以下、この発明を実施するための最良の形態(以下では、単に「実施の形態」と称する)である被検体内導入装置について説明する。なお、図面は模式的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、それぞれの部分の厚みの比率などは現実のものとは異なることに留意すべきであり、図面の相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
(実施の形態1)
まず、実施の形態1にかかる被検体内導入装置について説明する。本実施の形態1にかかる被検体内導入装置は、あらかじめ貯蔵室内に貯蔵した薬剤等の流体を、被検体内部の所定位置において外部空間、すなわち被検体の体内組織に対して放出するためのものである。
図1は、本実施の形態1にかかる被検体内導入装置の全体構成を示す模式図である。図1に示すように、本実施の形態1にかかる被検体内導入装置は、外形を規定する筐体1の内部に、放出する流体として薬剤等をあらかじめ貯蔵した貯蔵室2と、貯蔵室2の外壁部分の一部を形成し、貯蔵室2の容積を変化させるためのバルーン部材3と、貯蔵室2と被検体内導入装置の外部とを連通する際に経路として機能する第1連通管路4および第2連通管路5とを備える。また、本実施の形態1にかかる被検体内導入装置は、第1連通管路4と第2連通管路5との間の連通状態を調整する連通調整機構6と、連通調整機構6の駆動状態を制御する制御回路7と、制御回路7に対して駆動電力を供給する電源部8とを備える。
貯蔵室2は、本実施の形態1にかかる被検体内導入装置の外部空間に対して出力する薬剤等の流体をあらかじめ貯蔵するためのものである。具体的には、本実施の形態1において、貯蔵室2はバルーン部材3の内表面および連通管路形成部10の表面によって覆われた領域に形成されており、かかる領域に流体が貯蔵される。貯蔵室2の外壁部分の大部分を形成するバルーン部材3は、ゴム等の弾性材料によって形成されており、所定量の流体が注入されることによって、弾性材料によって構成される膜状部材があらかじめ伸張した状態に維持されており、後述する連通調整機構6の作用により貯蔵室2と外部空間とが連通した際には、膜状部材の収縮作用に伴い貯蔵室2の容積が減少し、外部空間に対して流体が放出されることとなる。
第1連通管路4および第2連通管路5は、本実施の形態1にかかる被検体内導入装置の外部(以下、単に「外部空間」と称する。)と貯蔵室2とを連通させる機能を有する。第1連通管路4および第2連通管路5は、本実施の形態1にかかる被検体内導入装置の長手方向中心軸に沿って延伸した棒状の構造を有する連通管路形成部10内に、それぞれ被検体内導入装置の長手方向と平行な方向に延伸するよう形成される。また、少なくとも第2連通管路5に関しては、被検体内導入装置の長手方向に関してほぼ中心軸上に位置するよう形成される。より具体的な構造としては、第1連通管路4の一端はバルーン部材3の内部空間に対して開口し、第2連通管路5の一端は外部空間に対して開口すると共に、第1連通管路4の他端および第2連通管路5の他端は、後述するシート保持基板6aの表面上にて開口するよう形成され、連通調整機構6によって第1連通管路4の他端に形成された開口部と、第2連通管路5の他端に形成された開口部と間の連通状態が調整される。なお、「平行」とはそれぞれが直線状に延伸し、かつ両者が幾何学的に平行である場合のみならず、多少湾曲した形状を有する場合であっても、第1連通管路4と第2連通管路5のそれぞれを構成する空間領域の中心軸が互いに平行となる場合も含むものとする。
連通調整機構6は、制御回路7の制御に従って第1連通管路4と第2連通管路5との間の連通状態を調整するためのものであり、かかる調整動作を行うことによって、流動生成部たるバルーン部材3の伸縮動作を制御する機能を有する。具体的には、連通調整機構6は、所定の凹部領域が形成されたシート保持基板6aと、シート保持基板6a上において凹部領域を覆うように配置されたシート部材6bと、シート部材6bの外周部分をシート保持基板6aに対して密着した状態で固定する固定部材6cとを備える。また、連通調整機構6は、シート部材6bに対して所定の押圧力を印加する押圧部材6dと、押圧部材6dが印加する押圧力を生成するバネ部材6eと、バネ部材6eを保持するバネ基板6fと、シート部材6bに対する押圧部材6dの位置を変化させる形状記憶部材6gとを備える。
シート保持基板6aは、シート部材6bを保持するための板状体によって形成される。なお、本実施の形態1においては、シート保持基板6aは、端部が筐体1の円筒部分における内側面と接触した状態で配置される。このため、バルーン部材3の外表面と、筐体1の内表面およびシート保持基板6aの裏面(シート部材6bが配置される面と対向する面)とによって囲まれた空隙領域11が他の空間に対して遮断されることがないよう通気口13、14が形成された構造を有する。なお、同様の理由に基づきバネ基板6fにも通気口15が形成される。
シート部材6bは、第1連通管路4と第2連通管路5との間の連通状態を直接的に制御するためのものである。具体的には、シート部材6bは、例えばシリコンシート等の水密かつ柔軟な材料によって形成され、シート保持基板6a上であって、シート保持基板6aに形成された凹部領域を覆うよう配置されると共に、固定部材6cによって外周部分がシート保持基板6aと密着した状態で固定される。また、シート部材6bは、押圧部材6dによって所定の押圧力が印加された際には第2連通管路5の端部と密着した状態に維持されることによって第2連通管路5の開口部を塞ぎ、第1連通管路4と第2連通管路5との間の連通状態を遮断する機能を有する。一方で、押圧部材6dによる押圧力が低下した際には、シート部材6bは、後述するように形状が変化することによって第2連通管路5の端部から離れ、第1連通管路4と第2連通管路5との間が連通する。
