以下、本発明の好ましい第一実施の形態のヒンジ式防水ゲート1について、添付図面を参照して説明する。まず、図1及び図2を参照して、ヒンジ式防水ゲート1の全体構造について説明する。図1は、本発明の第一実施の形態におけるヒンジ式防水ゲート1の水圧荷重方向(扉体20に水圧荷重が作用する方向であり、軌道部3において、水深の深い方から浅い方へ荷重が作用する方向)の上流側から視た正面図であり、図2(a)は、図1のIIa−IIa線におけるヒンジ式防水ゲート1の断面図であり、図2(b)は、図1の矢印IIb方向から視たヒンジ式防水ゲート1の側面図である。図2(a)に示す二点差線は、ヒンジ式防水ゲート1が開かれた状態における扉体20の配置状態と扉体20の回動軌跡を示している。なお、図2において、図1は、図2の矢印I方向視に対応している。
図1及び図2に示すように、本発明の第一実施の形態におけるヒンジ式防水ゲート1は、地下構造物(軌道部3)への浸水を防止するゲートであって、躯体2に対して水圧荷重方向上流側に設置されている。このヒンジ式防水ゲート1は、躯体2に保持される戸当り6と、軌道部3に設置される扉体20と、躯体2に対して扉体20を回動可能に連結する側部ヒンジ部10と、扉体20の表面20aの外縁に沿って延設される水密ゴム24と、扉体20の表面20aに配設される支圧板25とを備えている。まず、この軌道部3を形成する躯体2について説明する。
図1及び図2に示すように、躯体2は、地下構造物の外周面に沿って打設されたコンクリートの構造物によって形成され、躯体2の内周面から更に内側に突出する戸当り躯体部2aを備えている。更に、この戸当り躯体部2aに、枠状の戸当り6が設置される。
図1及び図2に示すように、戸当り6は、ヒンジ式防水ゲート1を閉じた場合に、扉体20の周縁に当接すべくこの扉体20の外縁に対向する金属部材であって、扉体20の外縁に沿って形成されるので、矩形状の扉体20に対応して枠状に形成されると共に、この戸当り6は水密プレート6aを備えている。
即ち、図1に示すように、戸当り6は、上下方向に延出する一対の側部戸当り6−1,6−1と、その一対の側部戸当り6−1,6−1の上部を連結する上部戸当り6−2と、一対の側部戸当り6−1,6−1の下部を連結する下部戸当り6−3とを備えている。図2に示すように、上部戸当り6−2は、扉体20の上部が当接する上部水密面6a´−2を有する上部水密プレート6a−2を備え、下部戸当り6−3は、扉体20の下部が当接する下部水密面6a´−3を有する下部水密プレート6a−3を備え、側部戸当り6−1,6−1は、扉体20の側部が当接する側部水密面6a´−1,6a´−1を有する側部水密プレート6a−1,6a−1(図3参照)を備えている。
図2に示すように、これらの水密プレート6aの水密面6a´には、後述する扉体20の外縁に沿って取り付けられる水密ゴム24が当接し、この水密ゴム24が水密プレート6aの水密面6a´に密着することにより、扉体20の周囲を水密状態にして、地下構造物への浸水を防止している。
また、図1に示すように、下部戸当り6−3には、一対の上面が凹んだ凹み(図1上下方向)である凹部6b,6bが扉体20の中心線X1を挟む位置に設けられ、この凹部6b,6bに一対の軌道レール4,4が設置されており、軌道レール4,4の上方には架線5,5がそれぞれ設置されている(図2参照)。
図1及び図2に示すように、扉体20は、後述する側部ヒンジ部10を介して回動されることにより、ヒンジ式防水ゲート1を開閉するものであり、扉体20は平板で構成されたスキンプレート23と、そのスキンプレート23に溶接される複数の桁22とを備えている。
図1に示すように、更に、扉体20は、後述するロック装置7と、後述する下部フラップ30と、その下部フラップ30を上下に回動させる後述する下部フラップ駆動装置38と、後述する上部フラップ50と、その上部フラップ50を上下に回動させる後述する上部フラップ駆動装置58とを備えている。これらについては後に詳しく説明する。
スキンプレート23は、扉体20の外縁に設けられた後述する水密ゴム24と共に、地下構造物への浸水を防止するものであって、扉体20の外縁に沿って略矩形平板状に構成されている。
図1に示すように、複数の桁22は、扉体20の幅方向(図1の左右方向)に延伸される主桁22a、扉体20の高さ方向(図1の上下方向)に延伸され、主桁22a間に介設される中間縦桁22b、及び扉体20の幅方向(図1の左右方向)両縁部にそれぞれ配設される共に複数本の主桁22aが連結される一対の端縦桁22cを備えている。
図2に示すように、扉体20は、通常は、鉄道車両の走行の支障とならないように軌道部3の側壁部に収納され、勝手に開閉しないように固定されている。緊急時、即ち地下構造物に対して浸水のおそれがある時に、事前に後述する側部ヒンジ部10を介して扉体20を回動させ、躯体2の開口部(軌道部3)を閉塞するように扉体20を配置することにより、ヒンジ式防水ゲート1が閉じられる(図2(a))。
このように、扉体20が回動する場合は、下部フラップ30を上方に引き上げると同時に上部フラップ50を下方に倒して共に開いた状態にしておき、後述する側部ヒンジ部10を介して扉体20を回動させて扉体20を躯体2の開口部(軌道部3)を横断して配設した後、ヒンジを中心に下部フラップ30及び上部フラップ50を回動させることにより下部フラップ30及び上部フラップ50が起立して、ヒンジ式防水ゲート1は完全に閉じられる(図2(b))。
次に、図3を参照して、側部ヒンジ部10について説明する。図3(a)は、図1の矢印IIIa方向から視た上側の側部ヒンジ部10の平面図であり、図3(b)は、図1の矢印IIIb方向から視た下側の側部ヒンジ部10´の平面図であり、図3(c)は、図3(a)のIIIc−IIIc線における上側の側部ヒンジ部10の断面図であり、図3(d)は、図3(b)のIIId−IIId線における下側の側部ヒンジ部10´の断面図である。
図3に示すように、側部ヒンジ部10,10´は、戸当り躯体部2aに対して扉体20を回動可能に支持するために設けられるヒンジである。この側部ヒンジ部10は、扉体20の上部の側部に設けられる上側の側部ヒンジ部10と、扉体20の下部の側部に下側の側部ヒンジ部10´とから構成されている。
側部ヒンジ部10,10´は、躯体2の戸当り躯体部2aに連結される戸当り側ブラケット11と、扉体20に連結される扉体側ブラケット12と、戸当り側ブラケット11及び扉体側ブラケット12を連結すると共に戸当り側ヒンジ軸部13a及び扉体側ヒンジ軸部13b,13´bを有する側部ヒンジ軸13,13´とを備えている。
なお、下側の側部ヒンジ部10´が戸当り側ブラケット11の戸当り側軸受部11dと扉体側ブラケット12の扉体側軸受部12dとを連結する連結軸受部14を備える点等を除き、上側の側部ヒンジ部10と下側の側部ヒンジ部10´とは、多くの部分が共通であるため、まず、上側の側部ヒンジ部10について説明し、その後下側の側部ヒンジ部10´に関して上側の側部ヒンジ部10と異なる構成について説明する。
図3(a)及び図3(c)に示すように、戸当り側ブラケット11は、側部水密プレート6a−1と連続して側部戸当り6−1に形成されるヒンジ座6cに取り付けられるブラケットであって、そのヒンジ座6cに取付けられる板状の固定板11aと、この固定板11aの上部及び下部からそれぞれ水平方向(図3(a)下方向)に延出する腕部11b,11bと、これらの腕部11b,11bを補強するために、固定板11aから上側の腕部11b及び下側の腕部11bを連結するように上下方向(図3(c)上下方向)に延出する補強部11cとを備えている。
腕部11b,11bは、戸当り側ヒンジ軸部13aが挿入される穴である戸当り側軸受穴部11d,11dを備え、この戸当り側軸受穴部11d,11dに滑り軸受11e,11eが嵌合され、この滑り軸受11e,11eにより戸当り側ヒンジ軸部13aを軸支している。
扉体側ブラケット12は、扉体20の側面に取り付けられるブラケットであって、その側面に取付けられる固定部12aと、固定部12aから水平方向(図3(a)右方向)に延出する腕部12bと、この腕部12bを補強するために腕部12b及び固定部12aを連結する補強部12cとを備えている。
腕部12bは、扉体側ヒンジ軸部13bが挿入される穴を有する筒状の扉体側軸受部12dを備え、この扉体側軸受部12dの筒状部に転がり軸受12eが取り付けられ、この転がり軸受12eにより、扉体側ヒンジ軸部13bを軸支している。
図3(c)に示すように、側部ヒンジ軸13は、軸状部材であって、戸当り側ヒンジ軸部13aと、扉体側ヒンジ軸部13bと、戸当り側ヒンジ軸部13a及び扉体側ヒンジ軸部13bを連結する連結軸部13cとを備えている。これらの戸当り側ヒンジ軸部13aの軸心O1と扉体側ヒンジ軸部13bの軸心O2とを偏心させて形成している。また、連結軸部13cは、扉体側ヒンジ軸部13bと同軸上で扉体側ヒンジ軸部13b及び戸当り側ヒンジ軸部13aより大径に形成されている。
次に、図3(b)及び図3(d)に示すように、下側の側部ヒンジ部10´は、上側の側部ヒンジ部10と同様に、戸当り側ブラケット11と、扉体側ブラケット12とを備えている。更に、上側の側部ヒンジ部10と異なり、戸当り側ヒンジ軸部13´a、扉体側ヒンジ軸部13´b及びこれらを連結する連結軸部13´cを有する側部ヒンジ軸13´と、連結軸部13´cを軸支するスラスト軸受14aとを有すると共に戸当り側ブラケット11及び扉体側ブラケット12を連結する連結軸受部14とを備えている。
図3(d)に示すように、この連結軸受部14は、連結軸部13´cが嵌合される孔を有して筒状に形成され、この連結軸受部14の筒状部にはスラスト軸受14aが取り付けられ、このスラスト軸受14aにより扉体20の回転軸である側部ヒンジ軸13,13´の軸方向に作用する荷重を受け止めることにより、扉体20を戸当り6を介して戸当り躯体部2aで支持している。
また、図3(d)に示すように、連結軸部13´cは、扉体側ヒンジ軸部13´bと同軸上で扉体側ヒンジ軸部13´b及び戸当り側ヒンジ軸部13aより大径に形成されている。スラスト軸受14aを配置するため、扉体側ヒンジ軸部13´bは、上側の扉体側ヒンジ軸部13bより軸心方向に長尺に形成されている。
戸当り側ヒンジ軸部13a,13aは、軸心O1を扉体側ヒンジ軸部13b,13b´の軸心O2と偏心させて形成されている(図4参照)。これにより、扉体20は、戸当り側ヒンジ軸部13a,13aを中心として、戸当り側ヒンジ軸部13a,13aと扉体側ヒンジ軸部13b,13´bとの偏心距離を半径として回動することができる。
図3(a)及び図3(b)に示すように、水密ゴム24は、扉体20の表面20aの周縁に沿って配設されることにより枠状に形成される(図示せず)と共に、扉体20の表面20aの周縁に取付けられる固定部24a及び水密プレート6aと当接するつぶれ部24bを有するゴム材であって、扉体20の側端縁部に沿って上下方向(図3(a)紙面手前から奥方向)に延設される一対の側部水密ゴム24−1,24−1と、その一対の側部水密ゴム24−1,24−1の上端を連結するように、扉体20の上端縁部を軌道レール4の軌道レール4の幅方向に延設される上部水密ゴム24−2と、その一対の側部水密ゴム24−1,24−1の下端を連結するように扉体20の下端縁部を軌道レール4の幅方向に延設される下部水密ゴム24−3とを備えている(図2(b)参照)。
図3(a)及び図3(b)に示すように、この水密ゴム24は、つぶれ部24bが戸当り6の水密プレート6aの水密面6a´に当接して潰されることにより、扉体20の周縁を水密にして水密性を確保し、止水性を確保している。
図3(a)及び図3(b)に示すように、支圧板25は、水密ゴム24の更に外側で、扉体20の表面20aの鉛直若しくは水平方向のどちらか一方側にのみ設置されている(図示せず)と共に、扉体20の水圧荷重方向と反対方向に突出する部材であって、この支圧板25を戸当り6の水密プレート6aの水密面6a´に当接させて、扉体20に作用する荷重を戸当り6を介して戸当り躯体部2aに伝達することにより、側部ヒンジ部10等に荷重が作用するのを防止している。
次に、図4を参照して、扉体20に荷重が作用した場合の側部ヒンジ軸13の作動状況について、上側の側部ヒンジ部10に着目して説明する。図4は、ヒンジ式防水ゲート1が閉じられる場合において、扉体20の回動状態を示すヒンジ式防水ゲート1の概略平面図であり、図4(a)は、扉体20に設置されている側部水密ゴム24−1の内、側部ヒンジ部10側の側部水密ゴム24−1が戸当り6の側部水密プレート6a−1に干渉して扉体20が全閉位置手前で停止した状態を示すヒンジ式防水ゲート1の概略平面図であり、図4(b)は、偏心した側部ヒンジ軸13が回転することにより、扉体20が全閉状態となった状態を示すヒンジ式防水ゲート1の概略平面図であり、図4(c)は、扉体20に水圧荷重が作用し、側部水密ゴム24−1が潰れ、両側の支圧板25,25が両側の側部水密プレート6a−1,6a−1の側部水密面6a´−1,6a´−1に当接した状態を示すヒンジ式防水ゲート1の概略平面図である。
なお、図4においては必要事項を模式的に示し、他の部分は省略している。また、図4のX2に示す仮想線は、扉体20に対向する各戸当り躯体部2a,2aの対向面を含む戸当り水密面を示し、図4の矢印X3は、水圧荷重方向(軌道部3(図2参照)において、水深の深い方から浅い方へ荷重が作用する方向)を示している。
図4(a)に示すように、扉体側ヒンジ軸部13bが転がり軸受12eで軸支され、戸当り側ヒンジ軸部13aが滑り軸受11eで軸支されているので、扉体20は、通常、摩擦係数の小さい転がり軸受12eで軸支される扉体側ヒンジ軸部13bを中心に回動する(図3(c),図3(d)参照)。従って、ヒンジ式防水ゲート1の全閉操作を行った場合、扉体20は、この扉体側ヒンジ軸部13bを中心に回動し、側部ヒンジ軸13側(図4右側)に配設される側部水密ゴム24−1のつぶれ部24bが側部水密プレート6a−1の側部水密面6a´−1に当接して潰されることにより、扉体20に反発力が発生する。
このため、図4(a)に示すように、扉体20は、扉体20の側部ヒンジ軸13から離間する側(図4左側)が開き勝手となった状態となる。この場合、図4に示すように、扉体側ヒンジ軸部13bの軸心O2は、戸当り側ヒンジ軸部13aの軸心O1と偏心しており、戸当り側ヒンジ軸部13aを軸支する戸当り側軸受部11dを備える戸当り側ブラケット11は、戸当り躯体部2aに固定されている(図3参照)。
