JP4819506B2 - アクティブヘッドレストシステムを備えた車両シート組立体 - Google Patents

アクティブヘッドレストシステムを備えた車両シート組立体 Download PDF

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Description

本発明は、広くは車両シート組立体に関し、より詳しくは、アクティブヘッドレストシステム(active head restraint system)を備えた車両シート組立体に関する。
当該技術分野においてよく見られる形式の従来の車両シート設計は、一般に、背もたれ組立体と、下方シート組立体と、リクライナ機構と、背もたれ組立体または下方シート組立体のいずれをも多数の位置に調節する手動または動力調節機構と、車両に乗る人(occupant:以下、「乗員」という)を拘束するシートベルト等の拘束装置を含む多数の安全装置とを有している。背もたれ組立体はまた、一般に背もたれの頂部すなわち上端部に取付けられる頭部拘束具すなわちヘッドレストを有している。
車両シートの設計に関連して、追突された場合の車両乗員の安全性を改善する努力がなされている。より詳しくは、乗員の首領域が負傷する機会を低減させる安全機構を提供する努力が継続してなされている。追突の場合には、乗員はシートに押付けられて、大きいエネルギパルスを受ける。このような状況では、しばしば、乗員の首と、頭部領域と、ヘッドレストとの間に間隔が形成される。この間隔は、「むち打ち症」として一般的に知られている場合には、追突時の力に基いて、乗員の上胴部、首および頭部の運動により急激にかつ激しく閉じられる。従って、車両シートの安全性に関連して、この問題に対処する努力が引き続きなされている。
従来、ヘッドレストは一般に上下に移動できるか、或いは僅かに傾動できる比較的静的な用具であるが、通常は、普通の運転状態でシートに座る不特定乗員の快適性のために調節が行われる。しかしながら、追突時に遭遇する問題に対処するため、動的すなわちアクティブなヘッドレスト機構が従来技術において提案されている。
例えば本件出願人の所有する下記特許文献1には、追突時に乗員とヘッドレストとの間の間隔を低減するように設計された車両の動的なヘッドレスト組立体が開示されている。このヘッドレスト組立体は、乗員の胸部領域または肩に一致する広い領域内で背もたれフレームにより支持される衝撃プレートまたはターゲットプレートを有している。衝撃プレートは、ヘッドレストに連結されたリンケージに枢着されている。追突の場合には、ターゲットプレートに作用する乗員の力は、リンケージに作用してヘッドレストを乗員の頭部の方向に移動させ、これにより、乗員と背もたれとの間の間隔を小さくする。
Schubring等の米国特許第5,938,279号明細書
当業界で知られている形式の動的ヘッドレストシステムは、従来知られている静的なヘッドレストに比べて改善されているが、追突の場合に、背もたれ、特に、ヘッドレストから大きく隔てた骨盤および腰椎領域に作用する力により発生されるエネルギをより良く吸収しかつ消散させることができるシステムが当業界で要望されている。
アクティブヘッドレストシステムに加えて、車両シート組立体には、ほぼ乗員の腰椎領域に対応する領域に配置される腰椎支持部材を設けることができる。腰椎支持部材は、シートを一層快適に座ることができるようにする。追突の場合には、腰椎支持部材は、さもなくばアクティブヘッドレストシステムにより受け止められることになるであろう、乗員からのエネルギを吸収できる。このため、アクティブヘッドレストシステムが、ヘッドレストを充分に移動させるだけの充分なエネルギを乗員から受けることはない。従って、当業界では、アクティブヘッドレストおよび腰椎支持部材を備えた車両シート組立体であって、追突時にヘッドレストが一層容易に乗員の方向に移動できる車両シート組立体が要望されている。
