって、例えば、2つの反共振点(減衰極)を用い設計するフィルタにおいては、一方の反共振点を所望の周波数とすると、他方の反共振点は所望の周波数値に設計できず、設計の自由度が低下してしまう。
以下、実施例1に係る共振器の構成と原理について説明する。共振子において、共振周波数を固定した状態で、共振子の励振効率を低減させると、共振周波数は不変のまま反共振周波数のみ低くなる。励振効率の低減率をx%とすると、反共振周波数f
aは,x=0のときの共振周波数f
r0と反共振周波数f
a0を用いて数式6のように表される。
図6で説明した共振器のモデルに励振効率の低減率xをパラメータとして取り込んだ場合を説明する。図9(a)は、入力端子Inと出力端子Outとの間に励振効率を低減させた共振子S31を接続した共振器の構成図である。図9(b)は共振子S31の等価回路(二重共振モデル)を示した図である。図6(a)の等価回路と比べ、xがLmおよびCmのパラメータとして付加される。その他の構成は図6(a)と同じである。ここで、x=0のときの共振角周波数ω
r0,反共振角周波数ω
a0とすると、共振角周波数ω
r、反共振角周波数ω
aは数式7で表される。
また、数式7の共振角周波数ω
r、反共振角周波数ω
aを用い、LmおよびCmを計算すると数式8と表される。
図9(c)は図9(b)の等価回路と数式7を用いて計算した共振子の周波数に対する減衰量を示す図である。ここで、xが0Xのときの共振周波数frは1900MHzおよび反共振周波数faは1970MHz、C0を2.0pFとし,xが0%、20%、40%、60%および80%のときを計算した。xが0%のときの曲線は図6(b)と同じである。xが大きくなると、共振点fr(ωr)の周波数は変わらないが、反共振点fa(ωa)の周波数は低くなっていく。
次に、励起効率を低減させた共振子S31にインダクタL31を並列に接続した実施例1に係る共振器について説明する。図10(a)は実施例1に係る共振器18の構成図である。図10(a)を参照に、実施例1に係る共振器は、入力端子Inおよび出力端子Outとの間に設けられ、励起効率を低減した共振子S31と、共振子S31と並列に接続されたインダクタL31とを有している。図10(b)は実施例1に係る共振器18の等価回路(二重共振モデル)である。図9(b)の共振子の等価回路にインダクタンスL31が並列に付加されている。共振器18のインピーダンスZが0となる共振角周波数ω´´
rは数式10のように共振子S31の共振角周波数ωrと等しくなる。
一方、アドミッタンスYが0となる反共振角周波数を求めると数式10および数式11のように反共振点1ω´´
a1および反共振点2ω´´
a2の2つの反共振角周波数が得られる。
図10(c)は図10(b)の等価回路を用いて計算した実施例1に係る共振器の周波数に対する減衰量を示す図である。ここで、xが0%のときの共振周波数frは1900MHzおよび反共振周波数faは1970MHz、C0を2.0pF、L31を1.82nHとし、xを0%、20%、40%、60%および80%とした。図10(c)を参照に、共振点f´´r(ω´´r)で減衰量は最小となり、反共振点1f´´a1(ω´´a1)および反共振点2f´´a2(ω´´a2)で減衰量は極大となる。すなわち、反共振点1f´´a1(ω´´a1)および反共振点2f´´a2(ω´´a2)が減衰極となる。したがって、従来例の共振器と同様に、実施例1に係る共振器も、反共振点1または反共振点2を利用してラダー型フィルタの減衰特性を改善することができる。
図11はL31を3.64nHに固定し、xを0%から80%に変化させたときのC0に対する反共振周波数f´´a1およびf´´a2を示した図である。横軸はC0およびC0×L31を、縦軸は反共振周波数および共振周波数を示す。図11を参照に、反共振周波数f´´a1およびf´´a2はパラメータ(C0×L31)とxにより決めることができる。したがって、2つの反共振点を任意に設定することができる。よって、例えば、2つの反共振点(減衰極)を用い設計するフィルタにおいても、2つの反共振点を所望の周波数に設計することができ、設計の自由度を向上させることができる。例えば、異なる2つの周波数帯を抑圧することが好ましい場合、一方の反共振点と他方の反共振点をそれぞれの抑圧すべき周波数帯に設定することができる。したがって、異なる2つの周波数帯を抑圧することができる。
次に、2つの反共振点のうち1つ(反共振点1)を減衰極として使用する場合の実施例1に係る共振器の効果について説明する。図12(a)は従来例1に係る共振器18a、図12(b)は比較例1に係る共振器18b、図12(c)は実施例1に係る共振器18の構成図である。図12(a)を参照に、従来例1に係る共振器18aは、0.885pFのキャパシタンスを有する共振子S21に4.8nHのインダクタL21を並列に付加した共振器である。図12(b)を参照に、比較例1は共振器18aのインダクタの小型化を目的に、共振子S22のキャパシタンスを1.212pFとし、並列に付加するインダクタL22のインダクタンスを3.5nHとした例である。従来例1の(C0×L21)と比較例1の(C0×L22)はほぼ同じ値となる。このため、従来例1と比較例1はほぼ同じ反共振点1を有する。図12(c)を参照に、実施例1に係る共振器18は、全ての電極指が同じ幅を有し、2つの電極に交互に接続するIDTを有する弾性表面波共振子に対し、励起効率を低減させた第2の共振子S31と、第2の共振子S31と並列に接続されるインダクタL31とを有している。共振子S31のキャパシタンスは1.478pF、励振効率の低減率xは40%とし、インダクタL31のインダクタンスを比較例1と同じ3.5nHとした。これにより、反共振点1は従来例1と同じとなる。
