ところで、情報処理装置では、蛍光灯下で撮影することにより青色側によった色合いになるなどの色かぶり状態で圧縮保存された画像データや、逆光で撮影し圧縮保存された画像データなどを、展開(解凍)して画像データの内容を解析し画質を補正する画質補正情報を生成し、この情報を用いて画像データを補正して印刷することにより、色かぶり画像や逆光画像をよりきれいな画像として印刷することがある。このような場合に、補正処理した画像を表示しようとすると、ユーザが画質補正した画像を表示する指示を行ったのちに、補正処理を開始するため、補正処理された画像を迅速に表示することができないことがあった。
本発明は、このような課題に鑑みなされたものであり、補正処理された画像をより迅速に表示することができる情報処理装置及び情報処理方法を提供することを目的とする。
本発明は、上述の目的を達成するために以下の手段を採った。
本発明の情報処理装置は、
印刷に用いられる情報を処理する情報処理装置であって、
画像を表示可能な表示手段と、
情報を記憶可能な記憶手段と、
画像ファイルに含まれる画像データを取得可能な画像取得手段と、
画像データに所定の補正処理を施した補正済画像データを前記表示手段に表示させる旨の表示指示をユーザから取得可能な表示指示取得手段と、
1又は2以上の補正処理のうちいずれかの補正処理を画像データに実行可能な画像補正手段と、
前記表示指示取得手段が前記表示指示を取得するのに先んじて、画像ファイルから画像データを取得するよう前記画像取得手段を制御し、該取得した画像データに前記補正処理を施すよう前記画像補正手段を制御し、該補正処理された補正済画像データを前記画像データを取得した画像ファイルに対応付けて記憶するよう前記記憶手段を制御する制御手段と、
を備えたものである。
この情報処理装置では、画像データに所定の補正処理を施した補正済画像データを表示させる旨の表示指示を取得するのに先んじて、画像ファイルから画像データを取得し、この取得した画像データに1又は2以上の補正処理のうちいずれかの補正処理を施し、この補正処理された補正済画像データを画像ファイルに対応付けて記憶する。このように、ユーザが表示指示を行う前に、画像データに補正処理を行って記憶しておくのである。したがって、補正処理された画像をより迅速に表示することができる。なお、前記制御手段は、前記表示指示取得手段が前記表示指示を取得したときには、前記表示指示された補正済画像データを読み出すよう前記記憶手段を制御し、該読み出した補正済画像データに基づく画像を表示するよう前記表示手段を制御するものとしてもよい。
本発明の情報処理装置において、前記制御手段は、予め定められた前記2以上の補正処理のうち前記表示指示される頻度が高いものから順に優先的に補正処理を実行するよう前記画像補正手段を制御するものとしてもよい。こうすれば、表示指示されることの多い補正済画像データを作成しておくため、補正処理された画像をより迅速に表示することができる。ここで、「頻度が高い」か否かは、予め経験的に求めてもよいし、補正済画像データを表示指示した頻度を補正処理ごとに記憶することにより実測値として求めてもよい。
本発明の情報処理装置において、前記制御手段は、予め定められた前記2以上の補正処理のうち処理時間が長いものから順に優先的に補正処理を実行するよう前記画像補正手段を制御するものとしてもよい。こうすれば、表示指示したあとで補正処理を始めるのに比べてより短時間で補正処理された画像を表示することができる。
本発明の情報処理装置において、前記制御手段は、複数の補正処理のうち画像データを解析して得られた画質補正情報を利用して該画像データの画質を補正する画質補正処理を優先的に実行するよう画像補正手段を制御するものとしてもよい。画質補正処理は、画像データを解析する時間などが必要でありその処理に時間がかかると共に、画像の表示では比較的利用される頻度が高いことから、より優先的に行う意義が高い。ここで、「補正処理」は、画質補正処理のほか、ユーザからの補正指示の情報を加味した画質補正処理や、撮影時に記録された撮影情報を加味した画質補正処理、モノクロ処理、セピア処理、ブライトネス変更処理、シャープネス変更処理、コントラスト変更処理などを含むものとしてもよい。
