以下に、本願発明を具体化した実施形態を図面(図1〜図10)に基づいて説明する。図1は温室の概略平面図、図2はコンテナの一部切り欠き斜視図、図3はコントローラの機能ブロック図、図4は分岐ダクト、付勢手段及び作動操作手段の拡大斜視図、図5はコンテナと分岐ダクトとの接続手順を示す一部切り欠き平断面図、図6はコンテナと分岐ダクトとの接続手順を示す側断面図、図7は除湿乾燥制御のフローチャート、図8は低湿モード制御の態様を示すフローチャート、図9は高湿モード制御の態様を示すフローチャート、図10は高温防止制御の態様を示すフローチャートである。
図1に示すように、本実施形態の温室1は、多数本の支柱とフレームとにより骨組が構成されている。温室1の側壁には、複数の側窓2と出入り用の扉3とが開閉可能に設けられている。この側壁に隣接した2つの側壁には、温室1内の換気を行うための換気ファン4がそれぞれ取り付けられている。また、扉3のある側壁と向かい合った側壁には、開閉用のシャッター5が設けられている。温室1内の天井側には、白色灯や水銀灯等の照明具が複数個配置されている(図示せず)。温室1の一側壁のうち扉3の近傍箇所には、制御手段の一例であるコントローラ7(図3参照)等を有する制御盤6が配置されている。
本実施形態の除湿乾燥システムは、籾、麦又は大豆のような農作物や加工食品等の被乾燥物を送風にて除湿・乾燥させるためのものであり、被乾燥物としての籾を収容するためのコンテナ8と、当該コンテナ8内に温室1内の空気を強制的に導入するための送風ユニット9と、温室1内の空気を除湿するための除湿機10と、温室1内の空気を温めるための加温機11と、前述した一対の換気ファン4と、温室1内の雰囲気温度を検出するためのIC型等の温度センサ12(図3参照)と、温室1内の雰囲気湿度を検出するためのインピーダンス変化型等の湿度センサ13(図3参照)と、制御盤6内のコントローラ7(図3参照)とを備えている。除湿機10及び加温機11は、特許請求の範囲に記載した乾燥手段に相当する。なお、乾燥手段としては、除湿機10と加温機11とのうちいずれか一方でもあればよい。
図1に示すように、温室1の床面には、2本1組のレール14がその長手方向と平面視で交差する方向に適宜間隔を開けて並列状に並ぶように複数列敷設されており(本実施形態では3組)、各組のレール14上に、複数個のコンテナ8がレール14の長手方向に沿って移動可能に載置されている(本実施形態では1組のレール14につき5個)。
コンテナ8は上向き開口略箱型に形成されたものである。図2に示すように、コンテナ8の内部には目の細かい網状の通気床板15が張設されており、この通気床板15の存在にて、コンテナ8内が上側の籾収容室16と下側のエアチャンバ室17とに区画されている。従って、籾収容室16とエアチャンバ室17とは通気床板15の網目を介して連通している。
本実施形態では、籾収容室16に対して収穫後の籾が袋詰め等することなく直接投入される。このため、籾収容室16の一側下部には、籾収容室16内の籾を排出するための横長の排出口18が形成されている。この排出口18は開閉式のカバー体19で塞がれている。エアチャンバ室17の一側壁には、外部からエアチャンバ室17内に空気を導入するための導入口20が形成されている。
また、エアチャンバ室17における導入口20側の一側壁には、導入口20を挟んで上下両側に、後述する規制手段41の構成要素の1つである横長の押圧板31が外向きに突出するように設けられている。これら両押圧板31の上下配置間隔は、後述する分岐ダクト25における先端部の上下高さ寸法より大きくなっており、上下両押圧板31の間に分岐ダクト25の先端部が横方向からスムーズに嵌るように設定されている。両押圧板31における外側部の中央には、後述する第2当接体としての当接ローラ43が嵌るように内向きに凹ませた凹み部32が形成されている。
なお、コンテナ8の底面には、フォークリフトのフォーク爪(図示せず)を差し込むための一対の爪差し込み部21と、各組のレール14上を転動可能に走行する車輪22とが設けられている。
送風ユニット9は各組のレール14に対応して設けられており(1組のレール14につき1台)、各組のレール14における並び方向の一側方に当該レール14と平行状に延びるように配置された送風ダクト23と、この送風ダクト23内に空気を送り込むための送風ファン24とを備えている。送風ファン24は送風ダクト23の一端部(図1で扉3のある側壁に近い箇所)に設けられている。送風ダクト23の他端部は閉塞されている。
各送風ダクト23には、これと対応するレール14側の側面に、平面視でレール14と交差する方向に向けて突出した分岐ダクト25が複数本設けられている(本実施形態では5本)。
