JP4829545B2 - ズーム光学系 - Google Patents

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Description

本発明は、撮像装置、投射装置、露光装置、読み取り装置等に好適なズーム光学系に関するものである。
近年、デジタルカメラやカメラ付き携帯電話等の普及により、小型で高解像度のズーム光学系が要望されている。
小型で高解像度のズーム光学系において、ズーミングは通常、受光面(CCD等)に対して複数のレンズ群を光軸方向に移動させることで行われている。このときレンズ群を物体方向に移動させるズーム方式では、光学全長(第1レンズ面から像面までの長さ)が長くなり、これがレンズ系全体の小型化を妨げる1つの原因となってくる。
これに対して、従来、光学素子を光軸方向と異なった方向へ移動させて全系のパワーを変えるアルバレツレンズと呼ばれる光学素子を用いた光学系が提案されている(特許文献1、2,非特許文献1)。
そしてこれらのアルバレツレンズを利用してズーミングを行うズーム光学系が種々と提案されている(特許文献3)。
特許文献1に掲載された光学系では、3次関数で表される曲面をレンズに与え、そのレンズを2枚、光軸方向とは異なる方向に相対的にずらしてパワーを変化させている。この光学系はレンズ群を光軸方向に繰り出さないので、ズーム光学系に用いることでレンズ全長を短くすることができる。
また特許文献2に開示されている光学系は、3次だけではなく高次の項、特に5次の項の曲面をレンズに与えることで収差を除去した光学系を開示している。
さらに、特許文献3ではこのレンズをズーム光学系に用いた例を提案している。そして上記のレンズを最低2つ配置し、像点を一定にしながらパワーを変化させる原理について開示している。
一方、非特許文献1には回転非対称の光学素子が含まれる光学系を開示している。この光学系では、通常の共軸レンズ系と異なり共通の軸(光軸)を持たない。こうした非共軸光学系は、オフアキシャル(Off-Axial )光学系と呼ばれ、像中心と瞳中心を通る光線が辿る経路を基準軸としたときに、構成面の基準軸との交点における面法線が基準軸上にない曲面(Off-Axial曲面)を含む光学系として定義される。
この場合、基準軸は折れ曲がった形状となる。そのため、近軸量の算出も通常行われるような共軸系の近軸理論ではなく、Off-Axial理論を元にした近軸理論を使わなければならない。その方法の光学的原理は、非特許文献1に詳しく紹介されており、例えば面の曲率を元に4×4行列式を計算することで行われている。
米国特許第3305294号 米国特許第3583790号 特開平01−248118号公報 光学 29巻3号(2000)
特許文献1と特許文献2では、1組の回転非対称レンズを用いてパワーを変化させる方法および収差の補正について述べているが、パワーを変化させたとき像面を一定にすることができない。
また、特許文献3では像点を一定にしながらパワーを変化させる原理を述べているが、収差の補正を行い実際に良好なる画像が得られるズーム光学系の設計をするまでには至っていない。
アルバレツレンズを用いてズーム光学系を構成するには、ズーミングによって像面が一定であり、かつズーミングによる収差変動が少なくなるように構成しなくてはならない。
本発明は、回転非対称面を含み光軸と異なる方向に移動する複数の光学素子を有する光学群と1以上の光学群とを適切に用いることによって、ズーミングによって像面が一定で、かつズーミングにおける収差変動が少なく、全ズーム範囲にわたり、高い光学性能を有した光学全長の短いズーム光学系の提供を目的とする。
本発明のズーム光学系は光学的パワーが可変の複数の光学群と、1以上の光学群とが光軸方向に配置され、該光学的パワーが可変の複数の光学群の光学的パワーを変えてズーミングを行うズーム光学系であって、該光学的パワーが可変の複数の光学群は、各々回転非対称面を含み光軸と異なる方向に移動して光学群内の光学的パワーを変える複数の光学素子を有しており、
望遠端において、該光学的パワーが可変の複数の光学群の光学的パワーの合計の絶対値を|φdt|、
該1以上の光学群の光学的パワーの合計の絶対値を|φst|とするとき
|φdt|≦|φst| ・・・(1)
なる条件を満足することを特徴としている。
本発明によれば、ズーミングによって像面が一定でかつズーミングにおける収差変動が少なく、全ズーム範囲にわたり、高い光学性能を有した光学全長の短いズーム光学系が得られる。
まず本発明の実施例を説明する前に、本発明のズーム光学系を構成するオフアキシャル光学系の回転非対称面及びそれらの構成諸元の表し方について説明する。
Off-Axial光学系では、後述する本発明の比較例1として示す図2のように光入射側の面SOを基準面とし、基準面SOの中心POを原点とする絶対座標系を設定する。その原点POと瞳中心を通る光線が辿る経路を基準軸とする。
また、像中心IPOと基準面SOの中心POである絶対座標系の原点を結ぶ直線をZ軸と定め、向きは第1面から像中心に向かう方向を正とする。このZ軸を光軸と呼ぶこととする。
さらに、Y軸は原点POを通り右手座標系の定義に従ってZ軸に対して反時計回り方向に90゜をなす直線とし、X軸は原点を通りZ、Yの各軸に垂直な直線とする。
以下で示す近軸値はOff-Axialの近軸追跡を行った結果である。特に断り書きがない限りOff-Axialの近軸追跡を行い、近軸値を算出した結果とする。
