JP4828154B2 - 汚泥の電解処理装置 - Google Patents

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Description

本発明は、微生物により汚染された汚水や、活性汚泥により生物学的に有機物を分解処理することによって発生する余剰汚泥を、殺菌し可溶化処理する場合に適用することができる汚泥電解処理装置に関するものである。
従来、下水処理場等に流入する汚水を処理するために、活性汚泥の曝気槽に汚水を流入し、これを曝気、攪拌して生物処理を行う活性汚泥法が用いられている。
水処理工程で発生する余剰汚泥は、通常、脱水を行った後、埋立処分されているが、処分地が次第になくなりつつあることから、余剰汚泥に対し、塩分を添加しながら電気分解を行うことにより、汚泥微生物を殺菌及び可溶化処理し、水処理系へ返送して生物分解することにより、汚泥発生量を減量化する方法が試みられている。
また、電解処理は、電気分解によって次亜塩素酸等の強力な酸化剤を発生させ、微生物と接触させることにより殺菌処理する方法であることから、微生物により汚染された汚水の殺菌にも用いることが可能である。
このような電解処理において、汚水や汚泥に塩を添加する場合、従来は、固形状の塩を貯留槽から切り出し装置で切り出し、汚水や汚泥に直接投入したり、所定濃度に保った溶解水槽に定量供給したりする方法が用いられている。
しかしながら、食塩などの塩化物は、そのまま貯蔵していると空気中の水分の影響で固化することから、切出し装置が過負荷停止したり、定量供給ができなくなったりするなどの問題があった。
また、これを防止するためには、塩の貯留ホッパーの内部に破砕装置を組み込むなど、新たな装置を付加する必要があった。
本発明は、上記従来の塩の添加方法が有する問題点に鑑み、トラブルを生じることなく安定した濃度の塩水を汚水や汚泥に供給することができる汚泥電解処理装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の汚泥の電解処理装置は、汚水や活性汚泥処理で発生する余剰汚泥を塩分を添加しながら電気分解処理し、汚水や汚泥中の微生物を殺菌処理する汚泥の電解処理装置において、塩化物の塩を水に飽和状態で溶解させて貯留する塩水貯留槽を設けるとともに、該塩水貯留槽に、貯留した塩水を攪拌する攪拌手段と、塩水中に固体として残留する塩の量を監視する塩水中の固体塩の界面位置を超音波により検出するレベル計からなる固体塩量検出手段、塩水を汚水や汚泥に供給するポンプと、減少した塩水の量に応じて水を供給する配管とを設けたことを特徴とする。
この場合において、攪拌手段として、循環ポンプ、エア攪拌用の散気管又は機械式攪拌機を用いることができる。
本発明の汚泥電解処理装置によれば、塩の貯留と溶解を兼ねた塩水貯留槽を設けて、飽和濃度に保った塩水を汚水や汚泥に供給することから、従来のような空気中の水分による塩の固化を防止し、塩の切出し装置や破砕装置を不要にするとともに、水温に係わらず安定した濃度の塩水を添加して汚水や汚泥を一定条件で電解処理し、安定した殺菌処理性能を得ることができる。
これにより、汚泥を殺菌処理して曝気槽に返送したときに、この死滅した汚泥微生物を活性汚泥によって安定的に酸化分解して、高い汚泥減量化効果を得るとともに、このような汚泥処理や汚水の殺菌処理においても、電解処理に要するエネルギーを少なくし、設備のランニングコストを安価にすることができる。
また、塩水貯留槽に常に固体塩を残留させておくことにより、塩水を容易に飽和濃度に保つことができ、特に、塩の場合は、他の化学物質とは異なり、飽和濃度が水温によりほとんど変化しないという特性をもつことから、塩水貯留槽からは季節に係わらず安定した濃度の塩水を供給することが可能になる。
以下、本発明の汚泥電解処理装置の実施の形態を、図面を参照して説明する。
図1〜図2に、本発明の汚泥電解処理装置を示す。