詳細は後述するが、各分岐ダクト25は蛇腹構造になっていて、その突出方向(送風ダクト23の長手方向と交差する方向)に沿って伸縮可能に構成されていると共に、これを伸長した状態に付勢するばね式の付勢手段40を備えている。また、本実施形態の除湿乾燥装置には、コンテナ8が分岐ダクト25に接近及び離間するときに分岐ダクト25をコンテナ8から遠ざかるように短縮動させ、コンテナ8がその導入口20を分岐ダクト25の先端口に対峙させた対峙位置にあるときに分岐ダクト25がコンテナ8に当接するように伸長動するのを許容する規制手段41も備えている(図4〜図6参照)。付勢手段40と規制手段41とは、特許請求の範囲に記載した作動手段に相当するものである。
除湿機10は、送風ユニット9と同様に各組のレール14に対応して設けられていて、各送風ダクト23の一端部に連通接続されている。除湿機10にて除湿された空気は、送風ファン24を駆動させることにより、送風ダクト23及び各分岐ダクト25を介して各コンテナ8のエアチャンバ室17内に送り込まれ、エアチャンバ室17から通気床板15の網目を通って籾収容室16内に流入する。そして、この空気は籾間を流通してコンテナ8の上面開口から再び温室1内に排出される。
一方、加温機11は、送風ユニット9や除湿機10とは異なり、温室1内に1台のみ単独で配置されている。加温機11にて温められた温室1内の空気は、除湿機10を経由して送風ダクト23内に取り込まれることになる。
本実施形態では、温度や湿度等の栽培環境の状態量を検出するための温度センサ12及び湿度センサ13は各分岐ダクト25内に取り付けられており、これら2種類のセンサ12,13は制御盤6内にあるコントローラ7の入力インターフェイスに接続されている(図3参照)。なお、温度センサ12及び湿度センサ13はいずれも、温室1内の適宜箇所に配置されていればよい。
制御盤6内のコントローラ7は、温度センサ12及び湿度センサ13の制御情報に基づいて換気ファン4及び送風ユニット9を作動させて、コンテナ8に収容された籾の除湿乾燥制御を実行するものであり、各種演算処理を実行する中央処理装置26(CPU)の他、制御プログラムやデータを記憶させるための読出し専用メモリ27(ROM)、制御プログラムやデータを一時的に記憶させるための随時読み書き可能メモリ28(RAM)、タイマ機能としてのクロック、センサやアクチュエータ等との間でデータ(制御情報)のやり取りをするための入出力インターフェイス等を備えている(図3参照)。
コントローラ7のROM27には、コンテナ8に供給される空気の雰囲気温度T(送風温度、単位:K)と、目標とする雰囲気湿度h(目標湿度、単位:%)との関係を示す関係式又は制御マップが予め記憶されている。本実施形態のROM27は特許請求の範囲に記載した記憶手段に相当する。
本実施形態では、一定の温度・湿度条件の雰囲気下に物質を放置すると、この物質の水分量は前述の温度・湿度条件に対応した一定値になるという平衡水分に関する知見を参考にして、Chen−Clayton式に基づいた関係式を作成している。
この場合の関係式としては、
h=exp{−f1・Tg1・exp(−f2・Tg2・M)}
が採用されている。ここで、f1、f2、g1、g2はいずれも穀物の種類に応じたパラメータであり、実験等により求められる。Mは穀物の平衡水分(目標とする水分量、単位:%)である。
なお、送風温度Tと目標湿度hとの対のデータを、テーブルマップとしてコントローラ7のROM27に記憶させるようにしてもよい。
コントローラ7の入力インターフェイスには、前述した2種類のセンサ12,13の他、除湿乾燥システム全体の電源を入り切り操作するメインスイッチやキーボード等を有する入力部29や、警報ブザー30等がそれぞれ接続されている。これら入力部29及び警報ブザー30は制御盤6に設けられている。
また、出力インターフェイスには、一対の換気ファン4、3組の送風ファン24及び除湿機10、並びに1台の加温機11等がそれぞれ接続されている。
次に、図4〜図6を参照しながら、分岐ダクト、規制手段及び付勢手段の詳細構造について説明する。
送風ダクト23からレール14に向けて突出した各分岐ダクト25は、前述の通り、その突出方向に沿って伸縮可能な蛇腹構造になっている。送風ダクト23と分岐ダクト25との連通口33は開閉式の扉体34で塞がれている。本実施形態の扉体34は、その上端部が蝶番35を介して送風ダクト25の内壁に取り付けられており、蝶番35回りに上下開閉回動可能に構成されている。
送風ダクト25の内部には、当該送風ダクト25の突出方向に沿って延びる押圧バー体36が設けられている。この押圧バー体36は、分岐ダクト25が最大伸長状態(図5(a)及び図6(a)参照)から短縮動するに連れて扉体34を開き動させるように関連付けるためのものである。