よって、戸当り側ヒンジ軸部13aを中心にその戸当り側ヒンジ軸部13aと扉体側ヒンジ軸部13bとの偏心距離を半径として扉体20が回動可能となり、戸当り側ヒンジ軸部13a及びこれに連続して形成される扉体側ヒンジ軸部13bをこの偏心距離を利用したリンク機構として機能させることができる。
従って、図4(a)に示すように、扉体20は、扉体20の側部ヒンジ軸13から離間する側(図4左側)が開き勝手となった状態で停止した後に、更に、ヒンジ式防水ゲート1の閉動作を継続して扉体20を戸当り躯体部2a側(図4(a)上側)に回動させることにより、戸当り側ヒンジ軸部13aは、側部ヒンジ部10側の側部水密ゴム24−1の反発力により、O1を中心にB方向(閉動作の場合の回転方向と反対方向)に回動する。
これにより、扉体側ヒンジ軸部13bを戸当り躯体部2aから離間する方向に移動させて側部水密ゴム24−1の潰されたつぶれ部24bが元の状態にもどり、扉体20を戸当り躯体部2a側(図4(a)上側)に回動させることが可能となる。
よって、図4(b)に示すように、扉体20は戸当り水密面X2に対して平行に配設される全閉位置まで扉体20を容易に閉操作することができる。その後、ロック装置7等により、扉体20が勝手に開かないように固定する。
その後、図4(c)に示すように、扉体20に矢印X3方向の水圧荷重が作用すると、扉体20を戸当り6側(図4上側)に移動させようとする押圧力が発生する。この押圧力により、戸当り側ヒンジ軸部13aは滑り軸受11e(図3参照)の摩擦抵抗に打ち勝って矢印B´方向に回動可能となり、扉体20は、戸当り側ヒンジ軸部13aを中心として、戸当り側ヒンジ軸部13aと扉体側ヒンジ軸部13bとの偏心距離を半径として回転する。
よって、扉体20の両側に配設される側部水密ゴム24−1,24−1のつぶれ部24b、24bは、扉体20の両側に位置する側部水密プレート6a−1,6a−1の側部水密面6a´−1,6a´−1に当接して均等に潰されるので、扉体20の両側に対向する支圧板25が扉体20の両側に均等に当接して扉体20側の荷重を戸当り躯体部2a側に均等に作用させ、扉体20に作用する水圧をこの躯体部側で受け止めることができる。
従って、扉体20の側部ヒンジ軸13側(図4右側)に水圧荷重が作用することを防止して、側部ヒンジ部10を構成する側部ヒンジ軸13、その側部ヒンジ軸13を軸支する滑り軸受11e及び転がり軸受12e(図3参照)等の寿命を長期化することができる。
特に、本発明の第一実施の形態では、図3に示すように、扉体側ヒンジ軸部13bを転がり軸受12eで軸支すると共に戸当り側ヒンジ軸部13aを滑り軸受11eで軸支して、扉体側ヒンジ軸部13bが軸支される軸受部材の摩擦係数を戸当り側ヒンジ軸部13aが軸支される軸受部材の摩擦係数より小さく設定することで両者の間に差を設けている。
よって、通常の場合は、摩擦係数の小さい転がり軸受12eによって軸支される扉体側ヒンジ軸部13bを中心として、扉体20を回動させるので、扉体20の開閉を簡易に行うことができる。また、通常は戸当り側ヒンジ軸部13aを積極的に回転させないことにより、扉体20を戸当り水密面X2に対して平行となる全閉状態とした際に、戸当り6と側部ヒンジ部10側の側部水密ゴム24−1が接する位置に側部ヒンジ軸13がセットされ、保持されるので、全閉位置まで閉操作を行う際に、側部ヒンジ部10側の側部水密ゴム24−1が潰れない状態で閉操作を行うことができる。
従って、全閉操作を行う際の抵抗は、扉体側ヒンジ軸部13bが転がり軸受12eの回動抵抗のみとなるため、全閉操作を容易に行うことができる。その後、扉体20に水圧荷重が作用し、扉体20が側部水密プレート6a−1の側部水密面6a´−1側へ押されることにより、戸当り側ヒンジ軸部13aが回動し、側部水密ゴム24−1が側部水密プレート6a−1の側部水密面6a´−1に当接して均等に潰されるので、扉体20の両側部の支圧板25を側部水密プレート6a−1の側部水密面6a´−1に確実に当接させることができる。
これにより、扉体20側の荷重を戸当り躯体部2a側に均等に作用させ、扉体20に作用する水圧をこの躯体2側で受け止めることができる。
このように、扉体20の側部ヒンジ軸13側(図4右側)に水圧荷重が作用することを防止して、側部ヒンジ部10を構成する側部ヒンジ軸13、その側部ヒンジ軸13を軸支する滑り軸受11e及び転がり軸受12e(図3参照)等の寿命を長期化することができる。
図5及び図6を参照して、扉体20の下部構造について説明する。図5は、扉体20の下部の側面図であり、図5(a)は、下部水密ゴム24−3が下部水密プレート6a−3の下部水密面6a´−3に当接する起立状態を示しており、図5(b)は、下部水密ゴム24−3が軌道レール4の上面4aに当接する起立状態を示しており、図5(c)は、図5(b)のB部を拡大して示している。
図6(a)は、図5(a)の下部ヒンジ部32のA部拡大側面図であり、図6(b)は、後述する水密ボックス36を取り外した状態での図6(a)の下部ヒンジ部32の正面図である。なお、図5(a),図5(b)においては、扉体20の長さ方向が省略されている。また、図6(a)に示す2点鎖線は、下部フラップ30を上方に引き上げて開いた状態を示している。
図5(a)及び図5(b)に示すように、扉体20は、下部フラップ30を後述する下部フラップ駆動装置38により下部水密プレート6a−3の下部水密面6a´−3側に回動させることにより下部フラップ30を起立状態として、下部水密ゴム24−3を下部水密プレート6a−3の下部水密面6a´−3と軌道レール4の上面4aとに当接させることにより扉体20の下部を水密にしている。扉体20は、扉体本体21と、扉体20の下部に配設される下部フラップ30と、扉体本体21に対して下部フラップ30を回動可能に連結する下部ヒンジ部32とを有して構成されている。
図5(a)に示すように、下部フラップ駆動装置38は、下部フラップ30を駆動させる装置であって、操作者が操作するハンドル38aと、そのハンドル38aを操作することにより上下するシリンダロッド38bと、シリンダロット38bに連結されるロッド38eと、シリンダロット38b及びロッド38eを連結するリンクピン38cと、扉体20の表面20a及び裏面20bを連結すると共に扉体20の幅方向に延出する主桁22aにロッド38eを支持させるロッドサポート38dと、ロッド38eの下端に取付けられると共に下部フラップ30に連結されるリンク部材38fとを備えている。
図5(a)に示すように、シリンダロッド38bに連結されるロッド38eは、リンク部材38fを介して下部フラップ30と連結され、リンク部材38fに連結される下部フラップ30は、扉体20の基本構造物である扉体本体21に対して後述する下部ヒンジ軸35を中心に回動可能に取付けられている。
図5(a)から図5(c)に示すように、ロッド38eが下方に移動すると、下部フラップ30は、後述する下部ヒンジ軸35を中心に下向きに回動し扉体20から起立して扉体本体21の鉛直下方に位置する。この場合、後述するように、下部フラップ30の下部水密ゴム24−3は、側部戸当り6−1(図2(a)参照)及び下部戸当り6−3に対向する部分を側部戸当り6−1の側部水密プレート6a−1の側部水密面6a´−1(図2(a)参照)及び下部戸当り6−3の下部水密プレート6a−3の下部水密面6a´−3に当接させると共に、軌道レール4の上側に位置する部分を軌道レール4の上面4aに当接させるので、下部フラップ30の側部及び下部を水密にすると同時に扉体20の上部及び側部を水密にして、地下構造物への浸水を防止することができる。
図5(a)に示すように、下部フラップ30は、下部フラップ側ブラケット33によって扉体本体21に対して上下に回動可能に連結される構造物であって、扉体本体21の下部に取り付けられる。扉体20が回動する場合に、下部フラップ30を上側(図5(a)上側)に引き上げて開いた状態とすることにより、軌道レール4と扉体本体21との干渉が防止されている。
ここで、図1に戻って下部フラップ30の全体構造について説明する。図1に示すように、下部フラップ30は、断面矩形状かつ扉体本体21の下部に沿って正面視矩形状に形成される下部フラップ本体部31と、扉体20の中心線X1を挟んで配設される一対の軌道レール4を避けるように、扉体20の中心線X1を挟んで配設される一対の凹部31a,31aと、下部フラップ側ブラケット33が取り付けられる固定部31bとを備えている。
凹部31a,31aは、下部フラップ本体部31の軌道レール4に対応して下部中央に設けられた下面が凹んだ凹みであって、下部戸当り6−3,6−3に設けられた上面が凹んだ凹部6b,6bと嵌合することにより、下部戸当り6−3,6−3の凹部6b,6bを水密にしている。
図5に戻って、下部フラップの詳細構造について説明する。下部フラップ30は、更に、下部フラップ本体部31の裏面30b(水圧荷重方向上流側の面)から更に裏側(水圧荷重方向上流側)に突出して形成されるリンク固定部31cと、下部フラップ本体部31の表面30a(水圧荷重方向下流側の面)の上端に取付けられるフラップ側突き当てゴム31dと、下部フラップ本体部31の表面30aの側端及び下端に沿って軌道レール4の幅方向及び上下方向に延設されるコの字型の下部水密ゴム24−3とを備えている。
図5(a)に示すように、固定部31bは、下部フラップ本体部31の上面に設けられる共に、扉体本体21に対して回動可能に連結する下部フラップ側ブラケット33が取付けられる。また、リンク固定部31cは、下部フラップ駆動装置38のロッド38eの直下に位置してリンク部材38fが取付けられる。このように、下部フラップ側ブラケット33が取り付けられる下部フラップ本体部31に下部フラップ駆動装置38のリンク部材38fが取り付けられることにより、下部フラップ本体部31と下部フラップ駆動装置38とが連結され、下部フラップ30は、下部フラップ駆動装置38により駆動される。
図5(a)及び図5(b)に示すように、下部フラップ本体部31の表面30aの上端に取付けられるフラップ側突き当てゴム31dは、下部フラップ30の起立時に、扉体本体21の表側(水圧荷重方向下流側)の下端に取付けられる本体側突き当てゴム31eと接触して扉体本体21と下部フラップ30との間を水密にしている。
図5(a)から図5(c)に示すように、下部フラップ本体部31の表面30aの側端及び下端に沿って軌道レール4の幅方向及び上下方向に延設されるコの字型の下部水密ゴム24−3は、下部水密プレート6a−3の下部水密面6a´−3(図2(b)参照)に当接するフラップ部24´−3´と、軌道レール4の上面4aに当接する軌道レール部24´´−3´´とを備えている。
図5(a)に示すように、下部水密ゴム24−3のフラップ部24´−3´は、上部水密ゴム24−2及び側部水密ゴム24−1と同様に、断面P字状に形成され、下部フラップ本体部31の表面30aに取り付けられる固定部24aと、下部水密プレート6a−3の下部水密面6a´−3と当接する突出部分である円形のつぶれ部24bとを備えている。
図5(b)及び図5(c)に示すように、下部水密ゴム24−3の軌道レール部24´´−3´´は、下部フラップ30の側面視(下部ヒンジ軸35の軸心O3方向から視て)L字状に形成され、下部フラップ本体部31の表面30aに沿って下方に延出させて固定される長尺部分である固定部24cと、その固定部24cの下端から下部フラップ本体部31側に延設されると共に軌道レール4の上面4aに当接される短尺部分である軌道レール水密部24dとを備えている。
図6(a)及び図6(b)に示すように、下部ヒンジ部32は、扉体本体21に対して下部フラップ30を回動可能に連結するためのヒンジであって、下部フラップ本体部31に固定される下部フラップ側ブラケット33と、下部フラップ側ブラケット33を扉体本体21に対して回動可能に扉体本体21に連結する下部ヒンジ軸35と、その下部ヒンジ軸35を下部ヒンジ軸35の両端で扉体本体21に固定するホルダ34,34とを備えている。
下部フラップ側ブラケット33は、下部フラップ本体部31に取り付けられるブラケットであって、下部フラップ本体部31に取付けられる固定部33aと、下部ヒンジ軸35を軸支する軸受穴33b−1を有する軸受部33bと、固定部33a及び軸受部33bを連結する腕部33cと、固定部33a及び腕部33cを連結して補強する補強部33dとを備え、軸受部33bを腕部cより突出させた側面視(下部ヒンジ軸35の軸心O3側から視て)L型に形成されている。
なお、図6(a)及び図6(b)に示すように、スキンプレート23を切り欠いて後述する開口部21aを設けることにより、この突出した軸受部33bを扉体本体21の表面20a(水圧荷重方向下流側の面)より更に表側(水圧荷重方向下流側)に突出させた状態で下部フラップ側ブラケット33を扉体本体21に連結することができる。
図6(a)に示すように、固定部33aは下部フラップ本体部31の上面に沿って延出する板状部材であって、固定ボルトが取付けられている。軸受部33bは中心部に軸受穴33b−1が形成される筒状部材であって、軸受穴33b−1には下部ヒンジ軸35が挿入されている。腕部33cは側面視(下部ヒンジ軸35の軸心方向から視て)三角形状の板状部材であって、頂点側に軸受部33bが設けられると共に底辺側に固定部33aが設けられている。補強部33dは、正面視(下部ヒンジ軸35の軸径方向から視て)台形状の板状部材であって、固定部33aの上面及び腕部33cの平面を連結している。
図6(a)及び図6(b)に示すように、ホルダ34は、一側面側(図6(a)右側)に半円形の保持部34aを備え、下部ヒンジ軸35を扉体本体21に固定するための部材であって、下部ヒンジ軸35の両端にそれぞれ一つずつ配置されている。下部ヒンジ軸35は、軸状部材であって、中央部分が下部フラップ側ブラケット33の軸受部33bの軸受孔33b−1に挿入されて軸支されると共に、両端部分がホルダ34の保持部34aに保持されている。
図6(a)及び図6(b)に示すように、扉体本体21は、更に、下部フラップ側ブラケット33の軸受部33bが挿入される開口部21aと、その開口部21aの両側に位置する軸固定部材21b,21bと、その軸固定部材21b,21bの上下端で軸固定部材21b,21b同士を結合する板状部材21c,21cと、その軸固定部材21b,21b及び板状部材21c,21cを四辺として設置される板状部材で構成される水密ボックス36を扉体本体21の下部に備えている。
