JP4821606B2 - 効率的にL−グルタミン酸を生産するためのプロモーター変異による細菌のsucAB発現の最適化 - Google Patents
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Description
Appl. Environ. Microbiol., 1998, 64, No.1. 82-87 Biotechnol. Bioeng., 1998, 58,
2-3, 191-5)。ライブラリーは、−35から−15までの位置においてコンセンサス配列間に無作為化スペーサーを有する38個のオリゴヌクレオチドから構成される。得られたプロモーターの強度を評価するために、ライブラリーからのオリゴヌクレオチドが、β−ガラクトシダーゼを含む発現ベクターpAK80にクローニングされた。人工プロモーターの大部分が非常に弱く(500以下)、それらのうちたった3つが、約2,000相対ユニットの強度を有することが示された。しかし、合成プロモーターのライブラリーに関する実用的な応用は開示されていない。
、L−プロリン、L−グルタミン、L−ロイシンなどのL−グルタミン酸に由来するL−アミノ酸を生産する方法、L−リシン、L−イソロイシン、L−バリン、L−ヒスチジン、L−アスパラギン酸、L−アラニン、L−チロシンおよびL−フェニルアラニンのような、その生合成においてアミノ基の供与体としてL−グルタミン酸を必要とするL−アミノ酸を生産する方法、および核酸を生産する方法を提供する。
本発明の方法は、細菌内の炭素の流れの分布に影響を及ぼし、結果としてL−アミノ酸生産に影響を及ぼす標的遺伝子を最適レベルに発現するL−アミノ酸生産細菌を得ることを包含し、これは、(1)細菌染色体に、上記標的遺伝子自身の調節配列の代わりに、上記標的遺伝子発現用の調節配列を含むin vitroで構築したDNAフラグメントのセットを導入すること、および(2)所望の表現型を有する細菌を選択することを包含する。
。かかる遺伝子の例としては、解糖または窒素同化作用遺伝子、ペントースサイクル遺伝子、TCAサイクル遺伝子等が挙げられるが、これらに限定されない。より具体的には、例としては、グルタミン酸デヒドロゲナーゼ、グルタミンシンテターゼ、グルタミン酸シンターゼ、イソクエン酸デヒドロゲナーゼ、アコニット酸ヒドラターゼ、クエン酸シンターゼ、ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ、ピルビン酸デヒドロゲナーゼ、ピルビン酸キナーゼ、ホスホエノールピルビン酸シンターゼ、エノラーゼ、ホスホグリセロムターゼ、ホルホグリセリン酸キナーゼ、グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ、トリオースリン酸イソメラーゼ、フルクトース二リン酸アルドラーゼ、ホスホフルクトキナーゼ、グルコースリン酸イソメラーゼ、グルタミン−オキソグルタル酸アミノトランスフェラーゼ、イソプロピルリンゴ酸シンターゼ等が挙げられるが、これらに限定されない。L−アミノ酸の生合成経路、核酸およびそれらの前駆体に関与する細菌遺伝子もまた包含される。
技術分野でより高度な技術を必要とし、科学的推測または洞察に基づく調節配列の選択は、所望の結果または最適な結果を導き得ないこともありうる。さらに、種々の酵素活性レベルを有する限定された量の突然変異体を調製することは、かかる突然変異体は伝統的には1つずつ調製されることから、複雑でかつ時間を消費する。対照的に、本発明の方法は好適なことに、標的遺伝子に関して広範囲の発現レベルを有する細菌細胞の集団を生成する、染色体への人工または天然DNAフラグメントの組込みの単純かつ明快な一段階プロセスを提供する。例えば、化学的に合成した調節配列のある特定の領域における4個のヌクレオチドの無作為化は、44個、すなわち256個の理論的に考え得る領域の変異体を提供する。