この電解処理装置は、汚水や活性汚泥処理で発生する余剰汚泥を塩分を添加しながら電気分解処理し、汚水や汚泥中の微生物を殺菌処理するもので、塩化物の塩Aを水に飽和状態で溶解させて貯留する塩水貯留槽1を設けるとともに、該塩水貯留槽1に、貯留した塩水Cを攪拌する循環ポンプ11と、塩水中に固体として残留する塩Aの量を監視する固体塩量検出手段と塩水Cを被処理液Dに混合して電解処理槽3に供給する塩水供給ポンプ13とを設けている。
塩水貯留槽1には、岩塩等の原塩や食塩など、塩化物を主体とした塩Aを上部から投入するとともに、減少した塩水Cの量に応じて水Bを供給する配管を設ける。
塩水貯留槽1の形状は、特に限定されるものではないが、投入した塩Aが底部に沈降しやすい形状とするのが望ましい。
また、槽内の攪拌用として循環ポンプ11を設け、上部の溶液を吸水して、底部から噴出させることにより、沈殿した塩Aを巻き上げることで溶解を促進するとともに、槽内を攪拌するよう構成する。
また、循環水を噴出する以外に空気を吹き込むことも、塩Aの溶解とエア攪拌の効果を有するために最適であるが、インペラの位置を考慮すれば機械式の攪拌機を用いることも可能である。
また、固体塩量検出手段として、塩水C中に残留する固体塩の界面位置を検知する超音波式レベル計12が設けられており、この超音波式レベル計12は、水面付近の槽内構造物によって妨害を受けない位置に設置されている。
また、図示省略するが、塩分濃度検出手段として、塩水Cの塩分濃度を検出するセンサーをることも可能であり、導電率計やナトリウムイオンを検出する塩分濃度計等を用いることができる
一方、汚泥の電解処理を行う際には、汚水や汚泥等の被処理液Dを供給ポンプ2により電解処理槽3に投入するが、その前に、塩水貯留槽1から塩水Cを、塩水供給ポンプ13を用いて被処理液Dの配管内に注入する。
なお、攪拌混合をより十分に行う場合には、ラインミキサーや攪拌水槽を設けて塩水Cと被処理液Dを混合してもよい。
電解処理槽3の内部には、図2に示すように、電極板31が所定の間隔で配置され、直流電源32から正極、負極が交互に接続されている。
なお、汚泥を電解処理する場合に、発泡物が電極板31の表面に付着して、電解効率が低下する場合には、電解処理槽3の下部に粗大気泡を噴出できる散気管を配置して空気を吹き込んだり、循環ポンプを設けて槽内に循環水流を発生させたりすることにより、電解効率の低下を防止することが好ましい。
電解処理槽3の端部からオーバーフローした被処理液Dは、その目的に応じて、自然流下又はポンプにより電解処理液Eとして別の水槽へと移送される。
次に、本実施例の作用について説明する。
電解処理に必要な塩素イオンを補充する目的で、塩水供給ポンプ13により、塩水Cが配管内において被処理液Dに注入されるが、このとき、塩水Cの濃度は常に飽和濃度に保たれている。
この場合、塩水貯留槽1では、超音波式レベル計12によって固体塩Aの水との境界位置をモニタリングしておき、所定の高さ以下になれば、制御盤等に設けられたランプを点灯する等により、維持管理者に知らせ、塩の追加投入を行うことにより、塩水貯留槽1の塩Aが常に残留するよう管理する。
あるいは、導電率計などの濃度センサーを用いる場合は、塩Aがなくなるまで濃度が低下しないため、通常は所定の間隔で塩Aの追加投入を行い、濃度が低下して予め設定した下限値以下になった場合に、緊急で追加投入を行う方法が適切である。
このような管理により、塩水貯留槽1内の塩分濃度を常に飽和濃度に保つことができる。
飽和濃度は、通常の化学物質の場合、温度の上昇とともに溶解しやすくなって飽和濃度が上昇するのに対し、塩化物の主成分である塩化ナトリウムの飽和濃度は、温度の影響がほとんどなく約26%と一定であることから、季節によって水温が変化しても飽和していれば、濃度は26%に保つことができる。
なお、塩水貯留槽1内は、循環ポンプ11を常に運転して攪拌混合を行ってもよいが、必ずしも連続運転する必要はなく、経済性も考慮して、間欠運転とすることも可能である。
一方、塩水Cを注入された被処理液Dは、電解処理槽3において、直流電流の流れる電極板31の間を通過する。
