以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳述する。図1〜図15は本発明をパチンコ機に採用した第1の実施形態を例示している。図1において、遊技機本体1は、矩形状の外枠2と、この外枠2の前側に開閉自在に枢着された前枠3とを備えている。前枠3の前側には、ガラス扉4と前面板5とが上下に配置され、前枠3に開閉自在に枢支されている。
前面板5には、その前側に、発射手段(図示省略)に供給するための遊技球を貯留する貯留皿6、発射手段を作動させるための発射ハンドル7等が設けられている。
ガラス扉4の裏側には、図2に示す遊技盤11が着脱自在に装着されている。遊技盤11の前面側には、発射手段から発射された遊技球を案内するガイドレール12が環状に装着されると共に、そのガイドレール12の内側の遊技領域13に、センターケース14、普通図柄始動手段15、第1特別図柄始動手段(図柄始動手段)16a、第2特別図柄始動手段(図柄始動手段)16b、大入賞手段(開閉式入賞手段)17、普通入賞手段18等の各種遊技部品が配置されている。
センターケース14には、液晶式等の画像表示装置21の他、普通図柄表示手段22、第1,第2特別図柄表示手段(遊技図柄表示手段)23a,23b、普通保留個数表示手段24等が設けられている。画像表示装置21は、第1,第2演出図柄表示手段25a,25b、第1,第2特別保留個数表示手段26a,26b、特定遊技演出表示手段27等を構成している。
普通図柄始動手段15は、普通図柄表示手段22による図柄変動を開始させるためのもので、遊技球が通過可能な通過ゲート等により構成されており、例えばセンターケース14の右側に配置されている。
普通図柄表示手段22は、普通図柄を変動表示するためのもので、例えば「○」「×」の2種類の普通図柄に対応する2個の発光体(例えばLED)により構成されており、普通図柄始動手段15が遊技球を検出することを条件にそれら2つの発光体が所定時間交互に点滅して、普通図柄始動手段15による遊技球検出時に取得された当たり判定乱数値が予め定められた当たり判定値と一致する場合には当たり態様に対応する「○」側の発光体が発光した状態で、それ以外の場合には外れ態様に対応する「×」側の発光体が発光した状態で、点滅が終了するようになっている。
また、普通図柄表示手段22の変動表示中、又は後述する普通利益状態中に普通図柄始動手段15が遊技球を検出した場合には、その検出時に取得された当たり判定乱数値が予め定められた上限保留個数、例えば4個を限度として記憶されると共に、例えば上限保留個数と同数の発光体よりなる普通保留個数表示手段24がその発光個数により当たり判定乱数値の記憶個数(以下、普通保留個数)を表示して、その時点での普通保留個数を遊技者に報知するようになっている。
第1特別図柄始動手段16aは、第1特別図柄表示手段23aによる図柄変動を開始させるためのもので、開閉手段等を有しない非作動式入賞手段により構成されており、例えばセンターケース14の下側に配置されている。第2特別図柄始動手段16bは、第2特別図柄表示手段23bによる図柄変動を開始させるためのもので、開閉手段28により遊技球が入賞可能な開状態と入賞不可能な閉状態とに切り換え可能な作動式入賞手段により構成されており、例えば普通図柄始動手段15と同じセンターケース14の右側で且つ普通図柄始動手段15よりも下側に配置されている。この第2特別図柄始動手段16bは、普通図柄表示手段22の変動後の停止図柄が当たり態様となって普通利益状態が発生したときに、開閉手段28が所定時間、所定回数だけ閉状態から開状態に変化するように構成されている。
第1,第2特別図柄表示手段23a,23bは、夫々1個又は複数個、例えば各1個の特別図柄を変動表示可能な7セグメント式等の表示手段により構成されており、第1特別図柄表示手段23aは第1特別図柄始動手段16a、第2特別図柄表示手段23bは第2特別図柄始動手段16bに遊技球が入賞することを条件に第1,第2特別図柄を所定時間変動表示して、それら第1,第2特別図柄始動手段16a,16bへの入賞時に取得された大当たり判定乱数値が予め定められた大当たり判定値と一致する場合には所定の大当たり態様で、小当たり判定値と一致する場合には所定の小当たり態様で、それ以外の場合には外れ態様で夫々停止するようになっている。
特別図柄には、例えば大当たり態様、小当たり態様及び外れ態様が夫々1又は複数種類ずつ設けられている。なお、それら各態様には夫々数字図柄等を割り当ててもよいし、遊技者がその特別図柄の種類を容易に区別できないように、任意の線や点の組み合わせのような特別な意味を持たない図柄を割り当ててもよい。
また、第1,第2特別図柄の変動表示中、又は後述する大当たり状態中に第1,第2特別図柄始動手段16a,16bに遊技球が入賞した場合には、その入賞時に取得された大当たり判定乱数値等が夫々所定の上限保留個数、例えば各4個を限度として記憶されると共に、第1,第2特別保留個数表示手段26a,26bが夫々大当たり判定乱数値の記憶個数(以下、第1,第2特別保留個数)を表示して、その時点での第1,第2特別保留個数を遊技者に報知するようになっている。
なお本実施形態では、大当たり状態中には第1,第2特別図柄表示手段23a,23bの図柄変動を開始しない他、第1,第2特別図柄表示手段23a,23bの何れか一方の図柄変動中には他方の図柄変動を開始せず、両方が同時に変動中となることはないように制御される。更に、第1,第2特別保留個数が共に1以上である場合には、第1特別図柄表示手段23aの図柄変動よりも第2特別図柄表示手段23bの図柄変動を優先して行うように構成されている。
第1,第2演出図柄表示手段25a,25bは、第1,第2特別図柄表示手段23a,23bの図柄変動を演出するもので、夫々1個又は複数個、例えば左右方向に3個の第1,第2演出図柄を例えば各種の演出画像と共に画像表示装置21の表示画面21aに変動表示可能に構成されており、ある時は第1,第2特別図柄表示手段23a,23bの第1,第2特別図柄の変動と時間的に同期して第1,第2演出図柄を変動させ、またある時は第1,第2特別図柄の変動と同期することなく第1,第2演出図柄を独自に変動させ又はその他の演出画像を表示させるように構成されている。