本発明に係るズーム光学系は、回転非対称形状の非球面を有し、その形状は以下の式で表される。
(数1)
z =C02y+C20x+C03y+C21xy+C04y+C22x+C40x+C05y+C23x+C41xy+C06y+C24x+C42x+C60x
数式1はxに関して偶数次の項のみであるため、数式1により規定される曲面はyz面(図2参照)を対称面とする面対称な形状である。
また、以下の条件が満たされる場合はxz面(図2参照)に対して対称な形状を表す。
(数2)
C03=C21=C05=C23=C41=t=0
更に、以下の条件が満たされる場合は回転対称な形状を表す。
(数3)
C02=C20
(数4)
C04=C40=C22/2
(数5)
C06=C60=C24/3=C42/3
以上の条件を満たさない場合は回転非対称な形状である。
以下に示す実施例及び比較例における回転対称面及び回転非対称面の形状は、数1〜数5に基づいている。
[実施例1]
図1は、本発明の実施例1のレンズ断面図である。
図1において、T、M、Wは各々、望遠端(全系のパワー(「光学的パワー」ともいう。)が最も小さくなるズーム位置)、中間のズーム位置、広角端(全系のパワーが最も大きくなるズーム位置)におけるレンズ断面図である。
図5は、図1の実施例1の中間のズーム位置(図1のM)を例として選択し、各要素について説明するためのレンズ断面図である。
実施例1のズーム光学系は、撮像装置に用いられる撮影レンズ系であり、レンズ断面図において、左方が物体側で、右方が像側である。
尚、実施例1のズーム光学系を、投射装置(プロジェクタ)として用いても良く、このときは、左方がスクリーン、右方が被投射面となる。
図1、図5において、G1、G2は光学的パワーが可変の(本実施例ではズーム光学系のズーミングに際して光学的パワー、焦点距離が変化する)光学群である。G3は光学的パワーが不変の光学群である。
SPは開口絞り(絞り)であり光学群G1として光学群G2との間(光路中)に配置している。
光学的パワーが可変の2つの光学群G1、G2のパワーを変えて像面IPを一定にしつつズーミングを行っている。
光学的パワーが可変の2つの光学群G1、G2は、各々回転非対称面を含み、光軸と異なる方向に移動して、光学群G1、G2内のパワーを変える2つの光学素子(光学素子Ld)E1、E2、E3、E4を有している。
尚、光学的パワーとは、光軸上に位置する面のパワーをいい、回転非対称の面を持つ光学素子が偏心して光軸上の面が変化するときは、それに応じて光学群内の光学的パワーも変化する。
本発明の実施例について説明する。実施例で対象とする撮像面はCCDを仮定し、その大きさを1/4inch(縦2.7mm×横3.6mm)サイズとする。また明るさは広角端(全系の光学的パワー(パワー)が最も大きいズーム位置)でFナンバー4とし、望遠端(全系の光学的パワーが最も小さいズーム位置)でFナンバー6とした。
実施例1では、光学素子は全部で6枚から構成され、物体側(前方)から像側へ順に光学素子E1,E2,E3,E4は、回転非対称形状であり、これらの光学素子はY軸方向に偏心し、その偏心量は連続的に変化する。
また、その量はお互いに正負逆で絶対値が等しくなるようになっている。光学素子E5,E6は回転対称非球面形状であるが、光軸に非対称な収差が残存している場合にはこれを除去するために回転非対称形状としてもよい。また、光学素子E1,E2で第1群G1(光学群A)を構成している。
同様に光学素子E3,E4で第2群G2(光学群B)を構成している。面番号については絶対座標系の原点である基準面をS0と定め、光学素子E1の第1面をS1とし順にS2,S3,S4となり、面S4の後(光学素子E2の後方)に絞りSPがあるのでそれをS5としている。光学素子E3の第1面をS6とし順に番号を付け、像面IPがS17となる。
以下、Y軸方向に連続偏心する回転非対称群(光学素子E1からE4)、回転対称群(光学素子E5からE6)をそれぞれ偏心可動ブロック、補助ブロックと呼ぶこととする。
偏心可動ブロックG1,G2のみではパワーが強くなり収差補正が困難になるため、補助ブロックG3を配置している。また回転非対称形状の光学素子E1〜E4は両面が回転非対称形状となっている。CCD面直前に置かれた平板ガラスGaは赤外カットフィルター及びCCDのカバーガラス等である。
実施例1のレンズデータを表3に示す。各光学素子(レンズ)のZ軸からのずれ量は表4のようになり、数式12で表される回転対称非球面の係数を表5に、数式1で表される多項式面の各係数の値を表6に示す。但し、数式12において、h2=X2+Y2を満たし、cは曲率半径、A,Bは係数である。
(数12)
図1は、そのときの光路図を望遠端(全系の光学的パワーが最小となる位置)、中間のズーム位置、広角端(全系の光学的パワーが最大となる位置)の順に示している。
基準面S0に入射した光線はまず第1群G1に入射する。第1群G1は2つの光学素子E1、E2から構成され、面の番号はS1からS4とする。
光学素子E1とE2はY軸方向に偏心し、その量は表4に示すようにお互いに正負逆で絶対値が等しくなるようになっている。
それによって第1群G1のパワーを望遠端から広角端へのズーミングに際して正から負に変化させている。第1群G1を射出した光線は次に絞りS5(SP)を通過し、第2群G2に入射する。第2群G2は第1群G1と同様に2つの光学素子E3、E4から構成され、面の番号はS6からS9とする。光学素子E3とE4はY軸方向に偏心し、その量は表4に示すようにお互いに正負逆で絶対値が等しくなるようになっている。
