以下、この発明を実施するための最良の形態(以下では、単に「実施の形態」と称する)である被検体内導入装置について説明する。なお、図面は模式的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、それぞれの部分の厚みの比率などは現実のものとは異なることに留意すべきであり、図面の相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
(実施の形態1)
まず、実施の形態1にかかる被検体内導入装置について説明する。図1は、本実施の形態1にかかる被検体内導入装置について、各ユニットに分離した状態における構成を示す模式図である。図1に示すように、本実施の形態1にかかる被検体内導入装置は、被検体に対する入力・出力の少なくとも一方の対象となる流体を貯蔵する貯蔵室1を備えた貯蔵ユニット2と、貯蔵室1に貯蔵される流体の入出力を制御する制御機構3を備え、貯蔵ユニット2に対して着脱自在に形成された制御ユニット4とを備える。
貯蔵ユニット2は、制御ユニット4が装着される部分が開口した筐体5と、筐体5に内蔵された各構成要素によって構成される。筐体5に内蔵される構成要素として、貯蔵ユニット2は、入力・出力の少なくとも一方の対象となる流体を貯蔵する貯蔵室1と、貯蔵室1と被検体内導入装置の外部の空間(以下、単に「外部空間」と称する)とを連通するための連通管路が形成された連通管路形成部6と、制御機構3の制御に基づき連通管路を介した貯蔵室1と外部空間との間の連通状態を調整するシート部材7と、シート部材7を保持するためのシート保持基板8と、シート保持基板8に対してシート部材7を固定するための固定部材9とを備える。
貯蔵室1は、本実施の形態1の例では、被検体に対して放出する薬剤等の流体をあらかじめ内部に保持するためのものである。貯蔵室1は、具体的には外壁部分(貯蔵する領域の外周を規定する部分のことを言う)がゴム等の弾性材料によって形成されたバルーン部材10によって構成され、バルーン部材10の内部空間に流体を貯蔵する機能を有する。本実施の形態1においては貯蔵室1を形成するバルーン部材10の収縮作用によって貯蔵された流体が外部空間に対して押し出されることによって放出動作が行われる。
連通管路形成部6は、本実施の形態1にかかる被検体内導入装置の長手方向中心軸に沿って配置された棒状の部材によって形成されており、かかる棒状部材の延伸方向に沿って第1連通管路11および第2連通管路12が形成された構成を有する。具体的には、第1連通管路11は、一端が貯蔵室1の内部空間に対して開口すると共に、他端がシート保持基板8に形成された凹部領域13(後述)に対して開口するよう形成される。また、第2連通管路12は、一端がシート保持基板8に形成された凹部領域に対して開口すると共に、他端が外部空間に対して開口するよう形成される。
シート保持基板8は、シート部材7を保持するためのものである。具体的には、シート保持基板8は、筐体5の開口部(すなわち、制御ユニット4と接続する部分)の近傍において、筐体5の内部空間を覆うよう配置され、実施の形態1にかかる被検体内導入装置の長手方向中心軸近傍に凹部領域13が形成された構造を有する。凹部領域13は、上述したように第1連通管路11および第2連通管路12の端部が開口する領域であって、制御機構3の制御に基づき凹部領域13における第1連通管路11および第2連通管路12の端部間が連通することによって貯蔵室1に貯蔵された流体が外部空間に放出されることになる。また、シート保持基板8には、凹部領域13の他に、本実施の形態1にかかる被検体内導入装置の長手方向に貫通するよう通気口14、15が形成される。通気口14、15は、バルーン部材10の外表面と、筐体5の内表面およびシート保持基板8の裏面(シート部材7が配置される面と対向する面)とによって規定された空隙領域16を、他の領域と連通させるためのものであり、通気口14、15を設けたことによる利点については後に詳細に説明する。
シート部材7は、制御機構3の制御に基づき、凹部領域13に対して開口した第1連通管路11の端部と第2連通管路12の端部との間の連通状態を調整するためのものである。具体的には、シート部材7は、凹部領域13を覆うように配置され、柔軟かつ水密な膜状部材によって構成される。シート部材7は、貯蔵室1に貯蔵された流体の放出動作を行わないよう制御機構3によって制御されている間は第2連通管路12の端部と密着した状態となる一方で、流体の放出動作を行う際には、制御機構3の制御により第2連通管路12の端部から離隔するよう形成される。制御機構3の制御に応じてシート部材7が第2連通管路12の端部と離接することによって、第2連通管路12と第1連通管路11との間の連通状態が制御され、外部空間に対する流体の放出動作が制御されることとなる。なお、流体の放出動作を行わない際におけるシート部材7の機能(すなわち、第2連通管路の端部に対して密着した状態を維持する機能)を補助するために、凹部領域13に対して開口した第2連通管路12の端部近傍にはオーリング17が配置される。
なお、図1に示すように貯蔵ユニット2と制御ユニット4とが分離した状態においては、シート部材7に対して上述した押圧力が印加されないことから、そのままではシート部材7が第2連通管路12の端部から離隔することとなる。このため、貯蔵ユニット2と制御ユニット4とが分離した状態において貯蔵室1に貯蔵された流体が外部空間に漏出することを防止する機構を別途備える必要があり、かかる観点から、本実施の形態1では、第2連通管路12の外部空間に対する開口部において、第2連通管路12と外部空間とが連通することを防止し、流体が漏出することを防止するための漏出防止栓19が挿入された構成を採用する。
固定部材9は、シート部材7をシート保持基板8に対して固定するためのものである。具体的には、固定部材9は、シート部材7の外周部分をシート保持基板8に対して水密固定する機能を有する。かかる機能を有する固定部材9を配置することによって、シート部材7によって覆われた凹部領域13が第2連通管路12以外の空間領域と連通することを防止し、流体放出の際に第1連通管路11を経由した流体が第2連通管路12以外の空間領域に漏出することを防止する。