図13(a)は従来例1、比較例1および実施例1に係る共振器の通過特性の計算結果を示した図であり、横軸は周波数、縦軸は減衰量を示す。図13(b)は図13(a)の反共振点1付近の拡大図であり、この共振器を用い作製されるべきフィルタに求められる減衰域と通過域を示している。図13(a)を参照に、3つの共振器の反共振点1の周波数はほぼ一致している。図13(b)を参照に、求められる減衰域において、比較例1は従来例1に比べ減衰量が小さく減衰特性が悪い。一方、実施例1と従来例1との曲線はほぼ重なっており同程度の減衰特性である。
インダクタは大きな面積が必要なため、実装面積が大きくなる。そこで、従来例1に係る共振器18aを比較例1や実施例1に係る共振器18b、18とすることにより、実装面積を削減することができる。比較例1は反共振点を従来例1と同じとするため、共振子S22のキャパシタンスを従来例1より大きくする。そうすると、図12のように減衰特性が悪化する。しかし、実施例1に係る共振器18は励振効率を比較例1より低くすることにより、減衰特性を従来例1と同程度とすることができる。
以下、共振子の励起効率を低減する構成について説明する。例えば、後述する実施例2ないし14のような分波器やフィルタにおいて、標準の共振子を第1の共振子、インダクタを並列に接続し第1の共振子に対し励振効率を低減させた共振子を第2の共振子とする。
まず、SAW共振子の励振効率を低減する構成について説明する。全ての電極指が同じ幅を有し、電極指がIDTの有する2つの電極に交互に接続され、励振効率を意図的に低減していない共振子を正規型共振子という。図14(a)は正規型共振子である共振子0の平面図であり、図14(b)は、図14(a)の電極指付近の拡大図である。2つの反射器R0の間にインターディジタルトランスデューサIDT0が設けられている。IDT0は電極80と電極82により構成されており、電極指84は電極80に、電極指86は電極82に接続しており、電極指84、86は、IDTの2つの電極80、82に交互に接続している。電極指84および86はそれぞれ20本あり、電極の対数(IDTの対数)は20対である。電極指84および86の幅と、電極指84および86のギャップとは同じ長さであり、このとき励振効率は最も大きくなる。電極指84と電極指86とが重なる距離が開口長であり,wとする。正規型共振子の静電容量C0は、開口長w、電極指の対数n、真空中の誘電率ε
0、圧電基板の比誘電率ε
rとすると数式12で表される。
図15(a)は、IDTが有する2つの電極に交互に接続する電極指のうち、少なくとも1本の電極指は反対側の電極に接続した第2の共振子(共振子1)を示す平面図であり、図15(b)は図15(a)の拡大図である。共振子1のインターディジタルトランスデューサIDT1は、電極指84として電極80に接続すべき電極指の一部が、反対側の電極82に接続し電極指86aとなっている。このように、正規型共振子で接続される極性とは逆の極性の電極に電極指を接続することを電極指の間引きと言う。間引かれた電極指86aでは弾性表面波は励振しなくなるため、共振子1の励振効率は正規型共振子(共振子0)より低下する。図15(a)では電極指86aは5本ある。よって、間引き率は25%であり、励振効率の低減率xは25%である。間引いた電極指46aでは静電容量は発生しないため、IDT1の静電容量はIDT0に比べ(1−x)倍となる。IDTの静電容量は数式12のように表される。そこで、共振子1の静電容量を正規型共振子と同じにするため、開口長をw/(1−x)と補正することが好ましい。なお、数式12より、電極指の対数を増やすことにより正規型共振子(共振子0)との静電容量と合わせる方法もあるが、電極指の対数を増やすと励振効率の低減率xも変化してしまうため、開口長で調整することが好ましい。
図16は電極指をランダムに間引いた第2の共振子(共振子2)の例である。インターディジタルトランスデューサIDT2では、間引いた電極指は電極指86aが3本、電極指84aが2本である。共振子1と同様に、x=25%であり、開口長は共振子1と同様に補正し、w/(1−x)とすることが好ましい。共振子1においては、間引きが周期的なためスプリアス応答が発生する。共振子2のように電極指をランダムに間引くことによりスプリアス応答を抑制することができる。