分岐ダクト25が最大伸長状態から短縮動した場合は、分岐ダクト25と共に押圧バー体36が送風ダクト23に近づく方向に移動して、当該押圧バー体36は扉体34の広巾面を送風ダクト23の内周側に向けて押圧する。このため、扉体34は、分岐ダクト25の短縮動に連動して上向きに開き回動する(図5(b)(c)及び図6(b)(c)参照)。
逆に、分岐ダクト25が最大伸長状態に戻った場合は、分岐ダクト25と共に押圧バー体36が送風ダクト23から遠ざかる方向に移動して、分岐ダクト25内に収納される。このため、扉体34は、扉体34は分岐ダクト25の伸長動に連動して下向きに閉じ回動するのである(図5(a)及び図6(a)参照)。
なお、分岐ダクト25の先端部には、ゴム等の軟質弾性材からなる緩衝体37が接着剤等で固定されている。
本実施形態の規制手段41は、前述したコンテナ8側にある上下一対の押圧板31と、分岐ダクト25に取り付けられた上下一対の縦軸44を中心として屈曲可能に連結された第1当接体としての一対のリンク部材42と、縦軸44の箇所に設けられた第2当接体としての当接ローラ43とで構成されている。
一対のリンク部材42は、分岐ダクト25を挟んで送風ダクト23の長手方向(以下の説明では、搬送方向という)に沿った両側に対称状に配置されている。各リンク部材42は、上下一対のリンク杆45とこれらをつなぐ板部材46とにより、分岐ダクト25の外周を外側から挟み込むような二股状の形態になっており、これら両方のリンク部材42における二股状の先端部にて、分岐ダクト25の外周(四周)が取り囲まれている。
両リンク部材42と分岐ダクト25とは、両リンク部材42がその間の挟角を広狭するように縦軸44回りに水平回動するのに連動して分岐ダクト25が伸縮動するように、縦軸44を介して関連付けられている。
本実施形態では、送風ダクト23のうち分岐ダクト25を挟んで搬送方向に沿った両側に、縦長の脚ブラケット47が溶接等にて固着されており、各脚ブラケット47に対して、これに対応するリンク部材42(板部材46)の基端部が蝶番48を介して水平回動可能に連結されている。
両リンク部材42における上リンク杆45の先端部同士は、前述した上縦軸44にて水平回動可能に枢支されている。いずれか一方の上リンク杆45の先端部には、平面視円弧状のガイド溝穴49が形成されている一方、分岐ダクト25の上端面に固着された固定ブラケット50には、搬送方向に沿って延びる長穴51が形成されている。上縦軸44の下端部は、一方の上リンク杆45のガイド溝穴49から固定ブラケット50の長穴51にまで挿通していて、これら両穴49,51に沿ってスライド可能で且つ抜け不能に構成されている。上縦軸44の上端部は他方の上リンク杆45の先端部に固着されている。従って、両リンク部材42の上リンク杆45同士は、分岐ダクト25の先端部を吊支している。上縦軸44のうち両上リンク杆45の先端部で挟まれた箇所には、当接ローラ43が上縦軸44回りに水平回転可能に取り付けられている。
一方、両リンク部材42における下リンク杆45の先端部同士も、前述した下縦軸44にて水平回動可能に枢支されている。この場合も、いずれか一方の下リンク杆45の先端部には、平面視円弧状のガイド溝穴49が形成されており、下縦軸44の下端部は、一方の下リンク杆45のガイド溝穴49に沿ってスライド可能で且つ抜け不能に嵌挿されている。下縦軸44の上端部は他方の下リンク杆45の先端部に固着されている。そして、下縦軸44のうち両下リンク杆45の先端部で挟まれた箇所にも、当接ローラ43が下縦軸44回りに水平回転可能に取り付けられている。
本実施形態では、上下リンク杆45の先端部に形成されたガイド溝穴49により、基端部が蝶番48を介して脚ブラケット47に連結されているにも拘らず、両リンク部材42の縦軸44回りの水平回動(両リンク部材42の間の挟角を広げるような水平回動)が許容されている。
なお、両リンク部材42の板部材46と分岐ダクト25との間には、分岐ダクト25における搬送方向に沿った位置を保持するための位置保持ばね52が2本ずつ(計4本)装架されている。
分岐ダクト25を伸長した状態に付勢する付勢手段40は、分岐ダクト25の突出方向に沿って延びるガイドバー体53と、ガイドバー体53に沿って移動可能に構成された案内部材54と、この案内部材54を弾性に抗して突出方向に付勢するばね部材55とを備えている。