第1,第2演出図柄には、例えば「0」〜「9」の10種類の数字図柄が用いられ、 「6・6・6」「7・7・7」等、3つの図柄が全て同じ図柄で揃ったものが大当たり態様、少なくとも1つの図柄が異なるものが外れ態様となっており、例えば第1,第2特別図柄の変動と時間的に同期して変動表示される場合には、第1,第2特別図柄の停止図柄が大当たり態様のときは大当たり態様で、第1,第2特別図柄の停止図柄が小当たり態様又は外れ態様のときは外れ態様で停止するようになっている。
第1,第2特別保留個数表示手段26a,26bは、第1,第2特別保留個数分の第1,第2シンボルX,Yの表示個数により第1,第2特別保留個数を表示するもので、同一の表示画面21a上の所定部分、例えば下部側に、第1,第2保留個数分の第1,第2シンボルX,Yを互いに上下に対応させて表示するようになっている。
特定遊技演出表示手段27は、後述する高確率状態(特定遊技状態)に関連する演出を行うもので、例えば表示画面21a上の所定部分、例えば下部側に設けられており、高確率状態中の所定のタイミングで各種演出画像を表示するように構成されている。
大入賞手段17は、遊技球が入賞可能な開状態と入賞不可能な閉状態とに切り換え可能な開閉板29を備えた開閉式入賞手段で、第1,第2特別図柄表示手段23a,23bの変動後の第1,第2特別図柄が大当たり態様又は小当たり態様となることに基づいて大当たり状態又は小当たり状態が発生したときに、開閉板29が複数種類の開放パターンのうち、それら大当たり状態,小当たり状態に対応する所定の開放パターンに従って前側に開放して、その上に落下した遊技球を内部へと入賞させるようになっている。
図3は本パチンコ機の制御系のブロック図である。図3において、31は主制御基板、32は演出制御基板で、これら各制御基板31,32は、遊技盤11に装着されたセンターケース14、その他の複数個の遊技部品を裏側から一括して覆う裏カバーの裏側等、前枠3及び遊技盤11を含む遊技機本体1の裏側の適宜箇所に着脱自在に装着された基板ケースに夫々収納されている。
主制御基板31は、主に遊技盤11側の遊技動作に関わる制御を行うためのもので、CPU,ROM,RAM等により構成される普通乱数作成処理手段41、普通始動口チェック処理手段42、普通乱数記憶手段43、普通図柄処理手段44、普通利益状態発生手段45、普通図柄表示制御手段46、第1,第2特別乱数作成処理手段51a,51b、第1,第2特別始動口チェック処理手段52a,52b、第1,第2特別乱数記憶手段53a,53b、第1,第2特別図柄処理手段54a,54b、特別利益状態発生手段55、第1,第2特別図柄表示制御手段56a,56b、特別遊技状態発生手段57、制御コマンド送信手段58等を備えている。
普通乱数作成処理手段41は、変動後の普通図柄を当たり態様とするか否かの判定に用いる当たり判定乱数を所定時間毎に繰り返し発生するように構成されている。普通始動口チェック処理手段42は、普通図柄始動手段15による遊技球の検出に基づく処理を行うもので、普通図柄始動手段15が遊技球を検出することに基づいて、普通乱数作成処理手段41で作成された当たり判定乱数値を1個取得し、その当たり判定乱数値を予め定められた上限保留個数(例えば4個)を限度として普通乱数記憶手段43に記憶させるように構成されている。
普通図柄処理手段44は、普通図柄の変動表示に関する処理を行うもので、普通図柄表示手段22が変動表示可能な状態となり且つ普通乱数記憶手段43に1個以上の当たり判定乱数値が記憶されていること(普通保留個数が1以上であること)を条件に、普通乱数記憶手段43に最も早く記憶された当たり判定乱数値を取り出し、その当たり判定乱数値が予め定められた当たり判定値と一致するか否かに応じて当たり/外れの判定を行う当たり判定機能、当たり/外れの判定結果に基づいて普通図柄の変動後の停止図柄の種類を選択する普通停止図柄選択機能、普通図柄の変動時間を選択する変動時間選択機能等を備えている。
なお本実施形態では、図4に示すように、後述する特別遊技状態中(時短状態中及び高確率状態中)の当たり確率(例えば1/1.3)がそれ以外の通常遊技状態中の当たり確率(例えば1/10)よりも高く設定され、また特別遊技状態中における変動時間(例えば2.7秒)が通常遊技状態中における変動時間(例えば27秒)よりも短くなるように設定されている。
普通利益状態発生手段45は、普通図柄処理手段44による判定結果が当たり判定となり、普通図柄表示手段22の変動後の停止図柄が当たり態様となったときに、第2特別図柄始動手段16bの開閉手段28を複数種類の開閉パターンの何れかに従って開状態に変化させるようになっている。
本実施形態では、図4に示すように、通常開閉パターン(例えば0.2秒×1回開放)と、この通常開閉パターンよりも開放時間及び/又は開放回数が大となるように設定された延長開閉パターン(例えば2秒×3回開放)の2種類の開閉パターンが設定されており、通常遊技状態中は通常開閉パターンが、特別遊技状態中は延長開閉パターンが選択されるようになっている。
普通図柄表示制御手段46は、普通図柄処理手段44による普通図柄処理に基づいて普通図柄表示手段22の表示制御を行うもので、普通図柄表示手段22が変動表示可能な状態となり且つ普通乱数記憶手段43に1個以上の当たり判定乱数値が記憶されていること(普通保留個数が1以上であること)を条件に普通図柄表示手段22による普通図柄の変動を開始させ、普通図柄処理手段44で選択された変動時間が経過することに基づいて、同じく普通図柄処理手段44で選択された停止図柄で普通図柄の変動を停止させるようになっている。
第1,第2特別乱数作成処理手段51a,51bは、変動後の第1,第2特別図柄を大当たり態様とするか否かの判定に用いる大当たり判定乱数の他、変動後の特別図柄が大当たり態様となる場合の停止図柄の選択に用いる大当たり図柄乱数、特別図柄の変動パターンの選択に用いる変動パターン選択乱数、その他の所定の乱数を繰り返し発生する特別乱数作成処理を行うように構成されている。
第1,第2特別始動口チェック処理手段52a,52bは、第1,第2特別図柄始動手段16a,16bへの遊技球の入賞に基づく処理を行うもので、第1,第2特別図柄始動手段16a,16bに遊技球が入賞することに基づいて、第1,第2特別乱数作成処理手段51a,51bで作成された大当たり判定乱数値、大当たり図柄乱数値を1個ずつ取得し、それら大当たり判定乱数値及び大当たり図柄乱数値を予め定められた上限保留個数 (例えば各4個)を限度として第1,第2特別乱数記憶手段53a,53bに記憶させるように構成されている。