本発明の情報処理装置において、前記制御手段は、前記表示指示取得手段が前記表示指示を取得するのに先んじて画像ファイルから画像データを取得するに際して、前記表示手段に表示されている画像のうち画像選択用のカーソルが配置されているがまだ選択されていない画像に対応する画像ファイルに含まれる画像データを取得するよう前記画像取得手段を制御するものとしてもよい。こうすれば、表示指示される可能性の高い画像データの補正処理を行うため、表示指示に先んじて行う補正処理を比較的確実に利用することができ、ひいては、表示処理の迅速性を高めることができる。このとき、前記制御手段は、前記表示手段に表示されている画像のうち画像選択用のカーソルが配置されているがまだ選択されていない画像に対応する画像ファイルに含まれる画像データに前記補正処理を施すよう前記画像補正手段を制御しているときに、他の画像に画像選択用のカーソルが配置されたときには、前記補正処理を中断し該カーソルが配置された画像に対応する画像ファイルに含まれる画像データへの前記補正処理の実行を開始するものとしてもよい。こうすれば、次に表示指示される可能性の高い画像データの処理へ比較的迅速に移行することができる。
本発明の情報処理装置において、前記制御手段は、前記補正済画像データを前記画像データを取得した画像ファイルに対応付けて記憶する際に、前記記憶手段の空き容量が所定の許容量を下回っているときには、前記画像補正手段が補正可能な補正済画像データのうち最も表示指示頻度の低い補正済画像データから破棄するよう前記記憶手段を制御するものとしてもよい。こうすれば、表示指示される頻度の高い補正済画像データが保持され、あとで利用可能であるため、補正済画像データの破棄及び生成の処理の負荷を低減することができる。あるいは、前記制御手段は、前記補正済画像データを前記画像データを取得した画像ファイルに対応付けて記憶する際に、前記記憶手段の空き容量が所定の許容量を下回っているときには、前記表示手段に表示されている画像のうち画像選択用のカーソルが配置されている画像から最も遠い画像に対応する補正済画像データから破棄するよう前記記憶手段を制御するものとしてもよい。こうすれば、すぐに表示指示される可能性の低いデータから破棄するため、補正済画像データの破棄及び生成の処理の負荷を低減することができる。
本発明の情報処理装置は、印刷媒体へ画像を印刷可能な印刷手段、を備え、前記画像補正手段は、前記印刷媒体への印刷に適したサイズの印刷用画像データに前記補正処理を実行可能であり、前記制御手段は、前記画像補正手段が補正処理を実行したあとの前記印刷用画像データを用いて前記印刷媒体へ印刷するよう前記印刷手段を制御するものとしてもよい。こうすれば、補正処理が施され、表示手段に表示されている補正済画像データと同じ画像となるように印刷用画像データの印刷を行うことができる。
本発明の情報処理方法は、
画像を表示可能な表示手段と、情報を記憶可能な記憶手段と、を備え、印刷に用いられる情報を処理する情報処理装置を利用した情報処理方法であって、
画像ファイルに含まれる画像データを取得可能な画像取得手段と、
画像データに所定の補正処理を施した補正済画像データを前記表示手段に表示させる旨の表示指示をユーザから取得可能な表示指示取得手段と、
1又は2以上の補正処理のうちいずれかの補正処理を画像データに実行可能な画像補正手段と、
(a)画像データに所定の補正処理を施した補正済画像データを前記表示手段に表示させる旨の表示指示を取得するのに先んじて、画像ファイルに含まれる画像データを取得するステップと、
(b)前記ステップ(a)で取得した画像データに1又は2以上の補正処理のうちいずれかの補正処理を施すステップと、
(c)前記ステップ(b)で補正処理された補正済画像データを前記画像データを取得した画像ファイルに対応付けて前記記憶手段に記憶するステップと、
を含むものである。
この情報処理方法では、画像データに所定の補正処理を施した補正済画像データを表示させる旨の表示指示を取得するのに先んじて、画像ファイルから画像データを取得し、この取得した画像データに1又は2以上の補正処理のうちいずれかの補正処理を施し、この補正処理された補正済画像データを画像ファイルに対応付けて記憶する。このように、ユーザが表示指示を行う前に、画像データに補正処理を行って記憶しておくのである。したがって、補正処理された画像をより迅速に表示することができる。なお、この情報処理方法において、上述した情報処理装置の種々の態様を採用してもよいし、また、上述した情報処理装置の各機能を実現するようなステップを追加してもよい。
本発明のプログラムは、上述した情報処理方法の各ステップを1又は複数のコンピュータに実現させるためのものである。このプログラムは、コンピュータが読み取り可能な記録媒体(例えばハードディスク、ROM、FD、CD、DVDなど)に記録されていてもよいし、伝送媒体(インターネットやLANなどの通信網)を介してあるコンピュータから別のコンピュータへ配信されてもよいし、その他どのような形で授受されてもよい。このプログラムを一つのコンピュータに実行させるか又は複数のコンピュータに各ステップを分担して実行させれば、上述した情報処理方法の各ステップが実行されるため、該情報処理方法と同様の作用効果が得られる。