固定部材6cは、シート部材6bをシート保持基板6aに対して固定するためのものである。具体的には、固定部材6cは、シート部材6bの外周部分に対してシート保持基板6a側に押圧力を印加することによってシート部材6bの外周部分とシート保持基板6aとを密着固定する機能を有する。固定部材6cがかかる態様でシート部材6bを固定することによって、シート部材6bの中心部分(図1において、被検体内導入システムの長手方向中心軸近傍領域、より具体的には第2連通管路5の開口部の位置に対応した領域)は押圧部材6dの押圧力に応じて形状が自由に変化する一方で、第1連通管路4を介してシート保持基板6aの凹部領域に流入する流体(後述)が第2連通管路5以外の領域に漏出することを防止する。
バネ部材6eは、押圧部材6dがシート部材6bに対して印加する押圧力を生成するためのものである。具体的には、バネ部材6eは、一端がバネ基板6fに対して固定されると共に他端が押圧部材6dに対して固定され、かつバネ長が自然長よりも短い状態に維持されており、押圧部材6dに対してシート部材6bが位置する方向(図1における左方向)に弾発力を付勢する機能を有する。
形状記憶部材6gは、シート部材6bに対する押圧部材6dの位置を変化させるものである。具体的には、形状記憶部材6gは、一端がバネ基板6fに対して固定され、他端が押圧部材6dに対して固定された棒状あるいはコイル状の構造を有し、所定の形状記憶特性を有すると共に所定の電気抵抗値を有する形状記憶合金によって形成されている。より具体的には、形状記憶部材6gは、例えば被検体内部の温度と同等の温度条件では押圧部材6dがシート部材6bと当接するに充分な長さを有する。その一方で、形状記憶部材6gは、所定の温度、例えば被検体内部の温度よりも充分高い温度条件の下ではその形状が変化し、シート部材6bに対して押圧部材6dが離隔するよう作用する機能を有する。
制御回路7は、形状記憶部材6gに対する電流供給の有無を通じて、バルーン部材3の流動生成手段としての駆動を制御する機能を有するものであり、特許請求の範囲における制御手段の一例として機能するものである。具体的には、制御回路7は、本実施の形態1にかかる被検体内導入装置が被検体内部に導入され、被検体内の所定の位置に到達した際に形状記憶部材6gに対して電流を供給する機能を有する。かかる電流が形状記憶部材6gを流れることによって、形状記憶部材6g中にジュール熱が発生し、ジュール熱に起因して形状記憶部材6gの温度が上昇することによって、形状記憶部材6gの形状が変化する。なお、電流供給タイミングを規定する構成としては、例えばタイマー機構を備えることとしても良いし、無線受信機構を内蔵すると共に外部より制御信号を供給することとしても良い。
次に、本実施の形態1にかかる被検体内導入装置の動作について説明する。上述したように、図2は、本実施の形態1にかかる被検体内導入装置の動作について説明するための模式図である。以下、図2を参照しつつ動作について説明する。
まず、制御回路7が形状記憶部材6gに対して所定の電流を供給し、形状記憶部材6gは、電流にともなって生じるジュール熱によって温度が上昇し、形状が変化する。具体的には、形状記憶部材6gは、棒状に形成されると共に高温時に長手方向長さが収縮するようあらかじめ形成されており、ジュール熱による温度上昇に伴ってその長手方向長さが短くなるよう形状が変化する。形状記憶部材6gの一端に対して固定された押圧部材6dは、形状記憶部材6gの長手方向長さが収縮することに伴って、図2に示すようにシート部材6bから離れる方向(図2において右方向)に移動することとなり、シート部材6bに対する押圧力が減少もしくは0となる。
そして、シート部材6bに対する押圧力が減少することによって、シート部材6bと第2連通管路5との間の密着状態が解消され、第1連通管路4の端部と第2連通管路5の端部とは、シート保持基板6aに形成された凹部領域を介して連通することとなる。上述したように第1連通管路4はバルーン部材3の内部空間と連通するよう形成され、第2連通管路5は被検体内導入装置の外部空間と連通するよう形成されることから、第1連通管路4と第2連通管路5とが連通することによって、バルーン部材3の内部空間と被検体内導入装置の外部空間とが連通する。
バルーン部材3の内部空間と被検体内導入装置の外部空間とが連通することによって、バルーン部材3を形成する伸縮膜の収縮動作が開始される。具体的には、バルーン部材3が収縮することによって、バルーン部材3の内表面によって大部分が覆われた貯蔵室2の容積が減少し、あらかじめ貯蔵室2内に貯蔵されていた流体は、図2にも示すように第1連通管路4に流入し、シート保持基板6aとシート部材6bとの間に生じた空隙部分および第2連通管路5を経由して外部空間に放出される。以上の動作によって、本実施の形態1にかかる被検体内導入装置による流体の出力動作が行われる。
なお、本実施の形態1にかかる被検体内導入装置では、流体の出力動作の際に貯蔵室2の容積が減少することに対応して、空隙領域11の容積が増加する。そのため、本実施の形態1では、通気口13、14を介して筐体1内部の他の空間領域から流体が空隙領域11に流入する構成を採用し、空隙領域11において負圧が生じることを抑制し、バルーン部材3の収縮動作が妨げられることを防止している。