図6(a)及び図6(b)に示すように、開口部21aは扉体本体21の表面20aに開口する穴であり、軸固定部材21bは、開口部21aの両側に位置する板状部分であり、ホルダ34の一部を収容するために扉体本体21の表面20a(水圧荷重方向下流側の面)を更に表側(水圧荷重方向下流側)に突出させて形成される凹みである保持凹部21b−1と、その保持凹部21b−1から更に表側(水圧荷重方向下流側)に突出させて形成される側面視(下部ヒンジ軸35の軸心O3方向から視て)半円形状の凹みであるヒンジ軸収容凹部21b−2とを有し、そのヒンジ軸収容凹部21b−2はホルダ34の保持部34aと共に下部ヒンジ軸35の端部を挟持する。
図6(a)及び図6(b)に示すように、その軸固定部材21b,21b及び板状部材21c,21cを四辺として設置される板状部材で構成される水密ボックス36は一面側を開放させて形成される箱型の部材であって、水密ボックス36の解放側端部をスキンプレート23に当接させた状態で扉体本体21の表面20a(水圧荷重方向下流側の面)に取り付けて扉体本体21の開口部21aを塞ぐと共に、箱型の部材の内部に下部フラップ側ブラケット33の軸受部33bとその両側に配設されるホルダ34,34とを収容している。よって、スキンプレート23を切り欠いて開口部21aを設けた場合であっても、この水密ボックス36により浸入した水が塞き止められるので、地下構造物へ浸水することを防止している。
次に、下部フラップ側ブラケット33の扉体本体21への取付けについて説明する。図6(b)に示すように、まず、下部フラップ側ブラケット33の軸受部33bの軸受穴33b−1に下部ヒンジ軸35を挿入し、下部ヒンジ軸35が挿入された下部フラップ側ブラケット33の軸受部33bを扉体本体21の開口部21aに挿入する。次に、下部ヒンジ軸35の両端を軸固定部材21b,21bのヒンジ軸収容凹部21b−2,21b−2に当接させた状態で、ホルダ34,34を軸固定部材21bの保持凹部21b−1に挿入し、ホルダ34の保持部34aを下部ヒンジ軸35の両端にそれぞれ当接させてホルダ34を軸固定部材21bに取付けることにより、下部フラップ側ブラケット33は扉体本体21に対して回動可能な状態で連結される。よって、下部フラップ30は、扉体本体21に対して回動可能となる。
また、下部ヒンジ軸35の軸心O3は、下部フラップ本体部31の表面30a(水圧荷重方向下流側の面)より下部水密プレート6a−3に突設(下部フラップ本体部31の表面30a(水圧荷重方向下流側の面)より水圧荷重方向の下流側(図6(a)右側)に設定)されており、下部ヒンジ軸35の軸心O3の鉛直下方には下部水密ゴム24−3が配設されている。
よって、図6(a)に示すように、下部フラップ30は、下部水密ゴム24−3が、下部ヒンジ軸35の軸心O3の鉛直下方手前まで軌道レール4と干渉しないので、少なくとも下部フラップ本体部31の表面30a(水圧荷重方向下流側の面)が扉体本体21の表面20a(水圧荷重方向下流側の面)と同一平面上に配設されるまで回動可能となる。
従って、下部フラップ30に設置した下部水密ゴム24−3の軌道レール部24´´−3´´の移動軌跡が最も軌道レール4側に近接する点である移動軌跡の下死点の手前で下部フラップ30が軌道レール4に干渉しないので、下部フラップ30の移動軌跡の下死点で下部水密ゴム24−3の軌道レール部24´´−3´´を軌道レール4の上面4aに当接させることができる。なお、本発明の第一実施の形態では、下部フラップ本体部31の表面30aが扉体本体21の表面20aと同一平面状に配設された場合に、下部フラップ30の移動軌跡が下死点となる(図5(a)及び図5(b)参照)。
従って、図5(a)及び図5(b)に示すように、下部フラップ30が、上方に引き上げられた状態から起立状態に向けて下方に回動した場合に、下部水密ゴム24−3の軌道レール部24´´−3´´が、下部ヒンジ軸35の軸心O3の鉛直下方手前まで軌道レール4と干渉しないので、下部フラップ本体部31の表面30a(水圧荷重方向下流側の面)が扉体本体21の表面20a(水圧荷重方向下流側の面)と同一平面に配設された場合に、下部水密ゴム24−3の軌道レール用水密部24´´−3´´を軌道レール4の上面4aに当接させると共に、下部水密ゴム24−3のフラップ部24´−3´を下部水密面6a´−3とに当接させることができる。
このように、下部水密面6a´−3を側部水密面6a´−1及び上部水密面6a´−2と同一平面上に設定でき、側部水密プレート6a−1の側部水密面6a´−1(図2(a)参照)、下部水密プレート6a−3の下部水密面6a´−3及び上部水密プレート6a−2の上部水密面6a´−2を一面にして精度管理を同時に行うことができ、水密面の精度管理を容易化し、水密性を向上させることができると共に、一面の水密面のみの精度管理でよいので施工コストを低減させることができる。
更に、図5(c)に示すように、下部水密ゴム24−3の軌道レール用水密部24´´−3´´は、軌道レール用水密部の固定部24cの軌道レール4側の端部から下部フラップ30側に延設されると共に、軌道レール4の上面4aに当接する軌道レール水密部24dに水圧荷重を作用させることにより、下部水密ゴム24−3の軌道レール水密部24dを軌道レール4側(図5(c)下側)押圧して下部水密ゴム24−3の軌道レール水密部24dを軌道レール4に密着させることができ、軌道レール4の水密性を向上させることができる。
次に、図7及び図8を参照して、扉体20の上部構造について説明する。図7は、上部フラップ50の拡大正面図であり、図8(a)は、架線部水密ゴム57の平面図であり、図8(b)は、架線部水密ゴム57の正面図であり、図8(c)は、本体側架線部水密ゴム57aの斜視図である。なお、図7のX1は、扉体20の中心を示す線であり、図8(a)の矢印X3は水圧荷重方向を示している。また、本発明の第一実施の形態における扉体20の上部フラップ50は横方向への移動が比較的少ない(15mm程度)以下の場合を対象としている。
図7に示すように、扉体20(図1参照)は、ヒンジ(上側)の扉体側ブラケット12とヒンジ(下側)の扉体側ブラケット12(図1参照)とが取付けられる本体部21−1及びその本体部21−1の上部の中央より扉体側ブラケット12側の領域(図7において中心線X1より右側)に配設される上部フラップ隣接部21−2を有する扉体本体21と、扉体本体21の上部フラップ隣接部21−2と扉体本体21の本体部21−1とで囲まれる領域(図7において中心線X1より左側)に配設される上部フラップ50とを備えている。
図7に示すように、上部フラップ50は、側部ヒンジ部10(図1参照)を介して扉体20が回動する場合に、架線5と扉体20との干渉を防止するために、扉体本体21に対して上下に回動可能に扉体本体21の上部に取り付けられる構造物であって、上部フラップ本体51と、上部フラップ本体51及び扉体本体21とを水密にするフラップ水密ゴム52と、扉体本体21に対して上部フラップ50を回動可能に連結する上部ヒンジ部53と、軌道部3の上方に配設される架線5を水密にする架線部水密ゴム57と、上部フラップ50を駆動させる上部フラップ駆動装置58とを備えている。
図7に示すように、上部フラップ本体51は、平面視矩形状に形成される構造物であって、上部側のスキンプレート23の裏側(水圧荷重方向上流側)に溶接により連結される補助横桁51aと主桁51bとを備えている。主桁51bは上部フラップ50の高さ方向(図7の上下方向)に延伸されると共に補助横桁51a間に介設され、補助横桁51aは、上部フラップ本体51の幅方向(図7の左右方向)に延伸されている。
また、上部フラップ本体51は、扉体本体21の上部フラップ隣接部21−2の側方に扉体本体21の上部フラップ隣接部21−2と隣り合って配設され、後述する上部フラップ側ブラケット55と、上部フラップ駆動装置58の取付部58fとを備えている。
図7に示すように、フラップ水密ゴム52は、架線5の周囲を避けて(上部フラップ50が起立したときに架線5の高さに該当する部分を除いて)、扉体本体21の上部フラップ隣接部21−2と上部フラップ本体51との対向部分及び扉体本体21の本体部21−1と上部フラップ50との対向部分とに設けられるゴム部材であって、扉体本体21の上部フラップ本体51と対向する側面に沿って設けられる本体側フラップ水密ゴム52aと、上部フラップ本体51の扉体本体21と対向する側面に沿って設けられるフラップ側フラップ水密ゴム52bとを備えている。なお、上部フラップ50の起立時には、架線5の周囲には架線部水密ゴム57が配設される。
図7に示すように、上部ヒンジ部53は、扉体本体21に対して上部フラップ本体51を回動可能に支持するためのヒンジであって、扉体本体21に連結される扉体本体側ブラケット54と、上部フラップ50側に連結される上部フラップ側ブラケット55と、扉体本体側ブラケット54に対して上部フラップ側ブラケット55を回動可能に連結する上部フラップ軸56とを備えている。
図7に示すように、扉体本体側ブラケット54は、扉体本体21に取り付けられるブラケットであって、扉体本体21の本体部21−1の上面に突設された断面T字状の支持部材21−1aに連結される固定部54aと、固定部54aから上方(上部フラップ本体51側)に延出する一対の支持部54b,54bと、固定部54a及び一対の支持部54b,54bを連結して補強する補強部54cとを備えている。
固定部54aは、扉体本体21の支持部材21−1aの上面に沿って形成される長方形の板状部材であり、支持部54bは、固定部54aの上面の短辺に沿って更に上側に(図7上側)延出する板状部材であって、上端側に後述する上部フラップ軸56が挿入される穴である挿入穴54b−1が穿設されている。補強部54cは固定部54aの上面の長辺に沿って更に上側(図7上側)に延出する板状部材であって、一対の支持部54b,54bの間で支持部54bと直交して更に上側(図7上側)に延出する突出片54c−1を備えている。
この突出片54c−1は、上部フラップ軸56側、即ち扉体本体21の本体部21−1の厚さ方向(図7紙面手前から奥方向)に指向するピン54c−1aを保持している。このピン54c−1aは、一対の支持部54b,54bの間の略中間に位置している。
図7に示すように、上部フラップ側ブラケット55は、上部フラップ軸56を軸支するために上部フラップ本体51に一体的に設けられる軸受部であって、上部フラップ本体51の主桁51bの扉体本体21の本体部21−1側の端部から扉体本体21の本体部21−1側(図7下側)に延出する連結プレート55aと、上部フラップ本体51の幅方向(図7左右方向)に延出されてその連結プレート55aから突設される円筒状のボスであるボス部55bとを備えている。上部フラップ側ブラケット55のボス部55bは、上部フラップ軸56が軸支される孔である軸受孔55b−1と、扉体本体側ブラケット54の突出片54c−1に保持されたピン54c−1aが挿入されて移動する溝である溝部55b−2とを備えている。
上部フラップ側ブラケット55のボス部55bの溝部55b−2は、ボス部55bの外周面に螺旋状に形成されている。その溝部55b−2は、ボス部55bの外端面に接合される連結プレート55aに対して上部フラップ軸56の軸心方向(図7左右方向)で斜めに延出され、扉体本体21の支持部材21−1a側(図7下側)の端部に比べて主桁51b側(図7上側)の端部が連結プレート55a側(図7右側)に近接して配置されている。即ち、その溝部55b−2の主桁51b側(図7上側)の端部が連結プレート55aに近接すると共にその溝部55b−2の扉体本体21の支持部材21−1a側(図7下側)の端部が連結プレート55aから離間している。
図7に示すように、上部フラップ軸56は、軸状部材であって、一対の支持部54b,54bに設けられた挿入穴54b−1,54b−1に両端を嵌合させ、その両端を軸心方向(図7の左右方向)に動かないように固定している。上部フラップ軸56の中央部分は、上部フラップ側ブラケット55のボス部55bに遊嵌されている。
更に、図7に示すように、一対の支持部54b,54bの間(図7の左右方向)の距離をボス部55bの上部フラップ軸56の軸心方向(図7の左右方向)における距離より大きく設定することで、上部フラップ側ブラケット55のボス部55bは上部フラップ軸56を軸心方向(図7の左右方向)に摺動可能に構成されている。
しかも、上部フラップ50が立ち上げられた場合に挿入される溝部55b−2の位置は、上部フラップ50が水圧荷重方向(下方)に倒されている場合にピン54c−1aが挿入される溝部55b−2の位置より連結プレート55aから離間しているため、上部フラップ50は、立ち上げられると、扉体本体21の上部フラップ隣接部21−2側(図7右側)に移動する。
図7に示すように、上部フラップ駆動装置58は、上部フラップ50を上下に回動させる駆動装置であって、ハンドル58a(図1参照)に連結されるロッド58bと、そのロッド58bにロッドピン58dにより連結されるリンク部材58cと、リンクピン58eによりリンク部材58cに連結される取付部58fとを備えている。
ハンドル58aによりロッド58bを上方に伸長させると、リンク部材58cにより上部フラップ50は、上部フラップ50の上部フラップ軸56を中心に上方、即ち水圧荷重方向の下流側(図7紙面手前から奥方向)回動しながら側方に移動、即ち斜め上方に移動し、上部フラップ50が扉体本体21の上部フラップ隣接部21−2の側方に配設されて、上部フラップ50の上端に取り付けられる上部水密ゴム24−2が上部水密プレート6a−2の上部水密面6a´−2と接触する起立状態となる(図2(b)参照)。
ここで、上部フラップ50を起立させる場合は、上部フラップ50は、通常、扉体本体21側に倒された状態で扉体本体21に支持されているので、側部ヒンジ部10(図1参照)を介して扉体20を回動させてヒンジ式防水ゲート1を閉じた後、上部フラップ50を上部フラップ駆動装置58により上方に回動させる。
このように、上部フラップ50を上方に回動させると、溝部55b−2に挿入されたピン54c−1aが溝部55b−2に沿って扉体本体21の上部フラップ隣接部21−2側(図7右側)に移動するので、上部フラップ50は斜め上方に移動して、上部水密ゴム24−2が上部水密プレート6a−2の上部水密面6a´−2(図2(b)参照)と接触する起立状態となる。