第1,第2特別図柄処理手段54a,54bは、第1,第2特別図柄の変動表示に関する処理を行うもので、第1,第2特別図柄表示手段23a,23bが変動表示可能な状態となり且つ第1,第2特別乱数記憶手段53a,53bに1個以上の大当たり判定乱数値が記憶されていること(第1,第2特別保留個数が1以上であること)を条件に、第1,第2特別乱数記憶手段53a,53bに最も早く記憶された大当たり判定乱数値を取り出し、その大当たり判定乱数値が予め定められた大当たり判定値、小当たり判定値と一致するか否かに応じて大当たり/小当たり/外れの判定を行う大当たり判定機能、大当たり/小当たり/外れの判定結果と、第1,第2特別乱数記憶手段53a,53bに大当たり判定乱数値と共に記憶されている大当たり図柄乱数値とに基づいて、第1,第2特別図柄の変動後の停止図柄を選択する特別停止図柄選択機能、大当たり/小当たり/外れの判定結果に基づいて、第1,第2特別図柄の変動パターンとして複数種類の特別図柄変動パターンの中から1つを選択する第1,第2変動パターン選択機能等を備えている。
本実施形態では、図5に示すように、大当たり判定値として、後述する高確率状態中以外の通常確率状態中には例えば0〜349までの大当たり判定乱数値のうちの「7」が、高確率状態中にはその「7」に加えて「17」「27」等の複数個(例えば合計10個)が設定されている。また、本実施形態では第1特別図柄側と第2特別図柄側とで小当たり確率が異なっており、図5に示すように、小当たり判定値として第1特別図柄側では「8」〜「11」が、第2特別図柄側では「8」が設定され、第2特別図柄側よりも第1特別図柄側の方が小当たり確率が高くなっている。
また、例えば大当たり状態中には第1,第2特別図柄表示手段23a,23bの図柄変動を開始しない他、第1,第2特別図柄表示手段23a,23bの何れか一方の図柄変動中には他方の図柄変動を開始せず、両方が同時に変動中となることはないように制御され、且つ第1,第2特別保留個数が共に1以上である場合には、第1特別図柄表示手段23aの図柄変動よりも第2特別図柄表示手段23bの図柄変動を優先するように制御される。
特別利益状態発生手段55は、大入賞手段17を所定の開放パターンに従って開放する特別利益状態を発生させるためのもので、大当たり状態発生手段55aと小当たり状態発生手段55bとを備えている。
大当たり状態発生手段55aは、第1,第2特別図柄処理手段54a,54bによる大当たり/小当たり/外れの判定結果が大当たり判定となり、第1,第2特別図柄の変動後の停止図柄が大当たり態様となることに基づいて大当たり状態を発生させるためのものである。大当たり状態における大入賞手段17の開放パターンは例えば複数種類用意されており、大当たり状態発生手段55aによってそれらのうちの1つが選択されるようになっている。
本実施形態では、図5に示すように大入賞手段17の開放パターンとしてA,Bの2種類が設けられており、大当たり状態発生手段55aは、第1,第2特別図柄が大当たり図柄になった場合には、その大当たり図柄の種類、即ち大当たり図柄乱数値に応じて開放パターンA,Bの何れかを選択するように構成されている(図5(a),(b))。
開放パターンAは、大入賞手段17を0.2秒開放する動作を2ラウンド行うように設定されている。この開放パターンAは、遊技球入賞困難な特定開放パターンの一例であり、1回の開放時間が0.2秒と僅かでしかもラウンド数も2ラウンドと少ないため、その開放中に遊技球が入賞する可能性は極めて小さい。
開放パターンBは、大入賞手段17を、開放してから所定時間(例えば28秒)経過するかそれまでに所定個数(例えば9個)の遊技球が入賞することを条件に閉鎖する動作を、所定ラウンド数(例えば15ラウンド)行うように設定されている。この開放パターンBの場合、大入賞手段17への1個の入賞に対する賞球を15個とすると、遊技者が普通に発射動作を続けるだけで殆どの場合に9×15×15=2025個の出球が期待でき、開放パターンAに比べて遊技者が得られる直接的な利益は格段に大きくなっている。
なお、図5(a),(b)に示すように、本実施形態では特別利益状態で開放パターンBが選択される確率は第2特別図柄側の方が第1特別図柄側よりも高くなっており、第1特別図柄側で大当たりとなるよりも第2特別図柄側で大当たりとなる方が遊技者にとって有利である。
小当たり状態発生手段55bは、第1,第2特別図柄処理手段54a,54bによる大当たり/小当たり/外れの判定結果が小当たり判定となり、第1,第2特別図柄の変動後の停止図柄が小当たり態様となることに基づいて小当たり状態を発生させるためのものである。小当たり状態における大入賞手段17の開放パターンは例えば1種類で、図5(a),(b)に示すように、大入賞手段17を0.2秒開放する動作を2ラウンド行う開放パターンAが設定されている。
第1,第2特別図柄表示制御手段56a,56bは、第1,第2特別図柄表示手段23a,23bの表示制御を行うもので、第1特別図柄処理手段54a又は第2特別図柄処理手段54bによる特別図柄処理に基づいて、第1特別図柄表示手段23a又は第2特別図柄表示手段23bによる第1,第2特別図柄の変動を開始させると共に所定の第1,第2変動パターンに対応する変動時間が経過することに基づいて所定の停止図柄で第1,第2特別図柄の変動を停止させるようになっている。
特別遊技状態発生手段57は、大当たり状態の発生後の所定期間に遊技者に有利な特別遊技状態を発生させるためのもので、例えば高確率状態発生手段(特定遊技状態発生手段)57aを備えている。
高確率状態発生手段57aは、第1,第2特別乱数記憶手段53a,53bに記憶された大当たり判定乱数値が大当たり判定値と一致した場合(所定の開始条件が成立した場合)に、大当たり状態の終了後に高確率状態(特定遊技状態の一例)を発生させるように構成されている。なお、本実施形態では大当たりの場合には必ず高確率状態が発生するように、大当たり判定乱数値が大当たり判定値と一致することを所定の開始条件としたが、例えば大当たり判定乱数値が大当たり判定値と一致し且つ大当たり図柄乱数値が所定の判定値と一致することを所定の開始条件として、これが成立した場合にのみ高確率状態を発生させ、例えば大当たり判定乱数値が大当たり判定値と一致し且つ大当たり図柄乱数値が所定の判定値と一致しない場合にはその他の遊技状態、例えば時短状態を発生させるようにしてもよい。
