JP4825427B2 - 振幅制限回路 - Google Patents
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Description
そのために正確な振幅制限がされても音質低下が少ない再生音が得られる振幅制限回路が望まれていた。
また特願2004−226172「図1」の回路では大きな振幅の信号を振幅制限するには回路の電源電圧も高い必要が有るが、負帰還によってバイアスをシフトする方法を加えれば、低い電源電圧で大きな比率の振幅制限を行うことが出来る。
「図1」を説明すれば、
1)振幅制限回路1は特願2000−172705と同等であり、入力信号が振幅制限される。
2)入力信号と振幅制限回路1の出力信号は減算器2で互いに減算され差分が減算器2から出力される。
3)減算器2の出力信号はハイカットフィルタ3で高い周波数成分がカットされる。特願2004−226172のハイカットフィルタとの違いはカットオフ周波数が高く且つ、低域からカットオフ周波数近くまで周波数特性が平坦なことである。
4)入力信号の一つはハイカットフィルタ3の出力信号と同位相になるように位相シフト回路4で位相がシフトされる。そして、そのシフトされた信号は減算器5に入力される。
5)ハイカットフィルタ3の出力と位相シフト回路4の出力は減算器5に入力され互いに減算され、減算器5の出力回路にはその差分信号が現れる。尚、ハイカットフィルタ3では通常位相回転が起こる。そのため位相シフト回路4で減算器5に入力される入力信号の位相もシフトさせている(位相シフト回路4には時定数回路等を利用できる)。
6)ハイカットフィルタの特性がフラットな範囲の周波数域では振幅制限回路1の出力信号と同じレベルの信号が減算器5の出力回路に出力される。しかし、ハイカットフィルタの特性が平坦でない周波数域(つまり高域周波数)では位相シフト回路4の出力信号も減算器5の出力回路に現れる。
5)この回路では振幅制限が行われてもハイカットフィルタ3の働きにより、再生音にはあまり歪みが感じられない。しかしこのハイカットが原因で、ハイカットフィルタの特性が平坦でない周波数帯域では振幅制限が行われない。ところが、高い周波数の音声信号振幅は通常小さいので高い周波数の振幅制限は行われなくても通常はあまり問題が起こらない。もし問題が起こる場合は特願2000−172705や従来型リミッターで除いても周波数が高いので音質にはあまり影響しない。
この回路のINPUTに「図2 B.」(a)の波形信号が入力されると、オペアンプOP1の出力端子には「図2 B.」(c)の様な波形信号が現れる。
なお、「図2 B.」(b)の波形は、ダイオードD1,D2が無い場合の回路において、入力回路INPUTに「図2 B.」(a)の波形が入力された場合に、オペアンプOP1の出力端子に現れる信号波形である。
(特願2000−172705や特願2004−226172の振幅制限回路で「図2 B.」(d)と同等の結果を得るには「図2 B.」(b)の振幅を扱える回路が必要である。)
「図2 B.」(c)の波形が出力される動作を説明すれば、次の通りである。なお、「図2 B.」の横軸は時間軸である。
(1) 「図2 B.」において、符号1,1′,1′′,1′′′と、符号2,2′,2′′,2′′′は、それぞれ振幅制限回路が動作し始める動作電圧を示し、1と2はその初期値である。そして、この初期値1と2間の電圧は、「図2 A.」の回路のダイオードD1,D2に電流が流れた場合の順方向電圧で決まる。
(2) オペアンプOP1の出力端子電位は、時刻t1〜t2まで「図2 B.」(b)と同様の変化をする。何故ならこの区間では、ダイオードD1とD2には電流が流れないので、オペアンプOP2の出力電位は動かないからである。
(3) 時刻t2〜t3まで「図2 B.」(c)の波形は「図2 B.」(a)と同様に変化する。理由はダイオードD1に電流が流れ、オペアンプOP2の出力電位がオペアンプOP1の出力電位と共に動くからである。この時波形抑圧回路が動作し始める電位は、オペアンプOP1の出力電位によって符号1′,2′の電位にシフトする。
(4) 次の時刻t3〜t4までオペアンプOP2の出力電位は動かないので、オペアンプOP1の出力電位は「図2 B.」(b)と同様に変化する。
(5) 時刻t4〜t5までオペアンプOP2の出力電位はオペアンプOP1の出力電位と共に動くので、オペアンプOP1の出力電位は「図2 B.」(a)と同様に変化する。この時波形制限回路が動作し始める電位は符号1′′,2′′へシフトする。
(6) 同様にして時刻t5〜t6までオペアンプOP1の出力電圧は「図2 B.」(b)と共に変化する。
(7) 更に時刻t6〜t7までオペアンプOP1の出力電圧は「図2 B.」(a)と共に変化する。この時波形制限回路が動作し始める電位は、符号1′′′,2′′′の電圧へシフトする。
(8) 時刻t7以降も前記と同様に動作して「図2 B.」(c)の波形信号がオペアンプOP1の出力に現れる。