次に、本実施の形態1にかかる被検体内導入装置の利点について説明する。まず、本実施の形態1では貯蔵室2に対して開口した第1連通管路4と、外部空間に対して開口した第2連通管路5とが互いに平行な方向に延伸するよう形成される。かかる構造を採用することによって、本実施の形態1では、被検体内導入装置を小型化することが可能である。 具体的には、互いに平行な方向に延伸するように形成する構成としたため、被検体内導入装置内における連通管路形成部10の占有領域を減少させることが可能である。すなわち、第1連通管路と第2連通管路とが互いに非平行となるよう形成された場合には、第1連通管路と第2連通管路との間の間隔は、延伸するに従って次第に拡大することとなり、かかる間隔の拡大に応じて第1連通管路と第2連通管路とを形成する連通管路形成部の体積が増加することとなるため、被検体内導入装置内における第1連通管路と第2連通管路およびこれらを形成する連通管路形成部の占有領域が拡大することとなり、占有領域の拡大に応じて被検体内導入装置を大型化せざるを得なくなる。
例えば、特許文献1に記載の被検体内導入装置では、吸入口の中心軸方向と、吐出口からタンクに至るまでの管路の中心軸方向とが互いに垂直となるよう形成される。かかる構造の被検体内導入装置では、連通管路全体としてはいわば二次元状に広がった構造を有することとなり、連通管路を形成するための部材(特許文献1におけるSi基板21、22)を管路が延伸する2方向を含む2次元方向に拡大した構造とする必要が生じる。特に、被検体内部における被検体内導入装置の姿勢の安定化等の観点からは、現実にはマイクロポンプ等の構成要素は被検体内導入装置の長手方向中心軸近傍に配置することが好ましい。かかる構成を採用した場合には吸入口は所定の長さだけ延伸させた形状とする必要性が生じることとなり、連通管路および連通管路形成部の占有領域がさらに増大することとなる。
これに対して、本実施の形態1にかかる被検体内導入装置では第1連通管路4と第2連通管路5とが互いにほぼ平行となるよう形成される。従って、両者の間隔はほぼ一定の値となり、第1連通管路4および第2連通管路5さらにはこれらを形成する連通管路形成部10の占有領域は、必要に応じた最小限のものとすることが可能となり、被検体内導入装置の小型化を実現することが可能である。
また、本実施の形態1において、第1連通管路4と第2連通管路5とは、それぞれがほぼ直線状に延伸した構造を有し、かかる構造を有することによって流体をスムーズに放出することが可能であるという利点を有する。すなわち、貯蔵室2に貯蔵する流体によってはある程度粘性を有するものの場合もあり、かかる場合に複雑に屈曲した連通管路を経由して外部空間に放出することとすると、連通管路途上において流体の滞留および渦の発生等の可能性がある。本実施の形態1では、第1連通管路4および第2連通管路5とをそれぞれ直線状に形成することによって、このような流体の移動を妨げる現象の発生を抑制し、スムーズに外部空間に放出することを可能とする。
また、第1連通管路4および第2連通管路5を直線状に形成することは、被検体内導入装置の小型化の観点からも有効である。すなわち、複雑に屈曲した連通管路を備えることとした場合には、第1連通管路の延伸方向と第2連通管路の延伸方向とが非平行となるよう形成された場合と同様に、連通家管路形成部の占有領域が増加することとなり、かかる観点からは、第1連通管路4及び第2連通管路5が直線状に延伸する構造を有することによって、被検体内導入装置をさらに小型化することが可能である。
また、本実施の形態1にかかる被検体内導入装置では、第1連通管路4の一方の端部と、第2連通管路5の一方の端部とが同一面(シート保持基板6aの表面)において開口するよう形成され、かかる同一面における開口部間の連通状態を制御することによって流体放出を行う構成を有する。かかる構成を採用することによって、本実施の形態1は、連通調整機構6の構造を単純化することが可能であり、かかる単純化に伴い被検体内導入装置を小型化できるという利点を有する。
第1連通管路4と第2連通管路5とを用いて被検体内導入装置を構成する場合には、流体放出を行わない際において、貯蔵室2に貯蔵された流体の漏出防止および外部空間からの流体の流入防止の観点から第1連通管路4および第2連通管路5の双方に関して連通状態を遮断することが好ましい。しかしながら、それぞれの連通管路に対して別個独立の部材を用いて連通状態を調整する構成を採用した場合には、連通調整機構の構造が複雑化し、被検体内導入装置が大型化するおそれがあり妥当ではない。これに対して本実施の形態1では、上述の構造を採用することによって同一の部材を用いて簡易に連通状態を調整することが可能である。すなわち、図1等に示した例では第1連通管路4と第2連通管路5の端部における開口部を覆うよう配置された単一のシート部材6bによって第1連通管路4の連通状態および第2連通管路5の連通状態の双方を調整することが可能であり、連通調整機構の構造を単純化することが可能であり、連通調整機構の構造を単純化することによって被検体内導入装置を小型化することが可能であるという利点を有する。
さらに、本実施の形態1にかかる被検体内導入装置は、シート保持基板6aの表面において開口する端部近傍において互いに平行となることによって流体の流動方向が平行(互いの方向ベクトルのなす角度が0°の場合および180°の場合の双方を含む)となるよう第1連通管路4および第2連通管路5が形成され、連通調整機構6は、かかる流動方向と平行な方向に押圧力を印加する構造を有する。すなわち、連通調整機構6は、第1連通管路4および第2連通管路5の端部から連通調整機構6側に対する流出圧力に対して、ほぼ平行かつ逆方向の押圧力を印加することによって流出圧力をほぼうち消すことが可能であり、より効率的に第1連通管路4等からの流体の漏出を防止することが可能である。
また、本実施の形態1にかかる被検体内導入装置は、いずれも同一の連通管路形成部10に形成された構造を有する。かかる構造を採用することによって、本実施の形態1では、被検体内導入装置内における連通管路形成部の占有空間領域を減少させることが可能であって、被検体内導入装置を小型化することが可能である。