次に本発明を具現化した一実施形態について説明する。図1は本発明の一実施形態であるプリンタ20の構成の概略を示す構成図であり、図2はプリンタ20のコントローラ21の機能構成の一例を示すブロック図である。本実施形態のプリンタ20は、装置全体の制御を司るコントローラ21と、携帯用の記憶媒体であるメモリカード12をスロット25aに装着・取外し可能であるリーダライタ25と、記録紙Sへ画像を印刷処理する印刷機構26と、接続された外部機器との間で情報の入出力が可能なインタフェース(I/F)28と、ユーザへ情報を表示可能でありユーザの指示を入力可能である操作パネル30と、を備えている。コントローラ21やリーダライタ25、印刷機構26、I/F28、操作パネル30は、バス29によって電気的に接続されている。コントローラ21は、CPU22を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、各種処理プログラムを記憶したROM23と、一時的にデータを記憶するRAM24とを備えている。印刷機構26は、図示しないが、各色のインクに圧力をかけ、この加圧されたインクを記録紙Sに吐出して印刷処理を実行するインクジェット方式の機構である。なお、インクへ圧力をかける機構は、圧電素子の変形によるものとしてもよいしヒータの熱による気泡の発生によるものとしてもよい。操作パネル30は、ユーザがプリンタ20に対して各種の指示を入力するためのデバイスであり、各種の指示に応じた文字や画像が表示される表示部32や、各種操作を行う操作部34が設けられている。表示部32は、カラー画像を表示する液晶パネルである。操作部34には、ユーザが処理や文字等を選択するカーソルなどを移動させるときに押下されるカーソルキー34aや処理選択などを決定するときに押下される決定キー34b、1つの画像とサムネイルを複数配置した画面とを切り替えるときに押下される表示切替キー34cなどが配置されている。メモリカード12は、データの書き込み及び消去可能な不揮発性のメモリであり、デジタルカメラなどの撮影装置により撮影された複数の画像ファイルなどが保存されている。この画像ファイルは、例えばExif(登録商標)形式などのファイルであり、所定形式(例えばJPEG形式)で圧縮された画像データとこの画像データの付加情報(撮影日時や撮影モードなど)とが格納されている。
また、コントローラ21には、図2に示すように、機能構成として、操作部34からの指令などを入力すると共に、画像保持部44で記憶された展開画像データ44aに基づいて表示部32に画像を表示出力するGUI(Graphical User Interface)管理部40と、画像ファイルの画質の調整に用いられるAPF(Auto Photo Fine)情報41aを管理するAPF情報管理部41と、メモリカード12に圧縮されて記憶された元画像データを展開画像データ44aや印刷用画像データに展開する画像展開部42と、画像ファイルに格納された画像データに関する情報を画像ファイルから取得する画像情報取得部43と、画像展開部42で展開した展開画像データ44aをRAM24の所定領域に記憶保持する画像保持部44と、画像情報取得部43で取得した情報と展開画像データ44aの内容を解析してAPF情報41aを生成するAPF情報生成部46と、APF情報41aやその他の情報を用いて印刷用画像データの補正処理を実行する自動補正処理部47と、補正処理を行った画像の表示指示の前にこの補正済画像データをバックグラウンドで生成するバックグラウンド処理部48と、画質補正された印刷用画像データを印刷機構26により印刷出力する印刷処理部49とを備えている。
GUI管理部40は、ユーザからの情報の取得及びユーザへの情報の出力を画像保持部44に記憶されている画像データを管理する管理テーブル40aを利用して管理する機能を有する。このGUI管理部40は、ユーザからの入力として、表示部32に表示されている画像の選択指令や、操作部34の操作によりユーザが指定した設定に関する情報であるユーザ指定補正情報、選択した画像を印刷する印刷指令などユーザからの指令を入力し、入力した情報をAPF情報管理部41へ送る処理を行う。また、GUI管理部40は、展開画像データ44aを表示用の画像データとし、ときにリサイズ処理などを行い表示部32へ出力する処理を行う。ユーザ指定補正情報には、印刷用画像データにAPF情報41aを反映させて印刷を行うか否かの情報やAPF情報41aに付加情報を反映させて印刷を行うか否かの情報を含む自動補正モード情報や、夜景撮影や人物撮影など撮影内容を指定するシーン情報、画像の明るさ(ブライトネス)・彩度・コントラスト・シャープネスを指定する、明るさ指定情報、彩度指定情報、コントラスト指定情報、シャープネス指定情報、印刷用紙の種類を指定する用紙指定情報などが含まれている。APF情報管理部41は、画像データの画質補正に用いられる複数のパラメータを含むAPF情報41aを画像ファイルに対応付けて管理する機能を有し、GUI管理部40で入力した情報に基づいて、元画像データの展開指令を画像展開部42へ送ったり、APF情報41aの生成指令をAPF情報生成部46へ送ったり、APF情報生成部46で生成されたAPF情報41aを記憶消去したりする処理を行う。
