JP4821069B2 - 金属シリサイド膜の成膜方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば半導体ウエハに対してプラズマ処理により金属シリサイド膜を堆積させる成膜方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、半導体集積回路を製造するためには、半導体ウエハに対して、成膜、エッチング、酸化拡散、アニール等の各種の熱処理が繰り返し施され、この種の処理を行うプラズマ処理装置としては例えば特開平8−339895号公報や特開平8−181107号公報等に開示されている。例えばプラズマを用いて1枚毎のウエハに対して膜を堆積させるCVD(Chemical Vapor Deposition)装置においては、加熱ヒータを内蔵したサセプタ等のステージ上に半導体ウエハを載置し、これを所定の温度に加熱しながら成膜用の処理ガスを供給し、そして、高周波電圧を上部電極とステージを兼ねる下部電極との間に印加してプラズマを発生させて、ウエハ表面に膜を堆積させるようになっている。
【0003】
ここで、一例として半導体集積回路のコンタクト部分にコンタクト抵抗軽減のために用いられるチタンシリサイド(TiSix:xは正の整数)の成膜について説明する。
このチタンシリサイドの成膜には、原料ガスとして一般的にはTiCl4 ガスが用いられ、還元ガスとしてH2 ガス等が用いられる。このTiCl4 ガスの結合エネルギーはかなり高く、熱エネルギー単独では1200℃程度の高温でなければ分解しないので、上述したようにプラズマエネルギーを併用することによってプロセス温度650℃程度で成膜を行っている。尚、プラズマを安定に維持する上でプラズマガスとしては例えばArガスが用いられる。
【0004】
実際の成膜時には、図9に示す使用ガスの供給タイムチャートに表されるように、処理容器内に予めH2 ガス及びArガスを流してこれらのガス流量を安定化させておき、そして、この状態で原料ガスであるTiCl4 ガスの供給を開始すると同時に、プラズマの電源を投入して処理容器内にプラズマを立て、TiSix、具体的にはTiSi2 の成膜を開始する。この成膜時の半導体ウエハ上の反応は、まず、ウエハ表面にTi膜が堆積すると、これが直ちに下地のSi原子を吸い上げて反応し、上述のように、TiSi2 が形成されることになる。尚、TiとSiの反応を十分に起こすために前処理として希フッ酸(HF)等でウエハ表面の自然酸化膜を除去する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、半導体集積回路の各製造工程では、それまでの各前工程にて形成された各種の堆積膜の耐熱性を考慮すると、できるだけ低い温度で成膜等の処理を行うことが望まれており、各工程が低温化する傾向にある。
このような状況下において、前述のようにTiSi2 膜を成膜する場合にも、プラズマエネルギーを補助的に用いることによりステージ温度(プロセス温度)を650℃程度まで低下させることができた。
しかしながら、半導体集積回路の更なる微細化及び薄膜化により、上述したような成膜処理においてもプロセス温度の一層の低温化が求められているが、現状の成膜方法では更なる低温化は困難であった。
本発明は、以上のような問題点に着目し、これを有効に解決すべく創案されたものである。本発明の目的は、より低い温度にて特性の良好な金属シリサイド膜を形成することが可能な金属シリサイド膜の成膜方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、金属シリサイド膜の形成過程について鋭意研究した結果、自然酸化膜除去装置(NOR:Natural Oxidation Removal))でin−situの前処理を行い、ウエハ表面の自然酸化膜を除去した後に、処理容器内にて成膜時の原料ガスが十分に供給されない状態でプラズマを立てるとTiCl ガスと比較して結合エネルギーがより低いTiCl ガス或いはTiCl ガスの生成が効率的に生成されずにこの生成が抑制され、結果的に、活性種が少ない状態で膜の堆積が始まるので、プロセス温度を十分に低下できず、また、堆積される膜の電気的特性もそれ程高くはならない、といった知見を得ることにより、本発明に至ったものである。