それによって第2群G2のパワーを望遠端から広角端へのズーミングに際して負から正に変化させている。これらの偏心可動ブロックG1,G2を通過した光線は次のズーミングのためには不動の補助ブロックG3に入射する。補助ブロックG3は偏心可動ブロックG1,G2の足りないパワーを補っている。補助ブロックG3は回転対称非球面である面S10から面S13から構成される2つの光学素子E5、E6から成る。これらの光学素子E5,E6を通過した光線は赤外カットフィルター、CCDのカバーガラスGaを通過し像面IPを変化させることなく結像している。
次に、望遠端(T)、中間のズーム位置(M)、広角端(W)の収差図をそれぞれ図7(A)、図7(B)、図7(C)に示す。横軸は光線の瞳上で位置を表し、縦軸が像面での主光線からのずれを表す。縦軸の範囲は±20μmである。図7(A)、図7(B)、図7(C)中の番号は画角番号であり、像面(撮像素子)上では図8に示すようになっている。x軸については対称であるので、x方向については正の場合のみを考えればよい。画角0°の光線を見ると望遠端から広角端に至るまで良好にコマ収差を除去していることが分かる。
また、図9に望遠端T、中間のズーム位置M、広角端Wにおけるディストーション格子を示す。格子の縦横は1/4inch(縦2.7mm×横3.6mm)サイズとなっている。これを見ると、ディストーションも良好に抑えられていることが分かる。
偏心可動ブロックG1,G2のみではパワーが強くなり収差補正が困難になるため、補助ブロックG3を配置したことについてはすでに上で述べた。さらに本実施例では、2枚の共軸光学素子(共軸レンズ)から成る補助ブロックG3を偏心可動ブロックG2の像面側に配置した。2枚の共軸光学素子E5,E6のパワーは絞りSPから像側に向かって順に(遠ざかるにつれて)正、負の屈折力の順となるようにして偏心可動ブロックG1,G2の補助を行っている。
これは一般的に知られるテレフォトタイプであり、それらの共軸光学素子E5,E6がない場合と比較してバックフォーカス(最終光学面から像面IPまでの距離)を短くすることができる。
また、広角端では全系のパワーが強くなり、個々の群のパワーも強くなりがちである。パワーが強い光学系は一般的に収差が出やすい。広角端で全系のパワーが強くなることは避けられないが、個々の群のパワーを弱くできれば収差を抑えることができる。図3に示すパワー変化を見ると、第1群G1のパワーは全系のパワーに対して直線的に変化し、第2群G2は曲線を描いて変化する。それは数式8及び数式9から明らかである。しかし、回転非対称の光学素子の曲面形状及びずれ量の与え方によってその解は様々である。この解を、広角側でパワーを弱くすることができれば収差を抑えることができる。
そのためには、図10に示すように第1群G1の直線的な変化G1をパワーが正の方向に曲率を持たせた形状G1″にし、第2群G2を逆にパワーが負の方向の形状G2´に変化させる。かかる構成により、望遠側ではパワーが強くなるものの、広角側でパワーを弱めることができる。即ち、両者のパワー変動が一致する交点が広角側に存在すればよく、また、広角端における各群G1,G2のパワーの絶対値を比較して大きい方(G2)を|φgw|max、望遠端における各群G1,G2のパワーの絶対値を比較して小さい方(G1)を|φgt|minとすると数式13を満足するようにしている。
(数13)
|φgw|max < |φgt|min ‥‥‥(2)
次に、図11に全系のパワーと各群G1,G2及び第1群G1と第2群G2の合成系のパワーG1+G2の変化との関係を示す。これを見ると、全系のパワーが大きくなるにつれ、偏心可動ブロックの第1群G1は正から負へ、第2群G2は負から正へパワーが変化している。
また、その交点が広角側(W)にあり、広角側におけるパワーの絶対値が望遠側におけるそれよりも小さくなっている。広角側で各群のパワーの絶対値を小さくし、収差を抑えている。
更に、群を構成する光学素子のパワーを正負逆にすることでも収差を抑えることができる。ゆえに、収差が発生しやすい広角端での各群内パワー配置を正,負、逆にする。そこで、図12に全系のパワーに対する光学素子E1〜E4ごとのパワーの変化を示す。これを見ると、望遠端では群内のパワー配置が物体側から正,正,負,負のパワーの順となっているのに対し、広角端では正,負,正,負のパワーの順となっている。
第1群G1と第2群G2は、広角端において光学的パワーが逆符号の光学素子を含んでいる。
全系のパワーの変化に従って偏心可動ブロックG1,G2はパワーが変化し、それに対して補助ブロックG3は一定である。全系のパワーはこれら2つのブロックのパワーと主点間隔から求めることができる。全系のパワーを所望の値にするためには、それら2つのブロックのパワー配置は様々な組み合わせが考えられる。しかし、偏心可動ブロックG1,G2のパワーを強くすると、偏心に従って発生する収差が大きくなり、それを抑制することが難しくなる。従って、両者のパワーを比較して、偏心可動ブロックG1,G2のパワーの方が小さくなるか、もしくは同程度としなければならない。ゆえに、全系のパワーが弱い望遠端において、偏心可動ブロック(G1+G2)のパワーの絶対値(総和)、補助ブロックG3のパワーの絶対値をそれぞれ、|φdt|、|φst|としたとき、以下の条件を満足するようにしている。
(数14)
|φdt| ≦ |φst| ‥‥‥(1)
図6に、実施例1の偏心可動ブロック(G1+G2)のパワー(総和)と補助ブロックG3のパワーを示す。これは数式14が成り立っていることが分かる。
