JP4824184B2

JP4824184B2 - 皮膚洗浄料

Info

Publication number: JP4824184B2
Application number: JP2001061622A
Authority: JP
Inventors: 久恵和田
Original assignee: Nippon Shikizai Inc
Current assignee: Nippon Shikizai Inc
Priority date: 2001-03-06
Filing date: 2001-03-06
Publication date: 2011-11-30
Anticipated expiration: 2021-03-06
Also published as: JP2002265351A

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、皮膚洗浄料に関する。さらに詳しくは、使用に際して優れた操作性と感触を有した、マッサージ効果のある、安定性が良好な皮膚洗浄料に関する。
【０００２】
【従来の技術】
洗顔料などの皮膚用洗浄料は、界面活性剤を比較的多く配合した界面活性剤型が主流を占めている。界面活性剤型の代表的なものはクレンジングフォームであり、外観は柔らかいクリーム状であり、これを手掌に少量取り水を加え泡立ててから使用するものである。
【０００３】
従来、界面活性剤型の皮膚用洗浄料としては、高級脂肪酸石鹸を主成分とするクリーム状の皮膚洗浄料であり、通常、高級脂肪酸カリウム塩等の脂肪酸石鹸を主成分とし、過脂肪剤等によりその保存安定性や高温安定性を確保することが行われている。
【０００４】
最近、起泡力に優れ、洗い流し後の肌にきしみ感やつっぱり感を与えず良好な感触を付与するクリーム状皮膚洗浄料の開発として、ラウリン酸、ミリスチン酸およびパルミチン酸を含み、炭素数１８以上の脂肪酸を実質的に含まない高級脂肪酸１５〜４５重量％と、全高級脂肪酸の完全中和量の７５〜９０重量％に相当する水酸化カリウムとを含有し、かつ、パルミチン酸の配合量が全組成中３〜２０重量％であることを特徴とするクリーム状皮膚洗浄料が開示されている（特開平１０−１８２４１９号公報）。しかしながら、使用に当たってはクリーム状皮膚洗浄料を水で希釈した上使用するもので、使用性の面では従来のクリーム感覚を持ったものであった。
【０００５】
また、市場には簡便に使用できる、使用感覚の異なるシャーベット状の商品もいくつか出現している。しかしながら、これらのシャーベット状の皮膚洗浄料はいずれも使用性や製品安定性が充分とは言えない。
【０００６】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、使用操作性、使用感触に優れ、マッサージ効果を有する安定な皮膚洗浄料を提供することにある。
【０００７】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、高級脂肪酸石鹸、高級脂肪酸及び水を主成分とし、これらの成分の種類及び含有比を特定なものとすることにより上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。
【０００８】
すなわち、本発明は、高級脂肪酸及びそのアルカリ金属塩からなる高級脂肪酸類と水とを含有し、かつ下記の（Ａ）〜（Ｄ）からなることを特徴とする皮膚洗浄料。
（Ａ）高級脂肪酸類を構成する高級脂肪酸はステアリン酸及びそのアルカリ金属塩（以下、ステアリン酸類という。）を主として含む。
（Ｂ）高級脂肪酸類の含有量は皮膚洗浄料全量中５〜３０重量％。
（Ｃ）高級脂肪酸のアルカリ金属塩の含有量は高級脂肪酸類中３５〜７０重量％。
（Ｄ）高級脂肪酸のアルカリ金属塩は高級脂肪酸カリウム塩と高級脂肪酸ナトリウム塩の混合物である。
【０００９】
高級脂肪酸類中のステアリン酸類の含有量は、８０重量％以上であることが好適である。
【００１０】
高級脂肪酸のアルカリ金属塩総量中、カリウム塩の含有率は５〜３０重量％で、ナトリウム塩の含有率は７０〜９５重量％であることが好ましい。
【００１１】
本発明の皮膚洗浄料は、クリーム状とは異なりシャーベット状を呈している。
【００１２】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について詳述する。
【００１３】
本発明においては、高級脂肪酸及びそのアルカリ金属塩からなる高級脂肪酸類が含有される。高級脂肪酸類は、ステアリン酸類を主として含み、その含有量は高級脂肪酸類中８０重量％以上であることが好適である。その他の高級脂肪酸類を構成する高級脂肪酸としては、パルミチン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、オレイン酸、イソステアリン酸等が挙げられる。
【００１４】
本発明において用いられる高級脂肪酸類の含有量は、皮膚洗浄料全量中５〜３０重量％である。好ましくは、７〜２０重量％である。高級脂肪酸類の含有量が、５重量％未満では皮膚洗浄料が軟らか過ぎ、また、３０重量％を超えて含有すると固くなり過ぎ、いずれも使用操作性が悪くなる。