従来技術の欠点は、背もたれフレームと、該背もたれフレームにより移動可能に支持された上方アーマチャとを有する本発明の車両シート組立体により解決される。上方アーマチャはヘッドレストおよび第一衝撃ボディを有し、上方アーマチャは、第一衝撃ボディに加えられる所定の力に応答して移動し、これによりヘッドレストを乗員の方向に移動させるべく作動できる。車両シート組立体はまた、上方アーマチャに対して作動可能に連結された下方アーマチャを有し、該下方アーマチャは、これに加えられる所定の力に応答して上方アーマチャの方向に移動し、上方アーマチャに作用して、ヘッドレストを乗員の方向に移動させるべく作動できる。
他の態様では、本発明は、背もたれフレームと、該背もたれフレームにより移動可能に支持された上方アーマチャとを有する車両シート組立体に関する。上方アーマチャは、ヘッドレストおよび第一衝撃ボディを備えている。上方アーマチャは第一衝撃ボディに加えられる所定の力に応答して移動し、これによりヘッドレストを乗員の方向に移動させるべく作動できる。車両シート組立体はまた、第二衝撃ボディを備えた下方アーマチャを有している。少なくとも1つの伝達ロッドが背もたれフレームに固定されかつ第二衝撃ボディおよび上方アーマチャに対して作動可能に連結されている。伝達ロッドは、第二衝撃ボディに加えられる所定の力に応答して上方アーマチャに作用し、ヘッドレストを乗員の方向に移動させるべく作動できる。
このように、本発明の車両シート組立体は、乗員により背もたれに伝達される力に対する応答性が優れたアクティブヘッドレストシステムを提供する。本発明の車両シート組立体は、乗員からの力をより効率的にヘッドレストに伝達して、ヘッドレストをより迅速に乗員の方向に移動させる。従って、車両シート組立体は、追突時に乗員をより良く支持して、負傷をできる限り小さくする。また、アクティブヘッドレストシステムは、単にエネルギを吸収するに過ぎない従来技術の車両シート組立体とは異なり、乗員の腰椎領域および/または骨盤領域から充分なエネルギを受けて、ヘッドレストを充分に移動させる。最後に、本発明の車両シート組立体は、比較的効率が高く、軽量かつ頑丈で、コスト有効性に優れたシステムにより上記特定問題に対処することができる。
本発明の他の長所は、添付図面に関連して述べる以下の詳細な説明により、容易に理解されるであろう。
ここで図面を参照すると、図面全体を通して同様な構造には同じ参照番号が使用されており、本発明の車両シート組立体は、その全体が図1において参照番号10で示されている。車両シート組立体10は、全体を参照番号12で示す背もたれと、全体を参照番号14で示す下方シート組立体とを有し、該下方シート組立体14は、当業界で一般的に知られている態様でシートトラック機構16上に支持されている。背もたれ12は、シートトラック機構16の一部を形成する枢着点20を介して、ブラケット18により下方シート組立体14に枢着されている。このようにして、車両シート組立体10は、当業界で一般的に知られた多くの態様でリクライニングまたは調節を行うことができる。これらの一般的な要素以外に、本発明のシート組立体10には、シートベルト等の種々のコントロールシステムおよび拘束システム(これらは図示しないが、当業界で良く知られたものである)を設けることができる。
全体を参照番号24で示す乗員は、車両シート組立体10上に座っているところが仮想線で示されている。乗員24は、下方シート組立体14および背もたれ12の下端部の両方に近接する骨盤領域26を有している。乗員24はまた、骨盤領域26の上方に支持された腰椎領域28と、該腰椎領域28の上方に支持された肩または胸部領域30とを有している。更に乗員24は、胸部領域30の上方に支持された頭部および首領域32を有している。
車両シート組立体10はまた、背もたれ12により作動可能に支持された、全体を参照番号34で示すアクティブヘッドレストシステムを有している。アクティブヘッドレストシステム34は、乗員24の頭部および首領域32に近接するヘッドレスト36を有している。ヘッドレスト36は、直立位置(図1に実線で示す)と、ヘッドレスト36が乗員24の頭部および首領域32に向かって前方かつ上方に枢動された作動位置(図1に仮想線で示す)とに位置決めされる。追突の場合には、乗員24は、一般に、生じた力によって背もたれ12に向かって後方に押しやられる。より詳細に後述するように、背もたれ12に作用する乗員24からの力は、アクティブヘッドレストシステム34を介して伝達され、最終的に、ヘッドレスト36をその直立位置から、乗員24の頭部および首領域32に向かって作動位置に移動させる。ヘッドレスト36のこの移動により、追突時に乗員24の頭部および首領域32がより良く支持され、むち打ち症の傾向が低減される。