一般的に、ペッツバールが大きいと像面湾曲が大きくなり、逆だと小さくなることが知られている。本実施例でもペッツバールを小さくすることで像面湾曲を小さく抑えている。ペッツバールは光学素子Ei(i=1〜n)でのパワーをφEi、材料の屈折率をnEiとしたとき以下の式で与えられる。
(数15)
PEi= φEi/nEi
共軸光学素子を用いた通常のズーム光学系においては、この値は常に一定である。しかしながら、本実施例のように光学素子が連続して偏心し、パワーが変化する光学系においては一定ではない。またパワーの変化に対して、硝材の屈折率は1.45付近から1.9付近とその変化が小さいため、ペッツバールの変化はパワーの変化といってもよい。そこで、このペッツバールを抑えるために、第1群G1と第2群G2における全ズーム位置(全ズーム範囲内)における任意のズーム位置でのパワーの絶対値の最大値を|φ|maxとし、第1群G1と第2群G2の合計値をφ12(φAB)とすると次式を満足するようにパワーの変化の範囲を定めている。
(数16)
−|φ|max ≦ φ12 ≦ |φ|max ‥‥‥(3)
図11のパワー変化の図を見ると、第1群G1と第2群G2のパワーの合計G1+G2がその範囲にあることが分かる。
次にペッツバールについて調べてみる。表7に各群いE1〜E6、偏心可動ブロック(G1+G2)、補助ブロックG3、全系のペッツバールを示す。また同様に、従来例を比較例として表8に示す。
両者でペッツバール和の合計を比較すると、実施例1ではペッツバールが小さくなっている。補助ブロックG3でのペッツバールの合計はほぼ0に等しいことから、補助ブロックG3は正と負の屈折力の2枚の光学素子で像面湾曲を除去している。
またこのことから、全系のペッツバール和は偏心可動ブロックG1,G2の寄与がほぼ全てと考えてよい。そこで、偏心可動ブロックG1,G2のペッツバールに着目すると、望遠端では−0.13と低い値を示し中間のズーム位置及び広角端では0.3と、従来例のそれと比較すると約半分になっていることが分かる。これが像面湾曲の除去を可能にしている。
実際に収差図を見ると中間のズーム位置と広角端では像面湾曲が発生しているのに対して、望遠端では像面湾曲ではなく像面の傾きだけである。このことから合計のペッツバール和は収差と対応している。
次に、第1群G1、第2群G2、第1群G1と第2群G2の全系のパワーに対するペッツバール和の変化を図13に示す。また、従来例についても比較例として図14に示す。これらを比較すると、第1群G1と第2群G2の個々のペッツバール和については従来例も実施例1もその絶対値がほぼ等しいが、変化量を見ると実施例1の方が小さい。また、実施例1では第1群G1の正のペッツバールと第2群G2の負のペッツバールが相殺し、それらの和が0付近で変化しているのに対し、従来例では相殺せず第1群G1と第2群G2のペッツバール和が常に正となっている。これら2つの結果はパワーφ12を上記の範囲にした結果である。以上のようにして実施例1は像面湾曲を除去した。
理想的には第1群G1と第2群G2のパワーの正,負が逆で絶対値が等しくなれば、硝材の屈折率は限られた範囲であるため、ペッツバールを0付近にすることができ像面湾曲を除去できる。第1群G1と第2群G2のパワーが正,負、異なるだけで、絶対値が近い値であればペッツバール和は理論的に小さくできる。しかし、第1群G1と第2群G2でそのようなパワーにすると、全系でのパワーが小さくなり広角化が困難であるという欠点がある。ペッツバール和を抑えながら全系でのパワーをかせぐ方法は、次式から見出すことができる。
(数17)
φtotal=φ1+φ2−eφ1φ2
数式17は、偏心可動ブロックG1,G2の合計のパワーφtotalを、第1群G1,第2群G2のパワーφ1、φ2、その間の主点間隔eで表した式である。パワーφ1、φ2が正,負、異なるだけで絶対値が近く、また硝材を変化させないとき、合計のパワーφtotalを大きくするには、主点間隔eをなるべく大きくすることが望ましいことが分かる。そこで実施例1と従来例で主点間隔を比較した。両者とも全系のパワーが異なるため、全系のパワーに対する主点間隔を比較する。それを表9及び表10に示す。
これらを比較すると、望遠端及び広角端では主点間隔はほぼ等しいものの、ミドルでは実施例1の方の主点間隔が大きい。したがって、実施例1では第1群G1と第2群G2のパワーの絶対値を同じにしながらも主点間隔を広げることによって全系のパワーを大きくし、パワーを大きくしている。
実施例1で発生する軸上光線の上線・下線のずれ(これを軸上コマ収差と呼ぶこととする)を小さくするために、本実施例では光線と光軸とのなす角度を抑えることを行った。
そこで、図15に示すように各面Siの光軸と交わる点における接線の傾きに着目する。ある面の接線が光軸に対して正の傾きを持てば、同様に負の傾きを持つ面を配置することで、光線と光軸とのなす角度を抑え、かつ軸上コマ収差を小さくすることができる。その結果、各面は図5の光路図のような傾きを持ち、例えば望遠端の面S1を見ると、接線がY軸に対して負の傾きがあるのに対し、面S3の接線は逆に正に傾き、逆の補正をすることで軸上コマ収差を小さくしている。これの合計を小さくすることで軸上コマ収差を抑えることができる。そこで、この範囲を以下の範囲としている。
(数18)
但し、iは光学面Siが表す面番号(順番)であり、Kiは面Siでの傾きである。