すなわち、第1連通管路4と第2連通管路5とを別々の部材に形成することとした場合には連通管路形成部は2本必要となる一方で、同一部材に形成する場合には単一の連通管路形成部10のみが被検体内導入装置内に配置されれば良いこととなる。特に、連通管路形成部は所定の物理的強度を維持するために空洞部分(管路が形成されている部分)を除外した太さをある程度の値に維持する必要があるが、別々の部材に管路を形成した場合には複数の連通管路形成部のそれぞれについてかかる太さの部材を用いる必要が生じることとなり、別々の部材に管路を形成した場合と比較して、単一の連通管路形成部10を用いた場合には連通管路形成部の占有空間領域をほぼ1/2にすることが可能である。
さらに、本実施の形態1では、第1連通管路4および第2連通管路5が、少なくともシート部材6bの近傍において被検体内導入装置の長手方向と平行な方向に延伸するよう形成されるため、長手方向の中心軸周りの外径が増大することを防止することが可能である。すなわち、かかる構成を採用することにより連通調整機構6は、被検体内導入装置の長手方向に押圧力を形成するために各構成要素が被検体内導入装置の長手方向に移動するよう構成される。このため、連通調整機構6は被検体内導入装置の短手方向に関して小型化することが可能となり、この結果被検体内導入装置の外径が減少し、被検体内導入装置を小型化することが可能である。
また、本実施の形態1では、少なくとも第2連通管路5が被検体内導入装置の長手方向に関してほぼ中心軸上に位置するよう形成された構成を有する。かかる構成を有することによって、貯蔵室2に貯蔵された流体は、外部空間に対して被検体内導入装置の中心軸延長上から長手方向に放出されることとなる。一般に被検体内部において被検体内導入装置は自身の長手方向と進行方向とが一致した状態で移動することから、第2連通管路5を被検体内導入装置の中心軸上に位置するように形成することによって、貯蔵室2に貯蔵された流体は被検体内導入装置の中心軸延長上の開口部から進行方向と平行な方向に放出されることとなる。従って、放出される流体によって被検体内導入装置の姿勢等に変化が生じることを抑制することが可能であり、被検体内において安定して移動する被検体内導入装置を実現できるという利点を有する。
(変形例)
次に、実施の形態1にかかる被検体内導入装置の変形例について説明する。上述のように、実施の形態1にかかる被検体内導入装置は、貯蔵室2に貯蔵した薬剤等の流体を外部空間に対して放出するためのものであるが、外部空間に存在する体液等の流体を採取する被検体内導入装置に関しても実施の形態1に示した構造を流用することによって実現することが可能である。
図3は、本変形例にかかる被検体内導入装置の構成に付いて示す模式的な断面図である。図3に示すように、本変形例にかかる被検体内導入装置は、基本的な構造に関しては実施の形態1と同様である一方で、実施の形態1における貯蔵室2に対応した空間領域を第1貯蔵室19とし、空隙領域11に対応した空間領域を第2貯蔵室20とすると共に、シート保持基板6aにおいて通気口13、14を省略し、第2貯蔵室20と外部空間とを連通させた吸引口21が筐体1の一部に形成されると共に、吸引口21の近傍に加重部材22が配置された構造を有する。
第1貯蔵室19は、実施の形態1における貯蔵室2と同様に特許請求の範囲における貯蔵室に対応し、大部分がバルーン部材3の内表面によって覆われた構成を有する一方で、薬剤等ではなく、生理食塩水等の被検体に対して特に作用することのない流体をあらかじめ貯蔵する。また、第2貯蔵室20は、採取した体液等の流体を貯蔵するためのものであり、流体採取を行う際には、吸引口21を介して外部空間の体液等の流体が第2貯蔵室20に流入することとなる。
本変形例にかかる被検体内導入装置による流体の採取動作について簡単に説明する。実施の形態1においても説明したように、制御回路7から出力された電流に基づき連通調整機構6が動作し、連通調整機構6の動作の結果、シート保持基板6aとシート部材6bとの間に空隙部分が生じることとなる。そして、かかる空隙部分を介して第1連通管路4と第2連通管路5とが連通し、あらかじめ第1貯蔵室19に貯蔵された流体は、第1連通管路4および第2連通管路5を経由して外部空間に放出され、放出された流体の量に応じて、第1貯蔵室19の内部空間の容積は減少する。
ここで、実施の形態1における空隙領域11に対応した第2貯蔵室20は、空隙領域11と同様の理由に基づき、第1貯蔵室19の容積減少に対応して容積が増大する。第2貯蔵室20の内部では、容積増大に応じて負圧が生じることとなるため、被検体内導入装置の外部空間に存在する体液等の流体は、吸引口21を介して第2貯蔵室20に流入することとなる。かかる作用により、被検体内導入装置の外部空間に存在する体液が第2貯蔵室20に貯蔵されることとなり、流体の採取動作が行われることとなる。
次に、本変形例にかかる被検体内導入装置の利点について説明する。本変形例にかかる被検体内導入装置は、薬剤等を放出する実施の形態1と異なり、被検体内導入装置の外部空間(すなわち、被検体の消化器官等の内部)に存在する体液等を採取することを目的とする一方で、流体を移動させるメカニズムとしては実施の形態1と同様であり、基本的な構造についても実施の形態1にかかる被検体内導入装置と同様である。従って、本変形例にかかる被検体内導入装置は、実施の形態1と同様に、第1連通管路4と第2連通管路5とが互いに平行な方向に延伸する等によって小型化することが可能であるという利点を有する。