図17は、IDTが有する2つの電極に交互に接続する電極指より幅の広い電極指84b、86bを有する第2の共振子(共振子3)の例である。インターディジタルトランスデューサIDT3は、共振子2の間引いた電極指84a、86aに隣接する同極性の3本の電極指を太い電極指84b、86b(ベタ電極)を有し、電極指84b、86bはそれぞれ電極80、82に接続している。共振子3においても、共振子1および共振子2と同様に、電極指84b、86bでは弾性表面波は励振しなくなる。電極指84b、86bは5本あり、x=25%となる。開口長は共振子1および共振子2と同様に補正し、w/(1−x)とすることが好ましい。また、共振子2と同様に、電極指84b、86bをランダムに設けることにより、スプリアス応答を抑制することができる。
図18(a)は表面弾性波の励振に寄与しないダミー電極を設けたIDTを有する第2の共振子(共振子4)の例であり、図18(b)はその拡大図である。インターディジタルトランスデューサIDT4は、共振子2と同様に、間引いた電極指84d、86dを有している。電極指84、84dの先端には、電極82に接続し、表面弾性波の励振に寄与しないダミー電極86cが設けられる。また、電極指86、86dの先端には、電極80に接続し、表面弾性波の励振に寄与しないダミー電極84cが設けられる。ダミー電極84c、86cにより、IDT4が導波路構造となり、弾性表面波の漏洩を抑制し低損失な共振子を得ることができる。低減率xや開口長の補正方法は共振子2と同様である。また、励振効率を低減しない第1の共振子にダミー電極を設けることもできる。
図19(a)は、IDTが有する2つの電極に交互に接続する電極指のうち少なくとも連続する2本の電極指は電気極性を反転させた第2の共振子(共振子5)の例であり、図19(b)はその拡大図である。インターディジタルトランスデューサIDT5は、ランダムな位置の2本連続した電極指86e、84eを正規型共振子とは反対の電極82、80に接続し、電気極性を反転させている。極性を反転させた電極指84e、86eは、その他の電極指84、86で励振する弾性表面波に対し位相が180°異なる弾性表面波が励振する。このため、電極指84e、86eで励振した弾性表面波は、電極指84、86で励振した弾性表面波を打消し、励振効率が低減する。極性を反転させた電極指を1対設けると、間引き電極を2対設けた場合と低減率は等しくなる。共振子5では、反転させた電極指84e、86eを2対設けているため、反転させた電極指(2対)の全電極指の対数(20対)の割合(反転率)は10%である。よって、励振効率の低減率xは20%である。反転した電極指84e、86eの両側では静電容量は発生しないため、IDT5の静電容量はIDT0に比べ(1−x/2)倍となる。よって、共振子1の静電容量を正規型共振子と同じにするためには開口長をW/(1−x/2)とすることが好ましい。
図20は、弾性表面波の伝搬方向を第1の共振子と異なる方向とした第2の共振子(共振子6)の例である。圧電基板には異方性があり、弾性表面波の伝搬方向によって励振効率は変化する。そこで、図20のように、励振効率の高くなるように弾性表面波の伝搬方向を選択した正規型共振子に対し、弾性表面波の伝搬方向を変えることにより、励振効率を低減することができる。共振子6の静電容量は共振子0とほぼ同じであるため、開口長はwとすることが好ましい。
図21(a)は、IDTが有する電極指の幅が、第1の共振子のIDTが有する電極指の幅と異なる第2の共振子(共振子7)の例であり、図21(b)はその拡大図である。インターディジタルトランスデューサIDT7の電極指84f、86fの幅をWe、電極指84fと86fとのギャップをWgとしたとき、WeとWgが等しいとき励振効率は最大となる。よって、例えば第1の共振子ではWeとWgとを等しくし、共振子7のIDTが有する電極指の幅を、第1の共振子のIDTが有する電極指の幅と異ならせることにより励振効率を低減することができる。Wgにより共振子7の静電容量が変化するため、第1の共振子からの静電容量の減少率を1/aとすると、開口長はa×wとすることが好ましい。
図22(a)はIDTが有する2つの電極に2本おきに交互に電極指を接続した第2の共振子(共振子8)の例であリ、図22(b)はその拡大図である。共振子8のインターディジタルトランスデューサIDT8は、電極指84g、86gの幅が正規型共振子(共振子0)の半分であり、各電極指2本おきに交互に電極80、82に接続している。よって、正規型共振子ではIDTの1周期あたり2本の電極指84、86が設けられている(シングル電極)のに対し、共振子8ではIDTの1周期あたり4本の電極指84g、86gが設けられている(ダブル電極)。ダブル電極はシングル電極より励振効率を低減することができる。また、ダブル電極の静電容量はシングル電極の√2倍である。よって、共振子8では、開口長をw/√2とすることが好ましい。このように、第2の共振子のIDTが有する2つの電極に複数本おきに交互に電極指を接続することにより、励振効率を低減することができる。
図23は共振子上に誘電体膜を形成した第2の共振子(共振子9)の例である。共振子9は図14(a)に示した正規型共振子上に例えば酸化シリコン膜等の誘電膜81を形成している。SAW共振子上に誘電体膜が形成されると、共振子の励振効率は低下する。このように、共振子上に第1の共振子より厚い誘電体膜を形成することにより、第1の共振子より励振効率を低減した低励起共振子を得ることができる。なお、共振子9の静電容量は共振子0とほぼ同じであるため、開口長はwとすることが好ましい。