傾きの最大値をKmax、全系の光学面Sの傾きKiの合計をΣKiとしている。
また、曲面のローカルな曲率をCとすると、非特許文献1から面のパワーφは以下で与えられる。
(数19)
φ=2(N’cosθ’−Ncosθ)C
ここで、N、θはそれぞれ光線が入射する側の屈折率、入射角であり、N’、θ’は光線が射出する側のそれである。
この式からローカルな曲率が同じであっても、曲面の前後の屈折率と入射角・射出角によってパワーが変化することが分かる。また、スネルの法則から以下の関係が成り立つ。
(数20)
Nsinθ=N’sinθ’
これを数式19に代入してθ’を消去すると以下の式が導かれる。
(数21)
ここでN=1としてN’とθで式をグラフで表すと図16のようになる。
θは-0.3[rad]から0.3[rad]の範囲(約±17°の範囲)とした。これからこの範囲での
の変化量は、入射角θの変化に対してよりも屈折率N’の変化に対しての方が敏感に変化することが分かる。
面の前後が空気→硝材の場合と硝材→空気の場合、さらには硝材の屈折率が大きさによってパワーφの値は変化し、面の前後が硝材→空気かつ硝材が大きい方がパワーφは大きくなる。以上から曲率半径が同じであっても屈折率の大小によって面のパワーは異なることが分かる。
一方面のパワーを大きく変化させるためには曲面の傾きを大きくし曲率の変化を大きくする必要がある。ゆえに、パワーの変化量が大きくなるにつれて傾きの最大値が大きく傾向にあると言える。また上述の考察からパワーは屈折率によって変動するのでその範囲を以下に定めている。
(数22)
0(度・mm)≦Kmax/Δφ≦3(度・mm) ‥‥‥(5)
ただし、Δφは各面のパワーの変化量である。図17に実施例1の各面毎のKmaxとパワー変化量Δφの関係を示す。
また図17に示す直線は、Kmax=Δφの直線であり、θ,θ’が共に0、屈折率が共に1の場合の関係である。この直線の上方にある面が空気→硝材、下方にある面が硝材→空気の場合となる。また、硝材の屈折率が大きいほどパワーφは大きくなり、直線に近づいていることが分かる。
また面毎のKmax/Δφの値を図18に示す。傾きKmaxは0.16から2.5となり、数22の範囲を満足していることが分かる。
次に、各面の接線の傾きを表11に示す。面が同じ傾きを持っていても、図19のようにその屈折率nの大小によって光線の進む方向が異なるため、屈折率が大きい方から小さい方へ光線が射出する面の傾きに−1を乗じて判断する。その合計を見ると、いずれも数式18が成り立っていることが分かる。
次に、各面の光軸と交わる点における接線の傾きが軸上コマ収差を除去していることを確かめるために、軸上コマ収差の量を各面で表したものを図20に示す。横軸は面番号であり、縦軸は、図21に示すように面Siを射出した光線の上線下線が光軸まで到達したとしたときのその点から面Siまでの距離(光線のバックフォーカス)である。物体面から像面に向かう方向を正とする。
面S6は絞り面であるので、図20のどの図も面S5と面S6の上線下線のバックフォーカスが同じ値であることが分かる。また図20中に示した差の絶対量とは、上線と下線のバックフォーカスの差の絶対量であり、これが0であれば上線下線は同じ点で結像し、軸上コマ収差が発生しないことになる。
図20を見ると、回転非対称の光学素子の最終面である第10面のバックフォーカスが上線下線とも同程度となっていることが分かる。ゆえに軸上コマ収差がなくなり、回転非対称レンズの後では光線は共軸系と等価になり、Off−Axialの収差は残存しない。従って、偏心可動ブロックより像面側に配置した補助レンズは回転非対称面にする必要はない。
更にコンパクトを保ちながらズーミングを行うには、主点位置を光学素子の位置から大きく移動させる必要がある。従来の片面に3次曲線を与えただけの光学素子ではその3次係数を持たせた面に主点位置があるだけで大きく変動しない。主点位置を大きく変動させるため方法として、例えば片方の面に曲率を持たせ回転非対称の光学素子の形状をメニスカスにすることが挙げられる。
両凸レンズや両凹レンズとは異なり、メニスカス形状のレンズは主点がレンズの外側にすることもできるレンズであり、回転非対称レンズにもこの形状を採用することにより主点をレンズの外側に大きく変動させることができる。
しかしながら、回転非対称の光学素子をメニスカス形状にすると望遠端もしくは広角端で(光線が光学素子の端を通るときに)軸上光線の上線・下線でずれが生じる。そのため、他の光学素子でこれの補正しなければならない。これを解決する方法は補正する光学素子を逆の傾きを持つメニスカスにし、上線・下線のずれを打ち消すことを行う。
3次以上の高次の係数を面に導入する際にはこれに着目し係数を定めることとする。また、メニスカス形状は互いの距離を縮める方向に形状をつけることが望ましい。なぜならば光学素子同士を近づけることで、軸上コマ収差を各面で最小限にしながら除去できるからである。
以上のようにして軸上コマ収差を除去している。
面形状を数式10で与えた回転非対称の光学素子をY軸方向にδだけ偏心(変位)させたときの最大量をδmaxとすると、その光学素子のパワーは数式11から求めることができる。光学素子の厚みをdとすると、図22のように光学素子のコバ厚が0以上となる条件から次式が成立する。
(数23)
a×δmax3 ≦ d
数式23と数式11から、数式24が得られる。
(数24)
数式24を更に変形すると数式25が得られる。
(数25)
ここで12(n−1)は一定なので、パワーφmaxとずれ量δmaxの積の範囲はd/δmaxで定まることとなる。