次に、制御ユニット4について説明する。制御ユニット4は、貯蔵ユニット2に備わる貯蔵室1に貯蔵された流体の放出動作を制御するためのものである。具体的には、制御ユニット4は、上述の制御機構3と、制御機構3を内部に保持すると共に貯蔵ユニット2と装着する部分が開口した筐体20とを備えた構成を有する。
制御機構3は、貯蔵室1に貯蔵された流体の放出動作を制御するためのものであって、本実施の形態1においては、凹部領域13に対して開口した、第2連通管路12の端部に対するシート部材7の接触状態を制御するためのものである。具体的には、制御機構3は、シート部材7に対して第2連通管路12に近接する方向に押圧力を印加する押圧部材21と、シート部材7に対する押圧部材21の位置を調整するための形状記憶部材22と、押圧部材21がシート部材7に対して印加する押圧力を生成するバネ部材23と、形状記憶部材22およびバネ部材23を保持するバネ基板24とを備える。また、制御機構3は、押圧部材21がシート部材7に対して印加する押圧力を制御する制御回路25と、制御回路25の駆動電力を供給する電源部26とを備える。
押圧部材21は、シート部材7に対して押圧力を印加することによって、シート部材7と第2連通管路12の端部との間の密着状態を調整する機能を有する。具体的には、押圧部材21は、貯蔵ユニット2に対して制御ユニット4を装着した状態における被検体内導入装置の長手方向中心軸近傍、すなわちシート保持基板8に形成される凹部領域13に対応した位置に凸部領域が形成された構造を有し、かかる凸部領域がシート部材7に当接することによってシート部材7に対して押圧力を印加する機能を有する。
形状記憶部材22は、シート部材7に対する押圧部材21の位置を変化させるものである。具体的には、形状記憶部材22は、一端がバネ基板24に対して固定され、他端が押圧部材21に対して固定された棒状の構造を有し、所定の形状記憶特性を有すると共に所定の電気抵抗値を有する形状記憶合金によって形成されている。より具体的には、形状記憶部材22は、例えば被検体内部の温度と同等の温度条件では押圧部材21がシート部材7と当接するに充分な長さを有する。その一方で、形状記憶部材22は、所定の温度、例えば被検体内部の温度よりも充分高い温度条件の下ではその形状が変化し、シート部材7に対して押圧部材21が離隔するよう作用する機能を有する。
バネ部材23は、押圧部材21がシート部材7に対して印加する押圧力を生成するためのものである。具体的には、バネ部材23は、一端がバネ基板24に対して固定されると共に他端が押圧部材21に対して固定され、かつバネ長が自然長よりも短い状態に維持されており、押圧部材21に対してシート部材7が位置する方向(図1における左方向)に弾発力を付勢する機能を有する。
バネ基板24は、バネ部材23および形状記憶部材22を保持するためのものである。また、バネ基板24には、所定の通気口27が形成され、通気口27によって、バネ基板24の両面が面する空間領域が互いに連通した状態を維持する。すなわち、図1にも示すように、バネ基板24に対して貯蔵ユニット2側(図1における左方向)にはバネ部材23等が配置され、反対側(図1における右方向)には制御回路25等が配置されるが、通気口27は、バネ部材23等が配置された空間領域と、制御回路25が配置された空間領域とを連通させる機能を有する。
制御回路25は、貯蔵室1に貯蔵された流体の放出動作を開始するタイミングを規定する電気信号を出力する機能を有する。本実施の形態1においては、制御回路25は形状記憶部材22に対して、電気信号として所定値の電流を出力することによって開始タイミングを規定する構成を有する。すなわち、形状記憶部材22は、温度に応じて形状が変化する特性を有するため、本実施の形態1では、所定のタイミングで制御回路25から形状記憶部材22に対して電流を供給してジュール熱を生じさせることによって、形状記憶部材22の温度を変化させ、結果として流体の放出動作を行うこととしている。なお、制御回路25の電流供給タイミングを規定する構成としては、例えば、タイマー機構を内蔵し、所定時間だけ経過した時点で電流供給を開始する構成や、無線信号を受信するアンテナおよび受信回路等の機構を内蔵し、外部から制御信号を含む無線信号を送信する構成を採用すること等が可能である。さらに、回路内にリードスイッチ等の磁気スイッチを設け、外部から印加された磁場に基づき回路の電源がオンし、形状記憶部材22に電流を供給することとしても良い。
電源部26は、制御回路25に対して駆動電力を供給するためのものである。具体的には、電源部26は、一次電池によって構成される場合の他、後述するように本実施の形態1では制御ユニット4を再利用することが可能であるため、充電可能な2次電池等を用いることとしても良い。
次に、貯蔵ユニット2を構成する筐体5と、制御ユニット4を構成する筐体20との関係について説明する。筐体5と筐体20とは、長手方向中心軸を中心としてほぼ等しい外径を有すると共に、例えばねじ込み方式またはビス止め方式等の機械的な態様で一方が他方に対して装着可能な構造を有する。具体的には、例えば、筐体5において、開口部近傍の外周面上に雄ネジを形成する一方で、筐体20において、開口部近傍の内周面上に雄ネジに対応した雌ネジを形成し、装着時には雄ネジと雌ネジによるネジ結合が可能な構成とすることによって、貯蔵ユニット2に対して制御ユニット4が着脱可能となる。
具体的には、本実施の形態1にかかる被検体内導入装置の組み立ては次の通りに行われる。すなわち、図1に示した状態の貯蔵ユニット2に対して制御ユニット4を上述したネジ結合等によって装着する。その後、貯蔵ユニット2に形成された第2連通管路12の外部空間に対する開口部に挿入された漏出防止栓19を取り外し、第2連通管路12と外部空間とを連通した状態に変化させることによって、被検体内導入装置の組み立てが完了する。
図2は、貯蔵ユニット2に対して制御ユニット4を装着した状態を示す模式図である。図2に示すように、貯蔵ユニット2を構成する筐体5と、制御ユニット4を構成する筐体20とが機械的な態様で結合することによって、本実施の形態1にかかる被検体内導入装置は、貯蔵ユニット2と制御ユニット4とが一体化する。なお、筐体5と筐体20との間には水密ゴム部材18が配置されているため、筐体5と筐体20との接合部分を介して内部に流体が侵入することが防止される。また、図2に示すように、貯蔵ユニット2に対して制御ユニット4が装着されることによって、シート部材7に対して押圧部材21が当接し、押圧部材21によって所定の押圧力が印加されることとなる。このため、上述したようにシート部材7は、制御機構3によって放出動作を行うよう制御が行われない限りにおいて第2連通管路12の一端に対して密着した状態を維持することとなり漏出防止栓19を第2連通管路12の他端から外すことが可能である。