画像展開部42は、APF情報管理部41やAPF情報生成部46、バックグラウンド処理部48からの指令に基づいて、メモリカード12へアクセスし、圧縮保存されている元画像データを、APF情報41aの生成処理や表示部32への表示処理に用いる展開画像データ44aや印刷機構26の印刷処理に用いる印刷用画像データに展開(解凍)し、展開した展開画像データ44aを画像保持部44へ、印刷用画像データを自動補正処理部47へ送る処理を行う。この画像展開部42は、APF情報生成部46がAPF情報41aを生成する際には、その処理に適したサイズで展開するよう設定されている。また、画像展開部42は、APF情報管理部41からの指令に基づいて、展開画像データ44aからAPF情報41aに含まれるパラメータに適した色空間(例えばRGBやYUVなど)で表現されたサンプリング用画像データへの変換処理も行う。画像情報取得部43は、メモリカード12に保存された画像ファイルに含まれる付加情報を画像ファイルから取得する処理を行う。付加情報には、撮影日時や撮影機種名、撮影モード(夜景モードなど撮影装置の設定値)、絞り値、色空間、画素数、圧縮モードなどの情報が含まれている。画像保持部44は、画像展開部42で展開した展開画像データ44aをRAM24の所定領域に保持する処理を行う。
APF情報生成部46は、画像展開部42で展開した展開画像データ44aに基づいてAPF情報41aを生成し、この生成したAPF情報41aをAPF情報管理部41へ送る処理を行う。APF情報41aには複数のパラメータが含まれることから、このAPF情報生成部46は、各々のパラメータに適した色空間などで表現されたサンプリング用画像データへ展開画像データ44aを変換するよう画像展開部42に指令する処理を行い、このサンプリング画像データの内容を解析することによりAPF情報41aのパラメータを求め、求めたパラメータを含むAPF情報41aを生成する。このAPF情報生成部46は、GUI管理部40で入力したユーザ指定補正情報の内容や画像情報取得部43で取得した画像データの付加情報の内容を反映してAPF情報41aを生成することも可能である。例えば、APF情報生成部46は、ユーザ指定補正情報に含まれる明るさ指定や彩度指定の内容を反映させたり、ユーザ指定補正情報の自動補正モード情報に付加情報の内容を反映させる設定が含まれているときなどには付加情報の内容(撮影モードなど)を反映させたりしてAPF情報41aを生成する。自動補正処理部47は、画像展開部42が展開した印刷用画像データにAPF情報41aを反映させる処理や、画像保持部44に記憶された展開画像データ44aにAPF情報41aを反映させた画像データ(以下、APF画像データともいう)や展開画像データ44aにAPF情報41aと付加情報とユーザ指定補正情報との内容を反映させた画像データ(以下、PIM(Print image Matching)画像データともいう)や展開画像データ44aにモノクロ処理やセピア処理を施した画像データを生成する処理などを行う。バックグラウンド処理部48は、GUI管理部40からの指示に基づいて画像展開部42に元画像データを展開させた展開画像データ44aに対して自動補正処理部47に上記補正処理を行わせる処理を行う。印刷処理部49は、印刷用画像データを印刷機構26で印刷可能な印刷データへ変換し印刷機構26を駆動して印刷処理を実行する処理を行う。
次に、こうして構成された本実施形態のプリンタ20の動作について説明する。ここでは、メモリカード12に保存された複数の画像ファイルを表示部32に表示し、表示された画像のうち1つをユーザが選択したあと印刷指令する場合について主に説明する。図3は、プリンタ20のCPU22により実行される画像表示印刷処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、スロット25aにメモリカード12が装着されたあと実行される。CPU22は、上述したGUI管理部40やAPF情報管理部41、画像展開部42、画像情報取得部43、画像保持部44、APF情報生成部46、自動補正処理部47、バックグラウンド処理部48、印刷処理部49の各機能を利用して以下の処理を行う。