高確率状態中は、それ以外の通常確率状態中よりも大当たり判定値の数が例えば1個から10個へ増加されることにより、特別図柄が大当たり態様となる確率が通常確率(例えば1/350)よりも高い高確率(例えば1/35)に切り換えられると共に、例えば第1,第2特別図柄に関して、第1,第2特別図柄表示手段23a,23bの変動時間が夫々通常変動時間よりも短い短縮変動時間に切り換えられ、普通図柄に関して、当たり確率が通常確率(例えば1/10)から高確率(例えば1/1.3)へ、変動時間が通常変動時間(例えば27秒)から短縮変動時間(例えば2.7秒)へ、第2特別図柄始動手段16bの開閉手段28の開閉パターンが通常開閉パターン(例えば0.2秒×1回開放)から特別開閉パターン(例えば2秒×3回開放)へ、夫々切り換えられるようになっている。
また、本実施形態の高確率状態は、いわゆる「ST」「回数切り確変」などと称されるもので、その発生後の第1,第2特別図柄表示手段23a,23bによる第1,第2特別図柄の変動回数が特定回数、例えば70回になるか、又はそれまでに次の大当たり状態が発生した時点で終了するようになっており、高確率状態中に更に高確率状態の開始条件が成立した場合(大当たり判定乱数値が大当たり判定値と一致し且つ大当たり図柄乱数値が高確率判定値と一致した場合)には、その大当たり状態の終了後から新たに高確率状態が開始される、言い換えればその開始条件の成立により特定回数のカウントがリセットされてそれ以降の第1,第2特別図柄の変動回数が特定回数(例えば70回)になるまで高確率状態の終期が先送りされるようになっている。
なお本実施形態では、図5(a),(b)に示すように、第1特別図柄側の大当たり図柄乱数値が0〜3、又は第2特別図柄側の大当たり図柄乱数値が0,1の場合、即ち大入賞手段17が0.2秒開放×2ラウンドの開放パターンAで開放した後に突入する高確率状態がいわゆる「突然確変」に相当し、遊技者から見ればいきなり高確率状態に突入したかのように見えるようになっている。
また、この「突然確変」の場合の大入賞手段17の開放パターンは小当たり状態と同じ開放パターンAであるため、遊技者が仮に大入賞手段17が開放パターンAで短時間開放されるところを認識できたとしても、それだけでは「突然確変」であるか小当たり状態であるかを見分けることはできない。
更に本実施形態では、「突然確変」、及び小当たり状態に対応する第1,第2特別図柄表示手段23a,23bの図柄変動時には、第1,第2演出図柄表示手段25a,25bでは第1,第2特別図柄の図柄変動とは無関係に第1,第2演出図柄の図柄変動が行われ、又は所定の演出画像が表示されるようになっており、遊技者はこの第1,第2演出図柄表示手段25a,25bによる表示を見ても「突然確変」と小当たり状態とを見分けることはできないようになっている。
制御コマンド送信手段58は、所定の制御コマンドを一方向通信により演出制御基板32等のサブ制御基板側に送信して制御指令を与えるためのもので、第1,第2特別図柄処理手段54a,54bによる第1,第2特別図柄処理に基づいて、第1,第2変動パターンを指定する第1,第2変動パターン指定コマンド、第1,第2特別停止図柄を指定する第1,第2特別停止図柄指定コマンド、第1,第2特別図柄の停止を指定する第1,第2変動停止指定コマンド等を演出制御基板32側に送信する機能、特別遊技状態発生手段57による特別遊技状態の発生時及び終了時に特別遊技状態の発生コマンド、終了コマンド等を演出制御基板32側に送信する機能、第1,第2特別保留個数を指定する第1,第2特別保留個数指定コマンドを演出制御基板32側に送信する機能の他、例えば特別利益状態等の各種遊技状態に基づいて、画像、音声、ランプの制御コマンドを演出制御基板32側に送信する機能等を備えている。
演出制御基板32は、第1,第2演出図柄表示手段25a,25b、第1,第2特別保留個数表示手段26a,26b、特定遊技演出表示手段27、音声出力手段81、ランプ手段82等の各種演出手段を制御するためのもので、演出図柄表示制御手段83、特別保留個数表示制御手段84、特定遊技演出制御手段85、音声制御手段86、ランプ制御手段87等を備えている。
音声制御手段86は、スピーカー等の音声出力手段81の音声出力制御を行うもので、主制御基板31側からの音声制御コマンドに基づいて音声出力手段81から所定の効果音等を出力させるようになっている。ランプ制御手段87は、ランプ手段82等の表示制御を行うもので、主制御基板31側からのランプ制御コマンドに基づいてランプ手段82等を所定のパターンで発光させるようになっている。
演出図柄表示制御手段83は、第1,第2演出図柄表示手段25a,25bの表示制御を行うもので、主制御基板31側から第1,第2変動パターン指定コマンドの何れかを受信した場合に、ある時はその第1,第2変動パターンに対応する変動パターンに従って第1,第2特別図柄の変動と時間的に同期するように第1,第2演出図柄を変動させ、またある時は第1,第2特別図柄の変動と同期することなく第1,第2演出図柄を独自に変動させ又はその他の演出画像を表示させるようになっている。
なお、本実施形態では、少なくとも「突然確変」及び小当たり状態に対応する第1,第2特別図柄表示手段23a,23bの図柄変動時には、第1,第2演出図柄表示手段25a,25bでは第1,第2特別図柄の図柄変動とは無関係に第1,第2演出図柄の図柄変動が行われ、又は所定の演出画像が表示されるようになっている。
特別保留個数表示制御手段84は、第1,第2特別保留個数表示手段26a,26bの表示制御を行うもので、主制御基板31から送信される第1,第2特別保留個数指定コマンドに基づいて、画像表示装置21の表示画面21a上の所定位置に第1,第2特別保留個数分の第1,第2シンボルX,Yを表示するようになっている。
特定遊技演出制御手段85は、特定遊技演出表示手段27の表示制御を行うもので、例えば第1,第2特別図柄の変動が終了する毎に、図6に示すような特定遊技演出制御処理を実行するように構成されている。
特定遊技演出制御手段85による特定遊技演出制御処理(図6)では、まず高確率状態中であるか否かが判定され(S1)、高確率状態中であれば(S1:Yes)、変動回数カウンタの値に1が加算される(S2)。
ここで、本実施形態では高確率状態中であるか否かに対応して高確率フラグに1又は0がセットされるようになっている。また、変動回数カウンタは、高確率状態が開始された後の第1,第2特別図柄の変動回数をカウントするもので、高確率状態中に更に高確率状態の開始条件が成立した場合には、後述するようにこの変動回数カウンタの値は例えば0にリセットされるようになっている。