【００１５】
本発明において、前記高級脂肪酸のアルカリ金属塩の含有量は、高級脂肪酸類中３５〜７０重量％であり、より好ましくは４０〜６５重量％である。含有量が、３５重量％未満あるいは７０重量％を超えると、シャーベット状の皮膚洗浄料が得られず、本発明の独特の清涼感（冷たい感触）といった使用感触、マッサージ効果等も得られない。
【００１６】
高級脂肪酸のアルカリ金属塩は、塩として配合してもよいが、高級脂肪酸と、水酸化カリウム及び水酸化ナトリウムとを皮膚洗浄料製造工程中に反応させてもよく、その方が効率的である。
【００１７】
本発明における高級脂肪酸のアルカリ金属塩の対イオンはカリウム塩及びナトリウム塩である。高級脂肪酸カリウム塩及び高級脂肪酸ナトリウム塩の含有比率は、カリウム塩が総高級脂肪酸のアルカリ金属塩中５〜３０重量％で、ナトリウム塩が７０〜９５重量％であることことが好ましい。さらに好ましくは、カリウム塩が１０〜２５重量％で、ナトリウム塩が７５〜９０重量％である。カリウム塩の含有率が５重量％未満（ナトリウム塩の含有率が９５重量％を超える）では、固すぎる。また、カリウム塩の含有率が３０重量％を超えると（カリウム塩の含有率が７０重量％未満）、逆に軟らか過ぎるので好ましくない。
【００１８】
本発明における水の含有量は、皮膚洗浄料全量中５０〜９５重量％であることが好ましい。さらに好ましくは、皮膚洗浄料全量中６０〜９０重量％である。
【００１９】
本発明の皮膚洗浄料には、上記した必須成分の他に、通常皮膚洗浄料に用いられる他の成分、例えば、本発明の必須成分以外の界面活性剤、保湿剤、エモリエント剤、スクラブ剤等を必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で適宜配合することができる。
【００２０】
上記必須成分以外の界面活性剤の具体的な例としては、例えば、ソルビタンモノオレエ−ト、ソルビタンモノイソステアレ−ト、ソルビタンモノラウレ−ト、ソルビタンモノパルミテ−ト、ソルビタンモノステアレ−ト、ソルビタンセスキオレエ−ト、ソルビタントリオレエ−ト等のソルビタン脂肪酸エステル類、セスキオレイン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリン、ジステアリン酸ポリグリセリン等のグリセリンポリグリセリン脂肪酸エステル類、モノステアリン酸プロピレングリコ−ル等のプロピレングリコ−ル脂肪酸エステル類、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエ−テル、ＰＯＥソルビタンモノオレエ−ト、ＰＯＥソルビタンモノステアレ−ト等のＰＯＥソルビタン脂肪酸エステル類、ＰＯＥソルビットモノラウレ−ト、ＰＯＥソルビットモノオレエ−ト、ＰＯＥソルビットペンタオレエ−ト、ＰＯＥソルビットモノステアレ−ト等のＰＯＥソルビット脂肪酸エステル類、ＰＯＥグリセリンモノステアレ−ト、ＰＯＥグリセリンモノイソステアレ−ト、ＰＯＥグリセリントリイソステアレ−ト等のＰＯＥグリセリン脂肪酸エステル類、
【００２１】
ＰＯＥモノオレエ−ト、ＰＯＥモノステアレ−ト、ＰＯＥジステアレ−ト、ＰＯＥモノジオレエ−ト、ジステアリン酸エチレングリコ−ル等のＰＯＥ脂肪酸エステル類、ＰＯＥラウリルエ−テル、ＰＯＥオレイルエ−テル、ＰＯＥステアリルエ−テル、ＰＯＥベヘニルエ−テル、ＰＯＥ２−オクチルドデシルエ−テル、ＰＯＥコレスタノ−ルエ−テル等のＰＯＥアルキルエ−テル類、プルロニック（ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレングリコ−ル）等のプルロニック類、ＰＯＥ・ＰＯＰセチルエ−テル、ＰＯＥ・ＰＯＰ２−デシルテトラデシルエ−テル、ＰＯＥ・ＰＯＰモノブチルエ−テル、ＰＯＥ・ＰＯＰ水添ラノリン、ＰＯＥ・ＰＯＰグリセリルエ−テル等のＰＯＥ・ＰＯＰアルキルエ−テル類、テトロニック類、ＰＯＥヒマシ油、ＰＯＥ硬化ヒマシ油、ＰＯＥ硬化ヒマシ油モノイソステアレ−ト、ＰＯＥ硬化ヒマシ油トリイソステアレ−ト等のＰＯＥヒマシ油硬化ヒマシ油誘導体、ヤシ油脂肪酸ジエタノ−ルアミド、ラウリン酸モノエタノ−ルアミド、脂肪酸イソプロパノ−ルアミド等のアルカノ−ルアミド、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグルコシド等が挙げられる。これらの界面活性剤は、１種または２種以上が任意に選択されて配合することができる。
【００２２】
保湿剤の具体的な例としては、例えば、ポリエチレングリコール，グリセリン、１，３−ブチレングリコール，イソプレングリコール、エリスリトール，ソルビトール，キシリトール，マルチトール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジグリセリン、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、乳酸、乳酸ナトリウム等が挙げられる。これらの保湿剤は、１種または２種以上が任意に選択されて配合することができる。