次に、本実施の形態1にかかる被検体内導入装置の動作について説明する。本実施の形態1にかかる被検体内導入装置は、被検体に導入する前および被検体から排出された後においては図1に示すように貯蔵ユニット2と制御ユニット4とに分離した状態で保管される一方で、被検体に導入して使用する際には、図2に示すように貯蔵ユニット2に対して制御ユニット4を装着した状態で使用されることとなる。
図3は、本実施の形態1にかかる被検体内導入装置による流体放出動作の内容について説明するための模式図である。以下、図3を適宜参照しつつ被検体内導入装置のかかる動作について説明を行う。
まず、制御機構3に備わる制御回路25が、形状記憶部材22に対して電流を供給し、形状記憶部材22は、所定の電気抵抗値を有する導電性部材であるために供給された電流に基づき内部にジュール熱を発生し、形状記憶部材22の温度が上昇し、形状記憶特性に従って形状が変化する。具体的には、形状記憶部材22は、温度の上昇に伴い長手方向の長さが収縮するよう形状変化するようあらかじめ形成されており、かかる形状変化に伴い、形状記憶部材22の一端に対して固定された押圧部材21は、図3に示すように、シート部材7から離隔する方向(図3における右方向)に移動し、シート部材7に対して印加される押圧力が減少もしくは0となる。
シート部材7に対して印加される押圧力が減少もしくは0となることによって、図3に示すようにシート部材7と第2連通管路12端部との間の密着状態が解消され、凹部領域13内において、第2連通管路12の端部と第1連通管路11の端部との間が連通することとなる。既に述べたように、第2連通管路12の他端は外部空間に対して開口し、第1連通管路11の他端は貯蔵室1の内部空間に対して開口することから、凹部領域13内において第2連通管路12と第1連通管路11とが連通することによって、貯蔵室1の内部空間が被検体内導入装置の外部空間と連通することとなる。そして、貯蔵室1の外壁部分を形成するバルーン部材10は、ゴム等の弾性材料によって形成されるために貯蔵室1の内部空間の容積が減少するよう収縮動作を行い、容積の減少に伴って貯蔵室1の内部空間に貯蔵された薬剤等の流体が第1連通管路11に対して流出する。上述の通り、放出動作の際には第1連通管路11は第2連通管路12と連通することから、結果として貯蔵室1から流出した流体は、図3にも示すように第1連通管路11、第2連通管路12を経由して被検体内導入装置の外部空間、すなわち被検体に対して放出されることとなる。
ところで、放出動作の際にはバルーン部材10の収縮に伴う貯蔵室1の内部空間の容積減少に伴い、バルーン部材10の外表面等によって覆われた空隙領域16の容積が増加する。かかる容積増加に対して、本実施の形態1にかかる被検体内導入装置では、図3に示すように通気口14、15、27を介して、制御ユニット4側から流体(通常は気体)が流入することによって、空隙領域16の容積増加に伴う負圧の発生を低減または防止することとしている。
次に、本実施の形態1にかかる被検体内導入装置の利点について説明する。本実施の形態1にかかる被検体内導入装置は、貯蔵ユニット2と制御ユニット4とが互いに着脱可能な構造を有し、例えば保管時においては貯蔵ユニット2と制御ユニット4とを分離した状態で保管する一方で、使用する際には貯蔵ユニット2に対して制御ユニット4を装着した状態で被検体に導入される。かかる構造を採用することによって、本実施の形態1では、使用コストを低減した被検体内導入装置を実現することが可能であるという利点を有する。
具体的には、本実施の形態1にかかる被検体内導入装置は、投与する薬剤の種類に関わらず同一の制御ユニット4を使用することが可能である。すなわち、貯蔵ユニット2と制御ユニット4とを分離することが可能であるため、例えば医師等は貯蔵ユニット2に関しては薬剤の種類に対応してあらかじめ多数準備しておくことが好ましいが、制御ユニット4に関しては薬剤の種類に関わらず共通のものを用いることが可能である。従って、本実施の形態1にかかる被検体内導入装置を使用する場合には、複数種類の薬剤に対応するためには貯蔵ユニット2を複数準備することで充分であって、制御ユニット4に関しては、最大でも被検体内導入装置の予想使用回数に応じた個数だけ準備すれば良い。従って、薬剤の種類に応じて被検体内導入装置を多数準備する必要がある従来の被検体内導入装置と比較して、本実施の形態1にかかる被検体内導入装置は、制御ユニット4に関して事前に準備する個数を低減することが可能となり、被検体内導入装置の使用コストを低減できるという利点を有する。また、事前に準備すべき制御ユニット4の個数を低減できることに対応して、未使用の被検体内導入装置の保管のためのスペースを低減することが可能となり、かかる観点からも使用コストを低減できるという利点を有する。
特に、制御機構3の構成要素のうち、形状記憶部材22は通常の金属材料と比較して高価な形状記憶合金を用いて形成され、制御回路25は必要に応じて無線機能等を備えた所定の電子回路によって形成され、電源部26は所定の容量を有する一次電池等によって形成される。従って、制御機構3を備えた制御ユニット4の製造コストは、バルーン部材10等によって構成される貯蔵ユニット2と比較して高くなるのが一般的である。このため、本実施の形態1にかかる被検体内導入装置は、あらかじめ準備すべき制御ユニット4の個数を低減できることにより従来と比較して使用コストを著しく低減できることとなる。
また、本実施の形態1にかかる被検体内導入装置は、少なくとも制御ユニット4に関して繰り返し使用することが可能であり、かかる観点からも使用コストを低減できるという利点を有する。すなわち、制御ユニット4に備わる制御機構3は、図2に示すように使用時には筐体20および筐体5によって覆われることによって外部空間から遮断される。従って、本実施の形態1において制御ユニット4は、被検体に導入した際には筐体20の外表面以外において体液等が付着することはなく、使用後に筐体20の外表面を滅菌洗浄することのみによって容易に再利用することが可能となる。このため、使用毎に異なる被検体内導入装置を用いていた従来と比較して、使用コストを大幅に低減できるという利点を有する。