また、本変形例にかかる被検体内導入装置は、吸引口21の近傍に加重部材22を配置した構造を有する。加重部材22は、被検体内導入装置を構成する他の部材、例えば筐体1よりも大きい比重の部材によって形成されており、この結果、本変形例にかかる被検体内導入装置は、被検体内部において吸引口21が鉛直方向下方に対して開口した状態を維持することとなる。被検体内部においては、被検体内導入装置は鉛直下方に位置する消化器官の内壁等と接触した状態で移動するのが通常であるため、吸引口21が鉛直下方に対して開口することによって、体液等の採取時に吸引口21が消化器官の内壁等と接触することとなり、体液等を効率良く採取することが可能である。
また、被検体内導入装置の比重を体液の比重よりも大きくすることで、被検体内導入装置が体液中で沈むことが可能となり、確実に体液の採取を行うことが可能となる。さらに、加重部材22を省略する一方で、被検体内導入装置の重心が吸引口21近傍に位置するよう内部の部品を配置することとしても良い。
(実施の形態2)
次に、実施の形態2にかかる被検体内導入装置について説明する。本実施の形態2にかかる被検体内導入装置は、バネ部材による弾性力によって貯蔵室の容積を変化させる構造を有し、かかる容積変化に伴ってあらかじめ貯蔵室内に貯蔵した薬剤等の流体を外部空間に放出する機能を有する。
図4は、本実施の形態2にかかる被検体内導入装置の構成を示す模式的な断面図である。図4に示すように、本実施の形態2にかかる被検体内導入装置は、実施の形態1と同様に連通調整機構6を備える一方で、貯蔵室および貯蔵室と外部空間とを連通する管路とが実施の形態1と異なる構造を有する。具体的には、図4に示すように、シート保持基板6aに対して押圧部材6d等が配置された領域と反対側の領域(図4においてシート保持基板6aに対して左側に位置する領域)に配置されたピストン部材25と、ピストン部材25に対して、シート保持基板6aに接近する方向に弾発力を付勢するよう配置されたバネ部材26とを備える。そして、本実施の形態2にかかる被検体内導入装置は、シート保持基板6a、ピストン部材25および筐体1のうちシート保持基板6aとピストン部材25との間に位置する部分とによって外壁部分が形成された貯蔵室27を備え、かかる外壁部分によって囲まれた空間領域にあらかじめ薬剤等の体液を貯蔵する構造を有する。
また、本実施の形態2にかかる被検体内導入装置では、貯蔵室27と外部空間とを連通させる管路として、実施の形態1と同様に一端が外部空間に対して開口し、他端がシート保持基板6aの表面にて開口するよう形成された第2連通管路5と、一端が貯蔵室27の内部に対して開口し、他端がシート保持基板6aの表面にて開口するよう形成された第1連通管路28とが形成されている。
第1連通管路28は、実施の形態1における第1連通管路4と同様の機能を有する一方で、延伸長がシート保持基板6aを貫通する長さとなる点で実施の形態1における第1連通管路4と異なる構造を有する。かかる構造の相違は、本実施の形態2において貯蔵室27の外壁部分の一部がシート保持基板6aによって形成されており、第1連通管路28は、一端がシート保持基板6aの裏面において開口することによって貯蔵室27の内部空間に対して開口することが可能であるために過ぎず、図1と図4とを対比すれば明らかなように、第1連通管路28の代わりに図1における第1連通管路4の構造を採用することとしても良い。
次に、本実施の形態2にかかる被検体内導入装置の動作について簡単に説明する。連通調整機構6は、制御回路7から所定の電流が出力されない間はシート部材6bが第1連通管路28および第2連通管路5と密着した状態を維持するよう機能する。一方で、被検体内導入装置が被検体内の所定の位置に到達した際には、制御回路7が所定の電流を供給し、かかる電流に基づき形状記憶部材6gの形状が変化することによって押圧部材6dの位置が変化し、シート部材6bは、シート保持基板6aに対する密着状態が解除される。
この結果、第1連通管路28の端部と第2連通管路5の端部との間はシート保持基板6aの表面とシート部材6bとの間に生じた空隙部分を介して連通し、第1連通管路28と第2連通管路5とが連通することによって貯蔵室27と外部空間との間が連通する。上述のように貯蔵室27の外壁部分の一部を形成するピストン部材25はバネ部材26によって弾発力を供給されることから、貯蔵室27の内部と被検体内導入装置の外部空間とが連通することによって、ピストン部材25はシート保持基板6aと接近する方向に移動し、ピストン部材25の移動によって貯蔵室27に貯蔵された薬剤等の流体が押し出され、第1連通管路28および第2連通管路5を経由して外部空間に放出される。以上が本実施の形態2における流体放出動作である。
次に、本実施の形態2にかかる被検体内導入装置の利点について説明する。本実施の形態2にかかる被検体内導入装置は、実施の形態1と同様に、第1連通管路28と第2連通管路5とが互いに平行な方向に延伸し、シート部材6b側において、互いに同一面上に開口する等の構造を有する。従って、上述した理由により被検体内導入装置を小型化することが可能であるという利点を実施の形態1と同様に享受することが可能である。
なお、本実施の形態2においても、実施の形態1の変形例と同様に体液等の流体を採取する構造とすることが可能である。具体的には、例えばバネ部材26を、ピストン部材25に対してシート保持基板6a側に配置し、ピストン部材25に対してシート保持基板6aから離隔する方向に弾発力を与えるよう構成すればよい。かかる構造とした場合には、第1連通管路28と第2連通管路5とが連通した際にはピストン部材25が貯蔵室27の容積を増加させる方向に移動することとなり、貯蔵室27内部に生じた負圧に起因して、外部空間に存在する体液等の流体は、第2連通管路5および第1連通管路28を経由して貯蔵室27に流入することとなる。
(実施の形態3)