【００２３】
エモリエント剤の具体的な例としては、例えば、ラウリルアルコ−ル、セチルアルコ−ル、ステアリルアルコ−ル、ベヘニルアルコ−ル、ミリスチルアルコ−ル、セトステアリルアルコ−ル等の高級アルコ−ル、アボガド油、トウモロコシ油、オリーブ油、ナタネ油、月見草油、ヒマシ油、ヒマワリ油、茶実油、コメヌカ油、ホホバ油、カカオ油、ヤシ油、スクワラン、牛脂、モクロウ、ミツロウ、キャンデリラロウ、カルナバロウ、鯨ロウ、ラノリン、シリコン油（ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン等）、流動パラフィン、セレシン、ワセリン等の油分等が挙げられる。これらのエモリエント剤は、１種または２種以上が任意に選択されて配合することができる。
【００２４】
スクラブ剤の具体的な例としては、例えば、二酸化チタン、マイカ、タルク、カオリン、シリカ等の粉末成分等が挙げられる。これらのスクラブ剤は、１種または２種以上が任意に選択されて配合することができる。
【００２５】
その他、さらに粘度調整剤、金属イオン封鎖剤、防腐剤、薬剤、香料、色素等が必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で適宜配合することができる。
【００２６】
本発明の皮膚洗浄料を製造するに当たっては、高級脂肪酸、高級脂肪酸のアルカリ金属塩、水及びその他任意配合成分を添加混合して製造しても構わないが、高級脂肪酸とアルカリ剤を混合して製造中に中和反応を行わせ高級脂肪酸のアルカリ金属塩を調製するのが一般的であり、効率的である。
【００２７】
本発明の皮膚洗浄料は、洗顔料、石鹸等として使用される。また、剤型は、シャーベット状である。使用方法は、特に限定されるものではないが、例えば、洗浄料を手にとって顔等に付け、マッサージしながら充分肌に擦りつけた後、水で洗い落とす方法が取られる。また、パック化粧料のように顔等に付着させた後、マッサージしながら水で洗い落とす方法を用いることもできる。
【００２８】
本発明において好ましい態様は、高級脂肪酸類と水とを含有し、かつ下記の（Ａ）〜（Ｄ）からなることを特徴とする皮膚洗浄料である。
（Ａ）ステアリン酸類を、高級脂肪酸類中８０重量％以上含む。
（Ｂ）高級脂肪酸類の含有量は皮膚洗浄料全量中５〜３０重量％。
（Ｃ）高級脂肪酸のアルカリ金属塩の含有量は高級脂肪酸類中３５〜７０重量％。
（Ｄ）高級脂肪酸のアルカリ金属塩は、５〜３０重量％の高級脂肪酸カリウム塩と７０〜９５重量％の高級脂肪酸ナトリウム塩の混合物である。
【００２９】
またさらに好ましい態様は、高級脂肪酸類と水とを含有し、かつ下記の（Ａ）〜（Ｄ）からなることを特徴とする皮膚洗浄料である。
（Ａ）ステアリン酸類を、高級脂肪酸類中９０重量％以上含む。
（Ｂ）高級脂肪酸類の含有量は皮膚洗浄料全量中７〜２０重量％。
（Ｃ）高級脂肪酸のアルカリ金属塩の含有量は高級脂肪酸類中４０〜６５重量％。
（Ｄ）高級脂肪酸のアルカリ金属塩は、１０〜２５重量％の高級脂肪酸カリウム塩と７５〜９０重量％の高級脂肪酸ナトリウム塩の混合物である。これらの組み合わせによれば特に優れた効果が得られる。
【００３０】
【実施例】
以下実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。配合量は重量％である。また、その他に％とあるのは特に断らない限り全て重量％である。実施例の説明に先立ち本発明で用いた効果試験方法について説明する。
【００３１】
（１）官能試験方法
使用性（使用時の操作性）、使用感触（肌への当たり、清涼感）、マッサージ効果の評価項目それぞれについて、１０名の専門パネルの使用テストにより下記の評価点基準に基づいて各人に点数をつけてもらった。次いで、各人がつけた点数を合計し、下記評価基準に基づき評価した。
【００３２】
（評価点基準）
５点：非常に優れている。
４点：優れている。
３点：普通。
２点：劣る。
１点：非常に劣る。
（評価基準）
◎：合計点が４０点以上である。
○：合計点が３０点以上４０点未満である。
△：合計点が２０点以上３０点未満である。
×：合計点が２０点未満である。
【００３３】
（２）安定性試験方法
試料を−５℃及び４０℃に５日間保存し、保存後の分離状態等を肉眼等で判定した。
（評価基準）
◎：−５℃及び４０℃いずれの保存でも全く変化がない。
○：−５℃及び４０℃いずれの保存でもほとんど変化がない。
×：−５℃又は４０℃の保存のいずれかになんらかの変化が見られた。
【００３４】
（実施例１〜８、比較例１〜７）
表１〜２に示す処方の皮膚洗浄料を以下のようにして製造した。Ａ；成分１〜５を混合し、８０℃で加熱・溶解する。Ｂ；Ａに成分６〜８を静かに加える。Ｃ；撹拌冷却しながら、５０℃で成分９を加え、３５℃まで冷却する。さらに、得られた皮膚洗浄料の評価試験を行い、結果を同じ表１〜２に示した。
【００３５】
【表１】

