JP4822117B2 - コンクリート構造物の耐火構造 - Google Patents

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本発明は、例えばシールドマシンで掘削したトンネル掘削面を覆う複数のコンクリート製セグメントや、ボックスカルバートなどのコンクリート部材と、互いに隣り合うコンクリート部材の目地部に設けられるシール材とを備えたトンネルなどのコンクリート構造物の耐火構造に関する。
従来、例えばシールド工法等により掘削したトンネル掘削面には、この掘削面の曲率半径と略等しい曲率半径を備えた複数の円弧状のセグメント(コンクリート部材)が周方向に連続して設けられ、周方向の掘削面を被覆して支持する環状のセグメントリング体が形成される。そして、このような周方向の掘削面を支持するセグメントリング体がトンネル軸方向に連続するように接続されて、掘削面を被覆支持するトンネルの覆工(トンネル、コンクリート構造物)が形成される。また、この種のセグメントには、一般に、コンクリート製セグメントや、鋼とコンクリートを複合した合成セグメントが用いられ、隣接するセグメント同士が一体に接合されて設置される。また、互いに隣り合うセグメント同士の端面間の目地部には、地山側(掘削した地盤の掘削面側)から地下水が侵入してトンネル内に漏水が生じないようシール材が介装される。そして、このシール材には、地下水が接触すると膨潤しセグメント同士の端面間の隙間を埋めて漏水を止水する水膨張型ゴム系シール材などの樹脂(高分子)系材料が用いられている(例えば、特許文献1参照)。
また、特に道路トンネルや鉄道トンネルなどでは、トンネル火災が発生した際に、火災による熱でセグメントが損傷されないように、トンネルの内側の部分に耐火層(耐火パネル)が設置されて耐火性が付与されている(例えば、特許文献2、特許文献3参照)。
特開2005−264466号公報 特開2004−323330号公報 特開2001−311395号公報
しかしながら、トンネル掘削面を覆うセグメント(コンクリート部材)は、上記の耐火層を備えて火災に対する耐性を有する一方で、セグメント同士の端面間の目地部に配されるゴム系のシール材の耐熱温度が一般に例えば120℃程度であるため、トンネル火災の熱によってこのシール材が損傷されてしまう。このため、火災を受けたシール材は、所要の止水性能が低下し、且つトンネル掘削面を支持する多数のセグメントの間に介装されている関係上その交換が困難で、火災後に、トンネル(コンクリート構造物)内への漏水を止水することができず、他の漏水対策を必要とするなど多大な労力を要するという問題があった。
本発明は、上記事情を鑑み、コンクリート構造物の目地部に設けられて漏水の発生を防止するシール材の火災に伴う損傷を好適に抑制することができるコンクリート構造物の耐火構造を提供することを目的とする。
上記の目的を達するために、この発明は以下の手段を提供している。
本発明のコンクリート構造物の耐火構造は、掘削した地盤の掘削面を覆うように設けられる複数のコンクリート部材と、互いに隣り合う前記コンクリート部材の端面間の目地部に設けられて該目地部からの漏水を防止するシール材とを備えたコンクリート構造物の耐火構造であって、前記コンクリート部材には、火災により前記コンクリート部材が加熱された際に前記コンクリート部材のコンクリート中の自由水を前記目地部に放出させる水分放出部が、前記目地部に一端側を開放させた状態で前記コンクリート内部に設けられ、前記水分放出部は、前記端面に開口する開口部を備え前記コンクリート内部に延びる空隙孔であることを特徴とする。
また、本発明のコンクリート構造物の耐火構造においては、掘削した地盤の掘削面を覆うように設けられる複数のコンクリート部材と、互いに隣り合う前記コンクリート部材の端面間の目地部に設けられて該目地部からの漏水を防止するシール材とを備えたコンクリート構造物の耐火構造であって、前記コンクリート部材には、火災により加熱された際に前記コンクリート部材のコンクリート中の自由水を前記目地部に放出させる水分放出部が、前記目地部に一端側を開放させた状態で前記コンクリート内部に設けられ、前記水分放出部は、前記端面に開口する開口部を備えるとともに、外面から内面に貫通し前記自由水を内部に取り込む孔を備えた有孔管であることを特徴とする。