そして、変動回数カウンタの値が特定回数である70に達した場合には(S3:Yes)、高確率状態は終了したとして高確率フラグに0がセットされる(S4)。一方、変動回数カウンタの値が特定回数である70未満であれば、変動回数カウンタの値が所定値以上、例えば60以上であることを条件にカウントダウン処理(S6)が実行される。
このカウントダウン処理(S6)は、その高確率状態における特定回数(70回)までの残り変動回数のカウント数を報知するカウント演出を行うもので、例えば図7に示すように、例えば特定回数である70からその時点の変動回数カウンタの値を減算した値が “残り回数”にセットされ(S21)、その“残り回数”の値が特定遊技演出表示手段27に例えば「STノコリ10カイ」のように表示されてこの処理は終了する。これにより、高確率状態の残り期間が図柄変動10回以下になった場合には、第1,第2特別図柄の図柄変動毎に、高確率状態が終了するまでの残り変動回数が特定遊技演出表示手段27にカウントダウン表示される。
図6の特定遊技演出制御処理では、続いて小当たり状態の開始条件が成立したか否か、即ち大当たり判定乱数値が小当たり判定値と一致したか否かが判定され(S7)、小当たり状態の開始条件が成立した場合には(S7:Yes)、小当たり状態時処理(S8)が実行される。また、小当たり状態が成立していない場合には(S7:No)、高確率状態の開始条件が成立したか否か、即ち大当たり判定乱数値が大当たり判定値と一致したか否かが判定され(S9)、高確率状態の開始条件が成立した場合には(S9:Yes)、高確率状態開始時処理(S10)が実行される。
小当たり状態時処理(S8)では、例えば図8に示すように、高確率フラグが1であるか否か、即ち高確率状態中であるか否かが判定され(S31)、高確率フラグが1であること、即ち既に高確率状態中であることを条件に(S31:Yes)、小当たり状態の終了直後等の所定のタイミングで、特定遊技演出表示手段27に例えば高確率状態がそのまま継続される(即ち変動回数カウンタがリセットされない)ことを示す「STケイゾク」等の表示(特定遊技状態の終期が先送りされていないことを示す第1演出の一例)が行われる(S32)。
また、高確率状態開始時処理(S10)では、例えば図9に示すように、まず高確率フラグが1であるか否か、即ち高確率状態中であるか否かが判定される(S41)。そして、高確率フラグが1でなければ、即ち高確率状態中でなければ(S41:No)、大当たり状態の終了直後等の所定のタイミングで、特定遊技演出表示手段27に例えば高確率状態が開始されたことを示す「STカイシ」等の表示が行われ(S42)、また変動回数カウンタの値が0クリアされる(S43)と共に高確率フラグに1がセットされ(S44)、高確率状態開始時処理(S10)は終了する。
これにより、通常確率状態中に高確率状態の開始条件が成立した場合には、高確率状態が開始されると共に変動回数カウンタによる第1,第2特別図柄の変動回数のカウントが新たに開始され、また遊技者は特定遊技演出表示手段27に表示された「STカイシ」等の表示により図柄変動70回の高確率状態が開始されたことを認識することができる。
なお、通常確率状態中に高確率状態の開始条件が成立した場合、即ちS41で高確率フラグが1でないと判定された場合であっても、いわゆる突然確変の場合には、S42の処理、即ち特定遊技演出表示手段27に例えば高確率状態が新たに開始されたことを示す 「STカイシ」等の表示を行わないようにしてもよい。
一方、S41で高確率フラグが1であれば、即ち既に高確率状態中であれば(S41:Yes)、いわゆる突然確変であるか否か、即ち第1特別図柄側の大当たりの場合には大当たり図柄が0〜3の何れかであるか否か、第2特別図柄側の大当たりの場合には大当たり図柄が0,1の何れかであるか否か(図5参照)が判定される(S45)。ここで突然確変でないと判定された場合には(S45:No)、大当たり状態の終了直後等の所定のタイミングで、特定遊技演出表示手段27に例えば高確率状態が新たに開始されたことを示す「STリセット」等の表示が行われ(S46)、また変動回数カウンタ及びケイゾク時回数の値が0クリアされ(S47,S48)、高確率状態開始時処理は終了する。
これにより、高確率状態中に新たに高確率状態の開始条件が成立し、それがいわゆる突然確変でない場合、即ち遊技者が容易に多数の遊技球を入賞させることが可能な開放パターンBによる大当たり状態の終了後に開始される高確率状態である場合には、変動回数カウンタの値がクリアされて新たに図柄変動70回の高確率状態が開始され、また遊技者は特定遊技演出表示手段27に表示された「STリセット」等の表示により図柄変動70回の高確率状態が新たに開始されたことを容易に認識することができる。なお、“ケイゾク時回数”については後述する。
また、S45においていわゆる突然確変である(特定開始条件が成立した)と判定された場合には(S45:Yes)、変動回数カウンタの値が判定され(S49)、その変動回数カウンタの値が所定範囲、例えば31〜60の範囲であれば、ケイゾク時回数の値が0であることを条件に(S50:No)、例えば「STケイゾク」と「STリセット」の何れかが乱数抽選等により選択され、開放パターンAによる短期間の大当たり状態の終了直後等の所定のタイミングで特定遊技演出表示手段27に表示される(S51)(図11参照)。
ここで、突然確変の場合の大当たり状態における大入賞手段17の開放パターンは小当たり状態と同じ開放パターンAであるため(図5(a),(b)参照)、S51において特定遊技演出表示手段27に小当たり状態の場合と同じ「STケイゾク」等と表示された場合(特定遊技状態の終期が先送りされていないことを示す第1演出の一例)には、遊技者に、開放パターンAによる大入賞手段17の短期間の開放は突然確変によるものではなく小当たり状態によるものであってそれまでの高確率状態がそのまま継続されるものと事実と異なる認識をさせることができる。またこの場合には(S52:Yes)、ケイゾク時回数にその時点の変動回数カウンタの値がセットされ(S53)、高確率状態開始時処理は終了する。
一方、S51において特定遊技演出表示手段27に「STリセット」等と表示された場合には、遊技者は開放パターンAによる大入賞手段17の短期間の開放が突然確変によるものであって図柄変動70回の高確率状態が新たに開始されたと事実を正しく認識することができる。この場合には(S52:No)、変動回数カウンタ及びケイゾク時回数の値が0クリアされ(S47,S48)、高確率状態開始時処理は終了する。