図2および図3を参照すると、車両シート組立体10の背もたれ12の一実施形態がより詳細に示されている。車両シート組立体10は、全体を参照番号38で示す背もたれフレームを有している。背もたれフレーム38は1対の側方フレーム部材40を有し、該側方フレーム部材40は、ほぼ垂直方向に配置されかつ互いに水平方向に間隔を隔てている。背もたれフレーム38はまた、1対の側方フレーム部材40間で水平方向に延びている上下のクロスメンバ42、44を有している。このようにして、背もたれフレーム38は、背もたれ12の前側46および後側48を形成している。背もたれフレーム38は、側方部材40並びに上下のクロスメンバ42、44が一体成形された「単体」構造にすることができる。また、背もたれフレーム38は、側方フレーム部材40および上下のクロスメンバ42、44を形成する別体コンポーネンツから組立てて、次に、これらを溶接するか、互いに永久的に固定することもできる。これらの説明および以下の説明から、当業者ならば、本発明の範囲を逸脱することなく、背もたれフレーム38のコンポーネンツを作動可能に相互連結する多くの異なる手段を用いることができることは明らかであろう。
図2に示すように、アクティブヘッドレストシステム34は、概略的に、全体を参照番号50で示す上方アーマチャ(an upper armature)と、全体を参照番号52で示す下方アーマチャ(a lower armature)とを有している。上方アーマチャ50は、ヘッドレスト36と、第一衝撃ボディ56と、全体を参照番号54で示す支持構造とを有し、これらの各々についてはより詳細に後述する。上方アーマチャ50は、背もたれフレーム38により移動可能に支持されている。下方アーマチャ52は、上方アーマチャ50に対して作動可能に連結されかつ上方アーマチャ50の下に配置されている。より詳細に後述するように、上方アーマチャ50は、第一衝撃ボディ56に加えられる所定の力に応答して移動し、これによりヘッドレスト36を乗員の方向に移動させる。また、下方アーマチャ52は、これに加えられる所定の力に応答して上方アーマチャ52の方向に移動し、該上方アーマチャ50に作用してヘッドレスト36を乗員24の方向に移動させる。これにより、追突時に、乗員24の頭部および首領域32がより良く支持される。
図2には、上方アーマチャ50の一実施形態が示されている。前述のように、上方アーマチャ50は支持構造54を有している。支持構造54は、クロスバー58と、複数の脚60と、複数の支柱62とを有している。クロスバー58は側方フレーム部材40に対してほぼ横方向に延びており、脚60は、クロスバー58の両端部から下方アーマチャ52に向かって垂直に延びている。支柱62は、下方アーマチャから離れる方向に、クロスバー58から垂直に延びている。背もたれフレーム38の上方クロスメンバ42は複数の孔64を有し、該孔64を通って支柱62が延びている。図示の実施形態では、これらの孔64は細長くかつ背もたれ12の前側近くに配置されており、支柱62が乗員24に向かって前方に揺動できるようになっている。車両シート組立体10には、乗員24に向かう支柱62の揺動を容易にするためのブシュ(図示せず)または他の同様なコンポーネントを、孔64の近くに設けることができる。一実施形態では、クロスバー58および脚60は湾曲金属チューブで構成され、支柱62は、溶接その他の適当な手段によりクロスバー58に固定されている。しかしながら、支持構造54は、本発明の範囲から逸脱することなく、他の任意の適当な方法で構成できる。
支持構造54はヘッドレスト36を支持している。例えば、ヘッドレスト36は各支柱62に取付けられており、支持構造58とヘッドレスト36とが同時的に移動するようになっている。ヘッドレスト36は、本発明の範囲から逸脱することなく、支柱62の上端部に固定するか、或いは、既知の方法で支柱62に対して移動可能に取付けて、支柱62に対して傾動、上昇および/または下降できるように構成することもできる。