図24(a)はアボダイズ重み付けを施すことで励振効率を低減した第2の共振子(共振子10)の例であり、図24(b)はその拡大図である。アポダイズ重み付けとは、インターディジタルトランスデューサIDT10の電極指84h、86hの交差幅を弾性表面波の伝搬方向に沿って変化させる重み付け手法である。交差幅の重み付け形状に合わせて、ダミー電極長(電極指84hに対する86h)も伝搬方向に沿って変化している。アポダイズ重み付けを施すと、重み付け形状に応じて励振効率は低減する。アポダイズ重み付けを行うことによりIDT10の静電容量は低減するため、正規型共振子からの静電容量の減少率を1/aとすると、開口長はa×wとすることが好ましい。
また、共振子を形成するアルミニウムなどの電極膜の膜厚の変更によっても励振効率を低減させることができる。電極膜厚が薄いほど励振効率は小さい。したがって、第2の共振子(共振子11)の電極膜厚を、第1の共振子の電極膜厚よりも薄くすることにより、第2の共振子の励振効率を低減することができる。
以上、弾性表面波共振子における励振効率を低減した第2の共振子の例を示したが、励振効率を低減する構造であればこれに限ったものでなく、任意の構造としてよい。また、共振子1ないし共振子11を任意に組合せてもよい。
次に、FBARの励振効率を低減する構成について説明する。図25(a)は標準的なFBAR(共振子00)の断面図である。構成は図1(d)と同じであり同じ部材は同じ符号を付し説明を省略する。共振子00は上部電極膜73および下部電極膜75の膜厚としてtm0、圧電膜74の膜厚としてtp0を有する。図25(b)は共振子00より励振効率を低減させた共振子01の断面図である。共振子01は、各膜の膜厚が異なる以外は図25(a)と同じであり、同じ部材は同じ符号を付し説明を省略する。共振子01の上部電極膜73および下部電極膜75aの膜厚であるtm1はtm0より厚く、圧電膜74aの膜厚であるtp1はtp0より薄い。図25(c)はFBARの上部電極膜73および下部電極膜75の膜厚tmと圧電膜tpの膜厚tpの膜厚比(tm/tp)と励振効率を示した図である。膜厚比(tm/tp)が大きくなると励振効率は低減する。よって、第2の共振子の上部電極膜73に対する圧電膜74の膜厚比および下部電極膜75に対する圧電膜74の膜厚比が、第1の共振子の対応する上部電極膜または下部電極膜に対する圧電膜の膜厚比より小さくすることで、第2の共振子の励起効率を第1の共振子より低減することができる。
また、第2の共振子の上部電極膜73および下部電極膜75の少なくとも一方の膜厚が、第1の共振子の対応する上部電極膜73または下部電極膜75の膜厚より厚くすることにより、第2の共振子の励起効率を第1の共振子より低減することができる。さらに、第2の共振子の圧電膜74の膜厚が、第1の共振子の圧電膜より薄くすることにより、第2の共振子の励起効率を第1の共振子より低減することができる。
図26(a)は標準的なFBAR(共振子00)の上視図であり図26(b)は構成図である。図26(a)および図26(b)は、図1(c)および図1(a)と同じ図であり、同じ部材は同じ符号を付し説明を省略する。図26(a)において上部電極膜73、圧電膜74および下部電極膜75が重なる領域がメンブレン領域78である。図26(c)はFBARを2つ並列に接続した共振子(共振子02)の上視図であり、図26(d)は構成図である。共振子02においては、共振子S23を2つ並列に接続し、各共振子S23のメンブレン領域78aの面積を、共振子00のメンブレン領域78の面積の1/2としている。図26(e)は共振子の静電容量に対する励起効率を示した図である。共振子の静電容量が大きくなると励起効率は高くなる。そこで、共振子02のように、メンブレン領域の面積を1/2とし静電容量を1/2とした共振子を2つ並列に接続することにより、静電容量は変わらず、励振効率を低減した共振子を実現することができる。このように、メンブレン領域の面積を1/nとした共振子をn個並列に接続することにより、励振効率を低減した共振子を実現することができる。
このように、第2の共振子のメンブレン領域78aの面積を第1の共振子のメンブレン領域78の面積より小さくすることにより、第2の共振子の励起効率を第1の共振子より低減することができる。また、第2の共振子の静電容量を第1の共振子の静電容量より小さくすることにより、第2の共振子の励起効率を第1の共振子より低減することができる。さらに、このような共振子を2個以上並列に接続することにより、励起効率を小さくすることができる。
以上、圧電薄膜共振子における励振効率を低減する構造例を示したが、励振効率を低減する構造であればこれに限ったものでなく、任意の構造としてよい。また、共振子01および共振子02を組合せてもよい。