請求項1に規定する発明は、真空引き可能になされた処理容器内に原料ガスを供給しつつプラズマを立てて被処理体に対して金属シリサイド膜を堆積させる方法において、前記被処理体を前記処理容器内へ搬入するに先立って前記被処理体に対してICPプラズマを用いて自然酸化膜を除去する除去処理を施す除去工程と、前記除去工程の後に前記被処理体を前記処理容器内へ搬入し、前記プラズマを立てることに先立って前記処理容器内に前記原料ガスを供給する工程と、前記原料ガスを供給する工程の後に前記被処理体を載置するステージ温度を550〜700℃の範囲内に維持しつつプラズマを立てて前記金属シリサイド膜としてTiSix(x:正の整数)膜を形成する工程と、を有することを特徴とする金属シリサイド膜の成膜方法である。
このように、プラズマを立てることに先立って処理容器内に原料ガスを供給することにより、プラズマを立てる時には処理容器内には十分な量の原料ガスが存在し、この結果、比較的結合エネルギーの低い原料ガス成分、例えば生成されるTiCl 、TiCl 等の量が多くなり、より低いプロセス温度で且つ電気的特性の良好な金属シリサイド膜を形成することが可能となる。
【0007】
この場合、例えば請求項2に規定するように、前記原料ガスの供給を開始する時には、前記処理容器内にはプラズマを発生させるプラズマガスがすでに供給されている。
また、例えば請求項3に規定するように、前記先立って流す先出し時間は少なくとも2秒である。
また、例えば請求項4に規定するように、前記金属シリサイド膜が形成される前記被処理体の下地は金属シリサイド、或いはポリシリコンよりなる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明に係る金属シリサイド膜の成膜方法の一実施例を添付図面に基づいて詳述する。
図1は本発明に係る金属シリサイド膜の成膜方法を実施するプラズマ処理装置を示す断面構成図である。尚、ここでは金属シリサイド膜としてTiSi2 膜を成膜する場合を例にとって説明する。
図示するように、このプラズマ処理装置2は、例えばアルミニウムにより円筒体状に成形された処理容器4を有している。この処理容器4の天井部には、下面に多数のガス噴出口6を有するシャワーヘッド部8が設けられており、これにより各種の必要なガスを処理容器4内の処理空間Sへ導入できるようになっている。尚、このシャワーヘッド部8内は、この中で原料ガスであるTiCl4 と還元ガスであるH2 とが混ざらないように区画されており、両ガスが処理空間Sへ噴出された時に初めて混ざるように、いわゆるポストミックス構造になっている。
【0010】
このシャワーヘッド部8の全体は、例えばニッケルやハステロイ(商品名)、アルミニウム、カーボン、グラファイト、或いはこれらの材料の組み合わせよりなり、全体として導電体により構成されており、上部電極を兼ねている。この上部電極であるシャワーヘッド部8の外周側や上方側は、例えば石英やアルミナ(Al23 )等よりなる絶縁体10により全体が覆われており、上記シャワーヘッド部8はこの絶縁体10を介して処理容器4側に絶縁状態で取り付け固定されている。この場合、上記シャワーヘッド部8と絶縁体10と処理容器4の各接合部間には、例えばOリング等よりなるシール部材12がそれぞれ介在されており、処理容器4内の気密性を維持するようになっている。
そして、このシャワーヘッド部8には、例えば450KHzの高周波電圧を発生する高周波電源14がマッチング回路16を介して接続されており、上記上部電極であるシャワーヘッド部8に必要に応じて高周波電圧を印加するようになっている。尚、この高周波電圧の周波数は450KHzに限定されず、他の周波数、例えば13.56MHz等を用いてもよい。
【0011】
そして、この処理容器4の側壁には、ウエハを搬出入するための搬出入口18が形成されており、これにはゲートバルブ21が設けられて開閉可能になされている。このゲートバルブ21には、図示しないロードロック室やトランスファチャンバ等が接続される。
また、この処理容器4の底部の中央は、下方へ凹部状に成形されており、この側面には、図示しない真空ポンプ等に接続された排気口20が設けられて、処理容器4内を必要に応じて真空引き可能としている。そして、この処理容器4内には、被処理体としての半導体ウエハWを載置するためにその底部より支柱22を介して支持されたステージ24が設けられている。このステージ24は下部電極を兼ねており、このステージ24の上部周縁部には、ウエハWの周囲を囲むようにしてリング状のフォーカスリング25が設けられている。そして、この下部電極であるステージ24と上記上部電極であるシャワーヘッド部8との間の処理空間Sに上部電極へ高周波電圧を印加することによりプラズマを立て得るようになっている。具体的には、このステージ24は、例えば全体がAlN等のセラミックスよりなり、この内部に例えばモリブデンやタングステン線等の抵抗体よりなる加熱ヒータ26が所定のパターン形状に配列して埋め込まれている。この加熱ヒータ26には、ヒータ電源28が配線30を介して接続されており、必要に応じて上記加熱ヒータ26に電力を供給するようになっている。更に、このステージ24の内部には、例えばモリブデン線等をメッシュ状(網状)に網み込んでなる電極本体32が面内方向に略全域に亘って埋め込まれている。そして、この電極本体32は配線34を介して接地されている。尚、この電極本体32にバイアス電圧として高周波電圧を印加するようにしてもよい。