特に、本実施の形態1では、制御機構3の動作が可逆的であるため、再利用がさらに容易となるという利点を有する。上述したように、制御機構3は、制御回路25から出力される電流に基づき形状記憶部材22の形状が変化することによって放出動作の制御を行う構造を有する。ここで、形状記憶部材22は、上述したように電流供給に起因した温度上昇によって長手方向の長さが収縮するのであって、電流供給が停止されて温度が低下することによって、放出動作開始前の形状に戻ることとなる。従って、放出動作が完了した後には形状記憶部材22の長手方向の長さは放出動作開始前と同じ値となり、形状記憶部材22の一端に対して固定された押圧部材21の位置も放出動作開始前の位置に戻ることとなる。このように、本実施の形態1における制御機構3の構成要素の動作は可逆的なものとなるため、制御ユニット4を再利用する際に制御機構3の構成要素に関して物理的な位置の調整等を行う必要がなく、容易に再利用することが可能という利点を有する。
さらに、本実施の形態1にかかる被検体内導入装置は、未使用の状態で長期に渡って保管することが可能であるという利点を有する。すなわち、貯蔵ユニット2を形成する貯蔵室1に貯蔵される薬剤等の保管最適条件と、制御ユニット4を形成する制御回路25、電源部26等の保管最適条件とは一致しないのが通常である。これに対して、本実施の形態1にかかる被検体内導入装置では、貯蔵ユニット2と制御ユニット4とを分離して別個独立に保管することが可能であるため、それぞれを温度、湿度等に関して最適な条件で保管することが可能である。貯蔵ユニット2と制御ユニット4とを別個独立に保管最適条件のもとで保管することによって、機能を劣化させることなく長期に渡って保管することが可能となるため、本実施の形態1にかかる被検体内導入装置は、未使用の状態で破棄されるものを減少させることが可能であり、かかる観点からも使用コストを低減することが可能である。
また、本実施の形態1にかかる被検体内導入装置では、シート保持基板8に空隙領域16と制御ユニット4内の空間領域とを連通する構成を採用し、かかる構成を採用することによって貯蔵室1に貯蔵された薬剤等の流体をほぼ完全に外部空間に対して放出することが可能である。上述したように、本実施の形態1では、放出動作の際にバルーン部材10が収縮することから、バルーン部材10の外表面および筐体5等の内表面によって形成される空隙領域16の容積は、放出動作の進行に伴って拡大することとなる。従って、空隙領域16が他の空間領域に対して遮断された構成の場合には、容積の拡大に応じて負圧が生じ、バルーン部材10の収縮作用を妨げることとなる。
これに対して、本実施の形態1では通気口14、15、27を形成することによって空隙領域16が他の領域と連通した状態に維持される構成を採用する。かかる構成を採用することによって、図3にも示したように、空隙領域16の容積の拡大に伴って他の空間領域に存在する流体(気体)が通気口14、15、27を介して空隙領域16に流入し、空隙領域16に負圧が生じることを抑制することが可能である。この結果、バルーン部材10の収縮動作が空隙領域16の負圧によって妨げられることが抑制され、貯蔵室1に貯蔵された薬剤等の流体をほぼ完全に外部に放出することが可能であるという利点を有する。
また、本実施の形態1にかかる被検体内導入装置では、空隙領域16に対して制御ユニット4内部の空間領域における流体が流入するよう通気口14、15が形成されたことによる利点も存在する。すなわち、空隙領域16に負圧が生じることを抑制するためには、例えば筐体5に通気口を形成することによって空隙領域16と外部空間とを連通させる構成としても良い。しかしながら、かかる構成を採用した場合には、外部空間、すなわち被検体に存在する体液等が被検体内導入装置に流入することとなる。
ところで、上述したように、本実施の形態1では少なくとも制御ユニット4を再利用することとしており、再利用を容易にする観点からは、空隙領域16に流入する体液等の流体が制御ユニット4に流入することを防止した構成を採用する必要がある。従って、筐体5に通気口を形成した場合には、通気口14、15を省略した構成とすることはもちろんであるが、この他に例えばシート保持基板8を水密な部材によって構成すると共に、シート保持基板8の端部側面と筐体5の内表面との間の接触部分に関しても水密となる構成を採用する必要があり、貯蔵ユニット2の製造コストが上昇するおそれがある。これに対して、本実施の形態1では、空隙領域16が外部空間ではなく制御ユニット4内の空間領域と連通する構成を採用するため、シート保持基板8を水密とする等の複雑な構造を採用する必要はなく、製造コストが上昇することを防止できるという利点を有する。
なお、本実施の形態1において、シート部材7と押圧部材21とを常に密着固定した状態とする構成を採用しても良い。具体的には、例えばシート部材7と押圧部材21との間の接触面に粘着シート等の粘着材を配置することによって、押圧部材21とシート部材7とを一体的に動作させることが可能である。かかる構成を採用することによって、形状記憶部材22の形状変化にともなって押圧部材21がシート保持基板8から離隔する方向に移動した際に確実にシート部材7とシート保持基板8との間に空隙部分が生じることとなり、第1連通管路11と第2連通管路12との間の連通の確実性を向上させることが可能となる。
(変形例)
次に、実施の形態1にかかる被検体内導入装置の変形例について説明する。本変形例では、被検体内導入装置の構造に関しては実施の形態1とほぼ同様である一方、貯蔵ユニット2に関して、制御ユニット4と分離した場合における流体の流出入をさらに効果的に抑制する工夫が施されている。