なお、S49において変動回数カウンタの値が例えば1〜30,61〜70の範囲である場合には、図11に示すように、S45において突然確変でないと判定された場合と同様、特定遊技演出表示手段27に例えば高確率状態が新たに開始されたことを示す「STリセット」等の表示(特定遊技状態の終期が先送りされたことを示す第2演出の一例)が行われ(S46)、変動回数カウンタ及びケイゾク時回数の値が0クリアされる(S47,S48)ようになっている。
また、S50においてケイゾク時回数が0でない場合(S50:Yes)、即ち高確率状態中に突然確変が発生して特定遊技演出表示手段27に「STケイゾク」等と表示された後、短期間の間にもう一度突然確変が発生したような場合についても、S45において突然確変でないと判定された場合と同様、特定遊技演出表示手段27に例えば高確率状態が新たに開始されたことを示す「STリセット」等の表示が行われ(S46)、変動回数カウンタ及びケイゾク時回数の値が0クリアされる(S47,S48)ようになっている。
図6の特定遊技演出制御処理においてS8,S10の何れかの処理が実行され、又はそれらの何れも実行されなかった場合には、その後に例えばケイゾク時回数の値が所定範囲、例えば31以上60以下であることを条件に(S11:Yes)、ケイゾク後処理(S12)が実行される。
このケイゾク後処理(S12)では、例えば図10に示すように、まずケイゾク時回数の値が複数設定された範囲の何れに該当するかが判定され(S61)、その該当する範囲に応じて夫々以下の処理が実行される(図11参照)。即ち、ケイゾク時回数の値が例えば31〜40の範囲であれば、その時点の変動回数カウンタの値からケイゾク時回数の値を減算して得られる値が例えば30であること、即ち「STケイゾク」等と表示されてから第1,第2特別図柄の図柄変動が所定回数(ここでは30回)行われることを条件に (S62:Yes)、特定遊技演出表示手段27に例えば「STゾウカ/ノコリ40カイ」等の表示(特定遊技状態の終期が先送りされたことを示す特定演出の一例)が行われ (S63)、ケイゾク時回数の値が0クリアされると共に変動回数カウンタに40がセットされる(S64,S65)。
なお、このS65において変動回数カウンタにセットされる40という値は、「STケイゾク」と表示されてから「STゾウカ/ノコリ40カイ」と表示されるまでの図柄変動回数である30を特定回数である70から減算して得られた値である(後述するS69,S73の場合も同じ)。これにより、変動回数カウンタの値は、高確率状態中に突然確変が発生した時点で0クリアした場合(図9のS47)と同じ値となる。
また、ケイゾク時回数の値が例えば41〜50の範囲であれば、その時点の変動回数カウンタの値からケイゾク時回数の値を減算して得られる値が例えば20であること、即ち「STケイゾク」等と表示されてから第1,第2特別図柄の図柄変動が所定回数(ここでは20回)行われることを条件に(S66:Yes)、特定遊技演出表示手段27に例えば「STゾウカ/ノコリ50カイ」等の表示(特定遊技状態の終期が先送りされたことを示す特定演出の一例)が行われ(S67)、ケイゾク時回数の値が0クリアされると共に変動回数カウンタに50がセットされる(S68,S69)。
また、ケイゾク時回数の値が例えば51〜60の範囲であれば、その時点の変動回数カウンタの値からケイゾク時回数の値を減算して得られる値が例えば10であること、即ち「STケイゾク」等と表示されてから第1,第2特別図柄の図柄変動が所定回数(ここでは10回)行われることを条件に(S70:Yes)、特定遊技演出表示手段27に例えば「STゾウカ/ノコリ60カイ」等の表示(特定遊技状態の終期が先送りされたことを示す特定演出の一例)が行われ(S71)、ケイゾク時回数の値が0クリアされると共に変動回数カウンタに60がセットされる(S72,S73)。
このように、高確率状態中に突然確変が発生して特定遊技演出表示手段27に「STケイゾク」等と表示された場合に、それから所定期間経過後であって例えばカウントダウン処理による残り回数の値の表示後に「STゾウカ/ノコリ50カイ」等、高確率状態の終期が先送りされたことを示す表示を特定遊技演出表示手段27に出力することにより、実際には突然確変の時点で新たな高確率状態が開始されているにも拘わらず、遊技者には小当たり状態の後に高確率状態の継続期間が延長されたかのような印象を与えることができる。
なお、本実施形態では、変動回数カウンタの値が1〜30の期間中、即ち高確率状態が開始されてから第1,第2特別図柄の変動回数が30回(第1回数)となるまでの期間中に突然確変となった場合には、増加(したように見える)変動回数が少ないために十分な演出効果が得られず、また変動回数カウンタの値が61〜70の期間中、即ち高確率状態中における図柄変動回数の特定回数(70回)までの残り変動回数が10回(第2回数)以下である期間中に突然確変となった場合には、「STゾウカ/ノコリ50カイ」等、高確率状態が先送りされたことを示す特定演出を行うまでに十分な期間がとれないために十分な演出効果が得られないと考えられるため、何れも「STケイゾク」等の表示は行わず「STリセット」等の表示を行うようになっている(図9のS49→S46)(図11)。
以上のような本パチンコ機においては、図5に示すように第2特別図柄側で大当たりとなった方が第1特別図柄側で大当たりとなるよりも遊技者にとって有利であるが、一方で、第1特別図柄と第2特別図柄とではその変動開始条件が相違し、しかも第2特別図柄側の変動開始条件は遊技状態に応じて変化するようになっている。
即ち、第1特別図柄の変動を開始させるための第1特別図柄始動手段16aは、非作動式入賞手段により構成されているためにその入賞の難易度は遊技状態に関係なく一定であるのに対し、第2特別図柄の変動を開始させるための第2特別図柄始動手段16bは作動式入賞手段により構成されており、普通図柄が当たり態様となった場合にのみ開放され、しかもその普通図柄の当たり確率、変動時間、及び第2特別図柄始動手段16bの開閉パターンは遊技状態によって変化する。