即ち、上部フラップ50は、上方に(図7紙面手前から奥方向)起立しながら、扉体本体21の上部フラップ隣接部21−2側に上部フラップ本体51の幅方向(図7左右方向)で扉体本体21の上部フラップ隣接部21−2側(図7右側)に移動する。
よって、上部フラップ50を上方に回動させることにより、上部フラップ50を扉体本体21の上部フラップ隣接部21−2の側方に配設して起立させて、上部水密ゴム24−2を上部水密プレート6a−2の上部水密面6a´−2(図2(b)参照)と接触させると共にフラップ側フラップ水密ゴム52bを本体側フラップ水密ゴム52aに接合させることにより、上部フラップ50の外縁を水密状態にする。加えて、フラップ側架線部水密ゴム57bを本体側架線部水密ゴム57aに接合させて収容溝57a−1に架線5を収容して水密にする。
即ち、上部フラップ50が起立されると、上部フラップ側ブラケット55に設けられて上部フラップ軸56側に指向するピン54c−1aが、扉体本体側ブラケット54に設けられてピン54c−1aと嵌合すると共に上部フラップ軸56の軸心に沿って上部フラップ軸56の周方向に螺旋状に延出する溝部55b−2を摺動するので、上部フラップ50と共にフラップ側架線部水密ゴム57bは、扉体本体21の上部フラップ隣接部21−2側に向けて斜め上方に移動させられて本体側架線部水密ゴム57aに接合され、収容溝57a−1に架線5が収容される。
従って、上部フラップ50を起立させるだけで、架線5を収容溝57a−1に収容することができるので、架線部水密ゴム57を移動させる移動装置を不要として扉体20の構造を簡易化することができる。また、上部フラップ50の起立とは別に独立して架線部水密ゴム57を移動させる必要がないので、架線部水密ゴム57を移動させる工程及び操作を不要としてヒンジ式防水ゲート1の全閉操作の工程及び全閉操作に要する時間を減少させることができる。
更に、フラップ側架線部水密ゴム57bが上部フラップ50と共に移動する、即ち、フラップ側架線部水密ゴム57bが上部フラップ50とは別に独立して移動しないので、上部フラップ50とフラップ側架線部水密ゴム57bとの水密性を向上させることができ、また、本体側架線部水密ゴム57aが扉体本体21の上部フラップ隣接部21−2とは別に独立して移動しないので、扉体本体21の上部フラップ隣接部21−2と本体側架線部水密ゴム57aとの水密性を向上させることができ、よって、フラップ側架線部水密ゴム57bと本体側架線部水密ゴム57aとの水密性を向上させることができる。
上部フラップ側ブラケット55は上部フラップ軸56の軸心方向に延出するボス部55bを備え、このボス部55bの外周面に溝部55b−2を設けると共に、扉体本体側ブラケット54はボス部55bの外周面を覆う突出片54c−1を設け、この突出片54c−1にピン54c−1aが保持されるので、上部フラップ側ブラケット55のボス部55bの外向きの湾曲した外周面に溝部55b−2を形成することができ、溝部55b−2を簡易な構成で形成することができる。
図8(a)及び図8(b)に示すように、架線部水密ゴム57は、水圧荷重方向の下流側(図8(a)下側)に延出する突出部57h−1,57h−2とその突出部57h−1,57h−2の水圧荷重方向の下流側(図8(a)下側)端部から扉体20の両側方(図8(a)左右方向)に延出する側部57g−1,57g−2とを備えて平面視T字状に形成されるゴム部材であって、扉体本体21の上部フラップ隣接部21−2に固定される平面視L字状の本体側架線部水密ゴム57aと、上部フラップ本体51に固定される平面視L字状のフラップ側架線部水密ゴム57bとで構成されている。
図8(a)及び図8(b)に示すように、本体側架線部水密ゴム57aの突出部57h−2のフラップ側架線部水密ゴム57b側の側面は、フラップ側架線部水密ゴム57bの突出部57h−1の本体側架線部水密ゴム57a側の側面と接合されて収容溝57a−1に架線5を収容する。この収容溝57a−1(図8(c)参照)は、本体側架線部水密ゴム57aの側面に形成されている。また、本体側架線部水密ゴム57aの側部57g−2が扉体本体21の上部フラップ隣接部21−2に取り付けられるゴムホルダ57d上に設置されている。フラップ側架線部水密ゴム57bの側部57g−1が、上部フラップ本体51に取り付けられるゴムホルダ57d上に設置されている。
本体側架線部水密ゴム57aは、側部57g及び突出部57hの外側に露出する面である、L字状の水圧面57fを備え、そのL字状の水圧面57fに水圧荷重が作用するので、架線5の周囲の水密性を向上させることができる。
即ち、本体側架線部水密ゴム57aのL字型の水圧面57f−1及びフラップ側架線部水密ゴム57bのL字型の水圧面57f−2が水圧荷重によって押圧されると、本体側架線部水密ゴム57aの突出部57h−1の及びフラップ側架線部水密ゴム57bの突出部57h−2が互いに密着する方向に収縮して本体側架線部水密ゴム57aの接合面及びフラップ側架線部水密ゴム57bの接合面とが密着し、収容溝57a−1に収容された架線5が本体側架線部水密ゴム57aの接合面とフラップ側架線部水密ゴム57bの接合面とで挟持されるので、水圧荷重が発生した場合には架線5の周囲の水密性を向上させることができる。
一方、水圧荷重が発生する前においては、水圧荷重によって架線部水密ゴム57の各突出部57h−1,57h−2が互いに近接する方向に収縮して密着していないので、架線5は架線部水密ゴム57の各突出部57h−1,57h−2によって挟持されず、架線5に作用する荷重を可及的に小さくすることができる。
図8(c)に示すように、本体側架線部水密ゴム57aは、架線5の高さに一致させて形成される複数の収容溝57a−1a,57a−1bを備え、その複数の収容溝57a−1a,57a−1bは、上部フラップ本体51の厚さ方向(図8(a)上下方向)に貫通する溝であって、架線5が収容される。
図8(c)に示すように、本体側架線部水密ゴム57aの収容溝57a−1a,57a−1bは、水圧荷重方向で下流側から上流側にかけて断面積が縮小する台形形状に形成され、水圧荷重方向の上流側を架線5の外形に沿った半円形状に形成され、水圧荷重方向の下流側を架線5の外形より大きく設定されると共に架線5の周囲に隙間を現出させた矩形状に形成されている。
この収容溝57a−1,57a−1bの水圧荷重方向の上流側では、架線5を収容溝57a−1,57a−1bに接触させて挟持すると共に、収容溝57a−1,57a−1bの水圧荷重方向の下流側では、架線5の周囲に隙間を現出させている。また、収容溝57a−1,57a−1bは上下方向に2つ形成され、上方の収容溝57a−1aに2本の架線5を上部フラップ本体51の幅方向(図7の左右方向)に隣接させて収容するとともに、下方の収容溝57a−1bに2本の架線5を上下に隣接させて収容している。
図8(a)及び図8(b)に示すように、架線5は、上流側から下流側にかけて断面積が拡大する台形形状に形成される収容溝57a−1a,57a−1bに収容される。よって、架線5の水圧荷重方向上流側では、架線5が収容溝57a−1a,57a−1bに接触するものの、架線5の水圧荷重方向の下流側では、架線5の周囲に隙間が現出されるので、架線5に縦断勾配があった場合を含め、架線部水密ゴム57は、扉体本体21が軌道部3(図2(a)参照)側に回動した場合に、架線5と架線部水密ゴム57とが接触する水密部を除く部分では、架線5に架線部水密ゴム57が干渉するのを最小限として、架線5に横方向(軌道レール4の直角方向)へ過大な外力が作用させることなく架線5を収容溝57a−1a,57a−1bに収容することができる。
即ち、収容溝57a−1a,57a−1bの開口面積は、架線5と収容溝57a−1の内側面とを接触させる水圧荷重方向の上流側より、架線5と収容溝57a−1の内周面との間に隙間を設けた下流側で大きく設定されるので、本体側架線部水密ゴム57aとフラップ側架線部水密ゴム57bとに水圧荷重が作用すると、水圧荷重方向の上流側でのみ架線5が収容溝57a−1に密着させられて水密性が確保される。
しかも、その架線部水密ゴム57に水圧荷重が作用した場合には、本体側架線部水密ゴム57aとフラップ側架線部水密ゴム57bのL字状の水圧面57fに水圧荷重が作用して、架線5の水圧荷重方向の下流側で架線5の周囲に現出される隙間を小さくする方向に水圧荷重が作用するため、架線5を収容溝57a−1a,57a−1bに収容した後、水圧荷重が作用した場合に架線5の水密性を向上させることができる。
加えて、図8(a)図8(b)、及び図8(c)に示すように、本発明の第一実施の形態では、収容溝57a−1は、斜め上方に移動する上部フラップ50に設けられるフラップ側架線部水密ゴム57bではなく、上下方向に移動しない扉体本体21の上部フラップ隣接部21−2(図7参照)に設けられる本体側架線部水密ゴム57aに設けられる。
従って、扉体20の移動時に、扉体本体21側に設けられる収容溝57a−1と架線5と上下方向における位置関係が変化せず、側部ヒンジ部10によって扉体本体21(図7参照)を回動させるだけで架線部水密ゴム57の収容溝57a−1に架線5を簡易に収容することができる。また、架線5は上部フラップ50が扉体本体21へ移動する前に収容溝57a−1に収容されており、架線5の形状と一致した収容溝57a−1に架線5を収容する場合に比べて、上部フラップ50の回動時に架線5と上部フラップ50とが干渉しないので、上部フラップ50の横移動を小さく設定できる。
ここで、図9を参照して、本体側架線部水密ゴム57aに本発明の収容溝57a−1が設けられることにより、架線5に作用する外力が低減する場合について説明する。図9(a)は、本発明の本体側架線部水密ゴム57aとは異なる比較対象としての本体側架線部水密ゴム57´aを備えたヒンジ式防水ゲート1´の平面図であり、図9(b)は、本発明の第一実施の形態におけるヒンジ式防水ゲート1の平面図であり、本発明の本体側架線部水密ゴム57aを用いている。なお、図9の矢印X3は、水圧荷重方向(軌道部3(図2参照)に浸水した水が流れる方向)を示しており、図9(a)のL1は本体側架線部水密ゴム57a´の回動軌跡を示しており、図9(b)のL2は本体側架線部水密ゴム57aの回動軌跡を示している。また、図9(a)の本体側架線部水密ゴム57´aの拡大平面図において、ハッチングで示されるは押込部を示しており、Yは押し込み部の押込量を示している。
図9(a)に示すように、本発明の本体側架線部水密ゴム57aとは異なる比較対象としての本体側架線部水密ゴム57´aに、本発明の収容溝57a−1とは異なる、架線5の形状と一致した、水圧荷重方向に一定形状の収容溝57´a−1が形成されている。
この収容溝57´a−1に架線5が収容される場合、側部ヒンジ部10を中心に扉体本体21´が架線5側(図9(a)左側)に回動すると、側部ヒンジ部10の真横手前で、この収容溝57´a−1の水圧荷重方向の下流側(図9(a)上側)端部が架線5と接触する。更に、本体側架線部水密ゴム57´aは、収容溝57´a−1の水圧荷重方向の下流側(図9(a)上側)端部を架線5に接触させた状態で、フラップ側架線部水密ゴム57´bに接合されるまで側部ヒンジ部10を中心に回動するので、収容溝57´a−1の水圧荷重方向の下流側(図9(a)上側)の端部で架線5を押圧する。
よって、図9(a)に示すように、本体側架線部水密ゴム57´aに架線5によって潰された押込部が発生し、図9(a)のハッチングで示されたこの押込部の押込量Yが大きくなると架線5に過大な荷重が作用してしまう。
これに対し、図9(b)に示すように、扉体本体21が側部ヒンジ部10を中心として回動して、本体側架線部水密ゴム57aの収容溝57a−1に架線5が収容される場合は、図9(a)で示される場合に比べて、本体側架線部水密ゴム57aの収容溝57a−1の下流側(図9(B)上側)端部に架線5を押圧する押込部がほとんど発生しない。
即ち、本発明の収容溝57aは、架線5とまず接触する側である水圧荷重方向の下流側(図9(b)上側)端部を架線5の外形より大きくすると共に架線5の周囲に隙間を現出させた矩形状に形成されているので、側部ヒンジ部10を中心に扉体本体21が架線5側(図9(b)左側)に回動しても、側部ヒンジ部10の真横手前で、この本体側架線部水密ゴム57aは架線5に接触しない。更に、扉体本体21は側部ヒンジ部10を中心に回動し、本体側架線部水密ゴム57aは、フラップ側架線部水密ゴム57bに接合される直前(側部ヒンジ部10の真横)で、本体側架線部水密ゴム57aの収容溝57a−1の水圧荷重方向の上流側(図9(b)下側)端部が架線5に接触する。
このように、本体側架線部水密ゴム57aの収容溝57a−1の水圧荷重方向の下流側(図9(b)上側)端部で架線5を押圧しないので、図9(a)で示される場合に比べて、押込部も発生しない。従って、図9(a)で示される場合に比べて、扉体本体21の回動時に架線5に荷重が作用することを防止することができる。一方、収容溝57a−1の水圧荷重方向の上流側(図9(b)下側)端部では、架線5と収容溝57a−1とが接触しているので、架線5の周囲の水密性は確保されている。
次に、図10及び図11を利用して、本発明の水密ゴム76をマイタ式ゲート70に用いた第二実施の形態について詳しく説明する。図10は、本発明の第二実施の形態におけるマイタ式ゲート70の水圧荷重方向(マイタ式ゲート70の第1扉体71及び第2扉体72に水圧荷重が作用する方向)から視た正面図であり、図11(a)は、図10のXIa−XIa線におけるマイタ式ゲート70の断面図であり、図11(b)は、架線部水密ゴム76の平面図であり、図11(c)は、水圧荷重方向の反対方向から視た架線部水密ゴム76の正面図である。図11のX4に示す仮想線は、戸当り水密面を示している。
図10に示すように、マイタ式ゲート70は、本発明の第一実施の形態におけるヒンジ式防水ゲート1と同様に、地下構造物への浸水を防止するゲートであって、互いに対向する側部を接合させて地下構造物の開口部を閉塞する第1扉体71及び第2扉体72と、地下構造物に対して第1扉体71及び第2扉体72をそれぞれ互いに近接する方向に回動可能に連結する側部ヒンジ部73,73と、軌道レール(図示せず)と第1扉体71及び第2扉体72との干渉を防止するために第1扉体71及び第2扉体72の下部に設けられる下部フラップ74,74´と、第1扉体71の第2扉体72側の側部及び第2扉体72の第1扉体71側の側部を連結して第1扉体71及び第2扉体72の回動を防止するロック部材75と、第1扉体71の周縁に設けられる水密ゴム71−1及び第2扉体72の周縁に設けられる水密ゴム72−1(図11参照)と、第1扉体71の第2扉体72側の側部及び第2扉体72の第1扉体71側の側部との接合部分であって、第1扉体71の表面71a及び第2扉体72の表面72a側(図11(a)参照)に設けられる扉体接合部水密ゴム76´及び架線部水密ゴム76とを備えている。