本発明の細菌は、L−アミノ酸生産に影響を及ぼす遺伝子を最適レベルに発現するL−アミノ酸生産細菌である。かかる細菌は、本発明の方法により得られる。
セミアルデヒドデヒドロゲナーゼ、グルタミン酸5−キナーゼ)をコードする天然型遺伝子を有するRSF1010レプリコンの誘導体である。sucAB遺伝子発現の最適化は、本発明の方法により実施される。組換え株702ilvA[pAYCTER1−cpg]は、スレオニンデアミナーゼを欠損しており、生育のためにL−イソロイシンを要し、かつ培養中にL−プロリンおよびL−グルタミン酸を生産することが可能である。
L−アミノ酸を製造する方法は、培地中で本発明の細菌を培養し、培地中にL−アミノ酸を蓄積させる工程、および上記培地からL−アミノ酸を採取する工程を含む方法である。より具体的には、L−アミノ酸の製造方法は、培地中で本発明の細菌を培養し培地中にL−グルタミン酸を蓄積させる工程、および上記培地からL−グルタミン酸を採取する工程を含むL−グルタミン酸の製造方法を包含する。同様に、L−アミノ酸を生産する方法は、培地中で本発明の細菌を培養し培地中にL−グルタミン、L−アルギニン、L−プロリンまたはL−ロイシンを蓄積させる工程、および上記培地からL−グルタミン、L−アルギニン、L−プロリンまたはL−ロイシンを採取する工程を含む、L−グルタミン、L−アルギニン、L−プロリンまたはL−ロイシンの製造方法を包含する。
本発明は、以下の非限定的な実施例を参照して、より具体的に説明される。
「Red媒介性組換え(Red-mediated recombination)」または「Red駆動型組込み(Red-driven integration)」とも呼ばれるDatsenko, K.A. and Wanner, B.L. (Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 97,6640-6645,2000)に記載された方法により、エシェリヒア・コリに由来するlacZ遺伝子のシャイン−ダルガーノ配列(SD配列)に連結させた改変Ptac *−プロモーターを、天然型領域に代えて、sucABコード領域の上流で、エシェリヒア・コリ株702ilvA[pAYCTER−cpg]の染色体に組み込んだ。改変Ptac *−プロモーターは、21bpのラクトースオペレーター(Olac)の最初の11bpのみを含んでおり、特異的なDNA−タンパク質相互作用に必須のヌクレオチドの非存在により、ラクトースレプレッサーと相互作用することができない。また、クロラムフェニコール耐性遺伝子(CmR、またはcat)を含む人工DNAフラグメントを
、改変Ptac *−プロモーターの5’部分に連結させ、細菌染色体の相当する領域へ選択的に組込んだ。人工DNAフラグメントの構築の方法を図1に表す。sucAB遺伝子の上流に位置する置換された天然型領域の塩基配列を配列表(配列番号1)に示す。
GeneAmp PCRシステムを用いて行った。反応混合物は、総容量50μlとし、10×PCR緩衝液(「Fermentas」、リトアニア)を5μl、MgCl2を最終濃度1.5mMまで添加し、dNTPをそれぞれ200μM、プライマーをそれぞれ400nMおよびTaq−ポリメラーゼ(「Fermentas」、リトアニア)を2U加えた。PCR増幅に添加した鋳型DNAの量は、標的DNAフラグメント0.2ngを生じるように算出した。PCRの温度プロフィールは、以下の通りであった:95℃で5分の初期のDNA変性、続いて95℃で30秒の変性、55℃で30秒のアニーリング、72℃での伸長を20サイクル;72℃で2分の最終的な重合。伸長時間は、Taq−ポリメラーゼに関する製造業者の指示に従って、かつ所望の増幅DNAフラグメントの長さに応じて選択した。実施例では、伸長時間は1.5分であった。