【0012】
そして、上記ステージ24には、この上下方向に貫通して複数のピン孔36が形成されており、各ピン孔36には、下端が連結リング38に共通に連結された例えば石英製の押し上げピン40が遊嵌状態で収容されている。そして、上記連結リング38は、容器底部に貫通して上下移動可能に設けた出没ロッド42の上端に連結されており、この出没ロッド42の下端はエアシリンダ44に接続されている。これにより、上記各押し上げピン40をウエハWの受け渡し時に各ピン孔36の上端から上方へ出没させるようになっている。また、上記出没ロッド42の容器底部に対する貫通部には、伸縮可能になされたベローズ46が介設されており、上記出没ロッド42が処理容器4内の気密性を維持しつつ昇降できるようになっている。
【0013】
そして、上記シャワーヘッド部8のガス導入口48には、処理に必要な各種のガスを供給するガス供給系50が接続されている。具体的には、ここではガス供給系50として、原料ガスとして例えばTiCl4 ガスを流す原料ガス管52、プラズマガスとして例えばArガスを流すプラズマガス管54及び還元ガスとして例えばH2 ガスを流す還元ガス管56がそれぞれ接続されている。そして、各ガス管52、54、56には各ガスの供給量を制御するマスフローコントローラのような流量制御器52A、54A、56Aと、開閉弁52B、54B、56Bとがそれぞれ介設されている。そして、各流量制御器52A、54A、56A、開閉弁52B、54B、56B及び上記高周波電源14はそれぞれマイクロコンピュータ等よりなる制御部60により制御されることになる。
【0014】
次に、以上のように構成された装置を用いて行われる本発明方法について説明する。
まず、処理容器4の側壁に設けたゲートバルブ21を開状態とし、図示しないロードロック室等から搬出入口18を介して未処理の半導体ウエハW、例えば表面に形成された自然酸化膜等を予め除去したウエハWをこの処理容器4内へ搬入し、これを押し上げピン40に受け渡して降下させることによって、ウエハWを下部電極であるステージ24上に載置させる。尚、この自然酸化膜を除去する除去処理としては、例えば他のプラズマ処理装置で、いわゆるリモートプラズマを用いて自然酸化膜を除去する方法や、或いはICP(Inductive Coupled Plasma)プラズマを用いて自然酸化膜を除去する方法が採用される。
次に、処理容器4内を密閉状態とし、加熱ヒータ26への投入電力を増して予め予熱状態になされているステージ24の温度をプロセス温度まで昇温して維持する。そして、これと共に制御部60により各開閉弁52B、54B、56Bを開状態にして上部電極であるシャワーヘッド部8からプラズマガスのArガス、還元ガスのH ガスや、処理ガスとして流量制御された原料ガスのTiCl ガスを処理容器4内へ供給すると同時に、排気口20から処理容器4内を真空引きして処理容器4内を所定のプロセス圧力に維持する。
【0015】
そして更に、上記高周波電源14を駆動することにより、上部電極であるシャワーヘッド部8と下部電極であるステージ24との間に例えば450KHzの高周波電圧を印加し、これにより、処理空間Sにプラズマを立ててプラズマによってTiCl4 ガスを分解し、ウエハWの表面にTi膜を堆積させると同時に、このTi膜は下地のSiを吸い上げてこれと化合してTiSi2 膜が形成されることになる。このウエハWの表面は、予め例えば導電型のリン(P)やホウ素(B)がドープされている。
ここで、本発明の特徴は、図2に示すように各ガスを供給するタイミングとプラズマを立てる時間とを微妙にずらして、特に原料ガスであるTiCl4 ガスの処理容器4内への供給を、プラズマを立てることに先立って開始した点である。