図10に示すように、扉体接合部水密ゴム76´は、第1扉体71の第2扉体72側の側部及び第2扉体72の第1扉体71側の側部との接合部分に沿って設けられているが、架線5の周囲は後述する架線部水密ゴム76が設けられるので、架線5の周囲を避けて設けられている。
図10に示すように、マイタ式ゲート70は、側部ヒンジ部73によって第1扉体71を第2扉体72側に回動させると共に側部ヒンジ部73によって第2扉体72を第1扉体71側に回動させることにより、水密ゴム71−1と水密ゴム72−1とを結ぶ線に対して傾斜させた戸当り水密面X4に沿って第1扉体71及び第2扉体72を配設する。(図11(a)参照)。
この場合において、第1扉体71の扉体接合部水密ゴム76´及び第2扉体72の接合部の扉体接合部水密ゴム76´を接合させると共に、第1扉体側架線部水密ゴム76aの第2扉体72側の側面及び第2扉体側架線部水密ゴム76bの第1扉体71側の側面とを接合させ、ロック部材75で第1扉体71と第2扉体72と連結した後、下部フラップ74,74´を下方に回動させて、第1扉体71及び第2扉体72の周縁、第1扉体71及び第2扉体72の接合部、並びに架線5の周囲の水密性を確保してマイタ式ゲート70を閉鎖している。
図11(a)及び図11(b)に示すように、架線部水密ゴム76は、架線5の周囲に設けられ、水圧荷重方向の上流側(図11(a)及び図11(b)下方向)に延出する突出部76hとその突出部76hの水圧荷重方向の下流側端部(図11(a)及び図11(b)上方向)から扉体20の両側方(図11(a)及び図11(b)左右方向)に延出する側部76gとを備えて平面視Y字状に形成されるゴム部材であり、第1扉体71に固定される平面視L字状の第1扉体側架線部水密ゴム76aと、第2扉体72に固定される平面視L字状の第2扉体側架線部水密ゴム76bとで構成されている。なお、第1扉体71及び第2扉体72の傾斜に対応して、架線部水密ゴム76は、架線部水密ゴム76の突出部76hと側部76gとの挟み角が鈍角となるように形成されている。
図11(a)及び図11(b)に示すように、第1扉体側架線部水密ゴム76aの突出部76h−1の第2扉体側架線部水密ゴム76b側の側面は、第2扉体側架線部水密ゴム76bの突出部76h−2の第1扉体側架線部水密ゴム76a側の側面と接合されて収容溝76a−1(図11(c)参照)に架線5を収容する。
また、図11(a)及び図11(b)に示すように、第1扉体71の表面71aとゴムホルダ76dとで第1扉体側架線部水密ゴム76aの側部76g−1が挟持され、ボルトとナットからなる締結部材76eでゴムホルダ76d及び第1扉体側架線部水密ゴム76aの側部76g−1が第1扉体71の表面71aに固定されている。第2扉体側架線部水密ゴム76bの側部76g−2についても、同様に、ゴムホルダ76d及び第2扉体側架線部水密ゴム76aの側部76g−2が第2扉体72の表面72aに固定されている。
図11(a)及び図11(b)に示すように、架線部水密ゴム76は、側部76g及び突出部76hの外側に露出する面である、そのL字状の水圧面76fを備え、その水圧面76fに水圧荷重が作用するので、架線の周囲の水密性を向上させることができる。
即ち、第1扉体側架線部水密ゴム76aのL字型の水圧面76f−1及び第2扉体側架線部水密ゴム76bのL字型の水圧面76f−2が水圧荷重によって押圧されると、第1扉体側架線部水密ゴム76aの突出部76h−1及び第2扉体側架線部水密ゴム76bの突出部76h−2が互いに密着する方向に収縮して第1扉体側架線部水密ゴム76aの接合面及び第2扉体側架線部水密ゴム76bの接合面とが密着する。よって、収容溝76a−1に収容された架線5は、第1扉体側架線部水密ゴム76aの接合面と第2扉体側架線部水密ゴム76bの接合面とで挟持されるので、水圧荷重が発生した場合には架線5の周囲の水密性を向上させることができる。
一方、水圧荷重が発生する前においては、水圧荷重によって架線部水密ゴム76の各突出部76h−1,76h−2が互いに近接する方向に収縮して密着していないので、架線5は架線部水密ゴム76の各突出部76h−1,76h−2によって挟持されず、架線5に作用する荷重を可及的に小さくすることができる。
図11(c)に示すように、第1扉体側架線部水密ゴム76aは、架線5の高さに一致させて形成される複数の収容溝76a−1a,76a−1bを備え、その複数の収容溝76a−1a,76a−1bは、第1扉体71及び第2扉体72の厚さ方向(図11(a)及び図11(b)上下方向)に貫通する溝であって、架線5が収容される。
次に、図12から図15を参照して、扉体1120の上部構造に関する第三実施の形態について説明する。また、本発明の第三実施の形態における扉体1120の上部フラップ150は、架線5´の構造上、第一実施の形態に比べて上部フラップ150を架線5´側に大きく移動させなければならない場合に対応して、架線5側への移動量(45mm程度)が第一実施の形態の場合(15mm程度)より大きく設定されている。
図12は、本発明の第三実施の形態におけるヒンジ式防水ゲート1000の上部フラップ150が起立した状態を図示しており、図12(a)は上部フラップ150の正面図であり、図12(b)は上部フラップ150の側面図であり、図12(b)において、二点鎖線で上部フラップ150が転倒した状態が図示されている。また、図13は、上部フラップ150が起立した後、上部フラップ隣接部1121−2側へ移動してフラップ側架線部水密ゴム157bと本体側架線部水密ゴム157aとが接合した状態を図示しており、図13(a)は上部フラップ150の正面図であり、図13(b)は上部フラップ150の側面図である。
更に、図14は、上部フラップ150が起立した状態における上部フラップ連結部80を図示しており、図14(a)は上部フラップ連結部80の平面図であり、図14(b)は上部フラップ連結部80の正面図であり、図14(c)は上部フラップ連結部80の斜視図であり、図14(d)は上部フラップ連結部80の側面図である。なお、図14(c)及び図14(d)においては、第1リンク部材84が一部又は全部省略されて図示されている。
また、図15は、第1ストッパ88及び第2ストッパ89が回動する様子を図示しており、縦軸方向には、上から順番に、上部フラップ連結部80の平面図、正面図及び側面図をそれぞれ図示しており、横軸方向には、上部フラップ連結部80の時間的経過に伴う変化として、左から順番に、上部フラップ150が転倒した状態、上部フラップ150が転倒した状態から起立の直前状態、上部フラップ150が起立して横方向(図15の平面図及び正面図の左右方向)へ移動可能となった状態、及び、上部フラップ150が起立した後上部フラップ隣接部1121−2側に移動した状態をそれぞれ図示し、平面図及び側面図においては、第1リンク部材84が一部省略されている。なお、第一実施の形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
図12及び図13に示すように、扉体1120は、側部ヒンジ部10(図1参照)が設けられる本体部1121−1、及びその本体部1121−1の上部の中央より側部ヒンジ部10(図1参照)側の領域(図13(a)において中心線X5より右側の領域)に配設される上部フラップ隣接部1121−2を有する扉体本体1121と、扉体本体1121の上部フラップ隣接部1121−2と扉体本体1121の本体部1121−1とで囲まれる領域(図13(a)において中心線X5より左側)に配設される上部フラップ150とを備えている。
図12及び図13示すように、上部フラップ150は、側部ヒンジ部10(図1参照)を介して扉体1120が回動する場合に、架線5´と扉体1120との干渉を防止するために、扉体本体1121に対して上下に回動可能に扉体本体1121の本体部1121−1の上部に取り付けられる構造物であって、上部フラップ本体151と、上部フラップ本体151及び扉体本体1121を水密にするフラップ水密ゴム52と、軌道部3(図2参照)の上方に配設される架線5´を水密にする架線部水密ゴム157と、上部フラップ150を駆動させる上部フラップ駆動装置158と、扉体本体1121と上部フラップ150とを連結する上部フラップ連結部80とを備えている。
また、図12及び図13に示すように、上部フラップ本体151は、扉体本体1121の上部フラップ隣接部1121−2の側方に扉体本体1121の上部フラップ隣接部1121−2と隣り合って配設され、後述する上部フラップ側ブラケット81と、上部フラップ駆動装置158の取付部158j(図13(a)参照)とを備えている。なお、フラップ水密ゴム152は第一の実施の形態に比べて、架線5´を収容する収容溝157a−1a,157a−1bが本体側架線部水密ゴム157aだけでなく、フラップ側架線部水密ゴム157bにも形成している点で第一実施の形態と異なるものの、その他の点では同様に構成されている。
図13に示すように、上部フラップ駆動装置158は、上部フラップ150を水圧荷重方向、即ち上下方向(図13紙面手前から奥方向)に回動させる駆動装置であって、図13(a)に示すように、ハンドル58a(図1参照)に連結されるロッド158bと、そのロッド158bに対してボルト158cによりそのボルト158cを中心として回動可能に連結されるロッド側連結部158dと、そのロッド側連結部158dに対して第1ピン158eによりその第1ピン158eを中心に回動可能に連結される第1中間部材158fと、その第1中間部材158fに対して第2ピン158g(図13(b))によりその第2ピン158g)を中心として回動可能に連結される第2中間部材158hと、その第2中間部材158hに対して第3ピン158iによりその第3ピン158iを中心として回動可能に連結される取付部158jと、上部フラップ150に対して取付部158jを回動可能に軸支するボルト158kとを備えている。
図12(b)に示すように、上部フラップ150は、通常、扉体本体1121の本体部1121―1の裏面1120b側(水圧荷重方向上流側、12(b)左側)に倒された状態で扉体本体1121に支持されている。図12(a)に示すように、上部フラップ150を起立させる場合は、側部ヒンジ部10(図1参照)を介して扉体1120を回動させてヒンジ式防水ゲート1000を閉じた後、上部フラップ駆動装置158により上部フラップ150の表面150aと扉体本体1121の本体部1121−1の表面1120aとを平行に配設されるまで上部フラップ150を上方に回動させる。
図13(a)に示すように、上部フラップ150が起立した後、ロッド158bを更に上方に伸長させると、後述する上部フラップ150のリンク機構により、上部フラップ150が上部フラップ隣接部1121−2側(図12(a)及び図13(a)右側)に横移動する。これにより、ボルト158cを中心にロッド側連結部158dが上部フラップ隣接部1121−2側(図12(a)左側)に回動し、そのロッド側連結部158dと共に第1中間部材158fが上部フラップ隣接部1121−2側に回動する。
その第1中間部材158fはロッド側連結部158dに対して第1ピン158eを中心に回動し、第2ピン158g(図13(b))がロッド158bに対して斜め上方に指向することにより、第2中間部材158hを第1中間部材158fに対して上下方向で上部フラップ隣接部1121−2側に偏倚させる。
その偏倚した第2中間部材158hは、上部フラップ150に連結される取付部158jに連結されるので、取付部158jがボルト158kを中心に回動して上部フラップ隣接部1121−2側に指向する。よって、上部フラップ150を上部フラップ隣接部1121−2側(図12(a)及び図13(a)右側)に移動させることが可能となる。
図12及び図13に示すように、上部フラップ連結部80は、扉体本体1121の本体部1121−1に対して上部フラップ本体151を上下方向(図12(a)及び図13(a)紙面手前から奥方向)に回動可能とすると共に左右方向(図12(a)及び図13(a)左右方向)に移動可能とするリンク機構を有したヒンジであって、上部フラップ本体151に固定される上部フラップ側ブラケット81と、扉体本体1121の本体部1121−1に固定される扉体本体側ブラケット82と、第1リンク軸86に対して上部フラップ側ブラケット81を回動可能に連結する上部フラップ軸83と、上部フラップ側ブラケット81に連結される第1リンク部材84と、その第1リンク部材84と扉体本体側ブラケット82との間に配設されると共に扉体本体側ブラケット82に連結される第2リンク部材85と、第2リンク部材85に対して第1リンク部材84を回動可能に連結する第1リンク軸86と、扉体本体側ブラケット82に対して第2リンク部材85を回動可能に連結する第2リンク軸87と、上部フラップ側ブラケット81に固定される第1ストッパ88と、第1リンク軸86に固定される第2ストッパ89とを備えている。
図14(a)及び図14(b)に示すように、上部フラップ側ブラケット81は、上部フラップ軸83を軸支するために上部フラップ本体151の下面150c(図12(b)参照)に固定されるブラケットであって、上部フラップ150の下面150c(図12(b)参照)から突設されると共に、フラップ側嵌合孔81a−1が穿設される連結プレート81aと、その連結プレート81aのフラップ側嵌合孔81a−1に嵌合される円筒状のボスあるボス部81bとを備えている。上部フラップ側ブラケット81のボス部81bには、上部フラップ軸83を軸支する軸受孔81b―1が穿設される。
図14に示すように、扉体本体側ブラケット82は、扉体本体1121に取り付けられる筒状のブラケットであって、扉体本体1121の本体部1121−1(図12(a)及び図13(a)参照)に固定されると共に第2リンク軸87を軸支する扉体本体側軸受孔82aが穿設されている。