このルーチンを開始すると、まず、CPU22は、前回終了時の表示状態に基づいて表示画像サイズを調べ(ステップS100)、表示画像サイズがサムネイルであったときには元画像データから展開したあとの展開画像データのサイズをサムネイルサイズに設定し(ステップS110)、表示画像サイズが一画像表示であったときには展開サイズを一画像サイズに設定する(ステップS120)。次に、CPU22は、メモリカード12に記憶されている順に基づいて画像ファイルから元画像データを読み出し、画像展開部42に、設定されたサイズの展開画像データ44aに元画像データを展開させ、得られた展開画像データ44aを画像保持部44に記憶させる(ステップS130)。次に、表示する画像を全て展開したあと、GUI管理部40に展開画像データ44aの画像を表示部32へ表示出力させる(ステップS140)。図4は、表示部32に表示する画面の説明図であり、図4(a)が画像選択画面80、図4(b)が画像選択画面83、図4(c)がユーザ指定補正情報設定画面85の説明図である。展開後のサイズがサムネイルサイズのときは、画像選択画面80を表示し、一画像サイズのときには画像選択画面83を表示する。画像選択画面80は、各画像ファイルのサムネイル画像を横3枚、縦2段となるよう画像ファイルの画像80a〜80fを配置し、カーソルキー34aの押下に伴いカーソル81が移動し、図示しないページ切替キーの押下に伴い次ページや前ページの画像選択画面80を表示するよう設定されている。また、画像選択画面83では、カーソルキー34aの左右キーの押下により、画像が切り替わるよう設定されている。また、画像選択画面80又は画像選択画面83において、画像上にカーソル81が配置された状態(以下フォーカスと称する)で決定キー34bを押下すると、カーソル81が配置された画像が選択されユーザ指定補正情報設定画面85に切り替わるよう設定されている。ユーザ指定補正情報設定画面85には、APF補正処理やPIM補正処理などの実行指定を含むユーザ指定補正情報の入力を行うユーザ入力部85aが設けられている。画像選択画面80の表示中に表示切替キー34cが押下されると画像選択画面83に切り替わり、画像選択画面83の表示中に表示切替キー34cが押下されると画像選択画面80に切り替わる。画像選択画面80,83,ユーザ指定補正情報設定画面85には、操作キーを説明する操作補助情報表示部82が設けられている。
続いて、CPU22は、表示している画像が選択されたか否かをGUI管理部40が画像選択指令を入力したか否かに基づいて判定する(ステップS150)。ここでは、画像選択画面80,83で決定キー34bが押下されるとカーソル81がある画像が選択されたものとし、操作部34からコントローラ21へこの選択画像の画像選択指令を出力するものとした。表示している画像が選択されていないときには、表示されている画面(画像選択画面80又は画像選択画面83)が切り替えられたか否かを表示切替キー34cが押下されたか否かに基づいて判定し(ステップS160)、表示画面が切り替えられていないときには、ステップS150以降の処理を行う。即ち、画像が選択されず画面も切り替えられていないときにはそのまま待機する。一方、表示画面が切り替えられたときには、ステップS100以降の処理を行う。なお、このとき、既に展開画像データ44aが保持されている画像ファイルについては、ステップS100〜S130の処理を省略することができる。
一方、ステップS150で表示している画像が選択されたときには、CPU22は、GUI管理部40に、ユーザ指定補正情報設定画面85に入力された内容に基づいてユーザが入力したユーザ指定補正情報を取得させ(ステップS170)、補正処理済みの画像データ(以下、補正済画像データとする)が画像保持部44に保持されているか否かを判定する(ステップS180)。なお、ユーザの画像選択前に補正処理を行うバックグラウンド処理ルーチンで補正済画像データが生成されるが、詳しくは後述する。補正済画像データがないときには、指定された補正処理を展開画像データ44aに施して補正済画像データを生成し(ステップS190)、補正済画像データがあるときには、そのデータを読み出し、GUI管理部40に、補正済画像データに基づいた画像を表示部32へ表示出力させる(ステップS200)。このように、ユーザが指定した補正処理が施された画像が表示部32に表示されるのである。