この点について詳しく説明すると、図2は各種ガスの供給のタイミングとプラズマを立てるタイミングとの関係を示すタイミングチャートである。ここでは、図2に示すようにプラズマの発生開始のかなり前よりもArガスとH2 ガスの供給を開始して、これらの各ガスのそれぞれの供給量を安定化させておく。尚、図示例ではArガスとH2 ガスの各ガスの供給量は同じになっているが、図2は供給のタイミングの前後関係を主として示す図であり、実際には両ガスの供給量は異なっている。
【0016】
そして、上記のようにArガスと、H2 ガスの供給量が安定したならば、プラズマの発生開始の直前に、これよりも僅かな時間Tだけ先立って原料ガスであるTiCl4 ガスの供給を開始する。この先出し時間Tは少なくとも2秒であり、好ましくは2〜10秒以内に設定する。
この先出し時間Tが2秒よりも少ないと、原量ガスの供給量や処理容器4の容量にもよるが、通常は原料ガスの供給量が数sccm、例えば1〜9sccm程度であって非常に少なく、これに対して、処理容器4の容量は、直径30cmのウエハ対応の場合には10リットル程度もあるので、処理容器2の処理空間S、特にウエハ表面近傍に十分な量の原料ガスが行き渡らずに、プラズマを発生させるに先立って原料ガスを先出しする効果を十分に発揮することができない。
また逆に、先出し時間Tを10秒よりも大きくした場合には、原料ガスの先出しの効果は発揮するが、この場合には原料ガスの無駄が多くなるばかりか、スループットも低下させてしまうので好ましくない。
【0017】
このように、プラズマを発生させるに先立って原料ガスを先出しすると、従来の成膜方法と比較してプロセス温度を低くでき、且つ電気的特性の良好なTiSi2 膜を得ることが可能となる。この理由は、処理空間S、特にウエハ表面近傍に原料ガスが十分に行き渡った状態でプラズマを立てると、結合エネルギーの高いTiCl4 ガスに対して、結合エネルギーが低いTiCl3 ガス及び結合エネルギーが更に低いTiCl2 ガスの占める割合が多くなり、この結果、プラズマを立てると同時に最初から十分な量で且つ密度の高い活性種が発生し、上述のように低いプロセス温度で、且つ電気特性の良好なTiSi2 膜が得られると考えられる。
ここで、上記原料ガスの先出し時間Tとステージ温度との関係がウエハ表面の堆積膜に与える影響を検討したので、その結果について説明する。尚、ステージ温度とは、ここではプロセス温度と同じ意味であることとし、実際には、プロセス圧力にもよるがウエハ温度はステージ温度よりも数℃〜数10℃程度低くなり、実際のプロセス時にはプロセス条件が固定されるので、上記ウエハ温度とステージ温度との差は経験的に精度良く判明している。
図3は上述したように原料ガスの先出し時間とステージ温度(プロセス温度)の関係がウエハ表面の堆積膜に与える影響を示すグラフである。ここで先出し時間Tがゼロの位置は、原料ガスの供給と同時にプラズマを立てた従来の成膜方法の場合を示している。
【0018】
グラフ中において、”Ti+Si”の領域はTi膜が堆積してもこれがシリコンとは化合せずにTiSi2 膜が形成できない領域であり、”TiSi”の領域はTiSi2 膜が良好にできる領域であり、”TiSi・C49”はTiSi2 膜ができて、この結晶構造が主としてC49相であり、しかも曇りモード(Haze Mode)になっている領域を示す。ここで曇りモードとはウエハ表面が白濁状態、表面荒れ、異常結晶となることを意味する。
このグラフから明らかなように、先出し時間Tを長くするに従って、”TiSi”の領域は次第にステージ温度が低下している。これにより、プロセス温度を低くするには、原料ガスをプラズマの発生に先立って供給すればよく、しかも先出し時間Tを長くする程、プロセス温度もその分、低くできることが判明する。
換言すれば、先出し時間Tを制御することにより、プロセス温度を、ステージ温度で595℃以下の低い領域において選択することが可能になる。
【0019】
次に、原料ガスの先出し時間に対するステージ温度とTiSi2 膜の膜厚との関係を検討したので、その結果について説明する。図4は原料ガスの先出し時間に対するステージ温度とTiSi2 膜の膜厚との関係を示すグラフである。ここでは先出し時間Tがゼロ秒(従来方法)、2秒、10秒の場合を示している。
ここでのプロセス条件は、プロセス圧力が667Pa(5Torr)、TiCl4 ガス流量が4.6sccm、Arガス流量が300sccm、H2 ガス流量が1500sccm、高周波電力が350W(450KHz)、プロセス時間が34秒である。