図14に示すように、上部フラップ軸83は、断面円形の軸状部材であって、上部フラップ側ブラケット81のボス部81bの軸受孔81b―1に軸支され、第1リンク部材84に対して上部フラップ側ブラケット81を回動可能に連結している。
図14に示すように、第1リンク部材84は、上部フラップ側ブラケット81と第2リンク部材85とに連結されるリンク部材であって、第1リンク部材84は、半長円状の板状部材である一対の腕部84a,84aと、その一対の腕部84aの下端を連結する矩形状の板状部材である底部84bとを備えている。第1リンク部材84の腕部84aには、上部フラップ軸83が嵌合される嵌合孔84a―1が穿設され、第1リンク部材84の底部84bには、第1リンク軸86を軸支するリンク側軸受孔84b−1が穿設される。
図14に示すように、第2リンク部材85は、第1リンク部材84と扉体本体側ブラケット82とに連結される板状のリンク部材であって、第1リンク部材84の上面側に第1リンク軸86が突設されると共に下面側に第2リンク軸87が突設される。
図14に示すように、第1リンク軸86は、第2リンク部材85に対して鉛直方向に延びる軸心04を有する軸状部材であって、第2リンク軸87は、第1リンク軸86と平行、即ち第2リンク部材85に対して鉛直方向に延びる軸心O5を有する軸状部材であって、第1リンク軸86と第2リンク軸87とは第1リンク軸86の軸心O4と第2リンク軸87の軸心O5とを結ぶ線であるY1の距離で離間して配設される(図14(a))。
図14に示すように、第1ストッパ88は、上部フラップ側ブラケット81のボス部55bの外周面に取り付けられて固定される棒状部材であって、図14(c)に示すように、上部フラップ側ブラケット81のボス部55bの外周面に接合して固定される側面視矩形状の固定部88aと、その固定部88aから更に延出して上部フラップ側ブラケット81のボス部55bの外周面から離間して配設されると共に側面視三角形状形成される係合部88bとを備えている。
図14に示すように、第2ストッパ89は、第1リンク軸86の上面に取付けられて固定される棒状部材であって、図14(d)に示すように、第1リンク軸86の上面に取付けられる側面視矩形状の固定部89aと、その固定部の上面から上方に突設する側面視三角形状に形成される係合部89bとを備えている。
ここで、図15を参照して、上部フラップ150の回動に伴って上部フラップ軸83を中心に上部フラップ側ブラケット81と共に第1ストッパ88が回動して第1ストッパ88の位置が変化する状態、及び扉体本体側ブラケット82に対して第2リンク軸87を中心に第2リンク部材85が回動すると共に第2リンク部材85に対して第1リンク軸86を中心に第1リンク部材84が回動し、第2ストッパ89の位置が変化する状態を説明する。
図15に示すように、上部フラップ150の転倒時において、第1ストッパ88は、上部フラップ側ブラケット81のボス部81bと第1リンク部材84の底部84bとの間で形成された隙間に配設される。その第1ストッパ88は、第1リンク軸86の上面に固定される第2ストッパ89と長手方向、即ち、上部フラップ軸83の軸心方向(図15の平面図及び正面図の左右方向)で隣接している。即ち、第1ストッパ88の固定部88a(図14(d)参照)の長手方向の側面と第2ストッパ89の固定部89a(図14(d)参照)の長手方向の側面とを主として接触させている。
この接触により上部フラップ側ブラケット81のボス部81bと第1リンク軸86が突設される第2リンク部材85とは、上部フラップ軸83の軸心方向(図15の平面図及び正面図の左右方向、並びに図15の側面図の紙面手前から奥方向)での相対変位が規制される。即ち、第2リンク部材85に対して第1リンク部材84が第1リンク軸86を中心に回動することができない。
更に、上部フラップ軸83の軸心方向(図15の平面図及び正面図の左右方向、並びに図15の側面図の紙面手前から奥方向)での相対変位が規制された第2リンク部材85は、上部フラップ軸83の軸心方向(図15の平面図及び正面図の左右方向)で二つ設けられる(図12(a)及び図13(a)参照)。よって、第2リンク部材85は扉体本体側ブラケット82(図12(a)及び図13(a)参照)に対して第2リンク軸87を中心に回動することができず、上部フラップ150は、上部フラップ軸83の軸心方向(図15の平面図及び正面図の左右方向、並びに図15の側面図の紙面手前から奥方向)の動きが規制された状態となっている。
図15に示すように、上部フラップ150の転倒から起立直前まで、上部フラップ150は、上部フラップ軸83の軸心方向(図15の平面図及び正面図の左右方向、並びに図15の側面図の紙面手前から奥方向)の動きが規制された状態で、扉体本体1121(図12及び図13参照)に対して上部フラップ軸83を中心に上方(図15の側面図の上方)に回動する。その上部フラップ150の上方への回動に追従して上部フラップ150と共に第1ストッパ88も上部フラップ軸83を中心に上方(図15側面図上方)に回動する。なお、第1ストッパ88が回動した後であっても上部フラップ150が起立する直前までは、第1ストッパ88と第2ストッパ89とは上部フラップ軸83の軸心方向に隣接、即ち接触している。
図15に示すように、上部フラップ150の起立時において、上部フラップ150の表面150aは上部戸当り6―2(図12(b)及び図13(b)参照)と接触するので上部フラップ軸83を中心とした上部フラップ150の水圧荷重方向の下流側(図12(a)及び図13(a)の紙面手前から奥側)への回動が規制される。一方、第1ストッパ88は、上部フラップ側ブラケット81のボス部81bと第2リンク部材85との間で形成される隙間から離脱して、側面視で第1ストッパ88の長手方向を第2リンク部材85に対して鉛直する方向に指向させる。
第1ストッパ88が第2リンク部材85に対して鉛直する方向に指向すると、第1ストッパ88は、第2ストッパ89から離間して上部フラップ軸83の軸心方向で非隣接の状態となり、第1リンク部材84は、第2リンク部材85に対して第1リンク軸86を中心に回動可能となり、第2リンク部材85は、扉体本体側ブラケット82に対して第2リンク軸87を中心に回動可能となる。また、上述したように、第1リンク軸86と第2リンク軸87とは平行に配設されると共にY1の距離で離間して配設される(図14参照)。
図15に示すように、上部フラップ150の起立後、即ち第1リンク部材84及び第2リンク部材85がそれぞれ第2リンク部材85及び扉体本体側ブラケット82に対して回動可能となった後に、上部フラップ駆動装置158のロッド158b(図12(a)及び図13(a)参照)を上方に移動させると、第2リンク部材85は、扉体本体側ブラケット82に対して第2リンク軸87を中心に上部フラップ隣接部1121−2側(図12(a)及び図13(a)右側)に回動する。よって、第1リンク軸86に軸支される第1リンク部材84は、第2リンク軸87を中心にY1を半径とした円弧状の軌跡で上部フラップ隣接部1121−2側(図12(a)及び図13(a)右側)に移動する。
従って、上部フラップ150が起立した後に、第2リンク部材85が第2リンク軸87を中心に回動すると、上部フラップ150は、上部フラップ150が起立した位置から、第2リンク軸87を中心に円弧状の軌跡で上部フラップ隣接部1121−2側(図12(a)及び図13(a)右側)に移動することができる。なお、第三実施の形態では、上部フラップ150は上部フラップ隣接部1121−2側に45mm移動する。
加えて、図12及び図13に示すように、第1リンク部材84は第1リンク軸86を中心に第2リンク部材85と同様に上部フラップ隣接部1121−2側(図12(a)及び図13(a)右側)に回動するので、第2リンク部材85が第2リンク軸87を中心に回動しても、上部フラップ軸83の軸心方向を維持する、即ち、第2リンク軸87を中心に第2リンク部材85が回転している間、第1リンク軸86を中心に第1リンク部材84を回転させることにより、上部フラップ軸83の軸心方向を変化させない。
よって、上部フラップ本体の151の表面150aと、扉体本体1121の表面1120aとを同一平面に位置させることができ、フラップ側架線部水密ゴム157bを本体側架線部水密ゴム157aに接合させて、架線5´の水密性を確保することができる。
このように、上部フラップ150の起立操作を行うだけで、架線5´を収容溝157a−1a,157a−1bに収容して架線5´の水密性を確保することができるので、フラップ側架線部水密ゴム157b及び本体側架線部水密ゴム157aを移動させる移動装置を不要として扉体1120の構造を簡易化することができる。また、上部フラップ150の起立とは別に独立してフラップ側架線部水密ゴム157b及び本体側架線部水密ゴム157aを移動させる必要がないので、それらの架線部水密ゴム157a,157bを移動させる工程及び操作を不要としてヒンジ式防水ゲート1000の全閉操作の工程及び全閉操作に要する時間を減少させることができる。
また、第1リンク軸86と第2リンク軸87軸との離間距離によって、上部フラップ150の移動距離を設定することができるので、第1リンク軸86と第2リンク軸87との離間距離を大きく設定することにより、上部フラップ150を架線5´の方向に大きく移動させることができる。特に、架線5´の構造上、上部フラップ150を架線5側に大きく移動させなければならない場合に対応して、上部フラップ150の移動距離を大きくすることができる。
フラップ側架線部水密ゴム157bが上部フラップ150と共に移動する、即ち、フラップ側架線部水密ゴム157bが上部フラップ150とは別に独立して移動しないので、上部フラップ150とフラップ側架線部水密ゴム157bとを一体とすることができ、また、本体側架線部水密ゴム157aが上部フラップ隣接部1121−2とは別に独立して移動しないので、その上部フラップ隣接部1121−2と本体側架線部水密ゴム157aとを一体とすることができ、フラップ側架線部水密ゴム157bと本体側架線部水密ゴム157aとの間で水密が必要となる箇所を少なくすることができ水密性を向上させることができる。
また、図15に示すように、上部フラップ150の起立後、即ち第1リンク部材84と第2リンク部材85とがそれぞれ回動可能となった後に、上部フラップ駆動装置158のロッド158b(図12(a)及び図13(a)参照)を上方に移動させると、第2ストッパ89が第2リンク部材85と共に扉体本体側ブラケット82に対して第2リンク軸87を中心に上部フラップ隣接部1121−2側(図12(a)及び図13(a)右側)に回動する。
その後、フラップ側架線部水密ゴム157bが本体側架線部水密ゴム157aに接合すると(図13(a)参照)、第2リンク軸87を中心とした第2リンク部材85の回動が停止すると共に第2ストッパ89が第1ストッパ88と隣接、即ち第2ストッパ89の長手方向で接触する。詳述すると、第1ストッパ88の係合部88b(図14参照)と第2ストッパ89の係合部89b(図14参照)とが第1リンク軸86及び第2リンク軸87の軸心と直角方向(図15の平面図及び正面図の上下方向)で接触する。
第2ストッパ89と第1ストッパ88とが接触すると、扉体本体1121(図12及び図13参照)に対する上部フラップ軸83を中心とした上部フラップ150の回動が規制され、上部フラップ150を上部フラップ隣接部1121−2から離間させる前に、上部フラップ150が転倒することを確実に防止することができる。
よって、上部フラップ150が起立し、フラップ側架線部水密ゴム157bと本体側架線部水密ゴム157aとが接合した後において、上部フラップ150の転倒操作を行う際には、まず、上部フラップ150を上部フラップ隣接部1121−2から離間する方向に横移動させた後、上部フラップ150を転倒させる。従って、上部フラップ150の転倒操作の際に、上部フラップ150と架線5´との干渉を防止することができる(図13参照)。
次に、図16から図19を参照して、扉体1220の上部構造に関する第四実施の形態について説明する。図16は、本発明の第四実施の形態におけるヒンジ式防水ゲート1100の上部フラップ250が起立した状態を図示しており、図16(a)は上部フラップ250の正面図であり、図16(b)は上部フラップ250の側面図であり、図16(b)において、二点鎖線で上部フラップ250が転倒した状態が図示されている。また、図17は、上部フラップ250が起立した後、上部フラップ隣接部1121−2側へ移動してフラップ側架線部水密ゴム157bと本体側架線部水密ゴム157aとが接合した状態を図示しており、図17(a)は上部フラップ250の正面図であり、図17(b)は上部フラップ250の側面図である。
更に、図18は、上部フラップ250が起立した状態における上部フラップ連結部90を図示しており、図18(a)は、上部フラップ連結部90の側面図であり、図18(b)は上部フラップ連結部90の正面図である。なお、図18(b)においては、上部フラップ250が省略されている。
また、図19は、上部フラップ連結部90の第1ストッパ98及び第2ストッパ99が回動する様子を図示しており、縦軸方向には、上から順番に、上部フラップ連結部90の正面図及び側面図をそれぞれ図示しており、横軸方向には、上部フラップ連結部90の時間的経過に伴う変化として、左から順番に、上部フラップ250が転倒した状態、上部フラップ250が転倒した状態から起立の直前状態、上部フラップ250が起立して横方向(図19の正面図の左右方向)へ移動可能となった状態、及び、上部フラップ250が起立した後上部フラップ隣接部1121−2側に移動した状態をそれぞれ図示している。また、図19の正面図においては上部フラップ250及び第1ストッパ98を固定するボルトが省略されている。なお、第三実施の形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
図16及び図17に示すように、上部フラップ250は、上部フラップ連結部80に換えて扉体本体1121と上部フラップ本体151とを連結する上部フラップ連結部90を備えており、その他の点では第三の実施の形態と同様である。また、本発明の第四実施の形態における扉体1220の上部フラップ150は、第三実施の形態と同様に、架線5´の構造上、第一実施の形態に比べて上部フラップ150を架線5´側に大きく移動させなければならない場合に対応して、架線5側への移動量(45mm程度)が第一実施の形態の場合(15mm程度)より大きく設定されている。