本実施形態では、送風ダクト23の外側面に設けられたブラケットに、縦向きの軸線回りに水平回動可能な鉛直軸56が取り付けられており、この鉛直軸56の胴部に、ガイドバー体53の基端部が固着されている。案内部材54は、鉛直軸56と対峙する側にあるリンク部材42の板部材46に形成された窓穴57の箇所に、縦向きの軸線回りに水平回動可能に取り付けられており、案内部材54に貫通形成された横向きの貫通穴58に、ガイドバー体53の先端部が嵌挿されている。換言すると、案内部材54は、貫通穴58を介してガイドバー体53に移動可能に被嵌されている。
この場合、ガイドバー体53の基端側にある鉛直軸56と、先端側にある案内部材54とを、縦向きの軸線回りに水平回動可能にすることにより、両リンク部材42がその間の挟角を広狭するように縦軸44回りに水平回動したときに、案内部材54がガイドバー体53に沿ってスムーズに移動する構成になっている。
ガイドバー体53の外周のうち案内部材54と鉛直軸56との間には、圧縮タイプのばね部材55が被嵌されており、案内部材54、ひいてはリンク部材42(分岐ダクト25)は、このばね部材55の弾性付勢力にて、分岐ダクト25の突出方向に付勢される構成になっている。
なお、案内部材54はリンク部材42に取り付けるに限らず、分岐ダクト25に直接取り付けるようにしてもよい。
以上の構成において、コンテナ8が分岐ダクト25から離れている場合は、分岐ダクト25は、付勢手段40(ばね部材55)の付勢力にて、平面視で送風ダクト23寄りにあるレール14に交差するまで突出した最大伸長状態に維持される(図5(a)及び図6(a)参照)。このとき、送風ダクト23と分岐ダクト25との連通口33の箇所にある扉体34は閉止状態になっている。
図5(b)及び図6(b)に示すように、コンテナ8を各組のレール14に沿って分岐ダクト25の近傍まで移動させて、コンテナ8の上下両押圧板31を搬送方向下流側のリンク部材42の外表面に接触させると、この接触(押圧)にて、両リンク部材42はその間の挟角を広げるように縦軸44回りに水平回動する。そして、これら両リンク部材42の広がり回動に連動して、分岐ダクト25が付勢手段40(ばね部材55)の付勢力に抗してコンテナ8から遠ざかる方向に短縮動する。このため、分岐ダクト25の先端部がレール14に沿ってのコンテナ8の移動を妨げることはない。また、扉体34は、分岐ダクト25の短縮動に連動して、押圧バー体36にて送風ダクト23の内周側に向けて押圧され、上向きに開き回動する。
更にコンテナ8の移動を進めて、当該コンテナ8を対峙位置(図5(c)及び図6(c)参照)にまで到達させると、上下両押圧板31に形成された凹み部32に、両リンク部材における上下の枢支箇所にある当接ローラ43がそれぞれ嵌り込む。そうすると、分岐ダクト25は、凹み部32の分だけ突出方向に移動する余裕ができるために、付勢手段40(ばね部材55)の付勢力にてコンテナ8に近づく方向に伸長動して、分岐ダクト25の先端口がコンテナ8における導入口20の箇所に密接する。これにより、コンテナ8のエアチャンバ室17と分岐ダクト25とが連通接続される。このときは、分岐ダクト25が伸長動したとはいえ、最大伸長状態にまでは達しておらず、扉体34は押圧バー体36にて開放状態に維持される。
更にコンテナ8の移動を進めれば、コンテナ8が対峙位置から離れて、上下両押圧板31における凹み部32以外の箇所が当接ローラ43又は搬送方向上流側のリンク部材42を押圧する状態になるので、分岐ダクト25は再びコンテナ8から遠ざかる方向に短縮動するのである。
以上のことから、本実施形態の除湿乾燥装置によると、コンテナ8を各組のレール14に沿って移動させるだけで、コンテナ8と分岐ダクト25とをワンタッチ的に連通接続したり接続解除したりできる(ワンタッチ的に着脱できる)。
これにより、籾の乾燥処理をするに際しては、例えばコンバインにおける穀粒タンク内の籾を、排出オーガからコンバインの近傍に運んだコンテナ8に直接投入し、この籾入りのコンテナ8を温室1内に運んで各組のレール14に沿って移動させればよい。すなわち、従来行っていた籾の袋詰め及び移し替え作業が不要になるし、コンテナ8と分岐ダクト25との着脱作業も簡単であるので、作業者の負担が低減され、作業効率が向上する。
また、本実施形態の付勢手段はばね部材55の付勢力を利用しており、電動式、油圧式又はエア式等のアクチュエータやコンテナ8位置検出用のセンサ等がなくても、コンテナ8を各組のレール14に沿って移動させるだけで分岐ダクト25を伸縮動させることができるから、製造コストを抑制できるし、消費電力等の面でもランニングコストの低減に寄与できる。
しかも、本実施形態の除湿乾燥装置では、レール14と送風ダクト23との組を複数列並列状に配置しているので、これら各組ごとに同時並行的に、籾の乾燥処理を効率よく行える。従って、生産性(乾燥処理能力)も高いのである。