また、本発明のコンクリート構造物の耐火構造においては、掘削した地盤の掘削面を覆うように設けられる複数のコンクリート部材と、互いに隣り合う前記コンクリート部材の端面間の目地部に設けられて該目地部からの漏水を防止するシール材とを備えたコンクリート構造物の耐火構造であって、前記コンクリート部材には、火災により加熱された際に前記コンクリート部材のコンクリート中の自由水を前記目地部に放出させる水分放出部が、前記目地部に一端側を開放させた状態で前記コンクリート内部に設けられ、前記水分放出部は、前記目地部に一端側を露出させた状態で前記コンクリートに埋設されたセラミックス部材またはスポンジ状部材の多孔質部材であることを特徴とする。
また、本発明のコンクリート構造物の耐火構造においては、前記水分放出部が、火災時に加熱される前記コンクリート部材の加熱面に対し略平行に配置されていることがより望ましい。
さらに、本発明のコンクリート構造物の耐火構造においては、前記シール材が、火災時に加熱される前記コンクリート部材の加熱面から該加熱面に対向する非加熱面に向かう厚さ方向に間隔をあけて複数配置され、前記水分放出部が、前記加熱面側に設けられた前記シール材の前記厚さ方向の前後に前記自由水を放出させるように配設されていることがさらに望ましい。
また、本発明のコンクリート構造物の耐火構造においては、前記コンクリートが、有機繊維を0.05容積%〜0.35容積%混入して形成されていることが望ましく、前記有機繊維の長さを20mm以下にすることがより望ましい。そして、前記有機繊維を混入する場合には、前記コンクリートの水セメント比あるいは水結合材比を40%以下としてもよい。
本発明のコンクリート構造物の耐火構造によれば、コンクリート部材に水分放出部が設けられていることによって、火災時にコンクリート部材が加熱されるとともに、コンクリート中の自由水を、水分放出部を通じて目地部に放出させることができ、この自由水によってシール材を低温状態に維持することが可能になる。これにより、耐熱温度が低いシール材が火災によって損傷することを抑制できる。
すなわち、コンクリート中には、約100℃で蒸発する自由水が存在しており、火災時にコンクリート(コンクリート部材)が加熱されてその一部が約100℃に達するとともに、この部分に存在する自由水がコンクリートの間隙中で蒸発することになる。このとき、自由水の蒸発に伴う体積増加によりコンクリート内部の圧力が上昇し、コンクリートの100℃に達していない部分に存在する自由水がこの内圧上昇に伴ってコンクリート中から押し出されるように移動する。そして、この移動により水分放出部に達した自由水は、一端を目地部に開放させた水分放出部を通じて目地部に放出され、放出した自由水によってシール材を低温状態に維持することが可能になる。よって、水分放出部を備えることによりシール材の火災に伴う損傷を抑制することができ、火災を受けた場合においてもシール材の止水性能を維持することが可能になる。
また、本発明のコンクリート構造物の耐火構造においては、水分放出部を、空隙孔や有孔管、多孔質部材で構成することによって、すなわちコンクリートよりも透水性が高い部分をコンクリート内部に形成することによって、確実に水分放出部に達した自由水を目地部に導水し放出させることが可能になる。これにより、上記効果を確実に得ることが可能になる。
さらに、本発明のコンクリート構造物の耐火構造においては、水分放出部が、コンクリート部材の加熱面に対し略平行に配置されていることによって、火災により直接加熱されるコンクリート部材の加熱面からコンクリート部材の内部への温度分布(等温線)と略平行に水分放出部を配することができ、且つ加熱面側から内部に向けて漸次気化した自由水によるコンクリート内部の圧力勾配の下流側に水分放出部を配置することができる。これにより、約100℃に達していない部分の自由水を確実に水分放出部に向けて移動させ、且つ水分放出部に集水させることができ、水分放出部を通じて目地部に自由水を確実に放出させることが可能になる。
また、本発明のコンクリート構造物の耐火構造においては、水分放出部が、加熱面側に設けられたシール材の厚さ方向の前後に自由水を放出するように配設されていることによって、火災時に最も受熱量が多くなって損傷が生じやすい加熱面側のシール材の損傷を抑制することができる。