【００３６】
表１から分かるように、各成分が適正量配合された実施例１〜８は、使用性（操作性）、使用感触（肌への当たり）、使用感触（清涼感）、マッサージ効果、安定性それぞれいずれも優れた効果が得られた。
【００３７】
【表２】

【００３８】
表２から分かるように、高級脂肪酸類の量が適正量でない比較例１、２は、それぞれ使用性（操作性）、使用感触（肌への当たり）、使用感触（清涼感）、マッサージ効果、安定性に劣ったり（比較例１）、使用性（操作性）、使用感触（肌への当たり）、使用感触（清涼感）、マッサージ効果に劣ったり（比較例２）することが分かる。なお、比較例２の安定性評価をしたときの観察では、洗浄料がポロポロの状態であった。また、高級脂肪酸塩の量が適正量でない比較例３、４は、それぞれ使用性（操作性）、使用感触（肌への当たり）、マッサージ効果に劣ったり（比較例３）、使用性（操作性）、使用感触（肌への当たり）、マッサージ効果に劣ったり（比較例４）することが分かる。
【００３９】
（実施例９〜１０、比較例５〜７）
表３処方の皮膚洗浄料を表１の方法に準じて製造した。さらに、得られた皮膚洗浄料の評価試験を行い、結果を同じ表３に示した。
【００４０】
【表３】