次に、図7〜図10に示すフローチャートを参照しながら、コントローラによる除湿乾燥制御の一例について説明する。ここで、コンテナ8内の籾の平衡水分M(目標とする水分量)や後述する設定時間TM0に関するデータは、ROM27に記憶させたり、設定器(図示せず)の操作にてコントローラ7のRAM28に記憶させたりして、予め設定しておく。
まず、図7に示す除湿乾燥制御のスタートに続き、各送風ユニット9の送風ファン24を回転駆動させる(ステップS1)。次いで、換気ファン4を両方とも最大駆動周波数(最高回転数に対応する)で適宜時間だけ回転駆動させてから(ステップS2)、湿度センサ13の検出情報(制御情報)から得られた計測湿度H1を読み込む(ステップS3)。本実施形態では、換気ファン4の最大駆動周波数は60Hz、その駆動時間は5分間に設定されている。また、湿度センサ13は各送風ダクト23に5個ずつあるので、計測湿度H1としては、各湿度センサ13での計測湿度の平均値を採用している。
それから、換気ファン4を両方とも最小駆動周波数(最低回転数に対応する)で適宜時間だけ回転駆動させたのち(ステップS4)、湿度センサ13の検出情報(制御情報)から得られた計測湿度H2を読み込む(ステップS5)。本実施形態では、換気ファン4の最小駆動周波数は30Hz、その駆動時間は5分間に設定されている。また、この場合も、計測湿度H2としては、各湿度センサ13での計測湿度の平均値を用いている。
次いで、換気ファン4を最大駆動周波数で回転駆動させたときの計測湿度H1が換気ファン4を最小駆動周波数で回転駆動させたときの計測湿度H2より小さいか否かを判別する(ステップS6)。
最大駆動周波数での計測湿度H1が最小駆動周波数での計測湿度H2より小さい場合というのは、換気ファン4の駆動にて温室1内に取り込まれた外気の湿度が低いとき(例えば冬季等)を意味しており、逆に、最大駆動周波数での計測湿度H1が最小駆動周波数での計測湿度H2以上である場合というのは、外気の湿度が高いとき(例えば梅雨時期、夏季等)を意味している。
そこで、最大駆動周波数での計測湿度H1が最小駆動周波数での計測湿度H2より小さいと判断したときは(S6:YES)、換気ファン4の駆動回転数を中程度の値(本実施形態では45Hz)に変更したのち(ステップS7)、低湿モード制御を実行する(ステップS8)。
一方、最大駆動周波数での計測湿度H1が最小駆動周波数での計測湿度H2以上であると判断したときは(S6:NO)、換気ファン4の駆動回転数を中程度の値(本実施形態では45Hz)に変更したのち(ステップS9)、高湿モード制御を実行する(ステップS10)。
低湿モード制御又は高湿モード制御の実行中、又はこれら制御の1サイクルが完了した後は、コントローラ7に内蔵されたクロックにて送風ファン24の回転駆動開始時からカウントしている計測時間TM1が設定時間TM0を経過したか否かを判別する(ステップS11)。本実施形態の設定時間TM0は4時間に設定されている。
計測時間TM1が設定時間TM0未満であると判断したときは(S11:NO)、このまま待機するために再びステップS11に戻る。計測時間TM1が設定時間TM0以上であると判断したときは(S11:YES)、除湿乾燥制御の実行を再開するためにステップS1に戻る。すなわち、除湿乾燥制御の実行中は、設定時間TM0が経過するたびに低湿モード制御か高湿モード制御かの選択をするのである。
ステップS8の低湿モード制御は例えば図8に示す手順で実行される。すなわち、はじめに、温度センサ12の検出情報(制御情報)から得られた送風温度Tと、湿度センサ13の検出情報から得られた送風湿度Hと、目標とする籾の平衡水分Mとを読み込む(ステップS12)。温度センサ12は、湿度センサ13と同様に、各送風ダクト23に対して5個ずつあるので、送風温度Tとしては、各温度センサ12での計測温度の平均値を用いている。送風湿度Hも、各湿度センサ13での計測湿度の平均値である。低湿モード制御の実行中は、この読み込みが2分間隔で行われるように設定されている。
次いで、ステップS12で読み込まれた送風温度Tと、籾の平衡水分Mと、コントローラ7のROM27に予め記憶された関係式又は制御マップとから、目標とする雰囲気湿度h(目標湿度)を求める(ステップS13)。
次いで、ステップS12で読み込まれた送風湿度Hから目標湿度hを引いた値が2%以上であるか否かを判別する(ステップS14)。
送風湿度Hから目標湿度hを引いた値が2%以上であると判断したときは(S14:YES)、未だ送風湿度Hが高くてコンテナ8内の籾の水分量が多い状態であるから、次いで、現在の換気ファン4の駆動周波数が最大駆動周波数(60Hz)であるか否かを判別する(ステップS15)。