例えば図4に示すように、通常遊技状態中は、普通図柄の当たり確率は通常確率(例えば1/10)、変動時間は通常変動時間(例えば27秒)で、当たり態様となった場合の第2特別図柄始動手段16bの開閉パターンは通常開閉パターン(例えば0.2秒×1回開放)であるのに対し、特別遊技状態中(高確率状態中)は、普通図柄の当たり確率は高確率(例えば1/1.3)、変動時間は短縮変動時間(例えば2.7秒)となり、更に当たり態様となった場合の第2特別図柄始動手段16bの開閉パターンは延長開閉パターン(例えば2秒×3回開放)となる。
このように、通常遊技状態中は、第2特別図柄始動手段16bの入賞の難易度が極めて高く、従って第2特別図柄の変動率は極めて低いのに対し、特別遊技状態中(高確率状態中)は、第2特別図柄始動手段16bの入賞の難易度が大きく緩和され、第2特別図柄が変動しやすい状態となる。
以上のことから、本パチンコ機で大きな利益を得るためには、遊技者は遊技開始直後の通常遊技状態中からいきなり第2特別図柄側の大当たりを狙うのではなく、まずは第2特別図柄始動手段16bよりも入賞の難易度の低い第1特別図柄始動手段16aを狙って発射操作を行い、特別遊技状態(高確率状態)の発生後はより有利な第2特別図柄を主に変動させるべく、普通図柄始動手段15及び第2特別図柄始動手段16bを狙って右打ちを行うことが望ましい。
続いて、図12〜図15に基づいて、特定遊技演出表示手段27による表示演出について幾つかの具体例を説明する。図12は、高確率状態が発生した後、第1,第2特別図柄が特定回数(70回)変動するまで大当たり状態が発生しなかった場合を例示している。この場合には、高確率状態が発生した時点(T11)で特定遊技演出表示手段27に「STカイシ」と表示され(図9のS41→S42)、その後は第1,第2特別図柄の変動毎に変動回数カウンタ(初期値0)に1ずつ加算さる(図6のS1→S2)。そして、変動回数カウンタの値が60以上になると、即ち特定回数(70回)までの残り変動回数が10回以下になると(T12)、図柄変動毎に特定遊技演出表示手段27に「STノコリ10カイ」のようにカウントダウン表示が行われ(図6のS5→S6)、変動回数カウンタの値が特定回数(70回)となった時点(T13)で高確率状態は終了する。
図13は、高確率状態が発生した後、その高確率状態が終了するまでの間に小当たり状態が発生した場合を例示している。この場合には、小当たり状態が発生した直後(T21)に特定遊技演出表示手段27に「STケイゾク」と表示され(図8のS31→S32)、その後に変動回数カウンタの値が60以上になると(T22)、図12の場合と同様、図柄変動毎に特定遊技演出表示手段27に「STノコリ10カイ」のようにカウントダウン表示が行われ(図6のS5→S6)、変動回数カウンタの値が特定回数(70回)となった時点(T23)で高確率状態は終了する。
図14及び図15は、高確率状態が発生した後、その高確率状態が終了するまでの間の所定のタイミング(ここでは図柄変動35回目とする)に突然確変の大当たり状態が発生した場合を例示している。図14の場合には、突然確変大当たりが終了した直後(T31)に特定遊技演出表示手段27に「STリセット」と表示され(図9のS41→S45→S49→S50→S51)、変動回数カウンタの値が0クリアされて新たに特定回数(70回)分の高確率状態が開始される(図9のS52→S47)。
一方、図15の場合には、突然確変大当たりが発生した直後(T41)に特定遊技演出表示手段27に「STケイゾク」と表示されているため(図9のS41→S45→S49→S50→S51)、遊技者はこれだけでは小当たり状態が発生した場合(図13)と見分けることはできない。またこの場合、内部的には図14の場合と同様に突然確変大当たりが発生した時点で新たに特定回数(70回)分の高確率状態が開始されるが、図14の場合と異なり、突然確変大当たり後も変動回数カウンタの値は0クリアされることなくそのままカウントが継続される。
そして、その後に変動回数カウンタの値が60以上になると(T42)、図柄変動毎に特定遊技演出表示手段27に「STノコリ10カイ」のようにカウントダウン表示が行われるため(図6のS5→S6)、遊技者には間もなく高確率状態が終了するものと認識させることができる。
またこの場合、突然確変の大当たり状態が発生した時点での変動回数カウンタの値、即ちケイゾク時回数の値(図9のS52→S53)が35であるから、それ以降の第1,第2特別図柄の図柄変動が30回に達したとき(T43)、即ち変動回数カウンタの値が65になったときには(図10のS61→S62:Yes)、特定遊技演出表示手段27に「STノコリ5カイ」のカウントダウン表示(図6のS5→S6)が行われた後、更に 「STゾウカ/ノコリ40カイ」等、高確率状態の終期が先送りされたことを示す表示が行われる(図10のS63)。
これにより、実際には突然確変の時点で新たな高確率状態が開始されていたにも拘わらず、遊技者には小当たり状態の後に高確率状態の継続期間が延長されたかのような印象を与えることができる。
なお、特定遊技演出表示手段27に「STゾウカ/ノコリ40カイ」等の表示が行われた時点(T43)で変動回数カウンタには40がセットされ、突然確変が発生した時点で0クリアされた図14の場合と同じ値となるため、以降の処理は図14の場合と全く同じである。
以上説明したように、本実施形態のパチンコ機では、高確率状態中に高確率状態の開始条件が成立した場合には、それ以降の第1,第2図柄表示手段23a,23bによる図柄変動回数が特定回数(例えば70回)となるまで高確率状態の終期が先送りされるように構成され、高確率状態の開始条件には特定開始条件とそれ以外の通常開始条件とがあり、特定開始条件が成立した場合には大当たり状態における開放パターンとして遊技球入賞困難な特定開放パターンAが選択される(突然確変)ように構成されており、高確率状態中に突然確変となった場合に、その時点から一定期間以上経過後であって先送りがなかったと仮定した場合の高確率状態の終期までの所定のタイミング、例えば高確率状態中に突然確変となった後の図柄変動回数が所定回数となった時点で且つ先送りされる前の高確率状態の終期よりも一定期間前の時点で、高確率状態の終期が先送りされたことを示す特定演出、例えば「STゾウカ/ノコリ○カイ」のような表示を行うように構成されているため、実際には突然確変の時点で新たな高確率状態が開始されていたにも拘わらず、遊技者には高確率状態の終了間際になって幸運にも高確率状態の継続期間が延長されたかのような印象を与えることができ、いわゆる「回数切り確変」機能と「突然確変」機能との組み合わせによる遊技性向上の効果を十分に発揮させることが可能となる。