支持構造54はまた、第一衝撃ボディ56を支持している。一実施形態では、第一衝撃ボディ56は、支持構造54の両脚60の間で横方向に延びておりかつ第一衝撃ボディ56の両端部が両脚60に連結されている。これにより、第一衝撃ボディ56は、乗員24の胸部領域30に近接するように配置される。より詳細に後述するように、乗員24は、第一衝撃ボディ56に力を加えることができ、この力が所定レベルを超える場合には、第一衝撃ボディ56が支持構造54に作用して、ヘッドレスト36を乗員24の方向に移動させる。
図2に示すように、車両シート組立体10はまた、上方アーマチャ50を背もたれフレーム38に枢着するための少なくとも1つの、好ましくは複数のリンケージ66を有している。図示の実施形態では、リンケージ66が支持構造54の各脚60に枢着され、かつ各リンケージ66が一方の側方フレーム部材40に枢着されている。リンケージ66は、ねじ、ベアリング等の任意の適当な方法で脚60および側方フレーム部材40に連結することができる。図示の実施形態では、背もたれフレーム38は複数の固定ブラケット68を有し、各固定ブラケット68は、一方の側方フレーム部材40の前側に固定されかつ背もたれ12の後側48に向かって垂直に延びている。固定ブラケット68は、リンケージ66を背もたれフレーム38に枢着する手段を構成している。
図2に示すように、車両シート組立体10は更に、少なくとも1つの、好ましくは複数の付勢部材70を有している。各付勢部材70は、一方のリンケージ66および背もたれフレーム38の側方フレーム部材40に作動可能に対して作動可能に連結されている。かくして、付勢部材70は、上方アーマチャ50が背もたれフレーム38に対して枢動することに抵抗する。図示の実施形態では、付勢部材70は、コイル状テンションスプリングであるが、本発明の範囲を逸脱することなく、トーションスプリング等の他の任意の適当な部材にすることができる。
特に図2および図3には、下方アーマチャの一実施形態の全体が参照番号52で示されている。下方アーマチャ52は、第二衝撃ボディ72を有している。第二衝撃ボディ72は、乗員24から伝達される力を容易に受けることができるサイズを有しかつ配置されることが好ましい。例えば、図示の実施形態では、第二衝撃ボディ72は、全体として平らであり、背もたれ12の前側46に近接して配置され、かつ側方フレーム部材40と、下方クロスメンバ44と、上方アーマチャ50とにより形成された空間のほぼ全体に亘って延びている。これにより第二衝撃ボディ72は、乗員24の腰椎領域28および骨盤領域26に近接するように配置される。しかしながら、本発明の範囲から逸脱することなく、乗員24の骨盤領域26または腰椎領域のいずれか一方のみに近接するように配置することもできる。また、第二衝撃ボディ72は、該第二衝撃ボディ72が通常のドライビング状況において快適に座ることができかつ追突時に乗員により伝達される力を容易に伝達できるように、可撓性材料で作ることが好ましい。
一実施形態では、車両シート組立体10に、この快適性を高めるべく第二衝撃ボディ72の高さおよび/または曲率を調節するための調節機構73(仮想線で示す)を設けることができる。しかしながら、当業者ならば、本発明の範囲を逸脱することなく、第二衝撃ボディ72を調節不可能に構成できることは理解されよう。
下方アーマチャ52は更に、図2および図3において全体を参照番号74で示す少なくとも1つの伝達ロッドを有している。図示の実施形態では、伝達ロッド74は、クロスバー76と、少なくとも1つの、好ましくは複数のリンキングロッド78とを有している。下方クロスバー76は両側方フレーム部材40の間で垂直に延びており、リンキングロッド78は、溶接その他の適当な手段により下方クロスバー76に連結されかつ下方クロスバー76からほぼ上方アーマチャ50に向かって延びている。伝達ロッド74は、第二衝撃ボディ72に対して作動可能に連結されている。一実施形態では、第二衝撃ボディ72は少なくとも1つの、好ましくは複数の孔82(図2および図3)を有し、該孔82を通って伝達ロッド74が延びており、これにより、伝達ロッド74が第二衝撃ボディ72に対して作動可能に連結されている。