現在の換気ファン4の駆動周波数が最大駆動周波数ではないと判断したときは(S15:NO)、換気ファン4の駆動周波数を適宜上昇させ(ステップS16)、低湿度である外気の単位時間当りの導入量を増やしてから、ステップS12に戻る。ステップS16において換気ファン4が停止中であれば、当該換気ファン4を最小駆動周波数(30Hz)で回転駆動させる。本実施形態では、換気ファン4の駆動周波数の上昇幅が5Hzに設定されている。
現在の換気ファン4の駆動周波数が最大駆動周波数であると判断したときは(S15:YES)、これ以上、低湿度外気の単位時間当りの導入量を増やせないので、次いで、除湿機10が駆動中か否かを判別する(ステップS17)。
除湿機10が停止中であると判断したときは(S17:NO)、除湿機10を駆動させたのち(ステップS18)、換気ファン4の駆動回転数を中程度の値(45Hz)に変更して(ステップS19)、ステップS12に戻る。
除湿機10が駆動中であると判断したときは(S17:YES)、次いで、加温機11が駆動中か否かを判別する(ステップS20)。
加温機11が停止中であると判断したときは(S20:NO)、加温機11を駆動させたのち(ステップS21)、換気ファン4の駆動回転数を中程度の値(45Hz)に変更して(ステップS22)、ステップS12に戻る。
加温機11が駆動中であると判断したときは(S20:YES)、除湿機10及び加温機11が両方とも駆動中であるから、作業者の注意を喚起するために警報ブザー30を鳴動させ(ステップS23)、ステップS12に戻る。警報ブザー30の鳴動は、除湿機10及び加温機11とのうち少なくとも一方が停止するまで継続する設定になっている。
ステップS14に戻り、送風湿度Hから目標湿度hを引いた値が2%未満であると判断したときは(S14:NO)、次いで、目標湿度hから送風湿度を引いた値が2%以上であるか否かを判別する(ステップS24)。
目標湿度hから送風湿度Hを引いた値が2%未満であると判断したときは(S24:NO)、送風湿度Hは目標湿度hに近い値であるものの、コンテナ8内の籾の水分量を平衡水分M以下に確実に落ち着かせるために、ステップS12に戻って低湿モード制御を継続する。
目標湿度hから送風湿度Hを引いた値が2%以上であると判断したときは(S24:YES)、送風湿度Hが目標湿度hより低くてコンテナ8内の籾の水分量が平衡水分Mの値に近いとみなせるから、次いで、現在の換気ファン4の駆動周波数が最小駆動周波数(30Hz)であるか否かを判別する(ステップS25)。
現在の換気ファン4の駆動周波数が最小駆動周波数ではないと判断したときは(S25:NO)、換気ファン4の駆動周波数を適宜下降させ(ステップS26)、低湿度である外気の単位時間当りの導入量を減らしてから、ステップS12に戻る。本実施形態では、換気ファン4の駆動周波数の下降幅も5Hzに設定されている。
現在の換気ファン4の駆動周波数が最小駆動周波数であると判断したときは(S25:YES)、これ以上、低湿度外気の単位時間当りの導入量を減らせないので、次いで、加温機11が停止中か否かを判別する(ステップS27)。
加温機11が駆動中であると判断したときは(S27:NO)、加温機11を停止させたのち(ステップS28)、換気ファン4の駆動回転数を中程度の値(45Hz)に変更して(ステップS29)、ステップS12に戻る。
加温機11が停止中であると判断したときは(S27:YES)、次いで、除湿機10が停止中か否かを判別する(ステップS30)。
除湿機10が駆動中であると判断したときは(S30:NO)、除湿機10を停止させたのち(ステップS31)、換気ファン4の駆動回転数を中程度の値(45Hz)に変更して(ステップS32)、ステップS12に戻る。
除湿機10が停止中であると判断したときは(S30:YES)、次いで、作業者の注意を喚起するために警報ブザー30を鳴動させてから(ステップS33)、換気ファン4及び送風ファン24も停止させ(ステップS34)、低湿モード制御の1サイクルを完了しリターンする。
ステップS10の高湿モード制御は例えば図9に示す手順で実行される。すなわち、はじめに、温度センサ12の検出情報から得られた送風温度Tと、湿度センサ13の検出情報から得られた送風湿度Hと、目標とする籾の平衡水分Mとを読み込む(ステップS35)。送風温度Tとしては、5個ある温度センサ12での計測温度の平均値を用いている。送風湿度Hも、各湿度センサ13での計測湿度の平均値である。高湿モード制御の実行中も、この読み込みが2分間隔で行われるように設定されている。
次いで、ステップS35で読み込まれた送風温度Tと、籾の平衡水分Mと、コントローラ7のROM27に予め記憶された関係式又は制御マップとから、目標とする雰囲気湿度h(目標湿度)を求める(ステップS36)。