の染色体DNAを用い、PCR産物のさらなるクローニングおよび構築に適した制限部位を隣接したプライマーを用いたPCRのような標準的な方法によりエシェリヒア・コリ株K−12からクローニングすることができる。pAYCTER3ベクターは、pAYC32の誘導体であり、中程度のコピー数であり、プラスミドRSF1010に基づいて構築された非常に安定なベクターであり(Christoserdov, A.Y., Tsygankov, Y.D., Plasmid, 1986, v. 16, pp. 161-167)、ストレプトマイシン耐性マーカーを含む。pAYCTER3ベクターは、以下のように、pAYC32プラスミドに、そのプロモーターに代わって、pUC19プラスミド由来のポリリンカーおよび強力なターミネーターrrnBを導入することにより構築された。まず、pUC19プラスミド由来のポリリンカーは、配列番号6および7で表されるプライマーを用いたPCRにより得られた。得られたPCR産物をEcoRIおよびBglII制限エンドヌクレアーゼで処理した。ターミネーターrrnBもまた、配列番号8および9で表されるプライマーを用いたPCRにより得られた。得られたPCR産物をBglIIおよびBclI制限エンドヌクレアーゼで処理した。次に、これらの2つのDNAフラグメントを、EcoRIおよびBclI制限エンドヌクレアーゼであらかじめ処理したpAYC32プラスミドに連結させた。このようにして、pAYCTER3プラスミドが得られた。
培養を行い、42℃で一晩生育させて、熱感受性「ヘルパー」プラスミドpKD46を脱落させた。702ilvA[pAYCTER1−cpg]株から選択されたApSCmRSmRクローン中において、sucAB遺伝子の天然調節領域の上記in vitroで構築された人工DNAフラグメントによる置換をPCRで確認した。
L-寒天プレートからの各株702ilvA[pAYCTER1−cpg]および702ilvAtac*[pAYCTER1−cpg]の1掻き分を、10g/l トリプトン、5g/l 酵母抽出物、4g/l NaClおよび組換えプラスミドpAYCTER1−cpgの安定化用の25μg/ml ストレプトマイシンを含有する培地75mlを入れたエルレンマイヤーフラスコに接種して、攪拌しながら(回転速度:140rpm)37℃で6時間インキュベートした。次に、得られた培養物50mlをJar発酵器(「Marubishi」、日本)に接種した。Jar発酵器用の培地(総容量500ml)は、100g/l グルコース、2g/l (NH4)2SO4、1g/l KH2PO4、0.4g/l MgSO4・7H2O、0.01g/l FeSO4・7H2O、0.01g/l MnSO4・5H2O、0.2g/l L−イソロイシン、ダイズ加水分解産物(総窒素0.2g/l)、0.0004g/l チアミン・HClから構成される(pH6.7)。発酵工程では、35℃にて900rpmで攪拌通気し、pHは、NH4OH溶液を添加することにより維持した。
3664-3668)。データを表1に示す。
無作為化「−35」領域を含む人工調節配列セットは、合成プライマーP1(配列番号2)およびPS(配列番号10)ならびに鋳型プラスミドpDR540を用いたPCRにより得られた。プライマーPS(配列番号10)は、51個のヌクレオチドを有し、該配列中で「n」という文字で表される4個のランダムヌクレオチドを有する領域を有する。得られた人工DNAフラグメントは、無作為化領域およびクロラムフェニコール耐性遺伝子(CmR)を有するハイブリッド調節配列を含んでいた。染色体へのこのフラグメントの組込みは、実施例1に記載した方法で実施した。
クローン2および21を用いた発酵、L−グルタミン酸およびL−プロリン量の測定、ならびにα−ケトグルタル酸デヒドロゲナーゼ活性の測定を、実施例2に記載するようにして行った。
株は、好ましくは、コハク酸、リシンまたはメチオニンのようなさらなるサプリメントを含有せず、かつ炭素源としてグルコースを有する最小培地で良好に生育する能力を保有するであろう。表1でわかるように、Ptac−2またはPtac−21プロモーターを含む選択された株に関して標準的な発酵条件下での培養により達成された光学密度は、野生型Psucプロモーター領域を含む株よりもほんのわずかに低かった。