図4は、貯蔵ユニット2と、貯蔵ユニット2の保管の際に貯蔵ユニット2に対して装着される漏出防止押え部28とについて示す模式図である。図4に示すように、漏出防止押え部28は、制御ユニット4から形状記憶部材22、制御回路25および電源部26を省略した構成を有するものであり、貯蔵ユニット2に装着された際には、シート部材7に対して押圧力を印加し続ける構造を有する。具体的には、漏出防止押え部28は、貯蔵ユニット2と装着する部分が開口した筐体29と、貯蔵ユニット2に装着した際にシート部材7に対してシート保持基板8と近接する方向に押圧力を印加する押圧部材21と、押圧部材21に対して弾発力を付勢するバネ部材23とを備える。また、筐体29は、制御ユニット4の場合と同様に貯蔵ユニット2の長手方向(図4における横方向)中心軸を中心として貯蔵ユニット2とほぼ等しい外径を有すると共に、ねじ込み方式またはビス止め方式等の機械的な態様によって貯蔵ユニット2に対して装着可能な構造を有する。
次に、本変形例において漏出防止押え部28を備えたことによる利点について説明する。図4にも示したように、漏出防止押え部28は、貯蔵ユニット2に対して装着する部分近傍の構造に関して制御ユニット4とほぼ同一の構造を有する。従って、貯蔵ユニット2は、制御ユニット4と分離されて倉庫等に保管されている間において漏出防止押え部28を装着することによって、制御ユニット4が装着された状態と同様の状態で保管されることとなる。このため、漏出防止栓19の作用に加えてより確実に流体の漏出を防止することが可能となり、長期に渡る保存が可能となる他、例えば運搬時に生じる振動等に対しても確実に流体の漏出を防止できるという利点を有する。
(実施の形態2)
次に、実施の形態2にかかる被検体内導入装置について説明する。図5は、本実施の形態2にかかる被検体内導入装置について、各ユニットに分離した状態における構成を示す模式図である。図5に示すように、本実施の形態2にかかる被検体内導入装置は、貯蔵ユニット30が実施の形態1における貯蔵ユニット2と異なる構成を有する。なお、本実施の形態2において、実施の形態1と同様の名称・符号が付された構成要素は、以下で特に言及しない限り実施の形態1と同様の構造・機能を有することとする。このことは、後述する実施の形態3、4についても同様である。
図5に示すように、貯蔵ユニット30は、制御ユニット4と着脱する部分に開口を有する筐体31および筐体31内に配置された構成要素によって形成される。具体的には、筐体31の内部には、被検体内導入装置の長手方向(図5における左右方向)に移動可能な状態で配置され、筐体31の一部と共に貯蔵室32の外壁部分の一部を構成するピストン部材33と、ピストン部材33に弾発付勢するためのバネ部材34と、バネ部材34を固定すると共にシート部材7を保持するシート保持基板35とを備える。
ピストン部材33は、ピストン部材33は、貯蔵室32の外壁部分の一部を形成すると共に、流体放出動作の際に貯蔵室32の内部空間の容積が減少する方向に移動することによって貯蔵された流体を外部空間に対して放出する機能を有する。具体的には、ピストン部材33は、端部が筐体31の長手方向側面の内表面と当接した状態で長手方向に移動可能に配置された板状体によって形成され、バネ部材34によって印加される弾発力に基づき貯蔵室32の内部空間の容積を減ずる方向に移動する構成を有する。
バネ部材34は、ピストン部材33に対して弾発力を付勢するためのものである。具体的には、バネ部材34は、シート保持基板35とピストン部材33との間の空間領域たる空隙領域39内に、端部がピストン部材33とシート保持基板35とに対して固定されると共に自然長よりも圧縮された状態で配置されており、ピストン部材33に対して貯蔵室32の容積が減少する方向、すなわち図5において左方向に弾発力を付勢する機能を有する。
シート保持基板35は、実施の形態1におけるシート保持基板8と同様に凹部領域13が形成されると共に凹部領域13を覆うよう配置されたシート部材7を保持する機能を有すると共に通気口14が形成された構造を有する。また、シート保持基板35は、連通管路形成部としての機能も有し、具体的には、第1連通管路37および第2連通管路38が形成された構造を有する。第1連通管路37は、被検体内導入装置の長手方向に延伸し、一端が貯蔵室32の内部空間に対して開口すると共に他端が凹部領域13に対して開口するよう形成される。また、第2連通管路38は、主として被検体内導入装置の長手方向と垂直な方向に延伸し、一端が凹部領域13に対して開口すると共に他端が外部空間に対して開口するよう形成される。なお、図5に示すように貯蔵ユニット30と制御ユニット4とが分離した状態において、貯蔵ユニット30は、貯蔵室32に貯蔵された流体が外部空間に漏出することを防止するために、第2連通管路38の外部空間に対して開口した端部には漏出防止栓40が挿入された状態で保管される。なお、第1連通管路37を形成する部材としてシート保持基板35と別個独立の棒状部材を用いることとしても良い。
本実施の形態2において、貯蔵ユニット30に対する制御ユニット4の装着態様は、実施の形態1における貯蔵ユニット2と制御ユニット4との間の装着態様と同様である。具体的には、貯蔵ユニット30を構成する筐体31と、制御ユニット4を構成する筐体20とは、長手方向中心軸を中心としてほぼ等しい外径を有すると共に、例えばねじ込み方式またはビス止め方式等の機械的な態様で一方が他方に対して装着可能な構造を有する。また、貯蔵ユニット30に対して制御ユニット4を装着した状態において、筐体31と筐体20との間には水密ゴム部材18が配置され、筐体31と筐体20との接合部分を介して外部空間から流体が侵入することを防止する。
次に、本実施の形態2にかかる被検体内導入装置の動作について簡単に説明する。本実施の形態2において制御ユニット4は実施の形態1と同様の構成を有し、放出動作を行う前には押圧部材21がシート部材7に当接すると共に所定の押圧力を印加することによって第1連通管路37と第2連通管路38との間を遮断する一方で、放出動作を行う際には、制御回路25から出力された電流に基づき押圧部材21の位置が変化し、シート部材7に印加する押圧力が低下もしくは0となり、シート部材7と第1連通管路37の端部との間の密着状態が解除され、凹部領域13内において第1連通管路37と第2連通管路38とが連通する。
上述のように第1連通管路37の他端は貯蔵室32の内部空間に対して開口し、第2連通管路38の他端は外部空間に対して開口することから、凹部領域13内において第1連通管路37と第2連通管路38とが連通することによって貯蔵室32の内部空間と被検体内導入装置の外部空間との間が連通する。かかる状態において、バネ部材34の作用によりピストン部材33が貯蔵室32の内部空間の容積が減ずる方向に移動することによって、貯蔵室32に貯蔵された流体は、第1連通管路37、第2連通管路38を経由して外部空間に押し出される。