即ち、ずれ量に対する光学素子の厚みで定まることが分かる。厚みdを大きくするとパワーが強くなり収差が増大し、逆にδmaxを大きくすると光学素子の大きさが増大する。そこで収差補正とコンパクト化の観点から、d/δmaxを1以下とすることが望ましい。実施例1では厚みdが0.5mm,ずれ量δmaxが約1.34mmであることから、d/δ=0.37<1となっている。以上をまとめると、次式が成立すると妥当であるといえる。
(数26)
δ×φ<6 ‥‥‥(6)
実施例1でずれ量δとパワーφの最大値の積を求めると、広角端の第2群G2でδ=−1.34358、φ= 0.238784となり、それらの積は0.32となっている。これは上記の範囲を十分に満たしている。
尚、本実施例及び以下の実施例においてフォーカスは全系を移動させて行うか又は1つの光学群を光軸に対して垂直方向に移動させて行うのが良い。
[実施例2]
図23は本発明の実施例2のレンズ断面図である。仕様は実施例1と同様である。但し、望遠端と中間のズーム位置と広角端でのFnoがそれぞれ8、5.6、4とした。光学素子(レンズ)は全部で7枚である。物体側から順に光学素子E1,E2,E5,E6が回転非対称形状であり、これらの光学素子はY軸方向に偏心し、その偏心量は連続的に変化する。また、その量はお互いに正負逆で絶対値が等しくなるようになっている。光学素子E3,E4及びE7が回転対称球面形状であるが、光軸に非対称な収差が残存している場合にはこれを除去するために回転非対称形状としてもよい。
また、光学素子E1,E2で第1群G1を構成している。同様に光学素子E3,E4のレンズで第2群G2を構成し、光学素子E5、E6で第3群G3を構成している。面番号については絶対座標系の原点である基準面を面S0と定め、光学素子E1の第1面をS1とし順にS2,S3,S4となり、面S6の後(光学素子E3の後方)に絞りS7(SP)が位置している。光学素子E4の第1面をS8とし順に番号を付け、像面IPがS16となる。以下に、Y軸方向に連続偏心する回転非対称群(G1とG3)、回転対称群(G2とE7)をそれぞれ偏心可動ブロック、補助ブロックと呼ぶこととする。偏心可動ブロックG1,G3のみではパワーが強くなり収差補正が困難になるため、補助ブロックG2,E7を配置している。
実施例2のレンズデータを表12に示す。各光学素子のZ軸からのずれ量は表13のようになり、数式1で表される多項式面の各係数の値を表14に示す。
図24にそのときの光路図を望遠端T、中間のズーム位置M、広角端Wの順に示す。光学素子E1とE2はY軸方向に偏心し、その量は表13に示すようにお互いに正負逆で絶対値が等しくなるようになっている。
それによって第1群G1のパワーを正から負に変化させている。第1群G1を射出した光線は光学素子E3、絞りS7(SP)、光学素子E4を通過し、光学素子E5とE6に入射する。光学素子E5とE6はY軸方向に偏心し、その量は表13に示すようにお互いに正負逆で絶対値が等しくなるようになっている。
それによって第2群G2のパワーを負から正に変化させている。これらの偏心可動ブロックG1,G3を通過した光線は次の補助ブロックE7に入射する。補助ブロックE7は偏心可動ブロックG1,G3の足りないパワーを補っている。これらの光学素子を通過した光線は像面を変化させることなく結像している。
次に、望遠端、中間のズーム位置、広角端の収差図をそれぞれ図25A乃至図25Cに示す。横軸は光線の瞳上で位置を表し、縦軸が像面での主光線からのずれを表す。縦軸の範囲は±20μmである。図25A乃至図25C中の番号は画角番号であり、像面上では図8に示すようになっている。x軸については対称であるので、x方向正の場合のみを考えればよい。
画角0°の光線を見ると望遠端から広角端に至るまで良好にコマ収差を除去していることが分かる。また、図26にディストーション格子を示す。格子の縦横は1/4inch(縦2.7mm×横3.6mm)サイズとなっている。これを見ると、ディストーションも良好に抑えられていることが分かる。
また、図27に偏心可動ブロックG1,G3と補助ブロックG2,E7に光学系を分割し、それぞれのパワーの絶対値を全系のパワーに対して表す。望遠端において偏心可動ブロックのパワーの絶対値を|φdt|、補助ブロックの光学的パワーを|φst|とするとき、|φdt| ≦ |φst|が成り立っていることがこの図から分かる。
図28に全系のパワーと群ごとのパワーの変化との関係を示す。これを見ると、全系のパワーが大きくなるにつれ、偏心可動ブロックの第1群G1は正から負へ、第3群G3は負から正へパワーが変化している。
全系の光学的パワーが最も大きい位置(W)における光学的パワーの絶対値のうち大きい方を|φgw|maxとし、全系の光学的パワーが最も小さい位置(T)における光学的パワーの絶対値のうち小さい方を|φgt|minとするとき、|φgw|max<|φgt|minを満足している。
さらに、第1群G1及び第3群G3の光学的パワーの絶対値のうちで最大値を|φ|maxとし、第1群G1及び第3群G3の光学的パワーの合計をφ13=φ1+φ3とするとき、−|φ|max≦φ13≦|φ|maxを満足していることが分かる。
この実施例でδとφの最大値の積を求めると、望遠端の光学素子E5でδ=-1.22297、φ= -0.23732となり、それらの積は0.29となっている。これは数式26の範囲を十分に満たしている。
[実施例3]