さらに、本発明のコンクリート構造物の耐火構造において、コンクリート部材のコンクリートに有機繊維を0.05容積%〜0.35容積%混入した場合には、このコンクリート部材が加熱された際に、有機繊維がコンクリート内に微細な空隙をつくり、この空隙がコンクリート表層の熱膨張力や内部で膨張した気体の圧力を緩和して、コンクリート表層の剥離・飛散を防止することができる。また、このとき、有機繊維の長さを20mm以下とすることによって、上記効果を確実に得ることができる。
一方、水セメント比あるいは水結合材比が低いほど、コンクリートの強度を高くすることができる反面、コンクリートが加熱された際に、大きな内圧が生じて表層剥離などが発生しやすくなる。これに対し、上記のように有機繊維を混入することで、コンクリートの水セメント比あるいは水結合材比を40%以下の低水セメント比あるいは低水結合材比としても表層剥離などの発生を防止できるため、有機繊維の混入により高耐火性で、水セメント比あるいは水結合材比を40%以下とすることにより高強度、すなわち高耐久性のコンクリート部材を形成することが可能になる。
以下、図1及び図2を参照し、本発明の一実施形態に係るコンクリート構造物の耐火構造について説明する。本実施形態は、例えばシールド工法などによって掘削した地盤Gの掘削面T1を覆うように設けられた複数のコンクリート製セグメント(コンクリート部材)1で覆工が形成されるトンネル構造(コンクリート構造物)Tの耐火構造2に関するものである。
本実施形態のトンネル構造Tは、複数のセグメント1と、セグメント1に取り付けられたシール材3を備えて構成されている。各セグメント1は、図1に示すように、シールドマシンによって掘削した地盤Gの掘削面T1の曲率半径と略等しい曲率半径を備える円弧盤状に形成されている。そして、このように形成された複数のセグメント1は、トンネルTの掘削面T1に沿ってトンネルT周方向に連続して設けられ、周方向の掘削面T1を被覆しつつ支持する環状のセグメントリング体4を形成している。また、トンネルTの軸O1方向に、セグメントリング体4が連続するように隣接されて、シールドマシンで掘削した掘削面T1が複数のセグメント1で被覆されつつ支持されトンネルTの覆工が形成される。なお、各セグメント1は、図示せぬリング間継手とセグメント間継手によって相互に接合される。
また、本実施形態のセグメント1には、図1及び図2に示すように、隣り合うセグメント1同士の接合端面(端面)1aに内側に凹む凹部1bが形成されている。この凹部1bは、セグメント1の各端面1aに2条ずつ設けられ、各端面1aの延設方向に沿って一端から他端まで平行に延設されている。また、凹部1bは、隣り合うセグメント1の端面1a同士を接合した状態で、一方のセグメント1の凹部1bと他方のセグメント1の凹部1bが対向するように形成されている。
本実施形態のシール材3は、例えば地下水が接触すると膨潤し、互いに隣り合うセグメント1の端面1a間の目地部5を埋めて漏水を止水する断面矩形状の水膨張型ゴム系シール材などの樹脂(高分子)系材料からなり、セグメント1の各凹部1bにそれぞれ一つずつ挿入設置されている。また、各シール材3は、凹部1bから隣り合うセグメント1の端面1a側に僅かに突出するようにして設置され、凹部1bに沿って、すなわちセグメント1の各端面1aの延設方向に沿って一端から他端まで設けられている。そして、隣り合うセグメント1同士を接合した状態で、互いに対向するシール材3の露出した外面同士が密着して、対向する一対のシール材3で目地部5の隙間が埋められこの目地部5を遮断する。すなわち、本実施形態では、セグメント1の内面(トンネル内面、加熱面)1cから外面(トンネル外面、非加熱面)1dに向けたセグメント1の厚さH方向に所定の間隔をあけた2条の一対のシール材3で目地部5が遮断される。
一方、本実施形態のセグメント1には、図1及び図2に示すように、端面1aに開口する開口部10aを備えて目地部5に一端側を開放させつつセグメント1を構成するコンクリート1e内部に延設された複数の空隙孔(水分放出部)10が形成されている。また、複数の空隙孔10は、本実施形態において、セグメント1の厚さH方向に並び、且つ各端面1aの延設方向に所定の間隔をあけて並設されている。また、各空隙孔10は、火災時に加熱されるセグメント1の内面(加熱面)1cに沿って略平行に設けられている。さらに、セグメント1の厚さH方向に並ぶ空隙孔10は、セグメント1の内面1a側に設けられた一方のシール材3の厚さH方向の前後に、すなわちトンネルT内側に配された一方のシール材3の側近で、且つこの一方のシール材3を挟んでトンネルT内側と外側にそれぞれ開口部10aが配されるように設けられている。