次に、本実施の形態2にかかる被検体内導入装置の利点について説明する。まず、本実施の形態2にかかる被検体内導入装置は、貯蔵ユニット30に対して制御ユニット4とが脱着可能な構成を有すると共に、制御ユニット4の構造は実施の形態1と同様であることから、実施の形態1において説明した制御ユニットに関する利点を享受することが可能である。
また、本実施の形態2にかかる被検体内導入装置は、貯蔵ユニット30において、実施の形態1における貯蔵ユニット2と同様に、流体放出動作の際における貯蔵室32の容積減少に対応して容積が増加する空隙領域39と、制御ユニット4内の空間領域との間を、通気口14を介して連通する構成を有する。従って、本実施の形態2にかかる被検体内導入装置は、実施の形態1と同様に、外部空間から体液等が内部に流入しない等の利点を有する。
(実施の形態3)
次に、実施の形態3にかかる被検体内導入装置について説明する。本実施の形態3にかかる被検体内導入装置は、制御ユニットが制御機構の一部としてポンプ機構を備え、かかるポンプ機構の作用によって流体放出動作を行う構成を有する。
図6は、本実施の形態3にかかる被検体内導入装置について、各ユニットに分離した状態を示す模式図である。図6に示すように、本実施の形態3にかかる被検体内導入装置は、貯蔵ユニット41と、貯蔵ユニット41に対して脱着可能に形成された制御ユニット42とによって形成され、実施の形態2と比較して貯蔵ユニット41がバネ部材34を省略した構成を有する一方で、制御ユニット42に備わる制御機構43は、流体を外部空間に放出するためのポンプ49を備える。
具体的には、貯蔵ユニット41は、実施の形態2と同様に筐体31の内部に貯蔵室32、ピストン部材33を備えると共に、シート保持基板35の代わりに基板44を新たに備えた構成を有する。基板44は、通気口14、第1連通管路37および第2連通管路46が形成される点でシート保持基板35と同様の構造を有する一方で、凹部領域13が形成されず、第1連通管路37および第2連通管路46は、一端が基板44の表面(制御ユニット42と装着する側の面)に開口した構造を有する。より具体的には、基板44の表面にはポンプ49の出力部51(後述)と連通するために、被検体内導入装置の長手方向中心軸を中心とした環状の溝部45が形成されており、第2連通管路46は溝部45を介して基板44の表面側と連通するよう形成される。また、貯蔵ユニット41は、漏出防止栓47、48がそれぞれ溝部45および第1連通管路37の端部に挿入された構成を有する。ここで、漏出防止栓47は、第2連通管路46において、基板44の表面側と外部空間との間を遮断する。また、漏出防止栓48は、貯蔵ユニット41が制御ユニット42と分離した際に貯蔵室32に保持された流体が漏出することを防止する。
制御ユニット42は、制御機構43として電源部26および制御回路25の他に、ポンプ49と、ポンプ49を保持するための保持基板54とを備える。本実施の形態3において、電源部26は、制御回路25のみならずポンプ49に対しても駆動電力を供給する構成を有し、制御回路25は、ポンプ49の駆動状態を制御することとする。また、保持基板54には通気口55が形成され、実施の形態1等における通気口27と同様に、貯蔵ユニット41に対して制御ユニット42を装着した際に、制御回路25等が配置される空間領域における流体を、空隙領域39に対して流入させる機能を有する。
ポンプ49は、流体を吸引するための入力部50と、吸引した流体を放出するための出力部51とを備える。本実施の形態1において、出力部51は、貯蔵ユニット41に形成された溝部45に対応して、被検体内導入装置の長手方向中心軸を中心とした環状の形状を有し、入力部50は、第1連通管路37に対応して、被検体内導入装置の長手方向中心軸に位置するよう形成される。出力部51および入力部50がかかる構成を有することによって、貯蔵ユニット41に対して制御ユニット42を装着した際に、出力部51は溝部45に嵌合し、入力部50は第1連通管路37の端部に嵌合することとなる。また、貯蔵ユニット41に対して分離した状態において入力部50、出力部51を保護するために、それぞれに対して保護栓52、53を嵌め込んだ構成を有する。
貯蔵ユニット41に対する制御ユニット42の装着態様は、基本的に実施の形態1等と同様である。ただし、本実施の形態3にかかる被検体内導入装置は、漏出防止栓47、48および保護栓52、53が、筐体31等の外表面ではなく被検体内導入装置の内部となる領域に配置されることから、貯蔵ユニット41に対して制御ユニット42が装着される前に、漏出防止栓47等を、溝部45等から取り外し、しかる後に制御ユニット42を貯蔵ユニット41に対してネジ結合等によって装着する。
次に、本実施の形態3にかかる被検体内導入装置の動作について簡単に説明する。貯蔵ユニット41に対して制御ユニット42が装着された状態で被検体内に導入された被検体内導入装置は、被検体内の所定の領域に到達した際に制御回路25が流体放出動作を行うよう所定の制御、例えばポンプ49に対する電流供給を行う。かかる制御に基づきポンプ49が駆動を開始し、入力部50を介して流体を入力すると共に、出力部51を介して入力した流体を再び放出するポンプ動作を行う。上述したように、貯蔵ユニット41に対して制御ユニット42を装着した状態では、入力部50は第1連通管路37と嵌合し、出力部51は溝部45と嵌合することから、ポンプ49が駆動を開始することによって、貯蔵室32に貯蔵された薬剤等の流体は、第1連通管路37および入力部50を経由してポンプ49に一旦入力し、出力部51、溝部45および第2連通管路46を経由して外部空間に放出される。また、貯蔵室32に貯蔵された流体が外部に放出されることに伴い、ピストン部材33は貯蔵室32の内部空間の容積が減ずる方向に移動することから、空隙領域39の容積が増加する。かかる容積の増加に対応して、通気口14および通気口55が機能し、具体的には、制御ユニット42内における空間領域に存在する流体が、通気口55および通気口14を経由して空隙領域39に流入することとなり、空隙領域39において、容積増加に起因した負圧が生成されることを防止する。