次いで、ステップS35で読み込まれた送風湿度Hから目標湿度hを引いた値が2%以上であるか否かを判別する(ステップS37)。
送風湿度Hから目標湿度hを引いた値が2%以上であると判断したときは(S37:YES)、未だ送風湿度Hが高くてコンテナ8内の籾の水分量が多い状態であるから、次いで、現在の換気ファン4の駆動周波数が最小駆動周波数(30Hz)であるか否かを判別する(ステップS38)。
現在の換気ファン4の駆動周波数が最小駆動周波数ではないと判断したときは(S38:NO)、換気ファン4の駆動周波数を適宜下降させ(ステップS39)、高湿度である外気の単位時間当りの導入量を増やしてから、ステップS35に戻る。ステップS39において換気ファン4が停止中であれば、当該換気ファン4を最高駆動周波数(60Hz)で回転駆動させる。本実施形態では、換気ファン4の駆動周波数の下降幅が5Hzに設定されている。
現在の換気ファン4の駆動周波数が最小駆動周波数であると判断したときは(S38:YES)、これ以上、高湿度外気の単位時間当りの導入量を減らせないので、次いで、除湿機10が駆動中か否かを判別する(ステップS40)。
除湿機10が停止中であると判断したときは(S40:NO)、除湿機10を駆動させたのち(ステップS41)、換気ファン4の駆動回転数を中程度の値(45Hz)に変更して(ステップS42)、ステップS34に戻る。
除湿機10が駆動中であると判断したときは(S40:YES)、次いで、加温機11が駆動中か否かを判別する(ステップS43)。
加温機11が停止中であると判断したときは(S43:NO)、加温機11を駆動させたのち(ステップS44)、換気ファン4の駆動回転数を中程度の値(45Hz)に変更して(ステップS45)、ステップS34に戻る。
加温機11が駆動中であると判断したときは(S43:YES)、次いで、除湿機10又は加温機11が適宜時間(本実施形態では10分間)以上駆動しているか否かを判別する(ステップS46)。除湿機10又は加温機11が適宜時間以上駆動していないときは、そのままステップS35に戻る。
除湿機10又は加温機11が適宜時間以上駆動しているときは、作業者の注意を喚起するために警報ブザー30を鳴動させ(ステップS47)、ステップS35に戻る。警報ブザー30の鳴動は、除湿機10及び加温機11とのうち少なくとも一方が停止するまで継続する設定になっている。
ステップS37に戻り、送風湿度Hから目標湿度hを引いた値が2%未満であると判断したときは(S37:NO)、次いで、目標湿度hから送風湿度を引いた値が2%以上であるか否かを判別する(ステップS48)。
目標湿度hから送風湿度Hを引いた値が2%未満であると判断したときは(S48:NO)、送風湿度Hは目標湿度hに近い値であるものの、コンテナ8内の籾の水分量を平衡水分M以下に確実に落ち着かせるために、ステップS35に戻って高湿モード制御を継続する。
目標湿度hから送風湿度Hを引いた値が2%以上であると判断したときは(S48:YES)、送風湿度Hが目標湿度hより低くてコンテナ8内の籾の水分量が平衡水分Mの値に近いとみなせるから、次いで、現在の換気ファン4の駆動周波数が最大駆動周波数(60Hz)であるか否かを判別する(ステップS49)。
現在の換気ファン4の駆動周波数が最大駆動周波数ではないと判断したときは(S49:NO)、コンテナ8内の籾の水分量が平衡水分M以下に落ち着くか否かを確認するために、換気ファン4の駆動周波数を適宜上昇させ(ステップS50)、高湿度である外気の単位時間当りの導入量を増やしてから、ステップS35に戻る。本実施形態では、換気ファン4の駆動周波数の上昇幅も5Hzに設定されている。
現在の換気ファン4の駆動周波数が最小駆動周波数であると判断したときは(S49:YES)、これ以上、高湿度外気の単位時間当りの導入量を増やせないので、次いで、加温機11が停止中か否かを判別する(ステップS51)。
加温機11が駆動中であると判断したときは(S51:NO)、加温機11を停止させたのち(ステップS52)、換気ファン4の駆動回転数を中程度の値(45Hz)に変更して(ステップS53)、ステップS35に戻る。
加温機11が停止中であると判断したときは(S51:YES)、次いで、除湿機10が停止中か否かを判別する(ステップS54)。
除湿機10が駆動中であると判断したときは(S54:NO)、除湿機10を停止させたのち(ステップS55)、換気ファン4の駆動回転数を中程度の値(45Hz)に変更して(ステップS56)、ステップS35に戻る。