後述する実施例2ないし14にかかる分波器およびフィルタにおいて、共振子1ないし共振子11並びに共振子01および02を用いることにより、第1の共振子に対し励振効率を低減させた第2の共振子を設けることができる。
実施例2は実施例1に係る共振器18をアンテナ分波器に適用した例である。図27は作製した分波器の構成図である。図27(a)は図12(a)に示した従来例1に係る共振器18aを用いた従来例2に係る分波器100aの構成図である。図27(b)は図12(b)に示した比較例1に係る共振器18bを用いた比較例2に係る分波器100bの構成図である。図27(c)は図12(c)に示した実施例1に係る共振器18を用いた実施例2に係る分波器100の構成図である。
図27(c)を参照に、実施例2に係る分波器100は、アンテナ端子Antと受信端子Rxとの間に接続する受信用フィルタ10(第1のフィルタ)とを有する。また、受信用フィルタ10とアンテナ端子Antとの間に接続する共振器18からなる整合回路を有する。さらに、アンテナ端子Antと送信端子Txとの間に接続する送信用フィルタ12(第2のフィルタ)を有する。受信用フィルタ10は並列共振子P1ないしP3および直列共振子S1ないしS4並びのS31を有するラダー型フィルタである。送信用フィルタ12は並列共振子P5およびP6並びに直列共振子S5ないしS8を有するラダー型フィルタである。なお、共振子S31は整合回路の共振子として機能するとともに受信用フィルタ10の共振子としても機能する。
図27(a)を参照に、従来例2に係る分波器100aは、従来例1に係る共振器18aを整合回路および受信用フィルタ10aの共振器として使用していること以外は実施例2と同じであり説明を省略する。図27(b)を参照に、比較例2に係る分波器100bは、比較例1に係る共振器18bを整合回路および受信用フィルタ10bの共振器として使用していること以外は実施例2と同じであり説明を省略する。
従来例2の共振子S21は図14の共振子0であり、比較例2の共振子22は図14の共振子0の開口長を1.55倍した共振子である。図28は実施例2における分波器100の共振器18を示す図である。入力端子Inと出力端子Outとの間に励振効率を低減させた共振子S31とインダクタL31とが並列に接続している。共振子S31は図17で説明した電極指84bおよび86b(ベタ電極)と、図18で説明したダミー電極84cおよび86cとを有している。電極指84bおよび86b(ベタ電極)は8本設けられている。よって、励起効率の低減率xは8/20=40%である。
図29および図30は、それぞれ従来例2、比較例2、図31および図32は実施例2に係る分波器の実装状態を示す図である。
図31は実施例2のフィルタを作製したチップ15の上視図である。図中、黒で示した領域が金属(例えばアルミニウム)が形成された領域である。圧電基板14上にSAW共振器で構成されたラダー型フィルタを用い受信用フィルタ10および送信用フィルタ12を形成した。受信用フィルタ10は直列共振子S31およびS1ないしS4が直列に接続されている。S4はRx端子に接続され、Rx端子には並列共振子P3が、直列共振子S2とS3との間には並列共振子P2が接続され、並列共振子P3、P2のもう一方の端子はグランド端子Gndに接続される。直列共振子S31とS1との間には並列共振子P1が接続され、P1の他方の端子はグランド端子Gndに接続される。共振子S31とS1との間にはさらに端子Lが接続する。共振子S31の他方にはアンテナ端子Antが接続する。
送信用フィルタ12は直列共振子S5ないしS8が直列に接続されている。直列共振子S5およびS8はそれぞれアンテナ端子AntおよびTx端子に接続され、直列共振子S5とS6との間には並列共振子P5が、直列共振子S7とS8との間には並列共振子P6が接続され、並列共振子P7およびP8のもう一方の端子はグランド端子Gndに接続される。各端子Ant、L、Tx、RxおよびGndにはAuバンプを形成した。
図32(c)は実施例2のチップが実装されたパッケージの断面図である。積層パッケージ30のダイアタッチ面32にバンプ20を用いチップ15をフリップチップ実装(フェースダウン実装)する。ダイアタッチ面32にはバンプを圧着する導体のバンプパッド36が形成されている。バンプパッド36は導体で埋め込まれたビア38に接続する。ビア38は積層パッケージ30の裏面34まで貫通しており、裏面34に形成された導体のフットパット40に接続される。リッド31(キャップ)を用い積層パッケージ30のキャビティ部を気密封止し、分波器100が完成する。
図32(a)は積層パッケージ30のチップ15を実装する前の上視図である。図中、黒で示した領域が金属(例えば金)を形成した領域である。チップ15に形成されたバンプ20がバンプパッド36に圧着し、チップ15とバンプパット36が電気的に接続する。チップ15の端子Ant、L、Tx、RxおよびGndは、それぞれバンプパッドAntB、LB、TxB、RxBおよびGndBに圧着される。バンプパッドAntBとLBとの間には線路パターンによりインダクタ51が形成されている。インダクタ51のインダクタンスは3.5nHである。これにより、チップに形成された共振子S31に並列にインダクタ51が接続される。バンプパッドAntB、TxB、RxBおよびGndBはビア38に接続される。