また、所定の小当たり条件が成立した場合には、大入賞手段17が特定開放パターンAで開放されるが高確率状態は発生しないように構成されており、高確率状態中に小当たり条件が成立した場合にはその時点で高確率状態の終期が先送りされていないことを示す第1演出、例えば「STケイゾク」のような表示を行い、高確率状態中に突然確変となった場合には、その時点で小当たりの場合と同じ第1演出を実行すると共にその後に所定のタイミングで「STゾウカ/ノコリ○カイ」等と表示する特定演出を行うように構成されているため、実際には突然確変の時点で新たな高確率状態が開始されているにも拘わらず、遊技者には小当たり状態の後に高確率状態の継続期間が延長されたかのような印象を与えることができる。
図16及び図17は本発明の第2の実施形態を例示し、例えば小当たりの機能を搭載しない場合の構成例を示している。第1の実施形態では、突然確変の大当たり状態と同一の開放パターンAで大入賞手段17が開放される小当たり状態が出現することが前提であったため、高確率状態中に特定開始条件が成立して突然確変の大当たり状態が発生した場合には、小当たり状態の場合と同じ「STケイゾク」等の表示を行うことにより突然確変であることをカムフラージュすることが可能であった。
しかしながら、小当たりの機能を搭載しない機種の場合、高確率状態中に特定開始条件が成立して突然確変の大当たり状態が発生した場合に同じように「STケイゾク」等の表示を行えば、その時点で突然確変が発生したことを遊技者に報知する結果となってしまう。
そこで、小当たりの機能を搭載しない機種の場合には、図9に示す高確率状態開始時処理を図16のように一部変更し、S45においていわゆる突然確変である(特定開始条件が成立した)と判定された場合には(S45:Yes)、例えば変動回数カウンタの値が例えば1〜30,61〜70の範囲内である場合(S49)と、ケイゾク時回数の値が0でない場合とを除き(S50:No)、その時点では特定遊技演出表示手段27には何ら表示することなく、ケイゾク時回数にその時点の変動回数カウンタの値をセットする(S53)のみとする。なお、図6に示す特定遊技演出制御処理については、小当たりに関するS7,S8を省略する以外は変更しない。
これにより、図17に示すように、高確率状態中に突然確変大当たりが発生した直後 (T51)には、例えばそのときの変動回数カウンタの値が1〜30,61〜70の範囲内の場合を除き特定遊技演出表示手段27には何ら表示されないため、突然確変となったことを敢えて遊技者に報知してしまうことはなく、遊技者に対してそれまでの高確率状態がそのまま継続しているものと認識させることができる。
そして、その後に変動回数カウンタの値が61以上になると(T52)、図柄変動毎に特定遊技演出表示手段27に「STノコリ10カイ」のようにカウントダウン表示が行われるため(図6のS5→S6)、遊技者には間もなく高確率状態が終了するものと認識させることができる。
またこの場合、突然確変の大当たり状態が発生した時点での変動回数カウンタの値、即ちケイゾク時回数の値(図16のS53)を35とすると、それ以降の第1,第2特別図柄の図柄変動が30回に達したとき(T53)、即ち変動回数カウンタの値が65になったときには(図10のS61→S62:Yes)、特定遊技演出表示手段27に「STノコリ5カイ」のカウントダウン表示(図6のS5→S6)が行われた後、更に「STゾウカ/ノコリ40カイ」等、高確率状態の終期が先送りされたことを示す表示が行われる (図10のS63)。
これにより、実際には突然確変の時点で新たな高確率状態が開始されていたにも拘わらず、遊技者には高確率状態の終了間際になって幸運にも高確率状態の継続期間が延長されたかのような印象を与えることができる。
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、高確率状態中の略全期間にわたって、消化済みの図柄変動回数のカウント数又は前記特定回数までの残り変動回数のカウント数を特定遊技演出表示手段27等により報知するように構成してもよい。この場合には、「STケイゾク」等と表示するかわりにカウント数をそのままリセットすることなく継続的に表示し、「STゾウカ/40カイ」等と表示するかわりにカウント数の表示を正しい値に更新すればよい。
実施形態では特別遊技状態として高確率状態のみを例示したが、いわゆる時短状態等を特別遊技状態に含めてもよい。特別遊技状態として複数種類(高確率状態、時短状態等)の何れを選択するかは、例えば大当たり図柄乱数値に基づいて決定すればよい。時短状態中は、例えば第1,第2特別図柄に関して、第1,第2特別図柄表示手段23a,23bの変動時間が夫々通常変動時間よりも短い短縮変動時間に切り換えられる他、普通図柄に関して、当たり確率が通常確率(例えば1/10)から高確率(例えば1/1.3)へ、変動時間が通常変動時間(例えば27秒)から短縮変動時間(例えば2.7秒)へ、第2特別図柄始動手段16bの開閉手段28の開閉パターンが通常開閉パターン(例えば0.2秒×1回開放)から特別開閉パターン(例えば2秒×3回開放)へ、夫々切り換えられるようにすることが考えられる。
実施形態では、高確率状態を特定遊技状態とした例を示したが、特定遊技状態は遊技者に有利な遊技状態であれば時短状態等の他の遊技状態でもよい。
実施形態では小当たり状態のときの大入賞手段17の開放パターンを突然確変の場合と同一の開放パターンAとしたが、突然確変の場合と全く同一の開放パターンでなくてもよい。また、小当たり状態のときの開放パターンと突然確変の場合の開放パターンとの少なくとも一方を複数種類設けてもよい。
実施形態では特定演出、第1演出、第2演出として夫々特定遊技演出表示手段27に 「STリセット」、「STケイゾク」、「STゾウカ/ノコリ○カイ」と表示する例を示したが、これらはあくまでも一例であってその他の表示内容を採用してもよい。また、特定演出、第1演出、第2演出は画像表示による演出に限らず、音声、ランプ等による演出又はそれらの組み合わせによる演出であってもよい。
実施形態では特別図柄とその始動手段とを二組搭載したパチンコ機の場合を例示したが、本発明は特別図柄とその始動手段とを一組しか搭載していないパチンコ機等であっても同様に実施可能であり、またパチンコ機に限らず、アレンジボール機、雀球遊技機等の各種の弾球遊技機においても同様に実施することが可能である。