次に、CPU22は、ユーザ指定補正情報の内容が変更されたか否かをユーザ指定補正情報設定画面85の内容に基づいて判定し(ステップS210)、ユーザ指定補正情報の内容が変更されたときにはステップS170以降の処理を実行し、ユーザ指定補正情報の内容が変更されていないときには印刷指令があったか否かを、GUI管理部40が印刷指令を入力したか否かに基づいて判定する(ステップS220)。ここでは、図示しない印刷実行キーが押下されたときに選択中の画像ファイルが印刷指令されるものとし、操作部34からコントローラ21へこの選択画像ファイルの印刷指令を出力するものとした。印刷指令がないときには、画像の選択が解除されたか否かを図示しない戻りキーが押下されたか否かに基づいて判定し(ステップS230)、画像選択が解除されていないときには、ステップ220以降の処理を行う。即ち、印刷指令されず選択解除もされないときにはそのまま待機する。一方、画像選択が解除されたときには、ステップS150以降の処理を行う。即ち画像の選択処理や画像の表示処理を行う。
一方、ステップS220で印刷指令があったときには、CPU22は、印刷処理を実行する(ステップS240)。具体的には、画像展開部42にユーザ指定補正情報に含まれる用紙サイズに合わせたサイズとなるように印刷用画像データに展開させ、自動補正処理部47にAPF情報41aや付加情報やユーザ指定補正情報などに基づいて印刷用画像データを補正させ、印刷処理部49に印刷用画像データから印刷機構26で印刷可能な印刷データへ変換させ印刷機構26を駆動させて印刷データを出力させる。次に、CPU22は、この画像表示印刷処理が終了したか否かを、図示しない終了キーがユーザに押下されたか否かに基づいて判定し(ステップS250)、画像表示印刷処理が終了していないときには、ステップS100以降の処理を実行し、画像表示印刷処理が終了したときには、そのままこのルーチンを終了する。このように、例えば、色かぶり写真や逆光写真などの元画像データに対してAPF情報41aなどを用いてよりきれいな写真となるように印刷処理を行うのである。
次に、画像表示印刷処理ルーチンと並行して実行されるバックグラウンド処理ルーチンについて説明する。図5は、プリンタ20のCPU22により実行されるバックグラウンド処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、画像表示印刷処理ルーチンと同様に実行される。このルーチンを開始すると、まず、CPU22は、表示部32の画面上でフォーカス中の画像を処理対象画像に設定する(ステップS300)。例えば、図4(a)では、画像80aのサムネイル画像を処理対象画像に設定する。次に、展開画像データ44aを利用してAPF情報生成部46に処理対象画像のAPF情報41aを生成させ(ステップS310)、画像情報取得部43に処理対象画像の付加情報を取得させる(ステップS320)。
次に、CPU22は、バックグラウンド処理部48を用い、生成させる補正済画像データの種類を予め定められたテーブルに基づいて設定する(ステップS330)。ここでは、APF情報41aにのみ基づいて展開画像データ44aを補正するAPF画像データ、APF情報41aと付加情報とユーザ指定補正情報との内容を反映させたPIM画像データ、モノクロ処理を施したモノクロ画像データ及びセピア処理を施したセピア画像データの順番に各画像データを生成する補正処理を行うよう設定されている。この生成順は、予め経験的に求めた比較的利用頻度が高い補正済画像データ、且つ、予め経験的に求めた生成時間が比較的長い補正済画像データから処理を行うよう定められている。また、RAM24の記憶領域には限りがあることから、比較的短時間で処理可能な、ブライトネスの変更処理やシャープネスの変更処理は行わないよう設定されている。まず、初めは、APF情報41aのみによる補正処理が設定される。続いて、CPU22は、展開画像データ44aへ設定した補正処理を開始し(ステップS340)、この補正処理中に、画面切替が行われたか否か(ステップS350)、フォーカスが変更されたか否か(ステップS360)、画像表示印刷処理が終了したか否か(ステップS370)、を判定する。いずれも否定判定されたときには、補正処理が終了したか否かを判定し(ステップS380)、補正処理が終了していないときはステップS350以降の処理を実行し、補正処理が終了したときには、画像保持部44の空き記憶領域が所定の許容量以上であるか否かに基づいて空き記憶領域があるか否かを判定し(ステップS390)、空き記憶領域がないときには、画像保持部44に保持されている補正済画像データを破棄する(ステップS400)。ここでは、予め経験的に求められた使用頻度の低い補正済画像データ(例えばモノクロ処理画像データやセピア処理画像データ)から破棄するよう設定されている。