図32(b)は積層パッケージ30の裏面34を上から透視した図である。裏面34にフットパッド40が形成されている。バンプパッドAntB、TxB、RxBおよびGndBに接続されたビア38、それぞれフットパッドAntF、TxF、RxFおよびGndFに接続し、積層パッケージ30の外部と接続される。以上のように、共振子S31に並列にインダクタ51が付加される。
図29(a)は従来例2に係る分波器のチップの上視図、図29(b)は積層パッケージ30のチップを実装する前の上視図、図29(c)は積層パッケージ30の裏面34の透視図である。従来例2では、共振子S21が励振効率を低減させていない共振子であること、インダクタ50のインダクタンスが4.8nHであり、インダクタ面積が大きいこと、以外は実施例2を示した図31、図32(a)および図32(b)と同じである。
図30(a)は比較例2に係る分波器のチップの上視図、図30(b)は積層パッケージ30のチップを実装する前の上視図、図30(c)は積層パッケージ30の裏面34の透視図である。図30(a)の共振子S22が励振効率を低減させていない共振子であること、以外は実施例2を示した図31、図32(a)および図32(b)と同じである。
実施例2および比較例2に係る分波器は従来例2に比べパッケージの大きさ(実装面積)を小さくできている。これは、従来例2のインダクタ50のインダクタンスが4.8nHに比べ、比較例2および実施例2のインダクタ51のインダクタンスは3.5nHと約73%にできたことに起因する。
図33(a)は従来例2、比較例2および実施例2に係る分波器の受信用フィルタおよび送信用フィルタの通過特性、アンテナ端子の反射特性を測定した結果である。図33(b)は受信用フィルタおよび送信用フィルタの通過特性の通過帯域付近の拡大図である。比較例2は送信帯域に相当する1850〜1910MHzで受信用フィルタの減衰量が悪化している(図33(a)楕円部分)。これは、図13(b)で示したように、比較例1に係る共振器18bの減衰量が従来例1に係る共振器18aに比べ悪いことに対応している。さらに、送信帯域の高周波端付近である1900〜1910MHz付近で送信用フィルタの損失が大きくなっている(図33(b)楕円部分)。これは、図33(a)のように、この付近でアンテナ端子の反射特性が悪くなっていることに起因する。
一方、実施例2に係る分波器100の受信用フィルタおよび送信用フィルタの通過特性、アンテナ端子の反射特性は従来例2の分波器100aとほぼ同程度である。このように、実施例2に係る分波器100によれば、フィルタの通過特性を従来例2と同程度に保った状態で、パッケージ30の実装面積を小さくできる。また、共振器18を受信用フィルタ10のアンテナ端子Ant側に配置し共振器18の反共振点(減衰極)を送信周波数帯域に設定している。つまり、共振器18をラダー型フィルタのアンテナ端子Antに最も近い直列共振器として用いている。これにより、共振器18は、分波器の整合回路として機能するとともに、受信用フィルタ10の送信帯域での減衰特性を向上させるために用いることができる。
また、実施例2のように、共振器18および受信用フィルタ10のインダクタL31を共振子S31が実装された積層パッケージ30に形成された線路パターンで形成することができる。さらに、フェースダウンで実装することにより実装面積を小さくすることができる。
実施例3は、積層パッケージ30内にインダクタ53を形成し、チップ15をフェースアップで実装した例である。図34(a)は積層パッケージ30のチップ15が実装された上視図であり、図34(b)は積層パッケージ30の断面図である。図35は積層パッケージ30の積層44の上視図である。実施例2と共通部材は同じ符号を付し説明を省略する。図34(a)および(b)を参照に、ダイアタッチ面32上にチップ15が実装されている。チップ15は端子Ant、L、Tx、RxおよびGndにバンプが形成されていない以外は実施例2と同じである。各端子は積層パッケージのパッド40にワイヤ42で接続される。アンテナ端子Antおよび端子Lが接続したパッド40には積層パッケージ30内に導体が埋め込まれたビア41が形成されている。そうして、積層44に形成されたインダクタ53に接続される。図35を参照に、積層44表面には導体の線路パターンからなるインダクタ53が形成される。
実施例3のように、インダクタ53は、ビア41およびワイヤ42を介し共振子S31に並列に接続される。このように、チップ15をフェースアップで実装することもできる。
実施例4はチップ上にインダクタ54を形成し、チップ15をフェースアップで実装した例である。図36は積層パッケージ30のチップ15が実装された上視図である。実施例3と共通部材は同じ符号を付し説明を省略する。図36を参照に、チップ15にはスパイラルコイルで構成されるインダクタ54が形成される。インダクタ54の一方は共振子S31とS1の間に接続し、他方はアンテナ端子Antよりワイヤ42で接続したパッド40にワイヤ42で接続される。このようにして、インダクタ54は、ワイヤ42を介し共振子S31に並列に接続される。