図16及び図17に示すように、上部フラップ連結部90は、扉体本体1121に対して上部フラップ本体151を上下方向(図16(a)及び図17(a)紙面手前から奥方向)に回動可能とすると共に左右方向(図16(a)及び図17(a)左右方向)に移動可能とするリンク機構を有したヒンジであって、上部フラップ本体151に固定される上部フラップ側ブラケット91と、扉体本体1121の本体部1121―1に固定される扉体本体側ブラケット92と、第1リンク部材94に対して上部フラップ側ブラケット91を回動可能に連結する上部フラップ軸93と、上部フラップ側ブラケット91に連結される第1リンク部材94と、上部フラップ側ブラケット91と扉体本体側ブラケット92との間に配設されて第1リンク部材94と扉体本体側ブラケット92とに連結される第2リンク部材95と、第2リンク部材95に対して第1リンク部材94を回動可能に連結する第1リンク軸96と、扉体本体側ブラケット92に対して第2リンク部材95を回動可能に連結する第2リンク軸97と、上部フラップ側ブラケット91に固定される第1ストッパ98と、第2リンク部材95に固定される第2ストッパ99とを備えている。
図18に示すように、上部フラップ側ブラケット91は、上部フラップ軸93を軸支するために上部フラップ本体151に固定されるブラケットであって、上部フラップ150の下面150cから下方(図16(a)下方)に一対突設され、上部フラップ軸93が挿入されるフラップ側嵌合孔91aが穿設される。
図18に示すように、扉体本体側ブラケット92は、扉体本体1121の本体部1121−1に取り付けられるブラケットであって、扉体本体1121の本体部1121−1(図16及び図17参照)に固定される底部92aと、その底部92aの上面から所定の間隔で上方(図18上方)に突設される一対の腕部92b,92bとを備え、その腕部92bには、第2リンク軸97を軸支するリンク側第2嵌合孔92b−1が穿設される。
図18に示すように、上部フラップ軸93は、断面円形の軸状部材であって、上部フラップ側ブラケット91のフラップ側嵌合孔91aに嵌合されると共に後述するリンク側軸受孔94a−1に軸支され、第1リンク部材94に対して上部フラップ側ブラケット91を回動可能に連結している。
図18に示すように、第1リンク部材94は、上部フラップ側ブラケット91と第2リンク部材95とに連結される側面視下向きのコの字型(図18(a)参照)に形成されるリンク部材であって、第1リンク部材94は、上部フラップ軸93が軸支されるリンク側軸受孔94a−1が穿設される筒状部材である軸受部94aと、その軸受部94aの外周から所定の間隔で下方に延設される一対の腕部94b,94bとを備え、その腕部94bには第1リンク軸96が嵌合されるリンク側第1嵌合孔94b−1が穿設されている。
図18に示すように、第2リンク部材95は、第1リンク部材94と扉体本体側ブラケット92とに連結される正面視略三角形状(図18(b)参照)で所定の厚みを有するリンク部材であって、上側の角部分に第1リンク軸96が嵌合されるリンク側第2嵌合孔95a及び下側の角部分に第2リンク軸97が嵌合されるリンク側第3嵌合孔95bが穿設されており(図18(b)参照)、第2リンク部材95の表面と裏面とを連結する厚みの部分(側面)に第2ストッパ99が取付けられている(図18(a)参照)。
図18に示すように、第1リンク軸96は、第2リンク部材95の表面及び裏面に対して鉛直方向に延びる軸心を有する軸状部材であって、第2リンク軸97は、第1リンク軸96と平行、即ち第2リンク部材95に対して鉛直方向に延びる軸心を有する軸状部材であって、第1リンク軸96と第2リンク軸97とは第1リンク軸96の軸心O4´と第2リンク軸97の軸心O5´とを結ぶ線であるY2の距離で離間して配設される。
図18に示すように、第1ストッパ98は、上部フラップ側ブラケット91の外側面に固定される略半三日月形状のプレート部材であって外周面が円弧状に形成されている。第1ストッパ98は上部フラップ側ブラケット91にボルトで固定される幅広部分である固定部98aと、尖った尖設部分である係合部98bとを備え、その係合部98bは上部フラップ250の起立時に下向き(図18(a)下向き)なるように固定されている。
図18に示すように、第2ストッパ99は、第2リンク部材95の側面に取付けられて固定される棒状部材であって、第2リンク部材95の側面に取付けられる固定部99aと、その固定部の上端に上部フラップ軸93の軸心方向に突設される係合部99bとを備えている。この係合部99bの上面は、第1ストッパ98の外周面に合わせて円弧状に形成されている。
ここで、図19を参照して、上部フラップ250の回動に伴って上部フラップ軸93を中心に上部フラップ側ブラケット91と共に第1ストッパ98が回動して第1ストッパ98の位置が変化する状態、及び扉体本体側ブラケット92に対して第2リンク軸97を中心に第2リンク部材95が回動すると共に第2リンク部材85に対して第1リンク軸96を中心に第1リンク部材94が回動し、第2ストッパ99の位置が変化する状態を説明する。
図19に示すように、上部フラップ250の転倒時において、第1ストッパ98は、幅広部分である固定部98a(図18参照)を上部フラップ軸93と第2ストッパ99との間で形成された隙間に配設し、尖設部分である係合部98b(図18参照)をこの隙間の外側(第1リンク部材94の外形ラインより外側)に位置させている。この隙間に配設された第1ストッパ98の固定部98aの外周面は、第2ストッパ99の係合部99bの円弧状に形成された上面と隣接している。即ち、第2ストッパ99の係合部99b(図18参照)の円弧状に形成された上面と第1ストッパ98の固定部98a(図18参照)の円弧状に形成された外周面とを接触させている。
この接触により、第2ストッパ99が固定される第2リンク部材95と、第1ストッパ98が固定される上部フラップ側ブラケット91に軸支される第1リンク部材94とは、上部フラップ軸93の軸心方向(図19の正面図の左右方向)での相対変位が規制される。即ち、第2リンク部材95に対して第1リンク部材94が第1リンク軸96を中心として回動することができず、上部フラップ250は、上部フラップ軸93の軸心方向(図19の正面図の左右方向)の動きが規制された状態となる点では第三の実施の形態と同様である。
図19に示すように、上部フラップ250の転倒から起立直前まで、上部フラップ250は上部フラップ軸93の軸心方向(図19の正面図の左右方向)の動きが規制された状態で、上部フラップ250の上方(水圧荷重方向の下流方向)への回動に追従し、上部フラップ250と共に第1ストッパ98も、上部フラップ軸93を中心に回動して上方(図16(a)及び図17(a)紙面手前から奥方向)へ移動する点でも第三の実施の形態の同様である。
また、第四の実施の形態においては、第1ストッパ98は、その外周面を第2ストッパ99の係合部99bの円弧状に形成された上面に沿って上部フラップ軸93を中心に回動する。従って、第1ストッパ98が回動した後であっても上部フラップ250が起立する直前までは、第1ストッパ98と第2ストッパ99とは上下方向(図19正面図及び側面図の上下方向)で隣接している。即ち、第2ストッパ99の係合部99bの円弧状に形成された上面と第1ストッパ98の円弧状に形成された外周面とを接触させている。
図19に示すように、上部フラップ250の起立時において、上部フラップ250は上部戸当り6―2(図16(b)及び図17(b)参照)と接触するので、上部フラップ軸93を中心とした上部フラップ250の水圧荷重方向の下流側(図16(a)及び図17(a)の紙面手前から奥側)への回動が規制される。一方、第1ストッパ98の係合部98bは、上部フラップ軸93の下面と第2ストッパ99の係合部99bの上面との間に形成された隙間から離脱し、第1ストッパ98の係合部98bと第2ストッパ99の係合部99bとの係合が解除、即ち第1ストッパ98と第2ストッパ99とが第1リンク軸96及び第2リンク軸97の軸心方向に離間して配設される。
よって、第1ストッパ98と第2ストッパ99とは非接触の状態となり、第2リンク部材95は第2リンク軸97を中心に回動することが可能となる。また、上述したように、第1リンク軸96と第2リンク軸97とは平行に配設されると共にY2の距離で離間して配設される(図18参照)。
また、図19に示すように、上部フラップ250の起立後、即ち第1リンク部材94及び第2リンク部材95がそれぞれ第2リンク部材95及び扉体本体側ブラケット92に対して回動可能となった後に、上部フラップ駆動装置158のロッド158b(図16(a)及び図17(a)参照)を上方に移動させると、第2リンク部材95は、第2リンク軸97を中心に上部フラップ隣接部1121−2側(図16(a)及び図17(a)右側)に回動する。
よって、第2リンク部材95は第2リンク軸97を中心にY2(図18参照)を半径とした円弧状の軌跡で上部フラップ隣接部1121−2側(図16(a)及び図17(a)右側)に移動する。第四実施の形態では、上部フラップ250は上部フラップ隣接部1121−2側に45mm移動する。
従って、上部フラップ250が起立した後に、第2リンク部材95が第2リンク軸97を中心に回動すると、第1リンク部材94に連結される上部フラップ側ブラケット91、即ち、上部フラップ250は、上部フラップ250が起立した位置から、第2リンク軸97を中心にY2を半径とした円弧状の軌跡で上部フラップ隣接部1121−2側(図16(a)及び図17(a)右側)に移動する。
加えて、第1リンク部材94も第1リンク軸96を中心に第2リンク部材95と共に回動するので、第2リンク部材95が第2リンク軸97を中心に回動しても、第2リンク軸97を中心に第2リンク部材95が回転している間、第1リンク軸96を中心に第1リンク部材94を回転させることにより、上部フラップ250の起立状態を維持する。よって、上部フラップ本体の151と扉体本体1121の表面1120aとの位置関係を維持することができ、フラップ側架線部水密ゴム157bを本体側架線部水密ゴム157aに接合させて、架線5´の水密性を確保することができる。
このように、第三実施の形態と同様に、上部フラップ250の起立操作を行うだけで、架線5´を収容溝157a−1a,157a−1bに収容して架線5´の水密性を確保することができるので、扉体1220の構造を簡易化することができ、フラップ側架線部水密ゴム157b及び本体側架線部水密ゴム157aを移動させる工程及び操作を不要としてヒンジ式防水ゲート1100の全閉操作の工程及び全閉操作に要する時間を減少させることができる。
また、第1リンク軸96と第2リンク軸97との離間距離によって、上部フラップ250の移動距離を設定することができるので、第1リンク軸96と第2リンク軸97との離間距離を大きく設定することにより、上部フラップ250を架線5´の方向に大きく移動させることができる。特に、架線5´の構造上、上部フラップ250を架線5´側に大きく移動させなければならない場合に対応して、上部フラップ250の移動距離を大きくすることができる。
また、第三実施の形態と同様に、上部フラップ250とフラップ側架線部水密ゴム157bとを一体とすることができると共にその上部フラップ隣接部1121−2と本体側架線部水密ゴム157aとを一体とすることができるので、フラップ側架線部水密ゴム157bと本体側架線部水密ゴム157aとの間で水密が必要となる箇所を少なくすることができ水密性を向上させることができる。
図19に示すように、上部フラップ250の起立後、即ち第1リンク部材94と第2リンク部材95とがそれぞれ回動可能となった後に、更に上部フラップ駆動装置158のロッド158b(図16(a)及び図17(a)参照)を上方に移動させると、第2ストッパ99が第2リンク部材95と共に扉体本体側ブラケット92に対して第2リンク軸97を中心に上部フラップ隣接部1121−2側(図16(a)及び図17(a)右側)に回動する。
その後、フラップ側架線部水密ゴム157bが本体側架線部水密ゴム157aに接合すると、第2リンク軸97を中心とした第2リンク部材95の回動が停止すると共に第2ストッパ99が第1ストッパ98と隣接する。詳述すると、第1ストッパ98の係合部98b(図18参照)の内側の側面と第2ストッパ99の係合部99b(図18参照)の側面とが第1リンク軸96及び第2リンク軸97の軸心方向(図19の平面図及び正面図の上下方向)で接触する。
第2ストッパ99と第1ストッパ98とが接触すると、扉体本体1121(図16及び図17参照)に対する第1リンク軸96を中心とした上部フラップ250の回動が規制され、上部フラップ250の転倒を防止することができる。
よって、上部フラップ250が起立し、フラップ側架線部水密ゴム157bと本体側架線部水密ゴム157aとが接合した後において、上部フラップ250の転倒操作を行う際には、まず、上部フラップ250を上部フラップ隣接部1121−2から離間する方向に横移動させた後、上部フラップ250を転倒させる。従って、上部フラップ250の転倒操作の際に、上部フラップ250と架線5´との干渉を防止することができる。
更に、図20を参照して、軌道レール水密部60について説明する。図20(a)は、軌道レール水密部60の平面図であり、図20(b)は、図20(a)の矢印XXb方向から視た軌道レール水密部60の正面図であり、図20(c)は、図20(a)のXXc−XXc線における軌道レール水密部60の側面図である。図20(a)の矢印Z方向は外軌側を示している。なお、軌道レール水密部60は、第一実施の形態におけるヒンジ式防水ゲート1(図1参照)に対応する。
図20(a)及び図20(b)に示すように、軌道レール水密部60は、下部戸当り6−3に設けられた凹部6b(図1参照)を形成する軌道レール設置部61と軌道レール4との間を水密する平面視くさび状の軌道レール水密ゴム62と、軌道レール水密ゴム62を固定する固定部材63と、この固定部材63が当接する押さえ板64と、くさび状の軌道レール水密ゴム62に対応して平面視くさび状に形成されるくさび状金物65と、くさび状金物65と軌道レール設置部61の側部61aとの間に配設される側部調整板66と、くさび状金物65及び側部調整板66を軌道レール設置部61の側部61aに固定する調整板固定部材67とを備えている。