さらに、本実施形態において、上記のように空隙孔10が設けられたセグメント1は、コンクリート1eが、例えば直径10〜200μm、長さ1〜20mmのポリアセタールやポリプロピレンなどの有機繊維を0.05容積%〜0.35容積%混入して形成されている。このようなコンクリート1eで構成したセグメント1は、例えば特開2004−323330号公報に記載されるように、火災によって加熱された際に、有機繊維が分解してコンクリート1e内に微細な空隙をつくり、この空隙がコンクリート1e表層の熱膨張力や内部で膨張した気体の圧力を緩和して、コンクリート1e表層の剥離・飛散が防止される。また、このコンクリート1eは、水セメント比あるいは水結合材比を40%以下として高強度で形成されており、この場合においても、有機繊維が混入されていることによって火災時に大きな内圧が発生し表層剥離などが生じることがない。よって、本実施形態のセグメント1は、強度が高いことによる優れた耐久性を備えつつ優れた耐火性を有する。
なお、本実施形態では、上記のコンクリート1eと空隙孔(水分放出部)10がトンネル構造Tの耐火構造2を構成している。
ついで、上記の構成からなるトンネル構造Tに具備した耐火構造2の作用及び効果について説明する。
セグメント1同士を接合し、互いに対向するシール材3をセグメント1の端面1a間の目地部5に介装した状態で掘削面T1側から地下水が侵入した場合には、目地部5がシール材3で遮断されるため、トンネルTの内側に漏水が生じることがない。
一方、トンネルT内で火災が発生した場合には、セグメント1やシール材3が加熱されることになるが、本実施形態においては、有機繊維を0.05容積%〜0.35容積%混入したコンクリート1eを備えてセグメント1が形成されていることにより、コンクリート1eが水セメント比あるいは水結合材比を40%以下として高強度で形成された場合でも、コンクリート1e表層の剥離・飛散が防止され、セグメント1が損傷されることがない。
また、図2に示すように、火災時に内面1cが高温の熱Sに曝されたセグメント1には、その内部に、内面1c側から外面1d側(加熱面1c側から非加熱面1d側)に向けて内面1cに略平行する等温線を有した温度勾配が形成される。さらに、セグメント1のコンクリート1e中には、約100℃で蒸発する自由水が存在しているため、火災時にコンクリート1eが加熱されて内面1c側の部分が約100℃に達するとともに、この部分に存在する自由水がコンクリート1eの間隙中で蒸発する。このとき、自由水は、蒸発に伴ってその体積が増加するため、この部分のコンクリート1e内部の圧力が上昇する。そして、コンクリート1eの100℃に達していない外面1d側の部分に存在する自由水がこの内圧上昇に伴ってコンクリート1e中から押し出されるように移動する。
このとき、セグメント1内の温度勾配が内面1c側から外面1d側に向けて形成され、且つ内面(加熱面)1cに略平行する等温線を有するように形成されるため、さらに、この等温線と略平行に空隙孔10が配設されているため、コンクリート1eの内圧上昇に伴ってコンクリート1e内を移動する自由水は、コンクリート1e内に生じた圧力勾配の下流側に位置する空隙孔10に向けて移動することになる。そして、移動する自由水が空隙孔10に達するとともにこれに集水され、この空隙孔10内を流通した自由水が、開口部10aに達するとともに目地部5に放出される。
また、本実施形態では、セグメント1の厚さH方向に並ぶ一対の空隙孔10が、火災時に最も受熱量が多くなるトンネル内面1c側の一方のシール材3の厚さH方向の前後にそれぞれ開口部10aを配置して設けられているため、各開口部10aから放出した自由水は、一方のシール材3の近傍に放出され、この一方のシール材3の温度を低温状態に維持する。
したがって、本実施形態のトンネル構造Tの耐火構造2によれば、セグメント1に空隙孔(水分放出部)10が設けられていることによって、火災時に、セグメント1が加熱されるとともにコンクリート1e中の自由水を目地部5に放出して、シール材3を低温状態に維持することができる。これにより、耐熱温度が低いシール材3が火災によって損傷することを抑制できる。