このグラフから明らかなように、全てにおいてステージ温度を高くする程、当然のこととしてTiSi2 膜の膜厚は大きくなっているが、急激に膜厚が上昇する起点は、先出し時間Tが長くなる程、ステージ温度の低温の方にシフトしている。すなわち、先出し時間Tがゼロの時は膜厚上昇起点はステージ温度で640℃程度であるが、先出し時間Tが2秒の時は膜厚上昇起点はステージ温度で625℃程度、先出し時間Tが10秒の時は膜厚上昇起点はステージ温度で595℃程度になっており、先出し時間Tを長くすることによりグラフ全体が左側にシフトしており、ステージ温度が低温でもTiSi2 膜を形成できることが判明する。また、ステージ温度が550℃よりも低くなるとTiSi2 膜の形成が十分でなくなので好ましくない。尚、この時のステージ温度とウエハ温度との差は、略 ℃程度である。
【0020】
次に、原料ガスの先出し時間に対するステージ温度とTiSi2 膜の抵抗との関係を検討したので、その結果について説明する。図5は原料ガスの先出し時間に対するステージ温度とTiSi2 膜の抵抗との関係を示すグラフである。ここでは先出し時間Tがゼロ秒(従来方法)、2秒、10秒の場合を示している。
ここでのプロセス条件は、図4で示した場合と同じであり、プロセス圧力が667Pa(5Torr)、TiCl4 ガス流量が4.6sccm、Arガス流量が300sccm、H2 ガス流量が1500sccm、高周波電力が350W(450KHz)、プロセス時間が34秒である。
このグラフから明らかなように、全てにおいてステージ温度を低くする程、TiSi2 膜の抵抗は大きくなっているが、先出し時間Tが長くなる程、TiSi2 膜の抵抗が小さくなっており、良好な結果を示している。すなわち、先出し時間Tが長くなる程、同じ抵抗値でもより低いステージ温度で電気的特性が良好な膜を堆積できることが判明する。
【0021】
次に、原料ガスの先出し時間を2秒にした点以外の他のプロセス条件は、図4で示した場合と同じに設定した時のTiSi2 膜中のCl含有量を測定したので、その測定結果について説明する。図6は先出し時間TとTiSi2 膜中のCl含有量との関係を示すグラフである。ここではCl含有量の測定のために全反射蛍光X線分析装置を用いた。尚、Cl含有量は一般的に電気抵抗に影響を与えることが知られている。
このグラフより明らかなように、先出し時間Tを0〜10秒に亘って長くする程、TiSi2 中のCl含有量もそれに対応して減少しており、図5において説明したように先出し時間Tを長くする程、TiSi2 膜の抵抗が減少する点を、間接的に証明していることが判明した。特に、このグラフでは先出し時間Tが略2秒の時に、Cl含有量が大幅に低下して堆積膜の特性を大幅に改善できていることが判明した。
【0022】
次に、原料ガスの先出し時間Tがゼロ秒の従来方法によるTiSi2 膜と先出し時間Tが10秒の本発明方法によるTiSi2 膜のそれぞれの結晶構造をX線回折スペクトルで解析してその温度依存性を調べたので、その結果について説明する。図7は上記解析結果を示すグラフであり、図7(A)は従来方法の場合を示し、図7(B)は本発明方法の場合を示す。図7(A)に示す従来方法の場合には、ステージ温度が665℃の時は、結晶構造C49のTiSi2 膜のみが検出され、ステージ温度が635℃以下では上記両結晶構造のTiSi2 膜がほとんど検出されない。尚、通常は結晶構造C54相の形成には、700℃程度の温度が必要とされる。
これに対して、図7(B)に示す本発明方法の場合には、ステージ温度が625℃で結晶構造C49及び低抵抗の結晶構造C54が検出されるのみならず、ステージ温度が595℃、585℃の場合には明らかに結晶構造C49のTiSi2 が検出され、ステージ温度が565℃の場合にも僅かではあるが結晶構造C49のTiSi2 が検出される。この結果、プロセス温度が低くても十分にTiSi2 膜を形成できることが判明した。尚、結晶構造C54のTiSi2 膜は結晶構造C49のTiSi2 膜よりも高温で形成される結晶相であり、電気抵抗率が小さく、電気特性上優れている。
【0023】
また、本発明方法では、TiSi2 膜の下地は拡散層領域からなるドープドシリコン(ポリシリコン)の場合を例にとって説明したが、これに限定されず、金属シリサイド、例えばMoSi化合物、TaSi化合物、CoSi化合物、WSi化合物(Wはタングステン)等でもよい。ちなみに、図8は下地となるCoSi膜上にTiSi2 膜を成膜した時のコンタクト抵抗と累積確率との関係を示したグラフである。尚、累積確率とは、ウエハ面内での横軸コンタクト抵抗値を持つ素子(コンタクト)の存在割合である。また、図8は8インチウエハを用いた時のデータである。