ステップS400のあと、又は、ステップS390で画像保持部44に空き記憶領域があるときには、CPU22は、表示部32上でフォーカス中の画像の画像ファイルに対応づけて補正済画像データを画像保持部44に記憶する(ステップS410)。ここでは、GUI管理部40にこの補正済画像データの情報を管理テーブル40aへ登録させることにより画像ファイルと補正済画像データとを対応づけるものとした。図6は、管理テーブル40aと画像保持部44との対応づけの説明図である。図6に示すように、画像ファイル名「A」,「B」,「C」,…,の展開画像データ44aは、例えば図4(a)に示すように、表示部32に表示されているため、既に画像保持部44に記憶されると共に、そのデータ名が管理テーブル40aに登録されている。そして、ここで新たに生成された補正済画像データが44に記憶されると共に、その画像データ名が管理テーブル40aに登録されるのである。
続いて、CPU22は、すべての補正処理が終了したか否かを、フォーカス中の画像の管理テーブル40aの画像データ名がすべて埋まったか否かに基づいて判定し(ステップS420)、すべての補正処理が終了していないときには、ステップS330で次の補正処理(APF補正のあとはPIM補正)に設定しステップS340以降の処理を実行する。一方、すべての補正処理が終了したときには、次の画像を処理対象画像に設定し(ステップS430)、ステップS310以降の処理を実行する。即ち、フォーカス中の画像(例えば図4(a)の画像80a)の次の画像(図4(a)の画像80b)について補正済画像データを生成するのである。このように、表示部32でフォーカスされている画像を最優先として、画像が選択されているか否かにかかわらず、APF補正処理やPIM補正処理などを実行して補正済画像データを記憶していくのである。
一方、ステップS350で画面が切り替えられたときには、CPU22は、現在実行中の補正処理を中断しステップS330以降の処理を実行する。このとき、表示部32上のフォーカス中の画像は変更されず(図4(a),(b)参照)、上述した画像表示印刷処理ルーチンのステップS100で、表示画像サイズが変更されるため、変更後のサイズに元画像データを展開させ、そのサイズの展開画像データ44aに対して以降、補正処理を行うことになる。一方、ステップS360でフォーカスが変更されたときには、現在実行中の補正処理を中断しステップS300以降の処理を実行する。即ち、画像サイズの変更はなく、変更後のフォーカス中の画像に対して補正処理を行うことになる。一方、ステップS370で画像表示印刷処理が終了したと判定されたときには、そのままこのルーチンを終了する。このように、バックグラウンド処理で、ユーザが表示させる可能性の高い複数の補正済画像データを予め生成しておくため、ユーザ指定補正情報設定画面85でユーザが指定した補正後の画像を表示部32に迅速に表示することができる。
ここで、本実施形態の構成要素と本発明の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施形態の表示部32が本発明の表示手段に相当し、RAM24が記憶手段に相当し、画像展開部42が画像取得手段に相当し、GUI管理部40が表示指示取得手段に相当し、自動補正処理部47が画像補正手段に相当し、CPU22が制御手段に相当し、印刷機構26が印刷手段に相当する。また、APF情報41aが画質補正情報に相当し、記録紙Sが印刷媒体に相当する。なお、本実施形態では、プリンタ20の動作を説明することにより本発明の情報処理方法の一例も明らかにしている。
以上詳述した本実施形態のプリンタ20によれば、画像データに所定の補正処理を施した補正済画像データを表示させる旨の表示指示を取得するのに先んじて、メモリカード12に記憶された画像ファイルに含まれる元画像データを展開した展開画像データ44aを取得し、この取得した展開画像データ44aに、APF補正処理、PIM補正処理、モノクロ処理、セピア処理の補正処理の順番でそれぞれ別の補正済画像データとなるように補正処理を施し、この補正処理した各々の補正済画像データを画像ファイルに対応付けてRAM24に記憶する。このように、ユーザが表示指示を行う前に、画像データに補正処理を行って記憶しておくのである。したがって、補正処理された画像を表示指示したときには、その指示した画像をより迅速に表示することができる。また、予め定められた2以上の補正処理のうち表示指示される頻度が高いものから順に優先的に補正処理を実行するため、表示指示されることの多い補正処理された画像をより迅速に表示することができる。更に、予め定められた2以上の補正処理のうち処理時間が長いものから順に優先的に補正処理を実行するため、表示指示したあとで補正処理を始めるのに比べてより短時間で補正処理された画像を表示することができる。更にまた、APF情報41aを用いた補正処理(APF補正処理やPIM補正処理)は、画像データを解析する時間などが必要でありその処理に時間がかかると共に、画像の表示では比較的利用される頻度が高いことから、より優先的に行う意義が高い。