例えば、図示の実施形態では、第二衝撃ボディ72は背もたれ12の後側48に向かって延びている上方フランジ80(図2)を有している。上方フランジ80は、リンキングロッド78の数と同数の複数の孔82を有している。同様に、第二衝撃ボディ72は背もたれ12の後側48に向かって延びている下方フランジ84(図3)を有し、リンキングロッド78の数と同数の複数の孔82を有している。個々のリンキングロッド78は、上方フランジ80の個々の孔82および下方フランジ84の個々の孔82を通って延びている。これにより、乗員24から第二衝撃ボディ72に伝達された力が伝達ロッド74に伝達され、伝達ロッド74からの力は、より詳細に後述するように上方アーマチャ50に伝達され、これによりヘッドレスト36が乗員24に移動される。
図2および図3に示すように、車両シート組立体10は更に、少なくとも1つの、好ましくは複数のランプ(ramp)86を有している。各ランプ86は、第二衝撃ボディ72の後方で、背もたれフレーム38の下方クロスメンバ44に取付けられている。各ランプ86はまた、上方アーマチャ50に向かってほぼ上方に延びている少なくとも1つのカム面88(図3)を有している。図示の実施形態では、各ランプ86は第一カム面88aを有し、該第一カム面88aは第二カム面88bに連通している。第一カム面88aは、第二カム面88bよりも下方クロスメンバ44の近くに配置されている。第一カム面88aは、背もたれ12の前側46から後側48に向かってかつ下方クロスメンバ44から上方アーマチャ50に向かって延びており、第二カム面88bは、側方フレーム部材40に対してほぼ平行でかつ上方アーマチャ50に向かって上方に延びている。当業者ならば、本発明の範囲から逸脱することなく、ランプ86に、上方アーマチャ50に向かって配向された任意数のカム面を任意の態様で設けることができることは理解されよう。伝達ロッド74の下方クロスバー76の両端部は、カム面88a、88b上で摺動可能に支持され、かつ該カム面88a、88b上で移動するように案内される。このようにして、伝達ロッド74の下方クロスバー76は、第二衝撃ボディ72に加えられる所定の力に応答して、カム面88a、88b上で上方アーマチャに向かって移動する。図3に示す好ましい実施形態では、カム面88a、88bは、対応するランプ132により形成され、下方クロスバー76をランプ86内に保持する。伝達ロッド74には、下方クロスバー76をランプ86内に更に保持すべくランプ86に当接する、下方クロスバー76に固定されたワッシャのようなリテーナ(図示せず)を設けることができる。
伝達ロッド74はまた、上方アーマチャ50に対して作動可能に連結されている。好ましい一実施形態では、伝達ロッド74は支持構造54に対して移動可能に連結される。例えば、図2に示す実施形態では、上方アーマチャ50の支持構造54は、リンキングロッド78の数と同数の少なくとも1つの、好ましくは複数のタブ90を有している。各タブ90は、これを貫通する少なくとも1つの孔92を有し、1つのリンキングロッド78が孔92を通って延び、タブ90に対して移動可能に連結されている。各リンキングロッド78はベンド94を有し、該ベンド94は、伝達ロッド74が上方アーマチャ50の方向に移動するときに、対応タブ90に当接するように作動する。ベンド94がタブ90に当接すると上方アーマチャ50が移動され、より詳細に後述するように、ヘッドレスト36を乗員の方向に移動させる。しかしながら、当業者ならば、伝達ロッド74を、ヒンジ継手(図示せず)のような他の任意の適当な方法で上方アーマチャ50に対して作動可能に連結できることは理解されよう。また当業者ならば、本発明の範囲から逸脱することなく、伝達ロッド74を、支持構造54の脚60のような上方アーマチャ50上の任意の箇所に連結できることも理解されよう。
図示の実施形態では、伝達ロッド74はまた、第一衝撃ボディ56に対して作動可能に連結されている。第一衝撃ボディ56は、リンキングロッド78の数と同数の少なくとも1つの、好ましくは複数のタブ96(図2に仮想線で示す)を有している。各タブ96はこれを貫通する少なくとも1つの孔98を有し、1つのリンキングロッド78がこの孔98を通って延び、タブ96に対して移動可能に連結されている。タブ96はまた、伝達ロッド74を上方アーマチャ50に対して作動可能に連結しており、伝達ロッド74が上方アーマチャ50に向かって移動しかつ該上方アーマチャ50に作用するときに、リンキングロッド78の座屈を防止する。