以上のように、制御機構43がポンプ49を備えた構成を採用した場合であっても、貯蔵ユニット41と、制御ユニット42とを着脱可能な構成とすることによって、実施の形態1、2で述べた本発明の利点を享受することが可能である。特に、ポンプ49は他の構成要素と比較して一般に高価であることから、ポンプ49を備えた制御機構43を再利用することが可能等となることで、使用コストを著しく低減することが可能である。
(変形例)
次に、実施の形態3にかかる被検体内導入装置の変形例について説明する。図7は、本変形例における被検体内導入装置の構成を示す模式図である。図7に示すように、本変形例にかかる被検体内導入装置は、実施の形態3における入力部50に代えて第1連通管路37と接する先端部において先鋭な形状を有する入力部50aが配置され、漏出防止栓48に代えて第1連通管路37の制御ユニット側開口部に固定された漏出防止栓48aを備えた構成を有する。
入力部50aは、貯蔵室32に貯蔵された流体を第1連通管路37を経由してポンプ49に入力させる機能を有するのみならず、制御ユニット42を貯蔵ユニット41に装着する際に漏出防止栓48aを開放する開放部としても機能する。具体的には、入力部50aは、図7にも示すように先端が先鋭な形状を有し、かかる先端部が漏出防止栓48aに接触した際には、漏出防止栓48aを破断することによって第1連通管路37とポンプ49とを連通する機能を有する。かかる入力部50aが配置されたことに対応して、漏出防止栓48aは、第1連通管路37に固着した状態で配置されると共に、漏出防止機能を果たしつつ入力部50aが接触した際には破断する部材によって形成される。
かかる構成を有することによって、本変形例においては、制御ユニット42を貯蔵ユニット41に対して装着する際に、漏出防止栓48aを事前に取り外すこと無く入力部50aと第1連通管路37との間を連通させることが可能である。なお、図7に示す構成では出力部51と漏出防止栓47に関して実施の形態3と同様の構成としたが、出力部51を入力部50aと同様に先鋭な構造とし、漏出防止栓47を溝部45に固着させると共に漏出防止栓48aと同様に破断可能な部材によって形成することとしても良い。
なお、漏出防止栓47を省略することも可能である。漏出防止栓47が省略された場合でも、貯蔵ユニット41が制御ユニット42と分離した際に、貯蔵室32に保持された流体の漏出防止に悪影響を与えないことは言うまでもない。
(実施の形態4)
次に、実施の形態4にかかる被検体内導入装置について説明する。実施の形態1〜3にかかる被検体内導入装置が貯蔵室内にあらかじめ貯蔵した薬剤等の流体を外部空間に放出するためのものであるのに対して、本実施の形態4にかかる被検体内導入装置は、所定の機構を用いて被検体の体液等の流体を外部空間から貯蔵室に取り込むためのものである。かかる目的で使用される被検体内導入装置は、流体の移動方向が実施の形態1〜3にかかる被検体内導入装置と逆方向になるよう機能すれば良く、実施の形態1〜3にかかる被検体内導入装置の機構を流用することによって実現することが可能である。以下では、実施の形態2にかかる被検体内導入装置を流用した例について説明するが、実施の形態1、3を流用することによっても、体液等の流体を外部空間から取り込む被検体内導入装置を実現することが可能であることは言うまでもない。
図8は、本実施の形態4にかかる被検体内導入装置を各ユニットに分離した状態で示す模式図である。図8に示すように、本実施の形態4にかかる被検体内導入装置は、ほぼ実施の形態2にかかる被検体内導入装置と同様の構成を有する一方で、貯蔵ユニット56において、実施の形態2におけるバネ部材34のかわりにバネ部材57を用いた構成を有する。
具体的には、貯蔵ユニット56は、ピストン部材33とシート保持基板35との間ではなく、ピストン部材33に対してシート保持基板35と反対側、すなわち図8において左側に、自然長よりも圧縮した状態で配置したバネ部材57を備える。バネ部材57は、ピストン部材33に対してシート保持基板35に近づく方向、すなわち貯蔵室32の内部空間の容積が増加する方向に弾発付勢する機能を有する。
また、貯蔵ユニット56は、筐体31の一部において、第2連通管路38の外部空間に対する開口部近傍に加重部材58を配置した構成を有する。加重部材58は、例えば筐体31を形成する部材よりも比重の大きい部材によって構成されており、第2連通管路38の外部空間に対する開口部が鉛直下方に開口した状態となるよう作用する。なお、かかる作用を実現する構成は加重部材58を設けた場合に限定されるのではなく、例えば、被検体内導入装置全体の重心が第2連通管路38の外部空間に対する開口部近傍となるよう各構成要素の配置を工夫することとしても良い。力学的にはこのような構造も加重部材58を設けた場合と同様のものとみなすことが可能であり、第2連通管路38の外部空間に対する開口部が鉛直下方に開口することとなる。
本実施の形態4にかかる被検体内導入装置の動作について説明する。まず、実施の形態2と同様に制御ユニット4の機能によりシート部材7と第1連通管路37の端部との密着状態が解除され、貯蔵室32の内部空間は、第1連通管路37、第2連通管路38を介して外部空間と連通する。
そして、バネ部材57の機能により、ピストン部材33がシート保持基板35に向かう方向に移動し、貯蔵室32の容積が増加する。容積の増加に伴って貯蔵室32の内部空間には負圧が形成され、貯蔵室32の内部空間と連通した被検体内導入装置の外部空間に存在する流体が第2連通管路38および第1連通管路37を経由して貯蔵室32の内部空間に流れ込む。以上の動作を行うことによって、体液等の流体が貯蔵室32に取り込まれることとなる。
流体放出機能を備えた被検体内導入装置のみならず、本実施の形態4のように流体採取機能を備えた被検体内導入装置においても、貯蔵ユニット56と制御ユニット4とが着脱可能な構成を採用することが有効である。図5と図8とを対比すれば明らかなように、本実施の形態4にかかる被検体内導入装置においても、着脱可能な構成とすることによって使用コストを低減することが可能である。