このとき、注入した塩素イオンが電解作用により次亜塩素酸に転換され、次亜塩素酸の強力な酸化力によって被処理液D中の微生物が殺菌される。
殺菌力の大きい次亜塩素酸をより効率的に発生させるためには、塩素イオンは塩化ナトリウムとして、その目的により0.1〜数%程度を添加する必要があり、またpHは4〜6程度が最適であるため、少量の酸を添加するのも有効である。
なお、添加する塩素イオンは、塩化ナトリウムに限定されるものではなく、塩化カリウム等、比較的安価で水に溶解する塩化物を利用することができる。
電解処理の時間は、汚泥の濃度や電流値によって異なるが、電解処理の過程では、次亜塩素酸以外にも微細な酸素や水素の気泡が発生するため、汚泥を電解処理する場合には、気泡が汚泥に付着してスカム状となり、水面や電極間に徐々に蓄積するため、エア攪拌やポンプ攪拌により循環水流を発生させ、汚泥状スカムの蓄積を防止することが好ましい。
かくして、本実施例の汚泥電解処理装置は、塩Aの一時貯留と溶解を兼ねた塩水貯留槽1を設けて、飽和濃度に保った塩水Cを汚水や汚泥に供給することから、従来のような空気中の水分による塩Aの固化を防止し、塩の切出し装置や破砕装置を不要にするとともに、水温に係わらず安定した濃度の塩水Cを注入して汚水や汚泥を一定条件で電解処理し、安定した殺菌処理性能を得ることができる。
そのため、殺菌処理した汚泥を曝気槽に返送したときに、この死滅した汚泥微生物を活性汚泥によって酸化分解し、安定した高い汚泥減量化効果を得るとともに、汚水の電解処理に適用する場合も、電解による殺菌を安定的に高効率で行うことができ、いずれの場合も、処理に要するエネルギーを少なくして、ランニングコストを安価にできるという効果を有する。
また、塩水貯留槽1に常に固体塩Aを残留させておくことにより、塩水Cを容易に飽和濃度に保つことができ、特に、塩の場合は、他の化学物質とは異なり、飽和濃度が水温によりほとんど変化しないという特性をもつことから、塩水貯留槽1からは季節に係わらず安定した濃度の塩水Cを供給することが可能になる。
以上、本発明の汚泥電解処理装置について、複数の実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、各実施例に記載した構成を適宜組み合わせる等、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができる。
本発明の汚泥電解処理装置は、空気中の水分による塩の固化を防止し、塩の切出し装置や破砕装置を不要にするとともに、水温に係わらず安定した濃度の塩水を添加して汚水や汚泥を一定条件で電解処理するという特性を有していることから、例えば、汚水の微生物処理における余剰汚泥の可溶化の用途に好適に用いることができる。
本発明の汚泥電解処理装置の一実施例を示すフロー図である。 同実施例の電解処理槽を示す断面図である。
1 塩水貯留槽
11 循環ポンプ
12 超音波式レベル計
13 塩水供給ポンプ
2 供給ポンプ
3 電解処理槽
31 電極板
32 直流電源
A 塩
B 水
C 塩水
D 被処理液
E 電解処理液

Claims (2)

  1. 汚水や活性汚泥処理で発生する余剰汚泥を塩分を添加しながら電気分解処理し、汚水や汚泥中の微生物を殺菌処理する汚泥の電解処理装置において、塩化物の塩を水に飽和状態で溶解させて貯留する塩水貯留槽を設けるとともに、該塩水貯留槽に、貯留した塩水を攪拌する攪拌手段と、塩水中に固体として残留する塩の量を監視する塩水中の固体塩の界面位置を超音波により検出するレベル計からなる固体塩量検出手段、塩水を汚水や汚泥に供給するポンプと、減少した塩水の量に応じて水を供給する配管とを設けたことを特徴とする汚泥の電解処理装置。
  2. 攪拌手段として、循環ポンプ、エア攪拌用の散気管又は機械式攪拌機を用いたことを特徴とする請求項記載の汚泥の電解処理装置。
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