追突の場合には、乗員24は背もたれ12内に押しやられ、第一衝撃ボディ56に力を加えることができる。上方アーマチャ50は、第一衝撃ボディ56に加えられる力に応答して、付勢部材70の付勢力に抗して背もたれフレーム38に対して枢動する。上方アーマチャ50のこの移動により、最終的に、ヘッドレスト36が乗員24の頭部および首領域32の方向に移動される。これにより、乗員24の頭部および首領域32は、追突時により良く支持され、負傷を受け難くなる。
乗員24はまた、追突時に、第二衝撃ボディ72にも力を加える。従って、第二衝撃ボディ72およびこれに連結された伝達ロッド74は、背もたれ12の後側48の方向に移動し始める。しかしながら、伝達ロッド74の下方クロスバー76がカム面88a、88bに沿って移動するとき、伝達ロッド74は上方アーマチャ50に向かって上方に移動する。より詳しくは、下方クロスバー76が、最初に、第一カム面88a上で上方かつ後方に移動し、かつ衝撃が充分に大きい場合には、次に、下方クロスバー76が第二カム面88b上で上方に移動する。伝達ロッド74のこの移動により、リンキングロッド78のベンド94がタブ90に当接し、これにより、上方アーマチャ50が枢動され、最終的にヘッドレスト36が乗員24の頭部および首領域32の方向に移動される。これにより、追突時に乗員24の頭部および首領域32がより良く支持され、負傷を受け難くなる。
付勢部材70は、上方支持アーマチャ50を直立位置に戻す。付勢部材70はまた、例えば乗員が車両シート組立体10内で姿勢を単に後方に傾ける場合のように、乗員から加えられる力のレベルが小さいときは、上方アーマチャ50が不必要に移動することを防止する。付勢部材70のばね強度は、所定レベルを超える力によってのみ、上方アーマチャ50が作動されるように調節されるのが好ましい。所定レベルの力は、平均的な追突時の力に基いて選択されるのが好ましい。
下方アーマチャ52および第一衝撃ボディ56の各々は、協働して上方アーマチャ50を枢動させ、これにより、ヘッドレスト36を乗員24の頭部および首領域32に向けて移動させ、追突時の乗員24の頭部および首領域32の支持を改善する。しかしながら、当業者ならば、或る状況では、乗員24が、下方アーマチャ52および第一衝撃ボディ56のいずれか一方のみに力を伝達することがあることは理解されよう。かくして、上方アーマチャ50は、乗員24が下方アーマチャ52および第一衝撃ボディ56のいずれか一方のみに力を伝達するときに、移動されるように設計するのが好ましい。
図4には、車両シート組立体の他の実施形態の全体が参照番号110で示されている。この図4では、図2および図3に示した実施形態の構成要素と同じ構成要素は、図2および図3に使用した参照番号に100を加えた参照番号を用いて示されている。車両シート組立体100は、上方アーマチャ150および下方アーマチャ152を備えたアクティブヘッドレストシステム134を有している。上方アーマチャ150は、後述の点を除き図2に示した上方アーマチャと実質的に同じであるが、下方アーマチャ152は、図2に示した下方アーマチャ52とは異なっている。車両シート組立体110は、上方アーマチャ150を、枢動可能に背もたれフレーム138上に支持する少なくとも1つの、好ましくは複数のリンケージ166を有している。
図4に示す下方アーマチャ152は、背もたれフレーム138に固定される伝達ロッド174を有している。図示の実施形態では、下方クロスバー176が、背もたれフレーム138の下方クロスメンバ144に固定されている。伝達ロッド174のリンキングロッド178は、図2および図3に示した実施形態と同様な方法で、第二衝撃ボディ172に対して作動可能に連結されている。