また、このような空隙孔10が、セグメント1の内面1cに対し略平行に配置されていることによって、約100℃に達していない部分の自由水を確実に空隙孔10に向けて移動させることができ、且つ空隙孔10に集水させることができ、確実に空隙孔10を通じて目地部5に自由水を放出させることができる。
さらに、空隙孔10が、内面1c側に設けられたシール材3の厚さH方向の前後に自由水を放出するように配設されていることによって、火災時に最も受熱量が多くなり損傷が生じやすい内面1c側のシール材3の損傷を確実に抑制することができる。
また、セグメント1のコンクリート1eに長さ20mm以下の有機繊維が0.05容積%〜0.35容積%混入されることによって、コンクリート1eの水セメント比あるいは水結合材比を40%以下として高強度で形成された場合(高耐久性を付与した場合)でも、シール材3とともにセグメント1の耐火性を向上させることができ、これらを備えたトンネル構造Tに優れた耐火性を付与することが可能になる。
以上、本発明に係るコンクリート構造物の耐火構造の実施形態について説明したが、本発明は上記の一実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、本実施形態では、コンクリート構造物がトンネル構造Tであるものとして説明を行なったが、本発明は、例えば地盤Gを開削してその掘削面T1を覆うように設置するボックスカルバートをコンクリート部材1としたコンクリート構造物Tに適用してもよく、この場合には、隣り合うボックスカルバートの端面1a間の目地部5に自由水を放出させるように空隙孔(水分放出部)10を設けることで、本実施形態と同様にシール材3の火災による損傷を抑制することができる。よって、本発明は、地盤Gの掘削面T1を覆う複数のコンクリート部材1と、互いに隣り合うコンクリート部材1の目地部5に設けられるシール材3とを備え、火災によりコンクリート部材1やシール材3が損傷される可能性があるコンクリート構造物であれば、トンネル構造Tへの適用に限定される必要はない。
また、本実施形態では、内面1c側の一方のシール材3の前後にそれぞれ1本ずつの空隙孔10が配置されるように水分放出部を形成して、火災時に最も受熱量が多くなり損傷を生じやすいこの一方のシール材3を保護するものとしたが、目地部5に介装されて漏水を防止するシール材3の火災による損傷を抑制することが可能であれば、水分放出部の設置位置や設置数、形状は特に限定を必要とするものではない。
また、水分放出部は空隙孔10に限定されるものではなく、例えば、図3に示すように、外面から内面に貫通する複数の孔20aを備えた有孔管20を、コンクリート部材1の端面1aに、開口する一端(開口部20b)を開放させつつコンクリート部材1の内部に埋設状態で設置して、水分放出部が形成されてもよいものである。この場合には、コンクリート部材1の加熱面1cが熱Sに曝されてコンクリート1e内部の自由水が蒸発するとともに有孔管20側に押し出されるように移動する自由水が、複数の孔20aを通じて有孔管20内に集水される。そして、有孔管20内を流通した自由水が開口部20aから目地部5に放出されることで、本実施形態と同様にシール材3が熱Sから保護される。
さらに、これに関連して、例えば図4に示すように、棒状または板状に形成したセラミックス部材やスポンジ状部材の多孔質部材30を、その一端側を目地部5に露出させた状態でコンクリート部材1に埋設して水分放出部が形成されてもよく、この場合においても、コンクリート部材1よりも透水性が高いこの多孔質部材30を通じて、自由水を目地部5に放出させることができ、やはり本実施形態と同様にシール材3を火災時の熱Sから保護することができる。
また、本実施形態では、コンクリート部材(セグメント)1のコンクリート1eに長さ20mm以下の有機繊維が0.05容積%〜0.35容積%混入され、且つコンクリート1eの水セメント比が40%以下とされているものとしたが、少なくともコンクリート1eに有機繊維が0.05容積%〜0.35容積%混入されていれば、コンクリート部材1の耐火性を向上させることができる。また、コンクリート1eに有機繊維を混入していないコンクリート部材1に水分放出部を設けてシール材3の損傷を抑制するように構成してもよい。
