JP4818410B2 - クローポンプの排気構造及び排気方法 - Google Patents
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Description
なお、これに対応するには、先ず、回転軸131、132のサイズ及び軸受部135のサイズを大型化する。そして、軸受け荷重配分の関係上、軸受部135及びベアリング134、134を、シリンダ110によって構成されるポンプ本体に限りなく近接させる。さらに、軸受け潤滑剤が前記ポンプ本体の発熱の影響を受けるため、高温特性に優れた潤滑剤及びシール剤を使用する必要がある。これによれば、設計の自由度が小さくなり、製造コストが高くなってしまう。
しかし、ロータ130A、130Bの径が大きくなると、周速が増加し、振れ、撓みの増加につながり、これによっても内部クリアランスの精度向上が望めない。
そこで本発明の目的は、排気効率を高めることで、クローポンプのポンプ性能を向上させることができ、設計の自由度をより向上できるクローポンプの排気構造及び排気方法を提供することにある。
本発明にかかるクローポンプの排気構造の一形態によれば、二つの円の一部を重ね合わせた断面形状のポンプ室を形成するシリンダと、該シリンダの一方の端面を塞ぐ一方のサイドプレート及び該シリンダの他方の端面を塞ぐ他方のサイドプレートと、前記シリンダ内で平行に位置するように配されて反対方向に同一速度で回転される二つの回転軸と、該二つの回転軸のそれぞれに一体的に固定されて前記シリンダ内に配され、相互に非接触状態で噛合って吸入した気体を圧縮できるように鉤形の爪部が形成された二つのロータと、該二つのロータを前記二つの回転軸を介して回転駆動させる回転駆動装置と、前記シリンダ内の気体が圧縮されないポンプ室の部分に連通する吸気口と、前記シリンダの両端面を通して圧縮気体を両側から排出させるように、前記一方のサイドプレート及び前記他方のサイドプレートの両方に前記シリンダ内の気体が圧縮されるポンプ室の部分に開口する排気口とを具備し、前記一方のサイドプレート及び前記他方のサイドプレートには、前記シリンダの端面を塞ぐ隔壁部から該シリンダとは反対方向へ連続する周壁部が設けられ、該周壁部と前記シリンダの側周壁を軸の延長方向に重ね合わせるように固定され、前記周壁部には前記排気口から圧縮気体を導く排気案内室を介して側方に開口する排気接続口が設けられ、前記一方のサイドプレートの外側であって前記周壁部に重ねられて設けられて前記二つの回転軸の一方端側を受ける一方の軸受部と、前記他方のサイドプレートの外側であって前記周壁部に重ねられて設けられて前記二つの回転軸の他方端側を受ける他方の軸受部とを備え、前記各サイドプレートの周壁部には、前記排気案内室と前記軸受部との間にある隙間に連通するように、該サイドプレートの内部に連通する複数の冷却用の通気口が設けられている。
また、本発明にかかるクローポンプの排気構造の一形態によれば、前記二つのロータが同形状であることを特徴とすることができる。
このクローポンプは、例えば排気側を空気圧機器に接続することでコンプレッサー又はブロアとして利用でき、吸気側を空気圧機器に接続することで真空ポンプとして利用できる。また、空気に限定されず、他の気体について吸排気する回転ポンプ装置としても利用できる。
20Aは一方のサイドプレートであり、シリンダ10の一方の端面を塞ぐように設けられている。また、20Bは他方のサイドプレートであり、シリンダ10の他方の端面を塞ぐように設けられている。
そして、その二つの回転軸31、32のそれぞれに一体的に固定されて、相互に非接触状態で噛合って吸入した気体を圧縮できるように鉤形の爪部39が形成された二つのロータ30A、30Bが、シリンダ10内に配されている。
21は吸気口であり、シリンダ10内の気体が圧縮されないポンプ室の部分(非圧縮室部11a)に連通する。この吸気口21は、一般的にはサイドプレート20A、20Bに設けられるが、シリンダ10の側周壁15も設けられる場合もある。つまり、非圧縮室部11aに連通できれば、設けられる位置や形状は限定されない。
このように排気口22、22が設けられていることで、その開口面積(排気面積)を倍増させて排気効率を格段に高めることができ、ポンプ性能を向上できると共に、設計の自由度をより向上できる。排気面積を倍増できることから、クローポンプで高圧縮化を図ると低圧使用時に排気口の面積が十分に確保できないことで抵抗による動力損失が大きくなる傾向を、抑制することもできる。