リンキングロッド178も、上方アーマチャ150に対して作動可能に連結されている。一実施形態では、リンキングロッド178は、溶接その他の適当な手段により上方アーマチャ150に固定されている。例えば図示の実施形態では、リンキングロッド178は、側方フレーム部材140に平行な下方クロスバー176から延びている下方部分179と、側方フレーム部材140に対して垂直に延びている上方部分181とを有している。各リンキングロッド178の上方部分181の終端部は、上方アーマチャ150の支持構造154の脚160の終端部に固定されている。
伝達ロッド174は弾性的な可撓性を有するのが好ましい。これにより、伝達ロッド174は、追突時に第二衝撃ボディ172に加えられる力に応答して、弾性的に撓みかつ移動する。この構成により、伝達ロッド174は、支持構造154の脚160を上方クロスメンバ142に向かって上方にかつ背もたれ112の後側148に向かって後方に移動させることにより、上方アーマチャ150に作用する。従って、ヘッドレスト136が乗員24の頭部および首領域32に向かって移動する。
車両シート組立体110には、上方アーマチャ150を直立位置の方向に付勢するための、一方のリンケージ166および背もたれフレーム138に対して作動可能に連結された少なくとも1つの、好ましくは複数の付勢部材170を設けることができる。別の構成では、付勢部材170を設けることなく、伝達ロッド174の弾性を利用して、上方アーマチャ150を直立位置に向けて戻すことができる。
要約するならば、本発明の車両シート組立体10、110は、乗員24により背もたれ12に伝達される力に対する応答性が優れたアクティブヘッドレストシステム34、134を提供する。車両シート組立体10、110は、乗員24からの力を、より効率的かつ迅速にヘッドレスト36、136に伝達して、ヘッドレスト36、136を乗員24に向けてより有効に作動させこれにより、追突時に乗員24をより良く支持できかつ負傷を受け難くする。また、本発明のアクティブヘッドレストシステムは、エネルギが簡単に吸収されない従来技術の車両シート組立体とは異なり、乗員の腰椎領域および/または骨盤領域から充分なエネルギを受けて、ヘッドレストを充分に移動させる。最後に、本発明の車両シート組立体10は、比較的効率的で、軽量かつ頑丈で、コスト有効性に優れたシステムのこれらの特定問題に対処できるものである。
以上、本発明を図示により説明した。本明細書において使用した用語は説明用語の本質を意味するものであって、限定的なものではないことを理解されたい。上記開示から、本発明に多くの変更を施すことができる。従って、本発明は、特許請求の範囲内で、特に説明したもの以外の実施を行うことができる。
概略的に示す車両シート組立体の乗員に関連して示された本発明の車両シート組立体の側面図である。 アクティブヘッドレストシステムを備えた本発明の車両シート組立体の一実施形態を前方から見た斜視図である。 図2に示した車両シート組立体の下端部を側方から見た斜視図である。 アクティブヘッドレストシステムを備えた本発明の車両シート組立体の他の実施形態を前方から見た斜視図である。
符号の説明
10、110 車両シート組立体
12、112 背もたれ
34、134 アクティブヘッドレストシステム
36、136 ヘッドレスト
50、150 上方アーマチャ
52、152 下方アーマチャ
54、154 支持構造
56 第一衝撃ボディ
70、170 付勢部材
72、172 第二衝撃ボディ
73 調節機構

Claims (15)

  1. 背もたれフレームと、
    該背もたれフレームにより移動可能に支持された上方アーマチャであって、該上方アーマチャはヘッドレストおよび第一衝撃ボディを備え、上方アーマチャは、第一衝撃ボディに加えられる所定の力に応答してヘッドレストを乗員の方向に移動させるべく作動できる前記上方アーマチャと、
    少なくとも1つの伝達ロッドを有し且つ上方アーマチャに対して作動可能に連結された下方アーマチャであって、該下方アーマチャは、これに加えられる所定の力に応答して上方アーマチャの方向に移動しかつ該上方アーマチャに作用してヘッドレストを乗員の方向に移動させるべく作動できる前記下方アーマチャと、