そして、表示部32に表示されている画像のうちカーソル81が配置されているがまだ選択されていない画像に対応する画像データを取得して補正済画像データを生成するため、表示指示される可能性の高い画像データの補正処理を行い、表示指示に先んじて行う補正処理を比較的確実に利用することができ、ひいては、表示処理の迅速性を高めることができる。そしてまた、表示部32に表示されている画像のうちカーソル81が配置されているがまだ選択されていない画像に対応する画像データに補正処理を施しているときに、他の画像にカーソル81が配置されたときには、実行中の補正処理を中断しカーソル81が配置された画像に対応する画像データへの補正処理の実行を開始するため、次に表示指示される可能性の高い画像データの処理へ比較的迅速に移行することができる。そして更に、画像保持部44での空き容量が所定の許容量を下回っているときには、画像保持部44に記憶されている補正済画像データのうち最も表示指示の頻度の低い補正済画像データから破棄するため、表示指示される頻度の高い補正済画像データが保持され、あとで利用可能であり、補正済画像データの破棄及び生成の処理の負荷を低減することができる。印刷用画像データに補正処理を実行したあとの印刷用画像データを用いて記録紙Sへ印刷するため、補正処理が施され、表示部32に表示されている補正済画像データと同じ画像となるように印刷用画像データの印刷を行うことができる。
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
例えば、上述した実施形態では、APF補正処理、PIM補正処理、モノクロ処理、セピア処理の補正処理の順番で補正処理を行い補正済画像データを生成するものとしたが、どの処理から行ってもよい。また、補正処理としては、これらに限定されず、その他の処理(例えばブライトネス変更処理やシャープネス変更処理、コントラスト変更処理など)について補正処理を行い、補正済画像データを記憶しておくものとしてもよいし、上述した4つの補正処理のいずれか1以上の処理を省略してもよい。
上述した実施形態では、画像保持部44での空き容量がないときには画像保持部44に記憶されている補正済画像データのうち最も表示指示の頻度の低い補正済画像データから破棄するものとしたが、表示部32に表示されている画像のうちカーソル81が配置されている画像から最も遠い画像に対応する補正済画像データから破棄するものとしてもよい。なお、「最も遠い」とは、画像を選択するにあたりカーソルキー34aの押下回数が最も多いものと同義である。こうすれば、すぐに表示指示される可能性の低いデータから破棄するため、補正済画像データの破棄及び生成の処理の負荷を低減することができる。
上述した実施形態では、表示部32上で、フォーカス中の画像に対して優先的に補正処理を行い補正済画像データを生成するものとしたが、フォーカスに関係なく、例えば記憶順などで補正処理を行い補正済画像データを生成するものとしてもよい。
上述した実施形態では、元画像データを展開画像データ44aに展開しこの展開処理後に表示部32に画像を表示し画像を選択可能とするものとしたが、先に画像ファイルのファイル名などを表示して画像ファイルを選択可能とし、この表示中に、元画像データから展開画像データ44aへの展開処理やAPF情報41aの生成処理、ひいては補正済画像ファイルの生成処理を行うものとしてもよい。
上述した実施形態では、プリンタ20を本発明の情報処理装置として説明したが、スキャナを備えたマルチファンクションプリンタや、FAXなどに適用してもよい。また、印刷機構26は、インクジェット方式としたが、電子写真方式のレーザプリンタや、熱転写方式のプリンタや、ドットインパクト方式のプリンタとしてもよいし、これらのモノクロプリンタとしてもよい。また、プリンタ20の態様で本発明を説明したが、情報処理方法の態様としてもよいし、この方法のプログラムの態様としてもよい。
12 メモリカード、20 プリンタ、21 コントローラ、22 CPU、23 ROM、24 RAM、25 リーダライタ、25a スロット、26 印刷機構、28 I/F、29 バス、30 操作パネル、32 表示部、34 操作部、34a カーソルキー、34b 決定キー、34c 表示切替キー、40 GUI管理部、40a 管理テーブル、41 APF情報管理部、41a APF情報、42 画像展開部、43 画像情報取得部、44 画像保持部、44a 展開画像データ、46 APF情報生成部、47 自動補正処理部、48 バックグラウンド処理部、49 印刷処理部、80 画像選択画面、80a〜80f 画像、81 カーソル、82 操作補助情報表示部、83 画像選択画面、85 ユーザ指定補正情報設定画面、85a ユーザ入力部、S 記録紙。