実施例4のように、共振器18および受信用フィルタ10のインダクタL31を共振子S31が形成された同一基板上に形成することができる。
実施例5は積層パッケージ30を実装したプリント基板にチップインダクタ55を実装した例である。図37はチップ15が実装された積層パッケージ30およびプリント基板48の上視図である。実施例3と共通部材は同じ符号を付し説明を省略する。図37を参照に、チップ15にはインダクタは形成されていない。チップ15の各端子Ant、L、Tx、RxおよびGndは積層パッケージ30に形成されたビアおよびフットパッド(図示せず)を介し、それぞれプリント基板48の端子AntT、LT、TxT、RxTおよびGndTに接続する。そして、AntTとLTとの間にチップインダクタ55が接続される。これにより、チップインダクタ55は共振子S31に並列に接続される。
実施例6は積層パッケージ30のダイアタッチ面32にチップインダクタ57を実装した例である。図38は実施例に係る分波器の積層パッケージ30のチップを実装する前の上視図である。実施例2のダイアタッチ面32上に形成された線路パターンによるインダクタ51の代わりにチップインダクタ57を実装する。そして、チップインダクタ57は共振子S31に並列に接続される。その他の構成は実施例2と同じであり、同じ部材は同じ符番を付し説明を省略する。
実施例5のように、共振器18および受信用フィルタ10のインダクタL31は共振子S31が実装された積層パッケージ30外のプリント基板48(基板)に設けられたチップインダクタ51とすることもできるし、実施例6のように、積層パッケージ30内に設けられたチップインダクタ57とすることもできる。
実施例7は集積受動素子(IPD)チップ58にインダクタ56を実装した例である。図39はチップ15およびIPDチップ58が実装された積層パッケージ30の上視図である。実施例3と共通部材は同じ符号を付し説明を省略する。図39を参照に、チップ15にはインダクタは形成されていない。IPDチップ58にスパイラルコイルを用いたインダクタ56が形成される。チップ15とIPDチップ58はワイヤ42を用い接続される。これにより共振子S31に並列にインダクタ56が付加される。
実施例7のように、共振器18および受信用フィルタ10のインダクタL31は共振子S31が形成された圧電基板14以外のIPDチップ58(基板)に形成されたインダクタとすることができる。
実施例3ないし実施例7の実装形態によっても、共振器18および分波器100は実施例1および実施例2と同様に、フィルタの通過特性を従来例と同程度に保った状態で、パッケージ30の実装面積を小さくできる。
図40は実施例8に係る分波器100cの構成図である。図40を参照に、分波器100cは、アンテナ端子Antに整合用インダクタLAntが直列に接続している。それ以外の構成は実施例2と同じであり説明を省略する。実施例8によれば、アンテナ端子の反射損失を低減することができる。
図41は実施例9に係る分波器100dの構成図である。図41を参照に、分波器100dは、受信用フィルタ10cのアンテナ端子Ant側に共振器18を設けたことに加え、送信用フィルタ12cのアンテナ端子Ant側にも、インダクタL32を励振効率を低減させた共振子S32に並列に付加した共振器19を設けている。それ以外の構成は実施例2と同じであり説明を省略する。共振器19は受信帯域に反共振点(減衰極)を有するように設定されている。これにより、共振器19は、分波器の整合回路として機能するとともに、送信用フィルタ12cの受信帯域での減衰特性を向上させるために用いることができる。よって、送信用フィルタ12cのアンテナ側からみた受信帯域のインピーダンスを大きくし、かつ、受信用フィルタ10cのアンテナ側からみた送信帯域のインピーダンスを大きくすることができる。これにより、低損失の分波器が実現できる。
図42は実施例10に係る分波器100eの構成図である。図42を参照に、分波器100eは、受信用フィルタ10dおよび送信用フィルタ12dのアンテナ端子Ant側の共振子にはインダクタは付加されていない。受信用フィルタ10dの受信端子Rx側に共振器18、受信用フィルタ10dの中央に共振器19が配置されている。さらに、整合回路22a、22bおよび22cが、それぞれ受信用フィルタ10dとアンテナ端子Ant、送信用フィルタ12dとアンテナ端子Antおよびアンテナ端子Antに直列に配置されている。整合回路22aないし22cはインダクタやキャパシタを用いた集中定数回路、またはストリップラインやマイクロストリップラインを用いた分布定数回路を用い設計される。実施例10のように、アンテナ端子Ant側以外の直列共振子に励起効率を低減させた共振子を用い並列にインダクタを付加することにより、整合回路の要請とは独立に、反共振点(減衰極)を設定することができる。これにより、任意の周波数の減衰量を改善することができる。また、インダクタL31およびL32を小型化できるため、実装面積を小さくすることができる。