また、流体採取を行う被検体内導入装置においても、通気口14を設けることは有効である。すなわち、本実施の形態4において、流体採取動作を行う際には、上述のように貯蔵室32の容積が変化(増加)し、かかる容積変化に伴って空隙領域39の容積は、減少する方向に変化することとなる。従って、通気口14を設けないこととした場合には、空隙領域39は、容積の減少に伴い空気が圧縮され、内部の圧力が上昇し、ピストン部材33のシート保持基板35方向に対する移動を妨げるおそれがある。これに対して、本実施の形態4ではシート保持基板35に通気口14を形成することとしたため、空隙領域39が制御ユニット4内の空間領域と連通した状態を維持することとなり、空隙領域39の圧力の上昇を緩和し、ピストン部材33の移動を妨げることを抑制し、流体採取動作を妨げることを抑制することが可能である。
以上のことから、本実施の形態4にかかる被検体内導入装置のように、外部空間における体液等を採取する被検体内導入装置においても、実施の形態1〜3において説明した、薬剤等の流体を放出する被検体内導入装置と同様の利点を享受することが可能である。すなわち、本発明における被検体内導入装置は、所定の流体を貯蔵する貯蔵室を備えた貯蔵ユニットと、貯蔵室に対する流体の入力または出力の少なくとも一方に関する動作タイミングを制御する制御機構を備えた制御ユニットが互いに着脱可能な構造を採用していれば良く、本発明の適用範囲を、薬剤等の流体を外部に放出する被検体内導入装置に限定して解釈する必要はない。なお、流体放出動作および流体採取動作の一方のみを行うのではなく、双方を行う構成とすることも可能である。例えば、実施の形態3において、ポンプ49として流体の移動方向を反転可能(すなわち、出力部51を介して入力した流体を、入力部50を介して出力するよう動作可能)な構成を用いることとしても良く、実施の形態1にかかる被検体内導入装置において、通気口14、15を省略すると共に筐体5の一部に貫通孔を形成すると共に空隙領域16に採取した流体を貯蔵することとしても良い。
なお、本実施の形態4にかかる被検体内導入装置は、図8にも示したように第2連通管路38における外部空間に対する開口部の近傍に加重部材58を配置した構造を有する。第2連通管路38の開口部近傍に加重部材58を配置することによって、本実施の形態4にかかる被検体内導入装置は、被検体内部において加重部材58の作用により第2連通管路38が鉛直下方向に開口した状態を維持することとなる。ここで、被検体内導入装置は、通過経路たる消化器官の内壁部分のうち、被検体内導入装置に対して鉛直下方に位置する部分と接触しつつ移動するのが通常であるため、第2連通管路38が鉛直下方に開口した状態を維持することによって、本実施の形態4にかかる被検体内導入装置は、体液等が豊富に存在する消化器官の内壁部分に対して流体採取動作を行うことが可能である。
以上、実施の形態1〜4に渡って本発明を説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定して解釈するべきではなく、当業者であれば様々な実施例、変形例に想到することが可能である。例えば、制御機構は、薬剤、体液等の所定の流体の入力動作または/および出力動作を制御できるものであればいかなる構成のものを用いることが可能であり、図1等に示した制御機構3等に限定して解釈する必要はない。具体的には、実施の形態1、2で示したように流体の入力・出力のタイミングを制御するものであっても良いし、実施の形態3に示したように入力・出力のタイミングを制御するのみならず、流体の流動状態を生成するポンプを備えることとしても良い。
また、実施の形態1〜4においては、漏出防止栓は、外部空間と第2連通管路等との間の連通状態を遮断するものとして説明したが、漏出防止栓の機能としては、貯蔵室に貯蔵された流体が外部に漏出されることを防止できれば良い。従って、例えば、漏出防止栓として貯蔵室から外部空間に向かう方向に流体が移動することを防止すると共に外部空間から前記貯蔵室に向かう方向に流体が移動することを可能とする逆止弁を備えた構成を採用することとしても良い。かかる構成を採用することによって、被検体内導入装置は、例えば、使用前にあらかじめ薬剤等の流体を貯蔵室の内部に注入する際には漏出防止栓が挿入されているにもかかわらず流体が注入可能となる一方で、漏出防止栓が挿入されていることによって一度注入された流体が漏出することを防止できる等の利点を有することとなる。
さらに、実施の形態4における加重部材58を、実施の形態1〜3における第2連通管路の外部空間に対する開口部近傍に配置することとしても良い。かかる構成を採用することによって、貯蔵室に貯蔵された薬剤等の流体を消化器官の内壁部分に対して確実に放出することが可能であるという利点を有する。また、加重部材58をかかる位置に配置する代わりに、被検体内導入装置全体の重心が第2連通管路の外部空間に対する開口部近傍に位置するよう構成することとしても、開口部を鉛直下方に開口させることが可能である。
(付記1) 所定の流体を貯蔵する貯蔵室と、一端が当該被検体内導入装置の外部空間に対して開口し、前記貯蔵室と前記外部空間との間を連通可能な連通管路(例えば、実施の形態1における第1連通管路)とを備えた貯蔵ユニットと、前記連通管路における前記貯蔵室と前記外部空間との間の連通状態を制御する制御機構を備え、前記貯蔵ユニットに対して着脱可能に形成された制御ユニットとを備えた被検体内導入装置の組み立て方法であって、
前記貯蔵ユニットに対して前記制御ユニットを装着する装着工程と、
前記制御ユニットを装着した後に、前記連通管路の前記外部空間に対する開口部に挿入された漏出防止栓を取り外す開栓工程と、
を含むことを特徴とする被検体内導入装置の組み立て方法。
(付記2) 所定の流体を貯蔵する貯蔵室と、一端が前記貯蔵室の内部に対して開口し、他端が当該被検体内導入装置の内部において開口すると共に、該貯蔵室と当該被検体内導入装置の外部空間との間で所定の流体の入力または/および出力を行う際に前記所定の流体の通過経路の少なくとも一部を形成する連通管路(例えば、実施の形態3における第1連通管路)とを備えた貯蔵ユニットと、前記貯蔵室と前記外部空間との間の連通状態を制御する制御機構を備え、前記貯蔵ユニットに対して着脱可能に形成された制御ユニットとを備えた被検体内導入装置の組み立て方法であって、
前記連通管路の他端に挿入された漏出防止栓を取り外す開栓工程と、
前記漏出防止栓を取り外した後に、前記貯蔵ユニットに対して前記制御ユニットを装着する装着工程と、
を含むことを特徴とする被検体内導入装置の組み立て方法。