除湿機10が停止中であると判断したときは(S54:YES)、次いで、作業者の注意を喚起するために警報ブザー30を鳴動させてから(ステップS57)、換気ファン4及び送風ファン24も停止させ(ステップS58)、高湿モード制御の1サイクルを完了しリターンする。
以上の制御によると、換気ファン4の駆動にて温室1内に取り込まれる外気の湿度を有効利用することによって、コンテナ8内の籾を乾燥処理できる(適切な水分量に調節できる)から、従来の熱風式のものに比べて、無駄な燃料の消費を効果的に防止できる。このため、除湿乾燥システム全体ではランニングコストが抑制され、極めて経済的である。
本実施形態では、温室1内に取り込まれる外気の湿度が低い場合(低湿モード)において送風湿度Hが目標湿度hより高ければ、換気ファン4の駆動周波数が増加し、送風湿度Hが目標湿度hより低ければ、換気ファン4の駆動周波数が減少する。一方、外気の湿度が高い場合(高湿モード)において送風湿度Hが目標湿度hより高ければ、換気ファン4の駆動周波数が減少し、送風湿度Hが目標湿度hより低ければ、換気ファン4の駆動周波数が増加する。
このように、換気ファン4による外気の単位時間当りの導入量を、外気の湿度状況及び目標とする籾の水分量に応じて変更調節できるから、外気を利用した籾の除湿乾燥制御を効率よく適切に実行できるのである。
また、前述した通り、外気の湿度を利用して籾の除湿乾燥制御を実行するから、自然乾燥に極めて近い状態でコンテナ8内の籾を乾燥処理でき、過乾燥や胴割れ米等の発生を防止できる。このため、籾(米)の品質及び食味を良好な状態に維持できるのである。
しかも、低湿モードの実行中に送風湿度Hが目標湿度hより高く且つ換気ファン4の駆動周波数が最大駆動周波数に達した場合(ステップS18及びS22参照)や、高湿モードの実行中に送風湿度Hが目標湿度hより低く且つ換気ファン4の駆動周波数が最小駆動周波数に達した場合(ステップS41及びS44参照)に、除湿機10や加温機11を作動させるので、ランニングコストを抑制しつつも、乾燥性能を低下させることなく効率のよい籾の乾燥処理が行えるのである。
さらに、本実施形態では、温度センサ12の検出情報から得られた送風温度Tに基づいて、コントローラ7のROM27に予め記憶された関係式又は制御マップから適正な目標湿度hを取得できるから、乾燥処理したい穀物に関する関係式又は制御マップをROM27に予め記憶させておけば、種々の穀物についての除湿乾燥制御を効率よく円滑に実行できる。
なお、本実施形態は、除湿乾燥制御の実行中に、図10のフローチャートに示す高温防止制御を適宜時間間隔で割り込み実行する設定になっている。
この高温防止制御では、まず、ステップS12又はステップS35で読み込まれた送風温度Tが35℃より高いか否かを判別する(ステップS59)。送風温度Tが35℃以下であると判断したときは(S59:NO)、そのまま図7のステップS2に戻る。
送風温度Tが35℃より高いと判断したときは(S59:YES)、換気ファン4を最大駆動周波数(60Hz)で駆動させたのち(ステップS60)、作業者の注意を喚起するために警報ブザー30を鳴動させる(ステップS61)。この鳴動は、送風温度が30℃未満になって、図7のステップS2に戻るまで継続する設定になっている。
次いで、加温機11が駆動中か否かを判別する(ステップS62)。加温機11が停止中であると判断したときは(S62:NO)、後述するステップS64へ移行する。加温機11が駆動中であると判断したときは(S62:YES)、加温機11を停止させる(ステップS63)。
次いで、ステップS64において、再び温度センサ12の検出情報から得られた送風温度Tを読み込み、次いで、送風温度Tが30℃未満か否かを判別する(ステップS65)。送風温度Tが30℃以上であると判断したときは(S65:NO)、このまま待機するために再びステップS65に戻る。送風温度Tが30℃未満であると判断したときは(S65:YES)、高温停止制御を終了して図7のステップS2に戻るのである。
かかる制御により、籾(米)の品質及び食味をより良好な状態に維持でき、籾の乾燥処理に高い効果を発揮できるのである。
本願発明は、前述の実施形態に限らず、様々な態様に具体化できる。例えば作動手段の構成としては、付勢手段と規制手段との組合せに限らず、電動式、油圧式又はエア式等のアクチュエータとコンテナ8位置検出用のセンサとの組合せであっても構わない。
また、記憶手段としては、ROM27以外に、例えば記憶内容を書き換え得るEEPROM等の不揮発性メモリでもよい。その他、各部の構成は図示の実施形態に限定されるものではなく、本願発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能である。