図20(b)に示すように、軌道レール設置部61は、下部戸当り6−3に設けられた凹部6bの側面6b−1,6b−1と下面6b−3とに接合される上方が開口するコの字状の板状部材であって、互いに対向して配設される平板状の板状部材である側部61a,61aと、側部61a,61aの下端を連結する平板状の板状部材である底部61bとを有している。なお、下部戸当り6−3に設けられる凹部6bは後述する側部調整板66が軌道レール設置部61の側部61aに取り付けられるため、その側部調整板66の分だけ軌道レール4の幅方向(図20(a)左右方向)に、通常より大きく設定されている。
図20(a)に示すように、軌道レール水密ゴム62は、軌道レール4を挟持するように水圧荷重方向の下流側(図20上側)に配設される一対の軌道レール水密ゴム62a,62bと、軌道レールを挟持するように水圧荷重方向の上流側(図20下側)に配設される一対の軌道レール水密ゴム62c,62dとを備えている。軌道部3の内軌側(鉄道車両の車輪フランジが位置する側)に設置される軌道レール水密ゴム62b,62dは、鉄道車両の車輪フランジに干渉しないように、外軌側の軌道レール水密ゴム62a,62cに比べて低く構成されている。また、軌道レール水密部60は、軌道部3の中心に対して対向して配設され、軌道レール水密ゴム62a,62b,62c,62dくさび状金物65に嵌合するようにくさび型に形成される。よって、水圧荷重が作用した際に、これらの軌道レール水密ゴム62a〜62dが軌道レール4から抜け出さない構造となっている。
図20(a)及び図20(c)に示すように、ゴム固定部材63は、軌道レール水密ゴム62を固定するための部材であって、ボルト63a,63aと、ナット63b,63bとにより構成されている。外軌側の軌道レール水密ゴム62a,62cと後述する一対の押さえ板64,63とにボルト63aを挿通し、そのボルト63aにナット63bを螺合することにより、中央側の軌道レール水密ゴム62a,62cが互いに近接する方向に圧縮され、軌道レール4の側面4bと後述するくさび状金物65の内側面65aとに圧着されて固定されている。内軌側に配設される側方側の軌道レール水密ゴム62b,62dについても同様であるため、説明は省略する。また、ボルト63aの先端には割りピンが設けられているので、軌道部3を鉄道車両が通過する際に発生する振動によりそのボルト63aに螺合されるナットの脱落を防止している。
図20(a)及び図20(c)に示すように、押さえ板64,64は、互いに対向するくさび状の軌道レール水密ゴム62a,62cの端面に取り付けられる板状部材であって、ボルト63aの頭部とナット63bとを支持している。ボルト63aにナット63bを螺合することにより、これらの押さえ板64,64が互いに近接する方向に押圧され、くさび状の軌道レール水密ゴム62a,62cが圧縮される。
図20(a)に示すように、くさび状金物65は、くさび状の軌道レール水密ゴム62a,62b,62c,62dに対応して、中央部が軌道レール4側(図20(a)中央側)に突出する断面三角形状の板状部材であって、軌道レール設置部61の側部61aに固定されている。くさび状金物65は、中央部が軌道レール4側に突出する内側面65aと下部戸当り6−3の凹部6bの側面6b−1側の直線状の外側面65bとを備え、このくさび状金物65の内側面65aと軌道レール4の内側に凹んだ側面4bとの間に軌道レール水密ゴム62が挿入され、くさび状金物65のくさび状の内側面65aに軌道レール水密ゴム62が嵌合することにより、軌道レール水密ゴム62がくさび状金物65と軌道レール4とに密着し、軌道レール4の周囲を水密構造としている。
図20(a)に示すように、側部調整板66は、軌道レール設置部61の側部61aとくさび状金物65の外側面65bとの間に配設される板状部材であって、後述する調整板固定部材67によりくさび状金物65と共に軌道レール設置部61の側部61aに固定されている。この側部調整板66は、軌道レール設置部61の側部61aと軌道レール4の側面4bとの間に形成される空所の軌道レール4の幅方向(図20(a)左右方向)の寸法L1及びL2に対応して選択可能に構成され、軌道レール水密ゴム62を軌道レール4に取り付ける際に、寸法L1及びL2を採寸することにより複数の中から適するものが選択され、軌道レール設置部61の側部61aとくさび状金物65の外側面65bとの間に配設される。
図20(a)に示すように、調整板固定部材67は、くさび状金物65と側部調整板66とを軌道レール設置部61の側部61aに固定するための部材であって、ボルト67aと、ナット67bとから構成されている。ナット67bは、軌道レール設置部61の側部61aの側面(側部調整板66に接合される側面と対向する側面、図20(a)における右側の側部61aの外側)に設けられる。鉄道車両の通過により発生する振動により、ナット67bが緩むことによってそのナット67bが螺合されるボルト67aの落下を防止するために、ナット67bが軌道レール設置部61の側部61aに溶接接合されている。
くさび状金物65と側部調整板66とは軌道レール4の幅方向に貫通する孔である螺合孔69を備え、この螺合孔69とナット67bとにボルト67aが螺合されることにより、くさび状金物65と側部調整板66とは下部戸当り6−3に固定されている。
くさび状金物65は、くさび状金物65の内側面65a(軌道レール水密ゴム62と嵌合する軌道レール4側の側面)に側部調整板66に縮径する凹みであるボルト凹部65a−1が形成され、そのボルト凹部65a−1にボルト67aの頭部67a−1が収容されるので、軌道レール水密ゴム62の挿入時にボルト67aの頭部67a−1が軌道レール水密ゴム62と干渉することがなく、軌道レール水密ゴム62の挿入作業を簡易に行うことができる。
このように、軌道レール設置部61の側部61aとくさび状金物65の外側面65bとの間に配設される側部調整板66によって、くさび状金物65の内側面65aと軌道レール4の側面4bとの間で形成される隙間を、軌道レール4の幅方向の寸法(図20(a)左右方向)が一定となるように調整した後に、その隙間に軌道レール水密ゴム62を挿入するので、軌道レール水密ゴム62の切断等の調整が作業不要となる。
即ち、軌道レール4の設置等によって、軌道レール設置部61の側部61aと軌道レール4の側面4bとの間に形成される空所は、軌道レールの設置位置の誤差等により軌道レール4の幅方向(図20(a)左右方向)で寸法誤差が生じてしまうが、その寸法誤差に対応して側部調整板66を選択可能にするので、空所の寸法L1及びL2を採寸することにより複数の種類の中から適するものが選択されて、くさび状金物65の内側面65aと軌道レール4側面4bとの間で形成される隙間の軌道レール4の幅方向(図20(a)左右方向)の寸法を一定の規定値になるように調整することができる。
よって、軌道レール水密ゴム62を挿入する際には、その隙間の寸法を軌道レール水密ゴム62の寸法に対応した規定値に設定できるので、軌道レール水密ゴム62をその隙間に合わせるために行う軌道レール水密ゴム62切断等の調整作業を不要として、軌道レール水密ゴム62の挿入作業を容易に行うことができ、作業者の負担を軽減することができると共に、くさび状金物65の軌道レール設置部61の側部61aと軌道レール4の側面4bとの間で形成される隙間の軌道レール4の幅方向(図20(a)左右方向)の寸法と、軌道レール水密ゴム62の軌道レール4の幅方向の寸法とを一致させることができるので、軌道レール4の周囲の水密性を向上させることができる。
また、図20(b)に示すように、下部調整板68は、対向するくさび状金物65の間であって軌道レール4の下面4cと軌道レール設置部61の底部61bとの間に配設される板状部材であって、軌道レール設置部61の側部61aと軌道レール4の側面4bとの間に形成される空所の軌道レール4の上下方向(図20(b)上下方向)で生じる寸法L3に対応して軌道レール4の下面4cと軌道レール設置部61の側部61aとの間に配設されている。
このように、下部調整板68を軌道レール4の下面4cと軌道レール設置部61の底部61bとの間に配設することにより、軌道レール設置部61の底部61bと軌道レール4の下面4cとの間の軌道レール4の高さ方向における寸法誤差に対応して、下部調整板68の厚さを選択することにより、軌道レール4の下面と軌道レール設置部61の底部との間を埋めることができ、軌道レール4を確実に支持することができる。
なお、下部調整板68は、板状部材に限定されず、下部戸当り6−3に打設されるコンクリートの打設高を調整することによって下部調整板68として機能させることができる。
ここで、軌道レール4に軌道レール水密ゴム62を取り付ける工程について説明する。まず、軌道レール設置部61が設置された下部戸当り6−3を軌道部3に設置した状態で、戸当り躯体部2aを打設することにより、下部戸当り6−3を戸当り躯体部2aに保持させて軌道部3に設置する(図1参照)。
次に、下部戸当り6−3の凹部6bに軌道レール4を仮に設置し、軌道レール4の側面4bと軌道レール設置部61の側部61aとの間に形成される空所の寸法、及びL1、L2及び軌道レール4の下面4cと軌道レール設置部61の底部61bとの間に形成された空所の寸法L3を測定する。この測定により測定された空所の軌道レール4の幅方向(図20(a)左右方向)における寸法によって、その寸法に対応する側部調整板66を選択する。
同様に空所の軌道レール4の高さ方向(図20(a)上下方向)における寸法L3によって、その寸法に対応する下部調整板68を選択する。
その後、仮に設置された軌道レール4を取り外して、図20に示すように、側部調整板66を下部戸当り6−3の軌道レール設置部61の側部61aに接合させると共に、その側部61aにくさび状金物65を接合させ、軌道レール4側(図20(a)右側)から挿入したボルト67aを軌道レール設置部61の側部61aに固定されたナット67bに螺合して、側部調整板66とくさび状金物65とを軌道レール設置部61の側部61a、即ち下部戸当り6−3に固定する。その後、下部調整板68を下部戸当り6−3の軌道レール設置部61の底部61bに設置し、この下部戸当り6−3の凹部6bに軌道レール4を設置して取り付ける(図1参照)。
図20に示すように、取り付けられた軌道レール4の側面4bとくさび状金物65との間に互いに対向する外軌側の軌道レール水密ゴム62a,62cを軌道レール4に沿って(図20(a)上下方向)挿入する。この場合、水圧荷重方向下流側の軌道レール水密ゴム62aを水圧荷重方向の下流側(図20(a)上側)から挿入すると共に、水圧荷重方向上流側の後側軌道レール水密ゴム62cを水圧荷重方向上流側(図20(a)下側)から挿入する。
そして、図20(c)に示すように、互いに対向する外軌側の軌道レール水密ゴム62a,62cと、その外軌側の軌道レール水密ゴム62a,62cの端面にそれぞれ接合された一対の押さえ板64,64とにボルト63aを挿通すると共に、そのボルト63aにナット63bを螺合することにより、中央側の軌道レール水密ゴム62a,62cは互いに近接する方向に圧縮し、中央側の軌道レール水密ゴム62a,62cは軌道レール4の側面4bとくさび状金物65の内側面65aとに圧着されて固定される。内軌側の軌道レール水密ゴム62b,62dについても同様であるため、説明は省略する。
よって、軌道レール設置部61の側部61aとくさび状金物65の外側面65bとの間に配設される側部調整板66によって、くさび状金物65の内側面65aと軌道レール4側面4bとの間で形成される隙間を、軌道レール4の幅方向の寸法(図20(a)左右方向)が一定となるように調整した後に、その隙間に軌道レール水密ゴム62を挿入するので、軌道レール水密ゴム62をその寸法に合わせるために行う軌道レール水密ゴム62の切断等の調整作業を不要として、軌道レール水密ゴム62の挿入作業を容易に行うことができ、作業者の負担を軽減することができると共に、くさび状金物65と軌道レール4との間の軌道レール4の幅方向における寸法と、軌道レール水密ゴム62の軌道レール4の幅方向の寸法とを一致させることができるので、軌道レール水密ゴム62の水密性を向上させることができる。
以上、本発明の実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態になんら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能であることは容易に推察できるものである。
例えば、上記実施の形態では、軌道レール4が設置される地下構造物にある軌道部3にヒンジ式防水ゲート1が設置される場合を説明したが、地下構造物にある軌道部3に設置される場合に限定されず、大量に降った雨水等が駅構内に侵入しないように、駅構内の入り口にヒンジ式防水ゲート1が設置される場合や水路にヒンジ式防水ゲート1が設置される場合等、水圧荷重が発生する箇所にヒンジ式防水ゲート1が設置される場合にも適用可能である。
また、上記実施の形態では、ヒンジ式防水ゲート1を手動により移動させる場合を説明したが、ヒンジ式防水ゲート1をモーター等によって移動させる場合にも適用可能である。
その他、上記実施の形態では、下部フラップ本体部31の表面30aが、扉体本体21の表面20aと同一平面上に配設された場合に、下部水密ゴム24−3を軌道レール4の上面4aと下部水密面6a´−3とに当接させる場合を説明したが、これに限定されず、下部フラップ本体部31の表面30aが、扉体本体21の表面20aに対して斜めに配設された場合であっても、下部水密ゴム24−3を上部水密面6a´−2と同一平面上に設定される下部水密面6a´−3に当接させることができる場合にも適用可能である。例えば、上部水密ゴム24−2に対して下部水密ゴム24−3を軌道レール4の延出方向に肉厚に形成し、その下部水密ゴム24−3を上部水密面6a´−2と同一平面上に設定される下部水密面6a´−3に当接させる場合が想定される。
更に、上記形態では、軌道レール水密ゴム62がくさび状に形成される場合について説明したが、これに限定されずに軌道レール水密ゴム62が矩形状等、水圧荷重による抜け止めを考慮した上で水密性を保持できる形状に形成される場合にも適用可能である。
上記形態では、側部調整板66が複数の中から選択される場合を説明したが、これに限定されず、くさび状金物65が複数の中から選択される場合にも適用可能である。