図29は、実施例1で示したズーム光学系を撮影光学系として用いたデジタルスチルカメラの説明図である。図29において、20は、カメラ本体、21は図1を参照して説明したズーム光学系によって構成された撮像光学系、22はカメラ本体に内蔵され、撮像光学系によって形成された被写体像を受光するCCDセンサやCMOSセンサ等の固体撮像素子(光電変換素子)、23は固体撮像素子22によって光電変換された被写体像に対応する情報を記録するメモリ、24は液晶ディスプレイパネルなどによって構成され、固体撮像素子22上に形成された被写体像を観察するためのファインダである。
このように本発明のズーム光学系をデジタルスチルカメラなどの撮像装置に適用することにより、小型で高い光学性能を有する撮像装置を実現することができる。
以上説明したように、本発明によれば、回転非対称な光学素子を光軸とは異なる方向に動かして良好に収差を除去しながらズームを行い、且つコンパクトなものとすることができる。
以上、本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されないことはいうまでもなく、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
以上説明したように、本発明の各実施例によれば、良好に収差を除去しながらズーミングを行い、且つコンパクトなズーム光学系を得ることができる。
[比較例1]
次に本発明の比較例1を示す。比較例1は特許文献3を参考に設計したものである。図4に比較例1のレンズ断面図を示す。
比較例1のズーム光学系は、図4に示すようにそれぞれ2枚の回転非対称光学素子E1、E2(E3、E4)を有する2つの光学群G1、G2から成り、それらを物体側から第1群G1、第2群G2とする。まずこれらの群を1つの薄肉レンズで近似し近軸計算を行う。次に各薄肉レンズのパワーを第1群G1、第2群G2それぞれφ1、φ2とし、主点間隔とバックフォーカスをそれぞれe、Skとする。また、全系のパワーをφ、焦点距離をfとすると、次式が成立する
(数6)
また、バックフォーカスSkは近軸計算から次式が成り立つ。
(数7)
ここで主点間隔eおよびバックフォーカスSkを定めると、数式6及び7からパワーφ1及びφ2は全系のパワーφの関数として表される。即ち、全系のパワー変化における第
1群G1及び第2群G2のパワー変化の軌跡を表すことができる。そこで、主点間隔e=3とし、バックフォーカスSk=15とするとパワーφ1、φ2は以下となる。
(数8)
(数9)
全系のパワーφに対するパワーφ1、φ2の関係をグラフで表すと図3のようになる。これを見ると、全系のパワーφが増加するに従って第1群G1は正から負に、第2群G2は逆に負から正にパワーが変化していることが分かる。ここで、回転非対称曲面は数式10で表され、またその係数aとパワーとの関係は数式11となる。
(数10)
z = ay3 + 3ax2y
(数11)
φ = 12aδ(n-1)
x,y,zは上記に示した軸である。δは2枚の回転非対称光学素子E1、E2(E3、E4)のZ軸からのY軸方向へのずれ量、nはレンズの屈折率である。回転非対称光学素子E1〜E4の係数a,nを表1に示し、併せてZ軸からのずれ量δを望遠端(テレ端)・中間のズーム位置(ミドル)・広角端(ワイド端)の順に示す。また、表2には各面S0〜S9の面のタイプおよび面間隔を表す。
図4において、基準面S0に入射した光線はまず第1群G1に入射する。第1群G1は2つの光学素子(レンズ)E1、E2から構成され、面の番号は順にS1からS4とする。光学素子E1とE2はY軸方向に偏心し、その偏心量は連続的に変化する。また、その量はお互いに正,負、逆で絶対値が等しくなるようになっている。それによって第1群G1のパワーφ1を図3に示すように望遠端から広角端のズーミングに際して(以下、ズーム方向は同じである)、正から負に変化させている。第1群G1を射出した光線は次に絞りS5を通過し、第2群G2に入射する。第2群G2は第1群G1と同様に2つの光学素子E3、E4から構成され、面の番号はS6からS9とする。光学素子E3とE4はY軸方向に偏心し、その偏心量は連続的に変化する。また、その量はお互いに正負逆で絶対値が等しくなるようになっている。それによって第2群G2のパワーφ2を図3に示すように負から正に変化させている。
これらの群G1、G2を通過した光線は像面IPを変化させることなく結像している。しかしながら、像面を見ると結像はしているものの、収差が大きく発生していることが分かる。
これらは、数式8及び9で定めた近軸配置に因らず発生するものである。例えば、軸上で発生するコマ収差は、近軸配置だけではどうしても除去することができない。以上の結果から比較例では以下の点で収差を補正しきれないことが分かる。これは、
(イ)回転非対称光学素子を有する光学系は、光軸に対して非対称であるため上線・下線にずれが生じ、結果として軸上光線においてもコマ収差が発生すること、
(ロ)像面湾曲が発生すること、
に起因する。
そこで、本発明の実施例では、望遠端において、該光学的パワーが可変の複数の光学群のパワーの合計の絶対値を|φdt|、
該1以上の光学群のパワーの合計の絶対値を|φst|とするとき
|φdt|≦|φst|
なる条件を満足することにより十分に収差を除去することが可能なズーム光学系を達成している。