実施例8ないし実施例10のように、送信用フィルタ(第2のフィルタ)および受信用フィルタ(第1のフィルタ)の少なくとも一方が、第1の共振子と、第1の共振子より励振効率を低減させた第2の共振子S31と、低共振共振子S31と並列に接続されたインダクタL31を有するフィルタとすることにより、実装面積が小さく、任意の周波数の減衰量を改善することが可能なアンテナ分波器を提供することができる。
図43は実施例11に係るラダー型フィルタ110の構成図である。図43を参照に、ラダー型フィルタ110は入力端子Inと出力端子Out間に、直列共振子S2およびS31並びに並列共振子P1およびP2を有している。出力端子Out側の直列共振器には、励振効率を低減させた共振子S31に並列にインダクタL31が接続された共振器18が用いられている。実施例1に係る共振器18を有することによりラダー型フィルタ110は任意の周波数の減衰量を大幅に改善することができる。
図44は実施例12に係るラダー型フィルタ110aの構成図である。図44を参照に、ラダー型フィルタ110aは実施例10の共振器18に加え、残りの直列共振子S32にも励起効率を低減させた共振子を用いインダクタL32が接続されている。共振子S32、インダクタL32は実施例1に係る共振器19を構成している。このように、ラダー型フィルタ110aは、全ての直列共振子に励起効率を低減させた共振子を用いインダクタを付加している。これにより、実施例11に係るフィルタ110に比べ、任意の周波数の減衰量を改善することができる。
実施例11および12によれば、ラダー型フィルタにおいて、直列共振器の少なくとも1つはインダクタが並列に接続され、その他の共振子(第1の共振子)より励振効率の低減した第2の共振子を有する。これにより、実装面積が小さく、任意の周波数の減衰量を改善することができる。
なお、実施例2ないし12では、ラダー型フィルタの直列共振器にインダクタが並列に接続された第2の共振子を有する共振器18を適用する例であったが、並列共振器に実施例1に係る共振器18を適用してもよい。つまり、並列共振器および直列共振器の少なくとも一つが実施例1に係る共振器18であればよい。
図45(a)は実施例13に係るフィルタ110bの構成図である。図45(a)を参照に、フィルタ110bは、入力端子Inと出力端子Outとの間の2重モードSAW(DMS)フィルタ24の入力端子In側に実施例1に係る共振器18を直列に接続している。図45(b)はDMSフィルタ24の構成図である。図45(b)を参照に、DMSフィルタ24は2つの反射器R0の間に出力端子Out0に接続された2つの出力IDT02と入力端子In0に接続された1つの入力IDT01とを有する。このように、多重モードSAWフィルタに実施例1に係る共振器18を付加することもできる。これにより、多重モードSAWフィルタにおいても、任意の周波数の減衰量を改善することができる。
図46は実施例14に係るフィルタ110cの構成図である。図46を参照に、フィルタ110cは、実施例12で用いたDMSフィルタ24の両側に実施例1に係る共振器18および19を直列に接続している。また、共振器18とDMS24との間に並列に共振子P1を、出力端子Outに並列に共振子P2を接続している。このような構成の多重モードSAWフィルタにおいても、任意の周波数の減衰量を改善することができる。
図47(a)は実施例15に係るフィルタ110dの構成図である。図47(a)を参照に、フィルタ110dは、出力端子Out1およびOut2に接続したバランス型DMSフィルタ24aの入力端子In両側に実施例1に係る共振器18および19を直列に接続している。図47(b)はバランス型DMSフィルタ24aの構成図である。図47(b)を参照に、DMSフィルタ24aは2つの反射器R0の間に出力端子Out1およびOut2に接続された出力IDT01aと入力端子In0に接続された2つの出力IDT02とを有する。出力端子Out1およびOut2には位相の反転した信号が出力しバランス型DMSフィルタとして機能する。このような構成のバランス型多重モードSAWフィルタにおいても、任意の周波数の減衰量を改善することができる。
実施例14ないし15に係るフィルタによれば、多重モードSAWフィルタとインダクタとが並列に接続された第2の共振子を有することにより、実装面積が小さく、任意の周波数の減衰量を改善することが可能な多重モードSAWフィルタを提供することができる。
実施例11ないし15に係るフィルタは、第1の共振子と、第1の共振子より励起効率を低減させた第2の共振子S31およびS32と、第2の共振子S31およびS32と並列に接続されるインダクタL31およびL32と、を有している。これにより、小型化が可能、または、設計の自由度を向上させることが可能なフィルタを提供することができる。
実施例2ないし13は、第1の共振子および第2の共振子としてSAW共振子を用いた例であったが、圧電薄膜共振子を用いることもできる。この場合も、実施例1ないし12と同様の効果を奏することができる。
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。