このグラフから明らかなように、原料ガスの先出し時間Tがゼロ秒の従来方法と比較して、先出し時間Tが10秒の本発明方法の方のTiSi2 膜の累積確率は小さくなっており、電気特性上優れていることが判明した。
この時のステージ温度は635℃、CoSi2 層のコンタクトホール径は1μmである。
【0024】
また、ここでは原料ガスとしてTiCl4 ガスを用いた場合を例にとって説明したが、これに限定されず、Ti含有ガスならばどのようなものでもよく、例えば有機チタンとしてTDMAT(ジメチルアミノチタニウム)、TDEAT(ジエチルアミノチタン)等を用いることもできる。
更には、ここでのプラズマCVDの成膜処理は単に一例を示したに過ぎず、使用ガスもH2 ガスやArガスに限定されず、他のガスを用いてもよい。
また、本実施例では、被処理体として半導体ウエハを例にとって説明したが、これに限定されず、LCD基板、ガラス基板等を処理する場合にも本発明を適用できるのは勿論である。
【0025】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の金属シリサイドの成膜方法によれば、次のように優れた作用効果を発揮することができる。
本発明によれば、被処理体を処理容器内へ搬入するに先立ってICPプラズマを用いて自然酸化膜を除去し、その後、被処理体を処理容器内へ搬入してプラズマを立てることに先立って処理容器内に原料ガスを供給することにより、プラズマを立てる時には処理容器内には十分な量の原料ガスが存在し、この結果、比較的結合エネルギーの低い原料ガス成分、例えばTiCl の量が多くなり、より低いプロセス温度で且つ電気的特性の良好な金属シリサイド膜を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る金属シリサイド膜の成膜方法を実施するプラズマ処理装置を示す断面構成図である。
【図2】各種ガスの供給のタイミングとプラズマを立てるタイミングとの関係を示すタイミングチャートである。
【図3】原料ガスの先出し時間とステージ温度(プロセス温度)の関係がウエハ表面の堆積膜に与える影響を示すグラフである。
【図4】原料ガスの先出し時間に対するステージ温度とTiSi2 膜の膜厚との関係を示すグラフである。
【図5】原料ガスの先出し時間に対するステージ温度とTiSi2 膜の抵抗との関係を示すグラフである。
【図6】先出し時間とTiSi2 膜中のCl含有量との関係を示すグラフである。
【図7】TiSi2 膜のX線解析結果を示すグラフである。
【図8】下地となるCoSi膜上にTiSi2 膜を成膜した時のコンタクト抵抗と累積確率との関係を示したグラフである。
【図9】従来の成膜方法における各種ガスの供給のタイミングとプラズマを立てるタイミングとの関係を示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
2 プラズマ処理装置
4 処理容器
8 シャワーヘッド部
14 高周波電源
24 ステージ
26 加熱ヒータ
W 半導体ウエハ(被処理体)

Claims (4)

  1. 真空引き可能になされた処理容器内に原料ガスを供給しつつプラズマを立てて被処理体に対して金属シリサイド膜を堆積させる方法において、
    前記被処理体を前記処理容器内へ搬入するに先立って前記被処理体に対してICPプラズマを用いて自然酸化膜を除去する除去処理を施す除去工程と、
    前記除去工程の後に前記被処理体を前記処理容器内へ搬入し、前記プラズマを立てることに先立って前記処理容器内に前記原料ガスを供給する工程と、
    前記原料ガスを供給する工程の後に前記被処理体を載置するステージ温度を550〜700℃の範囲内に維持しつつプラズマを立てて前記金属シリサイド膜としてTiSix(x:正の整数)膜を形成する工程と、
    を有することを特徴とする金属シリサイド膜の成膜方法。
  2. 前記原料ガスの供給を開始する時には、前記処理容器内にはプラズマを発生させるプラズマガスがすでに供給されていることを特徴とする請求項1記載の金属シリサイド膜の成膜方法。
  3. 前記先立って流す先出し時間は少なくとも2秒であることを特徴とする請求項1または2記載の金属シリサイド膜の成膜方法。
  4. 前記金属シリサイド膜が形成される前記被処理体の下地は金属シリサイド、或いはポリシリコンよりなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の金属シリサイド膜の成膜方法。
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