実施例1の望遠端、中間、広角端のレンズ断面図である。 参考例1のOff−Axial光学系を説明する図である。 参考例1に基づいて設計したレンズのパワー配置を示す図である。 参考例1に基づいて設計したレンズの断面図である。 実施例1の中間のズーム位置におけるレンズ断面図である。 図1に示す実施例1の偏心可動ブロックと補助ブロックのパワー変化を示す図である。 図1に示す実施例1の収差図である。 図1に示す実施例1の収差図である。 図1に示す実施例1の収差図である。 図1に示す実施例1の像面での光線の番号を示す図である。 実施例1の望遠端、中間のズーム位置、広角端でのディストーション格子を示す図である。 実施例1において光学群G1・G2のパワーの交点が広角側へシフトすることを示す図である。 図1に示す実施例1の光学群G1とG2のパワーの変化を示す図である。 図1に示す実施例1の光学素子E1、E2、E3、E4のパワーの変化を示す図である。 図1に示す実施例1のペッツバールの変化を示す図である。 参考例1に基づいて設計したレンズのペッツバールの変化を示す図である。 面の接線を定義した図である。 (数21)の関係を示す図である。 ΔφとK,maxの関係を示す図である。 面番号に対するK,max/Δφの関係を示す図である。 屈折する方向の違いを表した図である。 図1に示す実施形態の上線・下線のずれを示す図である。 面Siのバックフォーカスを説明した図である。 レンズ形状とレンズの厚み、ずれ量を表した図である。 実施例2のレンズ断面図である。 実施例2のテレ端、中間のズーム位置、ワイド端のレンズ断面図である。 実施例2の収差図である。 実施例2の収差図である。 実施例2の収差図である。 実施例2のテレ端、中間のズーム位置、ワイド端でのディストーション格子を示す図である。 実施例2の偏心可動ブロックと補助ブロックのパワー変化を示す図である。 実施例2の第1群G1と第2群G2のパワーの変化を示す図である。 ズーム光学系を適用したデジタルスチルカメラの外観斜視図である。
G1〜G3 光学群
SP 絞り
IP 像面
E1〜E6 光学群
S1〜S9 面

Claims (9)

  1. 光学的パワーが可変の複数の光学群と、1以上の光学群とが光軸方向に配置され、該光学的パワーが可変の複数の光学群の光学的パワーを変えてズーミングを行うズーム光学系であって、該光学的パワーが可変の複数の光学群は、各々回転非対称面を含み光軸と異なる方向に移動して光学群内の光学的パワーを変える複数の光学素子を有しており、
    望遠端において、該光学的パワーが可変の複数の光学群の光学的パワーの合計の絶対値を|φdt|、
    該1以上の光学群の光学的パワーの合計の絶対値を|φst|とするとき
    |φdt|≦|φst|
    なる条件を満足すること特徴とするズーム光学系。
  2. 前記光学的パワーが可変の複数の光学群のうちの、光学群Aと該光学群Aよりも像側の光学群を光学群Bとするとき、全ズーム範囲における光学的パワーの絶対値の最大値を|φ|max、該光学群Aと光学群Bの任意のズーム位置における光学的パワーの合計値をφABとするとき
    −|φ|max≦φAB≦|φ|max
    なる条件を満足することを特徴とする請求項1のズーム光学系。
  3. 前記光学的パワーが可変の複数の光学群を構成する光学素子の光学面のズーミングに伴う光学的パワーの変化量をΔφとするとき
    0(度・mm)≦Kmax/Δφ≦3(度・mm)
    なる条件を満足することを特徴とする請求項1または2のいずれか1項のズーム光学系。
  4. 光路中に絞りを有し、前記1以上の光学群には、該絞りから像側へ順に正の屈折力の光学素子と負の屈折力の光学素子が配置されたズーミングの為には不動の光学群が含まれていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項のズーム光学系。
  5. 前記光学的パワーが可変の複数の光学群のうち、少なくとも1つの光学群は広角端において光学的パワーが互いに逆符号となる複数の光学素子を含むことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項のズーム光学系。
  6. 前記光学的パワーが可変の複数の光学群のうちの、光学群Aと該光学群Aよりも像側の光学群を光学群Bとするとき、
    広角端において
    物体側から像側へ順に
    該光学群Aは正の屈折力の光学素子、負の屈折力の光学素子より成り、
    該光学群Bは正の屈折力の光学素子、負の屈折力の光学素子より成ることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項のズーム光学系。
  7. 前記光学的パワーが可変の複数の光学群のうちの、光学群Aと該光学群Aよりも像側の光学群を光学群Bとするとき、
    望遠端において
    物体側から像側へ順に
    該光学群Aは正の屈折力の光学素子、正の屈折力の光学素子より成り、
    該光学群Bは負の屈折力の光学素子、負の屈折力の光学素子より成ることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項のズーム光学系。
  8. 光電変換素子に像を形成することを特徴とする請求項1乃至のうちいずれか1項の
    ズーム光学系。
  9. 請求項1乃至のうちいずれか1項のズーム光学系と、該ズーム光学系によって形成
    される像を受光する光電変換素子とを備えることを特徴とする撮像装置。
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