次に、実施の形態3にかかる被検体内導入装置について説明する。本実施の形態3にかかる被検体内導入装置は、連通調整機構の代わりにポンプを備え、ポンプの作用によって貯蔵室にあらかじめ貯蔵した薬剤等の流体を外部空間に放出する構成を採用する。
図5は、実施の形態3にかかる被検体内導入装置の構造を示す模式的な断面図である。図5に示すように、本実施の形態3にかかる被検体内導入装置は、実施の形態1、2と同様に制御回路7および電源部8を備える一方で、実施の形態1等における連通調整機構6の代わりにポンプ30を備えた構成を有し、ポンプ30を備えたことに対応して、貯蔵室等に関しても実施の形態1等と異なる構造を有する。
具体的には、ポンプ30は、流体を入力するための入力部30aと、入力部30aを介して入力した流体を再び放出するための出力部30bとを備えると共に、実施の形態1等におけるバネ基板6fに対応した保持基板31に対して固定された状態で配置される。
また、本実施の形態3にかかる被検体内導入装置は、貯蔵室等に関しても実施の形態1等と異なる構成を有する。具体的には、実施の形態1等におけるシート保持基板6aと同様に、端部が筐体1の内表面と接触する状態で配置された基板32を備え、基板32、ピストン部材25および筐体1のうち基板32とピストン部材25との間に位置する部分とによって貯蔵室33が形成され、基板32等によって覆われた空間領域に薬剤等の流体があらかじめ貯蔵される。また、ピストン部材25に対して貯蔵室33と反対側に形成される空隙領域38に関して、ピストン部材25の移動に伴う負圧形成を抑制するため、筐体1の一部領域に通気口36、37が形成された構造を有する。
さらに、本実施の形態3にかかる被検体内導入装置は、連通管路形成部材35において、一端が被検体内導入装置の外部空間に対して開口し、他端が基板32の表面(ポンプ30が配置される側の面)において開口するよう形成された第2連通管路5と、基板32において、一端が貯蔵室33の内部に対して開口し、他端が基板32の表面において開口するよう形成された第1連通管路34とを有する。なお、本実施の形態3において、第2連通管路5の他端がポンプ30の出力部30bに対して連結され、第1連通管路34の他端がポンプ30の入力部30aに対して連結されるよう、第1連通管路34および第2連通管路5は形成される。また、実施の形態1等と同様に、第1連通管路34と第2連通管路5とは互いに平行方向に延伸するよう形成される。
本実施の形態3にかかる被検体内導入装置の動作について簡単に説明する。具体的には、ポンプ30は、制御回路7の制御に基づき駆動を開始し、入力部30a側に位置する流体を、出力部30bから出力するよう動作する。上述のように本実施の形態3においては第1連通管路34が入力部30aに対応して形成され、第2連通管路5が出力部30bに対応して形成されることから、ポンプ30が駆動を開始することによって、第1連通管路34と連通した貯蔵室33に貯蔵された流体が第1連通管路34および入力部30aを経由してポンプ30に入力され、出力部30bおよび第2連通管路5を経由して外部空間に放出されることとなる。
このように、ポンプ30を用いて被検体内導入装置を構成することとした場合であっても実施の形態1、2と同様の利点を享受することが可能である。すなわち、本実施の形態3においても第1連通管路34と第2連通管路5とは互いに平行方向に延伸した構造等を有することから、被検体内導入装置の小型化を実現することが可能である。
なお、本実施の形態3においては、少なくとも図5の例では第1連通管路34と第2連通管路5とはそれぞれ別の部材に形成されることとしたが、かかる構成により本実施の形態3における利点が損なわれるものではない。すなわち、本実施の形態3において第1連通管路34を基板32に形成することとしたのは、第1連通管路34の一方の端部がポンプ30の入力部30aと連結する必要があるために過ぎず、ポンプ30において入力部30aと出力部30bとが互いに近接した位置に配置されるよう構成した場合には、実施の形態1、2と同様に第1連通管路34を第2連通管路5と同一の部材上に形成することが可能である。また、本実施の形態3においては、被検体内導入装置の外径はポンプ30の構造等によって主として決定され、その構造上第1連通管路34はポンプ30の外周よりも被検体内導入装置の長手方向中心軸から離隔した位置に形成されることもないため、第1連通管路34を別部材上に形成することとしても被検体内導入装置が大型化することはない。
(実施の形態4)
次に、実施の形態4にかかる被検体内導入装置について説明する。本実施の形態4にかかる被検体内導入装置は、実施の形態1にかかる被検体内導入装置と同様にバルーン部材によって覆われた空間領域を貯蔵室とする一方で、バルーン部材が被検体内導入装置の外形の一部を規定する構造を有する。
図6は、本実施の形態4にかかる被検体内導入装置の構造を示すための模式的な断面図である。図6に示すように、本実施の形態4にかかる被検体内導入装置は、実施の形態1と同様の構造を有する連通調整機構6、制御回路7および電源部8を備える一方で、実施の形態1と異なる形状を有する筐体40と、貯蔵室41の外壁部分の大部分を形成するバルーン部材42とを備える。
筐体40は、実施の形態1等における筐体1とは異なり、バルーン部材42を配置する側において開口した形状を有する。かかる開口部には連通調整機構6を構成するシート保持基板6aが配置され、シート保持基板6aには第1連通管路43および第2連通管路44が形成される。
第1連通管路43は、実施の形態1における第1連通管路4と同様に、一端が貯蔵室41の内部に対して開口し、他端がシート保持基板6aの表面(シート部材6bが配置される面)において開口するよう形成される。また、第2連通管路44は、一端が外部空間に対して開口し、他端がシート保持基板6aの表面において開口するよう形成される。