    前記伝達ロッドに作動可能に連結された少なくとも1つのランプであって、該ランプは、ほぼ上方アーマチャの方向に延びている少なくとも1つのカム面を備え、前記伝達ロッドは、前記下方アーマチャに加えられる所定の力に応答して上方アーマチャの方向に前記カム面上で移動できるように前記カム面上に支持されている前記ランプと、
    を有することを特徴とする車両シート組立体。
  2. 前記下方アーマチャは作動可能に接続された第二衝撃ボディを有し、該伝達ロッドは、第二衝撃ボディおよび上方アーマチャに対して作動可能に連結されかつ第二衝撃ボディに加えられる所定の力に応答して上方アーマチャに作用してヘッドレストを乗員の方向に移動させるべく作動できることを特徴とする請求項1記載の車両シート組立体。
  3. 前記上方アーマチャは、ヘッドレストおよび第一衝撃ボディを支持する支持構造を有し、伝達ロッドは支持構造に対して作動可能に連結されていることを特徴とする請求項2記載の車両シート組立体。
  4. 前記伝達ロッドはまた、第一衝撃ボディに対しても作動可能に連結されていることを特徴とする請求項記載の車両シート組立体。
  5. 前記伝達ロッドは上方アーマチャに対して移動可能に連結されていることを特徴とする請求項2記載の車両シート組立体。
  6. 前記上方アーマチャは、少なくとも1つの孔を備えた少なくとも1つのタブを有し、伝達ロッドはタブの前記孔を通って延びていることを特徴とする請求項記載の車両シート組立体。
  7. 前記伝達ロッドは、該伝達ロッドが上方アーマチャの方向に移動するときに、タブに当接すべく作動するベンドを有していることを特徴とする請求項記載の車両シート組立体。
  8. 前記第二衝撃ボディは少なくとも1つの孔を有し、該孔を通って伝達ロッドが延びており、第二衝撃ボディに対して作動可能に連結されていることを特徴とする請求項2記載の車両シート組立体。
  9. 前記ヘッドレストを乗員の方向に移動させるべく、上方アーマチャを背もたれフレーム上に枢動可能に支持する少なくとも1つのリンケージを更に有することを特徴とする請求項1記載の車両シート組立体。
  10. 前記リンケージおよび背もたれフレームに対して作動可能に連結された少なくとも1つの付勢部材を更に有し、該付勢部材はヘッドレストを直立位置に向けて付勢すべく作動できることを特徴とする請求項記載の車両シート組立体。
  11. 背もたれフレームと、
    該背もたれフレームにより移動可能に支持された上方アーマチャであって、該上方アーマチャはヘッドレストおよび第一衝撃ボディを備え、上方アーマチャは、第一衝撃ボディに加えられる所定の力に応答してヘッドレストを乗員の方向に移動させるべく作動できる前記上方アーマチャと、
    第二衝撃ボディと少なくとも1つの弾性的な可撓性を有する伝達ロッドとを有する下方アーマチャであって、該伝達ロッドが背もたれフレームと上方アーマチャの間に固定され且つ前記第二衝撃ボディを前記上方アーマチャに直接連結する、前記下方アーマチャと、を有し、
    該伝達ロッドは、第二衝撃ボディに加えられる所定の力に応答して弾性的に撓み、ヘッドレストを乗員の方向に対応して移動させるように、前記上方アーマチャを移動させる前記下方アーマチャと、
    を有することを特徴とする車両シート組立体。
  12. 前記上方アーマチャは、ヘッドレストおよび第一衝撃ボディを支持する支持構造を有し、伝達ロッドは支持構造に対して作動可能に連結されていることを特徴とする請求項11記載の車両シート組立体。
  13. 前記第二衝撃ボディは少なくとも1つの孔を有し、該孔を通って伝達ロッドが延びており、第二衝撃ボディに対して作動可能に連結されていることを特徴とする請求項11記載の車両シート組立体。
  14. 前記ヘッドレストを乗員の方向に移動させるべく、上方アーマチャを背もたれフレーム上に枢動可能に支持する少なくとも1つのリンケージを更に有することを特徴とする請求項11記載の車両シート組立体。
  15. 前記リンケージおよび背もたれフレームに対して作動可能に連結された少なくとも1つの付勢部材を更に有し、該付勢部材はヘッドレストを直立位置に向けて付勢すべく作動できることを特徴とする請求項14記載の車両シート組立体。
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