【００４１】
表３から分かるように、高級脂肪酸類として、高級脂肪酸類全量の２０重量％をステアリン酸に替えてパルミチン酸、ミリスチン酸に置き換えた実施例９、１０は使用性（操作性）、使用感触（肌への当たり）、使用感触（清涼感）、マッサージ効果、安定性いずれも優れた効果が得られた。
【００４２】
これらに対して、脂肪酸としてラウリン酸を用いた比較例５は、使用性（操作性）、使用感触（肌への当たり）、使用感触（清涼感）、マッサージ効果、安定性全てに劣ることが分かる。また、高級脂肪酸類全量の３０重量％をステアリン酸に替えてパルミチン酸、ミリスチン酸に置き換えた比較例６、７は、それぞれ使用性（操作性）、使用感触（肌への当たり）、マッサージ効果、安定性に劣ったり（比較例６）、使用性（操作性）、使用感触（肌への当たり）、使用感触（清涼感）、マッサージ効果、安定性に劣ったり（比較例７）することが分かる。
【００４３】
以下、さらに本発明皮膚洗浄料の処方を実施例として示す。製造は表１の場合の方法に準じて行った。なお、前記の評価能試験をこれらの皮膚洗浄料において行ったところ、いずれも優れたものであった。
【００４４】

【００４５】

【００４６】

【００４７】

【００４８】

【００４９】
【発明の効果】
以上、詳述したように本発明によれば、使用に際して適度な固さをもって優れた操作性を有し、当たりのよい感触、ひんやりした感触（清涼感）を有した、マッサージ効果のある、安定性が良好な皮膚洗浄料が得られる。

Claims

高級脂肪酸及びそのアルカリ金属塩からなる高級脂肪酸類と水とを含有し、かつ下記の（Ａ）〜（Ｄ）からなることを特徴とするシャーベット状皮膚洗浄料。
（Ａ）高級脂肪酸類はステアリン酸及びそのアルカリ金属塩を高級脂肪酸類中８０重量％以上含む。
（Ｂ）高級脂肪酸類の含有量は皮膚洗浄料全量中５〜３０重量％。
（Ｃ）高級脂肪酸のアルカリ金属塩の含有量は高級脂肪酸類中３５〜７０重量％。
（Ｄ）高級脂肪酸のアルカリ金属塩は高級脂肪酸カリウム塩と高級脂肪酸ナトリウム塩の混合物であり、高級脂肪酸のアルカリ金属塩総量中、カリウム塩の含有率が５〜３０重量％で、ナトリウム塩の含有率が７０〜９５重量％。