(9) オペアンプOP1、コンデンサC3、ダイオードD3,D4及び抵抗R5によって構成される回路は、特願2000−172705や特願2004−226172に使用されている回路と同等であり、「図2 B.」(c)の波形信号は「図2 B.」(d)の様な波形に整形される。
(10) つまり特願2000−172705や特願2004−226172使用されている回路で「図2 B.」(d)の信号を得るには、「図2B.」(b)の信号以上のダイナミックレンジを扱うことが出来る回路が必要だが、「図2 A.」の回路なら「図2 B.」(c)の波形以上のダイナミックレンジが扱えればよい。
小型機器のオーディオパワーアンプ等で、出来るだけ大きな音量を出すためにはパワーアンプが飽和して歪みが多くなる直前の波高値で本発明の波形制限回路が動作するのが望ましい。そのためには電源電圧の変動に連動して振幅制限値が変化される必要がある。図3はその回路(一部ブロック図)例である。
図3の回路において電源電圧が高い方向に変化した場合、R8の両端電圧が高くなってOP3の出力電圧は低下する。その結果Q1にエミッタ電流が流れ始めるエミッタ電位は低下する。また、R12の両端電圧も高くなるのでQ2にエミッタ電流が流れ始めるエミッタ電位は高くなる。従ってこの回路の振幅制限値は大きくなる。電源電圧が低くなる場合は前記と反対の動作で制限振幅値も小さくなる。
尚、OP3とOP4の電圧ゲイン及び振幅制限値をどの位にすべきかは、後段に設けられるパワーアンプの電圧ゲインや最大振幅との関係で決定されるべきである。
尚、人間の耳が多くの音の中から目的の音を聞き分ける機能(カクテルパーティー効果)はこのような仕組みによるのではないかと発明者は考えている、それが全てではないにしても。
「図5」の(A)はパワーアンプ、(B)は補聴器又は助聴器、(C)は電話機、(D)は拡声機、(E)はテープレコーダー、(F)は望遠マイク、(G)は音声認識装置にそれぞれ本発明が使用された例のブロックダイヤグラムである。これらの機器に本発明の振幅制限回路が使用された場合の利点は特願2004−226172と同様であるが特願2004−226172の場合よりも歪み感の少ない、或いは音量感の大きい音が得られる。尚これらのブロックダイヤグラムの中の「振幅制限回路19」が本発明の振幅制限回路に相当する。
3はハイカットフィルタ 4は位相シフト回路
5は減算器 6は位相シフト回路
7は減算器 8はハイカットフィルタ
9は減算器 10は防音保護具本体
11はスピーカ 12は回路ブロック
13はマイクロホン 14はマイクアンプ
15は本発明の振幅制限回路 16はパワーアンプ
17はプリアンプ 18はアッテネータ
19は本発明の振幅制限回路 20はパワーアンプ
21はマイクロホン 22はマイクアンプ
23はイヤホン 24はスピーチネットワーク回路
25はハンズフリー回路 26はダイヤル回路
27は送受話器 28はスピーカ
29は録音/再生ヘッド 30は録音アンプ
31は再生アンプ 32は鋭指向性マイク
33は分析回路
R1〜R14は抵抗 C1〜C4はコンデンサ
D1〜D4はダイオード OP1〜OP4はオペアンプ
Q1、Q2はトランジスタ IN PUTは入力回路
OUT PUTは出力回路 GNDは接地回路
+Vccはプラス電源回路 −Vccはマイナス電源回路
Claims (3)
- 信号波形の起点となる電位のバイアスが変化される或いは別の信号が減算又は加算されることによって、入力信号の振幅抑圧が行われる振幅制限回路を有する音声信号振幅抑圧回路において、
減算器とその減算器に入力される信号の位相をシフトする手段を備え、
前記位相をシフトする手段が、入力信号と前記振幅制限回路からの出力の差分を出力する第1の減算器からの出力信号中の高い周波数成分をカットするハイカットフィルタからの出力信号と、前記入力信号とを入力し、その入力信号の位相を前記ハイカットフィルタからの出力信号と同位相になるようにシフトするものであり、
前記減算器が、ハイカットフィルタの出力と、位相シフト回路の出力を減算し、その差分を出力することを特徴とする音声信号振幅抑圧回路。 - 前記振幅制限回路が、
アンプ出力の振幅が一定レベルを越えると、その越えた信号によってアンプ入力側の信号波形の起点となる電位のバイアスがシフトされることで、出力信号の振幅が抑圧され、
振幅が基準レベルを越えようとすると前記バイアスが変化して振幅が基準レベルを越えることがないことを特徴とする請求項1に記載の音声信号振幅抑圧回路。 - 前記振幅制限回路が、
既定レベルを越える振幅信号が入力されると、既定レベル以下の振幅部分はほぼそのままで、既定レベルを越える振幅部分において、低い周波数信号の方が高い周波数信号よりも強く振幅抑圧が行われることを特徴とする請求項1に記載の音声信号振幅抑圧回路。
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