表1からわかるように、人工プロモーターPtac−21は、最小のα−ケトグルタル酸デヒドロゲナーゼ活性を提供し、最良のL−グルタミン酸生産をもたらした。TCAサイクルに関与するSucAB酵素の活性の減少により、TCAサイクルにおけるアセチル−CoAの消費が減少される。アセチル−CoAは、L−ロイシンの前駆体であり、その結果アセチル−CoAの変更されたプールをL−ロイシン生合成に使用することができ、したがってL−ロイシン生産にプラスの影響を与えると考えられる。
L−ロイシン生産株であるL−ロイシン生産エシェリヒア・コリ株57(VKPM B−7386、ロシア国特許第2140450号)のみで見られたため、その生産性はさらに改善された。株57は、試験管発酵で1.5〜1.7g/lのL−ロイシンを生産する。上述したように、この目的で、ロイシン栄養要求性は、P1ファージにより、エシェリヒア・コリ株C600(leu−)(Appleyard R.K., Genetics, 39, 440-452 (1954))から株57の染色体へ導入された。続いて、株57(leu−)におけるロイシンの欠損を、ドナーエシェリヒア・コリ株55由来のleuA*BCD遺伝子によるP1形質導入によって補完した。株55は、leuA*遺伝子を保有し、これはロイシンによるフィードバック阻害を免れた変異型α−イソプロピルリンゴ酸シンターゼをコードする(ロシア国特許第2201454号)。株57leuA*において分岐鎖アミノ酸トランスアミナーゼの活性をコードするilvE遺伝子を不活性化し、さらに、得られた株57leuA*ilvE−において、tyrBでコードされる芳香族アミノ酸トランスアミナーゼの活性を、組換えプラスミドpACYC−tyrBによる形質転換により高めた(ロシア国特許出願第2002116773号)。得られた株57leuA*ilvE−/pACYC−tyrBは、試験管発酵で約9g/lのL−ロイシンを生産した。
となく、様々な変更を行うことができ、また等価物を使用することができることは当業者に明らかであろう。外国の優先権文書であるRU2003136412号を含む本明細書中で引用した参照文献はすべて、その全体が参照により本願の一部として援用される。
Claims (5)
- sucAB遺伝子を最適レベルに発現し、L−プロリンおよびL−ロイシンからなる群から選択されるL−アミノ酸を生産するエシェリヒア・コリを得る方法であって、以下の工程:
(1)エシェリヒア・コリの染色体において、sucAB遺伝子自身のプロモーターの代わりにsucAB遺伝子発現用のプロモーターを含むin vitroで構築されたDNAフラグメントのセットを導入する工程、および
(2)親株よりも大量に前記L−アミノ酸を生産する能力を有するエシェリヒア・コリを選択する工程を含む方法。 - 前記in vitroで構築されたDNAフラグメントのセットは、無作為化配列を有するプロモーターを含む、請求項1に記載の方法。
- 前記in vitroで構築されたDNAフラグメントのセットは、既知の配列を有するプロモーターから構成される、請求項1に記載の方法。
- sucAB遺伝子を最適レベルに発現し、L−グルタミン酸、L−グルタミン、L−アルギニン、およびL−ロイシンからなる群から選択されるL−アミノ酸を生産するエシェリヒア・コリであって、sucAB遺伝子のプロモーターの−35領域の配列が、配列番号10において24番目から27番目の塩基がAGATまたはTTGCである配列を含む、エシェリヒア・コリ。
- L−グルタミン酸、L−グルタミン、L−アルギニン、およびL−ロイシンからなる群から選択されるL−アミノ酸を製造する方法であって、培地中で請求項4に記載のエシェリヒア・コリを培養し、該培地中に前記L−アミノ酸を蓄積させる工程、および前記培地から前記L−アミノ酸を採取する工程を含む方法。
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