バルーン部材42は、実施の形態1におけるバルーン部材3と同様に、ゴム等の弾性材料によって形成され、貯蔵室41の外壁部分の大部分を形成する一方で、被検体内導入装置の外形を規定するという点で実施の形態1と異なる構造を有する。具体的には、バルーン部材42は、筐体40の開口部近傍部分に対して端部が固定された構造を有し、内部(すなわち貯蔵室41)が第1連通管路43以外の空間領域に対して連通しないよう形成される。かかる構造を有する貯蔵室41を備えることによって、実施の形態1と同様の動作によって流体放出動作が行われる。すなわち、制御回路7によって出力される電流に基づき第1連通管路43と第2連通管路44とが連通し、バルーン部材42の収縮作用によって貯蔵室41に貯蔵された流体が第1連通管路43に流入し、第1連通管路43および第2連通管路44を経由して外部空間に放出される。
本実施の形態4にかかる被検体内導入装置では、第1連通管路43および第2連通管路44が、実施の形態1における第1連通管路4および第2連通管路5と同様に、同一部材(シート保持基板6a)に形成され、同一面(シート保持基板6aの表面)において開口するよう形成されると共に、かかる開口部が形成される端部近傍において、互いに平行方向に延伸するよう形成される。従って、かかる共通点に基づき実施の形態1等と同様の利点を享受することが可能である。
また、本実施の形態4では、バルーン部材42が被検体内導入装置の外形を規定する構造を有する。上述のように、バルーン部材42は貯蔵室41の外壁部分を形成し、流体放出動作の際には収縮することから、流体放出動作を行うことによってバルーン部材42の占有領域が減少し、最終的にはバルーン部材42は、シート保持基板6aの裏面に密着した状態となる。この結果、被検体内導入装置全体の体積は、貯蔵室41に流体が貯蔵された際と比較して減少することとなり、本実施の形態4にかかる被検体内導入装置は、流体放出後においてさらに小型化することができるという利点を有する。
(実施の形態5)
次に、実施の形態5にかかる被検体内導入装置について説明する。なお、実施の形態5以下は、第1連通管路と第2連通管路との間の連通状態を調整する機構(すなわち、実施の形態1における連通調整機構6に対応する機構)において特徴を有することから、実施の形態5以下に対応する図7以降の図面においては特徴部分を中心に模式的に示すこととする。また、第1連通管路および第2連通管路等、連通状態を調整する機構以外の部分については実施の形態1を例として説明するが、以下の説明からも明らかなように、実施の形態2等における被検体内導入装置の構造に対して図7以下に示す構造を適用することが可能であることはもちろんである。
図7は、本実施の形態5にかかる被検体内導入装置の特徴部分について示す模式図である。図7に示すように、本実施の形態5においては、押圧部材として磁性部材46を使用し、流体放出または/および流体採取を行う際に磁性部材46の位置を変化させる部材として形状記憶部材6gの代わりに電磁石47を備えた構成を有する。
磁性部材46は、所定の磁性を備えた部材によって形成されたものであり、例えば鉄等の金属材料によって形成される。なお、流体放出または/および流体採取の前後においては、磁性部材46はバネ部材6eからの弾性力によって、シート部材6bをシート保持基板6aに対して密着した状態となるよう押圧力を印加する点は実施の形態1等と同様である。
電磁石47は、流体放出等を行う際に磁性部材46の位置を変化させるためのものである。具体的には、電磁石47は所定のコイル等を備えた構造を有すると共に、制御回路7の制御に基づき電源部8から電流が供給されるよう形成され、供給された電流に基づき磁力を発生し、磁性部材46をシート部材6bから離隔する方向に移動させる機能を有する。
また、磁性部材46とシート部材6bは、接着等によって一体化することとしても良い。かかる構成を採用することによって、磁性部材46が電磁石47に吸引された際にシート部材6bも一緒に動くため、第1連通管路と第2連通管路との間の連通をより確実に実現することが可能である。
(実施の形態6)
次に、実施の形態6にかかる被検体内導入装置について説明する。本実施の形態6にかかる被検体内導入装置は、押圧部材に相当する部材に関して、位置変化によりシート部材6bに対する押圧力を変化させるのではなく、形状変化によって押圧力を変化させる構造を有する。
図8は、本実施の形態6にかかる被検体内導入装置の特徴部分について示す模式図である。図8に示すように、本実施の形態6では、制御回路7の制御に基づき形状が変化する形状可変部材49を備えた構造を有し、電源部8から供給される電流が形状可変部材49に対して直接供給される構成を有する。
形状可変部材49は、供給される電流に応じて形状が変化する材料、例えばピエゾ素子、導電性ポリマー等によって形成される。具体的には、形状可変部材49は、シート部材6bに接触する面と対向する面が筐体1に対して固定されると共に、電流非供給時にはシート部材6bに対して充分な押圧力を印加し、電流供給時にはシート部材6bに対する押圧力が減少または0となるよう被検体内導入装置の長手方向に関する長さが減少した形状となるという特性を有する。形状可変部材49がかかる形状変化特性を有することによって、本実施の形態6にかかる被検体内導入装置は、制御回路7を介した電流供給の際に第1連通管路4と第2連通管路5との間を連通させることが可能となる。
図9は、本実施の形態6にかかる被検体内導入装置の動作を説明するための模式図である。図9に示すように、制御回路7を介して電源部8からの電流が供給されることによって被検体内導入装置の長手方向に関する形状可変部材49の長さが減少することによって、シート部材6bとシート保持基板6aとの間に空隙領域が生じ、第1連通管路4と第2連通管路5との間が連通することとなる。