両側に排気口22を設けて両側に排気面積を分割することで、圧縮比の大小に関わらず、大きな排気面積を確保できる。これによれば、排気面積の確保が容易であり,大流量のポンプでもロータ径を大きくする必要がない。従って、ロータ径を大きくした場合のデメリットが生じない。また、ロータ30A、30Bの幅(回転軸の延長方向の長さ)の大小で大流量化が可能なため、設計の自由度を向上でき、大きな加工設備も必要ない。さらに、吸気を分割させて吸引させることで、吸気気体を均等にポンプ内部に誘導でき、効率が良い。また、冷却も均等に行えることから熱膨張の偏りもなく、クリアランスを均等に保て、ポンプに吸引される吸い込み音も分散して減音できる。そして、排気流量のバランスを変化させ、排気音の周波数を変化させることで、運転音の低減を図ることも可能である。
このように両方のサイドプレート20A、20Bを形成することで、組立て易くなり、製造効率を向上させることができる。
また、図3に示すように、80は排気用接続ケースであり、二つの排出口接続口29、29に連結して両側から供給される圧縮空気を合流させ、外部の空気圧機器に接続するために設けられている。この排気用接続ケース80は消音室としても設けられている。これにより、空気圧機器に対して接続し易い形態となり、汎用性の高いポンプ装置にすることができる。
また、図2に示すように、70は吸気用接続ケースであり、二つの吸気接続口27、27に連結している。この吸気用接続ケース70は、吸気をまとめることができ、外部の空気圧機器に接続する接続室として設けられている。
これによっても、組立て易くなり、製造効率を向上させ、汎用性の高いポンプ装置にすることができる。
これにより、シリンダ10と両方のサイドプレート20A、20Bで形成されるポンプ室を好適に冷却できる。また、回転軸31、32を支持する軸受部35、36についての冷却をすることもできる。
このように、ロータ30A、30Bを両端支持構造とし、ポンプ室の両側面に排気口22、22を有することで、最適な排気面積が確保可能になり、設計の自由度を格段に向上できる。
なお、24a、24bは透孔であり、回転軸31、32が挿通されるように、隔壁部23に設けられている(図1参照)。各軸受部35、36にはベアリング34が配され、各回転軸31、32を軸受けしている(図2参照)。また、一方の軸受部35にはオイルシール61が配設されている(図2参照)。
なお、回転駆動装置は、電動モータ40に限定されず、他の既知の駆動装置を用いることができるのは勿論である。
これによれば、一つの爪部を有する場合に比較して、排出される圧縮気体の脈動を抑制することができる。なお、本発明は、本形態例に限定されるものではなく、爪部が一つ又は三つ以上のロータを備えるクローポンプについても好適に適用できるのは勿論である。
つまり、駆動側のロータ30Aと従動側のロータ30Bが同形状であることで、治具・金型費用及び在庫・設計・品質データ管理等の各費用を低減でき、生産性が向上する。
これに対して、図5に示すようなロータ30A、30Bが異形状構造である場合には、2種類以上のロータ30A、30Bが必要なため、生産性にはデメリットがある。
図4(a)は、吸気時の状態を示しており、吸気口21が、斜線で示したシリンダ10内の気体が圧縮されていないポンプ室の部分(非圧縮室部11a)に連通している。なお、図面上の上側のロータ30Bが反時計回転の方向に回転し、図面上の下側のロータ30Aが、時計回転の方向に回転している。
図4(b)は、吸気を閉じ込めでいる状態を示しており、斜線で示したポンプ室の部分(等圧室部11b)は、吸気口21と排気口22のいずれにも連通していない。
図4(c)は、気体の圧縮工程を示しており、斜線で示したポンプ室の部分(圧縮室部11c)は、気体が圧縮されており、排気口22と連通する直前の状態になっている。
図4(d)は、排気工程を示しており、圧縮室部11cに排気口22が連通している。これにより、高い圧縮比の気体を効率よく排出できる。
このように二つのロータ30A、30Bを異形状に設けることで、各排気口22、22の開口面積を最大限に大きく設定することができる。これによれば、排気効率を好適に高めることができ、ポンプ性能を向上できると共に、設計の自由度をより向上できる。
図4で示した工程と同様に、図5(a)は吸気工程、図5(b)は吸気を閉じ込めでいる等圧工程、図5(c)は気体の圧縮工程、図5(d)は排気工程を示している。これによれば、排気口の開口面積を大きくでき、ポンプ室内部に吸気した気体を、抵抗なくスムーズに排気できる。
このようにシール性を向上できるのは、爪部39、39の先端を好適に肉厚にできると共に対象性が向上できるためと考えられる。