本発明の一実施形態に係る耐火構造を備えたコンクリート構造(トンネル構造)を示す斜視図である。 図1のX−X線矢視図である。 本発明の一実施形態に係るコンクリート構造の耐火構造の変形例を示す断面図である。 本発明の一実施形態に係るコンクリート構造の耐火構造の変形例を示す断面図である。
符号の説明
1 セグメント(コンクリート部材)
1a 端面
1c 内面(加熱面)
1d 外面(非加熱面)
1e コンクリート
2 耐火構造
3 シール材
5 目地部
10 空隙孔(水分放出部)
10a 開口部
20 有孔管(水分放出部)
20a 孔
20b 開口部
30 多孔質部材(水分放出部)
G 地盤
T トンネル構造(コンクリート構造物)
T1 掘削面
S 熱

Claims (8)

  1. 掘削した地盤の掘削面を覆うように設けられる複数のコンクリート部材と、互いに隣り合う前記コンクリート部材の端面間の目地部に設けられて該目地部からの漏水を防止するシール材とを備えたコンクリート構造物の耐火構造であって、
    前記コンクリート部材には、火災により加熱された際に前記コンクリート部材のコンクリート中の自由水を前記目地部に放出させる水分放出部が、前記目地部に一端側を開放させた状態で前記コンクリート内部に設けられ
    前記水分放出部は、前記端面に開口する開口部を備え前記コンクリート内部に延びる空隙孔であることを特徴とするコンクリート構造物の耐火構造。
  2. 掘削した地盤の掘削面を覆うように設けられる複数のコンクリート部材と、互いに隣り合う前記コンクリート部材の端面間の目地部に設けられて該目地部からの漏水を防止するシール材とを備えたコンクリート構造物の耐火構造であって、
    前記コンクリート部材には、火災により加熱された際に前記コンクリート部材のコンクリート中の自由水を前記目地部に放出させる水分放出部が、前記目地部に一端側を開放させた状態で前記コンクリート内部に設けられ、
    前記水分放出部は、前記端面に開口する開口部を備えるとともに、外面から内面に貫通し前記自由水を内部に取り込む孔を備えた有孔管であることを特徴とするコンクリート構造物の耐火構造。
  3. 掘削した地盤の掘削面を覆うように設けられる複数のコンクリート部材と、互いに隣り合う前記コンクリート部材の端面間の目地部に設けられて該目地部からの漏水を防止するシール材とを備えたコンクリート構造物の耐火構造であって、
    前記コンクリート部材には、火災により加熱された際に前記コンクリート部材のコンクリート中の自由水を前記目地部に放出させる水分放出部が、前記目地部に一端側を開放させた状態で前記コンクリート内部に設けられ、
    前記水分放出部は、前記目地部に一端側を露出させた状態で前記コンクリートに埋設されたセラミックス部材またはスポンジ状部材の多孔質部材であることを特徴とするコンクリート構造物の耐火構造。
  4. 請求項1から請求項3のいずれかに記載のコンクリート構造物の耐火構造において、
    前記水分放出部が、火災時に加熱される前記コンクリート部材の加熱面に対し略平行に配置されていることを特徴とするコンクリート構造物の耐火構造。
  5. 請求項1から請求項4のいずれかに記載のコンクリート構造物の耐火構造において、
    前記シール材が、火災時に加熱される前記コンクリート部材の加熱面から該加熱面に対向する非加熱面に向かう厚さ方向に間隔をあけて複数配置され、
    前記水分放出部が、前記加熱面側に設けられた前記シール材の前記厚さ方向の前後に前記自由水を放出させるように配設されていることを特徴とするコンクリート構造物の耐火構造。
  6. 請求項1から請求項5のいずれかに記載のコンクリート構造物の耐火構造において、
    前記コンクリートが、有機繊維を0.05容積%〜0.35容積%混入して形成されていることを特徴とするコンクリート構造物の耐火構造。
  7. 請求項記載のコンクリート構造物の耐火構造において、
    前記有機繊維の長さが20mm以下であることを特徴とするコンクリート構造物の耐火構造。
  8. 請求項6または請求項7に記載のコンクリート構造物の耐火構造において、
    前記コンクリートの水セメント比あるいは水結合材比が40%以下であることを特徴とするコンクリート構造物の耐火構造。
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