(実施の形態7)
次に、実施の形態7にかかる被検体内導入装置について説明する。本実施の形態7にかかる被検体内導入装置は、実施の形態1等におけるシート部材6bに代えて、供給される電流に基づき形状が変化する形状可変シートを備えた構成を有する。
図10は、本実施の形態7にかかる被検体内導入装置の特徴部分について示す模式図である。図10に示すように、本実施の形態7にかかる被検体内導入装置は、シート部材6bに代えて形状可変シート51を備え、制御回路7を介して供給される電流が形状可変シート51に対して直接供給される構成を有すると共に、押圧部材、バネ部材等が省略された構成を有する。
形状可変シート51は、構成材料が電流供給に応じて形状が変化する特性を有するものによって形成され、例えば導電性ポリマー、形状記憶合金等を材料として形成される。具体的な形状としては、電流非供給時にはシート部材6bと同様にシート保持基板6aに対して密着し、第1連通管路4および第2連通管路5の端部を他の空間領域に対して遮蔽する形状を有する一方で、電流供給がなされた際には第1連通管路4および第2連通管路5の端部が形成された領域近傍においてシート保持基板6aから離隔した形状に変化する。あるいは、形状可変シート51として、電流供給がなされた際に面積が伸展するように形状が変化し、結果として第1連通管路および第2連通管路の端部近傍に空隙を形成する部材を用いることとしても良い。
図11は、本実施の形態7にかかる被検体内導入装置の動作を説明するための模式図である。図11に示すように、制御回路7の制御によって電源部8からの電流が供給されることによって、形状可変シート51は、第1連通管路4および第2連通管路5の近傍において、シート保持基板6aから離隔するよう形状が変化する。この結果、第1連通管路4と第2連通管路5とが連通し、貯蔵室2に貯蔵された流体が第1連通管路4および第2連通管路5を経由して外部空間に放出されることとなる。
このように、供給電流に応じて形状が変化する形状可変シート51を備えることによって、本実施の形態7にかかる被検体内導入装置は、押圧部材6d、バネ部材6e、形状記憶部材6gおよびバネ基板6fを省略することが可能である。図1等を参照すれば明らかなように、これらの構成要素を省略することによって被検体内導入装置はさらに小型化することが可能となる。
(実施の形態8)
次に、実施の形態8にかかる被検体内導入装置について説明する。本実施の形態8にかかる被検体内導入装置は、実施の形態1にかかる被検体内導入装置と同様に押圧部材6d等を備える一方で、シート部材6bの代わりに連結部材を備えた構成を有する。
図12は、本実施の形態8にかかる被検体内導入装置の特徴部分について示す模式図である。図12に示すように、本実施の形態8にかかる被検体内導入装置は、シート部材6bの代わりに連結部材52を備えた構成を有する。
連結部材52は、シート部材6bと同様に水密かつ柔軟な材料によって形成され、連通管路形成部10の端部に対して固定され、押圧部材6dによる押圧力の印加がなされていない状態において第1連通管路4と第2連通管路5とを連通する一方で、他の空間領域に対して連通状態が遮断された空隙部分を内部に備えた形状を有する一方で、押圧部材6dによって押圧力が印加された際には空隙部分がつぶれるよう形状が変化する。連結部材52を備えることによって、シート部材6bを備えた場合と同様に、第1連通管路4と第2連通管路5との間の連通状態を調整することが可能である。
なお、図12に示す例では連通管路形成部10と連結部材52とが別個独立の部材によって形成される構造を採用したが、両者を一体的に構成することとしても良い。すなわち、柔軟性を有する部材を用いた連通管路形成部10および連結部材52を一体的に形成する構成を採用することとしても良く、かかる構成を採用することによって、固定部材6c等を省略することが可能となり、被検体内導入装置をさらに小型化することが可能である。
以上、本発明を実施の形態1〜8に渡って説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定して解釈するべきではなく、当業者であれば様々な実施例、変形例等に想到することが可能である。例えば、連通調整機構と連通管路形成部との関係について、図1等と異なる構造を採用することも可能である。
図13は、図1等と異なる連通調整機構を採用した被検体内導入装置の構成を示す模式的な断面図である。図13に示すように、図13に示す被検体内導入装置では、連通調整機構6に代えて所定の凹部領域を有するシート保持基板53を備えた連通調整機構54を用いることとしている。シート保持基板53は、連通管路形成部10に対応した領域に凹部領域が形成された構造を有する。具体的には、凹部領域は、連通管路形成部10が形成される被検体内導入装置の長手方向中心軸近傍に形成され、かかる凹部領域内に連通管路形成部10に形成された第1連通管路4および第2連通管路5の端部が開口するよう形成されている。また、シート保持基板6aの凹部領域であって、第1連通管路4および第2連通管路5が形成された領域近傍にはオーリング(Oリング)55が配置される。かかる構造を採用した場合であっても、実施の形態1〜8にて述べた利点を享受することが可能である。なお、図13に示す被検体内導入装置は、図3に示す実施の形態1の変形例にかかる被検体内導入装置の構造を流用したものであるが、かかる変形例以外であっても、例えば実施の形態1にかかる被検体内導入装置に対して、連通調整機構6に代えて連通調整機構54を用いることが可能であることはもちろんである。