また、爪部39、39の先端をナイフエッジ形状39x、39zにする場合、加工時の衝撃等により先端の欠けが発生し易いというデメリットもある。
これによれば、爪部39、39の先端の形状を最適化することができ、シール性を高めて、ポンプ性能を向上できる。
11 ポンプ室
11a 非圧縮室部
11b 等圧室部
11c 圧縮室部
15 側周壁
20A 一方のサイドプレート
20B 他方のサイドプレート
21 吸気口
22 排気口
23 隔壁部
25 周壁部
26 吸気案内室
27 吸気接続口
28 排気案内室
29 排気接続口
30A ロータ
30B ロータ
31 回転軸
31a 他方端側
32 回転軸
33 通気口
35 一方の軸受部
36 他方の軸受部
37 歯車
39 爪部
39a R形状
39b 凹面
39c R形状
40 電動モータ
Claims (7)
- 二つの円の一部を重ね合わせた断面形状のポンプ室を形成するシリンダと、
該シリンダの一方の端面を塞ぐ一方のサイドプレート及び該シリンダの他方の端面を塞ぐ他方のサイドプレートと、
前記シリンダ内で平行に位置するように配されて反対方向に同一速度で回転される二つの回転軸と、
該二つの回転軸のそれぞれに一体的に固定されて前記シリンダ内に配され、相互に非接触状態で噛合って吸入した気体を圧縮できるように鉤形の爪部が形成された二つのロータと、
該二つのロータを前記二つの回転軸を介して回転駆動させる回転駆動装置と、
前記シリンダ内の気体が圧縮されないポンプ室の部分に連通する吸気口と、
前記シリンダの両端面を通して圧縮気体を両側から排出させるように、前記一方のサイドプレート及び前記他方のサイドプレートの両方に前記シリンダ内の気体が圧縮されるポンプ室の部分に開口する排気口とを具備し、
前記一方のサイドプレート及び前記他方のサイドプレートには、前記シリンダの端面を塞ぐ隔壁部から該シリンダとは反対方向へ連続する周壁部が設けられ、該周壁部と前記シリンダの側周壁を軸の延長方向に重ね合わせるように固定され、前記周壁部には前記排気口から圧縮気体を導く排気案内室を介して側方に開口する排気接続口が設けられ、
前記一方のサイドプレートの外側であって前記周壁部に重ねられて設けられて前記二つの回転軸の一方端側を受ける一方の軸受部と、前記他方のサイドプレートの外側であって前記周壁部に重ねられて設けられて前記二つの回転軸の他方端側を受ける他方の軸受部とを備え、
前記各サイドプレートの周壁部には、前記排気案内室と前記軸受部との間にある隙間に連通するように、該サイドプレートの内部に連通する複数の冷却用の通気口が設けられていることを特徴とするクローポンプの排気構造。 - 前記両方のサイドプレートの隔壁部に前記吸気口が設けられ、前記周壁部には前記吸気口へ吸入気体を導く吸気案内室を介して側方に開口する吸気接続口が設けられ、
前記各サイドプレートの周壁部には、前記吸気案内室と前記軸受部との間にある隙間に連通するように、該サイドプレートの内部に連通する複数の冷却用の通気口が設けられていることを特徴とする請求項1記載のクローポンプの排気構造。 - 前記排気案内室及び前記排気接続口と、前記吸気案内室及び前記吸気接続口とが、前記シリンダの長手方向へ延びる中心線について対称に設けられていることを特徴とする請求項2記載のクローポンプの排気構造。
- 前記一方の軸受部の外側において前記二つの回転軸の一方端側に固定された歯車同士が噛合され、前記他方の軸受部の外側において前記二つの回転軸のうちの一の他方端側に回転駆動装置が接続されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のクローポンプの排気構造。
- 前記の各ロータが二つ爪部を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のクローポンプの排気構造。
- 前記二つのロータが同形状であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のクローポンプの排気構造。
- 前記二つのロータのうち一方のロータが広い面積の前記排出口を覆うことができるように他方のロータに比べて太い部分が多い形状に設けられており、前記他方のロータが前記一方のロータに非接触状態で噛合するように前記一方のロータに比べて細い部分が多い形状に設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のクローポンプの排気構造。
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